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2026年1月 4日 (日)

記憶と学習をささえる分子 カムキナーゼⅡの発見

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お正月に本を1冊読みました。山内卓(やまうちたかし)の著書です。内容はなつかしい昭和の生化学の本ですが、出版は2021年ですから令和になります。どうしてこんなすでにはるか昔に論文になっている仕事を、あらためて本にまとめたのかは「はじめに」を読んでもわかりませんでした。

私の勝手な想像では、彼らが発見し精製したCaMKII(カムキナーゼII)に関する最近の総説で、彼らの論文が引用されていないのはまだしも、彼らが発見者であることをあいまいにするような記述が増えてきて腹に据えかねたというのがほんとうのところではないでしょうか。

ちなみに脳科学辞典には「1980年代初頭にトリプトファン水酸化酵素やシナプシンIを基質として、カルシウムカルモジュリン依存性タンパク質キナーゼII(Ca2+/calmodulin-dependent protein kinase II, CaMKII)が同定され(山内を含む複数の論文を引用)、複数のグループにより精製分離された」と書いてあります(1)。しかし山内としては、自分たちが他の研究室に先んじて最初に精製・同定したのであって、この記述は不当であると言いたかったのだと思いました。

山内はこの本の63~64ページにコラム12として、どうして他の研究室に先駆けて彼らが精製に成功したのかを詳しく記しています。要はカルモデュリンアフィニティーカラムを使ってカルシウムの存在下ですべてのカルモデュリン結合タンパク質を吸着させることが重要であり、山内らはそれに成功したことによってうまく精製できたと説明しています。80ページにもさらに追加した記述があります。

彼らが到達した結論の図を下に示します(この本の78ページの図)。チロシン水酸化酵素およびトリプトファン水酸化酵素はカムキナーゼでリン酸化されますが、それにくわえて活性化タンパク質が結合することによって活性化されることが示されています。

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カムキナーゼIIを脳で欠損させると空間学習が著しく低下することが、いちはやく利根川らの研究室で明らかにされており、この酵素が記憶の固定に重要であることは現在でも認められています(2)。

1)脳科学辞典:カルシウムカルモジュリン依存性タンパク質キナーゼ
こちら

2)続・生物学茶話281: 大脳辺縁系 5.Ca++/カルモジュリン依存性プロテインキナーゼⅡの発見
https://morph.way-nifty.com/grey/2025/09/post-61ef70.html



 

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