「渋めのダージリンはいかが」へようこそ

Photo_20200222085301

「渋めのダージリンはいかが」

 メインルームへようこそ

********************************

サイエンス・都響(クラシック音楽)・JPOP・猫 etc.

********************************

=アネックスのご案内=

生物学茶話(Science):こちら1

フィクション(Fiction):こちら2

生物学茶話PDF版 こちら4  こちら5
(PDF版には、はしがき、ページ付きもくじ、巻末索引がついています)

すべてフリーですので、ごゆっくりどうぞ 

「生物学茶話:@渋めのダージリンはいかが」の紙本は九州大学理系図書館、京都大学理学部図書館、島根大学附属図書館、東京大学理学図書館、東京科学大学大岡山図書館、北海道大学理学部図書室、杏林大学医学部図書館、電子書籍としては国立国会図書館に収蔵されています。

#続・生物学茶話 タイトル一覧とリンク#  こちら

#都響 HP&SNS こちら

Hair follicle の本は Springer から出版したのでここには中身を掲載できませんが、アマゾンインターナショナルなどで販売しています。

入手が難しいかたは
https://morph.way-nifty.com/grey/2023/08/post-f37c78.html
の最下行に表示している連絡先にメールをしていただければご返事を差し上げます。

Imgaaa_20230907115301

| | | コメント (0)

2025年3月24日 (月)

Walk down the memory lane 15: サイモンとガーファンクル 「水曜の朝、午前3時」

Sg

Simon and Garfunkel
Wednesday Morning 3 AM (Live)

https://www.youtube.com/watch?v=PHiDVTk_8FY
https://www.youtube.com/watch?v=Mx-DPwKHbJw 

日本語訳

https://www.youtube.com/watch?v=A8cKMMpaQwM

サイモンとガーファンクルは1964~1970年に活躍したデュオですが、現在でもとても大勢の方々がカバーして Youtube などにアップしています。「Wednesday Morning 3 AM」は彼らのデビュー曲ですが、多くの人に愛されているとはいえ、サウンドオブサイレンス、明日にかける橋などにくらべると、それほど有名ではありません。なにしろさっき強盗してきた男の歌ですから。

サイモンとガーファンクルはやわらかくソフィスティケートされた美しいハーモニーで歌っていますが、ワイルドなブルーグラス風のアレンジで歌っている人たちもいて、歌詞の内容からしてそれもありだなと思います。

-------------------------------

ふたりで

Wednesday Morning, 3 A.M. 
Erik Benjaminsson
https://www.youtube.com/watch?v=z3fB5pmS8QQ 

Wednesday Morning, 3 A.M.
Bookends Minack Theatre
https://www.youtube.com/watch?v=oC07huLOpJY

Wednesday Morning, 3 A.M.
Moon Rambler & Johnny Parker
https://www.youtube.com/watch?v=orMXpL5Yjc4

Wednesday Morning, 3 A.M.
Agnes Eriksson Felicia Bellstrom
https://www.youtube.com/watch?v=dGv5oYYgpVs

Wednesday Morning, 3 A.M.
Jake and Dana Rohlfs
https://www.youtube.com/watch?v=lJak0I3l5S4

Wednesday Morning, 3 A.M.
Charlie Miller and Haley Seda
https://www.youtube.com/watch?v=pRwezV0xaXU

Wednesday Morning, 3 A.M.
Amelia Street
https://www.youtube.com/watch?v=4vt6J6lekJE

Wednesday Morning, 3 A.M.
Casey Wickstrom and Taylor Rae
https://www.youtube.com/watch?v=tQQ1y7A_Scg

Wednesday Morning, 3 A.M.
Anabela and Pedro Flynn
https://www.youtube.com/watch?v=RVBvolFt48A

Wednesday Morning, 3 A.M.
checkpoint:soul
https://www.youtube.com/watch?v=R_TALA62ha8

-------------------------------

ひとり二役

Wednesday Morning, 3 A.M.
Laura Currie
https://www.youtube.com/watch?v=MEzN9EVZypQ

Wednesday Morning, 3 A.M.
Jon Michael Swift
https://www.youtube.com/watch?v=sSZmYpvXFfA

Wednesday Morning, 3 A.M.
Yan Yansen
https://www.youtube.com/watch?v=N6P4yFcJRUc

-------------------------------

ひとりで

Wednesday Morning, 3 A.M.
Ivo Penders
https://www.youtube.com/watch?v=ogBimw4J8LM

Wednesday Morning, 3 A.M. *
an imaginary boy
https://www.youtube.com/watch?v=NgssQI4uEeg 

Wednesday Morning, 3 A.M.
Andrew Poirier
https://www.youtube.com/watch?v=81stlI7nM5k

Wednesday Morning, 3 A.M.
Scott Penick
https://www.youtube.com/watch?v=_WFc2aHcXJo

*I think it's nice

-------------------------------

Extra

April come she will 
Clémentine Dubost
https://www.youtube.com/watch?v=65e4ar1Rgtc 

April come she will
Chris Ulep
https://www.youtube.com/watch?v=c8dx4eLEc54

Kathy's song (Paul Simon)
Clémentine Dubost
https://www.youtube.com/watch?v=ONnpqVV1qc4 

 

| | | コメント (0)

2025年3月22日 (土)

私の不思議ノート 3: 季節の異常

私の異常ではありませんが、地球の異常というのも困ります。地球が温暖化しているという説に異論はありませんが、なぜ北極が極端に温暖化しているのかがわかりません。しかも日本の冬は寒冷化しています。これもなぜだかわかりません。寒い冬がことさら嫌いな私のような人間はどうすればよいのでしょうか?

今年の冬ははじめての経験がかなりありました。ひとつはこんなこともあろうかと買っておいた湯たんぽを初めて使用。使いだすと手放せなくなりました。耳とボブテイルだけがついているシンプルなものです。この中身の充電ゲルを発明した人に感謝。

Img_1051a

このほか薄手のキルティングブルゾンを就寝専用として着て寝るというというのもはじめてでしたが、おかげで寒くて眠れない日はありませんでした。また夜に暖房器具は使わなくて済みました。とはいってもこんなにコンベクターを使ったのもはじめてです。もう20年位使っていますが故障はしません。ただコネクターは非常に脆弱で着脱には覚悟がいります。とても気まぐれで暖かい時もあれば、寒いのにいっこうに動かなくて忘れた頃に起動したりします。スイッチオン後、忘れたころに起動するのは新品の頃からです。

冬の間(昨日まで)、ヒヨドリやイソヒヨドリはベランダに来てよくパンくずを食べたり、物干しに留まって景色を眺めたり、仲良かったり悪かったりいろいろありましたが、そろそろモードが変わって行動範囲を拡大し、あまりベランダには来なくなる季節が近づいています。イソヒヨドリのオスは常にひとりで放浪しているそうですが、春にはまた数日間団地を訪問してくれるでしょうか?

 

| | | コメント (0)

2025年3月20日 (木)

東京シティフィル演奏会(指揮高関xソリスト阪田)@ティアラ江東 

東京シティフィルはリハーサルを一部開放しているので、雷鳴と雪のなか昨日出かけた人もおられたそうで、彼らは本物のファンだと思います。本日は穏やかな天気で、久しぶりの住吉駅はA4のエスカレーターもピカピカの新品となって復活していてうれしい。途中に草野球場があって、そこのベンチでおにぎりを食べていると、カラスが一生懸命鳩を追っ払っていました、鳩は数が多いのでうざいのだと思います。お疲れさんと声をかけてティアラへ。

会場は今日も★完売★で盛り上がっています。

320cityphila

高関さんはプレトークでベートーヴェン「皇帝協奏曲」は幸福感が肝だというお話をされて、まあそういわれるとソリストの名人阪田も心得ましたということで、そういう音楽をサラっとできてしまうのが名人たる所以です。特に第2楽章など柔らかいタッチでマシュマロみたいな演奏を聴かせてくれました。そしてさらにフルートの多久和さんが実に柔らかい音色でサポート。フルートでこんな音が出せるんだと驚きました。万雷の拍手で阪田さんのソリストアンコールもあり(ラフマニノフ)。

休憩後のくるみ割り人形がこれまた素晴らしい演奏。マエストロ高関の秘密のひとつはリズム感覚だと思います。たとえば「花のワルツ」で彼の手はぐるぐると円運動をするんです。これはブンチャッチャにならないように配慮しているのだと思います。チェレスタやハープも含めて、すべての楽器が生き生きと音を出していて大変感動しました。

終演後、外に出るとオケトラが待機していました。

320a

>斎藤健太君 奥様のお顔が欠けている写真をXにアップしてはいけません

 

| | | コメント (0)

2025年3月18日 (火)

続・生物学茶話264:マウス脳のアトラス

私たちは左右相称動物ですが、ひとつしかない臓器もあります。代表的なのは消化管・消化管から派生した臓器・心臓・膀胱・ペニス・膣です。消化管は左右相称動物に進化する前からひとつだったと思われますが、それ以外はよくわかりません。では脳はどうでしょうか? 実はほとんど2つあると言っていいと思います。たとえば一つの出来事について記憶はひとつで良いのですが、海馬はきっちり2つあります。尾状核・被殻・淡蒼球・偏桃体・視床なども2つあります。大脳や小脳も構造を見ると実質2つあるといっていいと思います。大脳は脳梁、小脳は虫部という組織で左右がつながっている構造になっています。脳が2つあるという構造は魚類でも円口類でもはっきりしていて、さらに昆虫でも同様です。左右相称動物進化の最初期から脳があったわけではないので、なぜだかわかりませんが、この種の動物の行動様式にかかわる必然つまり収斂の結果かと思われます。

ですから脳の前後垂直断面(sagittal section)を正中線で制作すると、ほとんど空洞で主要なパーツはないということになります(図264-1、点線)。しかし困ったことに脳にはひとつしかないパーツ、たとえば脳下垂体、松果体、第3脳室などもあって、これらはすべて当然というか不都合というか真ん中にあります。このような問題があるので、説明用の脳の断面は一部パーツをずらして編集する必要があります。でなければ数枚の断面を表示しないといけません。

2641a

図264-1 脳水平断面の正中線付近はほとんど空洞(リンパ液)

そういうわけで図264-2などは、実際とは少しずれがあるかもしれません。これはマウスの脳ですが、同じ哺乳類なのにヒトとは著しく見た目に違いがあります。しかし短い進化の期間に著しい変化も可能というのが脳という臓器の特性なのです。たとえば Gnothonemus petersii という魚は脳の体積の半分以上を小脳が占めるという、通常の魚類とはかけ離れた形態の脳を持っています(1)。一見して違うのはマウスの場合嗅覚に関係した部分が大きいことです。これはヒトの嗅覚受容体遺伝子が400種くらいなのに対して、マウスの遺伝子は1130種もあるということで(2)、においをかぐことに関してはマウスの方が圧倒的に優れていて、脳でも嗅覚関連領域が大きな部分を占めています。そのかわりヒトでは大脳皮質が巨大になっています。

嗅覚は得意ではないジャンルだといってもヒトにも嗅球が小さいながらも存在しますし、図264-2に示したすべてのマウス脳のパーツはヒトの脳にもあるので、サイズ(量)という点を除けば、それほど質的にはフレキシブルではないとも言えます。魚類の脳も延髄・橋・小脳・中脳・間脳・終脳で構成されており、嗅葉・海馬・偏桃体・大脳辺縁系も存在することがわかっていて(3)、脊椎動物の始まりの頃に主要な構成は完成されていて、あとはどのパーツが強化されたり、弱体化したりというバラエティーが生じたに過ぎないという考え方もできます。とりあえず脳は「嗅球・大脳皮質・脳梁・基底核群・海馬・視床・視床下部・中脳・小脳・橋・延髄」という11のパーツ(図264-2)に分けることができます。

2642a

図264-2 マウス脳の垂直断面(sagittal section)

マイクロソフトの設立者のひとりでもあるポール・アレンは、2003年に1億ドルを寄付してシアトルにアレン脳科学研究所を設立し、マウスや人間の脳の切片画像を集めたアレン脳地図(Allen Brain Atlas)を制作して無料で公開しています(4)。これによって世界の脳科学者はとてつもない恩恵を受けています。

アレン脳地図は無数の切片にひとつひとつキャプションをつけた膨大なものですが、その1枚に日本語を付けたマウス脳のひとつの縦断面を図264-3に示します。ヒトの脳アトラスでは、あまりにも新皮質(大脳皮質)が巨大なために気づかないのですが、マウスのアトラス、たとえば図264-3をみると尾状核被殻・側坐核・淡蒼球・嗅結節が大きな存在感を示しています。またここでは一部しか見えていませんが、線条体も実は大きなスペースを占めています。これらの大脳基底核群はハウスキーピングな脳の機能にかかわるだけでなく、高度な機能を付加する上で重要な役割を果たしていると思われます。

2643a

図264-3 アレンの脳アトラス(マウス脳のひとつの垂直断面)

図264-4は嗅葉から小脳にかけて少し斜め上に切った切片の模式図です。なので側坐核とか視床下部は見えていません。マウスの脳の中心が視床と中脳であることがよくわかります。また脳全体のサイズに比べて小脳のサイズが大きいことがわかります。彼らは豊かな嗅覚と優れた運動能力を武器にして生きているのでしょう。脳のどの部分が発達しているかによって、動物はそれぞれの世界観や生き方・感じ方が全く異なります。ジャネット・ジョーンズは「脳の仕組みを理解すれば、馬が思い通りに動いてくれないのも、まるで自分の心を察しているかのように動いてくれるのも、すべて脳の原則通りなのだと実感できるでしょう」と述べています(5)。

2644a

図264-4 マウス脳の水平断面(模式図)

脳科学において核というのは中枢神経系における神経細胞の集合体を指します。図264-5はアレンのマウス脳地図(6)の1断面から視床をとりあげて、各部位の名前を付けた図ですが、ここで困るのは多くが背腹・前後・外内に「側」という接尾語をつけて名付けられていることです。どの順番になるかはわかりませんし、側をつけない場合もあります。すなわち順不同ということで、それぞれの教科書や文献によって名前がバラバラで略号も統一されていません。学術用語がこんなにいい加減なのは珍しいことです。その場その場で文献の定義にしたがって判断するしかありません。また図263-5についていえば、これは1断面なので見えていない部分もあります。

視床は感覚器官・大脳基底核・大脳皮質などをつなぐ中継部位であり、脳が高度の機能を持つにしたがってその配電盤としての機能は複雑になり重要さは増すことになります。視床各部位の機能は種によっても大きく異なります。たとえば前頭前野を持たない馬のような生物では前頭前野へ投射する、および前頭前野から投射する部位は無いはずです。

2645a

図264-5 アレンのマウス脳アトラスから視床付近の垂直断面

ヒトの脳は言語・科学・芸術を行う上で圧倒的に秀でていますが(残念ながら政治を行うにはまだまだです)、道を歩いていて周りに何があるかには鈍感で気が付かないことが多いですし(5)、嗅覚は貧弱、身体能力も貧弱、視野は前方のみ、磁場感覚もありません(多くの哺乳類も磁場感覚を持っていることが分かっています、7)。ジャネット・ジョーンズによると、ヒトは道を歩くときその目的にとらわれて、周囲に何があるか見逃すことが多いそうですが、私もその経験があります。笛吹川の東沢を歩いて西沢渓谷へ行く道を探していたところ、はっと気が付くと周りで多数のマムシが河原の石の上で休んでいました。噛みつかれたら死んでいたかもしれません。これが人間の脳の弱点の一つです。

動物はそれぞれ特徴のある脳を持っていて、それぞれの感覚でそれぞれの脳世界で生きています。それをよく理解しながら共存していく道をさぐるのも科学そして政治の役割だと思います。

参照

1)続・生物学茶話214: 弱電魚の小脳
https://morph.way-nifty.com/grey/2023/06/post-2c8c8e.html

2)生命科学DOKIDOKI研究室 第13話 味覚の進化を探る
https://www.terumozaidan.or.jp/labo/manga/13/report.html

3)m's Academe 魚の脳
http://m-ac.jp/living_being/animal/chordates/vertebrates/fish/brain/index_j.phtml

4)ALLEN BRAIN MAP Accelerating progress toward understanding the brain.
https://portal.brain-map.org/#

5)島田明宏 熱視線 馬と人間の脳の違いが面白い
https://news.sp.netkeiba.com/?pid=column_view&cid=50756

6)ALLEN BRAIN MAP
https://atlas.brain-map.org/atlas?atlas=2#atlas=2&structure=596&resolution=9.31&x=7767.999945746527&y=4023.9999728732637&zoom=-3&plate=100883869

7)「渡り鳥」の磁場感覚、哺乳類にも存在すると判明
https://wired.jp/2016/02/26/magnetic-field-perception-dog-eyes/

| | | コメント (0)

2025年3月16日 (日)

Erratum: ベティはひよどりじゃなかった

A_20250316230601

毎日ベランダに遊びに来てくれるベティですが、専門家に訊いてみると、どうもヒヨドリじゃなくてイソヒヨドリのメスらしいことがわかりました。すみません。お詫びして訂正します。

ここからは言い訳なんですが、なにしろ永年にわたってヒヨドリ(ジョージI世、Ⅱ世、Ⅲ世)がきてくれていたので、つい確認をおこたったわけです。それでもどうも変だなと思っていたんですが、友人が上記のように指摘してくれました。

イソヒヨドリは単独行動でつがいも距離をとるそうですが、オスと一緒にいるのをみたことがありません。オスは大変美しい「幸せの青い鳥」で(*)、つがいで行動していれば一発でわかるのですが・・・。

ベティはヒヨドリたちと、つかず離れずで行動しているようです。キャラ的にはヒヨドリを陽性とすると、イソヒヨドリはつつましくひそやかな陰性の鳥のようです。

*渋めのダージリンはいかが 幸せの青い鳥が団地を訪問
https://morph.way-nifty.com/grey/2024/03/post-74fad0.html


| | | コメント (0)

2025年3月13日 (木)

私の不思議ノート 2: 配電盤と幻聴

Img_1547

昨夜 夜中に起きて廊下を歩いたときに、久しぶりに電話のベルの幻聴がありました。

実は昨年の6月から12月まで、配電盤の下を通ると、必ずと言っていいくらい電話のベルの音が聞こえていたのです。これは意識して「鳴るぞ鳴るぞ」と身構えて通過すると聞こえません。無意識に通過したときだけ聞こえます。幻聴というのはありふれた病気ですが(1)、あることを契機として聞こえる、まして電磁波の影響でおこるというのはそうはないでしょう。ただ今年になってからはすっかり聞こえなくなり、昨夜めずらしく再現したというわけです。

自分自身が実験動物となって、人間にもテレパシーの能力があることを証明したようなものです。ある種の魚類にテレパシーの能力があることは、最初に東京医科歯科大学の研究者たちが報告し(2)、その後多くの研究者によってメカニズムも解析されて、広く認められています(3)。

ストレスを強く感じているときにはこの能力が高進し、軽減されると失われるというのは、大脳基底核や扁桃体が何らかのメカニズムで配電盤からの電磁波を感知して活性化されるものと思われますが、もちろんメカニズムはわかりません。

1)精神科医が解説!幻聴の正体と対処法
https://www.toyoda-clinic.jp/columns/auditory-hallucination/ 

2)Akira Watanabe and Kimihisa Takeda, The change of discharge frequency by A.C. stimulus in a weak electric fish., J. Exp. Biol., vol.40, pp.57-66 (1963)
https://doi.org/10.1242/jeb.40.1.57.
https://journals.biologists.com/jeb/article/40/1/57/20904/The-Change-of-Discharge-Frequency-by-A-C-Stimulus 

3)続・生物学茶話214: 弱電魚の小脳
https://morph.way-nifty.com/grey/2023/06/post-2c8c8e.html 

 

| | | コメント (0)

2025年3月11日 (火)

感想戦 3月11日のマーラー

昨日NHK 「感想戦 3月11日のマーラー」(1)を見て、あの日々のことがまざまざと蘇りました。それにしても新日本フィルが、当日演奏された ダニエル・ハーディング指揮 新日本フィルハーモニー交響楽団演奏 グスタフ・マーラー交響曲第5番の映像や音声を持っていることを知って驚きました。発売してくれというのは不謹慎なのでしょうか? この番組を放映したのであれば、NHKが買い取って発売することも可能なのではないかと思います。どんなに熟練した演奏者でも2度とできない演奏に違いありません。

当日私がいた建物は屋上にあった消火用の水槽が壊れて洪水になり、滝のように水が流れる中を、私は止まったエスカレーターを使って3Fから降りてきました。地上ではヘアーサロンのお客さんたちがエプロンをかけたまま外にでてきていました。

翌朝イオンに行ってみると、棚にはなにもありませんでした。この時のショックは今でも忘れません。

Imageb_20250311095301

Image_20250311095301

ペット用の食料もなかったので、やむなく関西に疎開させることにしましたが、スタンドがすごいことになっていてとてもガソリンを補給できるような状況ではありません。幸い足柄くらいまではいけるんじゃないかという量はあったので出発したのですが、予定通り東京を出るとガソリンも補給可能でなんとか関西にたどり着きました。神戸はどこのホテルも満員でしたが、幸い実家があったので疎開できました。私はどうしてもやらなければならない仕事があったので新幹線でもどりましたが、疎開する列車が満員なのにたいして、東京行の列車はほとんど誰も乗っていないのには驚きました。

当時メルトダウンなんてあり得ないなどとテレビ言っていた原発専門家たちがその後も生き残り、今また原発が国家の基幹エネルギーソースになろうとしているのは、なんという怠慢なのでしょうか。今の数十倍くらいマグマ発電に注力すべきだと思います。原発をやっていると、常に冷やしておかないといけない使用済み核燃料が全国にどんどん積み上げられ、これを捨てる場所もありません。どんなに防衛力を増強しても、超音速ミサイルで原発を破壊されたら、核兵器なんて使わなくても数分で日本に住める場所はなくなります。

1)https://www.nhk.jp/p/ts/EJZ4WJP433/

参照 ダニエル・ハーディングと3.11
渋めのダージリンはいかが 3月11日のマーラー
https://morph.way-nifty.com/grey/2012/03/post-55fe.html

Daniel Harding, Winner Philharmoniker
Mahler Symphony no.5
https://www.youtube.com/watch?v=HZjFSUYZSlI

 

| | | コメント (0)

2025年3月 9日 (日)

ヴェルディ・レクイエム@初台オペラシティ by 高関・東京シティフィル 

377

諸般の事情で免許を返上してから交通手段がコミュニティバスとなり(時刻表はまるで交通手段を提供していますよというアリバイつくりのようにまばら)、タクシーも土日と深夜はほとんどいないので、コンサート通いも特に酷寒の日ともなれば難行苦行になります。しかし東京シティフィルがベルディ・レクイエムを演奏するとなれば、久しぶりに重い腰を上げざるを得ません。

チケットはソールドアウトで開演前から初台オペラシティには熱気が充満していました。マエストロ高関は端正かつ力強い演奏を構築し、シティフィルコーアも見事に盛り上げてくれました。怒りの日のトランペット・バンダ隊は舞台後ろの閉鎖された客席左右に二人づつ。これは違和感ありましたね。やっぱり4人並ばないといけません。

ソリストの加納さんと青山さんはこのレクイエムにふさわしい名唱でしたが、ソプラノの中江さんとテノールの笛田さんはもう宗教音楽を逸脱した圧倒的な迫力でホール全体を支配していました。このふたりでブリュンヒルデとジークフリートを演じて「指輪」の日本人公演ができるんじゃないかと思いました。特に最後のリベラ・メは盛り上がりました。ブラボー高関&東京シティフィル。

3081a

終演後

左端はコンマス荒井英治さん マエストロ高関の右は

青山さん(Br)、笛田さん(T)、加納さん(Ms)、中江さん(S) 

3082a

指揮者アンコール

Photo_20250309105201

中江早希さん(本人のXより)

 

| | | コメント (0)

2025年3月 7日 (金)

続・生物学茶話263:半索動物の神経系

生物学でいう動物を大きく分けると、前口動物・後口動物・口と肛門の区別がない動物の3つのグループになります。ヒトは後口動物(新口動物ともいう)のグループにはいります(図263-1)。前口動物(旧口動物ともいう)のグループには万単位の種が存在する節足動物門をはじめとして非常に多くの門が所属しますが、後口動物に含まれるのは脊索動物・半索動物・棘皮動物の3つの門しかありません。これらの門がいつ分岐したかは先カンブリア時代のことなので謎のままです。

2621a

図263-1 後口動物の系統樹

このなかでもギボシムシとナメクジウオはかなり後口動物共通祖先の特徴を残した動物と考えられています。特にギボシムシはヒトでいえば脊髄神経に相当する神経索が背側と腹側にあるという特殊な生物で、背側にある後口動物と腹側にある前口動物の中間に位置する特徴を持つという点で、後口動物と前口動物の分岐点となる生物に近いという可能性を感じさせます(1)。ただし半索動物と呼ばれる要因となった口盲管(ストモコード)は脊索と相同ではないという指摘もあります(2)。

ギボシムシの形態や臓器は田川が公開してくれているので図263-2にお借りしました(3)。最も近い棘皮動物門の生物とは大きく異なりますが、幼生(トルナリア)はかなり似ています。さらに軟体動物の幼生(トロコフォア)とも似ています(4)。棘皮動物は変態するときに五放射相称になるので、後口動物の本来の形とはかけ離れた形態となります。しかし2015年にギボシムシの全ゲノム配列が解明されて、形態的にはかけ離れているように見える棘皮動物と実は近縁であることが明らかになりました(5,6)。

2622a

図263-2 ギボシムシの形態

ギボシムシに近いと思われる生物の化石がカンブリア紀の地層からみつかっています。その名前はユンナノゾーン(雲南の虫)。脊索動物の起源的動物という説もありますが、D.Shuらは半索動物としています(7)。そうではなかったにしてもギボシムシの祖先はカンブリア紀にも生きていたのでしょう。彼らはおそらく武器も防具も俊敏性も持たなかったので、吻という海底に穴を掘る道具を獲得して生き延びたのでしょう(図263-2)。

のどから袋状の口盲管(ストモコード)が伸びているのは半索動物の特徴ですが、これの機能は未知です。吻の主要な目的は穴を掘ることなので、強力な筋肉が存在します。さらに吻の内部にはヒトでいえば糸球体のような脈球があり、また心臓に相当する心胞があります。襟部には下に口があり、明らかに上下が識別できる左右相称動物です。口に続いて咽頭があり、ここから口盲管が吻にのびています。体幹部には中心に消化管があり、外から消化管につながる鰓裂があります。鰓裂があることが後口動物のアイデンティティーです。体幹にはその

ロペスらは主に in situ hybridization の手法を用いて神経マーカーの遺伝子発現を観察し、ギボシムシの神経系について詳しい調査を行いました(8)。まず汎神経マーカーの Elav の発現を3鰓裂期の幼生でみたところ、吻(proboscis)・襟(collar)・体幹(trunk) を通して背側中央に神経索があり、体幹には腹側にも神経索があることがわかりました(図263-3)。また吻の最後部皮膚近傍にはかなり神経細胞の密度が濃い領域がありました(図263-3 O、N)。

2623a

図263-3 Elav marker によるギボシムシ神経の探索

次にカテコールアミン(ドーパミン、ノルアドレナリン、アドレナリン)のマーカーであるチロシンハイドロキシラーゼの発現をみると、吻の前部と最後部、襟の前部、体幹最前部に強い発現が見られます(図263-4B・B’)。この図は生体のものですが幼生でもほぼ同じです。特に襟の前部にあるリング状の発現は顕著で、この付近にカテコールアミン系の神経細胞が集中し、散在神経系から逸脱しつつある神経システムの存在を示しています。

私が特に目を見張ったのはヒスタミンのマーカーであるヒスチジンデカルボキシラーゼの局在で、非常に明快な局在が吻後部および腹部神経索にみられます(図263-4E’)。ヒスタミナージックなニューロンはヒトでは脳の乳頭体に局在し、脳のほとんどの部位に投射して強い影響力を持っています。また胃はヒスタミンによって胃酸分泌をうながされます(9)。私たちの神経機能とも何らかのつながりがあるかもしれません。

襟前部の中抜き△の染色をよく見るとダブルになっています。これで思い出すのはクラゲの傘の円環神経系です。なんらかのつながりがあるのでしょうか?

グルタミン酸デカルボキシラーゼはGABA系ニューロンのマーカーは幼生のステージが進むほどはっきりとした局在を示します。図263-4G’は3鰓裂期のステージですが、吻の最前部と最後部、襟の最前部に局在がみられます。また発現している細胞の数が少ないので見にくいですが背側神経索とのどの後部にも染色がみられます(図263-4G’)。

2624a

図263-4 神経伝達物質マーカーの発現

ロペスらは神経ペプチドのマーカーについても調べています。その一部を図263-5で紹介します。汎マーカーであるPC2(prohormone convertase 2)やGPC(glutaminyl-peptide cyclotransferase)の発現が吻後部や襟前部にみられることは、神経伝達物質の分布とも考えあわせると、この領域がこの生物では神経によるコントロールセンターの役割を果たしていることを示唆しています(図263-5D’E’)。

さまざまな神経ペプチドが特異的な発現を示していることは、まだそれぞれの意味はわかりませんが興味深く感じられます。図263-5F’ のVLamide は、本文ではVIamide となっていて、どちらかがエラーだと思いますが、分布は非常に特異的で吻の特定の部域にしか発現していません。これはなにをやっているのでしょうか? 

Luqin は脊椎動物では失われた神経伝達物質ですが、ギボシムシでは立派に発現しています(図263-5G’)。NNFアミドは吻だけで発現しています。GnRH(ゴナドトロピン放出ホルモン)は背側神経索には全く発現が見られないにもかかわらず、腹側神経索では盛大に発現しているという興味深い特異性が観察されています(図263-5L)。

2625a 

図263-5 神経ペプチドの発現

これまで使ってきたマーカーよりさらに特異性が少ない汎用マーカーとして、シナプスによる伝達を行う細胞には必ずあるはずのシナプトタグミンのモノクローナル抗体を使った、3鰓裂期ギボシムシ免疫組織化学の結果が図263-6A~Eです。意外にも吻における神経細胞の密度が高いことがわかります。吻の内部では軸索が前に向かって伸び、辺縁部では外側に向かって伸びているように見えます。

図263-6Aとセロトニンの発現(図283-6、5HT)を比較すると、セロトニンは襟にダブルのリングそして体幹の最前部と腹側神経索の前半分に濃厚に発現することがわかります。腹側神経索と背側のセロトニン発現細胞は連結しています5HT-E。拡大図をご覧になりたい方は原著をみてください(8)。セロトニンは私たちの腸管蠕動運動にかかわっています。ギボシムシでも同じ機能があるとすればまさしく伝統の機能と言えます。ただ体幹の前半にだけ集中していることが気になりますが。

2626a

図263-6 シナプトタグミン抗体を用いた全神経の可視化とセロトニン

ロペスらの研究結果を見て私が感じるのは、ギボシムシの祖先はカンブリア紀からはじまった弱肉強食の世界を「吻」という新機軸に大量の神経と筋肉を投入することによって土遁術を身に着け、海底砂泥の中で生活することによって生き延びて現在に至っているのだろうということです。脊索動物は泳ぐことに集中したのに対し、ギボシムシの祖先は這うという生き方を一度も捨てなかったため、腹部神経索が現在まで保存されているのでしょう。川島らは様々な生物のゲノムを比較した結果、後口動物の祖先はギボシムシのような生物だったとまで言っています(11)。

 

参照

1)続・生物学茶話162:半索動物における神経誘導
https://morph.way-nifty.com/grey/2021/10/post-d2946f.html

2)Noriyuki Satoh, Kunifumi Tagawa, Christopher J. Lowe, Jr-Kai Yu, Takeshi Kawashima, Hiroki Takahashi, Michio Ogasawara, Marc Kirschner, Kanako Hisata, Yi-Hsien Su, John Gerhart,On a possible evolutionary link of the stomochord of hemichordates to pharyngeal organs of chordates., Genesis vol.52, issue 12, pp.925-934 (2014)
https://doi.org/10.1002/dvg.22831
https://onlinelibrary.wiley.com/doi/full/10.1002/dvg.22831

3)田川訓史 ギボシムシ海砂泥地に潜む面白い新口動物群 Kagaku to Seibutsu vol.55(5): pp.308-310 (2017)
https://katosei.jsbba.or.jp/view_html.php?aid=782

4)ウィキペディア:プランクトスフェラ
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%97%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%82%AF%E3%83%88%E3%82%B9%E3%83%95%E3%82%A7%E3%83%A9

5)Oleg Simakov et al., Hemichordate genomes and deuterostome origins., Nature vol.527, pp.459-465 (2015)
https://www.nature.com/articles/nature16150

6)私たちの遠い祖先の謎が明らかに!
https://www.hiroshima-u.ac.jp/koho_press/press/2015/2015_083_2

7)Shu, D., Zhang, X. & Chen, L. Reinterpretation of Yunnanozoon as the earliest known hemichordate. Nature vol.380, pp.428-430 (1996).
https://doi.org/10.1038/380428a0
https://www.nature.com/articles/380428a0

8)Jose M. Andrade Lopez, Ariel M. Pani, Mike Wu, John Gerhart, Christopher
J. Lowe, Molecular characterization of nervous system organization in the hemichordate acorn worm Saccoglossus kowalevskii., PLoS Biol vol.21(9): e3002242. (2023)
https://doi.org/10.1371/journal.pbio.3002242
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/37725784/

9)脳科学辞典:ヒスタミン
https://bsd.neuroinf.jp/wiki/%E3%83%92%E3%82%B9%E3%82%BF%E3%83%9F%E3%83%B3

10) Luis Alfonso Yanez-Guerra and Maurice R. Elphick, Evolution and Comparative Physiology of Luqin-Type Neuropeptide Signaling., Front. Neurosci., vol.14, (2020)
https://doi.org/10.3389/fnins.2020.00130
https://www.frontiersin.org/journals/neuroscience/articles/10.3389/fnins.2020.00130/full

11)川島武士 et al., ギボシムシのゲノムから考察する新口動物の起源
DOI: 10.7875/first.author.2015.117
http://first.lifesciencedb.jp/archives/11802


| | | コメント (0)

2025年3月 2日 (日)

私の不思議ノート 1:  ベッドからダイブ

Img_0091a

最近私は脳も体も疲弊していて、アルツもあることですし、何が起こるかわかりません。一応変なことが起こったら記録しておこうと思いますが、誰も興味がわかないことでしょうから気にしないでください。ミーナ お前は一応聞くよな💦

私は前の車をなぜか追跡していたのですが、その車がある場所で急停止したと思ったら、全速力でバックしてきたのです。私はあわてて全力で横っ飛びで地面にダイブしました。

で そこで目が覚めたら、私は全力でベッドから転落したらしく、でも幸運なことに布団と毛布をしっかりかかえたままダイブしたため、うつ伏せで下に毛布と布団がある状態でした。おかげで脛を少しすりむいたくらいですみました。体の下に布団があるということは、転落したのではなく、しっかり布団と毛布を抱えて180度回転する形でダイブしたのです。これはさすがに自分史上はじめてのことでした。

なぜ追跡していたかは理由があることは覚えているのですが、どうしてもその理由を思い出せません。全く寝覚めの悪い話です。これで思い出したのは風邪薬タミフルでマンションなどから転落する事件が相次いだことです。そのときはきっとこんな感じだったんだなと理解できました。私はタミフルやリレンザを服用していたわけではないのですが、別の夢を見ていたらベランダからダイブしていたかもしれないので、くわばら・くわばらです。

------------------------

日経メディカル(引用):抗インフルエンザ薬が処方された20歳未満の患者700例以上を対象に行ったアンケート調査で、異常行動はタミフルが処方された群(10歳未満)、リレンザが処方された群とも約15%で認められ、全体の80%以上は睡眠時または覚醒直後に発生していたことが分かった。
https://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/all/special/flu/topics/201310/533019.html

 

| | | コメント (0)

2025年3月 1日 (土)

ユリカモメ

A_20250301111801

上野公園のユリカモメです。

ユリカモメはカモメ科で学名は Chroicocephalus ridibundus

都鳥と呼ばれることもありますが、ほんとのミヤコドリはミヤコドリ科の Haematopus ostralegus


A_20250301112201

ほんとのミヤコドリ from wikipedia

東京都の鳥はユリカモメの方です。どうしてほんとのミヤコドリにしなかったのでしょう?

うちにくるベティ(ひよどり)とはお互いに個体認識ができる(私の方は怪しいですが、ベティは多分正確)くらいには親しくなりました。

この人はすごい ⤵

20102011201a

 

| | | コメント (0)

2025年2月27日 (木)

悪性リンパ腫の異常な増加

高倉健さん、松方弘樹さん、石ノ森章太郎さんらが罹患して亡くなった病気が悪性リンパ腫(1、2)ですが、近年この悪性リンパ腫が爆発的に増えていて、この現象は高齢化では説明できません。最近では今月21日に、青山学院大の陸上競技部の皆渡星七(みなわたりせな)さんの死亡が公表されました。最近話題になっている高額医療費の自己負担の問題も、継続的な治療が必要なこの病気の患者には、モロに引っかかってくると思われます。

Photo_20250227123801

図は国立がんセンターの統計ですが、これが不備です。情けないことに、Ⅹ軸およびY軸の数字が部分的に消えていて、私がY軸は元の表記を全部消して書き換え、X軸は元の表記と私が書き換えた表記を併記しました。国立がんセンターはもっとまじめにやってほしいと思います。もっとまじめにやってほしい点は他にもあって、図の茶色の線は罹患数なのですが、2016年までしかグラフがありません。データはあるに違いないのにグラフ化されていないと思われます。これはあまりにひどいじゃありませんか?

ともかく爆発的に増加していることは確かなのですが、何が原因なのかはさっぱりわかっていないようです。ただもともとは欧米では多く日本ではまれな病気だったことは確かなので、生活の欧米化が原因とは言われています。EBウィルス、ピロリ菌、メトトレキセートなどの関与も疑われていますが、これらでは近年の爆発的増加は説明できないと思います。

成人になっても激しく増殖している細胞は何種類かあって、それらの多くは癌化しないような対策がほどこされています。赤血球は脱核し、皮膚・毛髪細胞はケラチン化し、顆粒球は多型核化し、それぞれ細胞分裂が不可能な状態にすることによって癌化は防がれています。リンパ球は常時増殖している細胞ではないので、そのような特殊化はおこなわれていません。しかし負傷や感染など異常な事態になると増殖します。細胞が増殖すると癌化のリスクは増加します。それはDNAをコピーする際にエラーが発生するためです。

日本の研究者のグループは、患者のDNAを解析しBRCA1, BRCA2, ATM, TP53 の変異が悪性リンパ腫の発症に関係していることを報告しています(3)。

生活の欧米化で癌化のリスクは増すと言われていますが、リンパ球との関連はよくわかりません。ただワクチンを頻繁に接種すると、そのたびごとにリンパ球が増殖するので癌化のリスクは増加します。とはいってもワクチンを打つことのメリットもあるので、メリット―デメリットを数値化することができない現状では打つか打たないかの科学的判断は無理でしょう。

昨今はコメの値上げがとまらず、食生活の欧米化がますます進みそうで、これはさらに悪性リンパ腫を後押しすることになりそうです。本当に困ったものです。

参照

1)塚崎邦弘(がんプラス) 悪性リンパ腫 病型や悪性度、腫瘤の部位や大きさに応じた治療選択
https://cancer.qlife.jp/blood/blood_feature/article6523.html

2)山口素子 悪性リンパ腫 治療の進歩 日本内科学会雑誌 110 巻 9 号 pp.1939-1944 (2021)
https://www.jstage.jst.go.jp/article/naika/110/9/110_1939/_article/-char/ja/
https://www.jstage.jst.go.jp/article/naika/110/9/110_1939/_pdf/-char/ja

3)国立がんセンター プレスリリース 2022年
悪性リンパ腫の大規模ゲノム解析~単一遺伝子疾患型が存在する可能性~
https://www.ncc.go.jp/jp/information/pr_release/2022/0906/index.html

 

| | | コメント (0)

2025年2月24日 (月)

続・生物学茶話262:脳の不思議な世界(一色出版)について 後半

61srhidlhl_sl1000__20250224111201

第6章は脊椎動物に近縁な生物群の中枢神経系について述べられています。対象の動物(ギボシムシ、ホヤ、ナメクジウオなど)はみな非常に興味深く、この本の中心的課題を取り扱う章と言えます。しかしこの章のライターは調子に乗って話をどんどん進め、読者のわかりやすさを顧みないという悪癖があり、エディターがもっと手を入れて文章を整理し、わかりやすくするという努力をすべきだったと思います。異論はあると思いますが、個人的にはホヤは変異が著しいグループなので概ね省いて、ギボシムシとナメクジウオをメインに構成した方が良かったように思います。230ページの図14をみてもホヤの異様さはよくわかります。

ギボシムシ(半索動物)が脊索・神経管・下垂体・甲状腺とそれぞれ相同の組織を持つことがはるか昔から知られていたとは驚きでした。また運動ニューロンの軸索が交差するというのも興味深いお話です。軸索交差は私は合理的ではなく、進化過程の事情でやむなくそうなってしまったのではないかと思いますがどうでしょうか。

ナメクジウオが保有している4つの目のうち2つが前口動物型だというのは非常に興味深く、この動物が後口動物が分岐する前の始原的左右相称動物の特徴を保持していることを思わせます。体型的にも竹輪型です。

第7章はいよいよ脊椎動物の登場です。

260ページから261ページにかけて非常に重要なことが述べられています。従来脊椎動物の脳と無脊椎動物の脳は起源を異にするものであり、相同ではないと考えられていたのですが、近年の分子発生学の進展によって、両者を作る遺伝子の組み合わせがよく似ていることから、前口動物と後口動物の共通祖先の段階から始原的な脳が準備されていたことが明らかになったということです。

ロンボメア形成と脳の機能は、脳の形成過程を知る上で非常に重要であり、私も「続・生物学茶話212:ロンボメア」で取り上げました。興味のある方はご覧ください
https://morph.way-nifty.com/grey/2023/05/post-9ee757.html

私がこの本を購入した一つの理由は両生類の脳についてまとまった知識が欲しいと思ったからですが、それは空振りに終わりました。特にどうして両生類の小脳が魚類に比べて著しく退化しているように見えるのはなぜか知りたかったのですが、全く記載がなく、そもそも小脳に関する記載が非常にプアなのにはがっかりしました。おそらく著者が得意ではない領域だからだと思いますが、両生類の件については論文が非常に少ないのかもしれません。推察するに両生類は非常に限られた極限環境に生きる魚類から進化したため、その誕生の原点から小脳が退化した状態だったのでしょう。カエルやイモリより動きが鈍い爬虫類や哺乳類はいくらでもいますが、彼らは本来小脳がやるべき仕事を脳の他の部分で代替しているのかもしれません。

視床下部が終脳より前方という新しい考え方は興味深いものがありました。また円口類の終脳が非常に進化した構造を持つことにも驚かされました(多分収斂の結果だと思われます)。

第8章は魚類について。脊椎動物の繁栄の基盤は魚類によって作られました。魚類以外の脊椎動物は海から追い出されたいわば負け組の子孫です。脊椎動物成立直後の始原的イメージを継承する円口類と別れて顎を持つ魚類が生まれた後、初期に分岐した軟骨魚類(サメ・エイ)、普通に魚と呼ばれている条鰭類、私たちと条鰭類の中間にある肉鰭類(シーラカンス・ハイギョ)などが魚類に相当しますが、えこひいきなくフラットな分類学の目で見ると、私たち四肢動物を魚類に含めても不思議ではありません。

魚類の脳の構造は私たちの脳と非常によく似ています。特に橋・小脳・中脳・間脳・終脳という並びは同じです。延髄の構造は私たちより複雑で、終脳の前に臭葉があるなどの相違点はあります。ただ基本構造は同じでも各パーツの大きさには大きな違いがあり、環境に適応して脳のパーツのサイズを変えることによって、特に条鰭類は大繁栄してきたと言えます。この章を読むことによって私たちの脳についての基本的な知識を得ることができます。出発点は293ページの脳の俯瞰図です。でもこの図を見ていると、ヒトの脳は本当に奇形だなあと感じます。

ただこの章のタイトル「水生に最適化した脳の多様化」には違和感があります。魚類およびその祖先はすべて水生なのですから、水の中以外の環境はなかったわけですからこのタイトルの意味はよくわかりません。それに最適化したのに多様化するのはなぜと言いたくなります。ところで私たちの脳は陸生に最適化されているのでしょうか?

第9章は両生類かと思いきや、スキップして爬虫類。とはいえ爬虫類の脳についてはほとんど何も知らなかったので、いろいろ学ぶことができました。特にDVR領域についてのカルテンとブエイエスの論争は興味深く読みました。コラムのマムシは赤外線を感知するピット器官というのを持っていて、この情報は視覚の一部として認識されているという話は、全く知らなかったのでびっくりしました。若い頃に沢を歩いていると、周りに昼寝しているマムシがいっぱいいたことがあり、恐ろしい記憶が蘇りました。

第10章は鳥類の脳です。これは各部位がほとんど英語の3文字略語で表記されているので慣れるまでが大変です。例えば図6は日本語で表記してあるのは「大脳基底核」だけで、RA・NCM・HVC・CMM・LMAN・AreaX・DLMなどと並べられると、この本は一体どんな読者を想定しているのだろうと首をかしげます。最低でもどこかに略さないフルネームと略号の対照表を示すべきでしょう。

とはいえ鳥のさえずりを制御する脳の部位についての記述はとても興味深いものがありました。仲間のさえずりを模倣するための部位と、自分の独自性を加味するための部位が異なることなどがわかっているようです。鳥の鼻の穴の形から、いつ恒温化がはじまったかを推定するというお話にはちょっと感動しました。

第11章は脳研究のコアともいうべき哺乳類の脳についてです。膨大な知識がコンパクトにまとめられていて素晴らしい章です。さらに哺乳類の祖先動物にもふれられていて、ジュラ紀のハドロコディウムには立派な大脳皮質があったが、三畳紀のモルガノコドンの大脳皮質は非常に小さく、哺乳類に特異的な6層構造はできていなかったという情報は新知識でした。

ただ全体的な情報量としてはやや物足りないものがありました。なにしろクジラについてのモノグラフである次の12章よりもページ数が少ないのです。クジラの脳については全く知らなかったのであとでじっくり読んでみようと思っていますが、この本の構成として、両生類についての章がないのにクジラについて1章を割くというのはいかにもアンバランスで奇形的です。これがこの本の最大の欠点です。

フィナーレは第12章で人類に関するものですが、小難しい話はあまりなくて気軽に読める内容です。ただ私は毛の研究をしていたことがあるので、ケラチン遺伝子の周辺にネアンデルタール人由来の遺伝子が多いというお話にはびっくりしました。

人類の歴史は700万年前頃からはじまっているそうですが、400万年前頃に生きていたとされるアウスロラピテクスまであまり脳の進化はなく、250万年前のホモ・ハビリスから急速に進化したそうです。

最近スペインのマルトラヴィエソ洞窟で、ホモ・サピエンスがヨーロッパに現れるはるか以前に描かれた手形が発見されて研究されています(1)。これはもちろんネアンデルタール人によるものです。

Photo_20250224112601

1)Christopher D. Standish et al., The age of hand stencils in Maltravieso cave (Extremadura, Spain) established by U-Th dating, and its implications for the early development of art., J.Archael.Sci., vol.61 (2025)
https://doi.org/10.1016/j.jasrep.2024.104891
https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S2352409X24005194

 

| | | コメント (0)

2025年2月22日 (土)

続・生物学茶話261:脳の不思議な世界(一色出版)について 前半

61srhidlhl_sl1000_

脳の研究史からはじまって、脳の起源からあらゆる生物の脳について言及するという、まさしく動物の脳について知られていることを全面展開した内容豊富な本です。しかも学術的にきちんと書いてあるので気持ちいいですが、それだけにタイトルから想像できるような一般向けの本ではなく、生物学・医学を学ぼうとする学生あるいはマニア向けと言えます。

第1章はイントロダクションで、カハールとゴルジの論争などが書いてあります。ただ「心の研究」についての著者の意見や立場は明らかにされていません。

第2章で動物系統樹に沿った説明がされていますが、ここで「らせん卵割動物」とされている分類群が出版後大幅にリニューアルされたので改訂が必要かもしれません。腸管神経系について触れられていないのはやや不満があります。腸管神経系は腸を外界として認識し、運動機関として使用する、という脳のプロトタイプとして利用していた先カンブリア時代の動物群がいて、脊椎動物はそこにルーツがあると思うからです。

第3章はプラナリアの脳を中心としたお話で、この生物は栄養吸収を必ずしも腸に頼らないタイプの生物で、腸管神経系を発達させたグループとは別系統だと思いますが、脳を独自に発展させていったようです。体細胞の15%がニューロンだそうでちょっと驚きました。ここでは専門用語がバンバン出てくるので、かなりの知識がないと理解できないと思います。少なくともオプシンとイオンチャネルの関係については図を使って説明すべきだと思いました。

第4章は昆虫の脳についてです。まずこの章の執筆者である上川内あづさ氏・石川由希氏の文章の素晴らしさに舌を巻きました。わかりやすく退屈させません。必要な場所にわかりやすい図が配置されているところにも感心します。ハエの求愛歌の話とか、ハエは交尾したときに精液の味がわかるとか、ミツバチの連合学習とか、シロアリではカーストによって脳の構造が異なるとか、内容的にも興味深いお話が満載です。

第5章はほぼタコの脳についてのモノグラフです。現生動物で最大サイズの脳を持つのはダイオウイカだそうですが、タコの脳もあなどれません。マダコの視覚情報を処理するアマクリン細胞は2500万個あり、それに何しろ足(腕)は8本あってそれぞれの吸盤を制御できるというわけですから、人間には想像不可能なような運動・感覚神経の複雑な制御が行われているに違いありません。それに足には18万個の化学受容細胞があり、何に触ったかがわかるようです。

専門的になりますが、脊椎動物では最も原始的なナメクジウオから哺乳類に至るまでに2回の全ゲノム重複があり、たとえば体の構造を基本的に規定するHоx遺伝子も4倍になっているのですから、様々なバリエーションを作る上で有利でした。それに対して軟体動物ではそのような全ゲノム重複はおこらなかったそうです。にもかかわらずタコと貝では非常に形態が異なります。私たちの体の構造は基本的に魚のヒレを手足に変えると似たようなものなのですが、タコと貝にそのような類似性はありません。

タコのHоx遺伝子はなんとクラスターを形成せず分離して存在することがわかりました(下図)。一度も全ゲノム重複なく進化を成し遂げた理由としてトランスポゾンの作用と、RNA編集によってバラエティに富んだタンパク質がつくられたことが挙げられています。これはホヤについても同様です。ホヤのHox遺伝子もクラスターを形成しておらず、これによって他の脊索動物とはかけ離れた形態をとるようになったと思われます。

QRコードのリンクが切れていたのは残念。軟体動物は私たちとはかけ離れた体の構成を持つ動物なので、研究する意義などないのではないかという考えもあるかもしれませんが、アメフラシの神経やイカの巨大軸索が脳神経系の機能を知る上で果たした巨大な貢献を考えると、このような考えが愚かであることがわかるでしょう。ハエや線虫についても同様です。

2_20250222100101

 

| | | コメント (0)

2025年2月20日 (木)

竹田理琴乃 Eテレ クラシックTVに出演

Photo_20250220000601

今日のクラシックTV、竹田理琴乃(りこの)はやっぱり変な奴でしたが、司会が何しろ同じピアニストの清塚なので緊張したことでしょう。

はばたけ!若き音楽家2025 Eテレ 2025年2月20日 
再放送 2月24日(月) 午後2:00~午後2:30
https://www.nhk.jp/p/classictv/ts/14LJN694JR/episode/te/167PV3WNVV/ 

前世は鳥使いということで、選曲はモーリス・ラヴェルの「悲しい鳥たち」 なるほどね。
お見事な演奏でした。

動物たちと共に生きる人生ということで、私は彼女にはシンパシーがあります。

Chopin Piano Competition 2015
https://www.youtube.com/watch?v=YCKFM8BzIso&t=326s 

18th Chopin Competition
https://www.youtube.com/watch?v=aFqjPfnhtRY 

自己紹介
https://www.youtube.com/watch?v=imqVkVVeHIU 

X
https://x.com/rikono_takeda

Aa_20250220234201

----------------------

私の過去記事

2015 ショパンコンクール
https://morph.way-nifty.com/grey/2015/10/post-35ea.html 

竹田理琴乃(たけだりこの)ランチタイムコンサート@カワイ表参道コンサートサロン
https://morph.way-nifty.com/grey/2016/05/post-d2b6.html 

Chopin Piano Competition 2021
https://morph.way-nifty.com/grey/2021/10/post-4f2c45.html 

 

| | | コメント (0)

2025年2月19日 (水)

特濃ミルク8.2 カフェオレ

Photo_20250219182401

ここのタイトルが「渋めのダージリンはいかが」なので、さぞかし管理人も右京のように紅茶ばかり飲んでいる偏屈と思われるかもしれませんが、私はコーヒーも好きです。ただインスタントコーヒーのような苦味ばかりが感じられるものはあまり好きではありません。

このキャンディーはとてもまろやかな味で万人向けだと思います。ただびっくりするのは1日4粒までと書いてあることです(爆)。表には1日4粒目安としか書いてありませんが、裏には1日摂取目安量を守ってくださいと書いてあります。その理由が4粒当たり28mgのGABAを含んでいるからだそうです。GABAは脳血液関門を通らないので脳に影響はないと思いますが、なぜ4粒制限なのかは書いてありません。調べたところ、腸のGABA受容体が反応して腸の変調をきたす可能性があるようです。あと血圧が下がる可能性があります。

個人的には20粒くらい食べたことがありますが、何も起こりませんでした。なので4粒制限は自己責任で全く気にしていません。私の読んだ論文では1日3gを1か月摂取しても副作用は認められなかったそうです(1)。1日400粒食べても大丈夫ってことです。ただ砂糖がはいっているので、それはおすすめできません。

1)佐々木泰弘・河野元信   美味技術研究会誌 No.15:pp.32-37,(2010)
ギャバ(GABA)の効能と有効摂取量に関する文献的考察

https://www.jstage.jst.go.jp/article/bimi2002/2010/15/2010_32/_pdf

| | | コメント (0)

2025年2月11日 (火)

お知らせ

Imga-4

サラ 「これからぐっすり眠るんだから 静かにね」

私事のため1週間ほどお休みします。

 

| | | コメント (0)

2025年2月 8日 (土)

逆さであること

Img_1555a_20250208233001

ミーナは逆さの私を認識できるのでしょうか?

逆さと言えば「サカサクラゲ」を思い浮かべます。クラゲは生物学では刺胞動物といいますが、私たちとは最も体の構造が異なる生物群のひとつです。なにしろ脳に相当する神経細胞の集合体が、まるでダブルサークルのシーリングライトみたいな構造になっています。

サカサクラゲはその中でも変わり者で、学名はなんとカシオペア・アンドロメダという天空の名前です。傘を下にして逆さの状態で生きています。まあコウモリみたいなのもいるので、彼らだけというわけではありませんが。

800pxmed__cassiopea_andromeda__1

(藻類に住居を提供し、仕事をさせて安楽に暮らすサカサクラゲ Wikimedia commons)

サカサクラゲが逆さなのにはわけがあって、傘の裏側に藻類を飼っていて、藻類に光合成をさせてそのエネルギーをもらって生きているので、藻類が太陽の光を受けやすいように逆さになっているそうです。これはある意味究極の進化です。これができれば餌を探さなくてよいので一生遊んで暮らすことができます。泳ぐ必要がないのでエネルギーもあまりいりません。たまに泳ぐときには傘を上にして泳ぎます。

クラゲの刺胞は餌に毒を注入して食べやすくするためにあるのですが、サカサクラゲは餌はいらないので刺胞はないのかというと、なんと彼らは自分たちの安楽な生活を脅かす敵を追い払うために、毒針を周りにまき散らすというエグい武器として使っているようです。

クラゲに比べるとタコはずっと私たちと近い生物です。特に眼は私たちとそっくりで、私たちより優れている部分もあります。

Beatles: Octopus garden
https://www.youtube.com/watch?v=A7coEcXjd7Q 

Cover: Reina del Cid, Toni Lindgren, and Travis Worth
https://www.youtube.com/watch?v=A9U0g-5r4P0 

 

| | | コメント (0)

2025年2月 7日 (金)

石破政権 多子世帯への就学支援策を策定

Waseda_university_2014

すごいニュースが入ってきました。

===================

政府は7日の閣議で、3人以上の子どもがいる多子世帯について大学授業料を無償化するなどとした大学等修学支援法改正案を決定した。今国会に提出し、成立すれば4月から施行する。所得制限を撤廃することで、支援対象は約41万人になる見通し。

対象となるのは、扶養する子が3人以上で、大学、短大、高専、専門学校に通う学生がいる世帯。支援の上限額は、年間の授業料については国公立大が54万円、私立大が70万円。入学金は国公立大28万円、私立大26万円とした。これにより、授業料と入学金の家計負担が国公立は原則ゼロとなり、私立も大幅に減少する。 

【時事通信社】
===================

私ははるか昔からこのブログで、「少子化を克服するには多子家庭を差別的に優遇しなければならない」と言ってきましたが、わが国が崩壊の瀬戸際に追い詰められて政府がようやく重い腰を上げました。本来なら30年前からやっておくべき政策とはいえ、これは石破政権の大ヒットだと思います。野党も協力してこの法案を成立させるべきです。さらに子供3人以上の家庭は食料品の消費税をゼロにするべきです。そうするだけで、ひょっとすると出生率が大幅に上昇するかもしれません。

さらに会社には社宅や社員寮があり、役所には公務員宿舎があり、大学には学生寮があるのが当たり前の社会に戻すことができれば、人口は+に転じるに違いありません。ちなみに私が学生だった頃には、某銀行の青山の社宅(5LDK)に家庭教師のバイトで毎週お邪魔していました。

| | | コメント (0)

2025年2月 6日 (木)

ヒヨドリのベティ

うちのベランダには2022年まで長い間ずっと、冬になるとヒヨドリが遊びに来ていました。ジョージI世~ジョージⅢ世と名付けていましたが、おそらく親子で3代にわたって文化が伝承されていたと思います。

https://morph.way-nifty.com/grey/2022/02/post-26685e.html

ところが2023年の長期修繕で建物全体がメッシュで覆われてしまい、せっかくの伝承が破壊されてしまいました。それで2024年の冬には全くヒヨドリをみかけることはなくなりました。

とことが2025年になって、なぜか毎日またみかけるようになりました。2022年までは雄主導で、ときどき雌をつれてくるかんじでしたが、今年はどうも主に雌が来ていて、ときどき雄もつきあっているといるという風に見えます。雄雌は生物学的には判定できていないので推測にすぎませんが、とりあえずベティと名付けました。ベティは頭の毛が全く立っておらず、ヒヨドリらしい顔貌ではありません。

ベティとはまだ網戸越しにしか対面していませんが(写真がぼけているのはそのせい)、こちらを正面向いてじっと見ていることもありますし、口笛で多少のコミュニケーションはできていると思います。

Img_1020b

Img_1022

 

| | | コメント (0)

2025年2月 3日 (月)

続・生物学茶話260:筋層間神経叢のストライプ構造

解剖学は医学・生物学の基本ですが、その教科書はほとんどの内容が昔から知られていることというカビ臭いものです。しかし神経の配列はその中で例外的に知られてないことがまだまだ存在するというめずらしい領域です。腸管神経の構造もそのひとつで、2021年にパリ大学のシュヴァリエらのグループが腸管筋・筋層間神経叢(アウエルバッハ神経叢)のマクロな配列が、ニワトリではハニカム構造で、マウスでは格子構造であることを発表してから注目されるようになりました(1、図260-1、図260-2)。

2601a

図260-1 筋層間神経叢の特殊な配列を解明した研究者たち

2602a

図260-2 ニワトリとマウスの違い

スタンフォード大学のハムネットらは特に、マウスの腸管筋・筋層間神経叢が腸管が伸びている方向と垂直な方向にガングリオンが整列し縞模様を形成していることに注目しました(図260-1、図260-3、2)。シュバリエらも同じものを見ていたはずなのですが、このストライプ構造に気が付きませんでした。ミクロに見ているとわかりにくいのですが、ハムネットらは広い領域にわたって免疫組織化学による観察を行い、小腸及び大腸の全域にわたってあまねくガングリオンのつながりがストライプ構造になっていることに気が付きました。これは筋層間神経叢に限って見られる現象で、粘膜下神経叢(マイスナー神経叢)ではガングリオンの分布はランダムで、ストライプ構造は見られません(2、図260-3)。

盲腸に近い一部の大腸(proximal colon)では、ストライプが強く斜めに傾いている部分があります(図260-3D)。それでも類似する非連続性構造が存在することには変わりがありません。

2603a

図260-3 マウス筋層間神経叢はストライプ構造をとる

ハムネットらはさらに発生のいつの時期からこのようなストライプ構造ができてくるのかをマウスで調べました。その結果小腸では胎生14日目(E14.5)ではまだランダムですが、16日目(E16.5)になるとストライプ構造が形成されてくること、大腸では16日目ではまだランダムですが、18日目にはストライプ構造が形成されてくることなどが明らかになりました(図260-4)。これはストライプの間にある細胞がプログラム細胞死したためではないという研究結果も得ました(2)。出生後は小腸・大腸ともに急速に伸長するので、それに伴って神経節同士の距離は拡大し、それはストライプの幅が拡大するという形で現れます(図260-4)。

ハムネットらが所属するスタンフォード大学の神経外科研究室では、引き続きヒトについても研究を行い、マウスと同様ヒト胎生期において小腸でも大腸でも筋層間神経叢のストライプ構造が形成されることが確認されました(3)。ヒトの場合小腸では胎生14週目、大腸では胎生21週目くらいにストライプが形成されます(3)。マウスでもヒトでも小腸に比べて大腸の整列は遅れるので、ストライプ化の情報は前→後の方向に伝搬するものと思われます。

粘膜下神経叢ではこのようなストライプはみられないことから、ストライプはおそらく腸管筋の収縮にかかわっていることが予想されます。弱いシグナルがメリハリなく移動するより、同期によって強いシグナルが飛び飛びに発生しながら移動する方が腸の筋収縮には有利だと思われます。ストライプと言うのは2次元的な表現ですが、3次元的に言えば、腸管を中心として円盤が重なっているイメージになります。

2604a

図260-4 筋層間神経叢のストライプ構造は胎仔のうちに用意される

ストライプということで生物学者がすぐ思い浮かべるのはペアルール遺伝子でしょう。この遺伝子はショウジョウバエでみつかりましたが、体にストライプすなわち3Dでは円盤状の遺伝子発現をABABABというかたちで交互に行うことができます(4)。このようなホメオティック遺伝子はほとんどの生物が持っており、私たちの背骨もこの種の遺伝子によって各椎骨が正確に配置され(椎骨・椎間板・椎骨・椎間板というABAB構造)、末梢神経もそれにしたがって配置されます。したがって神経叢のストライプ構造もホメオティック系の遺伝子がかかわっているのではないかと予想されます。

先天的な神経叢の不良形成によって消化管の蠕動運動がうまくいかなくなるヒルシュプルング病という腸の病気があり、重篤な場合指定難病となっています(5)。ダーショウィッツとカルシュミットはこの病気が従来考えられていたような神経細胞が減少するだけでなく配置・ストライプ形成がうまくいかないために腸管筋の収縮に支障をきたす場合があるのではないかという仮説をたてました(図260-5、6)。

2605a

図260-5 ヒルシュプルング病の新しいモデル

実際にHOX11遺伝子の欠損により筋層間神経叢がうまくできないという報告があります(7)。 また RET遺伝子(チロシンキナーゼ活性を持つ受容体をコードする)とIHH遺伝子(インディアンヘッジホッグ)の両者に変異があり、ヒルシュプルング病または慢性の便秘患者を生ずる家系が報告されています(8)。IHH遺伝子をノックアウトしたマウスでは腸管神経叢のパターニングに異常が発生するという報告もあります(9)。

参照

1) Nicolas R. Chevalier, Richard J. Amedzrovi Agbesi, Richard J. Amedzrovi Agbesi, Yanis Ammouche, Sylvie Dufour, How Smooth Muscle Contractions Shape the Developing Enteric Nervous System., Front. Cell Dev. Biol., vol.9, article 678975 (2021)
https://doi.org/10.3389/fcell.2021.678975
https://www.frontiersin.org/journals/cell-and-developmental-biology/articles/10.3389/fcell.2021.678975/full

2)Hamnett R, Dershowitz LB, Sampathkumar V, Wang Z, Gomez-Frittelli J, De Andrade V, Kasthuri N, Druckmann S, Kaltschmidt JA., Regional cytoarchitecture of the adult and developing mouse enteric nervous system., Curr Biol. vol.32(20): pp.4483-4492. (2022)
doi: 10.1016/j.cub.2022.08.030.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/36070775/

3)Dershowitz, L.B., Li, L., Pasca, A.M. et al. Anatomical and functional maturation of the mid-gestation human enteric nervous system. Nat Commun vol.14, no.2680 (2023).
https://doi.org/10.1038/s41467-023-38293-z
https://www.nature.com/articles/s41467-023-38293-z

4)wikipedia: pair-rule gene
https://en.wikipedia.org/wiki/Pair-rule_gene

5)難病情報センター ヒルシュスプルング病(全結腸型又は小腸型)(指定難病291)
https://www.nanbyou.or.jp/entry/4699

6)Lori B. Dershowitz and Julia A. Kaltschmidt, Enteric Nervous System Striped Patterning and Disease: Unexplored Pathophysiology, Cell Mol Gastroenterol Hepatol., vol.18, no.2, no.191332 (2024)
doi: 10.1016/j.jcmgh.2024.03.004.
https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC11176954/

7)Shirasawa S., Yunker AMR, Roth, KA. et al., Enx(HOX11L1)-deficient mice develop myenteric neuronal heperplasia and megacolon., Nature Med., vol.3, pp.646-650 (1997)
doi: 10.1038/nm0697-646.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/9176491/

8) Sribudiani Y, Chauhan RK, Alves MM, et al., Identification of variants in RET and IHH pathway members in a large family with history of Hirschsprung disease. Gastroenterology vol.155: pp.118–129. (2018)
DOI: 10.1053/j.gastro.2018.03.034
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/29601828/

9) Ramalho-Santos M, Melton DA, McMahon AP. Hedgehog signals regulate multiple aspects of gastrointestinal development. Development vol.127: pp.2763–2772 (2000)
DOI: 10.1242/dev.127.12.2763
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/10821773/

 

| | | コメント (0)

2025年2月 1日 (土)

Walk down the memory lane 14: darcy117117

Img_1387a

Sarah and Mina(calico) on the comforter.
ミーナの肩を抱くサラ

darcy117117って、117117はまあ「いいないいな」だろうとは思いますが、darcy がわかりません。

================

画像は多分猫の祭壇で、骨壺もみえます。私の家にもこの種のものがあります。こういうちょっぴりハスキーで沈潜するアルトシンガーが最近はあまり見当たらない気がします。

The movie is probabpy a kind of the altar for her cats. There is a similar one also in my house. Her alto voice is slightly husky and has a feeling of grief.

--------------------

雨の街を 荒井由実

ユーミンが自分が制作した曲の中で最も気に入っているそうです。
It'a a rainy early morning. I walk down the street of silent city. The street lights are turned off one by one. Now, I feel I can walk to the far distance if someone may embrace my shoulders.

https://www.youtube.com/watch?v=fQk_UmIaDCw

--------------------

ためらい 増田恵子

中年にならないとわからない曲
A song for an affair of middle-aged lovers.

https://www.youtube.com/watch?v=MYug_NkrJyA

--------------------

鳥になって 中島みゆき

自殺をテーマにした曲
The theme of this song is the suicide

https://www.youtube.com/watch?v=AkgEVwtVINA

--------------------

黄昏のビギン 水原弘

ちあきなおみの曲だと思っていたら、オリジナルは水原弘
A love song in the age just after the world war II.

https://www.youtube.com/watch?v=c9AELpwjy_M

--------------------

涙そうそう BEGIN

Memories for the dead.

https://www.youtube.com/watch?v=cQpwzIpQYnI

--------------------

家族写真 森山良子

An old photograph of the family, with a cat movie.

https://www.youtube.com/watch?v=CgHMNu6lzmw

--------------------

わが麗しき恋物語 バルバラ

A song of a French singer, Barbara.
"Ma plus belle histoire d'amour"

https://www.youtube.com/watch?v=b9d9mjFkybQ

 

| | | コメント (0)

2025年1月30日 (木)

World music collection 24: Feuerwerk Philharmoniker

2_20250130114101

https://commons.wikimedia.org/wiki/File:%E8%B5%A4%E9%96%802.JPG

日本の大学は小泉政権以来転落の一途をたどっていますが、スピリットだけでもハーバードやスタンフォードに負けないでほしいと思います。東京大学の関係者を中心としたこのオーケストラ(東京大学フォイヤーヴェルク管弦楽団)は、まだ日本の大学だって死んではいないというところをみせてくれています。圧巻はまず2018年のショスタコーヴィチ交響曲第5番の演奏。

ティンパニの久一氏(都響)、コントラバスの池松氏(都響)、ヴィオラの須田氏(東フィル)、ピッコロの難波氏(日フィル)などプロの奏者も加わっているようですが、ともかくものすごい演奏です。

テンポが適切であるかどうかについては議論があり、私もこの交響曲の意図を逸脱するくらい速すぎるところがあると思いますが、それでも強引に引きずり込まれる迫力はあります。指揮は原田幸一郎氏。

Dmitri Shostakovich : Symphony No.5 in D minor
https://www.youtube.com/watch?v=9UvhAL81yLg&t=2502s

Dmitri Shostakovich : Symphony No.5 in D minor
第4楽章のみ
https://www.youtube.com/watch?v=34tCtfa9JIk

===================

Haydn : Symphony No.92 in G major
第4楽章のみ
https://www.youtube.com/watch?v=JQmfTq2JahA

L.v. Beethoven: Symphony No.6 “Pastorale” 1st mov.
第1楽章のみ
こちら1

ラフマニノフ ピアノ協奏曲第2番ハ短調
全曲 ピアノ:清水和音
こちら2

Khachaturian"Masquerade_Walts"
ハチャトゥリアン「仮面舞踏会」より ワルツ
https://www.youtube.com/watch?v=f2xb5d_0EUE

===================

HP:https://feuerwerk-philharmoniker.com/

 

| | | コメント (0)

2025年1月28日 (火)

西鋭夫(にし・としお) 新説・明治維新

Img_20250128144901

西鋭夫(にしとしお)氏はスタンフォード大学の教授だそうですが、本の冒頭その自分の大学の自慢からはじめるのは品がないと思います。ただスタンフォード大学など米国の一流大学に比べて、日本を代表する諸大学の予算が非常に乏しくレベルが低いというのは事実なので、そのことは受け入れざるを得ません。

この本は講演録だそうですが、言いたいことは一言でまとめられます。それは「明治維新とは、すべてイギリスのアジア戦略です」ということで、文章はとてもうまくまとめられていて、何のストレスもなくすぐに読めましたし理解もできました。

私が特に興味深かったのは、徳川慶喜が大阪城で維新軍を迎え撃とうとしたときに、イギリスのエージェントが通訳を連れてやってきて慶喜を説得し、逃げ出す手伝いまでして江戸に帰らせたというお話で、エビデンスが示されていないのは残念ですが、ちょっとびっくりしました。これが本当ならこの説得が契機になって、江戸城の無血開城につながったのでしょう。

でもより興味深いのは付録でついているコラム(p.69~)です。ここには著者がCIAのエージェントにならないかと誘われた時の様子が生々しく書いてあります。ほぼ決断しかかったとき、最後に日本国籍を捨てて米国籍を取得するように言われて断念したそうです。CIAの予算が年間10兆円以上あるとか、国会議員に10人以上のCIAエージェントがいるというのは多分本当でしょう。民社党の結党をCIAがサポートしたという事実は、米国国務省の資料公開で明らかになっています(1)。小沢一郎の失脚もCIAの工作でしょう(2)。CIAは政党や国会議員、そして現在では特にSNSのインフルエンサーたちと接触しているに違いありません。

著者の意見には賛成できる部分も多いですが、故三宅久之氏に強引に誘われたからとはいえ、安倍応援団に参加してしまったのはいただけませんね。


1)ウィキペディア:民社党
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B0%91%E7%A4%BE%E5%85%9A

2)板垣英憲 マスコミに出ない政治経済の裏話
https://blog.goo.ne.jp/itagaki-eiken/e/be8935d525a9ad223135074e5e9c7553

 

| | | コメント (0)

2025年1月26日 (日)

続・生物学茶話259: カハールの間質細胞(介在細胞)

海綿動物は先カンブリア時代から数億年以上子孫を残し続け、現在も大繁栄している地球上の生物の中で有数の勝ち組と言えます。細孔を多数作って餌と水を取り込みながら栄養をとり、私たちの胃とは大きく違いますが中央に胃腔と呼ばれる空間をつくって、そこに流し込んで穴(肛門)から排出するというのが基本の形です。彼らは数億年以上の期間独自の進化を行ってきたので、ウィキペディアの海綿動物の項目を見ると、まるで高度な美術品のような複雑な構造をもつ多くの種の形態に驚嘆します。

彼らの胃腔と私たちの消化管にはひとつ共通の役割があります。それはその中で微生物を培養して共生するということです。微生物に快適な環境を提供する代わりに、彼らが作り出す有機物を利用して餌が少ない時にも生き延びるなど様々なメリットを得ることができます。

ウルバイラテリア(始原的左右相称動物)の祖先は、非常にシンプルなチクワのような構造の原始海綿動物から進化した生物だったと思われます。進化する過程で筋細胞を分化させて腸(チクワの穴)の周りに配置し、腸のなかに水流を作ることができれば、シンプルな構造であっても襟細胞のように鞭毛で水流を作るより圧倒的に強力な水流を起こすことが可能です。この時点では前後はあっても上下左右はない生物でしたが、我々の祖先が餌として目を付けたのはおそらく海底に付着している生物でした。もし餌にできれば大変効率的ですが、問題なのは浮遊しているプランクトンを吸い込む場合と違って、食べたら別の場所に移動しなければいけません。つまり海底を這って移動しなければいけません。そのために上下の概念を取り入れ、体の下部にも消化管で分化の様式を確立した筋肉を配置して、苔様植物など海底に付着している生物がいる場所に移動できるように進化する必要がありました。その進化に成功した結果、体に上下の区別ができるようになると同時に左右という概念が発生しました。それはウルバイラテリアの誕生を意味します。

想像ばかりでも仕方がないので。実験結果に基づく話に戻しましょう。まずカハールの間質細胞はどこから発生してくるかという問題ですが、これはラ・ドゥアランの研究室で c-Kit マーカーとお得意のウズラ‐ニワトリのキメラを使った実験で、中胚葉(間葉系細胞)から発生することが確認されました(1)。腸上皮は内胚葉、腸管神経系は神経堤から発生するので、カハールの間質細胞は腸上皮、神経細胞、グリア細胞などとは別起源ということになります。このことはマウスでも確かめられました(2)。鳥橋によると、マウスでは胎生17日目頃までは平滑筋細胞とカハールの間質細胞は共通の祖先細胞の状態であり、それは18日目に平滑筋細胞とカハールの間質細胞に分かれてそれぞれ分化するそうです(3、図259-1)。ヒトの場合このタイミングは胎生9週目くらいからになります(4)。鳥橋は「おそらく、消化管という古い器官が進化の過程で固有の律動運動を獲得するなかで、ペースメーカー細胞として機能する特殊な平滑筋というかたちでICCが平滑筋細胞から分かれたのではないか」と述べています(3)。

2591a

図259-1 カハール間質細胞の分化

図259-1をみればカハール間質細胞の分化には SCF-cKit セットが必要と思われ実際にそうらしいのですが(3)、深部輪状筋(輪走筋)に埋め込まれているタイプの細胞(ICC-DMP)は SCF-cKit に依存しないとの報告もあり(5)、なかなか一筋縄ではいきません。神経叢と共存するカハール間質細胞ではリガンドであるSCFのシグナルをレセプターであるcKitが受けてチロシンキナーゼ活性を発動するわけですが、SCF のシグナルが来なくても常時c-Kitがチロシンキナーゼとして機能している場合、カハール間質細胞は癌化するようです(6)。

カハールの間質細胞の各消化管部位における分布を文献7に従って示しました(7、図259-2)。ここには示してありませんが食道における分布はほぼ胃の前半部に近いようです。小腸では縦走筋内部にカハール間質細胞がみられないのが特徴です。また輪状筋内部における配置が部位によって異なっています。食道と胃の前半部では筋層間神経叢にカハール間質細胞がみられません。

2592a

図259-2 各消化管部位におけるカハール間質細胞の分布

カハールの間質細胞は主として筋層間神経叢(アウエルバッハ神経叢)に存在しますが、図259-2のように輪状筋や縦走筋の内部にも筋細胞に交じって存在しており、また輪状筋よりも内腔に近い粘膜下層やマイスナー神経叢にも存在します。そして存在する位置によって形態も異なります(図259-3)。神経叢にあるタイプは多数の分枝を持ち、全体として網状の構造をとりますが(9、図259-4)、筋肉に埋め込まれているタイプは2極性の細長い形態となります。図259-3は参照文献8を参考に作成しましたが、たとえば神経叢にも2極性細長型のカハール間質細胞が存在するので8と異なる部分もあります。

カハールの間質細胞同士はギャップ結合(gap junction、図259-1)でつながっており、電気パルスや代謝活動を共有しています。神経や筋肉とどのような形でコミュニケーションをとっているかわかりませんが、両者の近傍で異なる形態をとるのでコミュニケーションの方式も異なるのかもしれません。

2593a

図259-3 カハール間質細胞の多様性

これは単なる想像ですが、もともとはカハールの間質細胞は縦走筋に埋め込まれているものだけであって、オンオフとペースメーキングだけをやっていればよかったのですが、輪状筋ができたことで制御が複雑となり、縦走筋と輪状筋の間で腸管神経系の統合的な制御を受けることになったと思われます。そしてカンブリア紀にはいると、脳神経系の制御を受けざるを得なくなりました。

2594a

図259-4 筋層間神経叢のカハール間質細胞 ニューロンはオレンジ色、カハールの間質細胞は緑色

カハールの間質細胞の分化と多様性について、より詳細で最新の知識が必要な方はスウィートらの総説が役に立つかもしれません(10)。

 

参照

1)Laure Lecoin, Giorgio Gabella and Nicole Le Douarin, Origin of the c
-kit-positive interstitial cells in the avian bowel., Development vol.122, pp.725-733 (1996)
DOI: 10.1002/(SICI)1097-0029(19991201)47:5<303::AID-JEMT1>3.0.CO;2-T
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/10602289/

2)H. M. Young, D. Ciampoli, B. R. Southwell, and D. F. Newgreen, Origin of Interstitial Cells of Cajal in the Mouse Intestine., DEVELOPMENTAL BIOLOGY vol.180, pp.97–107 (1996)
DOI: 10.1006/dbio.1996.0287
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/8948577/

3)鳥橋茂子 ICCの発生 顕微鏡 vol.40, no,3, pp.145-149 (2005)
file:///C:/Users/Owner/Downloads/KENBIKYO_final-2.pdf

4)Goran Radenkovic, Vojin Savic, Dejan Mitic, Srdjan Grahovac, Marija Bjelakovic, Miljan Krstic, Development of c-kit immunopositive interstitial cells of Cajal in the human stomach., J.Cell.Mol.Med., vol.14, pp.1125-1134, (2010)
https://doi.org/10.1111/j.1582-4934.2009.00725.x
https://onlinelibrary.wiley.com/doi/abs/10.1111/j.1582-4934.2009.00725.x

5)Iino, S., Horiguchi, K. & Horiguchi, S. c-Kit-stem cell factor signal–independent development of interstitial cells of Cajal in murine small intestine. Cell Tissue Res 379, 121–129 (2020). https://doi.org/10.1007/s00441-019-03120-9
https://link.springer.com/article/10.1007/s00441-019-03120-9

6)兵庫医科大学プレスリリース Gastrointestinal stromal tumor (GIST)および
カハールの介在細胞(Interstitial cell of Cajal; ICC) に関する研究
https://www.hyo-med.ac.jp/department/hpth/study01.html

7)小室輝昌 ICC研究の歴史と展望 顕微鏡 vol.40, no.3, pp.140-144 (2005)
https://www.jstage.jst.go.jp/article/kenbikyo2004/40/3/40_3_140/_article/-char/ja/

8)Petru Radu et al., nterstitial Cells of Cajal—Origin, Distribution and
Relationship with Gastrointestinal Tumors., Medicina vol.59, no.63. (2023)
https://doi.org/10.3390/medicina59010063
https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC9865743/

9)堀口和秀, 飯野哲 カハーの介在細胞の微細構造 顕微鏡 vol.40, no.3, pp.150-156 (2005)
https://www.jstage.jst.go.jp/article/kenbikyo2004/40/3/40_3_150/_pdf/-char/ja

10)Tara Sweet, Christeen M. Abraham, Adam Rich, Origin and development of interstitial cells of Cajal., Int. J. Dev. Biol. vol.68: pp.93-102 (2024)
https://doi.org/10.1387/ijdb.240057ar
https://ijdb.ehu.eus/article/240057ar

 

| | | コメント (0)

2025年1月25日 (土)

>石破殿 楽しい日本にはならないよ

A_20250124234201

小春日和で団地のサザンカは満開。ヒヨドリはうちのベランダで縄張り宣言。

人間社会の醜悪さをよそに、花鳥は元気です。

古市憲寿「やっぱりフジサンケイグループ代表の日枝さん中心とする経営陣が、1回全部どいてもらわないとこの問題は収束しないと思う」

堀江貴文「日枝に行かないと何の意味もないよ。みんな日枝の腰巾着なんだから」

村西とおる 相手の男が妻帯者であることに怒った母親メリーは烈火のごとく「娘を傷モノにした」とフジテレビに乗り込み、日枝さまに直談判したのでございます。驚いた日枝さまは、飛ぶ鳥を落とす勢いのジャニーズ女帝の前で為す術もなく白旗をあげ、今後はジャニーズの件は「日枝案件」として取り扱う、となったのでした。

玉川徹「日枝さんに会見に出てもらわないといけない。正直に話すというなら、日枝さんが参加することが必要」

フジテレビ社員説明会 「質疑応答で社員が涙ながらに、日枝(久)相談役を含めた経営陣全員の辞任を求める場面もあった」

フジテレビ労組要求 「日枝久取締役相談役、嘉納修治代表取締役会長、港浩一代表取締役社長の出席を伴う会見の実施を遅くとも今週中に発表、1月27日(月)には実施すること」

東京のエンタメの要である東京都歴史文化財団の理事長は、そのフジサンケイグループの総帥日枝久氏だし、東京文化会館の館長も日枝久氏です。

ジャニー喜多川という人についてウィキペディアを見てみると、彼は米国軍人として朝鮮戦争に参加し、退役後は米国軍事顧問団の職員として日本に移住して米国大使館に勤務していたそうです。つまり米軍のエージェントなんですね。こんな人が日本のエンタメの中心にいたわけです。

フジテレビの一件はともかくとして、自民党政権は貧富の差を広げるような政策ばかりに熱心だってこと。国民民主党が言ってる103万円の壁も、突破するとより貧富の差が広がるそうじゃないですか。大企業と連合は一体であり、彼らが損をするような政策は日本では実行不可能です。だけどそれをやらないとますます殺伐とした事件は増え、人口は減少し、エンゲル係数は増加するという結果は避けられません。ともかく自民党は経団連と、立憲は連合と距離をおかないと、どうしようもありません。トリクルダウンはないのです(1-5)。

1)朝日新聞 「トリクルダウンはなかった」限られた緩和の恩恵、増えたゾンビ企業
https://www.asahi.com/articles/ASSDZ3C2RSDZULFA01QM.html

2)浜田宏一氏証言 トリクルダウン起こせず
https://www.tokyo-np.co.jp/article/237764

3)世界不平等レポート2022  「トリクルダウン」は幻想であり、富裕層への増税は必然
https://www.businessinsider.jp/article/247566/

4)ロンドン スクールオブエコノミクス トリクルダウンは存在せず「富裕層を支援しても貧困層は豊かにならない」という研究結果
https://gigazine.net/news/20210109-tax-cuts-rich-no-trickle-down/

5)竹中平蔵 トリクルダウンあり得ない
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/172701

| | | コメント (0)

2025年1月21日 (火)

World music collection 23: Anna Fedorova

アンナ・フェドロヴァはウクライナのピアニストです。何度も来日しているのでご存じの方も多いと思います。ユリアンナ・アヴデーエワが優勝した2010年のショパンコンクールでは入賞にも至りませんでした。

聴衆との間に壁が全くない感じのフレンドリーな人で、最初から身構えることなくスーッと自然にはいっていける音楽が特徴です。竹田理琴乃などもそうですが、まるで親しい友人が自分のために弾いてくれているような錯覚を感じさせる芸風とも言えます。ショパンコンクールでカワイのピアノを使っていたので、このメーカーがお気に入りなのかもしれません。ショパンコンクールではじかれても、自分の芸風をしっかり持っていて、ファンがいればいいじゃないですか。

Anna Fedorova
Homepage:https://www.annafedorova.com/calendar
Interview:https://www.youtube.com/watch?v=m27WtxU4z8I

Imgfedorovaa

写真のCDのショパン・バラードは、まるで語り部が昔話を身振り手振りで語るような雰囲気です。そしてリスト:ペトラルカの3つのソネットは絶品。

I feel a kind of intimacy in her pianism, propably due to her affectionate persolality. It is as if a friend of mine is playing for me.

======

これは多分コロナの頃に、自分の家のピアノで配信してくれている動画です。ピアノの調子はあまりよくないですが、彼女の演奏スタイルからすると理想的とも言えるシチュエーションでほかに代えがたい演奏です。

Virtual Concert Hall
https://www.youtube.com/watch?v=HuXz09BOAKA

======

スタジオでのフルコンサートピアノ演奏。でも厚底サンダルでペダルを踏んでいるのが不思議な光景。

Chopin in concert
Chopin Nocturne in C sharp minor op.27 no.1
Chopin 3 Mazurkas op.50
Chopin 3 Waltzes op.34

https://www.youtube.com/watch?v=up_OjTBomj0

======

コンサートホールでの演奏

ベートーヴェン 月光ソナタ(ピアノソナタ第14番)
ショパン バラード第4番

Anna Fedorova performs The Piano Sonata No. 14 in C♯ minor "Quasi una fantasia" 月光ソナタ, Op. 27, No. 2 also known as the Mondschein sonata, composed by Ludwig van Beethoven followed by Ballade no. 4, composed by Frederic Chopin.

https://www.youtube.com/watch?v=r25Bg7y3HnA

======

ベートーヴェン 熱情ソナタ(ピアノソナタ第23番)

https://www.youtube.com/watch?v=9uj9g-eH0uw&t=215s

======

ショパン ピアノ協奏曲第2番

https://www.youtube.com/watch?v=r5HBECcWzEM&t=692s

======

モーツァルト ピアノソナタ K.333

https://www.youtube.com/watch?v=3pQtHWT29gs

https://www.youtube.com/watch?v=7p72nFohRjQ

======

ラヴェル 夜のガスパール

https://www.youtube.com/watch?v=82pfADW1j5k

======

ムソルグスキー 展覧会の絵

https://www.youtube.com/watch?v=UaRvJ3JEJ5Q

======

ショパン エチュード作品25-11

https://www.youtube.com/watch?v=eEVo_kqq4hM

======

 

| | | コメント (0)

2025年1月19日 (日)

配電盤

Img_0524a

サラ「何か用?」

Img_0525a

ミーナ「何か用?」

廊下のこの場所に来ると、猫たちがちょっと神経質になる気がします。この上には配電盤があるのでそのせいかなと思っていましたが、昨年私もその原因らしきものを知ることになりました。

生物にテレパシーが存在することは1963年に東京医科歯科大学(現在は東京科学大学)の研究グループによって発見されました(1)。ジムノティ目などの魚類は、電気ナマズのような強力な電気で採餌する(2)のではなく、微弱な電波を発してお互いにコミュニケーションをとることができます。

私はあるストレスのせいだと思うのですが、廊下のこの場所に来ると電話の音が聞こえるのです。不思議なことに「来るぞ来るぞ」と意識していると聞こえません。無意識に通り過ぎた時だけに聞こえます。脳がどういうことをやっているのか興味がわきますが、まだ幻聴の研究業績にはアクセスしていないのでメカニズムはわかりません。ただヒトにも微弱な電磁波を感じることができる能力があることは実感しました。

幻聴は半年くらい続いたのですが、ストレスが軽減した現在では感じなくなりました。

1)続・生物学茶話214: 弱電魚の小脳
https://morph.way-nifty.com/grey/2023/06/post-2c8c8e.html

2)続・生物学茶話159:電気魚
https://morph.way-nifty.com/grey/2021/09/post-898d9b.html

 

| | | コメント (0)

2025年1月18日 (土)

ホルンは歌う

天空に輝く冬空のオリオン
しかしそれらの星たちを支配するシリウスは宇宙の女王だ
マーラー交響曲第7番 第4楽章
谷あかねのホルンが響き渡り、宇宙が鳴動する

A_20250118131101

東京シティフィルのホルン軍団

 

| | | コメント (0)

2025年1月16日 (木)

ひろゆき

Hiroyuki_nishimura_202278

(写真はウィキペディアより)

ウィキペディアの西村博之の項目を読みました。一人の人物についてこれだけ詳細な記述があるのは見たことがありません。彼は言わずと知れた2チャンネルの創始者であり、YouTube動画やテレビでもお馴染みで日本人なら誰でも知っているような方ですが、今では4chanという世界的な掲示板も運営しているようで、世界にも名が知れるようになりました。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%A5%BF%E6%9D%91%E5%8D%9A%E4%B9%8B

彼は社会保障を重視するような思想の持ち主かと思えば、4chanは極右の拠点だったりして(ウィキペディアにはハーケンクロイツまで表示されています)政治信条はよくわかりません。日本はどうしようもなく没落してしまうという危機感から、今はパリに移住しています。彼が言っていることには正しいこともたくさんあって、たとえば「収入が400万円台で3人の子育てができるような社会でなければ国は滅びる」というのは客観的な事実で正しい主張です。

日本は敗戦後非常に苦しい時代から社宅・社員寮というのがあって、そこそこの企業はみんな社員に住宅を提供していました。公務員や教師にもそれぞれ公的な宿舎が提供されていましたし、学生には学生寮が提供されていました。みんな非常に安価で、国民が住む場所に困るようなことはなかったのです。それが今では超狭小住宅でもとんでもない家賃を支払って住むしかないようになったのは、政治の誤りとしか思えません。住居提供の復活と食料品にかかる消費税の撤廃を行えば生活は相当楽になります。さらに高校無償化までやれば、400万円台で3人子育てが可能になるでしょう。

東京の住居が異常に高いのは外国人が投資で買っているからで、日本人にとっては非常に迷惑なことです。これには制限をかけるべきでしょう。築地市場跡などは社宅用の土地という制限をかけて、日本の企業に払い下げるべきでしょう。日本が住みよい国になるには、東京の不動産価格の暴落はどうしても通らなければいけない関門です。

ウィキペディアの西村博之の項目の中に、goo や infoseek はシステムとして非常に優れていたのに google に完敗したのは法制上の問題のためだという話がでていましたが、これなどは日本の政治の脆弱さの証明でしょう。それより大きな問題は、日本の小売がアマゾン(そしていずれTemu)に支配されるようになってきたことです。郵政民営化するなら、何故その時に郵便局に小売りをさせなかったのでしょう。

電話はガラケーで十分で、動画や文章はタブレットでみるようなシステムになぜできなかったのでしょう。スマホで日本が負けるとわかったときにそう決断すべきでした。文化的にも健康上もその方がよかったでしょう。これらのことができなかったのは、すべて日本がグローバル標準の中で生きていこうという思想に、政府も官僚も会社経営者もガチガチに凝り固まっていたことが原因になっています。

トランプが唯一正しいのはグローバル標準を捨てたことで、グローバル資本主義の本山である米国ですらそう決断したわけですから、日本はもう30年以上前からどうしたらグローバリズムを捨てることができるかを真剣に考えるべきだったのです。日本がやるべきことはまず資本の流入を制限することです。

水野和夫

閉じてゆく帝国と逆説の21世紀経済
こちら1

資本主義の終焉と歴史の危機
こちら2

今では遅すぎるかもしれませんし、ロシアがウクライナ戦争を始めたのも大きな痛手でした。ロシアはグローバル資本主義とは一線を画している数少ない国だったのでこれはとても残念。グローバル派のオバマ・バイデンらのウクライナでの工作が成功したのです。それでも日本は独自のグローバル資本の影響を排除した国家グループを作って生きていかなければいけません。中国はそこそこうまくやっていてお手本になります。ただし中国の傘下にはいると第2のグローバル資本に支配されるような事態になりかねないので、元の木阿弥にならないよう、うまく付き合うことが必要です。

自由な資本の出入りや自由貿易によって国際競争の中に企業がたたきこまれると、国家ができることはとても少なくなり、結局安倍時代のようにズルズルと負け戦を続けざるを得なくなってしまいます。それだけは避けるように石破政権にはしてほしいですし、野党にもお願いしたいと思います。まずはウクライナ戦争の終結に協力し、終結したらすぐにロシアとの外交を再開すべきです。JR東海のリニア新幹線はやめて、札幌‐稚内‐サハリン‐イルクーツクのリニアをやりましょう。

 

| | | コメント (0)

2025年1月13日 (月)

続・生物学茶話258: ドギエルⅡ型ニューロンの謎

しばらく腸神経について学習していますが、かなり立往生感が強く進みたくても進めないという状況が続いています。努力不足もありますが、結局のところすっきりとわかっていない部分が多く、もっと実験を積み重ねないと詳細についての理解は不能な領域だと思います。

腸管神経系にどんなニューロンがあるかについて概略は脳科学辞典を参考にして図258-1にまとめましたが、モルモットの小腸についてのリストですし、まだまだデータの蓄積が必要です(1)。タキキニンはサブスタンスP(substance P;SP)、ニューロキニンA(neurokinin A;NKA)、ニューロキニンB(neurokinin B;NKB)などの総称ですが、タキキニングループの物質は神経伝達物質としてもホルモンとしても作用するので、これひとつとっても一筋縄ではいきません。筋層間神経叢と粘膜下神経叢で細胞の形態・種類にかなり差があるのも不思議。

ひとつはっきりしているのは、筋層間神経叢におけるドギエルタイプIニューロンは腸管筋に接続するという役割を担っており、その収縮と弛緩に直接関与しているということです。さらにドギエルタイプIニューロンのうち抑制性のものはおそらく一酸化窒素を神経伝達物質として用いているというのは際立った特徴です(1、図258-1)。

2581a

図258-1 主要な腸管神経細胞の性質

神経科学者はどうも一酸化窒素を「神経伝達物質ひとつである」と定義するのを好まないようで、例えば脳科学辞典の一酸化窒素の項目をみると、確かに神経系におけるこの分子の機能をとりあげて詳しく解説していますが、神経伝達物質とは書いてありません(2)。通常の神経伝達物質のメカニズムとは全く異なる方式で情報伝達をおこなうためでしょう(3、図258-2)。図258-2Bのような場合、シナプス領域で得られた情報は軸索を逆行して細胞体に伝えられることになります(4、5)。

ならば軸索の先端などで一酸化窒素以外の情報も逆行することがありそうです(図258-2)。ベルトランドらは昔から腸神経のドギエルⅡ型ニューロンの軸索のターゲットは粘膜層であり、かつこのニューロンは求心性であると結論しています(6)。つまりこのニューロンはおそらく常時軸索を逆行した情報を得ているということです。最近ようやくドギエルⅡ型ニューロンの同定が正確に行われるようになったので、遅々とはしていますがいずれこの方面にも進展があるでしょう(7)。クラゲには双方向性のシナプスを持つ運動ニューロンが存在するという報告もあります(8)。

2582a

図258-2 逆行性情報伝達

図258-3は2004年にファーネスらが報告したドギエルⅡ型ニューロンです(9)。分岐し密生しているのは樹状突起ではなく軸索です。脳科学辞典の「軸索」という項目をみると「樹状突起と軸索と言う形態上の分類は、この機能と密接に関わっていて、一般に、樹状突起: 入力の場。他の神経細胞、感覚器官などから情報を受け取る。軸索: 出力の場。他の神経細胞、筋肉、腺などの効果器へ情報を伝える。と考えられている。但し、突起の中の部位による機能分化も存在するので、形態的分類と、機能的分類が単純に1:1で対応する訳ではない。樹状突起、軸索という分類は、基本的に形態上の名称である。」という記載があります。しかし図258-3を見ると、その「形態上の名称」というのも怪しくなってきます。少なくとも腸神経においては軸索とか樹状突起とかという分別はなりたたないのではないかと思われます。

「軸索」がこのような錯綜した構造をとるということは、それが特定のターゲットに情報を伝える、または情報を得るという目的からはかけはなれています。合目的的ではありません。プルキンエ細胞の樹状突起は錯綜していますが、あくまでも形態は樹状であり、多数の先端がターゲットに接続しています。ドギエルⅡ型細胞の錯綜した軸索はそういった性質のものではありません。

図中にgという部分がありますが、ここは近隣の神経節(ガングリオン)と接する部分を意味しており、このように長大で錯綜した軸索が実は複数の神経節で情報を共有または同期するためのツールであることを示唆しています。gの部分で特に構造が密になっていることは、その部分の情報量あるいは濃度を高める意味があるのではないかと思われます。

2583a

図258-3 ドギエルⅡ型ニューロンの形態

ドギエルⅡ型ニューロンは樹状突起が乏しいので、多分複雑な調節は苦手で、ひとつの軸索からの情報をほかの軸索に伝える(図258-4a-c)、細胞体のシナプスで受け取った情報を軸索に伝える(図258-4d)、他の神経節と接したときに電気的あるいは物質的に他の細胞に情報を伝える(図258-4e)、または受け取る(図258-4f)などの役割が考えられます。

図258-4a-c の情報は何かといえば、軸索が上皮直下の粘膜層まで伸びていることがわかっているので、やはり粘膜層の変形、化学物質、神経伝達物質を認識して興奮するのでしょう。

2584a

図258-4 ドギエルⅡ型ニューロンにおける情報の流れ

 

参照

1)脳科学辞典:腸管神経系
https://bsd.neuroinf.jp/wiki/%E8%85%B8%E7%AE%A1%E7%A5%9E%E7%B5%8C%E7%B3%BB

2)脳科学辞典:一酸化窒素
https://bsd.neuroinf.jp/wiki/%E4%B8%80%E9%85%B8%E5%8C%96%E7%AA%92%E7%B4%A0

3)続・生物学茶話132: 化学シナプスの実在とカルシウムチャネル
https://morph.way-nifty.com/grey/2021/03/post-bb9eed.html

4)ウィキペディア:一酸化窒素
https://bsd.neuroinf.jp/wiki/%E4%B8%80%E9%85%B8%E5%8C%96%E7%AA%92%E7%B4%A0

5)山下直也 神経成長因子による逆行性シグナル伝達研究の新展開 日薬理誌(Folia Pharmacol. Jpn.)vol.154,pp.84-85(2019)
https://www.jstage.jst.go.jp/article/fpj/154/2/154_84/_pdf

6)Bertland P. et al., Electrical mapping of the projections of intrinsic primary afferent neurones to the mucosa of the guinea-pig small intestine., Neurogastroenterology &Motility.,Volume.10, pp.533-542 (1998)
https://doi.org/10.1046/j.1365-2982.1998.00128.x
https://onlinelibrary.wiley.com/doi/epdf/10.1046/j.1365-2982.1998.00128.x

7)Timothy J. Hibberd, Wai Ping Yew, Kelsi N. Dodds, Zili Xie, Lee Travis, Simon J. Brookes, Marcello Costa1, Hongzhen Hu & Nick J. Spencer, Quantification of CGRP-immunoreactive myenteric neurons in mouse colon., J Comp Neurol. vol.530(18): pp.3209-3225. (2022)
doi: 10.1002/cne.25403.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/36043843/

8)P. A. Anderson, Physiology of a bidirectional, excitatory, chemical synapse., J. Neurophysiol., vol.53, pp.821-835 (1985)
https://doi.org/10.1152/jn.1985.53.3.821
https://journals.physiology.org/doi/abs/10.1152/jn.1985.53.3.821

9)Furness JB, Robbins HL, Xiao J, Stebbing MJ, Nurgali K. Projections and chemistry of Dogiel type II neurons in the mouse colon. Cell Tissue Res., vol.317(1): pp.1-12. (2004)
doi: 10.1007/s00441-004-0895-5.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/15170562/

 

| | | コメント (0)

2025年1月10日 (金)

千葉ニュータウンの冬

千葉ニュータウンは観光するところなどほとんどなく、飲み屋街、ライブハウス、コンサートホールなどもないベッドタウンです。しいて言えば車で買い物をする場合、ジョイフル本田、コストコ、カインズ、メガマックス、ケーズデンキ、島忠、東京インテリア、ニトリ、イオン、ドンキなど巨大店が多数あるので便利とも言えます。冬は東京より寒いです。

Img_0983a

駅からの何の変哲もない夕景ですが、これを撮影した直後に立っていた花壇の縁から転落して怪我(多分軽傷)をしました💦

Img_0988a

冬の風物詩 印西市のゆるキャラ 「いんザイ君」 のイルミネーション
サイの一種らしい

Img_0992a

去年の3月末にベランダにやってきたイソヒヨドリ(幸せの青い鳥)が、厳冬の今またやってきました。このベランダを覚えていたとしたら、とても頭の良い鳥です。毎年来てくれるとうれしい。渡りの途中に立ち寄ったのかと思いましたが、今回は季節が違うので実は漂鳥なのかもしれません。

 

 

| | | コメント (0)

2025年1月 9日 (木)

私の好きな写真

Img_3256a_20250109091301

そんなことを考えていたら 突然
私は見知らぬ街に放り出された
呆然と辺りを見回していると
サラがまっすぐにこちらにやってきた
そして私に「お前も仲間に入れてやるから、ここで暮らしな」
と相変わらず女王様口調で言った

いつの間にかミーナも現れて3匹で歩いていると
向こうの方にベンダーが見えた
先を歩いていたミーナが振り返って私に言った
「あの自動販売機まで せーので走ってみよう
あなただけが 私のヒーローだから」

私がミーナと走っていると
道ばたで坂井泉水が微笑んでいるのが見えた

"Hero" by Zard with English caption

https://www.youtube.com/watch?v=JJ13v49VbNk

Covers

https://www.youtube.com/watch?v=RuW3uPrYrsI

https://www.youtube.com/watch?v=XchFW34r3wU

https://www.youtube.com/watch?v=ZFQwAARIETU

 

| | | コメント (0)

2025年1月 5日 (日)

続・生物学茶話257: 腸神経細胞の形態学

腸管神経系の形態学については、19世紀の半ば頃にマイスナーがマイスナー神経叢(現在は粘膜下神経叢と呼ばれることが多い)、アウエルバッハがアウエルバッハ神経叢(現在は筋層間神経叢または腸管筋神経叢と呼ばれることが多い)を発見したことが端緒になっていますが(図257-1)、これらを構成する神経細胞の形態については、ロシアの神経学者アレクサンダー・ドギエルの19世紀末から20世紀初頭にかけての研究が現在でも基準となっています。しかし現在手軽に読めるドギエルの論文はとても少なく、唯一1895年の「Zur Frage uber den feineren Bau des sympathischen Nervensystems bei den Saugethieren」(1)という論文も4980円支払わないと読めないので諦めました。その代わりにエルランゲン‐ニュルンベルク大学のブレーマーの総説(2)を手がかりとして、腸神経細胞の形態学を探訪したいと思います。

2571a

図257-1 腸縦断面の模式図

図257-1は前回の図256-1と同じものです。256では腸の蠕動運動は神経がなくてもカハール間質細胞がペースメーカーとなって自動的に行われることを述べました(3)。では腸神経は何をやっているのでしょうか? おそらく先カンブリア時代からやっていたことが2つあると思います。ひとつは餌が腸にあることを感知して腸をはたらかせ、無い時には休ませるということです。これは大きなエネルギーの節約になります。いまひとつは有害なものを取り込んだときに排出する作業です。これらの作業を行うためには神経だけでなく、センサーとしての上皮細胞の分化も必要です。たとえば痛みを感じたときに全力で蠕動運動を開始することは有益だったでしょう。

腸神経がどのような形態をとっているかは現在でも完全には解明されておらず、議論の対象になっています。たとえば脳科学辞典の腸管神経系の項目には筋層間神経叢における一酸化窒素を神経伝達物質とする神経の形態が示されています(4、図257-2)。これによれば数個の細胞が近接して集合体を作り、それぞれの集合体は軸索や樹状突起を出して連絡しています(図257-2A)。また集合体は1種類のニューロンで構成されるのではなく、別の神経伝達物質を使用するニューロンも共存しています(図257-2B)。

2572a

図257-2 モルモット腸管筋神経叢の免疫染色

ドギエルが報告したとされている TypeI、TypeⅡ、TypeⅢ のニューロンの形態図が脳科学辞典にあったので貼っておきます(4、図257-3)。TypeI は普通のニューロンで、1本の軸索と多数の樹状突起がみられます。TypeⅡ は軸索が枝分かれしているか複数本あって、樹状突起は極めて少ないタイプです。TypeⅢ は軸索は多分1本ですが枝分かれしていて、樹状突起も非常に長く複雑に枝分かれしています。Portbury らが1995年に報告したTypeⅢの図には、軸索が消化管と並行の方向に延びていること、軸索が枝分かれして複数のニューロンに接続していることなどが示されています(5、図257-4)。

2573a

図257-3 ドギエルの古典的な神経細胞形態図と分類

2574a

図257-4 ドギエルTypeIIIニューロンの模式図

細胞の形態が現在でも議論になっているというのは珍しい例だと思いますが、ブレーマーは腸神経系のニューロンの形態をまとめた総説を2021年に出版しています(2)。その中で筋層間神経叢(アウエルバッハ神経叢)にみられるとされているニューロンの一部を図257-5に示します。

TypeI は樹状突起の形態によって"stubby"型と"spiny"型に分けられています。TypeⅡは軸索が複数あるタイプと枝分かれしているタイプがあり、さらに樹状突起があるタイプとないタイプがあります(2、図257-5)。複数の軸索状突起が本当に軸索かどうかについては、1990年にヘンドリクスらが軸索であることを電気生理学的にモルモットで確認しています(6)。その伝達読度は0.23m/秒ということです。腸神経のニューロンは一般的にミエリン鞘で覆われていないので、伝達速度は高速ではありません。実は図257-5では軸索はカットしてあり、最後までトレースすると異常に絡まりあったり分岐している長大で複雑な構造であることが分かっています(11)。

TypeⅡは変わったタイプのニューロンですが、ヒトの全筋層間ニューロンの10%位を占めコリナージックであること、カルレチニン、ソマトスタチン、サブスタンスP、CGPR(calcitonin gene-related peptide)などが検出されることなどが分かっています。TypeⅡのニューロンは実は感覚ニューロンで軸索における情報伝達が逆行性であることが示されているのですが(11)、両行性かもしれません。このあたりは稿を改めてとりあげたいと思っています。

TypeⅢもドギエルが1899年にモルモットの大腸にあることを報告しましたが、スタックがブタの小腸にもあることを報告したのは100年近く経過した1982年でした(7)。ヒトの小腸での存在が確認されたのは2004年です(8)。いかに腸神経系の研究が軽視されてきたかがわかります。TypeⅢの特徴は軸索は1本で、樹状突起がよく発達していて長いことです(図257-5)。TypeⅤはブタの小腸でスタックが発見しました(9)。ヒトにも存在することは確認されています。コリナージックなニューロンですが、樹状突起の途中から軸索が出ているように見えます(図257-5)。

2575a

図257-5 筋層間神経叢ニューロンの形態  ax:axon

ここまで述べてきた様々な形態のニューロンは、筋層間神経叢(アウエルバッハ神経叢)で見つかったものですが、では粘膜下神経叢(マイスナー神経叢)のニューロンはどのような形態なのかを図257-6に示します。筋層間神経叢のニューロンの形態もドギエルの時代から報告はあるのですが、それほど詳しくは研究されてないようです。軸索は概ね1本で、樹状突起は発達しているタイプとほとんどないタイプがあるようです(2、図257-6)。またコリナージックなタイプと一酸化窒素性を使うタイプがあります(2)。

2576a

図257-6 粘膜下神経叢ニューロンの形態

 

参照

1)Dogiel, A.S. Zur Frage uber den feineren Bau des sympathischen Nervensystems bei den Saugethieren. Archiv f. mikrosk. Anat. 46, 305?344 (1895).
https://doi.org/10.1007/BF02906657

2)Axel Brehmer, Classification of human enteric neurons., Histochemistry and Cell Biology vol.156, pp.95-108 (2021)
https://doi.org/10.1007/s00418-021-02002-y

3)続・生物学茶話256: 蠕動運動
https://morph.way-nifty.com/grey/2024/12/post-d46b60.html

4)脳科学辞典: 腸管神経系
https://bsd.neuroinf.jp/wiki/%E8%85%B8%E7%AE%A1%E7%A5%9E%E7%B5%8C%E7%B3%BB

5)Portbury, A.L., Pompolo, S., Furness, J.B., Stebbing, M.J., Kunze, W.A., Bornstein, J.C., & Hughes, S., Cholinergic, somatostatin-immunoreactive interneurons in the guinea pig intestine: morphology, ultrastructure, connections and projections. Journal of anatomy, vol.187 ( Pt 2), pp.303-321 (1995)
https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC1167426/pdf/janat00130-0045.pdf

6)Hendriks R, Bornstein JC, Furness JB, An electrophysiological study of the projections of putative sensory neurons within the myenteric plexus of the guinea pig ileum. Neurosci Lett., vol.110(3): pp.286–290 (1990)
doi: 10.1016/0304-3940(90)90861-3
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/2325901/

7)Stach W., Neuronal organization of the myenteric plexus (Auerbach) in the swine small intestine. III. Type III neurons. Z Mikrosk Anat Forsch vol.96(3): pp.497–516 (1982)
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/7148094/

8)Brehmer A, Blaser B, Seitz G, Schrödl F, Neuhuber W., Pattern of lipofuscin pigmentation in nitrergic and non-nitrergic, neurofilament immunoreactive myenteric neuron types of human small intestine. Histochem Cell Biol vol.121(1): pp.13–20 (2004)
DOI: 10.1007/s00418-003-0603-7
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/14663589/

9)Stach W., Neuronal organization of the myenteric plexus (Auerbach's) in the pig small intestine. V. Type-V neurons. Z Mikrosk., Anat Forsch vol.99(4):pp.562–582 (1985)
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/7210798/

10)Kustermann A, Neuhuber W, Brehmer A., Calretinin and somatostatin immunoreactivities label different human submucosal neuron populations. Anat Rec (hoboken) 294(5):858–869. (2011)
https://doi.org/10.1002/ar.21365
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/21416629/

11)John B. Furness . Heather L. Robbins . Junhua Xiao .Martin J. Stebbing . Kulmira Nurgal., Projections and chemistry of Dogiel type II neurons in the mouse colon., Cell Tissue Res vol.317: pp.1–12 (2004)
DOI 10.1007/s00441-004-0895-5
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/15170562/

 

| | | コメント (0)

2025年1月 3日 (金)

マエストロ 高関健

Imgtakaseki_20250103114901

私は大晦日には「私の紅白歌合戦」が終わると、テレビ東京でオーチャードホールのカウントダウンを見ることにしています。今年はマエストロ高関の指揮でした。彼のサイトを見ると「もうどうでもよくなった」などと書いてありましたが、これは嘘偽りで予想通りぴったり12時に終了。東フィルもいつになく緊張して演奏しているように思いました。
https://www.youtube.com/watch?v=dk930sZPHvU

彼は桐朋で斎藤氏や小澤氏の指導を受け、カラヤンのアシスタントを6年もやっていたという文句なしのエリート経歴の指揮者です。私も数回以上彼が率いる東京シティフィルの演奏を聴いていますが、がっかりしたことは一度もありません。ですが不思議なことにメジャーなオケ(N響・都響・読響・東フィル)を指揮する機会は非常に少なく、カウントダウンへの起用も69才ではじめてだそうです。

都響アーカイヴをみてみると、ここ12年くらいの出演はありません。それ以前の記録を見ると曲目がなんとも地味すぎで、これでは人気がでるわけないと納得させられました。

2012年:北爪道夫:地の風景
北爪道夫:クラリネット協奏曲
リゲティ:ロンターノ
リゲティ:ピアノ協奏曲

2012年:松平頼暁:コンフィギュレーションⅠ、Ⅱ
松平頼暁:オーケストラのための螺旋
ベリオ:協奏曲第2番「エコーイング・カーヴ」(ピアノと2つの楽器群のための)(日本初演)

2007年:間宮芳生:合唱とオーケストラのためのコンポジション第4番 《子供の領分》
小倉 朗:管弦楽のための舞踊組曲
バルトーク:2台のピアノと打楽器と管弦楽のための協奏曲
バルトーク:舞踊組曲 Sz.77

2004年:松平頼則:ピアノと管弦楽のための3楽章
篠原 眞:ソリチュード(孤独)
夏田鐘甲:管弦楽のための音楽《伽藍》
吉田隆子:組曲《道》 (1948)
倉知緑郎:バレエ音楽《天使たちは正しい》

2003年:鈴木博義:モノクロームとポリクローム
武満 徹:ソリチュード・ソノール
福島和夫:月魄
呉 泰次郎:ヴァイオリン協奏曲第3番 ロ短調 《花》
黛 敏郎:音楽の誕生

こんなカルト企画をホイホイ引き受けていたのが問題だったのでしょう。都響が日本の楽壇にいい顔ができるように利用されたのかもしれません。現在ではほとんど演奏されない曲ばかりです。もちろん選曲にはマエストロもかかわっているでしょうから、自らの責任もあるのでしょうが・・・。

マエストロ高関は野鳥の愛好家でⅩにたくさんの鳥の写真の投稿があります。
https://x.com/KenTakaseki?ref_src=twsrc%5Egoogle%7Ctwcamp%5Eserp%7Ctwgr%5Eauthor

もう年も年だし、シティフィルの若者たち(↓)とガヤガヤ楽しく音楽を作っていった方が彼も幸福なのではないかと思います。そうそう、静響の首席もやっているのですが、こちらも若手の団員が多いですね。

Ndvn

 

| | | コメント (0)

2025年1月 1日 (水)

謹賀新年

Photo_20241231090301

https://www.youtube.com/watch?v=hwNjSyfovio

このブログのアドレスが変わりました

http → https となりました

本年もよろしくお願い申し上げます

 

 

| | | コメント (0)

2024年12月26日 (木)

2024 私の紅白歌合戦

寒さ厳しきおりから読者の皆様にはお元気でお過ごしでしょうか? 

今年も1年お付き合いくださいまして誠に有難うございます。できればこの年末用セットリストにもお付き合いくださるとうれしく存じます。私は毎年このセットリストを作成して、NHK紅白歌合戦の時間に裏番組として楽しんでおります。YouTube にアップしてくださった方々に感謝致します。

このあと、お正月までのしばしの間お休み致します。
では皆様 良いお年をお迎えくださいませ。

Photo_20241225112301

1M もしも僕に / 優里
https://www.youtube.com/watch?v=HTnmJATscdU

柏駅のデッキにて

1F やさしさに包まれたなら / M'size
https://www.youtube.com/watch?v=C2ldDYn5wlk

この声好き

2M サマーバケーション / 村田和人&竹内まりや
https://www.youtube.com/watch?v=FvATwshC4B8

最近の歌にはペーソスが欠乏していると思います

2F 思い出のサントロペ / 奥田晶子
https://www.youtube.com/watch?v=nONcKvGq17k

昔NHK紅白歌合戦では必ずシャンソンもセトリにはいっていました

3M 愛にできることはまだあるかい / Radwimps
https://www.youtube.com/watch?v=EQ94zflNqn4

体にじわじわ浸透してくる感じ

3F 終止符(ピリオド)/ 保科有里
https://www.youtube.com/watch?v=JIM8Hl5buvY

あの夢グループの保科有里

4M 壊れかけの Radio / 徳永英明
https://www.youtube.com/watch?v=C7QVaahn44A

古い記憶がよみがえる

4F 誰がために鐘は鳴る / まきちゃんぐ
https://www.youtube.com/watch?v=BtuSpn1h9z4

天才シンガーソングライター 

5M Elton John - I'm Still Standing
https://www.youtube.com/watch?v=ZHwVBirqD2s

私もまだ立ってるよ

5F Vivo per Lei - カレッタとマーク・アンドレ
https://www.youtube.com/watch?v=k0QvkOPpN_4

コントラバスと美声のナイスコラボ

=================

6M タンホイザー ピルグリムコーラス DRSO DR Koncertkoret Lawrence Foster
https://www.youtube.com/watch?v=fjD126tBlnQ

特に後半の女声コーラスが圧倒的

6F カッチーニのアヴェ・マリア エリーナ・ガランチャ
https://www.youtube.com/watch?v=iNaEpmNqeQY

世界で最も美しい声

=================

7M そしてイニエスタ 森山直太朗
https://www.youtube.com/watch?v=mAsgJnvVgK8

昔のバルサはよかった などと言いたくなります

7F ハムカツサンド 鈴木亜紀
https://www.youtube.com/watch?v=_XsOfMc4qUs

さすらいのシンガーソングライター

8M ビッグスカイ 中川五郎
https://www.youtube.com/watch?v=Qnu9Ms6FiZg

素晴らしい辞世の歌

8F 銀座カンカン娘 蜜
https://www.youtube.com/watch?v=6hgUGbZpwEI

私の親の世代の曲 よく選曲しましたね

9M SMILE〜晴れ渡る空のように〜 桑田佳祐
https://www.youtube.com/watch?v=HcaMkpdkN_4

是非国民栄誉賞を彼に

9F 桜坂 熊木杏里
https://www.youtube.com/watch?v=3A24G0ffclQ

ティーンエイジャーの頃の映像

10M レンガ通り 村下孝蔵
https://www.youtube.com/watch?v=ak9QPtAqHgU

つらく短い人生 安らかに眠れ

10F 池上線 西島三重子
https://www.youtube.com/watch?v=IsB7jJS49tQ&list=RDIsB7jJS49tQ&start_radio=1

なんと年末に交通事故とは(頭蓋骨・仙骨骨折) ご恢復を祈っております

=================

11M いつの日にか 矢沢singバラード企画
https://www.youtube.com/watch?v=j8XfhkDzn8E

やってくれますねえ

11F The way we were   Lucy Thomas
https://www.youtube.com/watch?v=fduZDYKFl04

ルーシーのYouTubeサイトにはフォロワーが100万人以上いるそうです

12M 光と影の季節 浜田省吾
https://www.youtube.com/watch?v=HHs5pX__DKo

昭和のヒーロー

12F Memories 森高千里
https://www.youtube.com/watch?v=duc81YNX6kM

昭和のヒロイン

13M Nothing's Gonna Change My Love For You - Music Travel Love ft. Bugoy Drilon
https://www.youtube.com/watch?v=bTCJ2ehryj8

世界を旅する歌人

13F ロビンソン 絢香
https://www.youtube.com/watch?v=U8HT8JuLS1M

ステージバージョンよりいい感じ

14M W/Ⅹ/Y Tani Yuuki
https://www.youtube.com/watch?v=mp2-w15SXms

私にもわかる音楽

14F シンクロニシティ― 竹内まりや
https://www.youtube.com/watch?v=yUcRcr0qlxg

達郎は下を向いて顔が映らないようにしている なぜ?

15M Let it be 林芳正
https://www.youtube.com/watch?v=kfsv8msCRfQ

官房長官

15F 私は風 中森明菜
https://www.youtube.com/watch?v=fi25Q-PtVdk

至宝

=================

おしまい

 

 

| | | コメント (0)

2024年12月24日 (火)

続・生物学茶話256: 蠕動運動

「続・生物学茶話252: 腸神経」で、ヤツメウナギの腸神経は脳脊髄神経とは別の場所に発生の起源をもち、独立に働くというグリーンらの仕事を紹介しました(1)。マウスでは迷走神経堤から発生した脳脊髄神経が腸にも伸びてきて、腸神経と二重に腸を制御することになり制御の様式が複雑になりました(1)。しかし腸の蠕動運動そのものは、1917年にトレンデレンブルクが「モルモットの腸を切り出し内部に圧力をかけると試験管内で何時間でも蠕動運動を行う」ということを実験で示して、腸の基本的活動が中枢神経系とは独立に行われ得ることがわかっています(2)。この論文は2006年に復刻出版されています(3)。さらに21世紀にも追試されて確認されています(4)。

脊椎動物が地球上に生まれる前から存在していたに違いない腸神経が、脳脊髄神経系と比較してどんな特徴を持っているかは非常に興味深く感じられますが、とりあえずそれはさておいて、Sharkey と Mawe が作成した腸内部の表面から筋層に至るまでに存在する組織・細胞のイラスト(管理人が日本語で加筆)を図256-1に示します。上皮細胞についてはすでに「続・生物学茶話253: 腸を構成する細胞」で説明しておりますので興味ある方はご覧ください(5)。

上皮と接する皮下組織は上皮細胞からの情報を神経末端が受け取る重要な場所であり、また様々な免疫細胞が感染を防ぐために活動する場所でもあります。平滑筋は3層あり、腸を口方向-肛門方向に伸長・収縮させる筋と、腸の内径を大きくしたり小さくしたりする筋があります。真ん中の筋層が後者であり、上下の筋層が前者です。真ん中の筋層より上皮に近い方の皮下組織を粘膜下層と呼び、その内部に粘膜下神経叢(マイスナー神経叢)があります。それより筋層を経て内部に筋層間神経叢(腸管筋神経叢・アウエルバッハ神経叢)があります。実際には神経叢があるスペースはこの模式図よりずっと狭いのですが、便宜上広く描いてあります(図256-1)。

2561a

図256-1 腸管縦断面

ところで腸神経に興味を持って調べていたところ、実は消化管の蠕動運動は神経がなくても可能で、心臓のように非神経性のペースメーカーがあってそのリズムによって制御されているそうです(6、7)。そのペースメーカーはカハールの間質細胞(Intersti-tial cells of Cajal : ICC)という名前の、カハールがおそらく19世紀に発見した細胞で(正確な年代は不明)、主に筋層間神経叢(myenteric plexus)と重なる位置に存在します。図246-1には描いてありません。この細胞は細胞膜のレセプター型チロシンキナーゼであるC-KITを発現しているので、現在ではこれをマーカーとして同定できます(8)。福井大学医学部解剖学教室のホームページに美しい写真が掲載されていました(9、図256-2)。

2562a

図256-2 マウス筋層間神経叢領域のカハール間質細胞=カハール介在細胞(緑)とニューロン=消化管神経叢(赤)

カハールの間質細胞は場所によっては神経叢のニューロンより圧倒的に稠密に存在しています(図256-2)。この細胞群は相互におよび平滑筋細胞とギャップ結合を形成しており、シナプスを介さず興奮を伝えることができます。活動電位発生のメカニズムは、中村らによるとミトコンドリアのプロトンポンプの活動がカルシウムイオンの濃度変化をもたらし、最終的に細胞膜のカルシウム感受性イオンチャネルが活性化されて電位変動が引き起こされることによるとしています(10)。

カハール間質細胞はC-KITを発現していると述べましたが、C-KITが欠損するとマウスは体毛・色素細胞・赤血球・マスト細胞・生殖細胞を欠損し生まれることができません。そこでC-KITヘテロのマウスとC-KITの細胞外領域だけが正常であるマウスをかけあわせた変異マウスを作成すると、粘膜下神経叢領域にはカハール間質細胞が存在するが筋層間神経叢領域には存在しないというマウスが生まれました。このマウスではペースメーカーがつくる規則的な電位変化はみられず規則的な腸の運動はおこりませんでしたが、不規則な運動は発生しました(7、11)。このことから確かに筋層間神経叢領域のカハール間質細胞はペースメーカーの役割を果たしていると思われますが、ペースメーカーがなくても腸が活動を停止するわけではないことがわかりました。粘膜下神経叢領域のカハール間質細胞が何をやっているかは不明です。もちろん腸の活動は消化すべき食料が中に存在するかどうかによって左右されるわけで、それは腸神経によって go or stop が制御されています。

このように考えると、腸の蠕動運動という観点から図256-3のような腸の進化が考えられます。口-腸-肛門という3点セットが整備されて腸の筋肉が活動するようになって、はじめて大型の餌を食べることができるようになります。さらに餌があるときだけ腸を活動させることによって効率的な消化ができるようになります。5を行うためには脳脊髄神経系の支配をうけなければなりませんが、これは明らかにカンブリア紀になってからの進化です。

2563a

図256-3 蠕動運動から見た腸の進化

図256-3のなかで4までは先カンブリア時代においても、かなり進化することによるアドバンテージがあると思われます。ですからおそらくカンブリア紀の入り口までに、私たちの祖先生物では4まで到達していたと想像できますがどうでしょうか。5を行うためには脳脊髄神経系の支配をうけなければなりませんが、これは戦闘や逃亡が必要になったカンブリア紀になってからの進化でしょう。

腸の蠕動運動という観点とは別に、免疫や共生細菌という観点からの進化もあるので、これらは別途考えなければなりません。


参照

1)続・生物学茶話252: 腸神経
https://morph.way-nifty.com/grey/cat5925431/index.html

2)Trendelenburg P. Physiological and pharmacological investigations of small intestinal peristalsis. Translation of the article “Physiologische und pharmakologische Versuche uber die Dunndarmperistaltik”, Arch. Exp. Pathol. Pharmakol. vol.1, pp.55-129, 1917.

3)Trendelenburg, P. Physiological and pharmacological investigations of small intestinal peristalsis. Naunyn Schmied Arch Pharmacol vol.373, pp.101?133 (2006). https://doi.org/10.1007/s00210-006-0052-7
https://link.springer.com/article/10.1007/s00210-006-0052-7#citeas

4)Dominik Schreiber, Viktor Jost, Michael Bischof, Kristina Seebach, Wim JEP Lammers, Rees Douglas, Karl-Herbert Schafer, Motility patterns of ex vivo intestine segments depend on perfusion mode., World J Gastroenterol vol.20(48): pp.18216-18227 (2014)
DOI: 10.3748/wjg.v20.i48.18216
file:///C:/Users/Owner/Downloads/Motilitypatternsofexvivointestinesegmentsdependonperfusionmode.pdf

5)続・生物学茶話253: 腸を構成する細胞
https://morph.way-nifty.com/grey/2024/12/post-973808.html

6)Malysz J, Thuneberg L, Mikkelsen HB, Huizinga JD. Action potential generation in the small intestine of W mutant mice that lack interstitial cells of Cajal. Am J Physiol. vol.271: G387-G399 (1996)
DOI: 10.1152/ajpgi.1996.271.3.G387
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/8843760/

7)Dickens EJ, Hirst GDS, Tomita T. Identification of rhythmically active cells in guinea-pig stomach. J Physiol(Lond) vol.514, pp.515-531, (1999)
doi: 10.1111/j.1469-7793.1999.515ae.x.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/9852332/

8)Yu Chen, Tambudzai Shamu, Hui Chen, Peter Besmer, Charles L. Sawyers, Ping Chi, Visualization of the Interstitial Cells of Cajal (ICC) Network in Mice., J.
Vis. Exp. (53), e2802, doi:10.3791/2802 (2011).
https://www.jove.com/video/2802

9)福井大学医学部解剖学教室HP カハール介在細胞 ICC: interstitial cells of Cajal
https://www.med.u-fukui.ac.jp/laboratory/anatomy/icc/

10)中村江里 他 胃平滑筋の自発活動発生機序 日薬理誌(Folia Pharmacol. Jpn.)vol.123, pp.141-148 (2004)
https://www.jstage.jst.go.jp/article/fpj/123/3/123_3_141/_pdf

11)高木都 魅力ある講義と生理学教育(消化器)テーマ:消化管運動の発生機序並びに自律神経性制御 日本生理学雑誌 vol.68(7・8) pp.253-261, 2006
https://cir.nii.ac.jp/crid/1010282256961623048
http://physiology.jp/wp-content/uploads/2014/01/068070253.pdf

 

| | | コメント (0)

2024年12月22日 (日)

井上道義 最後のオペラ

今日(12月22日 日曜日)午後九時から 井上道義 最後のオペラ
プッチーニ作曲「ラ・ボエーム」が Eテレで放映されます
彼はきちんと指揮ができているうちに引退したいというダンディな指揮者です

Yahoo News
こちら

La_boheme_poster_jpeg

指揮:井上道義
演出・振付・美術・衣裳:森山開次
出演

ミミ:ルザン・マンタシャン
ロドルフォ:工藤和真
ムゼッタ:イローナ・レヴォルスカヤ
マルチェッロ:池内響
コッリーネ:スタニスラフ・ヴォロビョフ
ショナール:高橋洋介

私の最も好きな歌です
ミレッラ・フレーニの「私の名はミミ」

1965年のスカラ座映像
https://www.youtube.com/watch?v=yTagFD_pkNo

東京のコンサートにて(年不明)
https://www.youtube.com/watch?v=hGO5fEfrHEU

 

井上道義 このダンディな指揮ぶりを見よ
https://www.youtube.com/watch?v=D4lEJQGQ8oI


https://x.com/daibutsumichiko
https://x.com/michiyoshi_web/status/1860682554791325970

FB
https://www.facebook.com/michiyoshi.inoue.jp/?locale=ja_JP

番外編 のんちゃんとコロナ
https://www.youtube.com/watch?v=dP1zUgIn4tk

私としては 彼の指揮者としての最後の年に LvB「田園」交響曲を都響の
演奏で聴けたのはよい思い出になりました 2019年にミューザ川崎で
ブルックナー交響曲第8番を聴けて、かつ若い頃の思い出話を聞けたのも
心に残っています といっても彼の思想にはついていけませんが💧


 

| | | コメント (0)

2024年12月21日 (土)

ペリー来航の絵に寄せて

A_20241221152701

ペリー来航の絵(ヴィルヘルム・ハイネ) ウィキペディアより

ペリーが1854年に日本に来航し久里浜に上陸したときの絵は有名で、ほとんどの日本人が見たことがあると思いますが、とても精密に描いてあってまるで写真のようです。いったい誰が描いたのだろうかという疑問を抱きました。調べてみるとそれはヴィルヘルム・ハイネという人だそうです(1)。ローレライの歌で有名なあの詩人ハイネとは別人です。

彼はドレスデンの生まれで当地で育ち、絵画や建築の勉強をしていましたが、成人になる頃(1849年)ドレスデン5月蜂起という民主派vs王政派の歴史的戦闘があって、彼は民主派として友人の音楽家ワーグナーやすでに革命家として有名であったバクーニンらと共に戦いました。民主派は敗北し、ハイネはワーグナーと共にパリに亡命し、さらにアメリカ合衆国に渡りました。ここで中米外交官の仕事を得て、大統領とも知り合いになり、ペリーに随行して日本遠征に加わることになりました。

私はペリーは太平洋を横断して日本にやってきたとばかり思っていましたが、それは間違いで彼らは大西洋を横断し、アフリカ大陸の南端を回ってインド洋経由で日本にたどり着いたそうです。燃料の確保に不安があったようです。ハイネはその後も何度も江戸時代の日本にやってきて、3度目の1860年には、シベリアの監獄から脱出して日本に来ていた旧友のバクーニンにも横浜で会っています。バクーニンとハイネはおそらく太平洋経由で米国に渡航し、バクーニンはさらに中米経由で欧州に帰りました。

私が見た中で最も印象深い映画の一つである 篠田正浩監督 イアン・グレン&本木雅弘主演 の「スパイゾルゲ」というのがあります(2)。ゾルゲは日本のドイツ大使館にスタッフとして潜り込み、日本とドイツの情報を得ていました。この映画のなかで、ゾルゲの上司がバクーニン派だったために粛清されて、ゾルゲはスパイでありながら故国ロシアに帰国できなくなったという話を思い出しました。ゾルゲはその正体が露見して政府によって処刑されましたが、墓は多磨霊園にあります(3)。愛人であった石井花子が戦後、雑司ヶ谷で白骨になっていたゾルゲの死体を探し当て、多磨霊園に改葬したそうです(4)。

e-徒然草にあった石井花子の画像

Hanako10868e0

1)ウィキペディア:ヴィルヘルム・ハイネ(Peter Bernhard Wilhelm Heine)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%B4%E3%82%A3%E3%83%AB%E3%83%98%E3%83%AB%E3%83%A0%E3%83%BB%E3%83%8F%E3%82%A4%E3%83%8D

2)映画「スパイ・ゾルゲ」予告
https://www.youtube.com/watch?v=vzSLe58G6FY

3)リヒャルト・ゾルゲ:伝説のスパイの足跡を訪ねて
https://www.nippon.com/ja/guide-to-japan/gu007005/

4)石井花子
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%9F%B3%E4%BA%95%E8%8A%B1%E5%AD%90


Img03_20241221152901

ふむふむ 寒い寒い 丸まって寝よー

 

| | | コメント (0)

2024年12月19日 (木)

来年もまたコメ不足騒ぎが起きるのか

Img_20241219093401

今年の9月にはわが国でコメがないという事態が発生しました。秋田県大潟村のリーダーである涌井徹氏(1)は、米を作る農業従事者が十数年後には現在の百三十万人から三十万人まで減少すると注意を促しています。またコメ不足の原因は50年以上続いた政府の減反政策が、農家の営農意欲を減退させたことにあると指摘しています。

ともかく主食くらいは自国で生産しなければ乞食国家になってしまいます。この人手不足は数年以内に何とかしなければ大変なことになるので、外国人の移住促進しか方法はありません。

これには反対する人々もいますが、たとえばラグビーの日本代表チームのメンバーをみてください(2)。どこの国のチームかわからないくらい外国系の選手満載です。それで不祥事など起きていません。日本の国技である大相撲はかなり前からモンゴル人によってささえられていますし、野球・サッカー・卓球・バスケ・陸上みんな外国系の人々によってささえられています。農業がそうなっても不思議はないでしょう。


1)ウィキペディア:涌井徹
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B6%8C%E4%BA%95%E5%BE%B9

2)ラグビー日本代表
https://www.rugby-japan.jp/japan/member/

Img_0599a_20241219094101

コメ食べないからって爆睡はないだろう 話くらい聴けよ・・・

 



| | | コメント (0)

2024年12月15日 (日)

カスハラより100倍も重要な問題

Img_1052b_20241215224901

それは ダメ 💢💢

@nifty News
まさに泥棒に追い銭!「イオンカード」が不正利用被害で利用停止後も狙われ続ける驚きの理由
https://news.nifty.com/article/domestic/society/12311-3652075/

このブログに11月26日付でメールポストのジャンク化について記事を書きましたが
https://morph.way-nifty.com/grey/2024/11/post-d248b2.html

そのなかにはイオンを装った偽メールもありました。マスコミは今カスハラがどうのこうのと言っていますが、その100倍も問題なのは企業がカスタマーと直接対応するのを嫌って、まともに電話で対応するのを逃げていることです。メール対応だと返事をしなければいいのですから企業は楽なものです。返事をしたところで木で鼻を括ったような感じて、「ともかく返事はしたよ」では困ります。私自身もある企業の日本支店と10回くらいメールのやり取りをしても全くらちが明かず、ドイツの本店とやりとりして初めて向こうが陳謝したということがありました。

今回のようなカード不正利用のケースでは、イオンなど誰でも利用する一流企業からのメールが一番危険なので、最低でも電話対応は必須です。勝手にイオンカードで買物されて、「解約しようとしてもなかなか対応してくれないのでどんどんその間にも買い物をされてしまう」という地獄のような状況のようです。窓口対応だと胸倉つかまれても不思議ではありません。そのくらいの恐怖感がないと企業はカスタマーに対してまともに対応しようとしません。もしクレーム用有人窓口があれば、おそらくその日のうちに解約できたのではないかと思います。人が押しかけて騒ぎになるので、無理してもそうするでしょう。

ですから企業のクレーム対応が悪すぎる&遅すぎる方に問題があると言いたいのですが、それはそれとして企業も犯罪者のせいで迷惑を受けているわけですから、一番悪いのはその犯罪者、その次に悪いのは偽メールを取り締まらない警察です。そして経済活性化のためとか言って、個人情報のパブリック化を事実上推進している役所にも責任があります。企業に対してカスタマーは圧倒的に弱い立場にあるということも、役所やマスコミに認識してもらわなくては困ります。

 

| | | コメント (0)

2024年12月13日 (金)

続・生物学茶話255: 腸の起源をさぐる

ヒトが分類学上所属するアモルフェアというスーパーグループの生物はすべて従属栄養です(1)。すなわち光合成ができないのでエネルギーを得るには餌を食べるしかない、いわば他の生物に依存する寄生的生物といっても良いかもしれません。そういうやり方で生きるためには、有機物を体に取り込むことが必要です。取り込む方法にはあまりバラエティーはなくて3種類しかありません。それは・・・

A.糖やアミノ酸をトランスポーターを使って細胞膜を透過させ、細胞内に取り込む
B.細胞膜で餌を包み込み、包みの中のpHを下げて餌を分解して栄養物質を得る
C.細胞外に消化酵素を分泌して餌を分解し、1)または2)の方法で栄養物質を細胞内に取り込む

Aは私たちも含めてすべての従属栄養生物が行っている方法です。つまりこれを行うための遺伝子やメカニズムは10億年レベルで保存されています。しかし1)の方式では低分子レベルのものしか取り込めないので得られるエネルギーは少ないのが欠点です。Bの方式はかなり複雑で、実行するためにはいくつかの新機軸が必要です。まず細胞膜で餌を包み込むメカニズムを開発しなければなりません。次にとりこんだ包みの内部で消化を行わなければいけません。消化酵素を投入したいのですが、包みの中には遺伝子がなくDNAから情報を得て酵素を合成・調達することはできません。かと言ってもとから消化酵素があれば自分が消化されてしまいます。

そこで普段は不活性な酵素をあらかじめ用意しておいて、包みの中のpHを下げることによって活性化するというメカニズムを開発した生物がいて、その方式を連綿と受け継いでいる子孫の一種が私たちであるわけです。単細胞生物のゾウリムシなどもすでにこのメカニズムを獲得していて、餌を食胞(food vacuole)にいれて内部のpHを下げ消化するということをやっています(2、3、図255-1)。

図255-1を見て、ゾウリムシが cytoproct=細胞肛門という構造を持っていることに気が付き、知らなかったのでちょっとびっくりしました。彼らはもちろん腸はもっていませんが、食胞の通路というのは多分あるのだと思いました。

2551a

図255-1 ゾウリムシ

Bの方式を採用することによって、Aだけの場合とくらべて細胞はサイズを1000倍くらいの体積に拡大することができました。それが真核生物の細胞の普通のサイズです。ゾウリムシは単細胞ですが、私たちの体の細胞よりずっと大きく大腸菌の体積の10万倍以上あるでしょう。Bの方式は餌を消化するだけではなく、真核生物にとって有害な細菌やウィルスを取り込んで無害化するという目的のためにも用いられるようになり、私たちの場合はむしろそちらの方がメインになっています。

Cの方式はおそらく単細胞生物で成功した者はいません。多細胞生物となって腸を形成し、その中に消化酵素を分泌することによって実現することができます。単細胞生物だと外に消化酵素を出しても普通は拡散してしまうので非効率です。ここに腸の存在意義があります。生物学でいう動物すなわちメタゾア(後生動物)はすべて多細胞生物ですが、これと最も近縁な単細胞生物が襟鞭毛虫です。私たちの精子とよく似た生物ですが、彼らは鞭毛の周りに立てた襟のような構造物を持っていて、なかには立襟鞭毛虫と呼んでいる人々もいます(4)。立襟のなかに餌を集めて細胞に取り込みます。ここに消化酵素を放出して消化するという報告はないので、おそらくC方式はやっていないのでしょう。

2552a

図255-2 襟鞭毛虫

襟鞭毛虫は本来単細胞生物には必要がなさそうなカドヘリンという細胞接着に必要な物質や、他の細胞に情報を伝えるためのシグナル伝達因子を持っており(4)、多細胞生物まであと一歩というところまできているような生物です。実際に群体のような形をつくることもあるようです(5、図255-2)。横につながることができれば円をつくることができ、円を重ねると竹輪型の構造を形成することができます。それはもう腸の原型でしょう。彼らは約2万個の遺伝子を持っており、これは人の遺伝子数約2万6千にかなり近い数です(4)。

初期の海綿動物は骨格(炭酸カルシウムやシリカからなる)を持たなかったと思われるので、化石としては残りにくいですが、わずかな骨格を持つものがエディアカラ紀の地層からみつかっています(6、7)。おそらく最初は襟鞭毛虫の群体から進化したと思われます。シンプルなタイプの海綿の細胞(襟細胞)は襟鞭毛虫と酷似しています。現在は図255-3に示されているように、シンプルなタイプから、非常に複雑な構造を持つタイプまでバラエティーに富む種類が繁栄しています(8)。

2553a

図255-3 海綿動物

どのタイプも体の中心にアトリウムというパイプ状の構造を持っていますが、これはある意味腸とも言えます。ただ栄養は大部分水流がここに来るまでの細管で吸収されると思われるので、この部分の主な役割は排出腔であり、外界に開けた大孔は肛門と言えます(図255-3)。細胞が力を合わせて一定の方向に水流を作って餌を集めるのは効率的であり、また細胞が集合することによって繁殖も容易になります。集合することによる排出物の集積というデメリットはアトリウムと大孔をつくることによって解決しました。このボディープランは海中のプランクトンを餌として生きていくには大変優れたものであったに違いなく、だからこそ5億年以上前から現在に至るまで生き残って繁栄しているのでしょう。

先カンブリア時代において、海綿動物とは異なるボディープランを選択したなかに刺胞動物があります。クラゲの化石は割と多くエディアカラ紀の地層から見つかっています。しかし一部のクラゲは最近の研究では左右相称動物に近く、始原的な刺胞動物はサンゴの仲間だと考えられています(9)。サンゴの縦断面を図255-4に示しました(10)。

2554a

図255-5 刺胞動物(サンゴ)

刺胞動物の体の構造を見る前に、ひとつ不思議なことがあります。それはほどんどの刺胞動物が刺胞(9、図255-4)という銛(モリ)のような高度な武器を持っていて、この中に毒を仕込んで餌の動物を麻痺させて取り込むという先カンブリア時代としては信じがたいほど特殊な進化をとげているということです。このことはこのような特殊な武器を持たない種は生き残ることができなかったということを意味します。

図255-4に示したように、刺胞動物は胃腔(stomach) を持っていて、これが海綿動物のアトリウムと異なるのは水流が双方向だということです。すなわちこの胃腔の出入り口となる孔は口であり肛門でもあるということです。細いパイプを通る餌を取り込む海綿の襟細胞とちがって、この広大な胃腔の餌を取り込むのは効率が悪く、また生きたままの生物を消化するのは時間がかかります。逃げられる恐れもあります。麻痺させるか殺せばトラップは完全で消化の効率も上がるので、刺胞を持つことが生存の絶対条件になったのだと思われます。いったん刺胞を獲得すれば、大きな胃腔は大きな餌をトラップすることが可能になるのでむしろメリットとなります。それにしても先カンブリア紀のクラゲはどんな餌を食べていたのでしょうか? それとも刺胞はカンブリア紀になってからの新種が獲得したもので、それ以外の刺胞を持たない刺胞動物は全部絶滅したのでしょうか?

水流を反対方向に切り替えるには細胞を協調させるメカニズムや、胃壁を動かす筋肉が必要となります。このことが神経や横紋筋の進化に貢献し、ひいては左右相称動物が出現する伏線になったのでしょう。海綿動物や固着性の刺胞動物が海底に豊富に存在することも、もちろん海底を移動して餌を探す左右相称動物が出現する前提でもあります。

 

参照

1)続・生物学茶話254: 動物分類表アップデート
https://morph.way-nifty.com/grey/2024/12/post-a39dd7.html

2)川島祥二、原田恵、菊池嘉子 ゾウリムシにおける食胞形成 連鎖菌と栄養物質 茨城大学教養部紀要(第30号)pp.61-71
file:///C:/Users/Owner/Downloads/CSI2010_1856-1.pdf

3)Wikipedia: Paramecium
https://en.wikipedia.org/wiki/Paramecium

4)隈恵一ほか 単細胞生物から動物への進化を探る
https://www.nii.ac.jp/userimg/openhouse/2010/202_kuma.pdf

5)Wikipedia: Choanoflagellate
https://en.wikipedia.org/wiki/Choanoflagellate

6)Wang, X., Liu, A.G., Chen, Z. et al. A late-Ediacaran crown-group sponge animal. Nature vol.630, pp.905–911 (2024). https://doi.org/10.1038/s41586-024-07520-y
https://www.nature.com/articles/s41586-024-07520-y

7)Nature ハイライト 古生物学:先カンブリア時代の海綿動物の証拠
https://www.natureasia.com/ja-jp/nature/highlights/127066

8)Nelly Godefroy, Emilie Le Goff, Camille Martinand-Mari, Khalid Belkhir, Jean Vacelet, et al.. Sponge digestive system diversity and evolution: filter feeding to carnivory. Cell and Tissue Research, vol.377 (3), pp.341-351. (2019) doi: 10.1007/s00441-019-03032-8
https://link.springer.com/article/10.1007/s00441-019-03032-8

9)Wikipedia: Cnidaria
https://en.wikipedia.org/wiki/Cnidaria

10)Wikipedia: Coral
https://en.wikipedia.org/wiki/Coral

| | | コメント (0)

2024年12月10日 (火)

World music collection 22: Nara Sisters

Img_1048b

Let's listen to nara sisters!  How do you feel mina?

According to their self-introduction (1), "Nara sisters" is a unit of genetically real sisters, though they don't resemble each other. Previously they started their activities independently, but recently they resumed the new activity together as "nara sisters" .

1) Self-introduction (in Japanese)
https://www.youtube.com/watch?v=fcuBF40mH2s

For the first time, I recommend you the song written by Yuming
"Anniversary - infinitely calling you"

Now, I'm walking with you.
We have overcomed the difficulties of our younger days.
At this moment, I feel the sunshine penetrates infinitely.
Of course this morning is a usual morning.
But I feel today is the aniversary for me.

https://www.youtube.com/watch?v=WEmTXol3CN4


Photo_20241210121301

Another song by Yuming  if you like

Hello, my friend (covered by Nara sisters)
https://www.youtube.com/watch?v=JdBX-enmMtk

Hello, my friend (original MV by Yuming)
https://www.youtube.com/watch?v=K6dmZhdCYs0

-------------------

Christmas_ornament_snowman_lights

Last Christmas / Wham! in English
https://www.youtube.com/watch?v=B645hvE0VXw

Santa claus is coming to town in English & Japanese
https://www.youtube.com/watch?v=ua5ohJCXkiY

雪のクリスマス (Christmas in snow) / DREAMS COME TRUE
https://www.youtube.com/watch?v=hC7FRs3Lp_U

メリクリ / BoA
https://www.youtube.com/watch?v=LTA2d_pk6Os

-------------------

粉雪 / レミオロメン
https://www.youtube.com/watch?v=XMYFxptlr9c

マカロニ / Perfume
https://www.youtube.com/watch?v=l1MKrAN8Qvk

再会 / LiSA×Uru
https://www.youtube.com/watch?v=lwKbANKHZzY

冬のうた / Kiroro
https://www.youtube.com/watch?v=fdTlfZdACPM

-------------------

オリビアを聴きながら / 杏里
https://www.youtube.com/watch?v=KAXFkDbX5lc

ロビンソン / スピッツ
https://www.youtube.com/watch?v=G3IiXVyY09E

夏の終わりのハーモニー / 井上陽水×安全地帯
https://www.youtube.com/watch?v=I01fAOJP2K0

レイニーブルー / 徳永英明
https://www.youtube.com/watch?v=WDrYN-Quv1g

メロディー / 玉置浩二
https://www.youtube.com/watch?v=SXDDKZ2jBL4

桜 / コブクロ
https://www.youtube.com/watch?v=LAdMq_QRKWU

-------------------

Original songs:

White Season
https://www.youtube.com/watch?v=_O3Oo-l49yM

Under The Sky
https://www.youtube.com/watch?v=13pvVnKegfM

 

| | | コメント (0)

2024年12月 7日 (土)

続・生物学茶話254: 動物分類表アップデート

分類学は私にとって親密なジャンルではありませんが、生物学に関心を持つ者には避けて通れない基礎知識です。普段見かけないような体長1mm位の線虫が実は地球上に3億トンも居たりするので、あなどれません(1)。

線虫はまだ脊椎動物に寄生するので、鮮魚をさばく人ならアニサキスはみたことあるでしょうし、犬を飼っている人はフィラリアには関心があるでしょう。しかしヒトの食料にはならない生物に寄生する生物や、海底の砂のすきまにいる微小生物、海にいることはわかっていても採集は不可能で、ガラス板を沈めておくとそこにくっつくのでみつかる平板動物などというのもいて(2)、現代は人の活動がもたらした生物大絶滅時代であるにもかかわらず、次々と新種がみつかり門レベルの再編成まで行われたりするので、ときどき分類表の知識をアップデートすることは必須です。

本稿はウィキペディアの「動物」という項目の記述をもとに、加筆・編集しました(3)。

2541b

図254-1 スーパーグループ

図1はもっとも大まかな生物の分類表です。生物は非常に早い時期に光合成をする生物と光合成ができない生物に分かれたことがわかります。光合成ができない生物は当然餌を必要とします。光合成をする生物にはバラエティーがあって、炭素源が二酸化炭素だけの生物もあれば有機物を利用する生物もいます。独立栄養生物の中から二次的に従属栄養に転化した生物(TSARの一部)もいるようです。また逆に鞭毛虫のなかには葉緑体を獲得して光合成を営む者もいます。鞭毛虫の一部からアモルフェアというスーパーグループが生まれ、私たちはここに含まれます。

2542a

図254ー2 オピストコンタ

オピストコンタはアモルフェアのなかのひとつのグループで、すべて従属栄養の生物からなります。オピストコンタとは後方鞭毛という意味で、鞭毛を動かして鞭毛がある方と反対側に進むのが特徴です。ヒトの精子も鞭毛のある側と反対側に進みます。単細胞の原生生物、襟鞭毛虫、動物のすべてのほかカビやキノコもオピストコンタに含まれます。メタゾア(後生動物)とは生物学の言葉で、動物のすべてを意味します。同じメタゾアではありますが、有櫛動物(クシクラゲなど)と海綿動物はその他の動物と非常に遺伝子や体の構成が異なっており、エディアカラ紀以前の非常に早い時期に分岐したと考えられています。その後平板動物が分岐し、さらに刺胞動物と左右相称動物が分岐します。私たちはもちろんその左右相称動物(バイラテリア)に含まれます。

2543a

図254-3 バイラテリア

左右相称動物(バイラテリア)は口が先にできる(前口動物)か肛門が先にできる(後口動物)かで大きく2つのグループに分かれます。私たちは後口動物に含まれる生物であり、分類学的にはマイナーなグループです(種の数としては少ない)。それでも私たちを含む脊椎動物は大繁栄しています。

前口動物は脱皮動物と螺旋動物が2つのメジャーグループで、それ以外はとてもマイナーな生物群です。脱皮動物は節足動物門を含み、なかでも昆虫は100万種以上が既知の巨大なグループです。脱皮動物はカンブリア紀から現代までずっとメジャーな生物であり続けています。螺旋動物は最近できた名前で、卵割(初期発生)がらせん状に行われる生物のことを意味します。

2544a

図254-4 螺旋動物

螺旋動物のなかでは軟体動物や環形動物がメジャーな生物です。より専門的な知見に関心がある方は文献(4)などをご覧ください。

ところでこのブログでは今腸関係の話題を扱っていますが、脱皮動物に属するエラヒキムシの形態には興味をそそられます。円筒形の体の中心にほぼまっすぐに口-腸-肛門が配置されていて、まわりを神経・筋肉・皮膚が囲み、その名前に反して鰓はなく、中枢神経や心臓血管系もなく、しかし腎臓・生殖器・腸神経・赤血球・マクロファージはあるという、とてもシンプルな基本形の生物のように思われます(5、図5)。しかもウィキペディアでも指摘しているように、この生物はカンブリア紀に生息していたオットイアとそっくりです(5、図5)。もし私が腸や腸神経の研究をしていたら、是非いじってみたい生物です。

2545a

図254-5 鰓曳動物

 

参照

1)二井一禎 私たちの知らない線虫の世界 農業新時代 vol.1, pp.38-51(2020)
https://www.nippon-soda.co.jp/nougyo/wp-content/uploads/2023/03/001_038.pdf

2)ウィキペディア:センモウヒラムシ
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%BB%E3%83%B3%E3%83%A2%E3%82%A6%E3%83%92%E3%83%A9%E3%83%A0%E3%82%B7

3)ウィキペディア:動物
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8B%95%E7%89%A9

4)矢﨑裕規・島野智之 真核生物の高次分類体系の改訂―Adl et al. (2019) について― タクサ 日本動物分類学会誌 vol.48, pp.71-83 (2020)
https://www.jstage.jst.go.jp/article/taxa/48/0/48_71/_pdf

5)ウィキペディア:鰓曳動物
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%B0%93%E6%9B%B3%E5%8B%95%E7%89%A9#

 

| | | コメント (0)

2024年12月 4日 (水)

真山仁 「地熱が日本を救う」

私たちは地球の表面に住んでいますが、地球は図1の濃い茶色で示してある地殻すなわち卵の殻のような薄い表層部分を除いて、すべて灼熱地獄です。この熱は人類が今の生活を続けるとしても、種の寿命が終わるまで(つまり人類が消滅するまで)使い続けても余りあるくらいのエネルギーを内包しています。そしてその一部は地殻をつきぬけてマグマとして噴出することがあります。

Photo_20241204142901

図1 地球の内部構造 ウィキペディアより(1)

イタリアはヨーロッパの中では火山の国として有名ですが、地熱発電はそのイタリアで1913年に産声をあげました。火山としてはヴェスヴィオとかエトナがよく知られていますが、イタリアの地熱発電銀座はそれらから離れたフィレンツェ近郊のトスカーナ地方にあり、世界最初の地熱発電所であるラルデレロ発電所もここにあります。図2の地域に現在も二十数基が稼働しています(2、図2)。

Italy

Larderello

図2 ラルデレロの地熱発電所 〈独)エネルギー・金属鉱物資源機構のHPより

しかしそのはるか上を行くのはアイスランドで、必要な電力のほとんどを地熱と水力による発電でまかなっています(3)。それで大量の電力を使用するデータセンターなどを誘致して、世界でも最も豊かな国のひとつになっていて、住みたい国のランキングでもいつもトップクラスです。日本もアイスランドと同じくプレート境界の上にある国で、地熱発電のポテンシャルは高いはずです。

日本でも地熱発電は昭和時代に1時期盛り上がっていたのですが、1997年に新エネ法ができたときに、地熱はなんと新エネルギーからはずされ研究開発も発電所建設もボロボロになってしまいました(4、図3)。当時の役人も国会議員も本当に先見の明がなく愚かだったとしか言いようがありません。

Img_20241204143001

図3 真山仁 地熱が日本を救う

この状況=地熱暗黒時代が10年以上続いたあと、ようやく2010年になって環境省が国立公園内の地熱開発にゴーサインを出して、少し復活の兆しが見えてきましたが、そのときに2011年の大震災が起きました。福島の原発が爆発し、普通なら東京が住めない場所になるところが、奇跡的な幸運で使用済み核燃料の崩壊を免れ現在に至っています。

現在ではさすがに超党派の地熱発電普及推進議員連盟などもあって、ようやく軌道に乗ってきたようで、1日も早く原発のない日本にしてほしいと思います。原発がある限り、超音速ミサイルで爆破されたら日本はおしまいなので、いくら防衛予算を増やしても国家を防衛する方法はありませんよ。

真山仁さんの小説は昔から好きでよく読んでいたのですが、ニュース23に出演して解説をしていたのでびっくりしました(5)。

参照

1)ウィキペディア:マントル
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9E%E3%83%B3%E3%83%88%E3%83%AB

2)独立行政法人 金属鉱物資源機構 地熱資源情報
https://geothermal.jogmec.go.jp/information/plant_foreign/005.html

3)エコめがね 再エネ電力100%の国、アイスランドの地熱発電所体験
https://blog.eco-megane.jp/%E5%86%8D%E3%82%A8%E3%83%8D%E9%9B%BB%E5%8A%9B100%EF%BC%85%E3%81%AE%E5%9B%BD%E3%80%81%E3%82%A2%E3%82%A4%E3%82%B9%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%83%89%E3%81%AE%E5%9C%B0%E7%86%B1%E7%99%BA%E9%9B%BB%E6%89%80/

4)真山仁 「地熱が日本を救う」 角川学芸出版 p.122 (2013)

5)真山仁 HP
https://mayamajin.jp/index.html

| | | コメント (0)

2024年12月 1日 (日)

続・生物学茶話253: 腸を構成する細胞

私たちの便の成分は80%が水分、残りの20%はぼ1/3づつ食べかす・細菌・腸の粘膜からなります。腸には100兆個の細菌が常時住みついており、この数は人の体を構成する細胞の数より明らかに大きいのです。こんなに細菌まみれの臓器なので、切り取って培養するわけにはいきません。マウスで腸内細菌を枯渇させるような操作を行うと、なんとセロトニンが枯渇するそうです(1)。これはもう正常な動物とは言えません。腸内細菌は私たちにとって大事な共生生物です。とはいっても腸は大量の細菌と常時接触している器官なので、強力な免疫機能を持っており、全免疫細胞の60~70%が腸に存在すると言われています(2)。

腸の粘膜が便として排出されるというのはどういうことでしょうか? 実は腸の細胞(腸管上皮細胞)はかなりのハイペースで入れ替わっており、例えばマウスではその寿命は3~5日です。そのため毎日大量の死細胞が排出されることになります。どうしてそうなるかといえば、粘液などで保護されているとはいえ、腸壁の細胞は脂質やタンパク質を分解する酵素に常時さらされているわけですから、寿命が短いのはやむを得ないのでしょう。

ウィキペディアによると腸は小腸(十二指腸を含む)と大腸(直腸を含む)という2つの部分からなり、小腸は約6m、大腸は約1.5mの長さがあります(3)。まず小腸の構造を見ておきましょう。

2531a

図253-1 腸(小腸)の構造と構成細胞 マクロファージ・樹状細胞(dendritic cell)・T細胞は上皮細胞より内部の結合組織に存在する免疫細胞で、細菌の侵入に備えている細胞群です

図253-1は小腸縦断面の模式図です。無数の凹凸があり、凸の部分を絨毛(villi)、凹の部分を陰窩(crypt)といいます。腸上皮は大部分が腸管側を粘液に覆われたモノレイヤーで、この図には描いてありませんが陰窩の部分だけは細胞が重層化しています。陰窩の一番深部に幹細胞があり、近隣には幹細胞を保護し免疫機能も持つパネト細胞があります(ウィキペディアではパネート細胞となっています、4)。陰窩で幹細胞から生まれた腸上皮細胞は押し出されるように柔毛上部に移動し、頂点に達すると死んで脱落します。その寿命は3~5日と言われています(5)。つまり3~5日かけて陰窩から絨毛の先端まで移動し、そこで剥がれて腸管に排出されます。

腸上皮には幹細胞、パネト細胞、腸上皮細胞以外にも少数ながら数種の細胞が存在し、それらの機能は図253-2にリストアップして示しました。腸上皮には1)栄養や水分をとりこむ 2)消化酵素から組織を守る 3)栄養状態を神経などに伝える 4)細菌や寄生虫から生体を守る など様々な役割があり、それぞれの細胞は分担してその役割を果たしています。

2532a

図253-2 腸を構成する細胞とその機能一覧

腸上皮の機能を研究する上で大きなネックはプライマリーカルチャーが困難だったことです。幹細胞の決定的なマーカーがないことも大きな問題でした。ユトレヒトのニック・バーカーらのグループがGPCR型受容体のひとつである Lgr5 を発現する細胞が腸上皮幹細胞であることをつきとめたことが、腸上皮研究のブレイクスルーになりました(6)。

図253-3右上部の6つ組図は Lgr5 遺伝子に lacZ のレポーターをつけて青色に発色させたもので、小腸・大腸・胃においてこの細胞が陰窩に存在し、特に小腸ではパネト細胞と一つ置きに配置されているという美しい図が得られています。この配置は電子顕微鏡でも確認され、ふっくらとした円錐形のパネト細胞の間に細長い形態の幹細胞が見られます(図253-4)。幹細胞とナース細胞が一つ置きに配置されているような組織は他にはないと思います。

その後 Metcalfe らはジフテリアトキシンを使って Lgr5 発現細胞をすべて殺す実験系を開発し、Lgr5 発現細胞をすべて除去すると放射線照射後の腸上皮再生が起こらなくなることを示し、Lgr5+ 細胞が腸上皮幹細胞であることの補強的証明を行いました(7)。

佐藤俊朗らは Barker らと同じグループですが、幹細胞が Lgr5 を特異的に発現していることを利用して、腸研究者達が永年渇望してきた消化管幹細胞の培養技術を開発し、図253-3下図のようなオルガノイド(3次元の人工的な臓器)をシャーレの中で形成させることによって in vitro で正常な消化器官の機能を解析することが可能になりました(8、9)。

2533a

図253ー3 腸研究の革命的進展を成し遂げた Clevers 研究室のメンバーと業績

2534a

図253-4 腸管上皮幹細胞とパネト細胞の電子顕微鏡写真

ただ腸上皮細胞の寿命はわずか3~5日なので、これを維持するには幹細胞がのべつ幕無しで細胞分裂を行わなくてはならず、常識的にはDNA塩基配列の正確さが短期間で失われると考えられます。これを回避するために、一定の期間が経過すると普段は細胞分裂していない親玉の幹細胞が細胞分裂を行って、この種の高速増殖型幹細胞の補填を行うと考えた方が自然であり、その候補として昔から幹細胞ではないかといわれていた、いわゆる+4幹細胞が挙げられているそうです(10)。

図253-5におもな腸上皮細胞の細胞系譜を示しました。「通常は休止している幹細胞」は間違いなく存在すると思いますが、まだ仮説的なものです。

2535a

図253-5 腸管上皮細胞のターンオーバーを維持するシステム

 

参照

1)Tukuba Journal 2020/11/17 腸内細菌がいなくなると睡眠パターンが乱れる
https://www.tsukuba.ac.jp/journal/medicine-health/20201117200209.html

2)シオノギヘルスケア 人体最大の免疫器官「腸」
https://www.shop.shionogi-hc.co.jp/Reading/Info-immunity_20210423.html

3)ウィキペディア:腸
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%85%B8

4)ウィキペディア:パネ―ト細胞
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%91%E3%83%8D%E3%83%BC%E3%83%88%E7%B4%B0%E8%83%9E

5)金野祐 小腸上皮細胞の細胞寿命を制御する新規因子の探索
上原記念生命科学財団研究報告集, 32 (2018)
https://www.ueharazaidan.or.jp/houkokushu/Vol.32/pdf/report/131_report.pdf

6)Nick Barker, Johan H. van Es, Jeroen Kuipers, Pekka Kujala, Maaike van den Born, Miranda Cozijnsen, Andrea Haegebarth, Jeroen Korving, Harry Begthe, Peter J. Peters & Hans Clevers, Identification of stem cells in small intestine and colon by marker gene Lgr5., Nature vol.449, pp.1003-1008, (2007) doi:10.1038/nature0619 pp.1003-1008
https://www.nature.com/articles/nature06196

7)Metcalfe C, Kljavin NM, Ybarra R, de Sauvage FJ. Lgr5+ stem cells are indispensable for radiation-induced intestinal regeneration. Cell Stem Cell. vol.14(2): pp.149-159. (2014)
doi: 10.1016/j.stem.2013.11.008.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/24332836/

8)Toshiro Sato, Robert G. Vries, Hugo J. Snippert, Marc van de Wetering, Nick Barker, Danie E. Stange,Johan H. van Es, Arie Abo, Pekka Kujala, Peter J. Peters & Hans Clevers, Single Lgr5 stem cells build crypt –villus structures in vitro without a mesenchymal niche., Nature vol.459, pp.262-266 (2009) doi:10.1038/nature07935
https://www.nature.com/articles/nature07935

9)松井伸祐,坂口恒介,岩槻健  オルガノイド培養の課題と展望
研究者目線で語るオルガノイド研究
化学と生物 Vol. 61, No. 4, pp.179-187, (2023)
https://katosei.jsbba.or.jp/view_html.php?aid=1689

10)佐藤卓,樗木俊聡 組織再生を担う腸管幹細胞の維持と機能
生化学 第 93 巻第 4 号,pp. 503‒511(2021)
DOI: 10.14952/SEIKAGAKU.2021.930503
https://seikagaku.jbsoc.or.jp/10.14952/SEIKAGAKU.2021.930503/data/index.html

 

| | | コメント (0)

2024年11月27日 (水)

Walk down the memory lane 13: The music of Hirota Mieko

Miekohirota1

Hirota Mieko (1947-2020)  from wikimedia commons

Popular music is affected generally by the atmosphere of the era. I think there were two turning points after world war II. After the war ended, the golden age of popular music had appeared. At that time, the atmosphere was filled with the delight of war ending as well as the poverty due to the defeat. After a while children who don't know the war grew and the society recovered, they made the next wave of new music (J-POP) that was not depend on the american music. Hirota Mieko (singer) and Tsutsumi Kyohei (composer) were the engines to move the wave, though (and probably because) they were the specialists of the american music. Nowadays J-POP is in the third wave that is created by ones who don't know the age of prosperity of Japan.

The end of summer (渚のうわさ Rumor of the Seaside)
https://www.youtube.com/watch?v=uotHB4Is_Ds

The end of summer (渚のうわさ Rumor of the Seaside)
colored
https://www.youtube.com/watch?v=-zlXEsRb2yA

渚のうわさ 弘田三枝子 1967 TV show
colored film
https://www.youtube.com/watch?v=UVop4gL1lwg

踊りあかして in Japanese and English (TV show)
colored film
https://www.youtube.com/watch?v=X-0_WYtIMdA

すてきな16才 in Japanese (Original:Neil Sedaka)
Happy birthday sweet sixteen
https://www.youtube.com/watch?v=nZKeR3Cwuqk

落ち葉のコンチェルト in English (Original:Albert Hammond)
For the Peace of All Mankind
https://www.youtube.com/watch?v=p7pcLWZIr_Q

Be My Baby   in Japanese (Original:The Ronnetes)
https://www.youtube.com/watch?v=ikg34H4glW8

砂に消えた涙  in Japanese (Original:Mina Mazzini)
https://www.youtube.com/watch?v=BspPgnu39bk

Mack The Knife   in English
https://www.youtube.com/watch?v=6d16G1ALtRw

Louisiana Mama   in Japanese
https://www.youtube.com/watch?v=o0zOyMCpIkI

人形の家 in Japanese (after plastic surgery)
https://www.youtube.com/watch?v=K5G-xy2jWsM

DAM unpublished special LP (Jazz)
https://www.youtube.com/watch?v=99JSIZLulDA

太平洋戦争がようやく終わって、戦時中は戦意高揚の歌ばかりだった歌謡界も自由になって、多くのヒット曲が生まれました。リンゴの唄-並木路子、東京ブギウギ‐笠置シズ子、憧れのハワイ航路-岡晴夫、銀座カンカン娘-高峰秀子、お富さん‐春日八郎など、現在よりも庶民の生活の中に歌が深く浸透していたような気がします。でもこのような歌謡曲がその後1970年代、80年代のJ-POP全盛時代に直結するとは思えなくて、フィーリングの問題ではありますが、そこには溝があるような気がします。

現在のポップスと昭和のポップスにも溝があるような気がしますが、それは Perfume が出現したあたりから音楽が変わったように思います。でも今日はそこじゃなくて、1960年代の話です。弘田三枝子が「渚のうわさ」(作詞:橋本淳、作曲:筒美京平)をリリースするまで、J-POPというジャンルの音楽はないも同然でした。確かにポップスのシンガーは伊東ゆかり、中尾ミエなどをはじめとして大勢いましたが、皆さん米国の音楽を翻訳して歌っていたのです。中尾ミエの「かわいいベイビー」など大ヒットした曲もありましたが、これはコニー・フランシスの曲です。弘田三枝子も「渚のうわさ」がリリースされるまでは、米国産の歌を歌っていました。この曲が売れたので、新路線曲のリリースが続くことになり、和製のポップスもだんだん世に認められるようになったわけです。

私は1967年に日本コロムビアからリリースされた「渚のうわさ」がJ-POP最初の曲だと思っています。レコード番号はP‐1で、まさしくポップスの1番です。筒美京平の音楽とストラテジーはものすごく大きな影響があったと思います。弘田三枝子も筒美京平も米国の音楽を深く知る人々だっただけに、なんとか物真似でない日本独自の音楽を作りたいと考えていたのではないでしょうか。

「渚のうわさ」は、なんとミュージックビデオまで制作されていたというのがすごいですが、最近カラー化されてアップされているのに気が付いてさらにびっくりしました。ご存じない方は是非聴いてみてください。

この記事を書くにあたってウィキペディアは見ましたが、なんと彼女はエラ・フィッツジェラルドから直接「養女にしたい」というオファーをもらったことがあるそうです(爆)。

渚のうわさ★colorized★弘田三枝子(HIROTA Mieko)
https://www.youtube.com/watch?v=-zlXEsRb2yA

カラー化してアップしてくださった方々に感謝します。

★★★
https://friday.kodansha.co.jp/article/125494

 

| | | コメント (0)

2024年11月26日 (火)

メールポストのジャンク化

Tsugi

マイナンバーカードはかなり前に申請して持っていますが、使用したことはありません。しかし申請して以来変化したことがあります。それは私のメールポストのジャンク化です。私のメールアドレスを知っている商店はいくつかあって、そのうちある商店から漏洩したことはニュースにもなりましたが、タイミング的にメールポストのジャンク化時期より遅くて、多分そこではないと思います。

これだけ荒れ放題になると、どれが本物のメールでどれが偽メールなのか、触るのも怖い状況になってきました。この中にはおそらく犯罪に関係したものも含まれていると思いますが、メールを送っただけでは警察も動きようがありません。

しかし建物の郵便ポストにチラシを入れるのとは全くわけが違って、電子メールポストの偽メールは非常に危険で、うっかり開いて誘導に従って個人情報を渡したら何が起こるかわかりません。メールポストの大半がこのような偽メールになってしまうと、日常生活にも支障をきたします。このようなメールを取り締まる法律が必要だと思います。

 

| | | コメント (0)

2024年11月24日 (日)

ティアラこうとう

Img_3025a

マエストロ藤岡はおしゃべり好きで陽気な人です。楽団からストップをかけられるまで今日(土曜日)もプレトークに花が咲きます。確かにラフマニノフのメロディにはチャイコフスキーのようなラメントは感じられません。夢の中で浮遊するような趣があります。

ラフマニノフ交響曲第2番の第3楽章、みんなで細心のお膳立てをする中で、山口さんがただただ美しいクラリネットを奏でる別世界・・・これが音楽の真髄。なんらかの感情をかきたてる音楽とは一線を画し、脳の別の場所にアクセスするようです。東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団の充実に陶然とし、スカイツリーの美しいイルミネーションを右に、ナイターで野球をする人々を左に見てふわふわと帰途につきました。

 

| | | コメント (0)

«続・生物学茶話252: 腸神経