まぼろしの薔薇
大手択次はサラリーマンをやりながら、一生独特の怪しい耽美的な詩を書き続けた詩人です。このCDの序文で西村朗は大手択次について「大手択次の詩は、人を救わない。いわば麻薬のようなものである」と述べており、大きな限界のある詩人だと切り捨てる一方で、その詩人を熱愛することを宣言しています。
西村朗は現代の日本を代表する天才作曲家と言われていますが、その作品は伝統的なクラシックやJ-POPなどを聴いてきた私にとっては、難解すぎて楽しめるものではありません。しかし彼が大手択次の詩をもとにアマチュア合唱団用に作曲したこの「まぼろしの薔薇」他は、そのメロディとハーモニーの耽美的かつ清澄な美しさが際だっていて、とても分かりやすい音楽になっています。
作曲者もこの「伝統的な調性感、和声感にもとづく曲」は、自分としてはきわめて例外的な作品だと述べています。
作曲者自身が述べているように、この曲は必ずしも大手択次の詩に深く寄り添ってのめり込んだものではなく、清澄で平明なロマンティシズムの方向に振っています。そしてそれは成功しています。特に、IV孤独の薔薇 の静謐で弱々しいムードに何とも言えずのめりこみます。
VICG-50502 VICTOR
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