フランツ・シュミットの室内楽
2014年度楽季の都響演奏会リストをみていて、ふと目にとまったのは大野和士氏が12月の定期演奏会でフランツ・シュミットのシンフォニーをやるということでした。フランツ・シュミットという作曲家は聴いたことがなかったので、数少ないCDのなかから左のような室内楽集のものを購入して聴いてみました。
フランツ・シュミット(1874~1939)は現在スロヴァキアの首都であるブラティスラバ生まれで、ウィーン音楽院で作曲とチェロの勉強をして、卒業後ウィーンフィルのチェリストを務め、晩年はウィーン音楽アカデミーの理事・院長を歴任したそうです。ちょうどマーラーがウィーンフィルを仕切っていた頃のチェリストだったわけです。ナチスの協力者だったという疑いをかけられたせいもあって、第二次世界大戦後は長い間無視されてきたようです。
最初のクラリネット五重奏曲は1932年に作られた曲で、パウル・ヴィトゲンシュタイン(第一次世界大戦で右手を失い、左手だけで演奏していた大ピアニスト)の委嘱でつくられ、したがってピアノパートは左手だけで演奏されます(両手バージョンもあるようです)。鬱滅とした表情で始まり、明るい雰囲気で終わる曲ですが、私は第2楽章のしっとりした雰囲気がなかなかいいなと思いました。
2曲目の小品集はみんなチャーミングで親しみやすい音楽です。Romance for piano はロマンチックな作品。最後のトッカータは、パウル・ヴィトゲンシュタインがナチを逃れてオーストリアを去るときの惜別に作られた作品で(なのでもちろん左手だけで演奏できる)、バッハのような厳粛な雰囲気です。フランツ・シュミットはもっと知られてよい作曲家だと思いました。
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