マエストロ井上道義 都響最後の演奏会
とても素晴らしいデザインのフライヤーだと思います。
月刊都響の記事に「都響副指揮者時代(1970年9月~ 1972年3月)以来、長年にわたり、定期演奏会をはじめ数多くの公演を指揮していただきました」というのがあって、はじめてミッキーが都響のスタッフだった時代があったことを知りました。当然当時の演奏は聴いていません。NHK響とは喧嘩して出禁になったことがあるそうなので、これは都響の快挙でしょう。とはいえその後都響との演奏会はわりと少なかったと思います。ベルティーニが石原によって解雇されたときも、都響は米国から車椅子のデプリーストを招聘しました。
八王子や蒲田で何度かミッキー指揮の都響演奏会を聴く機会がありましたが、その指揮ぶり、ゼスチャーの多彩さには度肝を抜かれました。美里さんが笑いが止まらないままずっと演奏していたのが印象に残っています(たぶん彼の指揮で演奏するのがはじめてだったのでしょう)。ミューザ川崎で読響とやったブルックナー交響曲第8番はとても素晴らしかったと思います。ホールの音響も素晴らしくてブルックナーの音楽を堪能できました。
今日は上野の東京文化会館で彼が都響を指揮する最後の演奏会ということでチケットは完売、会場はすごい熱気につつまれています。コンマスは水谷さん、サイドは山本さん、はいいのですが、なんとCb2、Vc3、Vla4という室内楽の編成です。これで非常に生々しいサウンドで田園交響曲がはじまりました。これがほんとに正解かどうかはよくわかりませんが、なにしろはじめての経験だったのでとても新鮮な気持ちで聴けました。しかも第3楽章がはじまってから、トロンボーン、トランペット、ピッコロなどが入場というトリックでびっくり。全体的にはとても丁寧な演奏で、傷もわずかでオーストリアの田園の気分にどっぷり浸れました。
ショスタコーヴィチの交響曲第6番は演奏者のヴィルトゥオーソスピリットを刺激する、ある意味都響にふさわしい曲で、こちらもオーケストラ音楽の醍醐味を満喫しました。第1楽章は沈潜した精神状況を表現したかったようで共感できましたし、第3楽章ではタコさんは「ウィリアム・テル」みたいなのをやりたかったみたいですが、ロッシーニ風じゃなくて完全にタコ風になっていてさすがです。タンバリンをグーでぶん殴っていたのは印象的でした。最後は名残惜しく、高揚した気持ちを会場全体で共有できたと思います。
井上道義オフィシャルウェブサイト
https://x.com/michiyoshi_web
井上道義の問題発言満載サイト
https://x.com/daibutsumichiko
↓
でも結構同意できる発言も多い
演奏が終わった後、ミッキーは変なパントマイムをはじめました。墓を掘ったり、車椅子に乗ったり、人の居ない方向に歓声を求めたり・・・後で考えてみると、「こんな風になるから指揮者をやめるんだよ」という彼の聴衆へのメッセージだったんだと納得しました。
上野駅から電車に乗る気がしなくて、京成上野駅まで今日という特別な日の余韻にひたりながら、ゆっくり歩きました。
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