三浦友理枝リサイタル@和光市民文化センター
今日13日は三浦友理枝のピアノを聴きに、和光市まで行ってきました。私事ですが学生時代和光市の新倉というところに住んでいたことがあります。今そのアパートがあった土地は新倉パーキングエリアになっています。埼玉の田舎とはいえ、東武東上線の準急で2駅で池袋なので、とても便利なところではあります。
和光市民文化センター大ホールは簡素な造りではありましたが、かなり大きなホールで、ここでピアノリサイタルは大丈夫かと思いました。開始時間が近づくと結構人がはいってきて、とりあえず良かった。プログラムはショパン中心で、中にお得意のラヴェルをはさむという構成です。ブルーのドレスで登場しましたが、意外にとても小柄な方でした。この体でスタインウェイのフルコンサートを自在に操るというのは素晴らしいことです。
まずショパンのノクターンですが、期待を裏切らない演奏です。ただこちらの耳がなれていないのか、ピアノの問題か、あるいはピアニストの指のウォーミングアップの問題か、響きが少し悪いんじゃないかと感じましたが、2曲目以降は尻上がりにクリアになってきて、見た目の割には結構音響が良いホールだと思いました。
1曲目が終わると三浦氏がマイクを持って「今日は暖かくお天気も良いのに、究極のインドアであるコンサートにおいでいただいて有難うございます」とごあいさつ。以降も適宜マイクで楽曲解説をしていただいたのは親切で好感を持てました。
彼女のラヴェルは本当に宝石箱をそっと開いたかのような繊細な美しさで、すでにCDで知っているとはいえ(エイベックス AVCL-25440)、大きな感銘を受けました。びっくりしたのは後半のショパン:24の前奏曲です。ラヴェルではチリひとつない茶室の中から、完璧に剪定された美しい庭をみつめるという感じの演奏だったのですが、これは思い切り濃厚で激烈な演奏でした。といってもすべて彼女の計算のなかにはきっちり入っているのでしょう。決して暴走はせず、響きの美しさも1曲1曲細部にわたって綿密に配慮された上での演奏だと感じました。この曲のCDも4月に発売されるようです。
私の人生の中でも、少なくともベスト5にははいる大きな感銘を受けたリサイタルでした。アンコールの「エリーゼのために」も、このモンスターピアニストが弾くとこうなってしまうのか・・・と唖然とするようなニュアンスに富んだ演奏で、強烈なショックを受けました。ちなみに彼女は今年になってから生まれて初めて「エリーゼのために」を弾いたそうです。3月21日にBS日テレで「ベートヴェンが愛した女性たち」という特番をやるそうですが、そのなかでこのエリーゼは誰かという話題に添えて、彼女が「エリーゼのために」を弾くそうです。
http://www.bs4.jp/guide/music/elise/
三浦友理枝のサイト: http://www.yamaha-mf.or.jp/art/official/yuriemiura/
後記:4月に出たショパン前奏曲などのCDでは、この実演での濃厚な表現、激烈な情熱が希薄になって教科書的な表現に傾いており、ちょっとがっかりしました。あれだけラヴェルやドビュッシーで完璧なCDを制作した三浦友理枝ですが、ショパンはやや課題を残した感じがします。
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