ホロデンコの皇帝コンチェルト with 都響@サントリーホール2013年4月3日
昨夜(4月2日)から激しい嵐で昼過ぎまで風雨がおさまりませんでしたが、ようやく夕方になっておさまってきました。私はベートーヴェンの音楽の中でも「皇帝コンチェルト」は最も好きな曲なので、嵐の中でもでかけようと決めていたのですが、なかには交通遅延などで残念な思いをした方もおられたのではないでしょうか。もともと今日の演奏会は、チケットが売れ残っていた上にこの嵐ですから、都響にしてはめずらしく50~60%の入り。しかしこんな時に限って凄い演奏になったりするものです。
本日のコンマスは矢部ちゃん、サブはマキロンです。まず最初のエルガー:弦楽セレナーデは都響らしいきれいなアンサンブルで、今日も期待出来るという確信を与えてくれました。そしてヴァディム・ホロデンコが登場。頸椎が少し曲がっていますが、いかにも音楽にどっぷりつかっている青年という雰囲気です。くれぐれもピアニストの職業病頸椎ヘルニアには注意して欲しいと思います。
このピアニストの演奏が実にこの曲にぴったりはまっている上に、ジェームス・ジャッド指揮の都響も絶好調でしっかり骨組みをつくり、最高の演奏が実現しました。私が愛聴しているのは下記の2種のCDですが、それらに勝るとも劣らない名演でした。この日が50~60%の入りとはもったいない。ホロデンコも都響のサポートが心地よかったらしく、思い切り自分らしいパフォーマンスができた様子でした。自分で左手用に編曲したバッハの曲もアンコールで披露してくれました。ピアニストであるだけでなく、音楽マニアなんですね。
この青年は人の心を動かす何かを持っています。
ピアノ:フリードリッヒ・グルダ, ウィーン国立歌劇場管弦楽団
指揮: ハンス・スワロフスキー
ピアノ:田部京子,リンツ・ブルックナー管弦楽団
指揮:マルティン・ジークハルト
私の過去記事:
https://morph.way-nifty.com/grey/2007/05/post_7d15.html
上記の実演ではありませんが、グルダの演奏は YouTube に出ています。この演奏はおもしろすぎます。立ったり座ったり忙しい。
http://www.youtube.com/watch?v=Vy68iFAN6Z8
ホロデンコはキエフ生まれだそうですが、第4回仙台国際音楽コンクールピアノ部門で優勝したとのことで、日本でその才能を見いだされた逸材です。
http://www.youtube.com/watch?v=94H10dddf-Y
http://www.youtube.com/watch?v=q1kQr2RmmL4
そして本日のメイン、ヴォーン・ウィリアムスの交響曲第5番。これは予習していったのですが、どうもCDではピンときませんでしたが、さすがに実演では鑑賞に値する曲だということがわかりました。特に第3楽章のレクィエムのような音楽はききどころです。
全体的にはシベリウスの第5交響曲をめざしていたような音楽ですが(シベリウスに献呈されています)、やはり残念ながらこの作曲家はシベリウスほどの才能はなく、それでも大変熱心な音楽マニアだったので、無い知恵をふりしぼって苦心の末につくりあげたシンフォニーという感じです。特にせっかくイングリッシュホルンを使っているのだから、もう少し長めのソロをとらせてほしいと思いましたね。
最後はジャッドが固まって、聴衆との長い我慢比べになりましたがフラブラ・フラ拍はなく、聴衆の勝利に終わりました。
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