野生動物の被曝
福島県の野生ニホンザルにおける放射性セシウムの被ばく状況と健康影響
(羽山伸一 日本獣医生命科学大学教授)
セシウム濃度は、2011年4月に10,000から25,000Bq/kgを示したが、3ヵ月あまりかけて1,000Bq/kg程度に減衰した。しかし、2011年12月から上昇する個体が見られるようになり、2012年4月以降では再び1,000 Bq/kg前後を推移した。この越冬期にセシウム濃度が上昇する現象は、2012年度にも確認された。
群れの行動域(およそ10km2)から出ることがない成獣メスや幼獣を対象に血液学的検査を実施したところ、福島のサルでは赤血球数および白血球数が青森のサルに比べ有意に低下していることがわかった。青森のサルからはセシウムが検出されないことから、福島のサルでは放射性物質の影響による造血機能の抑制が示唆された。
http://iitate-sora.net/wp-content/uploads/2012/08/05_hayama.pdf
------------
高線量地帯周辺における野生動物の生態・被曝モニタリング (石田 健 東京大学准教授)
1羽は、大きなおできを持っていました。今まで自身の研究で350個体余りを400回近く捕獲したウグイスでは、見たことのない病状でした。捕獲個体の羽毛を持ち帰って、放射線量を測定してもらうとセシウム134とセシウム137合わせて最高約53万Bq/kgの値が検出され、おでき個体には血液原虫が寄生していました (石田 2012, Ishida 2013, Imura et al. 2012)。
1年後の2012年8月に同地点で捕獲したウグイスの羽毛の放射能汚染は、前年個体のも
のの10分の1より低下していました。
筋肉中のセシウム134とセシウム137の量の多さが目立つのは、イノシシで
す。2012年2月までに各県から公表された情報に基づくと、福島県のイノシシの筋肉で最高約
33,000Bq/kgの個体が、2012年12月にいわき市の事故原発から約60km地点で捕獲されました。
報告されたイノシシのうちの4分の1は1,000Bq/kgを超える高い放射線量を持ち、そういう個体の
割合は少しずつ減少する一方、最高値は今のところ上昇傾向にあります。
------------
福島原発事故のヤマトシジミへの生物学的影響 (大瀧丈二 琉球大学理学部准教授)
2011年5月の採集で、ほかの地域と比べて福島県内のヤマトシジミでは、羽のサイズが小さい個体が明らかに多いことがわかったのだ。「地面の放射線量と羽のサイズを比較したところ逆相関が見られ、線量が上がっていくにつれて羽のサイズが小さくなる傾向が見られた
http://news.livedoor.com/article/detail/7558754/
http://w3.u-ryukyu.ac.jp/bcphunit/kaisetsu.html
------------
2013年2月1日、厚生労働省が発表した「食品中の放射性物質の検査結果について(第572報)」により、福島県二本松市で捕獲されたイノシシから1キロ当たり3000ベクレルの放射性セシウムが検出されたことが判明した。
2013年8月9日福島県南相馬市のイノシシ肉から2万ベクレルの放射性セシウム
https://twitter.com/s_hiroki24/status/365834189104361472
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000015111.html
筋肉中のセシウム134とセシウム137の量の多さが目立つのは、イノシシで
す。2012年2月までに各県から公表された情報に基づくと、福島県のイノシシの筋肉で最高約
33,000Bq/kgの個体が、2012年12月にいわき市の事故原発から約60km地点で捕獲されました。
------------
新潟県十日町市で捕獲されたツキノワグマから1キログラム当たり760ベクレルの放射性セシウムが検出された。
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1274392097
http://blog.livedoor.jp/home_make-toaru/archives/6717376.html
福島県産ツキノワグマ(2)(Cs:660、1100 Bq/kg)
http://blog.livedoor.jp/bettycat530-shinjitsu/tag/%E6%94%BE%E5%B0%84%E8%83%BD%E8%A2%AB%E6%9B%9D
------------
生態学の観点から見た福島原発事故の影響 (ティモシー・ムソー サウスカロライナ大学教授)
ムソー氏は、チェルノブイリ事故以降のウクライナとベラルーシの300地点で896例の鳥と昆虫の調査を行っている。そして、福島では400地点で1100例の鳥と昆虫を調査した。その結果、調査対象の生物の大部分について、被爆レベルに正比例して遺伝子損傷率や奇形率や発育異常率の有為な上昇が見られたこと、さらに、出生率が低下し、寿命が短くなり、多様性が縮小していることが報告された
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/111868
------------
放射線を利用する黒カビ
Ionizing Radiation Changes the Electronic Properties of Melanin and Enhances the Growth of Melanized Fungi
Ekaterina Dadachova et al
PLOS ONE, Published: May 23, 2007 DOI: 10.1371/journal.pone.0000457
いくつかの黒カビを材料にして、①放射線を予め当てたメラニンの方が当てていない場合よりもNADH還元能が4倍も高いこと、②放射線があったほうが栄養条件が悪い条件下での生育がよくなること、③事前に放射線を当てたカビではそうでないカビに比べて放射線照射下での生育が良いこと、アルビノ変異体ではそのような効果はみられず(放射線を当てようが当てまいが、当てていない場合の野生型と同じ程度増える)、アルビノを遺伝的に回復させるとそのような能力も回復すること等が示されている。
著者らは一連の結果から、メラニンが放射線をエネルギーに変換し、植物が光合成をするように成長に当てているのではないかという仮説を提示している。
from ghop.exblog.jp 「とある昆虫研究者のメモ」 によるサマリー
原子炉で繁殖する黒カビ
http://on-the-japanese-beach.blog.eonet.jp/default/2012/08/post-87f8.html
| 固定リンク | 0
「生物学・科学(biology/science)」カテゴリの記事
- 続・生物学茶話260:筋層間神経叢のストライプ構造(2025.02.03)
- 続・生物学茶話259: カハールの間質細胞(介在細胞)(2025.01.26)
- 配電盤(2025.01.19)
- 続・生物学茶話258: ドギエルⅡ型ニューロンの謎(2025.01.13)
- 続・生物学茶話257: 腸神経細胞の形態学(2025.01.05)
「動物(animals)」カテゴリの記事
- 逆さであること(2025.02.08)
- ヒヨドリのベティ(2025.02.06)
- 配電盤(2025.01.19)
- 続・生物学茶話254: 動物分類表アップデート(2024.12.07)
- バラの香りは催淫剤なのだろうか?(2024.06.21)
「健康(health)」カテゴリの記事
- 謹賀新年(2025.01.01)
- 川内原発1号機本日起動 ふぇ~~~(2024.08.27)
- 福島第一原発2号機 放射性物質含む水 約25トンが流出(2024.08.14)
- 夜間頻尿とのたたかい(2024.02.08)
- 志賀原子力発電所で何が起こったか?(2024.01.19)
コメント