ガリー・ベルティーニが残してくれたCD
マエストロ・ベルティーニは1998年から2005年まで東京都交響楽団の音楽監督を務めました。彼のマーラー・チクルスは私たちに大きな感銘を与えてくれました。その後都響は、やはりマーラーのスペシャリストであるマエストロ・インバルを迎え、さらにマエストロ・大野を音楽監督として迎えて現在至っています。
ベルティーニ氏を解雇したのは石原都知事です。東京都が貧乏でやむなく解雇したのではありません。
東京都にはうなるくらいお金があったにもかかわらず、石原知事は科学や芸術をゴミ同然に扱い、やったことと言えばオリンピックのために多額のお金をストックして結局落選するとか、新銀行東京に湯水のようにつぎ込んで、ブラックホールの中に吸い込まれてしまうとか、ろくな事をやりませんでした。
マエストロ・ベルティーニが留任してもう少し生きていてくれれば、都響とマーラー交響曲全集のCDを出版してくれていたと思いますが、それはかないませんでした。インバル-都響のマーラー全集も素晴らしく、第3番や第10番の交響曲は歴史的名演だと思いますが、第5番は納得がいかないところがあります。若干あざとさやわざとらしさを感じるところがあるのです。
このベルティーニ-ウィーン交響楽団の演奏はそのような部分が微塵もなく、むせ返るような、耽美的で豊穣な音楽を聴かせてくれます。「ベニスに死す」のイメージから言えば、クライツベルク-モンテカルロ管弦楽団の演奏も捨てがたいですが、本来アルマへの愛情に溢れた音楽であるはずなので、ベルティーニ流が正統でしょう。なぜか彼の手兵であるケルンや都響の演奏よりも、このCDが私は好きです。
YOUTUBE にベルティーニ-ケルンWDR交響楽団のマーラー交響曲第5番アダージェットの演奏がアップされていました。彼の人柄やマーラーの音楽への愛情が偲ばれるような指揮ぶりです。
https://www.youtube.com/watch?v=HPbrQetfG8o
若くして亡くなったヤコフ・クライツベルクの第9(ちょっぴり)
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