都響のシベリウス交響曲第1番
シベリウス(1865-1957)は1891年にクレルヴォ交響曲をつくっていますが、なぜかこれはナンバーのついた交響曲としてカウントされず、交響曲第1番とされる曲は1898-1900年に作られました。
ウィキペディアによれば、「本作に着手する(1898年4月)直前の1898年3月にシベリウスはベルリンでベルリオーズの幻想交響曲を聴き、大きな感銘を受けたことを記している。そしてシベリウスは滞在先のベルリンで早速交響曲の作曲に着手したのだった。この頃のシベリウスは酒におぼれ浪費癖をおぼえ、自堕落な生活を送っていたのだが、この作品の作曲当初は酒も葉巻も控え作曲に集中した。しかしそれも長続きはせず、酒に酔ったあげく乱闘騒ぎまで起こしている。5月にはフィンランドへ帰り、国内各地を移動しながら作曲を進め、1899年の初めに完成させた。この年の初演の後、1900年に作品は改訂されている」とあります。
有名な2番、そして5番、7番などはときどき聴いていて、それぞれ静かな叙情と、悠然と盛り上がる美しい曲で好きなのですが、1番はあまり気に入った演奏がなく、すっかりご無沙汰していました。ところが名演奏は身近なところにありました。今回のマエストロ梅田が指揮する都響の演奏は、ほの暗い美しさと重戦車のように驀進する迫力を兼ね備え、ああこれがシベリウスの第一交響曲なのだと納得させられました。寺西甚之氏の解説によれば、この曲もあの「フィンランディア」と同様、ロシアの弾圧に対する愛国主義的な抵抗精神を表現したものだそうです。と同時にロシアの作曲家であるチャイコフスキーやボロディンの影響も濃厚にみられる作品です。
曲は佐藤路世氏のもの悲しいクラリネットのソロで静かに始まります。このメロディーは第4楽章のはじめにバイオリンで再現されますが、この雰囲気・・・くすんだ音ゆえのシベリウスらしい美しさ・・・がたまりません。第2主題もとても気持ちの良いもので、深い霧が晴れ上がるような感じです。その後の劇的な盛り上がりのすごさも都響ならでは。あと一息でベルリンフィルですね。マエストロ梅田(のだめカンタービレの裏指揮者)も、これだけシベリウスらしい美しさ満点で、スケールが大きく、かつビシッと引き締まった演奏で盛り上げたのはお見事というしかありません。
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