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2015年11月15日 (日)

ストロンチウムの危険性

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ストロンチウム(ウィキペディアより)

福島第一原発事故から歳月が経過し、放射性セシウムに代わってストロンチウムが問題となってきつつあります。このストロンチウムの測定が結構煩雑で、科学的に正確な値を得るまでに時間もかかるし面倒なようです。
https://www.jcac.or.jp/site/faq/method-sea-6.html

ストロンチウムはセシウムよりも危険な核種です。なぜなら骨に取り込まれて長期間体の中に滞留するという特殊な性質があるので、生物への影響が大きくなるからです。

ストロンチウムの崩壊は次のようなプロセスを経ておこります。
ストロンチウム90→(半減期29年)→イットリウム90→(半減期64時間)→ジルコニウム
ストロンチウム89→(半減期51日)→イットリウム89
いずれの場合もβ線(電子)を放出する崩壊です。

β線を周囲の細胞に放射するため、特に骨の内部にある空洞でつくられる血液細胞が影響をうけやすく白血病を発生しやすくなります。骨自体は特殊に分化していますし増殖も遅いので、それほど影響を受けないと思われます(もともと骨肉腫は白血病にくらべると患者さんが少なく、日本では年間200~300人しか発病しないそうです)。

上記の測定法などをみていると、ストロンチウムを樹脂にくっつけたり溶出したりする方法は確立されているようです。ですから東電がやる気になればストロンチウムを除去することは技術的に簡単だと思われますが、実際には垂れ流しているというというのが困った問題です。

もぐもぐさんが詳しく解説してくれています↓↓↓

もぐもぐブログ
http://hamstern.air-nifty.com/mogumogu/2015/04/post-0848.html

(以下もぐもぐブログさんのコピペです)

最近になっていろいろな国内外の科学者や国会議員、複数の県知事さんなどが「ストロンチウムの検査もしっかりやるべきだ」と言い出すようになりましたが、大半の人は「セシウムを検査しておけば、それよりもかなり量が少ないはずのストロンチウムは検査しなくてもいいのでは」と思っているかもしれません。twitterやブログなどでも、物知り顔で「セシウムを検査しておけば、それよりずっと量が少ないはずのストロンチウムは計測しなくてもいいんですよ」と何度も何度も書いている人もいたりする始末です。

でも、その考えは大間違いで、実際は毎日海へ流れている原発周辺の地下水などの場合は、現在はストロンチウムの量がセシウムの何百倍、何千倍以上になってしまっているという事を、どうか知ってもらいたい。

「何百倍、何千倍」などと書くとかなりの誇張に感じて、ほとんどの人が「はぁ?なんでストロンチウムの量がセシウムの量より何百倍、何千倍以上になっているんだよwこれだから放射脳はw」と大笑いするかもしれません。でも、これは実際に東電が定期的に出してきている地下の汚染水のデータでもそれがしっかり確認できるのです。誇張などではないのです。

たとえば、今年の3月26日に公開されたばかりの、原発周辺の地下水の計測データが以下です。(PDFファイルです。)

http://www.tepco.co.jp/nu/fukushima-np/f1/smp/2015/images/2tb-east_15032601-j.pdf

東京電力は「毎日海に原発地下の汚染水が垂れ流し状態になっている」と判明してから、慌てて地下水の汚染度を計測するために原発周辺に何十箇所も地下水観測孔を作り、定期的に地下水の汚染度を計測して各マスコミにそのデータを公開するようになりました。

この地下水の観測データを追いかけていくと、日が経つにつれてセシウムの量がストロンチウムと比べて大幅に減っていき、今現在に至っては、「ストロンチウムの量がセシウムの何百倍、何千倍以上になってしまっている」という懸念すべき状況になってしまったのです。

たとえば上にリンクしたPDFファイルの2ページ目をご覧ください。地点ごとにセシウムとストロンチウムの量はそれぞれ異なるのですが、いずれの箇所でも「ストロンチウムの量が、セシウムより圧倒的に多い」という感じになっています。

たとえば、No.1という地点では、ストロンチウムが100ベクレル/lあり、そこではセシウムは134も137もND(検出限界は0.38と0.46)以下です。ここではストロンチウムは余裕でセシウムの200倍以上ある事になります。

NO.1-6という地点では、ストロンチウムがなんと54万ベクレル/Lあり、そこではセシウムが134と137あわせて39000ベクレル/lです。ここではストロンチウムはセシウムの約14倍となります。ここはまだ比率が低い方ですが、それでもストロンチウムがセシウムの量を余裕で上回っています。

NO.1-8という地点では、ストロンチウムが9400ベクレル/l、セシウム134と137があわせて61ベクレル/Lで、ここではストロンチウムはセシウムの154倍となっています。

このような感じで、他の地点でもストロンチウムがセシウムの何十倍、何百倍となっていますが、極めつけなのがNo.1-16という地点。この地点ではストロンチウムが48万ベクレル/lも確認されましたが、セシウムは134と137どちらも検出限界(0.98と0.79)以下となっています。つまり、この箇所の地下水は、ストロンチウムがセシウムの48万倍以上あるという事になります。

現在海に毎日垂れ流しになっている地下の汚染水は、セシウムに比べて、ストロンチウムの量が圧倒的に多いという事は、このように東電が定期的に出している地下水の観測データでもしっかり確認できるのです。誇張などでは全然ないのです。

ストロンチウムがセシウムの量を大幅に上回っているのを不思議に思う人がいるかもしれません。でも、これはものすごく当たり前の話なのです。私はこのブログで2012年あたりから何度もこの事を懸念し、その理由を書いてきました。以下のようなメカニズムで、東電が人為的にセシウムの量だけを大幅に減らしていってしまったからそうなったのです。

東京電力は、原発事故直後から毎日のように以下の行為を繰り返してきました。原発建屋などの地下にたまった高濃度汚染水の一部を汲み上げ、その汲み上げた地下水については「セシウム除去」と「塩分除去」という二段階の処理工程を通し、その後は一部を地上タンクに貯め、残りは原子炉冷却のために注水する・・・・という事を毎日毎日繰り返してきたのです。

原子炉に注水した物はまた穴の空いた箇所から地下水へ流れていくわけですが、そいう処理をこの四年以上毎日のように繰り返してきたため、「地下の汚染水からセシウムだけを人為的にどんどん減らしていってしまった」わけです。
ストロンチウムや他の放射性物質はそのままで。

正確には、原発地下の汚染水は、「東電が一部を汲み上げて、セシウムを抜いてまた汲み上げた物の一部を注水して地下へ戻す」という人為的な処理と、「周辺の地盤から地下へ毎日一定量水が流入していく」という自然的な処理が組み合わさって、結果として「全体的には毎日流入する自然水のおかげで少しずつ薄まっていってるものの、それと同時に人為的な処理のせいで、セシウムだけを他の放射性物質に比べて大きく減らしていってしまった」のです。

この四年かけてセシウムだけを人為的に毎日少しずつ減らしていった結果が、現在の状況なのです。セシウムを人為的に減らしていった結果、「ストロンチウムがセシウムの数百倍、数千倍」みたいな事になってしまいました。また、他の放射性物質でも半減期が短くない核種については、ストロンチウム同様に「セシウムより圧倒的に量が多い」という事になっているのが考えられます。(原発運転時に生成される放射性物質の割合でだいぶ異なってきますが)

さて、このような状況にも関わらず、福島や近県の漁業では基本的にセシウムの検査のみでokとし、どんどん漁を拡大しています。

今この文章を読んでいるみなさんに是非考えていただきたいのですが、「毎日海に垂れ流しになっている原発地下の汚染水は、今現在はセシウムに比べて圧倒的にストロンチウムの量が多い」という状況であるのにも関わらず、基本的にセシウムだけの検査で海産物を出荷するのは妥当であるか?という事です。

福島漁連のホームページなどでは、Q&Aコーナーなどで「ストロンチウムの検査はしなくていいの?」という質問に「ストロンチウムはセシウムに比べて圧倒的に少ないので、セシウムの検査をすれば、ストロンチウムの検査はしなくてもいいんですよ」みたいな内容の事を書いています。

でも、毎日毎日原発地下から海に垂れ流し状態になっている地下の汚染水は、今現在はストロンチウムの量がセシウムより何百倍(地点によって何十万倍)にもなっているわけですよ。この状況で、「基本的に漁のたびにセシウムだけを検査して、それが基準値以下なら海産物を出荷してもok。どうせストロンチウムはセシウムより圧倒的に少ないはずしょ。」みたいに考えるのは、科学的に正しい対応をしているとは全然思えないのですよ。

原発事故後から、放射性物質は正しく怖がりましょうみたいに言って、「過度に怖れるな」みたいな事を言ってる人がいましたが、実際は現在は毎日海に垂れ流しになっている汚染水はセシウムの量だけが大幅に減って、ストロンチウムや他の核種の量はセシウムの何百倍、何千倍となっているのに、基本的にセシウム検査のみで海産物を出荷するという事は、正しく怖がっていると言えるのでしょうか?まともな頭を持ってる方なら、「科学的なきちんとした対応をしている」とは到底思えないですよね。これのどこが「正しく怖がる」でしょうか? 本来きちんと計測すべき事項を無視し、セシウム検査だけで安心するのはいかがなものか。

この事に気づいた方々が増えてきて、「ストロンチウムの検査もしっかりやっていくべきだ」という声が、各所でどんどん上がってきているのだと思います。(海産物は国が稀にストロンチウム検査をしていますが、その検査量は圧倒的に少ないです)

「ストロンチウムは骨に蓄積されるので、魚貝類の骨を食べなければいい」みたいに反論される方も中にはいるかもしれません。でもシラスとかは骨ごと食べますよね。また、貝は殻にストロンチウムが蓄積されるため、全国に出荷された汚染海域の貝の殻については、絶対に土壌改良材や鳥の餌などに加工してはいけないという事をしないといけないのです。

貝殻ですが、加工されて土壌改良材になって田畑に撒かれたり、鳥などの消化を助けるために餌に加工されて入れられる事があるのです。セシウム検査だけで安心して、実際はストロンチウムをかなり多く含んだ貝が全国に流通し、その貝殻が加工されて全国で田畑に撒かれたり、鳥の餌になってないかは、きちんと懸念して対策すべきです。

他にも栄養補助食品などのカルシウム成分として、汚染地域の貝殻が加工されていないかも。(実は原発事故による貝殻のストロンチウム汚染と、その貝殻が土壌改良材などへ加工される事の懸念については、政府内でも一時期「対策すべき」と声が上がった事がありました。今現在対策が実際にされているか不明ですが)

その他にも、骨ごと養殖魚の餌として他の地域での養殖に使われる事も懸念しないと、たとえば「四国や九州で養殖した魚の骨からストロンチウムが結構な量検出された」なんて事になりかねないし、魚粉系の肥料に形を変えて全国の農地に撒かれて、農作物がカルシウムと同じような感じで吸収して育つと、巡りめぐって人間の身体にストロンチウムが取り込まれる事にもなります。 ストロンチウムを無視していると、色々な方面で汚染が広がっていき、人は知らないうちに人体にストロンチウムを取り込んでいってしまうのです。

また、「人為的にセシウムだけ大幅に減らしてしまったため、ストロンチウムだけでなく他の放射性物質の量も(セシウム比で)大きくなってしまっているという事は当然考えられるのです。「ストロンチウムは魚貝類の骨とか貝殻に蓄積されるが、それだけを気にしていればいい」というわけではないのです。実際はストロンチウムだけでなく他の核種の計測もしっかり行っていかないといけない。

地下の汚染水を汲み上げてセシウムを抜く事自体はやるべき事だったのでしょうが、そのせいで原発周辺の地下水はセシウムだけ他の核種より大幅に減り、そのために海産物については、セシウムは最早指標にはならなくなってしまったという事を、福島や近県で漁業をしている方々はきちんと認識した上で、対策をしていくべきです。漁師さんの中には、水揚げした魚貝類を自分の家族に食べさせている方もいるでしょうし。

ストロンチウムは計測に時間がかかりますが、それについては色々な企業や研究機関が短時間でストロンチウムの計測ができる技術を原発事故後からどんどん開発してきました。すでに実用的な段階に至っているのもあり、それを使って今後ストロンチウムの検査をしっかりやっていくべきです。

 
海産物だけでなく、汚染度が高い地域で農業をやった場合は土壌や農産物のストロンチウム検査もやる必要があるでしょう。カリウム肥料などで農産物へのセシウム吸収を抑制しても、カリウム肥料で抑制できるのはセシウムのみのため、原発地下の汚染水と同じように「セシウムだけ大幅に減らして、他の核種は・・・」みたいな農作物が、汚染度の高い地域ではできてしまう恐れがあるからです。セシウムだけ検査をして、「セシウムは基準値以下だから大丈夫だ」と思って全国に出荷したら実は・・・。

 
同じベクレルでもストロンチウムはセシウムに比べて何十倍と内部被曝量が大きくなるため、セシウムの基準値が現在100ベクレル/kgですが、ストロンチウムにもし基準値を設けるとしたら2ベクレル/kgやもっと低い数値が、「設定すべき適切な値」となるでしょう。

検査に精度がかなり求められる事になりますが。

また、私が以前提案したように、「魚貝類は、ベクレル検査ではなく、最低でも全数線量検査をしてから、不自然に高い線量を出す海産物は出荷しないようにする」べきです。 これは、以下のような絶対に見過ごしてはならない懸念があるからです。

原子炉内の核燃料が数千度による高熱で溶けた事はみなさんご存知ですが、さてその融け落ちた核燃料は現在どのような状況になっているでしょうか?

「複数の箇所で、塊となって留まっている」と思っている方もいるかもしれませんが、実際は融けた後の核燃料は表面がぼろぼろと簡単に剥がれる状態になっていて、それに地下水が触れてしまってる状況だと予想されます。

味噌汁を飲む時、汁の中に大量にミソの粒が浮かんでいるのが確認できますが、これと同じような感じで、融けてあちこちに固まりとなった核燃料は、表面がぼろぼろと簡単に取れる状態になっていて、それが毎日流れこんでいる地下水に乗って、破片や粒が海へどんどん漏れ出している状況だと思います。

これは実際に、核燃料を模した物を作り(放射線を出さないウランやジルコニウム、その他の物質などで作る)、それを一度数千度の高温にして融かしてから、プールに沈めるとどうなるかを国が研究機関に協力してもらって実験するといいでしょう。

NHKや民放が大学の研究者に協力してもらって独自に実験をやるというのでもいいでしょう。私が書いたように、「数千度の熱で溶けて混ざりあった後の核燃料は、表面がぼろぼろの剥がれやすい状況で、水の中に入れていると水中へ粒や破片が簡単に拡散してしまう」というのが実際に確認できるはずです。

そんな感じで、地下の汚染水と混ざっている融け落ちた核燃料は、塊として残っている物がある一方で、表面から破片や粒が離れて、それが地下水に乗ってどんどん海へ流れ出していると予想されるのですが、そういうのを飲み込んだ魚介類が水揚げされて、人々の食卓に上がる危険があるのです。

核燃料の破片は大きいほど線量が高くなりますが、さすがに数シーベルトも出す破片はそれなりのサイズになり、それを飲み込んだ魚介類はいないでしょうし、いたとしても高い線量のおかげですぐに死ぬから、そういうのは食卓にはまず上らないでしょう。
でも、小さな小さな粒で、それでも数十マイクロシーベルトを出すのを魚貝類が飲み込み、内臓や頭部を取らずに骨ごと食べる魚の場合は、人間がそういう感じで核燃料の破片を体内に取り込んでしまうという事は十分考えられる事で、懸念すべき事なのです。

シラスやコウナゴなど、骨ごと食べる物については、手間がかかってもパックごとに全数線量検査を今後法律で義務化し、「一部の個体が核燃料の破片を飲み込んでいないか?」はチェックしてから出荷すべきでしょう。

もし核燃料の破片を飲み込んでいる個体があれば、線量検査で簡単に見つけられるはずです。空間線量から明らかに高くなるパックはないかどうかを、ベータ線とガンマ線の両方を計測する形で全数線量検査をし、きちんとチェックしてから出荷するように法律で義務化するのです。粒のように小さくても毎時数十マイクロシーベルトも出すものを食べてしまうと、しばらくしてから体外に排出されるとしても、人体の各臓器にどのような深刻なダメージを与えるかわかりません。(残酷ですが、猿などに数十マイクロシーベルトの破片を飲み込みさせて、解剖して内臓などへのダメージを調べる、というのもいいでしょう)

今回私がここで書いた事は、どうかブログやtwitterをお持ちの方はできるだけ多くの方がこの事を知るよう、リンクなどをして紹介していただけたら幸いです。

本来科学的にきちんとした対応をしていくべきなのを、「ストロンチウムはセシウムより圧倒的に少ないから、ストロンチウムの検査はしなくてもいい」みたいに間違った認識をずっと続けていて、最近のデータをまったくチェックせずに安心している方が大半だと思うのです。

これを読んでいるのがもしマスコミ関係者の方の場合は、「原発地下の汚染水は、今現在はストロンチウムの量がセシウムより圧倒的に多くなっている」という事を、テレビや雑誌、webサイトで取り上げ、そうなった原因をきちんと解説して、「セシウム検査だけではなく、ストロンチウムや他の核種の検査もしっかりやっていくべきだ」と指摘するようにしてもらいたいです。

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