田部京子 シューマンプラス第6章
「月の夜」という曲は聴いたことがありませんでしたが、歌曲を編曲したものらしいです。歌で聴けばいいわけで、わざわざピアノ版というのもどうかと思いますが、いきなりクライスレリアーナというのもどうかということでアペリチフという感じです。
「クライスレリアーナ」はシンフォニックエチュードと双璧をなすシューマンのピアノ曲の傑作。すごいエネルギーとテンションが必要な曲なのでしょう。田部さんもピアノの前でしばし沈黙し、呼吸をととのえてから弾き始めました。彼女のピアノは若い頃から折り目正しいものでしたが、年を経ると共にますます堅固なコンクリート建築を思わせる頑丈なものになってきました。その中で旋律をゆったり歌わせるのも得意で、この曲の素晴らしさを存分に堪能できました。
ショパンの作品もおなじみの有名曲ばかりですが、クライスレリアーナがシューマンから献呈されたので、返礼としてシューマンにささげられたバラード第2番はかなりシューマン風だとあらためて思いました。田部さんの演奏は例によって、強固な骨格の中で情感と細やかな美しさに満ちた演奏でした。エルフルン・ガブリエルの暗い海に沈んでいくような演奏、イングリッド・フリッターの軽やかで自由に舞い踊るような演奏とは異なる、明瞭な輪郭感のある美しさをめざすものと感じました。
http://www.youtube.com/watch?v=GqsjPYTs1E8&feature=related
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