植物って何?
生物を細菌・古細菌・真核生物の3つのグループに分けるのはまあいいのでしょうね。しかし、その真核生物をどのように分類するかというのは、今や大問題になっています。もともと生物の分類はアリストテレス・リンネをはじめ、形態の特徴を詳細に分析して決めるというのが普通でしたが、近年のDNA配列の解析などの研究成果によれば、これまでの常識を根本的に考え直さなければいけなくなってきました。
真核生物はこれまでは、動物・植物・原生動物などと分類されていましたが、新しい分類法では図のように8つのスーパーグループに分類します。これはまだ確定はしていなくて、他の分類法を支持する学者もいるようです。私たちヒトは、オピストコンタの後生動物の一種ということになります(なんとカビと同類)。
学校では、植物とは葉緑体をもっていて光合成を行う生物、と習ったはずですよね。ところがこの分類ではプランタというグループだけじゃなくて、多くのグループにパラパラと葉緑体を持つ生物が認められます(図の緑色の下線)。たとえば褐藻の昆布やワカメはプランタ(イネやコスモスなど通常の植物)とはかけはなれた系統であるにもかかわらず、葉緑体をもち光合成を行うことになります。逆に昆布やワカメに非常に近縁の生物で光合成を行わず、エサをとって生きる動物的生活を行うものが多く存在します。
そうすると植物というのは系統生物学的にはあまり意味のない言葉になります。要するにいろいろな進化の段階で、葉緑素を持つ生物を体内に取り込んで共生に成功した連中がいて、それらが個々に進化したものが植物だというわけです。もっと詳しいことが知りたい方は、ウィキペディアにきちんと記述されてありますので参照されてはいかがでしょうか↓。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%94%9F%E7%89%A9%E3%81%AE%E5%88%86%E9%A1%9E
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