メンデルとヤナーチェク 草かげの小径にて
メンデルの法則で有名なグレゴール・メンデルが、エンドウマメの交配実験を行ったのは、ブルノ修道院の庭でした。その頃同じ修道院の聖歌隊で歌っていて、後に指揮者をやっていたのがレオシュ・ヤナーチェクです。チェコの西の方はボヘミア、ブルノなどがある東の方はモラヴィアで、かなり言葉とか文化には違いがあるようです。それにしてもこのような偉大な人物を輩出したブルノ修道院は偉大です。もっとも、永年ここはモラヴィアの宗教の中心であるばかりでなく、農業技術・科学・音楽・文化の中心だったそうです。
私がヤナーチェクの音楽に目覚めたのは、このCDの最後に収録されている「草かげの小径にて」というピアノ曲集を聴いたときでした。20世紀初頭にヤナーチェクは娘を亡くして、その悲しみがこめられた曲想に感動しました。各曲には表題がついています。まず2曲目「落ち葉」のメロディの美しさにうたれます。3曲目の「一緒においで」はシューマンの「謝肉祭」などの曲想に似ています。4曲目以下も深い悲しみにつつまれた美しい曲が次々と続きます。
「霧の中で」は表題の通り霧に包まれているような曲想で、新しい音楽的な試みもいろいろためされている曲だそうです。ピアノソナタ「1905年10月1日」は、大学の設立を目指してブルノの市民が暴動を起こし、死者が出たことを悼む曲。ヤナーチェク自身も民族運動には熱心だったそうです。ヤナーチェクも生きているうちは、メンデルと同様ほとんど評価されなかった悲劇の天才ですが、きちんと仕事ができる環境にあったし、少数ながらちゃんと認めていた人もいて、後に大ブレークしたというのも似ていますね。
このCDでピアノを弾いているパーレニーチェクはもう亡くなりましたが、モラヴィア音楽の大家で、とても濃厚な表情の演奏です。私は大好きで、同じ1972年の演奏のCDを、これ以外にもう1枚持っています(ジャケットは異なるが多分中味は同じ)。
スプラフォン ヴィンテージコレクション19 COCQ83826
パーレニーチェク ヤナーチェク:ピアノ作品集 \1,260
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