ヤマボウシとハナミズキ
団地の隣に空き家があり、誰も建物や植栽など管理していません。大勢人が住んでいる団地の管理も断られるようなご時世なので、空き家なんて放置されるだけの場合も多いのでしょう。そこに普通は落葉する種のはずが、これは常緑性のヤマボウシという珍しい植物が暮らしています(写真)。まだ2メートルくらいの樹高の若い木です。誰も管理していない庭なので、自由にすくすくと生長してほしいと思います。
ハナミズキ(挿入写真)とは花弁の尖端がとがっているかへこんでいる(赤矢印)かの違いがあるので識別は簡単です。それにハナミズキは葉がでていないうちから咲くのに対して、ヤマボウシはきちんと葉が出てから咲くのではっきりとした違いがあります。それにもかかわらず両者の区別に関するサイトがたくさんあるので、むしろびっくり。確かに両者ともミズキ科 Cornaceaeミズキ属 Cornusなので近縁の植物ではあります。
ハナミズキは団地の植栽としてや街路樹としてよく使われ、うちの近所にもたくさんありますがヤマボウシはそれほどでもありません。しかし日本産はヤマボウシの方で、ハナミズキは北アメリカ産の輸入植物です。武蔵大学のサイトの記事に興味深い記述がありました。
引用すると「ハナミズキとヤマボウシは、花がお互いに良く似ています。植物の分類で言えば属が同じなのです。ハナミズキはアメリカ原産、ヤマボウシは日本列島に固有の植物です。なぜ、太平洋を挟んだアメリカと日本とに同じ植物の仲間があるのでしょうか? 実はこの謎の解明に寄与したのがペリーの黒船だったのです。ペリーのアメリカ艦隊には植物学者が乗船していて、黒船が寄航地で植物を採取して標本として持ち帰っていたのです。2次にわたるアメリカの植物調査隊が、黒船に乗船していたことはあまり知られていません。それらの標本を研究したのがエイサ・グレイ博士でした。彼は、標本の同定を通じて、極東アジアの植物とアメリカ合衆国との植物との類似に確信をもったのです。それまで、シーボルトらが著した書物から、その類似性に気が付いてたのです。1846年、1859年に論文を執筆し、アメリカとアジアとの隔離分布に ついて論じたのでした」。つまりこの2種の植物は地球が暖かかった頃(数千万年前)にベーリング海の周辺にあったものが、地球寒冷化と共にアジアとアメリカに南下し、別々の種類になったそうです。
参照
1)住友化学園芸
ハナミズキとは?由来や興味深い逸話とヤマボウシとの見分け方をご紹介
https://www.sc-engei.co.jp/gardeningbeginner/column/029
2)広島大学デジタルミュージアム
アメリカヤマボウシとヤマボウシの見分け方
こちら
3)武蔵大学 ヤマボウシとハナミズキは兄弟
https://www.musashi.ac.jp/kisokyoiku_blog/20130630_04.html
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