シママングースの子育て
民主党政権は「社会で子育てをする」という方針だそうですが、哺乳動物の場合母親が子育てをするのは必然です。しかし子供に授乳している時点ですでに次の子を妊娠しているというシママングースのような種では、母親が忙しすぎて子育てする暇がありません。短い期間に子供をどんどん産まざるを得ないというような環境で生活していることが原因なのでしょう。シママングースの母親は授乳期が過ぎると、子供を放棄してしまいます。では捨てられた子供達はどうするのでしょうか?
子供達は必死で兄貴を捜します。兄貴と言えば阪神タイガースの金本ですが、彼は若い選手達に技術を教え、きちんと面倒をみるので兄貴と呼ばれているのでしょう。シママングースの子供達も血縁の兄貴を捜すのではなく、指導者を捜すのです。それはそのへんをうろついているオスの個体なら誰でもいいのです。ただし弟子にしてくれとすがっていっても、すんなりと「ああいいよ ついておいで」というわけにはいきません。
兄貴は弟子をひとりしかとれないのです。ですから子供達は「僕はとても元気で、言うことはなんでも聞きます」と必死でアピールして、弟子入りを懇願します。こうして首尾良く弟子入りできればよいのですが、兄貴を見つけられなかった子供には死が待っています。兄貴は弟子がひとりで生きていけるまで面倒をよくみるそうで、餌の取り方を教えたり、危険から身を守ってくれたりします。
ミュラー博士らはプラスチックの殻に餌を入れてシママングースの兄貴-弟子達の各グループに与え、行動を観察しました。ある兄貴は弟子に「殻をかみ砕いて食べろ」と教え、別の兄貴は「手で殻を持って、石にたたきつけて割って食べろ」と教えます。また別の兄貴は「それは餌ではないから無視しろ」と教えます。弟子達は兄貴と別れてからも教わった方法を遵守し、1年後にもそれは変わらなかったそうです。そして彼らが兄貴になったときには、弟子となった子供達にその方法を教えます。
このような本能によらず教育による行動の伝承というのは、これまで人・サル・イルカでしか認められなかったもので、おそらく多くの哺乳類は伝統や文化をつくる能力があることを示唆しています。
(写真は兄貴=指導者の背中にしがみつくシママングースの子供 参照1 より)
参照
1)http://www.eurekalert.org/pub_releases/2010-06/uoe-mts_1061510.php
2)Corsin A. Muller and Michael A. Cant: Curr Biol doi:10.1016/j.cub.2010.04.037 (2010)
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