性悪猫 by やまだ紫
やまだ紫さんは1969年デビューの漫画家・イラストレータです。私が知ったのはごく最近で、「性悪猫」という作品を読んで好きになりました。ところがなんと今年の5月に他界されたそうで、呆然です。でも亡くなられたことがきっかけで選集が出版されて、それで私のように出会うことができた人間もいるというのも縁なのでしょう。晩年は京都で大学教授をなさっていたようです。
イヌを社会的動物とすると、ネコは非社会的動物です。でもネコにだって母も子もいるし、友達や敵や恋人、それに飼い猫には飼い主もいるので、社会とは無関係には生きられません。「性悪猫」には、そういう微妙な感覚がうまく描かれています。人間にはイヌ派とネコ派がいると思いますが、ネコ派の人々にとっては、この「性悪猫」に書かれた言葉は、ひとつひとつ共感できるものでしょう。私も届いた日に3回も読んでしまいました。
内容は漫画と言うより、イラスト+「独白」という感じかな。こういう作品に出会うと、麻生内閣が計画した漫画博物館も、問答無用に無駄だというのはどうかと思いますね。内容次第によっては、貴重な作品を保管し閲覧に供すると同時に漫画をひとつの文化として盛り上げていく上で、よい企画だったのではないかと思います。
ネコはいろいろと含蓄の深い独白をします。例えば・・・
やさしく在ろうと努めたことが
誰の 何の 為になったろう
・・・ と思うとき
貴方は・・・
傷だらけだ
やさしさ なんかに こだわるうち
貴方は ちっとも やさしくなんかないんだ
たいていの やさしさは あとで 寒いもの
わたしなれば にげてしまうよ
「性悪猫」 やまだ紫 小学館やまだ紫選集 (2009)
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