二期会・都響「ローエングリン」@東京文化会館2018・2・22
以前に学会でドイツに行ったことがあって、フュッセンのノイシュバンシュタイン城にエキスカーションで訪れました。周辺の景色とも合わせると、世界一美しい城なんでしょうね。もともとルートウィッヒ2世は戦争のために築城したのではなく、自分のロマンティシズムを実現するためにつくったのですから。
しかし私がテンション上がったのは、彼が子供の頃過ごしたという麓のホーエンシュバンガウ城です。お城の屋上に大きな白鳥の像があって、夜になるとライトアップされます。この像が妙に精神を高揚させるのです。
このふたつのお城に縁が深いリヒャルト・ワグナー作の「ローエングリン」が東京文化会館で上演されました。雪が激しく降る中を上野にでかけました。今シーズン最高額のチケットなので、気合いもはいります。
今日のオペラは二期会と都響が全力で取り組んだプロジェクトです。指揮は準・メルクル、コンマスは矢部ちゃん。清々しさと力感が共存した素晴らしい演奏でした。私が1番気に入ったのは十字架のお墓に花輪をかけるときのオーボエとクラリネットの演奏で、なぜか泣けてきました。第3幕の前奏曲はちょっと元気に欠けたような感じがしたのが唯一の不満かな。
シンガーの中ではオルトルートの清水華澄(Ms)が圧倒的でした。鉄パイプを振り回す演出も迫力満点ではまっていました。拍手も1番でした。もちろん木下美穂子のエルザも絶好調でしたし、タイトルロールの小原啓楼もきめ細かい歌唱で素晴らしかったと思います。コーラスも迫力十分。
唯一この素晴らしい公演をぶち壊したのは演出の深作健太。だいたい公演後のトークで長々と解説してやっと意味がわかるような演出に、何の意味があるのでしょうか? 自分の趣味で原作のストーリーをねじ曲げるというのは傲慢に過ぎます。一生に一度だけこのオペラを見る人も多いと思いますが、彼はそのような人々にどう謝るのでしょうかねえ。
それにしても噴飯物だったのは、ローエングリンとエルザの最も重要な場面でのローエングリンの不可解な衣装です。アフタートークでルイ14世をイメージしたものとわかりましたがあきれ果てました。こんな大事な場面をぶち壊すおふざけには我慢できません。
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