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2020年10月31日 (土)

学術を崩壊させる日本政府

国際ニュース雑誌ニューズウィークでも「科学後退国日本」という特集が組まれたくらい、昨今著しく科学力が低下してきた日本ですが、これはもちろん安倍・菅政権の反知性主義と経済政策の失敗によるものです。元々日本には人間が生きていく上で科学が生命線であるという意識が希薄なので、しばらくの間日本が科学の世界で上位にいられたのは、昭和の著しい経済成長のおこぼれでできた研究の成果だったにすぎません。株式に日銀や年金の資金をジャバジャバつぎ込まなければ保たないような国にしたのは自公政権の失策です。

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一番最近の例では新型コロナウイルス感染症の研究でも完全に後れをとっていて、ワクチンすら外国頼みになるという情けない状況にあります。NHKの報道によると「科学技術立国を支えると言われる日本の大学院の博士課程の学生の数は、修士課程から進学する学生が減り続け、文部科学省によりますと、平成15年度のおよそ12,000人から、令和元年にはほぼ半分の5963人まで減りました」。大学における実働部隊は院生なので、その数はもろに業績にひびきます。

こちら

そしてこの衝撃的な表をご覧ください(ソースは文部科学省、ただしニューズウィーク社・NHKが体裁を変えたもの)。研究開発費の停滞ぶりは明らかです。増減のパーセントを表示するグラフなので絶対値は示してありませんが、当然米国は高止まり、日本は低どまりです。中国は科学技術力でいまちょうど米国を抜こうとしているところで、スマホなどでは米国は政治的強権を使って逆転を阻止しようとしています。人口100万人あたりの博士号取得者は、日本は米国やドイツはもちろん韓国にも圧倒的に劣っています。

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自民党は日本学術会議を葬ろうとしていますが、その根底には反知性主義的な政策を国民が受け入れる素地があるという日本のアキレス腱があります。この方針には、より具体的には大学で軍事研究をやらせようという意図があるわけですが、大学での軍事研究は不適切です。そのためには中国やロシアの留学生を拒否しなければなりません。中国はいまや世界最大の科学技術推進国家になりつつあります。そんな国に日本から留学生を送り込めなくなり、差し引き大損害になります。こんな簡単な計算もできないのでしょうか? 大学は本来早稲田大学のように、塀も門もないオープンな施設と思想のもとに運営されるべきものだと思います。

軍事研究は秘密裏に進めなければいけないものであり、大学でやるには無理があります。やはり軍事研究はそれを専門とし、かつセキュリティーが万全に整備された専門の国研でやるべきでしょう。私は軍事研究はその内容を国民にも知らせる必要は無く、他国を威嚇するためではない、本当にわが国が侵略されたときに戦争に勝つための研究であるべきだと思います。専守防衛にこだわる必要はありません。完全に機密が維持されていれば国家を衰弱させるような軍拡競争は起きません。仮想敵国が保有する武器を知っているからこそ軍拡競争が起きるのですから。

 

 

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