トランプに戦々恐々 はてさてどうなることやら?
トランプが何をやらかしてくれるか、米国人だけでなく、私たちも戦々恐々の2017年になりそうですが、彼が正しい点もあります。
グローバリゼーションがなぜ格差拡大につながるか? それはトランプが言うとおり、海外に生産拠点を先に移動した会社が国内にとどまった会社を駆逐し、従業員を失業に追いやる、そこまでいかなくても海外に対抗するため低賃金の臨時雇いに転落させるという図式です。
池上彰のグローバリゼーションのはじまりが東西冷戦の崩壊だったという説明はわかりやすい。格差が拡大すると社会主義になるかもという心配がなくなったので、「グローバル企業命」の政党が支配する国家(もちろん日本もそう)では社会保障がおろそかになったのです。
池上彰らはグローバリゼーションで生産拠点を受け入れた国の悲惨もちゃんと取材していて秀逸。監視カメラのもとで12時間労働を強いられる現場は厳しい。生産国同士の競争も厳しいでしょう。
米国で金持ちだけの自治体ができているという話がありましたが、日本にもその萌芽はあります。芦屋や田園調布は相続税で崩壊しつつありますが、ディベロッパーが高額な土地家屋をある地域に集中的に建てて、その周りを壁で囲むという新たなお金持ちの街ができつつあります。そのうち門番(=管理会社)が出入り口に常駐するような街になるでしょう。
しかし池上彰の「アンチグローバリゼーション=自分の国さえ良ければ良い」という定義は行き過ぎだと思います。トランプ=アンチグローバリゼーションという単純化が原因でしょう。サンダースという人がいたことも忘れてはいけません。
「グローバリゼーション=自分の会社さえもうかればよい」であり、それを阻止するのは今の世界では国家しかありません。国家の主権は民主主義によって主権者が握るというのが当然ですが、グローバリゼーションの社会では、企業が最高権力を握ることになります。TPPがつぶれそうだと言っても安心してはいられません。他の方法でもじわじわグローバル企業は権力を握るべく浸透してきます。
グローバリゼーションを支持する人々は、おそらく自分の家族さえ裕福な生活ができれば、別に国家などどうでもよいという潜在的な、あるいはそれ以上のイメージがあるのではないかと思います。このような人が社会の中枢を握っている場合、彼らがマスコミや社会の空気を支配しているので、民主主義(彼らはポピュリズムという)が機能しないこともあります。彼らはいつのまにかポピュリズムの意味を変更する力まで持っています。
それにしても日本からケイマン諸島(写真 ウィキペディアより)に74兆円も入り込んでいるというのには驚きました。これはなんとかしないとダメですね。
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