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2021年11月30日 (火)

オミクロン株の流入

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日本の検疫は基本抗原検査でやっているそうです。抗原検査というのは、その抗原と特異的に結合する抗体を使って抗原を検出するという方法ですが、この方法の特異性とか検出感度は使用する抗体に依存します。ですから一概に精度が高いとか低いとかは言えません。

私たちにウィルスが感染すると、そのウィルスが持っている様々なタンパク質に対する抗体ができて中和しようとします。このときできた多種類の抗体のことをポリクローナル抗体といいます。ウィルスをウサギに投与して、ウサギの血液を採取するとポリクローナル抗体を集めることができますが、このような抗体は投与したウサギによって質・量ともさまざまなものができるため品質がバラバラとなりますし、もちろん精製しないと使えません。大量生産にも向いていません。実は単一のタンパク質を動物に投与しても、抗体は複数の種類ができてしまいます。

これに対してモノクローナル抗体は試験管内で作ることができる均一な抗体で、抗原検査は通常このモノクローナル抗体を使って行われます。新型コロナウィルスの場合、何を抗原とするモノクローナル抗体を作成するかというと、ヌクレオキャプシドという遺伝物質の保護構造を形成するタンパク質(コアタンパク質)を抗原とする場合が多いようです。このタンパク質はひとつのウィルスに含まれる量が多いからなのでしょう。

ですから抗原検査の精度については、ある株のウィルスのコアタンパク質に対して作られた抗体を使うと、その株の検出には高い精度で対応できるわけです。しかしたとえばデルタ株のコアタンパク質に対する抗体を使って、他の株を検出しようとすると、その精度はその株のコアタンパク質がどのくらいデルタ株と異なるか(変異しているか)によります。

したがって貧乏でせっかちなためPCR検査がままならないわが国の空港や港湾では、オミクロン株の検出がままならず流入を阻止できない可能性が高いのです。ですから岸田総理が外国人の全面入国禁止措置を行ったのはやむを得ないといえます。もう一つ重要なことは邦人の帰国の際に抗原検査ではなく必ずPCR検査と隔離を行うことです。これによってオミクロン株の流入を理論上は完全に防げますが、多分PCR検査用のプローブ(オミクロン株のRNAに相補的な配列を持つDNA)が間に合わなかった可能性が強いので、すでに国内に流入しているかもしれません。それがないように祈りたいです。

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