ねこ耳少女の量子論
物理学はさっぱりわかりませんが、関心がないわけではありません。この本はおそらく量子論の最も低レベルの入門書(兼小説)だと思いますが、それでもシュレディンガー方程式は理解できませんでした(書くんだったらちゃんと説明してくれよ)。超ひも理論もみみずとゴム紐じゃさっぱりわからんぞ。・・・というわけで、この本を読んでも最新物理学がわかったような気分になれるわけではありません。ですから完全な失敗作。ただオチがネコなのが気に入りました。
現代素粒子論によれば、宇宙は16種類の素粒子からできているそうで、近い将来これにヒッグス粒子という新素粒子が加わり17種類になるそうです。最後のヒッグス粒子というのは他の素粒子の移動を妨害して、結果的に素粒子に「質量」を与えると予想されています。その存在を証明するために、ジュネーブ近郊の地下に山手線よりも巨大な加速器が建設され実験が行われています。
この実験には日本も巨額の研究費と約100人の研究者を投入しているそうで、日本人研究者によるブログもあります(↓)。
http://d.hatena.ne.jp/lhcatlasjapan/
ちなみにこの加速器によってブラックホールが形成され、その中に地球が吸い込まれることを恐れて、世界各地で実験中止を求める訴訟がおきているそうです。物理学者達によればそんなことはあり得ないそうですが。
ところでもうひとつ物理学で神秘的なのは、ダークマター(暗黒物質)の存在です。台風や渦潮では中心から離れるほど物質は遅れて動いています。しかし前世紀中頃ヴェラ・ルービンという女性天文学者は渦状銀河の辺縁が中心付近と同じ角速度で、まるでCDのように動いていることを発見しました。星やガスの間には真空の領域が広がっているのに、なぜ同じCDに貼り付けられているような動きになるのでしょうか? 彼女は真空と思われている宇宙空間には実は暗黒物質が充満していて、目に見える物質はその中に埋め込まれて動いていると考えました。
最近阪大の細谷教授がヒッグス粒子がダークマターと同じものだという説を提唱しているそうです(正しければ間違いなくノーベル賞らしい)。まあこの本のレベルでも理解できないのですから、私としては「縁なき衆生は度し難し」ということで最新物理学の理解はあきらめることにしましょう。
「ねこ耳少女の量子論」竹内薫著・藤井かおり執筆協力・松野時緒漫画 PHP研究所刊
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