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2025年1月30日 (木)

World music collection 24: Feuerwerk Philharmoniker

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https://commons.wikimedia.org/wiki/File:%E8%B5%A4%E9%96%802.JPG

日本の大学は小泉政権以来転落の一途をたどっていますが、スピリットだけでもハーバードやスタンフォードに負けないでほしいと思います。東京大学の関係者を中心としたこのオーケストラ(東京大学フォイヤーヴェルク管弦楽団)は、まだ日本の大学だって死んではいないというところをみせてくれています。圧巻はまず2018年のショスタコーヴィチ交響曲第5番の演奏。

ティンパニの久一氏(都響)、コントラバスの池松氏(都響)、ヴィオラの須田氏(東フィル)、ピッコロの難波氏(日フィル)などプロの奏者も加わっているようですが、ともかくものすごい演奏です。

テンポが適切であるかどうかについては議論があり、私もこの交響曲の意図を逸脱するくらい速すぎるところがあると思いますが、それでも強引に引きずり込まれる迫力はあります。指揮は原田幸一郎氏。

Dmitri Shostakovich : Symphony No.5 in D minor
https://www.youtube.com/watch?v=9UvhAL81yLg&t=2502s

Dmitri Shostakovich : Symphony No.5 in D minor
第4楽章のみ
https://www.youtube.com/watch?v=34tCtfa9JIk

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Haydn : Symphony No.92 in G major
第4楽章のみ
https://www.youtube.com/watch?v=JQmfTq2JahA

L.v. Beethoven: Symphony No.6 “Pastorale” 1st mov.
第1楽章のみ
こちら1

ラフマニノフ ピアノ協奏曲第2番ハ短調
全曲 ピアノ:清水和音
こちら2

Khachaturian"Masquerade_Walts"
ハチャトゥリアン「仮面舞踏会」より ワルツ
https://www.youtube.com/watch?v=f2xb5d_0EUE

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HP:https://feuerwerk-philharmoniker.com/

 

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2025年1月28日 (火)

西鋭夫(にし・としお) 新説・明治維新

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西鋭夫(にしとしお)氏はスタンフォード大学の教授だそうですが、本の冒頭その自分の大学の自慢からはじめるのは品がないと思います。ただスタンフォード大学など米国の一流大学に比べて、日本を代表する諸大学の予算が非常に乏しくレベルが低いというのは事実なので、そのことは受け入れざるを得ません。

この本は講演録だそうですが、言いたいことは一言でまとめられます。それは「明治維新とは、すべてイギリスのアジア戦略です」ということで、文章はとてもうまくまとめられていて、何のストレスもなくすぐに読めましたし理解もできました。

私が特に興味深かったのは、徳川慶喜が大阪城で維新軍を迎え撃とうとしたときに、イギリスのエージェントが通訳を連れてやってきて慶喜を説得し、逃げ出す手伝いまでして江戸に帰らせたというお話で、エビデンスが示されていないのは残念ですが、ちょっとびっくりしました。これが本当ならこの説得が契機になって、江戸城の無血開城につながったのでしょう。

でもより興味深いのは付録でついているコラム(p.69~)です。ここには著者がCIAのエージェントにならないかと誘われた時の様子が生々しく書いてあります。ほぼ決断しかかったとき、最後に日本国籍を捨てて米国籍を取得するように言われて断念したそうです。CIAの予算が年間10兆円以上あるとか、国会議員に10人以上のCIAエージェントがいるというのは多分本当でしょう。民社党の結党をCIAがサポートしたという事実は、米国国務省の資料公開で明らかになっています(1)。小沢一郎の失脚もCIAの工作でしょう(2)。CIAは政党や国会議員、そして現在では特にSNSのインフルエンサーたちと接触しているに違いありません。

著者の意見には賛成できる部分も多いですが、故三宅久之氏に強引に誘われたからとはいえ、安倍応援団に参加してしまったのはいただけませんね。


1)ウィキペディア:民社党
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B0%91%E7%A4%BE%E5%85%9A

2)板垣英憲 マスコミに出ない政治経済の裏話
https://blog.goo.ne.jp/itagaki-eiken/e/be8935d525a9ad223135074e5e9c7553

 

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2025年1月26日 (日)

続・生物学茶話259: カハールの間質細胞(介在細胞)

海綿動物は先カンブリア時代から数億年以上子孫を残し続け、現在も大繁栄している地球上の生物の中で有数の勝ち組と言えます。細孔を多数作って餌と水を取り込みながら栄養をとり、私たちの胃とは大きく違いますが中央に胃腔と呼ばれる空間をつくって、そこに流し込んで穴(肛門)から排出するというのが基本の形です。彼らは数億年以上の期間独自の進化を行ってきたので、ウィキペディアの海綿動物の項目を見ると、まるで高度な美術品のような複雑な構造をもつ多くの種の形態に驚嘆します。

彼らの胃腔と私たちの消化管にはひとつ共通の役割があります。それはその中で微生物を培養して共生するということです。微生物に快適な環境を提供する代わりに、彼らが作り出す有機物を利用して餌が少ない時にも生き延びるなど様々なメリットを得ることができます。

ウルバイラテリア(始原的左右相称動物)の祖先は、非常にシンプルなチクワのような構造の原始海綿動物から進化した生物だったと思われます。進化する過程で筋細胞を分化させて腸(チクワの穴)の周りに配置し、腸のなかに水流を作ることができれば、シンプルな構造であっても襟細胞のように鞭毛で水流を作るより圧倒的に強力な水流を起こすことが可能です。この時点では前後はあっても上下左右はない生物でしたが、我々の祖先が餌として目を付けたのはおそらく海底に付着している生物でした。もし餌にできれば大変効率的ですが、問題なのは浮遊しているプランクトンを吸い込む場合と違って、食べたら別の場所に移動しなければいけません。つまり海底を這って移動しなければいけません。そのために上下の概念を取り入れ、体の下部にも消化管で分化の様式を確立した筋肉を配置して、苔様植物など海底に付着している生物がいる場所に移動できるように進化する必要がありました。その進化に成功した結果、体に上下の区別ができるようになると同時に左右という概念が発生しました。それはウルバイラテリアの誕生を意味します。

想像ばかりでも仕方がないので。実験結果に基づく話に戻しましょう。まずカハールの間質細胞はどこから発生してくるかという問題ですが、これはラ・ドゥアランの研究室で c-Kit マーカーとお得意のウズラ‐ニワトリのキメラを使った実験で、中胚葉(間葉系細胞)から発生することが確認されました(1)。腸上皮は内胚葉、腸管神経系は神経堤から発生するので、カハールの間質細胞は腸上皮、神経細胞、グリア細胞などとは別起源ということになります。このことはマウスでも確かめられました(2)。鳥橋によると、マウスでは胎生17日目頃までは平滑筋細胞とカハールの間質細胞は共通の祖先細胞の状態であり、それは18日目に平滑筋細胞とカハールの間質細胞に分かれてそれぞれ分化するそうです(3、図259-1)。ヒトの場合このタイミングは胎生9週目くらいからになります(4)。鳥橋は「おそらく、消化管という古い器官が進化の過程で固有の律動運動を獲得するなかで、ペースメーカー細胞として機能する特殊な平滑筋というかたちでICCが平滑筋細胞から分かれたのではないか」と述べています(3)。

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図259-1 カハール間質細胞の分化

図259-1をみればカハール間質細胞の分化には SCF-cKit セットが必要と思われ実際にそうらしいのですが(3)、深部輪状筋(輪走筋)に埋め込まれているタイプの細胞(ICC-DMP)は SCF-cKit に依存しないとの報告もあり(5)、なかなか一筋縄ではいきません。神経叢と共存するカハール間質細胞ではリガンドであるSCFのシグナルをレセプターであるcKitが受けてチロシンキナーゼ活性を発動するわけですが、SCF のシグナルが来なくても常時c-Kitがチロシンキナーゼとして機能している場合、カハール間質細胞は癌化するようです(6)。

カハールの間質細胞の各消化管部位における分布を文献7に従って示しました(7、図259-2)。ここには示してありませんが食道における分布はほぼ胃の前半部に近いようです。小腸では縦走筋内部にカハール間質細胞がみられないのが特徴です。また輪状筋内部における配置が部位によって異なっています。食道と胃の前半部では筋層間神経叢にカハール間質細胞がみられません。

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図259-2 各消化管部位におけるカハール間質細胞の分布

カハールの間質細胞は主として筋層間神経叢(アウエルバッハ神経叢)に存在しますが、図259-2のように輪状筋や縦走筋の内部にも筋細胞に交じって存在しており、また輪状筋よりも内腔に近い粘膜下層やマイスナー神経叢にも存在します。そして存在する位置によって形態も異なります(図259-3)。神経叢にあるタイプは多数の分枝を持ち、全体として網状の構造をとりますが(9、図259-4)、筋肉に埋め込まれているタイプは2極性の細長い形態となります。図259-3は参照文献8を参考に作成しましたが、たとえば神経叢にも2極性細長型のカハール間質細胞が存在するので8と異なる部分もあります。

カハールの間質細胞同士はギャップ結合(gap junction、図259-1)でつながっており、電気パルスや代謝活動を共有しています。神経や筋肉とどのような形でコミュニケーションをとっているかわかりませんが、両者の近傍で異なる形態をとるのでコミュニケーションの方式も異なるのかもしれません。

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図259-3 カハール間質細胞の多様性

これは単なる想像ですが、もともとはカハールの間質細胞は縦走筋に埋め込まれているものだけであって、オンオフとペースメーキングだけをやっていればよかったのですが、輪状筋ができたことで制御が複雑となり、縦走筋と輪状筋の間で腸管神経系の統合的な制御を受けることになったと思われます。そしてカンブリア紀にはいると、脳神経系の制御を受けざるを得なくなりました。

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図259-4 筋層間神経叢のカハール間質細胞 ニューロンはオレンジ色、カハールの間質細胞は緑色

カハールの間質細胞の分化と多様性について、より詳細で最新の知識が必要な方はスウィートらの総説が役に立つかもしれません(10)。

 

参照

1)Laure Lecoin, Giorgio Gabella and Nicole Le Douarin, Origin of the c
-kit-positive interstitial cells in the avian bowel., Development vol.122, pp.725-733 (1996)
DOI: 10.1002/(SICI)1097-0029(19991201)47:5<303::AID-JEMT1>3.0.CO;2-T
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/10602289/

2)H. M. Young, D. Ciampoli, B. R. Southwell, and D. F. Newgreen, Origin of Interstitial Cells of Cajal in the Mouse Intestine., DEVELOPMENTAL BIOLOGY vol.180, pp.97–107 (1996)
DOI: 10.1006/dbio.1996.0287
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/8948577/

3)鳥橋茂子 ICCの発生 顕微鏡 vol.40, no,3, pp.145-149 (2005)
file:///C:/Users/Owner/Downloads/KENBIKYO_final-2.pdf

4)Goran Radenkovic, Vojin Savic, Dejan Mitic, Srdjan Grahovac, Marija Bjelakovic, Miljan Krstic, Development of c-kit immunopositive interstitial cells of Cajal in the human stomach., J.Cell.Mol.Med., vol.14, pp.1125-1134, (2010)
https://doi.org/10.1111/j.1582-4934.2009.00725.x
https://onlinelibrary.wiley.com/doi/abs/10.1111/j.1582-4934.2009.00725.x

5)Iino, S., Horiguchi, K. & Horiguchi, S. c-Kit-stem cell factor signal–independent development of interstitial cells of Cajal in murine small intestine. Cell Tissue Res 379, 121–129 (2020). https://doi.org/10.1007/s00441-019-03120-9
https://link.springer.com/article/10.1007/s00441-019-03120-9

6)兵庫医科大学プレスリリース Gastrointestinal stromal tumor (GIST)および
カハールの介在細胞(Interstitial cell of Cajal; ICC) に関する研究
https://www.hyo-med.ac.jp/department/hpth/study01.html

7)小室輝昌 ICC研究の歴史と展望 顕微鏡 vol.40, no.3, pp.140-144 (2005)
https://www.jstage.jst.go.jp/article/kenbikyo2004/40/3/40_3_140/_article/-char/ja/

8)Petru Radu et al., nterstitial Cells of Cajal—Origin, Distribution and
Relationship with Gastrointestinal Tumors., Medicina vol.59, no.63. (2023)
https://doi.org/10.3390/medicina59010063
https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC9865743/

9)堀口和秀, 飯野哲 カハーの介在細胞の微細構造 顕微鏡 vol.40, no.3, pp.150-156 (2005)
https://www.jstage.jst.go.jp/article/kenbikyo2004/40/3/40_3_150/_pdf/-char/ja

10)Tara Sweet, Christeen M. Abraham, Adam Rich, Origin and development of interstitial cells of Cajal., Int. J. Dev. Biol. vol.68: pp.93-102 (2024)
https://doi.org/10.1387/ijdb.240057ar
https://ijdb.ehu.eus/article/240057ar

 

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2025年1月25日 (土)

>石破殿 楽しい日本にはならないよ

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小春日和で団地のサザンカは満開。ヒヨドリはうちのベランダで縄張り宣言。

人間社会の醜悪さをよそに、花鳥は元気です。

古市憲寿「やっぱりフジサンケイグループ代表の日枝さん中心とする経営陣が、1回全部どいてもらわないとこの問題は収束しないと思う」

堀江貴文「日枝に行かないと何の意味もないよ。みんな日枝の腰巾着なんだから」

村西とおる 相手の男が妻帯者であることに怒った母親メリーは烈火のごとく「娘を傷モノにした」とフジテレビに乗り込み、日枝さまに直談判したのでございます。驚いた日枝さまは、飛ぶ鳥を落とす勢いのジャニーズ女帝の前で為す術もなく白旗をあげ、今後はジャニーズの件は「日枝案件」として取り扱う、となったのでした。

玉川徹「日枝さんに会見に出てもらわないといけない。正直に話すというなら、日枝さんが参加することが必要」

フジテレビ社員説明会 「質疑応答で社員が涙ながらに、日枝(久)相談役を含めた経営陣全員の辞任を求める場面もあった」

フジテレビ労組要求 「日枝久取締役相談役、嘉納修治代表取締役会長、港浩一代表取締役社長の出席を伴う会見の実施を遅くとも今週中に発表、1月27日(月)には実施すること」

東京のエンタメの要である東京都歴史文化財団の理事長は、そのフジサンケイグループの総帥日枝久氏だし、東京文化会館の館長も日枝久氏です。

ジャニー喜多川という人についてウィキペディアを見てみると、彼は米国軍人として朝鮮戦争に参加し、退役後は米国軍事顧問団の職員として日本に移住して米国大使館に勤務していたそうです。つまり米軍のエージェントなんですね。こんな人が日本のエンタメの中心にいたわけです。

フジテレビの一件はともかくとして、自民党政権は貧富の差を広げるような政策ばかりに熱心だってこと。国民民主党が言ってる103万円の壁も、突破するとより貧富の差が広がるそうじゃないですか。大企業と連合は一体であり、彼らが損をするような政策は日本では実行不可能です。だけどそれをやらないとますます殺伐とした事件は増え、人口は減少し、エンゲル係数は増加するという結果は避けられません。ともかく自民党は経団連と、立憲は連合と距離をおかないと、どうしようもありません。トリクルダウンはないのです(1-5)。

1)朝日新聞 「トリクルダウンはなかった」限られた緩和の恩恵、増えたゾンビ企業
https://www.asahi.com/articles/ASSDZ3C2RSDZULFA01QM.html

2)浜田宏一氏証言 トリクルダウン起こせず
https://www.tokyo-np.co.jp/article/237764

3)世界不平等レポート2022  「トリクルダウン」は幻想であり、富裕層への増税は必然
https://www.businessinsider.jp/article/247566/

4)ロンドン スクールオブエコノミクス トリクルダウンは存在せず「富裕層を支援しても貧困層は豊かにならない」という研究結果
https://gigazine.net/news/20210109-tax-cuts-rich-no-trickle-down/

5)竹中平蔵 トリクルダウンあり得ない
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/172701

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2025年1月21日 (火)

World music collection 23: Anna Fedorova

アンナ・フェドロヴァはウクライナのピアニストです。何度も来日しているのでご存じの方も多いと思います。ユリアンナ・アヴデーエワが優勝した2010年のショパンコンクールでは入賞にも至りませんでした。

聴衆との間に壁が全くない感じのフレンドリーな人で、最初から身構えることなくスーッと自然にはいっていける音楽が特徴です。竹田理琴乃などもそうですが、まるで親しい友人が自分のために弾いてくれているような錯覚を感じさせる芸風とも言えます。ショパンコンクールでカワイのピアノを使っていたので、このメーカーがお気に入りなのかもしれません。ショパンコンクールではじかれても、自分の芸風をしっかり持っていて、ファンがいればいいじゃないですか。

Anna Fedorova
Homepage:https://www.annafedorova.com/calendar
Interview:https://www.youtube.com/watch?v=m27WtxU4z8I

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写真のCDのショパン・バラードは、まるで語り部が昔話を身振り手振りで語るような雰囲気です。そしてリスト:ペトラルカの3つのソネットは絶品。

I feel a kind of intimacy in her pianism, propably due to her affectionate persolality. It is as if a friend of mine is playing for me.

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これは多分コロナの頃に、自分の家のピアノで配信してくれている動画です。ピアノの調子はあまりよくないですが、彼女の演奏スタイルからすると理想的とも言えるシチュエーションでほかに代えがたい演奏です。

Virtual Concert Hall
https://www.youtube.com/watch?v=HuXz09BOAKA

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スタジオでのフルコンサートピアノ演奏。でも厚底サンダルでペダルを踏んでいるのが不思議な光景。

Chopin in concert
Chopin Nocturne in C sharp minor op.27 no.1
Chopin 3 Mazurkas op.50
Chopin 3 Waltzes op.34

https://www.youtube.com/watch?v=up_OjTBomj0

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コンサートホールでの演奏

ベートーヴェン 月光ソナタ(ピアノソナタ第14番)
ショパン バラード第4番

Anna Fedorova performs The Piano Sonata No. 14 in C♯ minor "Quasi una fantasia" 月光ソナタ, Op. 27, No. 2 also known as the Mondschein sonata, composed by Ludwig van Beethoven followed by Ballade no. 4, composed by Frederic Chopin.

https://www.youtube.com/watch?v=r25Bg7y3HnA

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ベートーヴェン 熱情ソナタ(ピアノソナタ第23番)

https://www.youtube.com/watch?v=9uj9g-eH0uw&t=215s

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ショパン ピアノ協奏曲第2番

https://www.youtube.com/watch?v=r5HBECcWzEM&t=692s

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モーツァルト ピアノソナタ K.333

https://www.youtube.com/watch?v=3pQtHWT29gs

https://www.youtube.com/watch?v=7p72nFohRjQ

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ラヴェル 夜のガスパール

https://www.youtube.com/watch?v=82pfADW1j5k

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ムソルグスキー 展覧会の絵

https://www.youtube.com/watch?v=UaRvJ3JEJ5Q

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ショパン エチュード作品25-11

https://www.youtube.com/watch?v=eEVo_kqq4hM

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2025年1月19日 (日)

配電盤

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サラ「何か用?」

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ミーナ「何か用?」

廊下のこの場所に来ると、猫たちがちょっと神経質になる気がします。この上には配電盤があるのでそのせいかなと思っていましたが、昨年私もその原因らしきものを知ることになりました。

生物にテレパシーが存在することは1963年に東京医科歯科大学(現在は東京科学大学)の研究グループによって発見されました(1)。ジムノティ目などの魚類は、電気ナマズのような強力な電気で採餌する(2)のではなく、微弱な電波を発してお互いにコミュニケーションをとることができます。

私はあるストレスのせいだと思うのですが、廊下のこの場所に来ると電話の音が聞こえるのです。不思議なことに「来るぞ来るぞ」と意識していると聞こえません。無意識に通り過ぎた時だけに聞こえます。脳がどういうことをやっているのか興味がわきますが、まだ幻聴の研究業績にはアクセスしていないのでメカニズムはわかりません。ただヒトにも微弱な電磁波を感じることができる能力があることは実感しました。

幻聴は半年くらい続いたのですが、ストレスが軽減した現在では感じなくなりました。

1)続・生物学茶話214: 弱電魚の小脳
https://morph.way-nifty.com/grey/2023/06/post-2c8c8e.html

2)続・生物学茶話159:電気魚
https://morph.way-nifty.com/grey/2021/09/post-898d9b.html

 

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2025年1月18日 (土)

ホルンは歌う

天空に輝く冬空のオリオン
しかしそれらの星たちを支配するシリウスは宇宙の女王だ
マーラー交響曲第7番 第4楽章
谷あかねのホルンが響き渡り、宇宙が鳴動する

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東京シティフィルのホルン軍団

 

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2025年1月16日 (木)

ひろゆき

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(写真はウィキペディアより)

ウィキペディアの西村博之の項目を読みました。一人の人物についてこれだけ詳細な記述があるのは見たことがありません。彼は言わずと知れた2チャンネルの創始者であり、YouTube動画やテレビでもお馴染みで日本人なら誰でも知っているような方ですが、今では4chanという世界的な掲示板も運営しているようで、世界にも名が知れるようになりました。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%A5%BF%E6%9D%91%E5%8D%9A%E4%B9%8B

彼は社会保障を重視するような思想の持ち主かと思えば、4chanは極右の拠点だったりして(ウィキペディアにはハーケンクロイツまで表示されています)政治信条はよくわかりません。日本はどうしようもなく没落してしまうという危機感から、今はパリに移住しています。彼が言っていることには正しいこともたくさんあって、たとえば「収入が400万円台で3人の子育てができるような社会でなければ国は滅びる」というのは客観的な事実で正しい主張です。

日本は敗戦後非常に苦しい時代から社宅・社員寮というのがあって、そこそこの企業はみんな社員に住宅を提供していました。公務員や教師にもそれぞれ公的な宿舎が提供されていましたし、学生には学生寮が提供されていました。みんな非常に安価で、国民が住む場所に困るようなことはなかったのです。それが今では超狭小住宅でもとんでもない家賃を支払って住むしかないようになったのは、政治の誤りとしか思えません。住居提供の復活と食料品にかかる消費税の撤廃を行えば生活は相当楽になります。さらに高校無償化までやれば、400万円台で3人子育てが可能になるでしょう。

東京の住居が異常に高いのは外国人が投資で買っているからで、日本人にとっては非常に迷惑なことです。これには制限をかけるべきでしょう。築地市場跡などは社宅用の土地という制限をかけて、日本の企業に払い下げるべきでしょう。日本が住みよい国になるには、東京の不動産価格の暴落はどうしても通らなければいけない関門です。

ウィキペディアの西村博之の項目の中に、goo や infoseek はシステムとして非常に優れていたのに google に完敗したのは法制上の問題のためだという話がでていましたが、これなどは日本の政治の脆弱さの証明でしょう。それより大きな問題は、日本の小売がアマゾン(そしていずれTemu)に支配されるようになってきたことです。郵政民営化するなら、何故その時に郵便局に小売りをさせなかったのでしょう。

電話はガラケーで十分で、動画や文章はタブレットでみるようなシステムになぜできなかったのでしょう。スマホで日本が負けるとわかったときにそう決断すべきでした。文化的にも健康上もその方がよかったでしょう。これらのことができなかったのは、すべて日本がグローバル標準の中で生きていこうという思想に、政府も官僚も会社経営者もガチガチに凝り固まっていたことが原因になっています。

トランプが唯一正しいのはグローバル標準を捨てたことで、グローバル資本主義の本山である米国ですらそう決断したわけですから、日本はもう30年以上前からどうしたらグローバリズムを捨てることができるかを真剣に考えるべきだったのです。日本がやるべきことはまず資本の流入を制限することです。

水野和夫

閉じてゆく帝国と逆説の21世紀経済
こちら1

資本主義の終焉と歴史の危機
こちら2

今では遅すぎるかもしれませんし、ロシアがウクライナ戦争を始めたのも大きな痛手でした。ロシアはグローバル資本主義とは一線を画している数少ない国だったのでこれはとても残念。グローバル派のオバマ・バイデンらのウクライナでの工作が成功したのです。それでも日本は独自のグローバル資本の影響を排除した国家グループを作って生きていかなければいけません。中国はそこそこうまくやっていてお手本になります。ただし中国の傘下にはいると第2のグローバル資本に支配されるような事態になりかねないので、元の木阿弥にならないよう、うまく付き合うことが必要です。

自由な資本の出入りや自由貿易によって国際競争の中に企業がたたきこまれると、国家ができることはとても少なくなり、結局安倍時代のようにズルズルと負け戦を続けざるを得なくなってしまいます。それだけは避けるように石破政権にはしてほしいですし、野党にもお願いしたいと思います。まずはウクライナ戦争の終結に協力し、終結したらすぐにロシアとの外交を再開すべきです。JR東海のリニア新幹線はやめて、札幌‐稚内‐サハリン‐イルクーツクのリニアをやりましょう。

 

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2025年1月13日 (月)

続・生物学茶話258: ドギエルⅡ型ニューロンの謎

しばらく腸神経について学習していますが、かなり立往生感が強く進みたくても進めないという状況が続いています。努力不足もありますが、結局のところすっきりとわかっていない部分が多く、もっと実験を積み重ねないと詳細についての理解は不能な領域だと思います。

腸管神経系にどんなニューロンがあるかについて概略は脳科学辞典を参考にして図258-1にまとめましたが、モルモットの小腸についてのリストですし、まだまだデータの蓄積が必要です(1)。タキキニンはサブスタンスP(substance P;SP)、ニューロキニンA(neurokinin A;NKA)、ニューロキニンB(neurokinin B;NKB)などの総称ですが、タキキニングループの物質は神経伝達物質としてもホルモンとしても作用するので、これひとつとっても一筋縄ではいきません。筋層間神経叢と粘膜下神経叢で細胞の形態・種類にかなり差があるのも不思議。

ひとつはっきりしているのは、筋層間神経叢におけるドギエルタイプIニューロンは腸管筋に接続するという役割を担っており、その収縮と弛緩に直接関与しているということです。さらにドギエルタイプIニューロンのうち抑制性のものはおそらく一酸化窒素を神経伝達物質として用いているというのは際立った特徴です(1、図258-1)。

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図258-1 主要な腸管神経細胞の性質

神経科学者はどうも一酸化窒素を「神経伝達物質ひとつである」と定義するのを好まないようで、例えば脳科学辞典の一酸化窒素の項目をみると、確かに神経系におけるこの分子の機能をとりあげて詳しく解説していますが、神経伝達物質とは書いてありません(2)。通常の神経伝達物質のメカニズムとは全く異なる方式で情報伝達をおこなうためでしょう(3、図258-2)。図258-2Bのような場合、シナプス領域で得られた情報は軸索を逆行して細胞体に伝えられることになります(4、5)。

ならば軸索の先端などで一酸化窒素以外の情報も逆行することがありそうです(図258-2)。ベルトランドらは昔から腸神経のドギエルⅡ型ニューロンの軸索のターゲットは粘膜層であり、かつこのニューロンは求心性であると結論しています(6)。つまりこのニューロンはおそらく常時軸索を逆行した情報を得ているということです。最近ようやくドギエルⅡ型ニューロンの同定が正確に行われるようになったので、遅々とはしていますがいずれこの方面にも進展があるでしょう(7)。クラゲには双方向性のシナプスを持つ運動ニューロンが存在するという報告もあります(8)。

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図258-2 逆行性情報伝達

図258-3は2004年にファーネスらが報告したドギエルⅡ型ニューロンです(9)。分岐し密生しているのは樹状突起ではなく軸索です。脳科学辞典の「軸索」という項目をみると「樹状突起と軸索と言う形態上の分類は、この機能と密接に関わっていて、一般に、樹状突起: 入力の場。他の神経細胞、感覚器官などから情報を受け取る。軸索: 出力の場。他の神経細胞、筋肉、腺などの効果器へ情報を伝える。と考えられている。但し、突起の中の部位による機能分化も存在するので、形態的分類と、機能的分類が単純に1:1で対応する訳ではない。樹状突起、軸索という分類は、基本的に形態上の名称である。」という記載があります。しかし図258-3を見ると、その「形態上の名称」というのも怪しくなってきます。少なくとも腸神経においては軸索とか樹状突起とかという分別はなりたたないのではないかと思われます。

「軸索」がこのような錯綜した構造をとるということは、それが特定のターゲットに情報を伝える、または情報を得るという目的からはかけはなれています。合目的的ではありません。プルキンエ細胞の樹状突起は錯綜していますが、あくまでも形態は樹状であり、多数の先端がターゲットに接続しています。ドギエルⅡ型細胞の錯綜した軸索はそういった性質のものではありません。

図中にgという部分がありますが、ここは近隣の神経節(ガングリオン)と接する部分を意味しており、このように長大で錯綜した軸索が実は複数の神経節で情報を共有または同期するためのツールであることを示唆しています。gの部分で特に構造が密になっていることは、その部分の情報量あるいは濃度を高める意味があるのではないかと思われます。

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図258-3 ドギエルⅡ型ニューロンの形態

ドギエルⅡ型ニューロンは樹状突起が乏しいので、多分複雑な調節は苦手で、ひとつの軸索からの情報をほかの軸索に伝える(図258-4a-c)、細胞体のシナプスで受け取った情報を軸索に伝える(図258-4d)、他の神経節と接したときに電気的あるいは物質的に他の細胞に情報を伝える(図258-4e)、または受け取る(図258-4f)などの役割が考えられます。

図258-4a-c の情報は何かといえば、軸索が上皮直下の粘膜層まで伸びていることがわかっているので、やはり粘膜層の変形、化学物質、神経伝達物質を認識して興奮するのでしょう。

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図258-4 ドギエルⅡ型ニューロンにおける情報の流れ

 

参照

1)脳科学辞典:腸管神経系
https://bsd.neuroinf.jp/wiki/%E8%85%B8%E7%AE%A1%E7%A5%9E%E7%B5%8C%E7%B3%BB

2)脳科学辞典:一酸化窒素
https://bsd.neuroinf.jp/wiki/%E4%B8%80%E9%85%B8%E5%8C%96%E7%AA%92%E7%B4%A0

3)続・生物学茶話132: 化学シナプスの実在とカルシウムチャネル
https://morph.way-nifty.com/grey/2021/03/post-bb9eed.html

4)ウィキペディア:一酸化窒素
https://bsd.neuroinf.jp/wiki/%E4%B8%80%E9%85%B8%E5%8C%96%E7%AA%92%E7%B4%A0

5)山下直也 神経成長因子による逆行性シグナル伝達研究の新展開 日薬理誌(Folia Pharmacol. Jpn.)vol.154,pp.84-85(2019)
https://www.jstage.jst.go.jp/article/fpj/154/2/154_84/_pdf

6)Bertland P. et al., Electrical mapping of the projections of intrinsic primary afferent neurones to the mucosa of the guinea-pig small intestine., Neurogastroenterology &Motility.,Volume.10, pp.533-542 (1998)
https://doi.org/10.1046/j.1365-2982.1998.00128.x
https://onlinelibrary.wiley.com/doi/epdf/10.1046/j.1365-2982.1998.00128.x

7)Timothy J. Hibberd, Wai Ping Yew, Kelsi N. Dodds, Zili Xie, Lee Travis, Simon J. Brookes, Marcello Costa1, Hongzhen Hu & Nick J. Spencer, Quantification of CGRP-immunoreactive myenteric neurons in mouse colon., J Comp Neurol. vol.530(18): pp.3209-3225. (2022)
doi: 10.1002/cne.25403.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/36043843/

8)P. A. Anderson, Physiology of a bidirectional, excitatory, chemical synapse., J. Neurophysiol., vol.53, pp.821-835 (1985)
https://doi.org/10.1152/jn.1985.53.3.821
https://journals.physiology.org/doi/abs/10.1152/jn.1985.53.3.821

9)Furness JB, Robbins HL, Xiao J, Stebbing MJ, Nurgali K. Projections and chemistry of Dogiel type II neurons in the mouse colon. Cell Tissue Res., vol.317(1): pp.1-12. (2004)
doi: 10.1007/s00441-004-0895-5.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/15170562/

 

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2025年1月10日 (金)

千葉ニュータウンの冬

千葉ニュータウンは観光するところなどほとんどなく、飲み屋街、ライブハウス、コンサートホールなどもないベッドタウンです。しいて言えば車で買い物をする場合、ジョイフル本田、コストコ、カインズ、メガマックス、ケーズデンキ、島忠、東京インテリア、ニトリ、イオン、ドンキなど巨大店が多数あるので便利とも言えます。冬は東京より寒いです。

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駅からの何の変哲もない夕景ですが、これを撮影した直後に立っていた花壇の縁から転落して怪我(多分軽傷)をしました💦

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冬の風物詩 印西市のゆるキャラ 「いんザイ君」 のイルミネーション
サイの一種らしい

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去年の3月末にベランダにやってきたイソヒヨドリ(幸せの青い鳥)が、厳冬の今またやってきました。このベランダを覚えていたとしたら、とても頭の良い鳥です。毎年来てくれるとうれしい。渡りの途中に立ち寄ったのかと思いましたが、今回は季節が違うので実は漂鳥なのかもしれません。

 

 

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2025年1月 9日 (木)

私の好きな写真

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そんなことを考えていたら 突然
私は見知らぬ街に放り出された
呆然と辺りを見回していると
サラがまっすぐにこちらにやってきた
そして私に「お前も仲間に入れてやるから、ここで暮らしな」
と相変わらず女王様口調で言った

いつの間にかミーナも現れて3匹で歩いていると
向こうの方にベンダーが見えた
先を歩いていたミーナが振り返って私に言った
「あの自動販売機まで せーので走ってみよう
あなただけが 私のヒーローだから」

私がミーナと走っていると
道ばたで坂井泉水が微笑んでいるのが見えた

"Hero" by Zard with English caption

https://www.youtube.com/watch?v=JJ13v49VbNk

Covers

https://www.youtube.com/watch?v=RuW3uPrYrsI

https://www.youtube.com/watch?v=XchFW34r3wU

https://www.youtube.com/watch?v=ZFQwAARIETU

 

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2025年1月 5日 (日)

続・生物学茶話257: 腸神経細胞の形態学

腸管神経系の形態学については、19世紀の半ば頃にマイスナーがマイスナー神経叢(現在は粘膜下神経叢と呼ばれることが多い)、アウエルバッハがアウエルバッハ神経叢(現在は筋層間神経叢または腸管筋神経叢と呼ばれることが多い)を発見したことが端緒になっていますが(図257-1)、これらを構成する神経細胞の形態については、ロシアの神経学者アレクサンダー・ドギエルの19世紀末から20世紀初頭にかけての研究が現在でも基準となっています。しかし現在手軽に読めるドギエルの論文はとても少なく、唯一1895年の「Zur Frage uber den feineren Bau des sympathischen Nervensystems bei den Saugethieren」(1)という論文も4980円支払わないと読めないので諦めました。その代わりにエルランゲン‐ニュルンベルク大学のブレーマーの総説(2)を手がかりとして、腸神経細胞の形態学を探訪したいと思います。

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図257-1 腸縦断面の模式図

図257-1は前回の図256-1と同じものです。256では腸の蠕動運動は神経がなくてもカハール間質細胞がペースメーカーとなって自動的に行われることを述べました(3)。では腸神経は何をやっているのでしょうか? おそらく先カンブリア時代からやっていたことが2つあると思います。ひとつは餌が腸にあることを感知して腸をはたらかせ、無い時には休ませるということです。これは大きなエネルギーの節約になります。いまひとつは有害なものを取り込んだときに排出する作業です。これらの作業を行うためには神経だけでなく、センサーとしての上皮細胞の分化も必要です。たとえば痛みを感じたときに全力で蠕動運動を開始することは有益だったでしょう。

腸神経がどのような形態をとっているかは現在でも完全には解明されておらず、議論の対象になっています。たとえば脳科学辞典の腸管神経系の項目には筋層間神経叢における一酸化窒素を神経伝達物質とする神経の形態が示されています(4、図257-2)。これによれば数個の細胞が近接して集合体を作り、それぞれの集合体は軸索や樹状突起を出して連絡しています(図257-2A)。また集合体は1種類のニューロンで構成されるのではなく、別の神経伝達物質を使用するニューロンも共存しています(図257-2B)。

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図257-2 モルモット腸管筋神経叢の免疫染色

ドギエルが報告したとされている TypeI、TypeⅡ、TypeⅢ のニューロンの形態図が脳科学辞典にあったので貼っておきます(4、図257-3)。TypeI は普通のニューロンで、1本の軸索と多数の樹状突起がみられます。TypeⅡ は軸索が枝分かれしているか複数本あって、樹状突起は極めて少ないタイプです。TypeⅢ は軸索は多分1本ですが枝分かれしていて、樹状突起も非常に長く複雑に枝分かれしています。Portbury らが1995年に報告したTypeⅢの図には、軸索が消化管と並行の方向に延びていること、軸索が枝分かれして複数のニューロンに接続していることなどが示されています(5、図257-4)。

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図257-3 ドギエルの古典的な神経細胞形態図と分類

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図257-4 ドギエルTypeIIIニューロンの模式図

細胞の形態が現在でも議論になっているというのは珍しい例だと思いますが、ブレーマーは腸神経系のニューロンの形態をまとめた総説を2021年に出版しています(2)。その中で筋層間神経叢(アウエルバッハ神経叢)にみられるとされているニューロンの一部を図257-5に示します。

TypeI は樹状突起の形態によって"stubby"型と"spiny"型に分けられています。TypeⅡは軸索が複数あるタイプと枝分かれしているタイプがあり、さらに樹状突起があるタイプとないタイプがあります(2、図257-5)。複数の軸索状突起が本当に軸索かどうかについては、1990年にヘンドリクスらが軸索であることを電気生理学的にモルモットで確認しています(6)。その伝達読度は0.23m/秒ということです。腸神経のニューロンは一般的にミエリン鞘で覆われていないので、伝達速度は高速ではありません。実は図257-5では軸索はカットしてあり、最後までトレースすると異常に絡まりあったり分岐している長大で複雑な構造であることが分かっています(11)。

TypeⅡは変わったタイプのニューロンですが、ヒトの全筋層間ニューロンの10%位を占めコリナージックであること、カルレチニン、ソマトスタチン、サブスタンスP、CGPR(calcitonin gene-related peptide)などが検出されることなどが分かっています。TypeⅡのニューロンは実は感覚ニューロンで軸索における情報伝達が逆行性であることが示されているのですが(11)、両行性かもしれません。このあたりは稿を改めてとりあげたいと思っています。

TypeⅢもドギエルが1899年にモルモットの大腸にあることを報告しましたが、スタックがブタの小腸にもあることを報告したのは100年近く経過した1982年でした(7)。ヒトの小腸での存在が確認されたのは2004年です(8)。いかに腸神経系の研究が軽視されてきたかがわかります。TypeⅢの特徴は軸索は1本で、樹状突起がよく発達していて長いことです(図257-5)。TypeⅤはブタの小腸でスタックが発見しました(9)。ヒトにも存在することは確認されています。コリナージックなニューロンですが、樹状突起の途中から軸索が出ているように見えます(図257-5)。

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図257-5 筋層間神経叢ニューロンの形態  ax:axon

ここまで述べてきた様々な形態のニューロンは、筋層間神経叢(アウエルバッハ神経叢)で見つかったものですが、では粘膜下神経叢(マイスナー神経叢)のニューロンはどのような形態なのかを図257-6に示します。筋層間神経叢のニューロンの形態もドギエルの時代から報告はあるのですが、それほど詳しくは研究されてないようです。軸索は概ね1本で、樹状突起は発達しているタイプとほとんどないタイプがあるようです(2、図257-6)。またコリナージックなタイプと一酸化窒素性を使うタイプがあります(2)。

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図257-6 粘膜下神経叢ニューロンの形態

 

参照

1)Dogiel, A.S. Zur Frage uber den feineren Bau des sympathischen Nervensystems bei den Saugethieren. Archiv f. mikrosk. Anat. 46, 305?344 (1895).
https://doi.org/10.1007/BF02906657

2)Axel Brehmer, Classification of human enteric neurons., Histochemistry and Cell Biology vol.156, pp.95-108 (2021)
https://doi.org/10.1007/s00418-021-02002-y

3)続・生物学茶話256: 蠕動運動
https://morph.way-nifty.com/grey/2024/12/post-d46b60.html

4)脳科学辞典: 腸管神経系
https://bsd.neuroinf.jp/wiki/%E8%85%B8%E7%AE%A1%E7%A5%9E%E7%B5%8C%E7%B3%BB

5)Portbury, A.L., Pompolo, S., Furness, J.B., Stebbing, M.J., Kunze, W.A., Bornstein, J.C., & Hughes, S., Cholinergic, somatostatin-immunoreactive interneurons in the guinea pig intestine: morphology, ultrastructure, connections and projections. Journal of anatomy, vol.187 ( Pt 2), pp.303-321 (1995)
https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC1167426/pdf/janat00130-0045.pdf

6)Hendriks R, Bornstein JC, Furness JB, An electrophysiological study of the projections of putative sensory neurons within the myenteric plexus of the guinea pig ileum. Neurosci Lett., vol.110(3): pp.286–290 (1990)
doi: 10.1016/0304-3940(90)90861-3
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/2325901/

7)Stach W., Neuronal organization of the myenteric plexus (Auerbach) in the swine small intestine. III. Type III neurons. Z Mikrosk Anat Forsch vol.96(3): pp.497–516 (1982)
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/7148094/

8)Brehmer A, Blaser B, Seitz G, Schrödl F, Neuhuber W., Pattern of lipofuscin pigmentation in nitrergic and non-nitrergic, neurofilament immunoreactive myenteric neuron types of human small intestine. Histochem Cell Biol vol.121(1): pp.13–20 (2004)
DOI: 10.1007/s00418-003-0603-7
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/14663589/

9)Stach W., Neuronal organization of the myenteric plexus (Auerbach's) in the pig small intestine. V. Type-V neurons. Z Mikrosk., Anat Forsch vol.99(4):pp.562–582 (1985)
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/7210798/

10)Kustermann A, Neuhuber W, Brehmer A., Calretinin and somatostatin immunoreactivities label different human submucosal neuron populations. Anat Rec (hoboken) 294(5):858–869. (2011)
https://doi.org/10.1002/ar.21365
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/21416629/

11)John B. Furness . Heather L. Robbins . Junhua Xiao .Martin J. Stebbing . Kulmira Nurgal., Projections and chemistry of Dogiel type II neurons in the mouse colon., Cell Tissue Res vol.317: pp.1–12 (2004)
DOI 10.1007/s00441-004-0895-5
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/15170562/

 

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2025年1月 3日 (金)

マエストロ 高関健

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私は大晦日には「私の紅白歌合戦」が終わると、テレビ東京でオーチャードホールのカウントダウンを見ることにしています。今年はマエストロ高関の指揮でした。彼のサイトを見ると「もうどうでもよくなった」などと書いてありましたが、これは嘘偽りで予想通りぴったり12時に終了。東フィルもいつになく緊張して演奏しているように思いました。
https://www.youtube.com/watch?v=dk930sZPHvU

彼は桐朋で斎藤氏や小澤氏の指導を受け、カラヤンのアシスタントを6年もやっていたという文句なしのエリート経歴の指揮者です。私も数回以上彼が率いる東京シティフィルの演奏を聴いていますが、がっかりしたことは一度もありません。ですが不思議なことにメジャーなオケ(N響・都響・読響・東フィル)を指揮する機会は非常に少なく、カウントダウンへの起用も69才ではじめてだそうです。

都響アーカイヴをみてみると、ここ12年くらいの出演はありません。それ以前の記録を見ると曲目がなんとも地味すぎで、これでは人気がでるわけないと納得させられました。

2012年:北爪道夫:地の風景
北爪道夫:クラリネット協奏曲
リゲティ:ロンターノ
リゲティ:ピアノ協奏曲

2012年:松平頼暁:コンフィギュレーションⅠ、Ⅱ
松平頼暁:オーケストラのための螺旋
ベリオ:協奏曲第2番「エコーイング・カーヴ」(ピアノと2つの楽器群のための)(日本初演)

2007年:間宮芳生:合唱とオーケストラのためのコンポジション第4番 《子供の領分》
小倉 朗:管弦楽のための舞踊組曲
バルトーク:2台のピアノと打楽器と管弦楽のための協奏曲
バルトーク:舞踊組曲 Sz.77

2004年:松平頼則:ピアノと管弦楽のための3楽章
篠原 眞:ソリチュード(孤独)
夏田鐘甲:管弦楽のための音楽《伽藍》
吉田隆子:組曲《道》 (1948)
倉知緑郎:バレエ音楽《天使たちは正しい》

2003年:鈴木博義:モノクロームとポリクローム
武満 徹:ソリチュード・ソノール
福島和夫:月魄
呉 泰次郎:ヴァイオリン協奏曲第3番 ロ短調 《花》
黛 敏郎:音楽の誕生

こんなカルト企画をホイホイ引き受けていたのが問題だったのでしょう。都響が日本の楽壇にいい顔ができるように利用されたのかもしれません。現在ではほとんど演奏されない曲ばかりです。もちろん選曲にはマエストロもかかわっているでしょうから、自らの責任もあるのでしょうが・・・。

マエストロ高関は野鳥の愛好家でⅩにたくさんの鳥の写真の投稿があります。
https://x.com/KenTakaseki?ref_src=twsrc%5Egoogle%7Ctwcamp%5Eserp%7Ctwgr%5Eauthor

もう年も年だし、シティフィルの若者たち(↓)とガヤガヤ楽しく音楽を作っていった方が彼も幸福なのではないかと思います。そうそう、静響の首席もやっているのですが、こちらも若手の団員が多いですね。

Ndvn

 

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2025年1月 1日 (水)

謹賀新年

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https://www.youtube.com/watch?v=hwNjSyfovio

このブログのアドレスが変わりました

http → https となりました

本年もよろしくお願い申し上げます

 

 

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