死の音楽
マエストロ エフゲニー・フョードロヴィチ・スヴェトラーノフ(1928年9月6日 - 2002年5月3日)はロシアの指揮者ですが、しばしば来日して演奏会を行っているので日本でも知る人は多く、ものすごい日本語のホームページまであります(↓)。
というわけで、このボードで紹介するなどおこがましすぎるのですが、びっくりのCDに遭遇したのでひとこと。
略歴:モスクワ出身。モスクワ音楽院に学ぶ。1955年からボリショイ劇場で指揮を執り、1962年に同歌劇場の首席指揮者に任命される。1965年からソ連国立交響楽団(現ロシア国立交響楽団)首席指揮者に就任。1979年からロンドン交響楽団客演指揮者を務めた。
そのCDは下記のもので、私が持っているのは1です。録音は1998年で彼が70才の時で、グリークの「オーゼの死」、ベートーヴェンやワグナーの葬送行進曲など、どうみてもテーマは「死」としか思えません。死とは何の関係もなさそうなアルビノーニのアダージョも聴いてみると、これがすごいのです。まるでオルガンのイントロが黄泉の世界から呼びかけているようなアレンジで、異様な世界に引き込まれます。
圧巻はベートーヴェンの「エロイカ」交響曲の第二楽章です。手元にある現代の指揮者ミハエル・ギーレンのCDでは13分43秒、往年の名指揮者クナッパーツブッシュのは15分38秒の演奏ですが、このCDではなんと20分58秒。それまでにたっぷり死の音楽を食わされているので、これがとどめです。これだけ静寂で深遠な淵に引きずり込んでくれるので、やはりすごい演奏なのでしょう。
死期を悟ったマエストロが遺した世界一贅沢な遺言状かも知れません。うらやましいといえばうらやましいかも。
1.Veheu(Nの鏡像)(Rの鏡像) CDVE04269 「Melody」・・・( )内 ロシア語なのですみません
2.a-ram/RUSSIAN SEASON/OCD034
3.“スヴェトラーノフ「哀~Sorrow」”DML(TRITON/DICC-26048)
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