貿易をどうする
NHKの報道によると(1)、アメリカで貿易問題を調査する国際貿易委員会は7日、中国から輸入された道路の舗装などに使う製品が中国政府による補助金によって不当に安く売られ、アメリカの企業が損害を受けていると認定しました。
これによって、中国の製品に対して372.81%の反ダンピング税と、補助金の効果を相殺する最大で152.5%の相殺関税が課せられることになりました。対中国貿易赤字が30兆円以上となる米国としては理解できる処置です。
米国の総貿易赤字(2016年貿易統計) 5023億ドル(56兆円)
対中国 3479億ドル
対日本 689億ドル
対ドイツ 649億ドル
対メキシコ 632億ドル
しかし中国より低いとはいえ、対日貿易赤字も相当なものなので、しかも輸出企業には消費税を実質免除しているというイカサマもやっているので、日本の製品に対しても懲罰的関税がかけられるのは時間の問題だと思われます。晋三がお金を使ってこれを阻止したとすれば(勘弁してもらったとすれば)、それは例によって一般国民からグローバル企業への冨の移転です。注視しましょう。
一見国と国の貿易対決のようにみえますが、先進国から途上国への生産拠点や輸出拠点の移転はグローバル資本主義の定石であり、それによって非正規職員に転落するなどの被害を受ける先進国の労働者がこれを回避しようとすれば、関税を高くするしかありません。それを行うなら国民ファースト、行わないならグローバル企業ファーストの政府ということです。つまり一般国民vsグローバル企業の対決が本質です。
グローバル企業の問題と、異民族や異文化に対する忌避感とは次元の違う問題で、トランプはこの感情を利用して大統領になったので、リベラル派には全く受け入れられなくなってしまいました。グローバル企業の問題では北半分(緑)の民主党支持者はサンダースを支持していましたから、むしろトランプに近かったのです(下図)。
日本は1970年代には食糧自給はできていました。昔にもどせばいいのです。人が足りなければ外国人の力を借りればいいのです。米を作る人は中国にもタイにもミャンマーにも大勢います。一部肉類はオセアニアから輸入やむなし。ただしなるべく肉食はつつしむべきだとは思います。餃子と肉じゃがくらいでいいのではないでしょうか。鶏肉は日本で生産しても高価にはならないので輸入する必要はないでしょう。
衣料品はほぼ中国製で良いのではないかと思います。その分中国に買ってもらう製品は考えないといけません。自動車・医薬品・化粧品が最大の候補でしょうか。日本の安全保障のキーは中国ですから、いくらアンチグローバルと言っても、中国との経済関係が消滅するのは避けるべきです。
日用品・電化製品・自動車・鉄鋼・船舶・PC・携帯電話は極力輸入を避け国内生産にもどします。航空機もあと10年もすればさすがに製造可能でしょう。米国はアンチグローバルでいくわけですから、大いに結構で順次関係を薄くしていけばいいと思います。トヨタは米国企業として生きていけばいいでしょう。そうすれば日米貿易摩擦もたいした問題ではなくなります。
一番難しいのはエネルギーです。ここだけ解決すれば、グローバル資本主義をやめても日本は独立国としてやっていけます。中国は輸出でかせぐために大量の石油を消費しているのですから、米国への輸出が難しくなれば石油消費は少なくなり、原油の値段はさがると思われます。ですからエネルギー問題は解決しやすい方向に向かうと期待したいですね。日本がグローバル資本主義を止める方向に向かうためには、トランプの政策は大きなアシストとなります。このチャンスをのがしてはなりません。
1)https://www3.nhk.or.jp/news/html/20170208/k10010868491000.html?utm_int=all_side_ranking-social_001
以下引用 from 天木直人ブログ
きょう発売の週刊文春(2月16日号)にとっておきの記事を見つけた。
それは、訪米の最大のお土産である米国雇用創設に国民の年金を差し出すという報道に、菅官房長官が激怒したという記事だ。その記事を書いたのは、いまや安倍首相に最も近いジャーナリストである山口敬之氏だから、その内容は間違いないだろう。
すなわち、2月2日の日経が「公的年金、米インフラ投資」と報じた。3日には朝日も「投資年金資産も活用」と書き、各紙も一斉に書いた。その報道を見た野党は国会で一斉に追及した。
菅官房長官は、「あそこまで怒ったのは最近では記憶がない」(官邸関係者)というほど怒り、安倍首相も「今回の騒動の主犯には落とし前をつけてもらうしかないね」と漏らしたという。
なぜここまで怒るのか。
それは図星であり、今度の訪米成功の最大のお土産であるからだ。そしてそれは決して国民に知らせてはならない国民を裏切るお土産であるからだ。
しかし、私がこの山口記者の記事で驚いたのは、リークに怒った安倍、菅コンビの事ではない。この情報リークに、トランプ政権側から外交ルートを通じてはっきりと不快感が示されたと書かれていたことだ。つまりこの土産は、日本の官僚たちがトランプ側と周到に示し合わせて作った、米国をよろこばせるための土産であったということだ。
それがばれてうまく行かなくなったら一番困るのはトランプ側なのである。
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