インバル都響 マーラー交響曲第5番@サントリーホール 2013/01/22
都響B定期@サントリーホールに行ってきました。最近道すがら、楽団員の誰かをみかけるのですが、今日は向かいの森ビルでチェロの古川さんとすれちがいました。赤系の革ジャンでダンディ(ということにしておきましょう)。
演奏のビデオ収録をするそうで、マイクやカメラが林立するものものしい雰囲気のなかでの演奏会です。前半はマーラーの「リュッケルトの詩による5つの歌」。ソリストは例によってフェルミリオン。深紅のベルベットのドレスで登場。指揮者の横で歌うので、今日は靴を履いていました。ソリストの素晴らしさは期待通りですが、オケ伴奏の素晴らしさは期待を凌駕していました。繊細な表現・アンサンブルが絶妙で、どっぷりとマーラーの美の世界にひたらせてもらいました。今までの都響のマーラー演奏の中でも、最上級だと思いました。
対訳:
http://www.ne.jp/asahi/jurassic/page/talk/mahler/ruckert.htm
ブレイクの後はマーラーの交響曲第5番。この曲は決してマーラーの最高傑作ではないと思うのですが、なにしろ第4楽章のアダージェットが有名で、TVドラマのバックでもよく流れていますし、最近では東京駅リニューアルのCMのバックに流れていました。私はこの曲を聴くと、どうしてもヴィスコンティの「ベニスに死す」を思い出します。月刊都響の解説を読むと、この曲はマーラーがアルマにあてたプロポーズだそうですが、どうしてもそうしたハッピーな曲想ではなく、死と連結した異様なベニスの街や海岸の美しさや美少年の映像とこの曲が連動してしまいます。
今日のコンマスは矢部ちゃん、サブはゆづき。高橋さんのトランペットソロで曲がはじまります。相変わらずインバルは細かいところまでびしびしオーケストラをドライヴして、独自の音楽を構築していきます。これがマーラーらしいマーラーなんだという確信に満ちていて、私たちは「ああそうですか そうですよね」とねじふせられてしまいます。
交響曲1番~4番までは、どんどんあふれるように楽想が湧き上がってきたマーラーですが、第5番に至っておそらくスランプに陥ったのではないかとおもわれるくらい地味な楽想しか浮かんでこなくなって、さぞかし困っただろうと思います。ただ第4楽章だけは奇跡のような美曲です。都響の演奏は横浜・芸劇とやって3回目ですから、非常に練り上がっていて、第5楽章など見事なものでした。特に鷹栖さん(オーボエ)や久一さん(ティンパニ)の演奏は聴いていてスカッとします。
第3楽章が終わった後、インバルが楽屋に引っ込んだのにはびっくりしました。いままでこんなことはなかったので、ええっ 突然の体調不良!・・・と心配しましたが、多分汗をふいて水分を補給しただけで再登場(ハンカチを忘れたのか)。
終了後はフラブラ。まあこのての終楽章ならフラブラもいいけど、奇声じゃなくてもう少しまともな声でお願いしたいものです。照明が明るくなってから、オールスタンディングでの拍手。マエストロ・インバルはトランペットの高橋さんとコンマス矢部ちゃんを呼んで、3人で肩を組んで拍手に応えていました。難曲を全力投球でねじ伏せたという感じでしたね。
こんな曲です
アダージェット:http://www.youtube.com/watch?v=Fvb1ITRFXhc
全曲:http://www.youtube.com/watch?v=URKGIa0b_jI
ベニスに死す
http://www.youtube.com/watch?v=6XY3RFBQS58
http://www.youtube.com/watch?v=X4N8B1ggYc4
http://www.youtube.com/watch?v=y8uA2nZdOq8
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