コボス-都響のショスタコーヴィチ交響曲第13番バビ・ヤール(バービィ・ヤール)@サントリーホール2013年11月28日
都響のB定期です。すっかり寒くなって、早くも季節は冬。1Fのスターバックスで暖かいイングリッシュブレックファストを1杯いただいてから、サントリーホールに出撃です。カラヤン広場のライトアップはワイヤーフレーム風ですが寒々しく、クリスマス・デコレーションが待ち遠しいところです(写真)。
なかにはいってみると皆さんお忙しいらしく、サントリーホール大ホールは空席が目立ち、50~60%の入りでしょうか。しかしこういうときに限って名演奏が聴けることがままあります。
本日のマエストロはスペインの名匠ヘスス・ロペス=コボス。コンマスは矢部ちゃん、サブはマキロンです。録音するらしく、第2Vnエンカナ・双紙、ヴィオラ店村・鈴木、チェロ田中・古川などオールスターキャストの豪華版です。1曲目はトゥリーナ「闘牛士の祈り」(弦楽合奏版)。初めて聴く曲でしたが、弦楽のアンサンブルも良くてなかなか楽しめました。次のラヴェル「スペイン狂詩曲」は、特に管楽器の活躍で都響の実力を示した快演。お見事でした。カスタネットを太ももでたたいていたのには驚きました。こんな演奏法もあるのですね。ここで休憩。
そしてメインのショスタコーヴィチ「交響曲第13番バービィ・ヤール」です。バス独唱(ソリストはニコライ・ディデンコ)とバス合唱(二期会 よく数十人のバスをそろえたなと驚き)があるので前日に予習していきましたが、なんと複数の電光掲示板で歌詞の日本語訳を表示してくれたので、非常にわかりやすくて良かったです(ロシア語の翻訳はひどいものでしたが)。
実演に初めて接しましたが、この曲はやはり実演じゃなきゃ良さがわからないと思いました。都響の演奏も格調高く、しかし重々しさに傾かないフットワークの軽い名演奏で、この音楽を重々しくやってしまったらダメだろうなと痛感しました。曲の内容としては人種差別や恐怖政治を糾弾した究極のメッセージソングです。でも決してメッセージを語るソリストや合唱に伴奏をつけている感じではなく、ショスタコーヴィチが(そしてコボスが)あの手この手でオケを働かせて聴衆を楽しませてくれる、あくまでもシンフォニーです。この曲と比較すると、あの交響曲第4番も単なるエクササイズに過ぎなかったのかと思わせられます。
第2楽章のスケルツォは面白い曲想でしたし、第3楽章のアダージョの市場の女性を描写した歌詞の裏側の敬虔な雰囲気も素晴らしい。これは名曲ですね。第5楽章は科学的真実を曲げなかったガリレオを賞賛する内容の音楽です。政治的な圧力で真実がねじ曲げられることを、ガリレオを引き合いに出して糾弾しています。日本でも重要な真実は片っ端から隠蔽されるような政治が、すぐそこに迫っているようなご時世です。
次のような一節があります↓
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ガリレオと同時代の学者は、ガリレオより馬鹿ではなかった
彼は地球は回るということを知っていた
だが彼には家族がいた
そして自分の信念を曲げ、妻と立派な馬車に乗った
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沖縄選出の自民党国会議員全員・沖縄の自民党県会議員団が、上層部からひと言指示されただけで、一夜にして180度自らの主張を転換するというのは、日本でも隠された恐怖政治が行われていることを感じます。まあ彼らがこの演奏会に来ていないことは確実でしょう。
闘牛士の祈り
http://www.youtube.com/watch?v=7WjSZVQ7iKs
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