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2020年12月11日 (金)

ガス抜き本

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毎日科学系の本や論文、ウェブサイトの記事などばかり読んでいるとぐったりすることもあります。そういうときに読む本。

小泉政権のときから総理のご機嫌を損ねてマスコミからパージされた政治評論家は何人かいますが、安倍政権になってからはそれがエスカレートして、政権を批判する政治評論家はテレビに出さないというポリシーが確立されました。摘菜収や佐高信もテレビには出演できない評論家です。

摘菜収の「国賊論 安倍晋三と仲間たち」(KKベストセラーズ 2020年刊)は安倍政権の欺瞞と無能をさまざまな観点から徹底的に批判した本です。摘菜収は自分は右翼であると言っています。彼の定義によると左翼は人間の理性を信ずる者たち、右翼は人間の理性を信じない者たちということですが、この定義には非常に考えさせられました。私は理性を信じているので左翼と言うことになりますが、そう単純には割り切れないものがあります。イスラエルは世界で最も非理性的な宗教的団結が強い国だと思いますが、20世紀の科学の驚異的な進歩を牽引したのはユダヤ人です。永遠のテーマだと思います。

私は理論的背景はともかく摘菜の指摘は多くの点で支持できます。安倍政権が行った行為のなかでも、政策を云々する以前に、公文書の改ざんや国会の無意味化は許しがたいと思います。

佐高信は以前にはテレビにもよく出演していたと思いますが、パージを食らった一人です。この「新・佐高信の政経外科 官房長官菅義偉の陰謀」(河出書房新社 2019)はタイトルが適切ではなくて、菅現総理だけをターゲットにした本ではなく、政治評論家をはじめとして政治の周辺にいる人々を評価した、科学の世界でいうピアレビューのようなものです。タイトルが長すぎる上に適切じゃないというのはいただけません。

彼はやや下品な表現が得意なので、かなり刺激的な本です。彼の思想的原点は魯迅にあるそうで、私は魯迅の本は読んだことがないのでよくわかりません。ただ彼はこう述べています「私が権力を追求するのは正義感ではなくて、安倍みたいなとんでもないやつらに楽な思いさせてたまるかって思いですよ」。

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