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2010年3月 5日 (金)

米国という国は?

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アメリカ合衆国に行ってまず驚くのは、異常に肥満した人が多いということです。行かなくても、メジャーリーグベースボールのテレビ中継で観客席をみるとわかります。毎日マ・・・・ドで食事していればそういうことになるかもしれませんが、まさか多くの米国人がそんな食生活を送っているとは思えないので、私にとっては謎のひとつでした。

この本を読むと永年の疑問が氷解しました。米国では貧乏人にはフードスタンプという食券が配られるそうで、その食券が一食1ドルと少しくらいの少額なので、それで腹一杯になろうとすると、どうしても栄養価は無視してカロリーの高いマカロニ&チーズなどで我慢せざるを得ず、それが肥満を招いているそうです。他の国では飢餓になりそうな人々を太らせているというのも米国の凄さではあります。しかし驚いたのは、そのフードスタンプ受給者の数です。ルイジアナ州では、あのハリケーン・カトリーナが直撃する前の2004年の時点で、受給率が63.8%だったと記してありました。米国という国は一握りの金持ちが多くの国民を貧困に蹴落とし、メシだけはめぐんでやるとふんぞり返っている国です。

この本ではいろいろな米国の側面、たとえば医療・教育・社会保障・イラク戦争・刑務所などについて述べてありますが、どれも深刻な問題です。ひとつだけとりあげますと、米国では多くの学生が民間の高金利の教育ローンを組んで大学に進学しており、もし卒業後就職できなかったり、低賃金の職場だったりして返済が滞ったりすると、たちまちクレジットカードも持てないような身分になってしまい、下手をすると自己破産してしまうという気の毒な事実にはなさけなくなりました。私も苦労して借りた学費を返済した経験があるので、彼らの苦境には同情します。

米国会計検査院院長のデビッド・ウォーカー氏によると、2008年の時点で、米国公的給付プログラムの債務は50兆ドル(世帯当たり4400万円)だそうです。日本も財政が火の車で大変だと思っていましたが、米国はもっともっと大変だということがよくわかりました。これは米国債を大量に購入している日本にとっても対岸の火事ではありません。結局米国はインフレ政策をとらざるを得ず、日本は大きな影響をうけることになりそうです。

堤未果著 「ルポ 貧困大国アメリカ」 岩波新書1112 (2008)

堤未果著 「ルポ 貧困大国アメリカ II」 岩波新書1225 (2010)

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