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2017年4月20日 (木)

猫アレルギーの話

A1130_000532_2猫アレルギーの原因のほとんどは Fel d1 というタンパク質であることが明らかになっています。このタンパク質は猫の唾液、汗腺、皮膚から分泌されます(1)。分子構造も明らかになっています(2)。

2006年にアレルカ社(現ライフスタイル・ペッツ社)は低アレルギー猫を発売しました(3)。しかしこれがどのような方法で製造されたのかが企業秘密でわからないのです。Fel d1 の遺伝子をノックアウトして製造したと考えたくなりますが、会社はそうは言っていません。遺伝子組み換え生物に関する法律の網の目をくぐるために、グレーゾーンでビジネスを展開しようと考えているのかもしれません(4)。Allerca GD という名で約70万円だそうです。ちょっと高価で飼育するのも大変ですが、Ashera GD というのもいます(5)。これも低アレルギー猫です。

私はこの種の遺伝子組み換え生物については、モンサント社の農薬+遺伝子組み換え植物のセットなどとは全然次元の違う問題で、遺伝子組み換え生物であることが明らかになったとしても、政府は輸入許可を出すべきだと思います。高濃度の農薬の影響などは考えなくてもいいですし、口に入るわけでもありません。猫アレルギーの人も猫を飼育できるという大きなメリットがあり、近隣に猫アレルギーの人がいる場合でも大丈夫というメリットもあります。

アレルギー軽減猫は将来の話として、いまとれる有効な対策としてはプラズマクラスターがあります。学術論文もあるので、プラズマクラスター付きの空気清浄機が有効なことは確かでしょう(6,7)。もちろん医師にアレルギー反応をおさえる薬を処方してもらうのは有効でしょうし、医師の指導のもとに免疫寛容を狙うことも可能かもしれません。

猫アレルギーなのに、自宅で17匹の猫を飼っている方がいらっしゃるようです(8)。また私の知人で、ネズミアレルギーなのに、ネズミを飼育して研究している方もいます。

(写真はフリー写真サイト「足なり」より)

1)A. J. Dabrowski et al., Cat skin as an important source of Fel d I allergen. The journal of allelgy and clinical immunology. vol.86(4), pp. 462-465 (1990)
http://www.jacionline.org/article/S0091-6749(05)80200-3/pdf

2)L. Kaiser et al., "The crystal structure of the major cat allergen Fel d 1, a member of the secretoglobin family". J. Biol. Chem. vol.278(39) pp. 37730-37735 (2003)
http://www.jbc.org/content/278/39/37730.full.pdf

3)"Hypoallergenic" Cats
http://news.nationalgeographic.com/news/2006/06/060609-allergies-cats.html

http://abcnews.go.com/Business/worlds-hypoallergenic-cat-scientific-breakthrough-hype/story?id=19692501

4)NHKクローズアップ現代紹介の「遺伝子組み換え猫」について
http://hideyukihirakawa.com/blog/archives/201011/252325.php

5)http://www.ne.jp/asahi/box/kuro/report/geneticpet.htm

6)プラズマクラスターは猫アレルギーを軽減するか?
http://www.konekono-heya.com/news/2016/september/29.html

7)Kazuo Nishikawa, Exposure to positively- and negatively-charged plasma cluster ions impairs IgE-binding capacity of indoor cat and fungal allergens. World Allergy Organ J. vol.9(1): pp.27-33 (2016)
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC5011831/pdf/40413_2016_Article_118.pdf

8)http://news.mynavi.jp/articles/2014/06/25/catallergy/





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