« やぶにらみ生物論112: 背と腹 | トップページ | 失われた名前 by マリーナ・チャップマン »

2018年9月11日 (火)

堕落した報道ステーション-トリチウムの放出

Pic11今日報道ステーションで福島第一原発で保管しているトリチウム水を放出する必要があるというプロパガンダをやっていたのには驚きました。漁民がまるで放出水は全く安全で風評被害だけを心配しているように報道しているのには非常に落胆しました。あの保管水は安全ではありません。

これは非常に悪質な世論誘導です。

まず保管しているのが純粋なトリチウム水であるかのような報道ですが、フィルターで他の核種をすべて取り除けるはずもなく、実際に東電がそうではないことを発表しています。

「東京電力によると2017年度に汚染水浄化後の測定で、ヨウ素129が1リットルあたり62ベクレル検出され、排水基準値の9ベクレルを上回っていた。他にも排水基準値以下だが、ルテニウム106やテクネチウム99も検出された。」

2018年8月19日、共同通信「基準値超の放射性物質検出、トリチウム以外」
http://www.foocom.net/column/shirai/17224/

基準値を上回ったデータもあると報道されています(東京新聞)。
http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2018081901001549.html

確かにトリチウムの放射線はガラス・紙などで遮蔽できます。ですからタンクに接近しても害はありません。

しかし分子レベルの距離では強い破壊力を持ってDNAなどを破壊します。トリチウムはタンパク質・脂質・DNAなどあらゆる生体物質にとりこまれるので、その害は計り知れません。

それだけではなく、トリチウムは下記の様に、ベータ線を放出してヘリウムに変わります。生物のDNAの2重鎖は水素を媒介としたゆるい結合を行っているということは、分子生物学の一丁目一番地です。

{}^3_1\hbox{H}\  \xrightarrow[12.32\ years]{\beta^-\ 18.6\ keV}\ {}^3_2\hbox{He}^++\hbox{e}^-+\overline{\nu}_{\hbox{e}}

このようにして放射能を持つトリチウムが安全なヘリウムに変わったとたんに、その部域のDNAが壊れて、突然変異が発生する恐れがあるというのがトリチウムの特異な毒性です。

トリチウムの害
http://nucleus.asablo.jp/blog/2013/05/04/6799143
http://nucleus.asablo.jp/blog/2013/05/04/6799155
http://tabemono.info/report/former/genpatu5.html
http://ryuma681.blog47.fc2.com/blog-entry-895.html

原子力規制委員会の委員に生物学者はひとりもいません。

| |

« やぶにらみ生物論112: 背と腹 | トップページ | 失われた名前 by マリーナ・チャップマン »

私的コラム(private)」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 堕落した報道ステーション-トリチウムの放出:

« やぶにらみ生物論112: 背と腹 | トップページ | 失われた名前 by マリーナ・チャップマン »