鼻の穴の話 その1
鼻の穴は何のためにあるのか?もちろん鼻をかむためではありません。犬などは最低でも人の百万倍の感度の嗅覚を持っているとされており、しかもそれで得た情報を3次元的に再構築できる能力があることがわかってきています。犬を散歩に連れて行ったことがある人なら、彼らは景色よりにおいに強い関心があることはすぐわかるでしょう。
しかし、鼻の穴にはもうひとつ空気を吸うという重要な役割があります。魚にも鼻の穴があって、その嗅覚は、サケの場合など生まれた川のにおいを覚えているくらいすごい場合もあるのですが、彼らはもちろん鼻の穴から空気は吸いません。
魚が四つ足の動物になって陸に上がる過程で、ひれが手足になることは非常に重要であり、またこの変化は化石に残っているので詳しく研究されています。そしてもうひとつ重要なのが鼻の穴です。魚の鼻はにおいをかぐだけなので、鼻の穴は口の中に開口していません。それに対して両生類・爬虫類・鳥類・哺乳類などはすべて、鼻の穴が口の中に開口しています。すなわち内鼻孔があります。これはまさしく鼻で空気を吸うために必須の体の構造です。
特に哺乳類では、鼻の穴と口の間に立派な隔壁があって、鼻の穴はかなりのどに近い奥の方に開口しています。これは哺乳類というのは体温を維持するために、餌を食べている最中でも呼吸する必要があって、餌が内鼻孔を塞がないように奥の方に開口していると言われています。
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