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2015年10月 3日 (土)

日本人はなぜ戦争へと向かったのか by NHKスペシャル取材班

Imga2011年にNHKで放映された番組の放送記録が、今年の夏に写真のような文庫本として刊行されました。この本は「日本人はなぜ戦争へと向かったのか」について全面展開しているわけではありませんが、いくつかの大事な点を指摘しています。

1941年12月8日、日本はついに真珠湾攻撃を実行し、米国との戦争に踏み切りました。どうして負けるに決まっている戦争に日本は踏み込んでしまったのか? 私には不思議で仕方なかったのですが、最近の頭の悪い政治家達をみると、そういうこともあり得るのかなあと思ってしまいます。今から考えると、中国侵略をやめて軍を引き上げればそれで済んでいたことだし、そうするしか戦争を回避する方法はなかったと思いますが、当時の政治指導者達は(天皇も含めて)そういうことには思い至らなかったわけです。

この研究書が指摘していることは大まかに言って2つあると思います。第一は戦前の政治体制が、天皇の独裁をさまたげないために、いろんな部署に強い権力を持たせないような構造になっていたということです。軍に関して言えば統帥権の独立ということで、天皇が強く指示しないかぎり、陸軍も海軍も政府・議会の言うことを聞かず、事実上勝手に行動出来たということです。安倍安保法制では、天皇の代わりに安倍周辺の「総合的判断」によって議会の判断を仰がず「自衛隊を動かす」ということで、その危険性は戦前への復帰を思わせるものがあります。

第二は天皇・参謀本部・軍令部・陸軍・海軍のいずれも、戦争終結の戦略なしに戦争に突入してしまったという点です。海軍の山本五十六などは、戦争開始早々に数カ所で相手を叩けば、米国は犠牲を増やすのをきらって休戦交渉に応じるだろうと思っていたようですが、それは大甘でした。日本軍が1941年に仏領インドシナに進駐した時点で、米国政府は日本に開戦をさせて、その上で徹底的にたたきつぶすことを決めていたのです。

本書がもうひとつ指摘しているのは、海軍と陸軍で戦略が全く違っていたということです。海軍は広い戦域で米軍にパンチを食わせて戦意を消失させようという作戦で、一方陸軍はボルネオの石油など、資源をおさえればその地域を死守する持久戦に持ち込もうという作戦で、もうバラバラの戦略でした。それを統一出来るのは政治体制上天皇だけなのですが、それは天皇には荷が重すぎたのでしょう。

競馬で言えば、メインレースまででほぼ持ち金を失っているのに、最終レースに残りを全部つぎ込んですってしまうという馬鹿な戦いです。今政府がやろうとしているTPPも似たようなものです、ジリ貧だからといって最後のギャンブルに出てしまったらすっからかんになってしまいます。つまり食糧自給率はたちまち20%以下になり、農林水産業は壊滅、自動車など少数の産業が生き残る以外は、ISDを利用されて米国の思うがままの属国になってしまうでしょう。実際私はTPP推進派から、日本の農業なんてどうなってもいいんだという本音を聞いたことがあります。気候変動で世界的な食糧不足になったらどうするのでしょう。

ISD条項 (Invester State Dispute Settlement)

http://blogos.com/article/65881/

http://uskeizai.com/article/354030642.html

http://dic.nicovideo.jp/a/isd%E6%9D%A1%E9%A0%85

米軍がアフガニスタンで「国境なき医師団」の病院を誤爆 多数の死傷者か
http://www.nikkei.com/article/DGXLASGM03H4D_T01C15A0FF8000/
http://news.tbs.co.jp/newseye/tbs_newseye2604388.html
http://saigaijyouhou.com/blog-entry-8236.html

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