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2012年9月21日 (金)

インバル都響新マーラ-ツィクルス爆演で開幕: 交響曲第1番@東京文化会館 

Photoついに都響新マーラ-ツィクルスがはじまりました。第一弾の交響曲第1番は東京芸術劇場→横浜みなとみらいホール→ ときて、今回の東京文化会館は3回目の公演です。

場内は満席で異様な雰囲気です。チケット完売でも空席があることはままあるのですが、今日は掛け値なしのぎっしりです。ステージには多数のマイクが林立しているほか、カメラも多数配置されていて、CDとDVDが発売されるようです。本日の指揮者はエリアフ・インバル、コンマスは四方恭子、サブは矢部ちゃんです。

交響曲第1番は若き日のグスタフ・マーラーが天才に任せて、次々と当時としては異様に斬新な音の世界をたたみかけてくる素晴らしい傑作です。しかしまず前半はその交響曲と深い関係にある、オーケストラ伴奏の歌曲「さすらう若人の歌」。バリトン歌手小森さんは永年ドイツで仕事をしてきた人だそうです。歌唱は私の気のせいかもしれませんが、傾向としては少し安全第一で遠慮がちだったように感じました。オーケストラもやや神経質に合わせようとしていたように思います。マイクとカメラは嫌でも目に入りますから、これもまあ致し方ないかも。前半はこの曲だけで、すこし尺が足りない感じですが、それもこれも後半にインバル都響一世一代のライヴ・レコーディングが待っているからでしょう。

後半はいよいよグスタフ・マーラー「交響曲第1番」です。インバルは指揮棒を2本もってステージに現れました。1本はチェロのトップに預けます。これは指揮棒がすっ飛んだときの予備なのでしょう。やはりこれもDVD撮影の影響か?

冒頭のハーモニクスから、どっぷりとマーラーの音世界にたたきこまれます。インバルはステージではあまり細かい指示はせず、ゆったりとしたテンポで、聴きどころだけはきっちりとコントロールするというスタイル。インバル都響は美しい旋律も変態的なポルタメントも自家薬籠中で「これぞグスタフ・マーラー演奏の規範」という、自信に満ちた演奏でした。

そして最終楽章は東京文化会館がぶっ飛びそうな大音響で驀進。オールスタンディングのホルンもかっこよく決まり、大迫力のコーダで、名人たちが全力を投入するとこんなすごい音楽ができるのだということを証明してみせてくれました。ライヴはこれでなくっちゃね。

綿密に計画されたレコーディングだったと思いますが、やはりライヴはスタジオ録音と違う熱狂と緊迫感があり、細かい点にばかり拘りすぎて流れを見失うようなことがないので、素晴らしい企画だったと思います。発売が待ち遠しい。

インバル先生、都響の皆さん、関係者の方々の奮闘に心から感謝します。

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参考: 第2稿での表題

第1部 青春の日々から、若さ、結実、苦悩のことなど

第1楽章 春、そして終わることなく
(第2楽章 花の章・・・最終稿では削除)
第3楽章 順風に帆を上げて

第2部 人間喜劇

第4楽章 座礁、カロ風の葬送行進曲
第5楽章 地獄から天国

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コメント

インバルさんはいつも予備の指揮棒を持ってきて、指揮台のあるときには指揮台の上、ないときはチェロの田中さんに預けていますよ。以前、確か都響の演奏会で興に乗って指揮棒をすっ飛ばしたことがあったからだと思います。
ちなみに、みなとみらいでは第4楽章の終盤でズボンを落ちてきていろいろと困った(1番の4楽章で豪快に動き回ったかららしい)ので、今回は3楽章の後、眼鏡を拭くふりをして、こそっとズボンをお腹の上まで上げていました。それをみて笑っていたのは私だけでしょうか?(非常にかわいかったので)
いや、インバルさん、とてもチャーミングですね。
2014年以降も年一回は来て欲しいものです。

投稿: PIYO | 2012年9月21日 (金) 15:50

> PIYO 様

>インバルさんはいつも予備の指揮棒を持ってきて、指揮台のあるときには指揮台の上、ないときはチェロの田中さんに預けていますよ

そうでしたか! 指揮棒 お客さんにあたらなくてよかったですね。

>眼鏡を拭くふりをして、こそっとズボンをお腹の上まで上げていました。

前の方のサイドでみていたので、よく見えました。
メガネはちゃんと拭いていました。あれだけ出ると、サスペンダーつけても厳しいのでしょうか・・・。

仕事を続ける気はあるようなので、また来てくれるでしょうね。都響を気に入ってるみたいだし。

投稿: monchan | 2012年9月21日 (金) 20:46

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