「生命のはじまり 古生代」 川崎悟司著
「生命の始まり 古生代」川崎悟司(かわさきさとし)著 ブックマン社 2015年刊
川崎悟司さんはウェブサイト「古世界の住人」の管理人で、昔から楽しませてもらっています。彼はもともと考古学の専門家ではなく、イラストレーターが本職であるにもかかわらず、深く古世界に関心を持ち、最新の研究もいちはやくイラストに反映するという好学の士です。
政府による大学の破壊が進む今日においては、アマチュアが基礎科学や人文学の中心となってしまい、大学は技術者の養成所という情けない状況がみえてきています。
それはさておき、この本は最新の知見に基づいているにもかかわらず、小中学生でも理解出来るような、イラスト中心の古生物学入門書となっています。すべての漢字にルビをふってあるのも小中学生が読むことを前提とすれば親切です。
この本に描かれた様々なイラストを見ていると、古生代の生物の多様性に目を見張ります。現代に生きる生物はその奇妙さ、すなわち多様性をかなり失っているように思います。現代は90%の生物が絶滅したといわれるペルム紀より、さらに激しい生物絶滅時代であり、その責任は主に人間にあります。
例えばうちの団地で言えば、犬が嫌い、猫が嫌い、牛馬が嫌い(近所の牧場のにおい)、ハチが嫌い、アリが嫌い、セミが嫌い(うるさい)、鳥が嫌い(ベランダに糞をする)、雑草が嫌い、樹木が嫌い(樹液が車に落ちる)とくるわけで、じゃあ砂漠で暮らせばと言いたくなります。
川崎悟司さんのウェブサイト「古世界の住人」
http://www.geocities.co.jp/NatureLand/5218/
生物多様性
http://www.biodic.go.jp/biodiversity/
現代は大絶滅時代
http://scienceminestrone.blog.fc2.com/blog-entry-221.html
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