Eテレ 「シリーズ 原発事故への道程」
北総も福島第一原発の爆発の影響で、まだ高い放射能で立ち入り禁止の領域があります。これは私たちが住む団地の一部で、やっと最近ブルーシートがかけられました。半年以上放置されていて、子供が遊んだり、老人がベンチで本を読んでいたりした場所です。
原発関係のマスコミ報道は、特に5月頃まではなんとか事故を小さく見せようとしたものが多く、大きな違和感を感じましたが、その後はまともな番組も少数ながらあったようです。なかでもEテレの「シリーズ 原発事故への道程 前後編」は素晴らしい番組だと思いました。
http://www.nhk.or.jp/etv21c/file/2011/0918.html
http://www.nhk.or.jp/etv21c/file/2011/0925.html
http://blog.goo.ne.jp/baileng/e/e38d8661ef93f70986f4b0f2aa441492
http://www.youtube.com/watch?v=8X1vetjxx4I
この番組でわかったことは、福島第一原発の事故に最大の責任を負わなければならないのは、豊田正敏元東電副社長だということです。福島第一原発が建っている土地はもともと35メートルの高さがある海岸段丘だったので、理想的な立地だったわけですが、それをコスト重視で25メートルも削って原発を建てたこと(豊田氏本人がコストの点で削らずに建てることは困難だったと発言しています)。ターンキー契約(東電はキーを回すだけでよいというイージーな利点がある一方、地震・津波などに対応したオプションを注文することが困難)で原発を導入したことなどが大きな問題点です。高台につくっておけば、あるいはオプションで予備電源を高台に移動しておけば、今回の全電源喪失というような事態は回避されたに違いありません。
さらに当時から、豊田氏は原発関係者の間でも、安全性よりコストを重視する人として特異な人物だと認識されていたということで、おそらく彼が東電にこの考え方を浸透させて、安全性を軽視する文化というものを根付かせていったことが想像されます。事故後彼はいろいろと反省などを述べているようですが、一番責任がある人が「ああすればいい、こうすればいい」と上から目線で述べていることには大きな疑問を感じざるを得ません。まして、今の日本には正力松太郎のような指導者が必要だなどと述べているのは論外です。
もうひとつ驚いたのは、原子炉建設工事の担当者が、配管の溶接が大変難しい作業で、検査は通っても自信はなかったと発言していたことです。いくら圧力容器や格納容器が立派でも、これでは意味ないでしょう。
http://www.toyokawah.com/2011/05/blog-post_14.html
http://fpmario.doorblog.jp/tag/%E8%B1%8A%E7%94%B0%E6%AD%A3%E6%95%8F
これは余談ですが、私はなぜ千円札が、野口英世という出版したほとんどの論文が誤った解釈に基づいていたとされている学者の図柄なのかが疑問でした。適任と思われる日本で最初のノーベル賞学者である湯川秀樹氏は一度もお札になったことがありません。この番組を見てその疑問が氷解しました。湯川博士は正力松太郎と対立し、拙速な原子炉導入に反対して政府委員を辞任したという経歴があるのだそうです。なるほどね。それならなおさら、すぐにでも野口英世と差し替えるべきでしょう。
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