実はみつばちにとって麻薬だったネオニコチノイド系農薬・・・厚労省が基準緩和
最近驚くべき報告が Nature 誌に発表されました。ミツバチはただの砂糖水より、ネオニコチノイド系農薬をたらした砂糖水を好んで飲むということがわかったのです。これはまさに麻薬といえるものでしょう。
Bees prefer foods containing neonicotinoid pesticides:Sebastien C. Kessler et al.
Nature 521, 74-76 (07 May 2015) doi:10.1038/nature14414
http://www.nature.com/nature/journal/v521/n7550/full/nature14414.html
多くの植物はみつばちを生殖に利用し、みつばちとともに進化してきました。ミツバチの自殺を誘発するようなネオニコチノイド系農薬を撒くことがどれほど危険か、政府はもっと真剣に考えなければなりません。植物が育たなければヒトは生きられません。
5月19日に厚生労働省がネオニコチノイド系農薬のクロチアニジンとアセタミプリドの基準を大幅に緩和しました。ネオニコチノイドはミツバチの大量死の原因として指摘されていた農薬で、EU等ではクロチアニジン等は2013年から使用が禁止されています。また神経系への影響に与えるとして、アセタミプリドの一日上限用量は0.025 mg / kgにするようにと示唆しています。
しかもこれらの農薬は、有機リン系農薬と併用した場合などには、ヒトにもさまざまな障害を与えることが知られており、当初予想されたより危険な物質であることがわかってきました。
グリーンピース・ジャパンの緊急声明をコピペしておきます。
http://www.greenpeace.org/japan/ja/news/press/2015/pr20150515/
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2015/05/19 グリーンピース声明: 厚生労働省の判断は「子どもや妊婦への脅威」 --ネオニコチノイド系農薬クロチアニジンおよびアセタミプリドの食品残留基準の大幅緩和を受けて
(国際環境NGOグリーンピース・ジャパン)
プレスリリース - 2015-05-19
国際環境NGOグリーンピース・ジャパンは本日、厚生労働省がネオニコチノイド系農薬クロチアニジンおよびアセタミプリドの食品残留基準の大幅な緩和が告示したことを受けて、下記の声明を発表しました。
国際環境NGOグリーンピース・ジャパン 食と農業担当 関根彩子
「クロチアニジンの食品残留基準の大幅緩和は、この農薬の使用範囲の大幅な拡大を農薬メーカーが申請したことによるものです。これにより、子どもや妊婦にも推奨される栄養価の高いホウレンソウの残留基準は13倍以上にも引き上げられてしまいました。
これまで、グリーンピースで集めてきた20,000筆を超える反対署名や、2000件に迫るパブリックコメントが、基準をつくる厚生労働省や、農薬の使用範囲や方法を認可する農林水産省に提出されてきましたが、それらは反映されませんでした。
厚生労働省の決定は、より安全な食のため規制を求める願いを打ち砕くものです。残留基準の引き上げにより、政府は危険なネオニコチノイド系農薬の摂取を増加させています。これは、この農薬が人や環境へ及ぼしうる悪影響に関する科学的証拠や、世界で次々とネオニコチノイド規制を導入する国が増えている流れに逆行しています。
先に禁止を決めたEUや韓国につづき、アメリカでも、新たな使用範囲の拡大は認めない方針が打ち出されています。これと逆行する日本は、食の安全や子どもの健康、そして受粉媒介で農業生産を支えるミツバチよりも、農薬メーカーの利益を優先していると言わざるを得ません
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署名ウェブサイト:www.greenpeace.org/japan/ja/Action/NoBees/
住友化学を悩ます「農薬問題」- 問われる人体への「深刻な影響」
http://www.sentaku.co.jp/category/economies/post-2540.php
農薬残留基準値なぜ緩和
http://www.kyoeikasai.co.jp/kpa/agent/monosiri2014-02.htm
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