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2024年12月26日 (木)

2024 私の紅白歌合戦

寒さ厳しきおりから読者の皆様にはお元気でお過ごしでしょうか? 

今年も1年お付き合いくださいまして誠に有難うございます。できればこの年末用セットリストにもお付き合いくださるとうれしく存じます。私は毎年このセットリストを作成して、NHK紅白歌合戦の時間に裏番組として楽しんでおります。YouTube にアップしてくださった方々に感謝致します。

このあと、お正月までのしばしの間お休み致します。
では皆様 良いお年をお迎えくださいませ。

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1M もしも僕に / 優里
https://www.youtube.com/watch?v=HTnmJATscdU

柏駅のデッキにて

1F やさしさに包まれたなら / M'size
https://www.youtube.com/watch?v=C2ldDYn5wlk

この声好き

2M サマーバケーション / 村田和人&竹内まりや
https://www.youtube.com/watch?v=FvATwshC4B8

最近の歌にはペーソスが欠乏していると思います

2F 思い出のサントロペ / 奥田晶子
https://www.youtube.com/watch?v=nONcKvGq17k

昔NHK紅白歌合戦では必ずシャンソンもセトリにはいっていました

3M 愛にできることはまだあるかい / Radwimps
https://www.youtube.com/watch?v=EQ94zflNqn4

体にじわじわ浸透してくる感じ

3F 終止符(ピリオド)/ 保科有里
https://www.youtube.com/watch?v=JIM8Hl5buvY

あの夢グループの保科有里

4M 壊れかけの Radio / 徳永英明
https://www.youtube.com/watch?v=C7QVaahn44A

古い記憶がよみがえる

4F 誰がために鐘は鳴る / まきちゃんぐ
https://www.youtube.com/watch?v=BtuSpn1h9z4

天才シンガーソングライター 

5M Elton John - I'm Still Standing
https://www.youtube.com/watch?v=ZHwVBirqD2s

私もまだ立ってるよ

5F Vivo per Lei - カレッタとマーク・アンドレ
https://www.youtube.com/watch?v=k0QvkOPpN_4

コントラバスと美声のナイスコラボ

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6M タンホイザー ピルグリムコーラス DRSO DR Koncertkoret Lawrence Foster
https://www.youtube.com/watch?v=fjD126tBlnQ

特に後半の女声コーラスが圧倒的

6F カッチーニのアヴェ・マリア エリーナ・ガランチャ
https://www.youtube.com/watch?v=iNaEpmNqeQY

世界で最も美しい声

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7M そしてイニエスタ 森山直太朗
https://www.youtube.com/watch?v=mAsgJnvVgK8

昔のバルサはよかった などと言いたくなります

7F ハムカツサンド 鈴木亜紀
https://www.youtube.com/watch?v=_XsOfMc4qUs

さすらいのシンガーソングライター

8M ビッグスカイ 中川五郎
https://www.youtube.com/watch?v=Qnu9Ms6FiZg

素晴らしい辞世の歌

8F 銀座カンカン娘 蜜
https://www.youtube.com/watch?v=6hgUGbZpwEI

私の親の世代の曲 よく選曲しましたね

9M SMILE〜晴れ渡る空のように〜 桑田佳祐
https://www.youtube.com/watch?v=HcaMkpdkN_4

是非国民栄誉賞を彼に

9F 桜坂 熊木杏里
https://www.youtube.com/watch?v=3A24G0ffclQ

ティーンエイジャーの頃の映像

10M レンガ通り 村下孝蔵
https://www.youtube.com/watch?v=ak9QPtAqHgU

つらく短い人生 安らかに眠れ

10F 池上線 西島三重子
https://www.youtube.com/watch?v=IsB7jJS49tQ&list=RDIsB7jJS49tQ&start_radio=1

なんと年末に交通事故とは(頭蓋骨・仙骨骨折) ご恢復を祈っております

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11M いつの日にか 矢沢singバラード企画
https://www.youtube.com/watch?v=j8XfhkDzn8E

やってくれますねえ

11F The way we were   Lucy Thomas
https://www.youtube.com/watch?v=fduZDYKFl04

ルーシーのYouTubeサイトにはフォロワーが100万人以上いるそうです

12M 光と影の季節 浜田省吾
https://www.youtube.com/watch?v=HHs5pX__DKo

昭和のヒーロー

12F Memories 森高千里
https://www.youtube.com/watch?v=duc81YNX6kM

昭和のヒロイン

13M Nothing's Gonna Change My Love For You - Music Travel Love ft. Bugoy Drilon
https://www.youtube.com/watch?v=bTCJ2ehryj8

世界を旅する歌人

13F ロビンソン 絢香
https://www.youtube.com/watch?v=U8HT8JuLS1M

ステージバージョンよりいい感じ

14M W/Ⅹ/Y Tani Yuuki
https://www.youtube.com/watch?v=mp2-w15SXms

私にもわかる音楽

14F シンクロニシティ― 竹内まりや
https://www.youtube.com/watch?v=yUcRcr0qlxg

達郎は下を向いて顔が映らないようにしている なぜ?

15M Let it be 林芳正
https://www.youtube.com/watch?v=kfsv8msCRfQ

官房長官

15F 私は風 中森明菜
https://www.youtube.com/watch?v=fi25Q-PtVdk

至宝

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おしまい

 

 

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2024年12月24日 (火)

続・生物学茶話256: 蠕動運動

「続・生物学茶話252: 腸神経」で、ヤツメウナギの腸神経は脳脊髄神経とは別の場所に発生の起源をもち、独立に働くというグリーンらの仕事を紹介しました(1)。マウスでは迷走神経堤から発生した脳脊髄神経が腸にも伸びてきて、腸神経と二重に腸を制御することになり制御の様式が複雑になりました(1)。しかし腸の蠕動運動そのものは、1917年にトレンデレンブルクが「モルモットの腸を切り出し内部に圧力をかけると試験管内で何時間でも蠕動運動を行う」ということを実験で示して、腸の基本的活動が中枢神経系とは独立に行われ得ることがわかっています(2)。この論文は2006年に復刻出版されています(3)。さらに21世紀にも追試されて確認されています(4)。

脊椎動物が地球上に生まれる前から存在していたに違いない腸神経が、脳脊髄神経系と比較してどんな特徴を持っているかは非常に興味深く感じられますが、とりあえずそれはさておいて、Sharkey と Mawe が作成した腸内部の表面から筋層に至るまでに存在する組織・細胞のイラスト(管理人が日本語で加筆)を図256-1に示します。上皮細胞についてはすでに「続・生物学茶話253: 腸を構成する細胞」で説明しておりますので興味ある方はご覧ください(5)。

上皮と接する皮下組織は上皮細胞からの情報を神経末端が受け取る重要な場所であり、また様々な免疫細胞が感染を防ぐために活動する場所でもあります。平滑筋は3層あり、腸を口方向-肛門方向に伸長・収縮させる筋と、腸の内径を大きくしたり小さくしたりする筋があります。真ん中の筋層が後者であり、上下の筋層が前者です。真ん中の筋層より上皮に近い方の皮下組織を粘膜下層と呼び、その内部に粘膜下神経叢(マイスナー神経叢)があります。それより筋層を経て内部に筋層間神経叢(腸管筋神経叢・アウエルバッハ神経叢)があります。実際には神経叢があるスペースはこの模式図よりずっと狭いのですが、便宜上広く描いてあります(図256-1)。

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図256-1 腸管縦断面

ところで腸神経に興味を持って調べていたところ、実は消化管の蠕動運動は神経がなくても可能で、心臓のように非神経性のペースメーカーがあってそのリズムによって制御されているそうです(6、7)。そのペースメーカーはカハールの間質細胞(Intersti-tial cells of Cajal : ICC)という名前の、カハールがおそらく19世紀に発見した細胞で(正確な年代は不明)、主に筋層間神経叢(myenteric plexus)と重なる位置に存在します。図246-1には描いてありません。この細胞は細胞膜のレセプター型チロシンキナーゼであるC-KITを発現しているので、現在ではこれをマーカーとして同定できます(8)。福井大学医学部解剖学教室のホームページに美しい写真が掲載されていました(9、図256-2)。

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図256-2 マウス筋層間神経叢領域のカハール間質細胞=カハール介在細胞(緑)とニューロン=消化管神経叢(赤)

カハールの間質細胞は場所によっては神経叢のニューロンより圧倒的に稠密に存在しています(図256-2)。この細胞群は相互におよび平滑筋細胞とギャップ結合を形成しており、シナプスを介さず興奮を伝えることができます。活動電位発生のメカニズムは、中村らによるとミトコンドリアのプロトンポンプの活動がカルシウムイオンの濃度変化をもたらし、最終的に細胞膜のカルシウム感受性イオンチャネルが活性化されて電位変動が引き起こされることによるとしています(10)。

カハール間質細胞はC-KITを発現していると述べましたが、C-KITが欠損するとマウスは体毛・色素細胞・赤血球・マスト細胞・生殖細胞を欠損し生まれることができません。そこでC-KITヘテロのマウスとC-KITの細胞外領域だけが正常であるマウスをかけあわせた変異マウスを作成すると、粘膜下神経叢領域にはカハール間質細胞が存在するが筋層間神経叢領域には存在しないというマウスが生まれました。このマウスではペースメーカーがつくる規則的な電位変化はみられず規則的な腸の運動はおこりませんでしたが、不規則な運動は発生しました(7、11)。このことから確かに筋層間神経叢領域のカハール間質細胞はペースメーカーの役割を果たしていると思われますが、ペースメーカーがなくても腸が活動を停止するわけではないことがわかりました。粘膜下神経叢領域のカハール間質細胞が何をやっているかは不明です。もちろん腸の活動は消化すべき食料が中に存在するかどうかによって左右されるわけで、それは腸神経によって go or stop が制御されています。

このように考えると、腸の蠕動運動という観点から図256-3のような腸の進化が考えられます。口-腸-肛門という3点セットが整備されて腸の筋肉が活動するようになって、はじめて大型の餌を食べることができるようになります。さらに餌があるときだけ腸を活動させることによって効率的な消化ができるようになります。5を行うためには脳脊髄神経系の支配をうけなければなりませんが、これは明らかにカンブリア紀になってからの進化です。

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図256-3 蠕動運動から見た腸の進化

図256-3のなかで4までは先カンブリア時代においても、かなり進化することによるアドバンテージがあると思われます。ですからおそらくカンブリア紀の入り口までに、私たちの祖先生物では4まで到達していたと想像できますがどうでしょうか。5を行うためには脳脊髄神経系の支配をうけなければなりませんが、これは戦闘や逃亡が必要になったカンブリア紀になってからの進化でしょう。

腸の蠕動運動という観点とは別に、免疫や共生細菌という観点からの進化もあるので、これらは別途考えなければなりません。


参照

1)続・生物学茶話252: 腸神経
https://morph.way-nifty.com/grey/cat5925431/index.html

2)Trendelenburg P. Physiological and pharmacological investigations of small intestinal peristalsis. Translation of the article “Physiologische und pharmakologische Versuche uber die Dunndarmperistaltik”, Arch. Exp. Pathol. Pharmakol. vol.1, pp.55-129, 1917.

3)Trendelenburg, P. Physiological and pharmacological investigations of small intestinal peristalsis. Naunyn Schmied Arch Pharmacol vol.373, pp.101?133 (2006). https://doi.org/10.1007/s00210-006-0052-7
https://link.springer.com/article/10.1007/s00210-006-0052-7#citeas

4)Dominik Schreiber, Viktor Jost, Michael Bischof, Kristina Seebach, Wim JEP Lammers, Rees Douglas, Karl-Herbert Schafer, Motility patterns of ex vivo intestine segments depend on perfusion mode., World J Gastroenterol vol.20(48): pp.18216-18227 (2014)
DOI: 10.3748/wjg.v20.i48.18216
file:///C:/Users/Owner/Downloads/Motilitypatternsofexvivointestinesegmentsdependonperfusionmode.pdf

5)続・生物学茶話253: 腸を構成する細胞
https://morph.way-nifty.com/grey/2024/12/post-973808.html

6)Malysz J, Thuneberg L, Mikkelsen HB, Huizinga JD. Action potential generation in the small intestine of W mutant mice that lack interstitial cells of Cajal. Am J Physiol. vol.271: G387-G399 (1996)
DOI: 10.1152/ajpgi.1996.271.3.G387
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/8843760/

7)Dickens EJ, Hirst GDS, Tomita T. Identification of rhythmically active cells in guinea-pig stomach. J Physiol(Lond) vol.514, pp.515-531, (1999)
doi: 10.1111/j.1469-7793.1999.515ae.x.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/9852332/

8)Yu Chen, Tambudzai Shamu, Hui Chen, Peter Besmer, Charles L. Sawyers, Ping Chi, Visualization of the Interstitial Cells of Cajal (ICC) Network in Mice., J.
Vis. Exp. (53), e2802, doi:10.3791/2802 (2011).
https://www.jove.com/video/2802

9)福井大学医学部解剖学教室HP カハール介在細胞 ICC: interstitial cells of Cajal
https://www.med.u-fukui.ac.jp/laboratory/anatomy/icc/

10)中村江里 他 胃平滑筋の自発活動発生機序 日薬理誌(Folia Pharmacol. Jpn.)vol.123, pp.141-148 (2004)
https://www.jstage.jst.go.jp/article/fpj/123/3/123_3_141/_pdf

11)高木都 魅力ある講義と生理学教育(消化器)テーマ:消化管運動の発生機序並びに自律神経性制御 日本生理学雑誌 vol.68(7・8) pp.253-261, 2006
https://cir.nii.ac.jp/crid/1010282256961623048
http://physiology.jp/wp-content/uploads/2014/01/068070253.pdf

 

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2024年12月22日 (日)

井上道義 最後のオペラ

今日(12月22日 日曜日)午後九時から 井上道義 最後のオペラ
プッチーニ作曲「ラ・ボエーム」が Eテレで放映されます
彼はきちんと指揮ができているうちに引退したいというダンディな指揮者です

Yahoo News
こちら

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指揮:井上道義
演出・振付・美術・衣裳:森山開次
出演

ミミ:ルザン・マンタシャン
ロドルフォ:工藤和真
ムゼッタ:イローナ・レヴォルスカヤ
マルチェッロ:池内響
コッリーネ:スタニスラフ・ヴォロビョフ
ショナール:高橋洋介

私の最も好きな歌です
ミレッラ・フレーニの「私の名はミミ」

1965年のスカラ座映像
https://www.youtube.com/watch?v=yTagFD_pkNo

東京のコンサートにて(年不明)
https://www.youtube.com/watch?v=hGO5fEfrHEU

 

井上道義 このダンディな指揮ぶりを見よ
https://www.youtube.com/watch?v=D4lEJQGQ8oI


https://x.com/daibutsumichiko
https://x.com/michiyoshi_web/status/1860682554791325970

FB
https://www.facebook.com/michiyoshi.inoue.jp/?locale=ja_JP

番外編 のんちゃんとコロナ
https://www.youtube.com/watch?v=dP1zUgIn4tk

私としては 彼の指揮者としての最後の年に LvB「田園」交響曲を都響の
演奏で聴けたのはよい思い出になりました 2019年にミューザ川崎で
ブルックナー交響曲第8番を聴けて、かつ若い頃の思い出話を聞けたのも
心に残っています といっても彼の思想にはついていけませんが💧


 

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2024年12月21日 (土)

ペリー来航の絵に寄せて

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ペリー来航の絵(ヴィルヘルム・ハイネ) ウィキペディアより

ペリーが1854年に日本に来航し久里浜に上陸したときの絵は有名で、ほとんどの日本人が見たことがあると思いますが、とても精密に描いてあってまるで写真のようです。いったい誰が描いたのだろうかという疑問を抱きました。調べてみるとそれはヴィルヘルム・ハイネという人だそうです(1)。ローレライの歌で有名なあの詩人ハイネとは別人です。

彼はドレスデンの生まれで当地で育ち、絵画や建築の勉強をしていましたが、成人になる頃(1849年)ドレスデン5月蜂起という民主派vs王政派の歴史的戦闘があって、彼は民主派として友人の音楽家ワーグナーやすでに革命家として有名であったバクーニンらと共に戦いました。民主派は敗北し、ハイネはワーグナーと共にパリに亡命し、さらにアメリカ合衆国に渡りました。ここで中米外交官の仕事を得て、大統領とも知り合いになり、ペリーに随行して日本遠征に加わることになりました。

私はペリーは太平洋を横断して日本にやってきたとばかり思っていましたが、それは間違いで彼らは大西洋を横断し、アフリカ大陸の南端を回ってインド洋経由で日本にたどり着いたそうです。燃料の確保に不安があったようです。ハイネはその後も何度も江戸時代の日本にやってきて、3度目の1860年には、シベリアの監獄から脱出して日本に来ていた旧友のバクーニンにも横浜で会っています。バクーニンとハイネはおそらく太平洋経由で米国に渡航し、バクーニンはさらに中米経由で欧州に帰りました。

私が見た中で最も印象深い映画の一つである 篠田正浩監督 イアン・グレン&本木雅弘主演 の「スパイゾルゲ」というのがあります(2)。ゾルゲは日本のドイツ大使館にスタッフとして潜り込み、日本とドイツの情報を得ていました。この映画のなかで、ゾルゲの上司がバクーニン派だったために粛清されて、ゾルゲはスパイでありながら故国ロシアに帰国できなくなったという話を思い出しました。ゾルゲはその正体が露見して政府によって処刑されましたが、墓は多磨霊園にあります(3)。愛人であった石井花子が戦後、雑司ヶ谷で白骨になっていたゾルゲの死体を探し当て、多磨霊園に改葬したそうです(4)。

e-徒然草にあった石井花子の画像

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1)ウィキペディア:ヴィルヘルム・ハイネ(Peter Bernhard Wilhelm Heine)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%B4%E3%82%A3%E3%83%AB%E3%83%98%E3%83%AB%E3%83%A0%E3%83%BB%E3%83%8F%E3%82%A4%E3%83%8D

2)映画「スパイ・ゾルゲ」予告
https://www.youtube.com/watch?v=vzSLe58G6FY

3)リヒャルト・ゾルゲ:伝説のスパイの足跡を訪ねて
https://www.nippon.com/ja/guide-to-japan/gu007005/

4)石井花子
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%9F%B3%E4%BA%95%E8%8A%B1%E5%AD%90


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ふむふむ 寒い寒い 丸まって寝よー

 

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2024年12月19日 (木)

来年もまたコメ不足騒ぎが起きるのか

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今年の9月にはわが国でコメがないという事態が発生しました。秋田県大潟村のリーダーである涌井徹氏(1)は、米を作る農業従事者が十数年後には現在の百三十万人から三十万人まで減少すると注意を促しています。またコメ不足の原因は50年以上続いた政府の減反政策が、農家の営農意欲を減退させたことにあると指摘しています。

ともかく主食くらいは自国で生産しなければ乞食国家になってしまいます。この人手不足は数年以内に何とかしなければ大変なことになるので、外国人の移住促進しか方法はありません。

これには反対する人々もいますが、たとえばラグビーの日本代表チームのメンバーをみてください(2)。どこの国のチームかわからないくらい外国系の選手満載です。それで不祥事など起きていません。日本の国技である大相撲はかなり前からモンゴル人によってささえられていますし、野球・サッカー・卓球・バスケ・陸上みんな外国系の人々によってささえられています。農業がそうなっても不思議はないでしょう。


1)ウィキペディア:涌井徹
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B6%8C%E4%BA%95%E5%BE%B9

2)ラグビー日本代表
https://www.rugby-japan.jp/japan/member/

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コメ食べないからって爆睡はないだろう 話くらい聴けよ・・・

 



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2024年12月15日 (日)

カスハラより100倍も重要な問題

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それは ダメ 💢💢

@nifty News
まさに泥棒に追い銭!「イオンカード」が不正利用被害で利用停止後も狙われ続ける驚きの理由
https://news.nifty.com/article/domestic/society/12311-3652075/

このブログに11月26日付でメールポストのジャンク化について記事を書きましたが
https://morph.way-nifty.com/grey/2024/11/post-d248b2.html

そのなかにはイオンを装った偽メールもありました。マスコミは今カスハラがどうのこうのと言っていますが、その100倍も問題なのは企業がカスタマーと直接対応するのを嫌って、まともに電話で対応するのを逃げていることです。メール対応だと返事をしなければいいのですから企業は楽なものです。返事をしたところで木で鼻を括ったような感じて、「ともかく返事はしたよ」では困ります。私自身もある企業の日本支店と10回くらいメールのやり取りをしても全くらちが明かず、ドイツの本店とやりとりして初めて向こうが陳謝したということがありました。

今回のようなカード不正利用のケースでは、イオンなど誰でも利用する一流企業からのメールが一番危険なので、最低でも電話対応は必須です。勝手にイオンカードで買物されて、「解約しようとしてもなかなか対応してくれないのでどんどんその間にも買い物をされてしまう」という地獄のような状況のようです。窓口対応だと胸倉つかまれても不思議ではありません。そのくらいの恐怖感がないと企業はカスタマーに対してまともに対応しようとしません。もしクレーム用有人窓口があれば、おそらくその日のうちに解約できたのではないかと思います。人が押しかけて騒ぎになるので、無理してもそうするでしょう。

ですから企業のクレーム対応が悪すぎる&遅すぎる方に問題があると言いたいのですが、それはそれとして企業も犯罪者のせいで迷惑を受けているわけですから、一番悪いのはその犯罪者、その次に悪いのは偽メールを取り締まらない警察です。そして経済活性化のためとか言って、個人情報のパブリック化を事実上推進している役所にも責任があります。企業に対してカスタマーは圧倒的に弱い立場にあるということも、役所やマスコミに認識してもらわなくては困ります。

 

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2024年12月13日 (金)

続・生物学茶話255: 腸の起源をさぐる

ヒトが分類学上所属するアモルフェアというスーパーグループの生物はすべて従属栄養です(1)。すなわち光合成ができないのでエネルギーを得るには餌を食べるしかない、いわば他の生物に依存する寄生的生物といっても良いかもしれません。そういうやり方で生きるためには、有機物を体に取り込むことが必要です。取り込む方法にはあまりバラエティーはなくて3種類しかありません。それは・・・

A.糖やアミノ酸をトランスポーターを使って細胞膜を透過させ、細胞内に取り込む
B.細胞膜で餌を包み込み、包みの中のpHを下げて餌を分解して栄養物質を得る
C.細胞外に消化酵素を分泌して餌を分解し、1)または2)の方法で栄養物質を細胞内に取り込む

Aは私たちも含めてすべての従属栄養生物が行っている方法です。つまりこれを行うための遺伝子やメカニズムは10億年レベルで保存されています。しかし1)の方式では低分子レベルのものしか取り込めないので得られるエネルギーは少ないのが欠点です。Bの方式はかなり複雑で、実行するためにはいくつかの新機軸が必要です。まず細胞膜で餌を包み込むメカニズムを開発しなければなりません。次にとりこんだ包みの内部で消化を行わなければいけません。消化酵素を投入したいのですが、包みの中には遺伝子がなくDNAから情報を得て酵素を合成・調達することはできません。かと言ってもとから消化酵素があれば自分が消化されてしまいます。

そこで普段は不活性な酵素をあらかじめ用意しておいて、包みの中のpHを下げることによって活性化するというメカニズムを開発した生物がいて、その方式を連綿と受け継いでいる子孫の一種が私たちであるわけです。単細胞生物のゾウリムシなどもすでにこのメカニズムを獲得していて、餌を食胞(food vacuole)にいれて内部のpHを下げ消化するということをやっています(2、3、図255-1)。

図255-1を見て、ゾウリムシが cytoproct=細胞肛門という構造を持っていることに気が付き、知らなかったのでちょっとびっくりしました。彼らはもちろん腸はもっていませんが、食胞の通路というのは多分あるのだと思いました。

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図255-1 ゾウリムシ

Bの方式を採用することによって、Aだけの場合とくらべて細胞はサイズを1000倍くらいの体積に拡大することができました。それが真核生物の細胞の普通のサイズです。ゾウリムシは単細胞ですが、私たちの体の細胞よりずっと大きく大腸菌の体積の10万倍以上あるでしょう。Bの方式は餌を消化するだけではなく、真核生物にとって有害な細菌やウィルスを取り込んで無害化するという目的のためにも用いられるようになり、私たちの場合はむしろそちらの方がメインになっています。

Cの方式はおそらく単細胞生物で成功した者はいません。多細胞生物となって腸を形成し、その中に消化酵素を分泌することによって実現することができます。単細胞生物だと外に消化酵素を出しても普通は拡散してしまうので非効率です。ここに腸の存在意義があります。生物学でいう動物すなわちメタゾア(後生動物)はすべて多細胞生物ですが、これと最も近縁な単細胞生物が襟鞭毛虫です。私たちの精子とよく似た生物ですが、彼らは鞭毛の周りに立てた襟のような構造物を持っていて、なかには立襟鞭毛虫と呼んでいる人々もいます(4)。立襟のなかに餌を集めて細胞に取り込みます。ここに消化酵素を放出して消化するという報告はないので、おそらくC方式はやっていないのでしょう。

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図255-2 襟鞭毛虫

襟鞭毛虫は本来単細胞生物には必要がなさそうなカドヘリンという細胞接着に必要な物質や、他の細胞に情報を伝えるためのシグナル伝達因子を持っており(4)、多細胞生物まであと一歩というところまできているような生物です。実際に群体のような形をつくることもあるようです(5、図255-2)。横につながることができれば円をつくることができ、円を重ねると竹輪型の構造を形成することができます。それはもう腸の原型でしょう。彼らは約2万個の遺伝子を持っており、これは人の遺伝子数約2万6千にかなり近い数です(4)。

初期の海綿動物は骨格(炭酸カルシウムやシリカからなる)を持たなかったと思われるので、化石としては残りにくいですが、わずかな骨格を持つものがエディアカラ紀の地層からみつかっています(6、7)。おそらく最初は襟鞭毛虫の群体から進化したと思われます。シンプルなタイプの海綿の細胞(襟細胞)は襟鞭毛虫と酷似しています。現在は図255-3に示されているように、シンプルなタイプから、非常に複雑な構造を持つタイプまでバラエティーに富む種類が繁栄しています(8)。

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図255-3 海綿動物

どのタイプも体の中心にアトリウムというパイプ状の構造を持っていますが、これはある意味腸とも言えます。ただ栄養は大部分水流がここに来るまでの細管で吸収されると思われるので、この部分の主な役割は排出腔であり、外界に開けた大孔は肛門と言えます(図255-3)。細胞が力を合わせて一定の方向に水流を作って餌を集めるのは効率的であり、また細胞が集合することによって繁殖も容易になります。集合することによる排出物の集積というデメリットはアトリウムと大孔をつくることによって解決しました。このボディープランは海中のプランクトンを餌として生きていくには大変優れたものであったに違いなく、だからこそ5億年以上前から現在に至るまで生き残って繁栄しているのでしょう。

先カンブリア時代において、海綿動物とは異なるボディープランを選択したなかに刺胞動物があります。クラゲの化石は割と多くエディアカラ紀の地層から見つかっています。しかし一部のクラゲは最近の研究では左右相称動物に近く、始原的な刺胞動物はサンゴの仲間だと考えられています(9)。サンゴの縦断面を図255-4に示しました(10)。

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図255-5 刺胞動物(サンゴ)

刺胞動物の体の構造を見る前に、ひとつ不思議なことがあります。それはほどんどの刺胞動物が刺胞(9、図255-4)という銛(モリ)のような高度な武器を持っていて、この中に毒を仕込んで餌の動物を麻痺させて取り込むという先カンブリア時代としては信じがたいほど特殊な進化をとげているということです。このことはこのような特殊な武器を持たない種は生き残ることができなかったということを意味します。

図255-4に示したように、刺胞動物は胃腔(stomach) を持っていて、これが海綿動物のアトリウムと異なるのは水流が双方向だということです。すなわちこの胃腔の出入り口となる孔は口であり肛門でもあるということです。細いパイプを通る餌を取り込む海綿の襟細胞とちがって、この広大な胃腔の餌を取り込むのは効率が悪く、また生きたままの生物を消化するのは時間がかかります。逃げられる恐れもあります。麻痺させるか殺せばトラップは完全で消化の効率も上がるので、刺胞を持つことが生存の絶対条件になったのだと思われます。いったん刺胞を獲得すれば、大きな胃腔は大きな餌をトラップすることが可能になるのでむしろメリットとなります。それにしても先カンブリア紀のクラゲはどんな餌を食べていたのでしょうか? それとも刺胞はカンブリア紀になってからの新種が獲得したもので、それ以外の刺胞を持たない刺胞動物は全部絶滅したのでしょうか?

水流を反対方向に切り替えるには細胞を協調させるメカニズムや、胃壁を動かす筋肉が必要となります。このことが神経や横紋筋の進化に貢献し、ひいては左右相称動物が出現する伏線になったのでしょう。海綿動物や固着性の刺胞動物が海底に豊富に存在することも、もちろん海底を移動して餌を探す左右相称動物が出現する前提でもあります。

 

参照

1)続・生物学茶話254: 動物分類表アップデート
https://morph.way-nifty.com/grey/2024/12/post-a39dd7.html

2)川島祥二、原田恵、菊池嘉子 ゾウリムシにおける食胞形成 連鎖菌と栄養物質 茨城大学教養部紀要(第30号)pp.61-71
file:///C:/Users/Owner/Downloads/CSI2010_1856-1.pdf

3)Wikipedia: Paramecium
https://en.wikipedia.org/wiki/Paramecium

4)隈恵一ほか 単細胞生物から動物への進化を探る
https://www.nii.ac.jp/userimg/openhouse/2010/202_kuma.pdf

5)Wikipedia: Choanoflagellate
https://en.wikipedia.org/wiki/Choanoflagellate

6)Wang, X., Liu, A.G., Chen, Z. et al. A late-Ediacaran crown-group sponge animal. Nature vol.630, pp.905–911 (2024). https://doi.org/10.1038/s41586-024-07520-y
https://www.nature.com/articles/s41586-024-07520-y

7)Nature ハイライト 古生物学:先カンブリア時代の海綿動物の証拠
https://www.natureasia.com/ja-jp/nature/highlights/127066

8)Nelly Godefroy, Emilie Le Goff, Camille Martinand-Mari, Khalid Belkhir, Jean Vacelet, et al.. Sponge digestive system diversity and evolution: filter feeding to carnivory. Cell and Tissue Research, vol.377 (3), pp.341-351. (2019) doi: 10.1007/s00441-019-03032-8
https://link.springer.com/article/10.1007/s00441-019-03032-8

9)Wikipedia: Cnidaria
https://en.wikipedia.org/wiki/Cnidaria

10)Wikipedia: Coral
https://en.wikipedia.org/wiki/Coral

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2024年12月10日 (火)

World music collection 22: Nara Sisters

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Let's listen to nara sisters!  How do you feel mina?

According to their self-introduction (1), "Nara sisters" is a unit of genetically real sisters, though they don't resemble each other. Previously they started their activities independently, but recently they resumed the new activity together as "nara sisters" .

1) Self-introduction (in Japanese)
https://www.youtube.com/watch?v=fcuBF40mH2s

For the first time, I recommend you the song written by Yuming
"Anniversary - infinitely calling you"

Now, I'm walking with you.
We have overcomed the difficulties of our younger days.
At this moment, I feel the sunshine penetrates infinitely.
Of course this morning is a usual morning.
But I feel today is the aniversary for me.

https://www.youtube.com/watch?v=WEmTXol3CN4


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Another song by Yuming  if you like

Hello, my friend (covered by Nara sisters)
https://www.youtube.com/watch?v=JdBX-enmMtk

Hello, my friend (original MV by Yuming)
https://www.youtube.com/watch?v=K6dmZhdCYs0

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Last Christmas / Wham! in English
https://www.youtube.com/watch?v=B645hvE0VXw

Santa claus is coming to town in English & Japanese
https://www.youtube.com/watch?v=ua5ohJCXkiY

雪のクリスマス (Christmas in snow) / DREAMS COME TRUE
https://www.youtube.com/watch?v=hC7FRs3Lp_U

メリクリ / BoA
https://www.youtube.com/watch?v=LTA2d_pk6Os

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粉雪 / レミオロメン
https://www.youtube.com/watch?v=XMYFxptlr9c

マカロニ / Perfume
https://www.youtube.com/watch?v=l1MKrAN8Qvk

再会 / LiSA×Uru
https://www.youtube.com/watch?v=lwKbANKHZzY

冬のうた / Kiroro
https://www.youtube.com/watch?v=fdTlfZdACPM

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オリビアを聴きながら / 杏里
https://www.youtube.com/watch?v=KAXFkDbX5lc

ロビンソン / スピッツ
https://www.youtube.com/watch?v=G3IiXVyY09E

夏の終わりのハーモニー / 井上陽水×安全地帯
https://www.youtube.com/watch?v=I01fAOJP2K0

レイニーブルー / 徳永英明
https://www.youtube.com/watch?v=WDrYN-Quv1g

メロディー / 玉置浩二
https://www.youtube.com/watch?v=SXDDKZ2jBL4

桜 / コブクロ
https://www.youtube.com/watch?v=LAdMq_QRKWU

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Original songs:

White Season
https://www.youtube.com/watch?v=_O3Oo-l49yM

Under The Sky
https://www.youtube.com/watch?v=13pvVnKegfM

 

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2024年12月 7日 (土)

続・生物学茶話254: 動物分類表アップデート

分類学は私にとって親密なジャンルではありませんが、生物学に関心を持つ者には避けて通れない基礎知識です。普段見かけないような体長1mm位の線虫が実は地球上に3億トンも居たりするので、あなどれません(1)。

線虫はまだ脊椎動物に寄生するので、鮮魚をさばく人ならアニサキスはみたことあるでしょうし、犬を飼っている人はフィラリアには関心があるでしょう。しかしヒトの食料にはならない生物に寄生する生物や、海底の砂のすきまにいる微小生物、海にいることはわかっていても採集は不可能で、ガラス板を沈めておくとそこにくっつくのでみつかる平板動物などというのもいて(2)、現代は人の活動がもたらした生物大絶滅時代であるにもかかわらず、次々と新種がみつかり門レベルの再編成まで行われたりするので、ときどき分類表の知識をアップデートすることは必須です。

本稿はウィキペディアの「動物」という項目の記述をもとに、加筆・編集しました(3)。

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図254-1 スーパーグループ

図1はもっとも大まかな生物の分類表です。生物は非常に早い時期に光合成をする生物と光合成ができない生物に分かれたことがわかります。光合成ができない生物は当然餌を必要とします。光合成をする生物にはバラエティーがあって、炭素源が二酸化炭素だけの生物もあれば有機物を利用する生物もいます。独立栄養生物の中から二次的に従属栄養に転化した生物(TSARの一部)もいるようです。また逆に鞭毛虫のなかには葉緑体を獲得して光合成を営む者もいます。鞭毛虫の一部からアモルフェアというスーパーグループが生まれ、私たちはここに含まれます。

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図254ー2 オピストコンタ

オピストコンタはアモルフェアのなかのひとつのグループで、すべて従属栄養の生物からなります。オピストコンタとは後方鞭毛という意味で、鞭毛を動かして鞭毛がある方と反対側に進むのが特徴です。ヒトの精子も鞭毛のある側と反対側に進みます。単細胞の原生生物、襟鞭毛虫、動物のすべてのほかカビやキノコもオピストコンタに含まれます。メタゾア(後生動物)とは生物学の言葉で、動物のすべてを意味します。同じメタゾアではありますが、有櫛動物(クシクラゲなど)と海綿動物はその他の動物と非常に遺伝子や体の構成が異なっており、エディアカラ紀以前の非常に早い時期に分岐したと考えられています。その後平板動物が分岐し、さらに刺胞動物と左右相称動物が分岐します。私たちはもちろんその左右相称動物(バイラテリア)に含まれます。

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図254-3 バイラテリア

左右相称動物(バイラテリア)は口が先にできる(前口動物)か肛門が先にできる(後口動物)かで大きく2つのグループに分かれます。私たちは後口動物に含まれる生物であり、分類学的にはマイナーなグループです(種の数としては少ない)。それでも私たちを含む脊椎動物は大繁栄しています。

前口動物は脱皮動物と螺旋動物が2つのメジャーグループで、それ以外はとてもマイナーな生物群です。脱皮動物は節足動物門を含み、なかでも昆虫は100万種以上が既知の巨大なグループです。脱皮動物はカンブリア紀から現代までずっとメジャーな生物であり続けています。螺旋動物は最近できた名前で、卵割(初期発生)がらせん状に行われる生物のことを意味します。

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図254-4 螺旋動物

螺旋動物のなかでは軟体動物や環形動物がメジャーな生物です。より専門的な知見に関心がある方は文献(4)などをご覧ください。

ところでこのブログでは今腸関係の話題を扱っていますが、脱皮動物に属するエラヒキムシの形態には興味をそそられます。円筒形の体の中心にほぼまっすぐに口-腸-肛門が配置されていて、まわりを神経・筋肉・皮膚が囲み、その名前に反して鰓はなく、中枢神経や心臓血管系もなく、しかし腎臓・生殖器・腸神経・赤血球・マクロファージはあるという、とてもシンプルな基本形の生物のように思われます(5、図5)。しかもウィキペディアでも指摘しているように、この生物はカンブリア紀に生息していたオットイアとそっくりです(5、図5)。もし私が腸や腸神経の研究をしていたら、是非いじってみたい生物です。

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図254-5 鰓曳動物

 

参照

1)二井一禎 私たちの知らない線虫の世界 農業新時代 vol.1, pp.38-51(2020)
https://www.nippon-soda.co.jp/nougyo/wp-content/uploads/2023/03/001_038.pdf

2)ウィキペディア:センモウヒラムシ
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%BB%E3%83%B3%E3%83%A2%E3%82%A6%E3%83%92%E3%83%A9%E3%83%A0%E3%82%B7

3)ウィキペディア:動物
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8B%95%E7%89%A9

4)矢﨑裕規・島野智之 真核生物の高次分類体系の改訂―Adl et al. (2019) について― タクサ 日本動物分類学会誌 vol.48, pp.71-83 (2020)
https://www.jstage.jst.go.jp/article/taxa/48/0/48_71/_pdf

5)ウィキペディア:鰓曳動物
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%B0%93%E6%9B%B3%E5%8B%95%E7%89%A9#

 

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2024年12月 4日 (水)

真山仁 「地熱が日本を救う」

私たちは地球の表面に住んでいますが、地球は図1の濃い茶色で示してある地殻すなわち卵の殻のような薄い表層部分を除いて、すべて灼熱地獄です。この熱は人類が今の生活を続けるとしても、種の寿命が終わるまで(つまり人類が消滅するまで)使い続けても余りあるくらいのエネルギーを内包しています。そしてその一部は地殻をつきぬけてマグマとして噴出することがあります。

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図1 地球の内部構造 ウィキペディアより(1)

イタリアはヨーロッパの中では火山の国として有名ですが、地熱発電はそのイタリアで1913年に産声をあげました。火山としてはヴェスヴィオとかエトナがよく知られていますが、イタリアの地熱発電銀座はそれらから離れたフィレンツェ近郊のトスカーナ地方にあり、世界最初の地熱発電所であるラルデレロ発電所もここにあります。図2の地域に現在も二十数基が稼働しています(2、図2)。

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図2 ラルデレロの地熱発電所 〈独)エネルギー・金属鉱物資源機構のHPより

しかしそのはるか上を行くのはアイスランドで、必要な電力のほとんどを地熱と水力による発電でまかなっています(3)。それで大量の電力を使用するデータセンターなどを誘致して、世界でも最も豊かな国のひとつになっていて、住みたい国のランキングでもいつもトップクラスです。日本もアイスランドと同じくプレート境界の上にある国で、地熱発電のポテンシャルは高いはずです。

日本でも地熱発電は昭和時代に1時期盛り上がっていたのですが、1997年に新エネ法ができたときに、地熱はなんと新エネルギーからはずされ研究開発も発電所建設もボロボロになってしまいました(4、図3)。当時の役人も国会議員も本当に先見の明がなく愚かだったとしか言いようがありません。

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図3 真山仁 地熱が日本を救う

この状況=地熱暗黒時代が10年以上続いたあと、ようやく2010年になって環境省が国立公園内の地熱開発にゴーサインを出して、少し復活の兆しが見えてきましたが、そのときに2011年の大震災が起きました。福島の原発が爆発し、普通なら東京が住めない場所になるところが、奇跡的な幸運で使用済み核燃料の崩壊を免れ現在に至っています。

現在ではさすがに超党派の地熱発電普及推進議員連盟などもあって、ようやく軌道に乗ってきたようで、1日も早く原発のない日本にしてほしいと思います。原発がある限り、超音速ミサイルで爆破されたら日本はおしまいなので、いくら防衛予算を増やしても国家を防衛する方法はありませんよ。

真山仁さんの小説は昔から好きでよく読んでいたのですが、ニュース23に出演して解説をしていたのでびっくりしました(5)。

参照

1)ウィキペディア:マントル
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9E%E3%83%B3%E3%83%88%E3%83%AB

2)独立行政法人 金属鉱物資源機構 地熱資源情報
https://geothermal.jogmec.go.jp/information/plant_foreign/005.html

3)エコめがね 再エネ電力100%の国、アイスランドの地熱発電所体験
https://blog.eco-megane.jp/%E5%86%8D%E3%82%A8%E3%83%8D%E9%9B%BB%E5%8A%9B100%EF%BC%85%E3%81%AE%E5%9B%BD%E3%80%81%E3%82%A2%E3%82%A4%E3%82%B9%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%83%89%E3%81%AE%E5%9C%B0%E7%86%B1%E7%99%BA%E9%9B%BB%E6%89%80/

4)真山仁 「地熱が日本を救う」 角川学芸出版 p.122 (2013)

5)真山仁 HP
https://mayamajin.jp/index.html

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2024年12月 1日 (日)

続・生物学茶話253: 腸を構成する細胞

私たちの便の成分は80%が水分、残りの20%はぼ1/3づつ食べかす・細菌・腸の粘膜からなります。腸には100兆個の細菌が常時住みついており、この数は人の体を構成する細胞の数より明らかに大きいのです。こんなに細菌まみれの臓器なので、切り取って培養するわけにはいきません。マウスで腸内細菌を枯渇させるような操作を行うと、なんとセロトニンが枯渇するそうです(1)。これはもう正常な動物とは言えません。腸内細菌は私たちにとって大事な共生生物です。とはいっても腸は大量の細菌と常時接触している器官なので、強力な免疫機能を持っており、全免疫細胞の60~70%が腸に存在すると言われています(2)。

腸の粘膜が便として排出されるというのはどういうことでしょうか? 実は腸の細胞(腸管上皮細胞)はかなりのハイペースで入れ替わっており、例えばマウスではその寿命は3~5日です。そのため毎日大量の死細胞が排出されることになります。どうしてそうなるかといえば、粘液などで保護されているとはいえ、腸壁の細胞は脂質やタンパク質を分解する酵素に常時さらされているわけですから、寿命が短いのはやむを得ないのでしょう。

ウィキペディアによると腸は小腸(十二指腸を含む)と大腸(直腸を含む)という2つの部分からなり、小腸は約6m、大腸は約1.5mの長さがあります(3)。まず小腸の構造を見ておきましょう。

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図253-1 腸(小腸)の構造と構成細胞 マクロファージ・樹状細胞(dendritic cell)・T細胞は上皮細胞より内部の結合組織に存在する免疫細胞で、細菌の侵入に備えている細胞群です

図253-1は小腸縦断面の模式図です。無数の凹凸があり、凸の部分を絨毛(villi)、凹の部分を陰窩(crypt)といいます。腸上皮は大部分が腸管側を粘液に覆われたモノレイヤーで、この図には描いてありませんが陰窩の部分だけは細胞が重層化しています。陰窩の一番深部に幹細胞があり、近隣には幹細胞を保護し免疫機能も持つパネト細胞があります(ウィキペディアではパネート細胞となっています、4)。陰窩で幹細胞から生まれた腸上皮細胞は押し出されるように柔毛上部に移動し、頂点に達すると死んで脱落します。その寿命は3~5日と言われています(5)。つまり3~5日かけて陰窩から絨毛の先端まで移動し、そこで剥がれて腸管に排出されます。

腸上皮には幹細胞、パネト細胞、腸上皮細胞以外にも少数ながら数種の細胞が存在し、それらの機能は図253-2にリストアップして示しました。腸上皮には1)栄養や水分をとりこむ 2)消化酵素から組織を守る 3)栄養状態を神経などに伝える 4)細菌や寄生虫から生体を守る など様々な役割があり、それぞれの細胞は分担してその役割を果たしています。

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図253-2 腸を構成する細胞とその機能一覧

腸上皮の機能を研究する上で大きなネックはプライマリーカルチャーが困難だったことです。幹細胞の決定的なマーカーがないことも大きな問題でした。ユトレヒトのニック・バーカーらのグループがGPCR型受容体のひとつである Lgr5 を発現する細胞が腸上皮幹細胞であることをつきとめたことが、腸上皮研究のブレイクスルーになりました(6)。

図253-3右上部の6つ組図は Lgr5 遺伝子に lacZ のレポーターをつけて青色に発色させたもので、小腸・大腸・胃においてこの細胞が陰窩に存在し、特に小腸ではパネト細胞と一つ置きに配置されているという美しい図が得られています。この配置は電子顕微鏡でも確認され、ふっくらとした円錐形のパネト細胞の間に細長い形態の幹細胞が見られます(図253-4)。幹細胞とナース細胞が一つ置きに配置されているような組織は他にはないと思います。

その後 Metcalfe らはジフテリアトキシンを使って Lgr5 発現細胞をすべて殺す実験系を開発し、Lgr5 発現細胞をすべて除去すると放射線照射後の腸上皮再生が起こらなくなることを示し、Lgr5+ 細胞が腸上皮幹細胞であることの補強的証明を行いました(7)。

佐藤俊朗らは Barker らと同じグループですが、幹細胞が Lgr5 を特異的に発現していることを利用して、腸研究者達が永年渇望してきた消化管幹細胞の培養技術を開発し、図253-3下図のようなオルガノイド(3次元の人工的な臓器)をシャーレの中で形成させることによって in vitro で正常な消化器官の機能を解析することが可能になりました(8、9)。

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図253ー3 腸研究の革命的進展を成し遂げた Clevers 研究室のメンバーと業績

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図253-4 腸管上皮幹細胞とパネト細胞の電子顕微鏡写真

ただ腸上皮細胞の寿命はわずか3~5日なので、これを維持するには幹細胞がのべつ幕無しで細胞分裂を行わなくてはならず、常識的にはDNA塩基配列の正確さが短期間で失われると考えられます。これを回避するために、一定の期間が経過すると普段は細胞分裂していない親玉の幹細胞が細胞分裂を行って、この種の高速増殖型幹細胞の補填を行うと考えた方が自然であり、その候補として昔から幹細胞ではないかといわれていた、いわゆる+4幹細胞が挙げられているそうです(10)。

図253-5におもな腸上皮細胞の細胞系譜を示しました。「通常は休止している幹細胞」は間違いなく存在すると思いますが、まだ仮説的なものです。

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図253-5 腸管上皮細胞のターンオーバーを維持するシステム

 

参照

1)Tukuba Journal 2020/11/17 腸内細菌がいなくなると睡眠パターンが乱れる
https://www.tsukuba.ac.jp/journal/medicine-health/20201117200209.html

2)シオノギヘルスケア 人体最大の免疫器官「腸」
https://www.shop.shionogi-hc.co.jp/Reading/Info-immunity_20210423.html

3)ウィキペディア:腸
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%85%B8

4)ウィキペディア:パネ―ト細胞
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%91%E3%83%8D%E3%83%BC%E3%83%88%E7%B4%B0%E8%83%9E

5)金野祐 小腸上皮細胞の細胞寿命を制御する新規因子の探索
上原記念生命科学財団研究報告集, 32 (2018)
https://www.ueharazaidan.or.jp/houkokushu/Vol.32/pdf/report/131_report.pdf

6)Nick Barker, Johan H. van Es, Jeroen Kuipers, Pekka Kujala, Maaike van den Born, Miranda Cozijnsen, Andrea Haegebarth, Jeroen Korving, Harry Begthe, Peter J. Peters & Hans Clevers, Identification of stem cells in small intestine and colon by marker gene Lgr5., Nature vol.449, pp.1003-1008, (2007) doi:10.1038/nature0619 pp.1003-1008
https://www.nature.com/articles/nature06196

7)Metcalfe C, Kljavin NM, Ybarra R, de Sauvage FJ. Lgr5+ stem cells are indispensable for radiation-induced intestinal regeneration. Cell Stem Cell. vol.14(2): pp.149-159. (2014)
doi: 10.1016/j.stem.2013.11.008.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/24332836/

8)Toshiro Sato, Robert G. Vries, Hugo J. Snippert, Marc van de Wetering, Nick Barker, Danie E. Stange,Johan H. van Es, Arie Abo, Pekka Kujala, Peter J. Peters & Hans Clevers, Single Lgr5 stem cells build crypt –villus structures in vitro without a mesenchymal niche., Nature vol.459, pp.262-266 (2009) doi:10.1038/nature07935
https://www.nature.com/articles/nature07935

9)松井伸祐,坂口恒介,岩槻健  オルガノイド培養の課題と展望
研究者目線で語るオルガノイド研究
化学と生物 Vol. 61, No. 4, pp.179-187, (2023)
https://katosei.jsbba.or.jp/view_html.php?aid=1689

10)佐藤卓,樗木俊聡 組織再生を担う腸管幹細胞の維持と機能
生化学 第 93 巻第 4 号,pp. 503‒511(2021)
DOI: 10.14952/SEIKAGAKU.2021.930503
https://seikagaku.jbsoc.or.jp/10.14952/SEIKAGAKU.2021.930503/data/index.html

 

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