「バーバラ・マクリントックの生涯-動く遺伝子の発見-」
「バーバラ・マクリントックの生涯-動く遺伝子の発見-」 Ray Spangenburg and Diane Kit Moser 著、大坪久子他訳 養賢堂 (2016)
読んで損したわけではなく、ほぼ私の目的は果たしたのですが、内容に非常に気になったところがあったので、ひと言述べたくなりました。
この本ではマクリントックの仕事の前奏曲として、メンデルやモーガンの仕事は詳しく解説しているのですが、メンデルの法則の裏付けをとったウォルター・サットンの仕事が全く無視されていて、ひと言も触れられていません。
サットンが遺伝の物理的実体が染色体であるという「染色体説」を発表した重要な論文を最初に出版したのは1902年で、これはマクリントックの生年でもありましが、巻末の年表にすらサットンの名前はありません。彼こそ方法論的にもマクリントックの研究の先駆者として記載すべきではないでしょうか?
こんなアンフェアーな本を書いた著者達がどんな人物なのか見てみようと思ったら、どこにも略歴すらありません。養賢堂はメールのひとつでも出して、本人に問い合わせる努力もしていないのでしょうか。あきれます。さらに訳者の大坪氏は5ページもの長文の訳者後書きを書いていますが、著者については何も書いていません。1987年に出版された「動く遺伝子-トウモロコシとノーベル賞」 エヴリン・フォックス・ケラー著 石館三枝子他訳(1987年)との関連についても言及していません。
理由は違いますが、科学の本でこんなに読んでいて不愉快な気分になったのは、アンドリュー・パーカーの「眼の誕生――カンブリア紀大進化の謎を解く」(草思社 2006)以来でした。
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