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(PDF版には、はしがき、ページ付きもくじ、巻末索引がついています)

すべてフリーですので、ごゆっくりどうぞ 

「生物学茶話:@渋めのダージリンはいかが」の紙本は九州大学理系図書館、京都大学理学部図書館、島根大学附属図書館、東京大学理学図書館、東京科学大学大岡山図書館、北海道大学理学部図書室、杏林大学医学部図書館、電子書籍としては国立国会図書館に収蔵されています。

#続・生物学茶話 タイトル一覧とリンク#  こちら

#都響 HP&SNS こちら

Hair follicle の本は Springer から出版したのでここには中身を掲載できませんが、アマゾンなどで販売しています。
こちら

入手が難しいかたは
https://morph.way-nifty.com/grey/2023/08/post-f37c78.html
の最下行に表示している連絡先にメールをしていただければご返事を差し上げます。

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2025年12月 9日 (火)

マミラリアの白い毛

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サボテンはトゲがあっていかめしい植物という印象ですが、マミラリア系のものは白い綿毛のようなのが生えていて、中にはトゲが全く見えないくらい綿毛でびっしり覆われている品種もあります。うちのはそれ程ではありませんがそこそこ生えています(写真)。

これは私たち哺乳類がヒトなど特殊な種類を除いて全身毛におおわれていることと似ています。まさしく生物学でいう収斂進化の結果生じた相似現象です。目的は紫外線を防ぐ、寒さに耐える、水分の蒸発を防ぐなど哺乳類とほぼ同じです。毛を美しいと感じるのは哺乳類の習性でしょう。

サボテンは創生期の哺乳類と同様、夜行性とも言えます。彼らは昼間は炭酸ガスを取り込まず、夜になると気孔を開いて炭酸ガスを取り込み、ソーダ水を作っておいて普通の植物とは異なるやり方で光合成を行います。

弱肉強食の世界では、捕食を防ぐためにトゲを生やすというのは極めて有効な方法です。トゲのある生物はカンブリア紀からハルキゲニアという生物が知られていますし、ハリセンボンやウニや哺乳類にもハリネズミ等がいます。しかしそれらは決してメジャーな生物ではありません。これは生物(植物も含めて)が生き残る上で捕食者との闘争よりも、自然環境との闘いの方が圧倒的に重要であったことを示す証拠でしょう。

 

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2025年12月 6日 (土)

続・生物学茶話288:感情とは 5.感情をともなう記憶

集中神経系に近い神経組織は最初は消化管の周辺に出現し、その発展進化とともに数億年が経過したのでしょう。その後カンブリア紀の少し前から様々な生物が遊泳や海底歩行をはじめたのにともなって運動器官を統御する中枢が発生し、天敵が生まれたカンブリア紀に飛躍的に中枢神経系が進化して始原的な脳が形成されたと思われます。天敵と言っても特定の種とは限らず、小型の生物は多くのより大きな生物の餌になっていたでしょうから、様々な形態の捕食者を恐怖という一つの感情と連結して脳に複数の記憶を保存しておくというのは、効率的で合目的的です。扁桃体と海馬あるいはその祖先組織は、そのような役割を担うために誕生した脳のパーツだと思われます。そしてそれらのメカニズムは今日に至ってようやく解明されつつあります。

理研の牧野らの実験では、扁桃体・海馬・前帯状皮質に電極を埋め込んだマウスを作成し、チェンバー内で自由に活動できるようにします。そこで彼らに電気ショックを与えてメモリーを形成させました。その後マウスをチェンバーから解放し別の場所に移します。そして1日後および26-28日後にチェンバーに戻すと、ショックを記憶していたマウスは警戒して活動停止の姿勢をとります(フリージング)。その際の各部位の電位変動データを取得します(1、2、図288-1a)。1日後に記憶に基づいてフリージング姿勢をとったマウスは約30%で、この割合は26~28日後でも変わりませんでした(図288-1b)。いったん覚えた記憶はほぼ1ヵ月たっても消えていなかったということです。

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図288-1 扁桃体基底外側核におけるスローガンマ波は1日前の恐怖記憶再生時に増強される
PSD=パワースペクトル密度=振幅スペクトル密度の2乗(単位V2乗/Hz)
振幅スペクトル密度はさまざまな周波数における信号の振幅の測定値 PSDはその周波数の信号がどのくらいのエネルギーを持っているかを示す

マウスたちがフリーズする前後の扁桃体ローカルな脳波を示したのが図288-1cです。振動力(PSD)に変換した図288-1dをみると(これは1日後のデータ)、スローガンマ波の高揚がフリーズする直前1秒~2秒くらいの間に発生していることがわかります。このような現象はフリーズ発生と同時にぴったり止まります(図288-1d)。

注目すべきは、同じようなスローガンマ波(30-50Hz)の高揚現象は26-28日後に再びチェンバーに入れた時にはおこりません(図288-2)。このことは、1日後のフリージングで発生したフリージング直前の扁桃体基底外側核におけるローカルなスローガンマ波を発生する発火が、記憶を呼び戻し定着させる契機になっていることを示しています。そして一度この発火がおこるとその結果(おそらくシナプスの数と形態の変化)は長期に保持されるのでしょう。

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図288-2 フリーズ直前と直後の扁桃体基底外側核におけるスローガンマ波およびシータ波のパワースペクトル密度

おそらくマウスたちがチェンバーに入れられるというプロセスの間に、脳の様々な部位で不安に関連する変化が起こっていて、測定した海馬(CA1)、前帯状皮質(ACC)、扁桃体基底外側核(BLA)のすべての場所でシータ波の増強がみられます(図288-3)。この増強は扁桃体基底外側核から強いスローガンマ波が発生するとともに鎮静します(図288-3)。牧野らは統計解析などをおこない、海馬などのシグナルによって扁桃体が記憶再生を定着させるメカニズム、すなわちシナプスの増強などのプロセスを起動することを示唆しました。

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図288-3 扁桃体におけるスローガンマ波発生の前に脳関係各部位から発生するシータ波
BLA:扁桃体基底外側核 CA1:海馬のCA1領域 ACC:前帯状皮質

ヒトでも類似の実験は行われています。とはいってももちろん電気ショックを感じる部屋に入ってもらう実験はできないので、マウスの実験とパラレルに比較するようなことはできません。怖い画像をみてもらうなどのマイルドな恐怖体験になります。コスタらの研究では、0.5秒づつ恐怖画像を含むいろんな画像をみてもらって、1日経過後にまたみてもらうという方法です(3、図288-4)。ヒトの場合、1日前のテストでみせてもらった画像なのか、単に見たことがある画像なのかを、remember or know or new という選択肢を設けて、エピソード記憶と意味記憶を識別することができるなどのメリットもあります。電極を扁桃体や海馬の様々な位置にセットしておくことは同じです。

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図288-4 ヒトを材料とした恐怖記憶再生についての実験

Remember の際のガンマ波をみると、扁桃体では画像を見た0.3秒後くらいから0.5秒間くらい100~120Hzの有意なクラスターが見られ(3、図288-5左上)、海馬では0.5秒後くらいからやはり0.5秒間くらい50~70Hzくらいの有意なクラスターがみられます(3、図288-5左下)。またこの間に扁桃体はシータ波を発生していて、これが海馬とのカップリングを行っている可能性があります(3、図288-5右)。まだマウスのデータとヒトのデータを比較するという段階にはないと思いますが、どちらの場合も、恐怖という感情の記憶が扁桃体や海馬の興奮によってサポートされるというのはありそうです。

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図288-5 エピソード記憶再生時の扁桃体と海馬で発生するガンマ波の周波数

恐怖という感情を伴う記憶は進化的に古く、おそらくカンブリア紀に発生したと思われますが、先カンブリア時代からエサの場所を記憶するということはあったのではないかと思います。そしてそれはおそらく空腹が満たされたという腸神経による満足感を伴うものであったと思われます。感情をともなわない記憶がいつはじまったかはよくわかりません。頭足類はエピソード記憶が可能なようです(4)。ヒトの記憶は言語の記憶が脳の大きな領域を占めており、これは繰り返し毎日反復利用するので忘れないのでしょうし、言語特有の記憶様式があるのかもしれません。しかし一度しか使わなかった電話番号なんて覚えているわけないし、毎日使うPCのパスワードとか、簡単なもの以外のパスワードはみんな忘れてしまいます。一方でたった1回の経験でも、感情を伴うエピソード記憶は忘れない場合もあります。なぜ感情をともなう記憶は忘れにくいのかというのは脳神経科学の重要なテーマです(5)。扁桃体を損傷しているウルバッハ・ヴィーテ病の患者は、通常の写真の記憶は健常者と変わらないのに、感情を伴なう写真(文献3の火事の写真のような)の記憶が健常者より有意に劣っているそうです(6)。

参照

1)理化学研究所プレスリリース 記憶の形成時期を反映する神経活動
-機械学習により記憶の古さを示す多領域活動パターンを特定-
https://www.riken.jp/press/2024/20241209_2/index.html

2)Yuichi Makino, Yi Wang & Thomas J. McHugh
Multi-regional control of amygdalar dynamics reliably reflects fear memory age.,
nature communications vo.15, no.10283 (2024)
https://doi.org/10.1038/s41467-024-54273-3
https://www.nature.com/articles/s41467-024-54273-3

3)Manuela Costa et al., Aversive memory formation in humans involves an amygdala-hippocampus phase code., Nature Communications vol.13, no.6403 (2022)
https://doi.org/10.1038/s41467-022-33828-2
https://web.archive.org/web/20221117214725id_/https://www.zora.uzh.ch/id/eprint/222866/1/Costa_2022_Aversive_memory_formation_in_humans.pdf

4)カラパイア:イカってすごい!死の数日前まで記憶力が衰えないことが判明
https://karapaia.com/archives/52305263.html

5)Wired: 「心を動かされる出来事」は、なぜ記憶に残りやすいのか? 研究から見えた脳のメカニズム
https://wired.jp/article/why-do-we-remember-emotional-events-better/

6)脳科学辞典:情動的記憶
https://bsd.neuroinf.jp/wiki/%E6%83%85%E5%8B%95%E7%9A%84%E8%A8%98%E6%86%B6

 

 

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2025年12月 3日 (水)

まきちゃんぐ 日本福音ルーテル市ヶ谷教会ライブ

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トランプ大統領の岩盤支持者が多い福音派の、日本での本拠地のひとつであるルーテル市ヶ谷教会に行ってきました。ちょっと緊張しましたが、ルーテル教会はバッハとも深いつながりがあり、地下の礼拝堂ではしばしばクラシック音楽のコンサートも行われます。

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なんとまきちゃんぐがこの礼拝堂でコンサートを挙行。コーラス3人とピアニストも加わった豪華なステージです。控えめながらクリスマスデコレーションもあって雰囲気も良し。

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私はまきちゃんぐさんはゴスペルシンガーだと思っているので、福音教会のステージは実にふさわしいと感じました。新曲「平々凡々ブルース」で盛り上がった後、静謐な「くらげ」→「満海」とすすんだあたりは鳥肌ものでした。ウェディングソングである「鼓動」もこの場所にマッチしていました。最後はデビュー曲の「ハニー」。この曲のメロディーラインもとても美しいです。

300人の収容でしたが、ライブ終了後聴衆全員とお話して見送るちゃんぐさんでした。

ハニー
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海月
こちら2

満海
こちら3

鼓動
こちら4

 

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2025年11月29日 (土)

ミナーシ都響 ベートーヴェン「田園」など@池袋芸劇 2025/11/29

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初冬の土曜日、お天気もまずまずのなか池袋の芸劇で都響C定期です。人出が多く、日暮里駅のコンコースでは女子高生らしきグループがブレイクダンスを披露していました。

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マエストロ・ミナーシさんはまだ40台とあって爆裂アクションの肉体派です。しかもテンポ、ディナミークを細かく動かすタイプ。最初はついていけませんでしたが、田園の第3楽章くらいからはようやく聴く方も慣れてきました。オケも大変だったと思いますが、なんとか指揮者の意図は反映できていたみたいです。

庄司さんの音はマシュマロトーンのやわらかさが特徴で唯一無二でしょう。この音じゃないとダメというファンがいるのはよくわかります。セーターにズボンというめずらしいいでたちで激しく動きながら演奏します。ただ腐った魚に顔を突っ込んだようなしかめ面で演奏するのが玉にキズです。

客席はほぼ満席で終演後はかなりテンション上がっていました。団員のスタンピングもありました。

帰りに都響名物の盲導犬が上手にエスカレータに乗るのには驚きました。

千葉ニュータウンに帰ってくると、駅前は凄い人で、屋台などもたくさんでていました。どうやら今日からクリスマスイルミネーションが開始されたようです。

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米国はいったいどうなってしまうのか?

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アメリカの就職市場が完全に悪化…|| 続くレイオフにアメリカ人が絶望..
地獄海外難民サブchという動画サイトはサティの音楽で始まる暗い雰囲気ですが、
わりときちんと米国下層階級の現実をレポートしてくれているようです(1)。

以前にAI、ロボット、資本主義が人間を不要にしてしまうという投稿をしましたが(2)、米国ではそれ以前に、それを装った企業の合理化で急速にリストラが進んできたようです。

本来トランプ主義では輸入を止めて自国生産を増やそうというわけですから、雇用は増えるはずです。
しかしその前にインフレが進んだために、企業が合理化マストになってこのような事態に至っているわけです。実際統計では製造業・公務員・貿易・運輸・公益企業で雇用が減っています。

自国生産を増やすという国体の変更はおそらく10年くらいはかかりそうなので、その前に頓挫しそうですが、民主党のなかでもトランプが共産主義者と呼ぶサンダース派は、実はトランプと近いところもあって、おそらく輸入を減らして自国生産を増やすという方針は受け継ぐと思います。モンロー主義的なところもあると思います。ポストトランプ時代がきたときに、彼らが民主党主流派を打倒できるかどうかが注目です。なにしろ米国では貧乏になると、みんなクレカで生活しようとするので主流派をささえる銀行はもうかるんですよね。


1)アメリカの就職市場が完全に悪化…|| 続くレイオフにアメリカ人が絶望..
地獄海外難民サブch
https://www.youtube.com/watch?v=PiZRug8P8PA

2)渋めのダージリンはいかが 近未来の社会
https://morph.way-nifty.com/grey/2025/09/post-ee40ff.html

その他

突然の解雇か゛全米て゛発生中…会議1つて゛“即失業”させられる現実か゛恐ろしい
https://www.youtube.com/watch?v=EkgVeLyX9ng

アメリカ生活1ヶ月の出費を大公開!!物価高すぎ100万円で足りません!!
/ネバダ州ラスベガス在住
https://www.youtube.com/watch?v=R7yODSYJAqo

普通の暮らしを奪われたアメリカ人たち
https://www.youtube.com/watch?v=pD86VuBlyak

「もう無理た゛」アメリカ人たちか゛語る、諦めの理由
https://www.youtube.com/watch?v=PuWCRTh4fnw

 

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2025年11月24日 (月)

インプレを放置すると世界は破滅する

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菅野完(すがのたもつ)が驚くべき情報を発信しています(1)。
これはタイトルからは全くわからないのですが、50分くらいからが重要です。

Ⅹの発信者の所在地情報が公開されるようになって、米国で調査が行われ、
トランプ支持の投稿(インプレ)をしている人の多くはアフリカ・中東・インドネシアに住んでいる人々で、お金儲けのためにやっていることがわかったということです。

兵庫県知事をサポートするユーチューバーがそれで家族を養っていたという報道をみたことがありますが(別に斎藤知事を支持しているわけではなく、生活のためにちょうちん記事や誹謗中傷記事を書く)、これがもう世界的なレベルになっているのには驚きました。これは国内だけでも非常に深刻な問題で恐ろしいことです。

インプレをやっている人々は、世の中がどうなろうと他国で暴動や戦争が起ころうと、そんなことには関係なくアクセスを増やして金儲けをしたいだけなので、なんとかして退治しなければなりません。

少なくともSNSで政治に関わる虚偽情報や名誉棄損を発信したら即罰金を課すくらいのことをやらないと、政治はメチャクチャになります。外国からの投稿になるとそれもできないので、XやYouTubeに規制をかけなければいけないということで、ひょっとすると憲法改正が必要になるかもしれません。

1)菅野完
外国勢力は日本を弱体化させようとする時、必ず決まって「右側」を操作する
https://www.youtube.com/watch?v=jzO-CzFM5ss

↑ 菅野氏は上のようなタイトルをつけたことを途中で謝っています。

 

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2025年11月23日 (日)

狂い咲き

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イノシシもシカもクマも一日中エサを探して歩き回ります。ヒトも愚か者が指導者になるとそうなりかねません。もともとヒトは一属一種の絶滅危惧生物なので、種として生き延びるにはスペシャルな知恵が必要だと思いますが、日本のサイエンスはもう青息吐息です。クマがなぜ突然ストリートに出没するようになったのかも、いろんな説はあるものの誰もわかりません。早苗指名の文部科学大臣はもともと銀行マンです。

この寒い日々に薔薇やハイビスカスがどんどん花をつけています。異常です。わけのわからないことはきちんと科学的に解明することが必要でしょう。

私の住んでいる地域は今やAI銀座となって、次々とコンピュータを収納する巨大な建物が建ちつつありますが、AIの危険性についてはすでに述べました(1)。しかもこれらの施設を運営する本体は外国にあって、外国資本の経営です。市は税金がはいってくるのでいろいろ言いつつも本心はウハウハです。

AIは百科事典として使うには一見便利なようですが、ソースを作った人にお金を払っていない場合が多いと思いますし、間違っていても責任は取りません。間違っているから修正しろと言っても無視です。AIに感情を実装しようという動きもありますが、そんなことを許してはいけません。研究は自由だと思いますが、世の中に出すのは全く時期尚早なので法律で止めなけらばなりません。ともかく日本はAIで後れを取ってはならないという金科玉条・錦の御旗のために批判を許さない、または無視する雰囲気です。愚かなことです。

1)渋めのダージリンはいかが 近未来の社会
https://morph.way-nifty.com/grey/2025/09/post-ee40ff.html 

進め高市閣下 (高市首相非公式応援歌)
https://www.youtube.com/watch?v=1MD26qR2bdY&list=RDU_Hk2KSkKm0&index=2

 

 

 

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2025年11月20日 (木)

続・生物学茶話287:感情とは 4.社会的認知

前稿では前頭前野や扁桃体の恐怖反応における機能についてのべましたが(1)、前頭前野や扁桃体は社会性についての機能も持つと考えられています。生まれてから思春期まで社会経験を剥奪された場合、人間関係・協調性・社交性・感情表現などに影響があることは良く知られていますが(2)、それを測定して実験科学の俎上に載せるということはなかなか困難です。

この困難を突破する道を最初に切り開いたのは、ハリー・ハーロウらが1965年に発表したサルを使った研究でした(3)。彼らは実験によって、社会的隔離を行った場合に学習能力は維持されるにも関わらず、6ヵ月の隔離を行うと他者に対する行動が著しく変化する、すなわち威嚇が増え、遊びが減るという実験結果を発表しました(3、図287-1)。成長してから隔離してもこのようなことはおこりません。ヒトにおきかえてみれば、幼少期のネグレクトなどが大きな影響を及ぼすことを示唆しています。

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図287-1 サルを使った社会的孤立の影響についての実験

脳の研究にはサルを実験動物として使うことがままあるようですが、まずは比較して知能が低いげっ歯類を使って「いけるところまで行く」のは倫理的にみて当然です。図287-2は Gangopadhyay らが示したヒト・サル・マウスの脳を比較した図で、社会的認知に関係している可能性が高い部域を灰青色に塗っています(4)。

この図にはひとつ問題があって、ヒトやサルでは扁桃体 (amygdala) と海馬(HIPP=hippocampus)が近接していますが、マウスでは離れているように見えます。しかしそれはひとつの断面でみているからであって、実際にはマウスの海馬は立体的に見ると図287-2右下のようにマウスの脳の中では巨大な組織であり、扁桃体とも近接している領域があります(5、右上図の点線部分ー私が加筆 も参照)。またマウスにおいてもヒト・サルと同様に扁桃体海馬境界領域は存在します。

ヒト、サル、マウスの大きな違いは、ヒトは上側頭溝(STS=superior temporal sulcus)と側頭頭頂接合部(TPJ=temporal parietal junction)が灰青色に塗られている、サルではSTSだけ塗られている、マウスでは両者とも存在しないということです。社会的認知に関与すると考えられている dmPFC(背内側前頭前野)・ACC(前帯状皮質)・OFC(眼窩前頭皮質)・NAcc(側坐核)・Amygdala(扁桃体)・HIPP(海馬)あるいはそれらに相当する領域はこれらの動物に共通に存在することが示されています(図287-2)。

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図287-2 ヒト・サル・マウスの社会的認知に関係すると思われる脳領域の比較

さてげっ歯類の社会行動を研究するに際して重要なのは、サルやヒトにとって社会的認知を行うに際して最も重要なのは視覚による認識であるのに対して、げっ歯類では嗅覚による認識であることです。げっ歯類の社会行動を研究するために3室社会性テストという定番の実験があって、Leeらもこれを使って脳の活動を調べました(6)。

実験には図287-3Aのような3室チェンバーを用意します。部屋の間には網が設置してあって通ることはできません。データをとるマウスは脳に電極をつけて真ん中の部屋に入れます。マウスの行動はビデオで撮影しておいてあとで解析します。

最初は左右両側の部屋は空室です。真ん中の部屋で10分間過ごさせ、少しのお休みをはさんで、次は左の部屋(S)に別のマウスを入れ、右の部屋(O)には首振り人形を入れます。10分間データをとります。さらに少しのお休みをおいて、次は左に首振り人形、右にマウスを入れます。同様に10分間データをとります。

図287-3Bの縦軸は Nose-poke となっていますが、これは鼻を動かして臭いをかぐ行動をしている時間を意味します。図で in zone となっている10cm幅の領域でのこの行動時間を測定します。つまり別の生体マウスの近傍で臭いかぎ行動を行なっている時間と、首振り人形に近傍で臭いかぎ行動を行っている時間を測定した結果が図287-3Bです。予想される通りマウスの近傍でクンクンやっている時間が圧倒的に長いですが、場所を入れ替えての2回目となるともう慣れてしまって差は小さくなります。Cはそれぞれの近傍領域(In zone)に滞在する時間です。1回目はマウスの近傍に居る時間が長いですが、2回目には差は小さくなります。

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図287-3 3室社会性テスト

図287-4は前辺縁皮質(ヒトの内側前頭前野に相当する)に埋め込んだ電極で検出されたスパイクの状況ですが、マウスに対して臭いかぎ行動を行っている場合に顕著なスパイクが観察されました(橙色のスパイク)。なにも無い時や首振り人形に対して臭いかぎ行動をとっているときには、社会性行動に関わると考えられている脳の領域では顕著なスパイクは観察されないことが示されています。前辺縁皮質(ヒトの場合のmPFC=内側前頭前野)が社会性行動に関わっているであろうことを示唆するデータです。

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図287-4 社会的認知とmPFC相当領域のスパイク

雌雄異体の生物は、最低でも交配する相手を見つけて性的接触をしなければいけませんし、多くの場合子育ても必要です。集団で行動する生物はもちろん、一時的にでも家族で生活する生物、縄張りを持つ生物は他の個体や集団の中での作法が必要であり、社会的認知が必要です。ヒトやサルはそれを主に視覚を基盤として成立させますが、げっ歯類では主に嗅覚を基盤とします。マウスももちろん交配相手を見つけて交尾し、子育てを行わなければなりませんし、集団で生活させると多くの場合順位が発生します(7)。

たとえばオスとメスを出合わせると、嗅覚を通じてお互いにほとんど同じタイプの電位変動のパターンが背内側前頭前野にみられ、前頭眼窩野では社会的認知に基づく行動を優先するようなシグナルが発生します。興味深いのは扁桃体の細胞にはオスの場合だけ興奮する細胞、メスの場合だけ興奮する細胞、両者で興奮する細胞、子供の場合も含めて興奮する細胞などがあることです。性特異的に興奮する細胞はおそらく性ホルモンなどの分泌に関連していると思われます(4、図287-5)。

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図287-5 マウスの社会性行動に脳の各部位がどのように寄与するか

谷水らはマウスについて社会的認知に必要な記憶は転写因子であるCREBによって転写されるc-fosとArcを必要とすることを示しました。これらが海馬・内側前頭前野・前帯状皮質・扁桃体で合成されることによって長期記憶が形成されるとしています(8)。

参照

1)続・生物学茶話286:感情とは 3.扁桃体周辺
https://morph.way-nifty.com/grey/2025/11/post-92a54b.html

2)りとる愛らんど 社会性の発達 幼少期から思春期までの変化と友人関係の重要性
https://little-i-land.com/%E7%A4%BE%E4%BC%9A%E6%80%A7%E3%81%AE%E7%99%BA%E9%81%94%E3%80%80%E5%B9%BC%E5%B0%91%E6%9C%9F%E3%81%8B%E3%82%89%E6%80%9D%E6%98%A5%E6%9C%9F%E3%81%BE%E3%81%A7%E3%81%AE%E5%A4%89%E5%8C%96%E3%81%A8%E5%8F%8B/

3) Total social isolation in monkeys., H F Harlow, R O Dodsworth, and M K Harlow
Proc. NAS., vol.54, no.1, pp.90-97 (1965)
https://doi.org/10.1073/pnas.54.1.90
https://www.pnas.org/doi/10.1073/pnas.54.1.90

4)Gangopadhyay P, Chawla M, Dal Monte O, Chang SWC. Prefrontal-amygdala circuits in social decision-making. Nat Neurosci. vol.24 (1), pp.5-18. (2021)
doi: 10.1038/s41593-020-00738-9.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33169032/

5)石龍徳(SEKI Tatsunori)の研究ページ
https://sekitatsulab.jimdofree.com/

6)Lee E, Rhim I, Lee JW, Ghim JW, Lee S, Kim E, Jung MW. Enhanced Neuronal Activity in the Medial Prefrontal Cortex during Social Approach Behavior. J Neurosci., vol.29, pp.6926-36.(2016)
doi: 10.1523/JNEUROSCI.0307-16.2016.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/27358451/

7)猪貴義, 吉川早紀男 マウスの社会的順位と体重, 副腎, 胸腺, 睾丸, 包皮腺重量との関係
実験動物 15 巻 2号 p. 49-53 (1996)
DOI: https://doi.org/10.1538/expanim1957.15.2_49
https://www.jstage.jst.go.jp/article/expanim1957/15/2/15_2_49/_article/-char/ja/

8)Tanimizu T, Kenney JW, Okano E, Kadoma K, Frankland PW, Kida S. Functional Connectivity of Multiple Brain Regions Required for the Consolidation of Social Recognition Memory. J Neurosci., vol.12;37(15) pp.4103-4116, (2017)
doi: 10.1523/JNEUROSCI.3451-16.2017.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/28292834/

 

 

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2025年11月18日 (火)

トップが〇〇だとつらい 菅野完吠える

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高市総理の台湾有事答弁で日本最大の危機
https://www.youtube.com/watch?v=TTxLW-nig0E

高市総理沈黙。特使は北京へ
https://www.youtube.com/watch?v=0t4WiChvfzw

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中国は台湾有事・日本有事なんか眼中にない!
https://www.youtube.com/watch?v=6a2Xh1PWpIM

 

 

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2025年11月16日 (日)

食料品の消費税を0%にしても得するのは食品会社だけとは

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私は食料品の消費税を0%にすれば、食料品の値段が下がって生活が楽になると思っていました

ところがそうじゃないんですね食品会社がぼろ儲けするだけとはびっくり
🌀🌀🌀🌀🌀

素人考えはダメだということがよくわかりました

要するに消費税というメカニズムをなくさないといけないんですね

【三橋貴明】※テレビでは報道されない内容です・・・食料品0%は財務省の勝ちです
解説:湖東京至(税理士)

https://www.youtube.com/watch?v=grLrCQ7oslA

この話を聞くと、トランプが関税を上げるというのも納得できるようになりました

でもこれがあるので、トランプが関税を上げるのは当然だという議論をしている人を

みたことがありませんでした 

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消費税のメカニズムを廃止すると、そのおかげで年間何千億円も懐に入れていた自動車会社は大変です。日産なんてすぐ倒産するのではないでしょうか。でも日本は無茶苦茶に人が足りないんです。ちょっとした工事をやるっていっても、くるのは半分以上外国人ですよ。仕事がないってことはないと思います。消費税廃止をきっかけに、日本の自動車はみんな水素燃料で動くということになればトヨタはなんとかなるでしょう。ホンダは是非10万円以下の老人用アシスト付き3輪自転車を作ってほしい。あとは物品税・相続税・株の利益に課税などで埋め合わせることですね。

あと日本人が必要なものはなるべく日本でつくるようにする。これはトランプと同じ考えです。エネルギーも太陽光パネルがまぶしいからダメなんて言わないで、まぶしさの対策を政府や企業が考えるべきです。原発は結局廃棄物処理のことなどを考えると高くつくこともあり、すぐにやめるべきです。原発維持に必要なお金を太陽光・風力・地熱にまわしましょう。農協を独禁法違反で分割して、コメをリーズナブルな値段にしましょう。熱帯系の魚を食べましょう。

 

 

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2025年11月14日 (金)

中江早希さん(ソプラノ歌手)

中江早希さんは柔らかさと迫力をあわせもった、素晴らしいソプラノ歌手です。オペラはもちろんのことリートやアニメ音楽なども幅広くレパートリーに加えています。なんとまだウィキペディアに掲載されていないようです。私は今年の春TCPOのヴェルディ「レクィエム」で初めて知りました。その会場全体を牽引していくような豪快な歌唱に圧倒されました。

HP:https://sakinakae.com/

Photo_20250309105201_20251114114801

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富士吉田 時空間絵巻 蝶々夫人 クライマックスシーン
https://www.youtube.com/watch?v=YmQaFppf4k4&list=RDYmQaFppf4k4&start_radio=1

長時間版
https://www.youtube.com/watch?v=hgXkFGJAo6E

立体サウンドのオペラアリアビデオ 蝶々夫人 ある晴れた日に
https://www.youtube.com/watch?v=aHAx6aD_i-A&list=RDaHAx6aD_i-A&start_radio=1

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春の声 ヨハン・シュトラウスII
https://www.youtube.com/watch?v=Mf_PMOC6h_A

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Morgen! R・シュトラウス
https://www.youtube.com/watch?v=Bv1bisqLq7g&list=RDBv1bisqLq7g&start_radio=1

コロナ時代のリモート配信

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第9 ベートーヴェン
https://www.youtube.com/watch?v=Bgcwx1sFS5Q&list=RDBgcwx1sFS5Q&start_radio=1

アルトパートを藤木大地さんが歌っていてびっくり

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美しい恋人よ さようなら モーツァルト
https://www.youtube.com/watch?v=6LkHtBchSpw&list=RD6LkHtBchSpw&start_radio=1

歌詞および和訳
https://www7b.biglobe.ne.jp/lyricssongs/TEXT/S13071.htm

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マリエッタの歌 コルンゴルト
https://www.youtube.com/watch?v=gfPs7C2DVpg&list=RDgfPs7C2DVpg&start_radio=1

薔薇のリボン R・シュトラウス
https://www.youtube.com/watch?v=qFJjpJfKT_M&list=RDqFJjpJfKT_M&start_radio=1

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しあわせよカタツムリにのって 作曲:信長貴富 作詩:やなせたかし
https://www.youtube.com/watch?v=WIiG4vxsMKI&list=RDWIiG4vxsMKI&start_radio=1

 

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2025年11月11日 (火)

ネット詐欺 悪魔の所業

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ゴヤの描いた悪魔祓い(ウィキペディアより)

アサヒビールがランサムウェアで攻撃を受けて出荷が難渋していることが話題になっています。もうランサムウェアによる攻撃はめずらしいことではないそうです。多分水面下で身代金を支払った企業も多いことでしょう。こんな悪魔の所業をどうすればお祓いできるのでしょうか?

警察だって遊んでるわけじゃなくて何とかしようとは思っているのでしょうが、大企業の事件ですら解決できないのが今の状況です。こういう恐喝グループを摘発できないのだったら社会のシステムを変えるしかないと思うのですが、それでもなかなか社会はそっちの方に動きません。ネットで注文するんじゃなくて、ファックスで注文するんだったら、こういう恐喝グループも活動できないと思うのですがねえ。さすがにこの期に及んでは、アサヒビールはファックス注文に変えているようです。私がたまに使っているCECILEはファックスでの注文を受けています。

ネット詐欺師のターゲットは企業だけではなくて、個人にも猛烈な攻撃をかけています。私のメールボックスもカオスになりつつあって、もはや詐欺メールの山で、どれが開けなければいけないメールなのか判定するのが大変になっています。多分開けなければいけないメールを見逃して相手に迷惑をかけていることもあるかもしれません。だったら本当にすみません。逆に用があってメールを出しても見てもらえてないこともあります。

いっそのこと世の中がメール廃止になって、すべてファックスでのやりとりになればいいのにと思うくらいです。画像をデジタル保存すれば紙をつかうこともありません。まあそうなればそうなったでファックス詐欺師なんてのも出ないとも限りませんが、インターネットじゃないので出どころがわかりますからねえ。そう簡単にはいかないでしょう。

詐欺メールはあらゆる名目のところから届きます

銀行
証券会社
カード会社
ETC(車乗ってないのに)
イオン
郵便
ガス会社
通販
宅配業者

などなど

最近ではこのサイトを運営している@ニフティーからの詐欺メールもあります。また最悪なのは自分からのメールです。もちろん私を装った何者かが出しています。これはどうやっても排除できません。ただこれは詐欺目的ではなく、愉快犯とか何かほかの目的があってのことだとは思いますが、実に気分悪いです。

私の考えではもうインターネットは廃止して、自由なネットは国内だけに限定し、外国からのまた外国への通信は、警察で管理するポイントを通過しなければならないようにしないと、詐欺師を逮捕することは不可能に近いと思います。

 

 

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2025年11月 8日 (土)

米国はどうなってしまうのか...

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日本ではクマが住宅地に出没して食料をあさり、大変なことになっていますが、米国ではそれどころではなく人間が食料をあさることになるかもしれません。人間は射殺できません。いや射殺するかも💥

どうしてそんなことになりそうかというと、トランプと民主党の対立によって予算案が議会を通らないので、公務員が自宅待機になるなど大変なことになっていますが、フードスタンプが廃止になると人間が飢えますから、何が起こるか想像できません。トランプは廃止に踏み切ったのですが、裁判所が差し止めているようです。どうなることやら。

https://www.bbc.com/japanese/articles/cqx33ep9ng4o

https://www.youtube.com/watch?v=1U7V5csQYcU

https://www.youtube.com/watch?v=YfMQrtwCrpg

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2025年11月 7日 (金)

続・生物学茶話286:感情とは 3.扁桃体周辺

広辞苑で「感情」は 1.物事に感じて起こる気持ち 2.主体が状況や対象に対する態度あるいは価値づけすをする心的過程 となっています。感情の起源はカンブリア紀にできた食物連鎖の結果、敵に襲われそうになったときに恐怖を感じることが必要だったためと思われますが、もし食欲あるいは空腹感がある種の感情であるとするならば、さらにさかのぼって先カンブリア時代から感情が存在した可能性があります。

多細胞生物が初めて獲得した臓器は腸だと思われますが、腸神経系のはたらきとして最初は食べ物があるときは反射的に腸を動かし、ないときはシグナルがないので動かないという制御をやっていたと思います。しかし腸以外にも筋肉が配置されて何らかの採餌行動ができるようになったら、「腸が空になったら採餌行動が促進され、腸に食べ物があるときは採餌行動を抑制する」という神経のはたらきが新たに開始されることは、合理的であり生存に有利です。ただしこれらの神経の活動が反射的に行われている限りは、感情が関与する余地はありません。

自発的移動能力を持つベントス(底生生物)やネクトン(遊泳生物)はプランクトン(浮遊生物)や固着生物と違って、エサとエサでないものを識別するための記憶を持ちはじめていたはずです。でなければ移動できるように進化したメリットがありません。初期には記憶と照合してエサだと認定した場合反射的に動きが決められ運動プログラムが起動していたと思われますが、感覚器や神経の進化にともなって、照合すべき記憶が複雑になって反射による行動が困難になり、次第に接近すべきエサをあらかじめ特定してその方向に移動するという意思決定が行わなれるようになっていったに違いありません。それがいつかはわかりませんが、もし先カンブリア時代からこのような意思決定が行われていたならば、その時点である種の感情が存在していたとしても不思議ではありません。

そんなことを考えていたら東北大学のプレスリリースをみつけました(1)。原著論文もありました(2)。発表者らによると、プランクトンであるクラゲが満腹時と空腹時で異なる行動をとっていて、それを制御しているのが神経ペプチドだということです。満腹時には神経細胞からこれらの神経ペプチドが分泌され、触手の運動を低下させるそうです。どんなペプチドかというと、彼らはトランスクリプトーム実験を行って検出した様々なペプチドを使ってテストを行い、結果は図286-1のようになりました。

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図286-1 クラゲの採餌行動を抑制するペプチド a はカルボキシル末端がアミド化されていることを意味します

C末の配列が重要なようですが、その配列に加えてある程度の長さ(5アミノ酸以上)が必要だそうです。そしてGLW(グリシン‐ロイシン‐トリプトファン)という配列を持つペプチドは、ショウジョウバエの採餌行動も低下させることが明らかになりました(2)。クラゲとショウジョウバエの祖先たちが分岐したのはもちろんディープな先カンブリア時代なので、それ以前から満腹時の行動制御は行われてきたということになります。このようなペプチドはおそらくエサを口に運ぶ触手だけでなく、周辺の筋細胞を弛緩状態にさせる一種の麻薬のようなものと想定されるので、この種の弛緩物質を分泌するクラゲには、リラックスすることによるある種の感情が発生している可能性があります。クラゲは必ずしも散在神経系の生物とは言えません。

さて私たちの感情と意思決定の問題に戻りますが、これにかかわっている脳のパーツはだいたい図286-2に示されます(3、4)。vmPFC=腹内側前頭前野と扁桃体はすべてのプロセスにかかわっているようです。ここで留意すべきは扁桃体は少なくとも脊椎動物の創生期から存在していた脳の古いパートであり(5-7)、一方vmPFCは大脳が発達してからできてきたパートであるということです。ヒトの場合感覚器からの情報は多くの場合vmPFCに集められるので、他の動物に比べてvmPFCが感情と意思決定における存在感を増しているかもしれません。vmPFCは扁桃体の暴走を抑えるような役割も担っています(4)。

感情と意思決定について脳が行っている仕事は、図286-2に示した3つのジャンルに分けられます(3、4)。

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図286-2 感情と意思決定にかかわる脳の部位

図286-2の1と3については多くの実験が行われていますが、脳においてはなかなか複雑なプロセスであり解析は複雑です。これらに対して、2は条件付けした状態で脳の電磁波を測定することによって比較的容易にデータがとれそうです。最近では電流ではなく磁場を測定することによって脳の活動を記録するというようなこともクリニックレベルでも行われているようで、その装置を図286-3に示します。

名古屋大学脳と心の研究センターの記述を引用しますと「磁場の通りやすさ(透磁率)は脳、髄液、骨、皮膚および空気でほぼ一定のため、 測定コイルを皮膚組織に非接触のまま、神経細胞が生じた磁場を直接記録することができます。磁気脳波計(MEG)は、頭皮上に配置した多数の測定コイルで記録された脳の磁場分布(脳磁場)から、脳の神経細胞が いつ・どこで活動したかを高い精度で計算すること(電流源推定)を可能とする脳機能測定機器です」(8)。電極を頭皮に接着しなくてよいため被験者にとっては測定が快適なようです。また癲癇の患者に対しては、扁桃体に電極を埋め込むという操作を行って記録するということも行っているようです。

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図286-3 磁気脳波計(Magnetoencephalography)

様々な方法で扁桃体及び周辺の情報の流れを計測した結果を図286-4に示します。原図は LeDoux らの報告によるものらしいですが(9、10、私は未読)、Simicらがまとめたものです(4)。 これを日本語化して修飾を加え、図286-4として示しました。

行うのはパヴロフ以来の古典的な条件付け実験です。ベル音で恐怖を喚起します。ベル音は聴覚器から視床の腹側後外側・内側核および内側膝状体に入力され、それらから直接扁桃体に出力される経路と、いったん大脳皮質に送られてから扁桃体に出力される経路に分岐します。Simicらは前者を low road、後者を High road と呼んでいます(4)。扁桃体の外側核から入った情報は、中心核などから脳および末梢の様々なニューロンに出力され自律神経系、筋肉、ホルモンなどに影響を及ぼします(図286-4)。継続して恐怖にさらされると、特に扁桃体-分界条床核を介した異常な内分泌により病的な状態に陥るおそれがあります。

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図286-4 恐怖反応における扁桃体の役割 (Based on Simic et al., 2021 (4))

扁桃体が恐怖の中枢であることは確かなようですが、だからと言って扁桃体がなければ恐怖を感じないかと言えばそんなことはないようです。左右両方の扁桃体を損傷しても恐怖を感じることはできる場合もあるということがわかっています(11)。これは感じなくなったという場合もあるので微妙ですが。進化的に言えばヒトは扁桃体の機能を大脳皮質に移すまたは拡張つつある過渡期の状態なのかもしれません。また扁桃体の活動は恐怖など意識できることに関連した仕事だけではなく、もっと多くの仕事を意識下でやっていて、意識下で活性化されても図286-4のようなアウトプットは行われるので体には大きな影響があります。むしろその人が置かれた環境、それは意識下の恐怖ではなくても無意識化のストレスによって扁桃体が過活動状態になることが、重大な疾病をもたらすおそれがあると思われます。

参照文献

1)クラゲとハエで食欲の起源に迫る 6億年前の共通祖先から続く満腹感の分子メカニズム
https://www.lifesci.tohoku.ac.jp/date/detail---id-51228.html

2)Vladimiros Thoma, Shuhei Sakai, Koki Nagata, Yuu Ishii, Shinichiro Maruyamac, Ayako Abea, Shu Kondoe, Masakado Kawata, Shun Hamadag, Ryusaku Deguchi, and Hiromu Tanimoto,
On the origin of appetite: GLWamide in jellyfish represents an ancestral satiety neuropeptide., PNAS Vol.120 No.15 e2221493120 (2023)
https://doi.org/10.1073/pnas.2221493120
https://www.pnas.org/doi/10.1073/pnas.2221493120

3)Hiser, J.; Koenigs, M. The Multifaceted Role of the Ventromedial Prefrontal Cortex in Emotion, Decision Making, Social Cognition, and Psychopathology. Biol. Psychiatry vol.83, pp.638–647. (2018)
http://doi.org/10.1016/j.biopsych.2017.10.030
https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S0006322317322035

4)Šimic, G. Tkalcic, M., Vukic, V.; Mulc, D.; Španic, E., Šagud, M.; Olucha-Bordonau, F.E.; Vukšic, M.; R. Hof, P., Understanding Emotions: Origins and Roles of the
Amygdala. Biomolecules vol.11, no.823 (2021)
https://doi.org/10.3390/biom11060823
https://www.mdpi.com/2218-273X/11/6/823

5)続・生物学茶話283: 大脳辺縁系 7.扁桃体
https://morph.way-nifty.com/grey/2025/10/post-193960.html

6)魚から人へ 扁桃体の暴走ー「うつ病」とは
http://www.erugo.jp/news/mjblog/837

7)うつ病の起源から未来医療へ
https://www.nips.ac.jp/srpbs/media/publication/140719_report.pdf

8)名古屋大学 脳と心の研究センター  脳磁計による脳磁場計測
https://www.med.nagoya-u.ac.jp/noutokokoro/machine/meg.html

9)LeDoux J.E., Synaptic Self: How Our Brains Become Who We Are
https://www.amazon.co.jp/Synaptic-Self-How-Brains-Become/dp/0670030287/ref=sr_1_1?__mk_ja_JP=%E3%82%AB%E3%82%BF%E3%82%AB%E3%83%8A&crid=1U4BQP6NU5XFX&dib=eyJ2IjoiMSJ9.B7Wdjg61sh7B__SzjPgoGw.s_SBqOqDRnEwmlY9bijItUO3_ntoQ6RHsVCdoz8fSMA&dib_tag=se&keywords=LeDoux%2C+J.E.+Synaptic+Self+%3B+Penguin+Books%3A&qid=1762412631&s=english-books&sprefix=ledoux+j.e.+synaptic+self+penguin+books+%2Cenglish-books%2C182&sr=1-1

10)LeDoux J.E., Semantics, Surplus Meaning, and the Science of Fear., Trend in Cognitive Sciences., Volume 21, Issue 5, pp.303-306 (2017)
https://www.cell.com/trends/cognitive-sciences/abstract/S1364-6613(17)30033-5?cc=y%3D&_returnURL=http%3A%2F%2Flinkinghub.elsevier.com%2Fretrieve%2Fpii%2FS1364661317300335%3Fshowall%3Dtrue

11)Feinstein, J., Buzza, C., Hurlemann, R. et al. Fear and panic in humans with bilateral amygdala damage. Nat Neurosci 16, 270–272 (2013). https://doi.org/10.1038/nn.3323
https://www.nature.com/articles/nn.3323

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2025年11月 5日 (水)

Congratulations !

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BBCの報道によると(1)予想通りゾーラン・マムダニ氏がニューヨーク市長になるようです(2)。トランプは投票前日に、共和党系の候補をさておいて、無所属のクオモに投票するように・・・などと卑怯なアジテーションをしましたが、それも空しかったわけです。パージニア州の知事選、ニュージャージー州の知事選でも民主党が勝利しました。

マムダニ氏は民主党の中でもバーニー・サンダース派で、オカシオ=コルテスらと政策を共にする左派に属します。トランプは彼らを共産主義者と言っていますが、なんのことはない、彼らの政策は昭和時代の自民党がやっていた政策とさして差はありません(3)。バス代無料とか家賃フリーズというのは今の時代に特に必要とされる政策で、昭和日本とは違いますが。

ニューヨーク市長をとっただけで騒ぐのはおかしいのですが、もし彼らが政権をとると、私は日本にも絶大な影響があると思っています。彼らはおそらく日米地位協定の改正に同意すると思います。彼らが政権を取った時こそ、日本が独立国家となる絶好のチャンスです。これを逃してはなりません。そのためにも与党・野党をとわず、国会議員は今から秘密裡にでもサンダース派と緊密にコンタクトをとっておくべきだと思います。

1)米ニューヨーク市長選、民主党のマムダニ氏が当選確実に
https://www.bbc.com/japanese/articles/c4gkwxnvynxo

2)渋めのダージリンはいかが:ゾーラン・マムダニ ニューヨーク市長に最有力
https://morph.way-nifty.com/grey/2025/09/post-d7ff9c.html

3)渋めのダージリンはいかが:オカシオ=コルテスという人物
https://morph.way-nifty.com/grey/2020/02/post-0dae79.html

 

Victory Speech
https://www.youtube.com/watch?v=hFH2dYwH3rI
https://www.youtube.com/watch?v=9MfBp8xUR3Q

 

 

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2025年11月 2日 (日)

続・生物学茶話285:感情とは 2.ソマティック・マーカー仮説

アントニオ・ダマシオはポルトガルのリスボン医科大学で医学を学び、神経科学を専攻して学位を得ました。その後米国に移って主にアイオワ大学で研究を続けました。感情とその生物学的基礎がいかに意思決定に関与しているかについての仮説「somatic marker hypothesis」を提唱しました。これはどう訳したらよいかわかりませんが、脳科学辞典では somatic marker を身体信号と訳しています(1)。一般的にはそのまま「ソマティック・マーカー仮説」とされているようです。

アントワン・ベチャーラはカナダのトロント大学で学位を得て、その後米国のアイオワ大学で研究を続けました。ここでダマシオと共に Iowa Gambling Task (アイオワ・ギャンブリング課題、2)という意思決定の過程を検定するテストを開発して、ダマシオの仮説を実験的に確かめました。ダマシオとベチャーラの写真を図185-1に示します。

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図185-1 アントワン・ベチャーラとアントニオ・ダマシオ

フィニアス・ゲージ氏のように前頭前野の損傷がある人や扁桃体に損傷がある人は、脳生理学のさまざまなテスト、IQ・数値計算・長期短期記憶・言語能力・運動機能・視覚聴覚などでは異常が発見されないくらい保たれているにもかかわらず、日々の行動計画をたてたり、過去の失敗を考慮してやり方を変えることなどの意思決定ができず、友人やパートナーを選ぶことができないなど様々な生きていく上で必要なことができないため、普通に生活することができません。この欠陥の原因を究明するため、ベチャーラとダマシオはアイオワ・ギャンブリング課題というテストを開発しました。

アイオワ・ギャンブリング課題とは、Senwisdomsというサイト(3)の説明をお借りすると、

まず4つのカードの束(ABCD)をつくります

A:報酬は100円。10枚に1枚の割合で1250円の罰金カードがはいっている
B:報酬は100円。4枚に1枚の割合で500円の罰金カードがはいっている
C:報酬は50円。10枚に1枚の割合で250円の罰金カードがはいっている
D:報酬は50円。4枚に1枚100円の罰金カードがはいっている

AまたはBを選び続けると損をしますが、CまたはDを選び続けると得をすることになります。

ベチャーラとダマシオの研究によると、健常者はこのテストを続けると、次第にCDを選んで得をすることになりますが、フィニアス・ゲージ氏のように大脳の腹内側前頭前野に損傷がある人(4、5、図185-2)や扁桃体(6)に損傷のある人は、いつまでたってもトータルで得をするような選択にたどりつけないことがわかりました(7、図185-3)。

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図185-2 ヒト脳における腹内側前頭前野の位置

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図185-3 アイオワ・ギャンブリング課題

ベチャーラとダマシオはカードを引くときの被験者の皮膚に流れる電流を測定しました。この結果健常者はABがある机からカードを引くと皮膚に流れる電流が強くなりますが、腹内側前頭前野に損傷がある患者はAB、CDのいずれの机から引いても差はなく、扁桃体に損傷のある患者の場合はそもそも電流が非常に弱いことがわかりました(7、図185-4上図)。

また健常者はカードを引く前から、ABのカードがある机から引こうとしたときには電流が強く流れることがわかりました(7、図185-4下図)。腹内側前頭前野や扁桃体に損傷がある患者の場合、そもそも電流が弱くまたABを引こうとした場合とCDを引こうとした場合で差はないことがわかりました(7、図185-4下図)。

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図185-4 皮膚電気活動

このような健常者と患者の違いは被験者達がこのカードの仕組みに気が付く前からみられ、健常者は本能的に皮膚の電気信号がABを選択しようとしたときに強くなって、CDを選択することがわかりました。しかも驚くべきことに腹内側前頭前野に損傷がある人はカードの仕組みに気が付いた後も、得をするような選択ができないこともわかりました。つまり知性のはたらきによってCDを選択すべきであると結論が出ていても、それを選択するという意思決定は知性によってはできなくて、別の力が必要なのです。これは動物の脳のしくみに大きな示唆を与えました。

アイオワ・ギャンブリング課題などの実験結果から、ベチャーラらは適切な意思決定には腹内側前頭前野や扁桃体が引き起こす無意識の情動的身体反応が不可欠であるという仮説を立てました(7)。これを理解することは直感的にはできませんが、好き・嫌い・危険・安全など意思決定に関わる感情は無意識のうちにも存在し、人間は意外にもそのような無意識下の感情に従って意思決定をしているということなのでしょう。また感情の発生には脳以外の体の変化(ここでは手における電流の発生)がかかわっており、これは昔から議論になっている情動の理論に大きな影響を与えるものでもあります(8)。

もちろんソマティック・マーカー仮説によって腹内側前頭前野の機能がすべて説明されたわけではありませんし批判もありますが(9、10)、高度脳機能の解明のための大きなステップになったことは確かなのでしょう。

参照文献

1)脳科学辞典:ソマティック・マーカー仮説
https://bsd.neuroinf.jp/wiki/%E3%82%BD%E3%83%9E%E3%83%86%E3%82%A3%E3%83%83%E3%82%AF%E3%83%BB%E3%83%9E%E3%83%BC%E3%82%AB%E3%83%BC%E4%BB%AE%E8%AA%AC

2)Wikipedia: Iowa gambling task
https://en.wikipedia.org/wiki/Iowa_gambling_task

3)Senwisdoms 医療と育児と心理学 アイオワ・ギャンブリング課題とは
https://sengakuhisai.com/gambling-task/#google_vignette

4)続・生物学茶話284:感情とは1
https://morph.way-nifty.com/grey/2025/10/post-496aec.html

5)ウィキペディア::腹内側前頭前野
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%85%B9%E5%86%85%E5%81%B4%E5%89%8D%E9%A0%AD%E5%89%8D%E9%87%8E#:~:text=%E8%85%B9%E5%86%85%E5%81%B4%E5%89%8D%E9%A0%AD%E5%89%8D%E9%87%8E%20(Ventromedial,%E3%81%AE%E5%87%A6%E7%90%86%E3%81%AB%E9%96%A2%E4%B8%8E%E3%81%99%E3%82%8B%E3%80%82

6)続・生物学茶話283: 大脳辺縁系 7.扁桃体
https://morph.way-nifty.com/grey/2025/10/post-193960.html

7)Antoine Bechara and Antonio R. Damasio, The somatic marker hypothesis: A neural theory of economic decision., Games and Economic Behavior vol.52, pp.336–372 (2005)
https://doi.org/10.1016/j.geb.2004.06.010
https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S0899825604001034

8)続・生物学茶話284:感情とは1
https://morph.way-nifty.com/grey/2025/10/post-496aec.html

9)大平英樹 感情的意思決定を支える脳と身体の機能的関連 Japanese Psychological Review, vol.57, no.1, pp.98-123 (2014)
https://doi.org/10.24602/sjpr.57.1_98
https://www.jstage.jst.go.jp/article/sjpr/57/1/57_98/_article/-char/ja/

10)大平英樹 感情史と生命科学―『感情史の始まり』へのコメント― 現代史研究 vol.67, pp.67-73 (2021)
https://doi.org/10.20794/gendaishikenkyu.67.0_67
https://www.jstage.jst.go.jp/article/gendaishikenkyu/67/0/67_67/_pdf/-char/ja

 

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2025年10月31日 (金)

ヨコハマ 猫の美術館

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横浜の山手 外人墓地の近くにあった猫の美術館が閉館するそうです。

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ヨコハマ猫の美術館からのご挨拶

耐震後は、内部構造も変わり、今までのような展示スペースの確保は難しくなります。
たくさんの猫たちは冬眠にはいりますが、またいつかどこかでみなさまにお目にかかれる日がくることを願っています。
今まで永きにわたり、たくさんの猫たちをかわいがっていただき、猫の美術館でお時間を過ごしてくださいましたことに、心から感謝申し上げます。

https://www.facebook.com/catmuseumyokohama/?locale=ja_JP

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都会の喧騒から離れた別世界のような美術館でした。

Fb

もう横浜には10年以上ごぶさたです。
お土産に買った象嵌のブローチ。
大事にしています。

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横浜にはいろいろ思い出があります。

私も含めて学術関係の方はパシフィコ横浜の学会でお馴染みでしょう。

若い頃には山崎ハコや西島三重子のコンサートにも行きました。

ベルティーニ都響のマーラーはみなとみらいホールで聴きました。

山崎ハコ ヨコハマ
https://www.youtube.com/watch?v=tGDAAkTYaFQ&list=RDtGDAAkTYaFQ&start_radio=1

 

 

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2025年10月30日 (木)

シューベルト ピアノ五重奏曲 ます

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ジャクリーヌ・デュプレが夏からずっと間欠的に咲いています。ジャクリーヌ・デュプレは若くして病没した天才チェリスト ジャクリーヌ・デュプレにちなんで名付けられた薔薇の品種です。

茎は凶悪ですが、花は美しい。

ユダヤ人音楽サークルにつつまれたジャクリーヌ・デュプレ
https://www.youtube.com/watch?v=zvwMxZn8mto&list=RDzvwMxZn8mto&start_radio=1&t=510s

1969年ですから50年以上前のフィルムだと思いますが、信じられない鮮明な映像でアップされています。

みんなとても若い時代の映像ですが、後にはクラシック音楽ファンならここに出演している全員の名前を知っているはず、という有名人ぞろいです。パールマンがこんなひょうきんな人だったとは! メータがコントラバスを弾いているのもびっくり。

出演者:ダニエル・バレンボイム、イツアーク・パールマン、ピンカス・ズ ―力一マン、ジャクリーヌ・デュプレ、ズービン・メータ

演目:フランツ・シューベルト「ピアノ5重奏曲 ます」

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2025年10月28日 (火)

カムフラージュ(camouflage) 竹内まりや(Takeuchi Mariya)

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竹内まりや カムフラージュ
https://www.youtube.com/watch?v=sgrX5jHxGIA&list=RDsgrX5jHxGIA&start_radio=1

オフィシャルMV
https://www.youtube.com/watch?v=RoPK4BrrgHk&list=RDRoPK4BrrgHk&start_radio=1

山下達郎はすごい。
こんなにエロティックな細君の伴奏やって、しかもコーラスまで担当するなんて。
私だったらこの曲ではステージに出ません。
だいたいそういうアレンジにしないし。

これがプロ根性というものなのか・・・。

でも竹内まりやにエロティシズムを感じるのはこの曲だけかもしれない。

眠れる森
https://www.youtube.com/watch?v=UA4ecUN6NdA&list=RDUA4ecUN6NdA&start_radio=1
https://www.youtube.com/watch?v=gbL0_OOXlkE&list=RDgbL0_OOXlkE&start_radio=1

カバー 奈良姉妹
https://www.youtube.com/watch?v=iFFuThZJQvw&list=RDiFFuThZJQvw&start_radio=1

カバー SOLIDEMO (男性コーラス)
https://www.youtube.com/watch?v=U7GQyVF6b3Y&list=RDU7GQyVF6b3Y&start_radio=1

カバー 結城愛里奈
https://www.youtube.com/watch?v=XULJDl2ZlgE&list=RDXULJDl2ZlgE&start_radio=1

カバー Nagie Lane
https://www.youtube.com/watch?v=NWQZvnXf7yY&list=RDNWQZvnXf7yY&start_radio=1

サックス
https://www.youtube.com/watch?v=IjcEqMJe4x8

 

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2025年10月26日 (日)

続・生物学茶話284:感情とは 1.プロローグ

感情は確かに存在しますが、それを単独に自然科学が取り扱うことはまだ困難だと思います。同じ脳の活動でも知性はIQ測定などの方法がありますが、感情を測定して数値化するのは困難です。ただ感情によって現れた筋肉・行動・体内組成の変化などについては測定できるので、間接的方法による様々なアプローチは昔から行われてきました。

ヒトの感情と脳のはたらきについての科学的考察を行うに際して、最初に多くの人の注目を集めた事故について触れないわけにはいきません。それは1848年に米国の鉄道建設技術者フィニアス・P・ゲージ氏に起こった出来事です。彼はバーモント州で鉄道の路盤を建設するための工事に携わっていましたが、路盤を突き固めるために使っていた鉄棒が頭に突き刺さるという悲惨な事故にあいました。彼の肖像写真とその事故の状況を図284-1に示します(1)。この事故によって彼の左前頭葉の機能はほとんど失われました。

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図284-1 自分の頭に突き刺さった鉄棒を持つフィニアス・P・ゲージ氏の肖像と脳に突き刺さった鉄棒の状況

彼はこの事故で死亡せず、ジョン・マーティン・ハーロウ医師らの処置で生き延びることができました。事故が起こったのは9月13日でしたが、9月23日から10月3日まで昏睡状態になりましたが、10月7日には起き上がり、1か月後には歩くこともできるようになりました。翌年の春には左目を失い、顔面に少し麻痺が残ったほかはすっかり回復したとハーロウも認めました。

しかし体は回復したものの、彼には精神上の変化がありました。ウィキペディアにあるハーロウの記述を引用します。

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彼の知的才覚と獣のような性癖との均衡というかバランスのようなものが、破壊されてしまったようだ。彼は気まぐれで、礼儀知らずで、ときにはきわめて冒涜的な言葉を口にして喜んだり(こんなことは以前の彼には無かった)、同僚にもほとんど敬意を示さず、彼の欲望に拮抗するような制御や忠告には我慢ができず、ときにはしつこいほどに頑固で、しかし気まぐれで移り気で、将来の操業についてたくさんの計画を発案するものの、準備すらしないうちに捨てられてほかのもっと実行できそうなものにとって代わられるのだった。知性と発言には子供っぽさが見られ、強い男の獣のような情熱を備えていた。事故以前は、学校で訓練を積んでいなかったものの、彼はよく釣合の採れた精神をもち、彼を知る者からは抜け目がなく賢い仕事人で、エネルギッシュで仕事をたゆみなく実行する人物として敬意を集めていた。この視点で見ると彼の精神はあまりにはっきりと根本から変化したため、彼の友人や知人からは「もはやゲージではない」と言ったほどであった

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このハーロウの記述およびゲージ氏の健康状態の記録によって、ヒトは左前頭葉を失っても健康に生きられるが、性格は大きく変化するということが示唆されました。しかしその一方で感情の制御や知性のレベルには大きな問題が発生することも示唆されました。

ゲージ氏の事件は感情を科学的に説明しようという科学者を刺激しましたが、一方でこれだけ広範な脳の部位が失われても生きていられるということがわかり、精神障害者などにロボトミーを行って治療しようという脳外科医の活動を刺激することにもなりました。動物実験でよく知られているのは、クリューバー・ビューシー症候群で、サルの動物実験で両側の扁桃体が破壊されると、見境のない接近行動(恐怖を感じない)、なんでも食べようとする、同性や他種動物とも性交しようとする、恐怖を感じなくなるなどの変化が起こることが知られています(2、図284-2)。

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図284-2 クリューバー・ビューシー症候群

ロボトミーは昔の話と思うのは間違いで、現在でもてんかんの治療で海馬と扁桃体を除去するという手術(選択的海馬扁桃体切除術)は普通に行われているそうです(3、4)。脳科学という勝手な観点から言えば、どちらか片方にしてほしいと思うわけですが、VICEというサイトに扁桃体だけを除去した人についての記事がありました(5)。「」内はその引用です。

「2020年米国エモリー大学のサヌ・ファン・ルーイ(Sanne van Rooij)はてんかんとPTSDを併発した患者2名を対象に研究を行なった。2名とも、それぞれのトラウマを想起させる物に対して高い恐怖反応を示していた。しかし、それぞれにレーザーによる右扁桃体の切除手術を行なったところ、共にPTSD症状が大幅に改善。具体的に言うと、患者の過覚醒症状(落ち着かなさや過剰な警戒心など)や驚愕反射の改善が示された。」

患者ジョディ・スミス氏は手術の結果、爬虫類に対する異常な恐怖感がなくなったとか死に対する恐怖がなくなったとか顕著な変化があることに気づきました。また道で強盗に襲われた時も、顔色も変えずに歩き続けたので、強盗が驚いて何も奪わずに去っていったそうです。

恐怖というのは感情の中でも進化の過程で非常に早くから生まれと思われます。なぜならカンブリア紀には食物連鎖が発生し、ほとんどの動物は上位の動物に食べられる危険性があるので、「恐怖」という脳のフォルダー=神経細胞の特殊な集合体に、さまざまな上位動物の画像・臭い・音などのファイル=長期記憶=シナプスの変化を収納して、それらを検知したときにはすぐに恐怖?を感じ、運動プログラムを起動する必要があったと思われるからです。

このように「感情」の発現には前頭葉と扁桃体が重要な役割を果たしていると考えられていますが、ここでは「感情」の問題が科学者によってどう取り扱われてきたか、少し歴史をたどりたいと思います。最初に述べたように「感情」は自然科学の対象として取り扱えるかどうかは微妙なので、日本の自然科学者は「情動」という言葉を使います。これは感情によって現れた測定可能な変化を含むものです。ただ英語には残念ながらこの言葉に相当する単語がなく emotion という言葉が使われる場合が多いようです。

情動の研究については昔から自律神経系の活動が先か中枢神経系の活動が先かについて論争があり、様々な学説をまとめたのが Simic らが示した図284-3です(6)。ここで中枢神経系の働きは cognitive appraisal (経験的事実認識による評価 or 認知的評価)という難しい言葉で表現されています。ウィキペディアをみると「環境中の刺激に対して個人が行う主観的解釈 あるいは個人が生活の中でストレス因子に反応し、解釈する方法」と定義されています(7)。わかったようなわからないような定義ですが、ともかくたとえば図にあるヘビをみて脳が感じる恐怖がそれに相当するようです。一番上の James-Lange説では、先に感覚器官→自律神経系の働きによって筋肉が緊張したり、心臓の鼓動が早くなったりする結果、中枢神経系による「恐怖」の感覚が発生するということになっています。それに対して Lazarus説では感覚器官の情報はまず中枢神経系に集められ、そこで怖いものと判断されてから感情や自律神経系の活動が発生するということになっています。

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図284-3 情動についての古典的学説

 

参照文献

1)ウィキペディア:フィニアス・ゲージ
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%95%E3%82%A3%E3%83%8B%E3%82%A2%E3%82%B9%E3%83%BB%E3%82%B2%E3%83%BC%E3%82%B8#cite_note-reliablesources-30

2)脳科学辞典:扁桃体
https://bsd.neuroinf.jp/wiki/%E6%89%81%E6%A1%83%E4%BD%93

3)宇田武弘 他 てんかん外科手術に必要な解剖学的知 脳神経外科ジャーナル 33巻 7号 460~467ページ(2024) https://doi.org/10.7887/jcns.33.460
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jcns/33/7/33_460/_pdf/-char/ja

4)はしぐち脳神経クリニック 
https://hashiguchi-cl.com/page/brainpedia/%E5%86%85%E5%81%B4%E5%81%B4%E9%A0%AD%E8%91%89%E3%81%A6%E3%82%93%E3%81%8B%E3%82%93/

5)VICE:脳の一部を切除して恐怖を感じなくなった男(2021)
https://www.vice.com/ja/article/brain-surgery-cant-feel-fear/?

6)Šimic, G. et al Understanding Emotions: Origins and Roles of the
Amygdala. Biomolecules vol.11, no.823 (2021)
https://doi.org/10.3390/biom11060823
https://www.mdpi.com/2218-273X/11/6/823

7)ウィキペディア:認知的評価
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%AA%8D%E7%9F%A5%E7%9A%84%E8%A9%95%E4%BE%A1

 

 

 

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2025年10月21日 (火)

2030-2040年 医療の真実 熊谷頼佳著

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政府は高齢化社会を高齢者に仕事をさせることによって乗り切ろうとしていますが、著者(認知症の専門医)の調べでは85歳以上の高齢者の割合は2040年まで増加し続けるそうです。そして85歳以上の要介護認定率は57.7%だそうです(2022年度の「介護保険事業状況報告」から算出)。

これで予算を増やさないとどうなるかというと、これはすでに起こっていることですが、一人暮らしで全盲かつ半身まひの人が要介護から要支援にレベルを引き下げられ亡くなってしまう(1)・・・というようなことが日常茶飯事になってしまいます。

いまでも介護施設は人手不足です。これは物価上昇しても介護業界の給料を上げないという政府の方針によります(2)。これに加えて、人手不足を外国人の導入によって補おうとしても、右翼が抵抗するという面倒な問題があります。そんなことを言ってられるような事態じゃないし、ますます事態は緊迫の一途をたどることは明らかなのにです。しかも本日右翼に支持されている政党が政権を握るという事態となりました。ただし私は高市氏は必ずしもこの問題に後ろ向きだとは思っていません。

医療や看護の世界もこの本によれば非常に厳しいものがあるようです。この世界はさすがに外国人に頼るというわけにもいきません。私は9月にある病院で手術を受けましたが、どうみても医師や看護師が昼食をとっている時間がない日があると思いました。昼抜きで午後手術というのはつらいと思います。開業医は昼休み3時間も取っているのとはえらい違いです。

特に外科医の不足はひどいらしくて、年寄に仕事をさせるといっても70歳代の外科医が手術をするというのはさすがに問題でしょう。このままだと癌の手術も半年待ちという事態になりそうです。

この本の著者も私も特にこれからのキーポイントだと思うのは、ホームヘルパーの報酬と人数を増加させるべきだということです。またこの分野への外国人の導入に躊躇すべきではありません。これによって老人も最低限の文化的生活が可能になり、憲法がかろうじて守られることにもなります。神奈川県は積極的にやっているようです(3)。

1)https://www.youtube.com/watch?v=D8RnCQerQ8g&t=48s

2)https://www.ekaigotenshoku.com/ekaigowith/2024/10/21/bukka_jyosho/

3)こちら

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2025年10月19日 (日)

ショパンコンペティション 2025

ショパンコンペティション2025が開催されています。長い長い予選を経て11人のファイナリストが決まりました。科学の世界だけでなく音楽の世界でも中国人が席巻しているのが今の時代です。でも優勝するのは進藤実優です。

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前回2021年にも私のイチオシだったピアニスト進藤実優が、今回(2025年)ついにファイナリストとなりました。2ndラウンド、3rdラウンドの演奏を聴きましたが、前回よりもさらに磨きがかかってまさに神域に達しています。

ピアノソナタ第2番変ロ短調 作品35 はもはや人間世界の雑味をすべてそぎ落とし、ボノボの心で演奏しているみたいで、涙が出てきました。

MIYU SHINDO third round (19th Chopin Competition, Warsaw)
https://www.youtube.com/watch?v=TKoNyNP2__A&t=763s


ブログ過去記事

進藤実優 驚異の名演
https://morph.way-nifty.com/grey/2021/10/post-69884a.html

ショパンコンペティション2021 ファイナリスト決定
https://morph.way-nifty.com/grey/2021/10/post-4f0b5c.html

憑依のピアニスト 進藤実優
https://morph.way-nifty.com/grey/2023/04/post-d5dfa7.html

 

最終結果:ふ~ん

 

 

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2025年10月18日 (土)

カマキリの訪問

ベランダに出ていると、どこからかカマキリが飛んできて私の腕にとまり、すぐにバラの鉢に移動しました。どうするのかとおもっていたら、マスコットドールの頭に登って休んでいます。メスのようなので、卵を産む場所を探しているのでしょうか?

声をかけると私の方を振りむきました。カマキリは昆虫には珍しく鼓膜をもっています。昆虫とコミュニケーションがとれたのは新鮮な感動です。調べてみると、カマキリは超音波も感知できるそうで、これは天敵であるコウモリの接近を知るためのようです。

かまきり=mantis

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クローズアップ

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鎌をピッタリ体にくっつけているので、私を危険生物とは思っていないのでしょう。

 

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2025年10月16日 (木)

続・生物学茶話283: 大脳辺縁系 7.扁桃体

多細胞生物が最初に作った臓器は腸で、神経はまずその腸を動かしたり休ませたりするために機能していたに違いありません。円口類では、脳と無関係に発生し自律神経系によって支配されない腸神経が認められています(1、2)。腸神経は腸の状況に応じて様々な判断を行えるように進化し、ある種の中枢神経系として機能するようになりました。腸神経系の出現の後、どのように脳脊髄系の中枢神経系が進化したかはわかりませんが、先カンブリア時代おいて腸を動かすことの次に中枢神経系が果たすべき重要な役割は「餌をみつける→移動する→食べる」という行為を統括することだと想像できます。「餌をみつける→うれしい→移動する→食べる」というプロセスはなかったでしょう。

しかしカンブリア紀になって食物連鎖がはっきりしてくると、「捕食者や危険動物を認識する→逃げる」という行動がほとんどの動物にとって必須になります。触覚だけで判断していたときはまだシンプルでしたが、視覚・臭覚・聴覚などを動員して判断するには記憶や統合的処理が必要です。ならば「怖い」というボックスを中枢神経系に設置し、さまざまな捕食者や危険動物の画像・臭い・音などをそこに放り込んでおいて、ボックスに入力があれば記憶と照合して「逃走」という運動プログラムに出力する、というシステムは生存するために有利です。扁桃体の起源はその恐怖ボックスにあると思われます。扁桃体あるいはそれに相当する組織の研究のほとんどは哺乳類について行われているので情報は限られますが、扁桃体が情動において重要な役割を果たしていることは確実です(3)。

扁桃体(amygdala)=アミグダラ という名前はギリシャ語のアーモンドだそうで、19世紀にその形態から命名されたそうです。扁桃はアーモンドを意味する日本語です。川村光毅の記述によると「 哺乳動物の扁桃体は終脳の半球胞の腹側壁が側脳室の内腔に隆起状に発達した神経節丘の一部から生じる」とあります(4)。扁桃体は図283-1水平断面〈赤矢印)をみるとあたかも大脳皮質の一部のような位置にあります。しかしその構造は神経核の特異な集合体であり、大脳皮質の一般的構造とは異なります。また海馬と近接した位置にありますが(図283-1)、海馬とは機能的連携はあっても発生的には独立していています(3)。扁桃体は形態学的に尾状核(あるいは線条体)の尾側先端に位置しています。扁桃体からは尾状核や側坐核に出力があり、機能的にも扁桃体と線条体は深い関係があります(3、4)。

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図283-1 扁桃体の位置 

古典的な方法による扁桃体の組織染色図を図283-2に示します(5)。まず神経細胞群の外側に皮質があって、神経細胞群が外部から隔離されているような構造になっていることがわかります。これは混信を防ぐためには有効でしょう。しかし尾状核(線条体)とは直接連結していて隔壁はありません。ただし図のAST(尾状核-扁桃体境界領域)を構成する細胞はみえます。この細胞はニューロンですが、どのような役割を担っているかは不明です。

アセチルコリンエステラーゼの染色では尾状核と扁桃体の基底核がよく染まっています。基底核は扁桃体の中でもアセチルコリンによる情報伝達を盛んに行っている特異的な組織であることが示唆されています。特に内側核や中心核との境界は明瞭です(図283-2)。他の染色法の図を見ても、扁桃体は均一な細胞によって構成されているのではなく、部域によって異なる種類の細胞の集合体であり、各部域の間には明瞭な境界が存在する場合が多く認められます(図283-2)。

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図283-2 ラット扁桃体の切片観察 左:ニッスル染色(粗面小胞体を塩基性色素で染色する)、中:アセチルコリンエステラーゼの抗体による免疫染色、右:銀染色


げっ歯類でも霊長類でも扁桃体がその内部に複数の領域があって、それぞれ異なる機能を持った細胞集団を構成していることは確かです(3)。図283-3はヒト扁桃体の内部構造を示したものです(6)。ヒトにおいても扁桃体は尾状核の先端に位置し、尾状核と扁桃体の間には移行領域があります。海馬とも非常に近い位置にあります(図283-3)。また図の上部ではマイネルト基底核(NBM)と接しています。

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図283-3 ヒト扁桃体の構造 サイエンスダイレクトの図(6)を日本語化したものです。

原図の略号:AHi, amygdalohippocampal transition area (part of the superficial amygdala); BL, basolateral nucleus; BM, basomedial nucleus; Ce, central nucleus; CM, caudomedial part; d, dorsal part; DM, dorsomedial part; I, intermediate part; L, lateral part; La, lateral nucleus; M, medial part; Me, medial nucleus (centromedial amygdala); mf, medial fiber bundle (includes icm, intermediate caudomedial fiber masses); PL, paralaminar nucleus (laterobasal amygdala); v, ventral part; VL, ventrolateral part; VM, ventromedial part (includes lm, lamella medialis of Brockhaus, 1938) and intermediate fiber bundle (corresponds to ld, lamella dorsalis of Brockhaus (1938)). Neighboring structures: AStr, amygdalostriatal transition zone; HATA, hippocampal-amygdaloid transition area; HH, hippocampal head; NBM, nucleus basalis of Meynert.(日本語表記のためつぶれているものもあります)

脳科学辞典にサルの扁桃体内部の線維投射の図がありますが、非常に複雑であり、かつそれぞれが外部に投射し、また投射を受けているので私たちの脳で総合的に理解するのは多分不可能だと思います。また個々の機能については本が何冊もできるくらいに複雑なのでここで取り扱うのは困難です。なのでここでは基底外側核と中心核についての概略図(7、Janak and Tye による図を日本語化)を図283-4として、もうすこし扁桃体外部の関連領域をひろげたもの(8、Calhoon and Tye による図を日本語化したもの)を図283-5として示しておきます。原図をそのままコピーしたものではありませんので、正確を期したい場合は原著をごらんください(7、8)。

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図283-4 扁桃体における情報伝達の一部

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図283-5 扁桃体にかかわる情報伝達の一部(広範囲版)

危険を感知する→逃げる というシンプルな行動がカンブリア紀初期生物の最初の試みだったと思われますが、生物が多様化・進化するなかでは、例えば仲間が多ければ戦って撃退するとか、隠れる場所があればそこに潜むとか、海底の砂に潜るとか、アーマーやトゲをもつものならフリーズするとか、殻をもつものなら蓋を閉めるとか、アメフラシなら粘液を吐くとか、スミを吐くとかさまざまな行動が現れ、それとともに扁桃体あるいはそれに相当する神経核に関わる経路も複雑化していったのでしょう。

ヤナクとタイによれば、扁桃体はトカゲ、マウス、ラット、猫、サル、ヒトのすべてにおいえて左右2対があり、それぞれ基底外側核と中心核が図283-6の一番右の列のような形で存在しているそうです(7、図283-6)。これをみると進化とともに基底外側核の役割が大きくなってきているようです。

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図283-6 扁桃体の進化

 

参照文献

1)Stephen A. Green, Benjamin R. Uy, and Marianne E. Bronner, Ancient evolutionary origin of vertebrate enteric neurons from trunk-derived neural crest., Nature, vol.544(7648): pp.88?91. (2017) doi:10.1038/nature21679
https://www.nature.com/articles/nature21679

2)続・生物学茶話252: 腸神経
https://morph.way-nifty.com/grey/2024/11/post-73bb0d.html

3)脳科学辞典:扁桃体
https://bsd.neuroinf.jp/wiki/%E6%89%81%E6%A1%83%E4%BD%93

4)Actioforma(川村光毅):扁桃体の構成と機能
https://www.actioforma.net/kokikawa/kokikawa/amigdala/amigdala.html

5)Joseph LeDoux, The amygdala., Current Biology, Volume 17, Issue 20, R868 - R874
https://www.cell.com/current-biology/fulltext/S0960-9822(07)01779-4

6)ScienceDirect: Amygdala
https://www.sciencedirect.com/topics/neuroscience/amygdala

7)Patricia H. Janak and Kay M. Tye, From circuits to behaviour in the amygdala., Nature., vol.517(7534): pp.284–292. (2015) doi:10.1038/nature14188.
https://www.nature.com/articles/nature14188

8)Calhoon, G., Tye, K. Resolving the neural circuits of anxiety., Nat Neurosci vol.18, pp.1394–1404 (2015). https://doi.org/10.1038/nn.4101
https://www.nature.com/articles/nn.4101

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2025年10月14日 (火)

上田綺世(うえだあやせ)

Ueda

上田綺世君みたいなメンタルで生きていきたいといつも思うんだけれど、そうはいかないんだよなあ。

ともあれセレソン撃破おめでとう。

(画像はウィキペディアより)

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2025年10月13日 (月)

Ebb tide : 引き潮

Westminster-chorus

Ebb Tide
作詞: Carl Sigman 作曲:Robert Maxwell

The Westminster Chorus
https://www.youtube.com/watch?v=U_Hk2KSkKm0&list=RDU_Hk2KSkKm0&start_radio=1

First the tide rushes in
Plants a kiss on the shore
Then rolls out to sea
And the sea is very still once more

So, I'll rush to your side
Like the oncoming tide
With one burning thought
Will your arms open wide

At last we're face to face
And as we kiss through an embrace
I can tell, I can feel, you are love
You are really mine in the rain, in the dark, in the sun

Like the tide at it's ebb
I'm at peace in the web of your arms
Ebb tide

波はうちよせ
海藻が浜辺にキスをする
そしてまた海に帰っていく
海はまた静寂を取りもどす

私はあなたのそばに
熱い思いで駆け寄る
次に来る満ち潮のように
あなたは腕を広げて受け入れてくれる

そして私たちは抱き合い唇を寄せる
私はあなたとの愛を語り信じる
あなたは雨でも、暗闇でも、陽光のもとでもわたしのものだ

引き潮のなかで
私はあなたの腕の中にあり、やすらぎの中にある

(私の適当な訳)

Bridge Over Troubled Waters
https://www.youtube.com/watch?v=2E5EEUv5ves&list=RD2E5EEUv5ves&start_radio=1

The Lutkin
https://www.youtube.com/watch?v=Sxu08nDnwWI&list=RDSxu08nDnwWI&start_radio=1

 

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2025年10月10日 (金)

秋たけなわ

今年はちゃんと秋がきました。

常緑性ヤマボウシ(わりとめずらしい)が実をつけました。

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落ち葉が美しい季節

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イヴ・モンタン
https://www.youtube.com/watch?v=5OxyLKzMYyY&list=RD5OxyLKzMYyY&start_radio=1


印西君(サイの一種)はスタバの兄貴が好きらしい。

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2025年10月 9日 (木)

都響2026年度楽季プログラム発表

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都響2026年度楽季プログラム発表

https://www.tmso.or.jp/j/news/35179/

全く個人的な意見です。

プロコフィエフの音楽は交響曲だけがちっとも面白くない
バルトークの音楽は個人的に肌が合わない
アイヴズの答えのない質問は全く理解不能
サーリアホの音楽も多分理解不能
ハイドンの交響曲を複数とり上げるなんて、まあめずらしい。

聴きたいのは

1.イベール フルート協奏曲(fl.松木さや)
2.リスト ダンテ交響曲
3.ノットが都響を指揮するというのは驚き
4.ルスティオーニがどんなマーラーをやるのか
5.ブルックナーの交響曲
6.葛飾でやる「新世界より」のチケットはすでにゲットしている

物価上昇が著しく、個人的にどんどん貧困化しているのがネック

早苗は焼け石に水くらいの政策しかできないと思う
(この予想が間違っていることを祈る)

 

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2025年10月 6日 (月)

芸術劇場改修おわり、都響C定期始動

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1年かけてようやく芸術劇場の改修が終わり、私も池袋に出没することになりました。

5Fにあがると、1Fロビーを見下ろすテラスから椅子が撤去されていました。
もともと立ち入れない状態になっていましたが(昔は立ち入れました)、椅子を撤去したとなればもうテラスは完全なデッドスペースになります。どうしてこの場所がこんなに迫害されているのかわかりませんが、ひょっとすると大勢ここにくると崩壊する危険があるのでしょうか?

会場2Fロビーに上がると、いったん全擦りガラスになっていた窓がほとんど透明なガラスに変えられていました。この方が気分はいいです。

会場2Fの扉の中に入ると、すぐ手すりが配置されていることに気が付きました。転落防止のためには良いと思います。ステージを見ると床が新調されていました。とてもきれいです。あれれステージにN響の吉村さんがいます。2曲とも出演していましたが、特に見せ場がなくて残念。鷹栖さんずいぶん見ていません。

ベートーヴェンのVn協奏曲はヴィトマン作曲のカデンツァが本邦初演ということでしたが、これがとんでもないやつで、池松が指揮者の前に出てきてソリストのエーベルレとデュオをやるとか、いつもより前方に配置したティンパニも加わるとか、全く曲の改造に近いことをやっていて、もうみんな曲に飽きてこういうのをやらないと欧州では客を集められないのかとあきれました。カデンツァそのものはなかなか面白く拝聴しましたし、演奏者も楽しそうでしたが、全くベートーヴェンを聴いた気分にはなりませんでしたね。なんかアールヌーボーの美しい美術品を見せられているような感じでした。エーベルレは水谷とふたりでアンコール(バルトーク)という異例な試みもありました。

シベリウスも繊細な曲線美の演奏で、ちょっと違うんじゃないかと思いました。非常に指揮者の趣味に傾いた演奏会だったと思います。

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マエストロ ストルゴーズ

指揮:ヨーン・ストルゴーズ
Vn:ヴェロニカ・エーベルレ
コンマス:水谷晃(今日はマキロンもゆづきも出演がなく、サイドは篠原)
東京都交響楽団

 

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2025年10月 3日 (金)

続・生物学茶話282: 大脳辺縁系 6.シナプス架橋

光学顕微鏡の分解能は100nm~200nmが理論上の限界と言われています(1)。ですからシナプス(20nm)やシナプス小胞(50nm)は見ることができません(2)。もちろん免疫組織化学でタンパク質の局在を見ることもできません。では電子顕微鏡でということになるのですが、一応それなりの構造はみることができますが、免疫電顕はなかなか難しい問題が多くて、光学顕微鏡レベルの免疫組織化学とは別世界です。

電子顕微鏡でわかったことは、シナプス前終末近傍にはシナプス小胞が集積していること、電子密度の高いアクティブゾーンと言われる部分があること、シナプス後膜近傍には電子密度が高い裏打ち構造(シナプス後厚肥 postsynaptic density=PSD)があることなどです〈2―4、図282-1))。

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図282-1 シナプスの電子顕微鏡写真

そして場合によっては、シナプス間隙にはっきりとした電子密度の高い線状あるいはカラム状の構造がみえることがあります(5-7、図282-2の青い矢印)。また同じシナプス間隙のなかでも線状構造体など電子密度の高い部分が明瞭に見える部分と、見えない部分があることがあります(図282-2)。これは一体何を意味しているのでしょうか?

2822a

図282-2 シナプス架橋の電子顕微鏡写真
a:https://www.oist.jp/ja/news-center/photos/11850
b:https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E3%82%B7%E3%83%8A%E3%83%97%E3%82%B9%E5%BE%8C%E8%82%A5%E5%8E%9A&mobileaction=toggle_view_desktop
c:https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E6%8A%91%E5%88%B6%E6%80%A7%E3%82%B7%E3%83%8A%E3%83%97%E3%82%B9&mobileaction=toggle_view_desktop

シナプス間隙など光学顕微鏡では見えない微小部分を解析するために、新たに Expansion Microscopy という技術が開発されました(8)。ニコンのサイトからダウンロードした解説書によると「標本に含まれるタンパク質のアミン基を架橋剤(Acryloyl-X, SEなど)で処理後、ポリアクリルアミドと吸水性ポリマーをベースにしたハイドロゲルで標本をゲル化する。ゲル化した標本は酵素消化または熱変性で物理的に均一化し、水を加えることで膨張する。ExMでは約4.5倍まで標本を拡大できるため、従来の光学顕微鏡の分解能を超えた解像度を得ることができる。また、拡大後の標本の組成は約99%が水となるため、長作動距離の水浸対物レンズを用いることで、深層部まで広域にわたって高解像度イメージングが可能である。」だそうです(9)。

光学顕微鏡自体も進歩して、100nm~200nmの分解能限界を超えるような製品が開発されてきました(10、11)。シュテファン・ザックスらはこれらの技術を駆使して、マウス海馬のニューロンのシナプスにおける足場タンパク質の免疫組織化学による可視化を行いました(12、図282-3)。

この結果は大変興味深いものでした。シナプス後厚肥の足場タンパク質 Homer1 とシナプス前アクティブゾーンの足場タンパク質 Basoon はそれぞれクラスターを形成しており、しかもそれらのクラスターはシナプスをはさんで対面しています。電位依存性カルシウムチャネルCaV2.1とBasoonは共同でクラスターを形成していることもわかります。シナプス空隙をはさんで、ある部分には Homer1および対面するBasoon/CaV2.1が存在し、ない部分(点線)には両者ともないということがわかりました(図282-3)。これは電子顕微鏡で見たシナプスに架かる橋の両端を思わせます。

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図282-3 新技術によるシナプス周辺の免疫組織化学
Homer1:シナプス後厚肥の足場タンパク質、Basoon:シナプス前アクティブゾーンの足場タンパク質、CaV2.1:電位依存性カルシウムチャネル、AF647・CF568・AF488:蛍光色素、下右(Merge)は全タンパク質が灰色で染色してあります

現在ではシナプス空隙を架橋するタンパク質がいくつか発見されています。図282-4は深田優子らが提出しているモデルで、この架橋の中心になっているのはLGI1というタンパク質です(13)。LGI1の変異によって家族性てんかん症という遺伝性の疾患が発生することが知られています(14)。リガンドであるLGI1はシナプス前細胞および後細胞表層にある受容体ADAM22に結合し、これによってシナプス架橋が行われます。

ADAM22はシナプス前細胞ではCASKなど、シナプス後細胞ではPSD-95などの足場細胞に結合します。深田らによると、マウスを用いた実験で ADAM22は興奮性と抑制性の神経細胞のいずれで KO しても,致死性てんかんが必発するそうです。また辺縁系脳炎を引き起こす自己抗体の大部分がLGI1を標的としていると述べています(14)。ADAM22-LGI1がグルタミン酸のAMPA受容体を制御していることは昔から知られていました(15)。

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図282-4 LGI1-ADAM22による架橋モデル

吴先登(Xiandeng WU)らは Neurexin-Neuroligin あるいは Neurexin-LRRTM(Leucine-rich repeat transmembrane neuronal protein) による架橋モデルを提唱しています(16、図282-5)。これらの架橋はシナプス前細胞および後細胞の双方に形成される液-液相分離によって形成された高分子集合体によって足場を与えられ、シナプスにおける情報伝達に影響を与えるとしています。

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図282-5 Neurexin, Neuroligin, LRRTMによる架橋モデル

シナプス架橋を実行するタンパク質を transsynaptic protein、シナプス前後細胞の細胞膜周辺に集積されるこの架橋に関連するタンパク質群を含めた架橋全体の構造を trans-synaptic nanocolumn (シナプス間ナノカラム)と呼びます(17、18、図282-6)。この架橋は図282-2に示されているように、単独のタンパク質ではなく多数の分子が集合した構造と思われます。また架橋構造が長期記憶の分子生物学的実体を構成する重要なパーツである可能性があります。

 

参照


1)キーエンス 顕微鏡入門ガイド
https://www.keyence.co.jp/ss/products/microscope/beginner/study/principle.jsp

2)脳科学辞典 シナプス前終末
https://bsd.neuroinf.jp/wiki/%E3%82%B7%E3%83%8A%E3%83%97%E3%82%B9%E5%89%8D%E7%B5%82%E6%9C%AB

3)脳科学辞典 シナプス
https://bsd.neuroinf.jp/wiki/%E3%82%B7%E3%83%8A%E3%83%97%E3%82%B9

4)Heupel K, Sargsyan V, Plomp JJ, Rickmann M, Varoqueaux F, Zhang W, Krieglstein K. Loss of transforming growth factor-beta 2 leads to impairment of central synapse function. Neural Dev. Vol.3: no.25. (2008) doi: 10.1186/1749-8104-3-25.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/18854036/

5)沖縄科学技術大学院大学 プレスリリース
https://www.oist.jp/ja/news-center/photos/11850

6)脳科学辞典:抑制性シナプス 
https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E6%8A%91%E5%88%B6%E6%80%A7%E3%82%B7%E3%83%8A%E3%83%97%E3%82%B9&mobileaction=toggle_view_desktop

7)脳科学辞典:シナプス後肥厚
https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E3%82%B7%E3%83%8A%E3%83%97%E3%82%B9%E5%BE%8C%E8%82%A5%E5%8E%9A&mobileaction=toggle_view_desktop

8)Chen F, Tillberg PW, Boyden ES. Optical imaging. Expansion microscopy. Science. 2015 Jan 30;347(6221):543-8. doi: 10.1126/science.1260088.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/25592419/

9)ニコン アプリケーションノート Expansion microscopyを応用した、高速、深部、高解像度の多光子イメージング
https://www.microscope.healthcare.nikon.com/ja_JP/resources/application-notes/high-speed-deep-high-resolution-multiphoton-imaging-using-expansion-microscopy

10)菅原皓、岡部弘基、船津高志 超解像光学顕微鏡 Drug Delivery System vol.29, no.4, pp.354-356 (2014)
https://www.jstage.jst.go.jp/article/dds/29/4/29_354/_pdf

11)羽鳥研究室 超解像顕微鏡への道
https://khatori.yz.yamagata-u.ac.jp/dSTORM/dstorm2.html

12)Stefan Sachs, Sebastian Reinhard, Sebastian Reinhard, Janna Eilts, Markus Sauer, Christian Werner, Visualizing the trans-synaptic arrangement of synaptic proteins by expansion microscopy.,
Front. Cell. Neurosci., Sec. Cellular Neuropathology, vol.18 (2024)
https://doi.org/10.3389/fncel.2024.1328726
https://www.frontiersin.org/journals/cellular-neuroscience/articles/10.3389/fncel.2024.1328726/full

13)Fukata Y, Hirano Y, Miyazaki Y, Yokoi N, Fukata M. Trans-synaptic LGI1-ADAM22-MAGUK in AMPA and NMDA receptor regulation., Neuropharmacology. 2021 vol.194, no.108628. (2021)doi: 10.1016/j.neuropharm.2021.108628.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34089731/

14)横井紀彦,深田優子,深田正紀 てんかん発症を抑制するためのLGI1–ADAM22タンパク質複合体の量的制御機構 生化学 vol.95(3): pp.384-388 (2023) doi:10.14952/SEIKAGAKU.2023.950384
https://seikagaku.jbsoc.or.jp/10.14952/SEIKAGAKU.2023.950384/index.html

15)生理学研究所 プレスリリース けいれん・記憶障害をきたす自己免疫性辺縁系脳炎の病態を解明 ―てんかん関連分子LGI1の機能阻害が辺縁系脳炎をも惹起する―
https://www.nips.ac.jp/nips_research/press/2013/11/_lgi1.html

16)Xiandeng Wu,, Zeyu Shen and Mingjie Zhang, Phase Separation-Mediated Compartmentalization Underlies Synapse Formation and Plasticity., Annu. Rev. Neurosci. Vol.48: pp.149–168 (2025) doi: 10.1146/annurev-neuro-112723-040159.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/39983028/

 

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2025年9月30日 (火)

お知らせ

Sarah101

些細な病気ながら病院通いが続いているため、続・生物学茶話282の原稿が遅延しております。しばらくお待ちくださいませ。

 

 

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2025年9月28日 (日)

Mina and Monchan ( the administrator of this weblog )

P1020411

みつめるキャッツアイ

I think that the japanese pronunciation of Anri is authentic and beautiful.
She sets a good example for ourselves as well as foreigners.

Cat's eye: Anri
https://www.youtube.com/watch?v=452Nwis0rhE&list=RD452Nwis0rhE&start_radio=1
https://www.youtube.com/watch?v=S_U7N1gr7oI&list=RDS_U7N1gr7oI&start_radio=1
https://www.youtube.com/watch?v=E-f6fNRTBbo&list=RDE-f6fNRTBbo&start_radio=1

Cover angels
https://www.youtube.com/watch?v=JINJppSRfk4&list=RDJINJppSRfk4&start_radio=1

Dance
https://www.youtube.com/shorts/rUHTMVUMi9g
https://www.youtube.com/shorts/PlCuK_Qssuk

===============

Summer Candles: Anri
https://www.youtube.com/watch?v=tAYnMUtQ3tY&list=RDtAYnMUtQ3tY&start_radio=1
https://www.youtube.com/watch?v=F0eyQo5I89E&list=RDF0eyQo5I89E&start_radio=1

While listening to Olivia: Anri
Olivia means Olivia Newton-John
https://www.youtube.com/watch?v=bAcMeF3lhv0&list=RDbAcMeF3lhv0&start_radio=1

A cover by Yoshimoto Miyoko
https://www.youtube.com/watch?v=K7Mh1YIGklY&list=RDK7Mh1YIGklY&start_radio=1

All of You: Anri
https://www.youtube.com/watch?v=iDNtsJXvbGA&list=RDiDNtsJXvbGA&start_radio=1

Sand Beach: Anri
https://www.youtube.com/watch?v=Hu6sOMvzgdo&list=RDHu6sOMvzgdo&start_radio=1
https://www.youtube.com/watch?v=tuBHVBum5Kg&list=RDtuBHVBum5Kg&start_radio=1

 

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2025年9月26日 (金)

ハイビスカス Hibiscus --- Prof. Yoshimoto Miyoko

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熱帯の植物もさすがに今年の夏には元気がなく、ベランダのハイビスカスは花をつけようとはしませんでしたが、ようやく先週あたりから涼しさも少し感じられるようになり、花をつけ始めました。いったん咲きはじめると、勢いがついてどんどん咲きます。

芳本美代子=みっちょんはハイビスカスみたいな雰囲気の80年代アイドルでした。私は当時松田聖子も中森明菜も南野陽子もみんな”特殊な”アイドルで、本格派は「みっちょん」だと思っていました。

トリック、相棒、科捜研の女、松本清張スペシャル、森村誠一サスペンス、コンフィデンスマンなどにも出演していたのでご存じの方も多いと思います。

現在は 大阪芸術大学短期大学部教授 をなさっているようです

ハイビスカスの夏
https://www.youtube.com/watch?v=zMv2IpObeRM&list=RDzMv2IpObeRM&start_radio=1

フェリアの娘(4:10~) 個人的に好きだった曲
https://www.youtube.com/watch?v=s69RcxckIyA&list=RDs69RcxckIyA&start_radio=1

フェリアというのはセビージャ(スペイン)周辺のお祭りです
http://www.flamencoole.com/spain/13.shtml

日本にも昔は地蔵盆というのがあって、近隣の人だけがお地蔵さんの周りに集まっておしゃべりをしたり遊んだりしました。

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飲む
https://www.youtube.com/shorts/G6JlpUYf_J4

教授のお仕事
https://www.youtube.com/shorts/mWhERHIEV8Y

娘(父親は金山一彦)
https://www.youtube.com/watch?v=HD_zi02S61c

==========

名曲集

白いバスケットシューズ
https://www.youtube.com/watch?v=cmLdQ1xgW60&list=RDcmLdQ1xgW60&start_radio=1

白いバスケットシューズ(フルコーラス🌺)
https://www.youtube.com/watch?v=Pb5Oselj67I&list=RDPb5Oselj67I&start_radio=1

雨のハイスクール
https://www.youtube.com/watch?v=FJ_AgkV_SH8&list=RDFJ_AgkV_SH8&start_radio=1

雨のハイスクール(HD画質の動画)
https://www.youtube.com/watch?v=XuV7wrt-cC4&list=RDXuV7wrt-cC4&start_radio=1

心の扉(夜のヒットスタジオ)
https://www.youtube.com/watch?v=k-zDwfhdhmY&list=RDXuV7wrt-cC4&index=3

心の扉(HD画質)
https://www.youtube.com/watch?v=2RIDRXnbxjs&list=RD2RIDRXnbxjs&start_radio=1

横顔のフィナーレ
https://www.youtube.com/watch?v=gSLkiZ5WqOI&list=RDgSLkiZ5WqOI&start_radio=1

セピアサマー 🌺🌺🌺
https://www.youtube.com/watch?v=Qf4wR8WESEk&list=RDewqnIFfBp58&index=9

Heroes(高画質)
https://www.youtube.com/watch?v=tIDq_8q5aFM&list=RDtIDq_8q5aFM&start_radio=1

青い靴
https://www.youtube.com/watch?v=PJxiojBhQcE&list=RDPJxiojBhQcE&start_radio=1


https://www.youtube.com/watch?v=ewqnIFfBp58&list=RDewqnIFfBp58&start_radio=1

オリビアを聞きながら(杏里のカバー) 🌺
https://www.youtube.com/watch?v=K7Mh1YIGklY&list=RDK7Mh1YIGklY&start_radio=1

Xmasスペシャル
https://www.youtube.com/watch?v=nSd5yukaSiU&list=RDnSd5yukaSiU&start_radio=1

年を経て
https://www.youtube.com/watch?v=98keSDeqNs4

 

 

 

 

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2025年9月23日 (火)

続・生物学茶話281: 大脳辺縁系 5.Ca++/カルモジュリン依存性プロテインキナーゼⅡの発見

レモ、ホラー、河西らによって、ある条件の刺激がニューロンに加えられると、その刺激を受けたスパインのサイズが拡大し、それはすぐにはもとにもどらないということが記憶の実像であることが明らかになりました(1)。モザーらの実験結果は特に見事です(2、3、図281-1)。彼らはラットを水槽で泳がせ、空間認識によってある足が着く場所にたどり着かせるという学習(モリスの水迷路試験)をさせることによって、海馬CA1錐体細胞樹状突起のスパインが拡大することを示しました(図281-1)。

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図281-1 水迷路試験による学習の結果 増加拡大する海馬CA1樹状突起スパイン ラットは壁の図形を見て、水面下にある足場にたどり着き休むことができます。

次に問題になるのは、そのような構造的変化が起こるために必要な生化学的なメカニズムはどのようなものなのかということです。山内卓(やまうちたかし)らはカテコールアミンやセロトニンの生合成が律速酵素のリン酸化によって調節されていることを研究していましたが、その過程でCa++/カルモジュリン依存性プロテインキナーゼⅡを発見し(4)、この酵素はATP、カルシウム+カルモジュリン、14-3-3タンパク質の存在下で活性化されることがわかりました(5、6、図281-2)。

さらにこの酵素は酵素でありながら海馬の全たんぱく質の約2%の重量を占め、しかもシナプス後肥厚(post synaptic density = PSD)の主要構成成分であり、シナプスの肥大化や新生の際にはこの酵素が活性化されることが必要であることがわかりました(5、6)。

現在では哺乳類のCa++/カルモジュリン依存性プロテインキナーゼⅡには4つの遺伝子α、β、γ、δが存在し、α、βは特に脳・記憶に重要な役割を果たすことが分かっています(7、8)。スプライスバリアントが存在する関係でアイソフォームは非常に多く、文献7によると28種類あるそうです。図281-2にα、βの遺伝子構造を示します。触媒領域と調節領域の相同性は非常に高く、αとちがってβは調節領域と会合領域の間に挿入部分があります(図281-2)。

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図281-2 Ca++/カルモジュリン依存性プロテインキナーゼⅡα・βの活性化と遺伝子構造

この酵素の4タイプのタンパク質の構造を図281-3に示しました(9)。上記のようにスプライスバリアントが存在するので細かな違いはありますが、大まかには4つの遺伝子に対応したこの4タイプのタンパク質になります。γ型とδ型はあらゆる臓器にみられますが、α型とβ型は脳の神経細胞に局在します。緑の四角形はリン酸化部位で、薄緑色の調節ドメインに集中的に存在し、ここが自己リン酸化されることによってこの酵素は活性化します。ヒトとラットでこのような局在やメカニズムは変わりません。

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図281-3 ヒト Ca++/カルモジュリン依存性プロテインキナーゼⅡのアイソフォーム 左端灰色:N末領域、灰青:触媒ドメイン、薄緑:調節ドメイン、右端青紫:会合ドメイン・C末  (Salaciak et al., 2021)

Ca++/カルモジュリン依存性プロテインキナーゼⅡは、調節ドメインにCa++/カルモジュリンが結合すると、自己リン酸化してコンフォーメーションが変化することによって活性化します(10、図281-4A・C)。図281-4Bはホロ酵素の立体構造を示したものです(10)。触媒ドメインと調節ドメインが12のユニットを形成していますが、リンカーの中間領域を経て中央の会合ドメインは2つの分子づつがからまりあって6つのユニットを形成しています。美しい構造です。

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図281-4 Ca++/カルモジュリン依存性プロテインキナーゼⅡの自己リン酸化による活性化(A、C)と立体構造(B)

Ca++/カルモジュリン依存性プロテインキナーゼⅡの進化上の保存性は高く、図281-5は特に保存性の高い部分をとりあげたわけではなく、触媒ドメインから全く適当にピックアップしたのですが、βの例ではカエル・ニワトリ・マウス・ヒトで同じです。γδでも同じことが言えます。つまりデボン紀から全く変わってないということです。ハエ・線虫・ウニ・カニでも差はわずかでほとんど同じです(11)。

そして神経細胞がない海綿動物 (sponge) とも強い相同性が認められます。つまりこの酵素はすでに先カンブリア時代から存在していて、神経細胞ができたときに流用されたと考えられます。

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図281-5 各種動物におけるCa2+/カルモジュリン依存性プロテインキナーゼⅡのアミノ酸配列(一部)

林らの論文(10)を読んでいて少し気になることがありました。彼らは「CaMKII はセロトニン合成の律速段階酵素であるトリプトファン水酸化酵素の活性化因子として藤澤仁,山内卓らによよって,またほぼ同時期にその他いくつかのグループによっても独立に発見された.」と書いていますが、彼らが引用している山内グループの論文は1983年からです。1980年の論文(4)は引用していません。山内らは(4)の論文をもって自分たちが発見したと言っているわけですから、なかなかデリケートな話です。個人的には山内氏がノーベル賞を受賞していても不思議じゃないのにと思います。

参照文献

1)続・生物学茶話280: 大脳辺縁系 4.記憶のメカニズム解明の第1歩
https://morph.way-nifty.com/grey/2025/09/post-4753b2.html

2)M B Moser, M Trommald, T Egeland, P Andersen, Spatial training in a complex environment and isolation alter the spine distribution differently in rat CA1 pyramidal cells.,
J Comp Neurol, vol.380(3) pp.373-381 (1997)
doi: 10.1002/(sici)1096-9861(19970414)380:3<373::aid-cne6>3.0.co;2-#
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/9087519/

3)脳科学辞典:迷路 
https://bsd.neuroinf.jp/wiki/%E8%BF%B7%E8%B7%AF

4)Takashi Yamauchi, Hitoshi Fujisawa, Evidence for three distinct forms of calmodulin-dependent protein kinases from rat brain., FEBS Letters vol.116, pp.1873-3468 (1980)
https://doi.org/10.1016/0014-5793(80)80628-4
https://febs.onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1016/0014-5793%2880%2980628-4

5)山内卓 カムキナーゼ II から記憶・学習の分子的基盤へ
薬学雑誌 vol.127(8), pp.1173-1197 (2007)
https://doi.org/10.1248/yakushi.127.1173
https://yakushi.pharm.or.jp/FULL_TEXT/127_8/pdf/1173.pdf

6)Lisman J, Schulman H, Cline H. The molecular basis of CaMKII function in synaptic and behavioural memory. Nat Rev Neurosci., vol.3(3): pp.175-90. (2002)
https;//doi: 10.1038/nrn753
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/11994750/

7)脳科学辞典:カルシウムカルモジュリン依存性タンパク質キナーゼ
https://bsd.neuroinf.jp/wiki/%E3%82%AB%E3%83%AB%E3%82%B7%E3%82%A6%E3%83%A0%E3%82%AB%E3%83%AB%E3%83%A2%E3%82%B8%E3%83%A5%E3%83%AA%E3%83%B3%E4%BE%9D%E5%AD%98%E6%80%A7%E3%82%BF%E3%83%B3%E3%83%91%E3%82%AF%E8%B3%AA%E3%82%AD%E3%83%8A%E3%83%BC%E3%82%BC

8)ウィキペディア:Ca2+/カルモジュリン依存性プロテインキナーゼII
https://ja.wikipedia.org/wiki/Ca2%2B/%E3%82%AB%E3%83%AB%E3%83%A2%E3%82%B8%E3%83%A5%E3%83%AA%E3%83%B3%E4%BE%9D%E5%AD%98%E6%80%A7%E3%83%97%E3%83%AD%E3%83%86%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%82%AD%E3%83%8A%E3%83%BC%E3%82%BCII

9)Kinga Salaciak, Aleksandra Koszałka, Elzbieta Zmudzka and Karolina Pytka, The Calcium/Calmodulin-Dependent Kinases II and IV asTherapeutic Targets in Neurodegenerative and Neuropsychiatric Disorders, Int. J. Mol. Sci., vol.22, 4307 (2021)
https://doi.org/10.3390/ijms22094307
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33919163/

10)林康紀,細川智永,劉品吾,實吉岳郎 CaMKIIの新しいシナプス可塑性機構
生化学 第 93 巻第 2 号,pp. 191‒202(2021)
https://doi:10.14952/SEIKAGAKU.2021.930191
https://seikagaku.jbsoc.or.jp/10.14952/SEIKAGAKU.2021.930191/index.html

11)Robert M. Tombesa, M. Omar Faisona, J.M. Turbeville, Organization and evolution of multifunctional Ca2+/CaM-dependent protein kinase genes., Gene vol.322, pp.17–31 (2003)
https://doi: 10.1016/j.gene.2003.08.023
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/14644494/

 

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2025年9月22日 (月)

近未来の社会

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ロシアとウクライナの戦争を御覧なさい。
戦っているのは無人飛行機、ドローン、ミサイルです。
人がいらない世界を予感しませんか?

あなたが会社経営者なら、人を雇うと
人権に配慮しなければなりません。
労働組合と話し合わなければなりません
社会保険の支払いが必要です
残業代が必要です
産休とられると長期に穴が開きます

でも

AIとロボットに仕事をさせれば
そのような面倒なことは必要ありません

このまま資本主義社会が続くと
近い将来 人は多くの場所で不要になります
これは遠い未来でなく10~20年の近未来の話です

わかりやすい場合だと
もうすぐ車の自動運転が可能になります そうすると
宅配・タクシー・トラック運送・バス等の運転手などが不要になります

会社の経理や給与計算などはAIがやります

レストランで料理の注文をすると、機械が調理してロボットが配膳します

症状を入力すると自動販売機から薬が出てきます

音楽もAIが演奏します(最近ではどんな曲でもあるひとりの歌手の声で聴くことができるようです)

必要な陳述や証拠を入力すると、裁判もAIが判決を出します

つまりほとんどの仕事から人が排除されていきます
→ → → 人はいらなくなるので人口は激減します

なぜこんな(多分)あってはならない社会が目前に迫ってくるのでしょうか?

それはこの社会が会社経営者と投資家の便宜をはかるために存在しているからです

会社経営者や投資家でもないのにAIやロボットを必死で推進している人々は、
その結果がどうなるかについての想像力に欠けています

3つの大きな決断をしなければ、近い将来人類は消滅の危機に直面するでしょう

1.資本主義をやめる
2.AIをやめる
3.ロボットをやめる

決断できるでしょうか?
私はできないままずるずると人類消滅の方向に向かうような気がしてなりません

ただ私が(多分)あってはならない社会としたのは
ひょっとするとそのほうがよいかもしれないという考え方もあり得ると思ったからです

人はみなアバターとして仮想空間で過ごし、現実空間にはわずかな人数しかいない世界の方が
地球環境の保護のためには明らかにベターですし
アバターとして暮らすならデジタル不老不死も実現できます
ただそうなると昔よくあったSF映画みたいに、
アバターは一部の支配者の思い通りにあしらわれているだけ
ということになりそうですが

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2025年9月19日 (金)

花鳥風月

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団地で昆虫や鳥がいなくなることがあります。年に何度か殺虫剤をまくので虫がいなくなり、それを餌とする鳥もいなくなります。これで喜んでいる人々もいるのですが、じゃあサウジアラビアで暮らせばいいのにと思う私です。だいたい団地で農業やってるわけでもないのに、どうして農薬なんかまくんだと思います。虫が増えて植物が枯れたらそれはそれで仕方ないじゃありませんか? 虫に弱い植物を植えるからいけないんです。いくら虫が増えても、路傍の雑草なんてボーボーですよ。虫はそのうち鳥が食べてくれます。

殺虫剤の主力はネオニコチノイド系で、この薬剤はシナプス後膜のニコチン性アセチルコリン受容体に結合し、持続的に神経を興奮させて生物を死に至らしめます。ニコチン性アセチルコリン受容体はほとんどの生物が持っているユニバーサルなものですし、脳血液関門も通過することがわかっているネオニコチノイド系農薬はヒトにも影響があることは明らかなのですが、もちろん致死量には大きな違いがあるので、殺虫剤として使われています。ただし欧州ではほとんどの薬剤が使用禁止されており、日本でもようやく規制の方向に向かう兆しはあります。が、まだ野放しに近い状態なのは残念。

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この農薬でミツバチが大量死することは以前から問題にされていて、これは虫媒を必要とする農業には深刻な影響があります。餌とする虫がいなくなることで当然鳥はいなくなり、花鳥風月は崩壊します。このブログでも以前から述べていることですが、日本は常にプロバイダー主導で、カスタマー(この場合食料を買って食べる人や団地の住人)の意見は消されます。このような政治風土は自民党が長年かけて培ってきたもので、覆す必要があります。ネオニコチノイドだけでなく、無数の問題がこのことに関係があります。


参照

1)ウィキペディア:ネオニコチノイド
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%8D%E3%82%AA%E3%83%8B%E3%82%B3%E3%83%81%E3%83%8E%E3%82%A4%E3%83%89

2)Yahooニュース:殺虫剤ネオニコチノイドは安全なのか? 日本と欧米で分かれる判断 PFAS、食品添加物と同じ構図
https://news.yahoo.co.jp/expert/articles/3e59bc871e81861811c384a0cba9901530ac3a05

3)ネオニコチノイド系農薬問題の概要
https://www.actbeyondtrust.org/neonico_reference/whats/whats1/

4)世界に遅れを取る日本のネオニコチノイド規制
https://www.econetworks.jp/translationtips/2024/10/neonico/

5)日本の野菜は大丈夫?!世界と日本のネオニコチノイド農薬に対する規制の違い
https://prolabo-farm.com/column/sekaitonihon/







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2025年9月15日 (月)

三軒茶屋GFM まきちゃんぐ x 夕食ホット

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今日は三軒茶屋GFMに大遠征してきました・・・年は取りたくない・・・こんな表現になってしまいます。日本はどんどん衰弱しているのに、この三軒茶屋は来るたびに茶沢通りも太子堂中央街もにぎやかになっているのにはびっくり。やはり人は密集して生活し、かつ人間関係はゆるいというのが一番住みやすいし、心地よいカルチャーの中で生活できるみたいです。

このカレー屋さんも大人気らしい。

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GFMに到着。商店街と住宅地のちょうど境界線上にある素敵なお店です。

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入場すると、機器もお客もミュージシャンの登場を待っています。今日はなんと小学生のお嬢さんが2人もお客さんです。いつもと違ってフロアの真ん中で演奏するみたいです。客席が3方を取り囲む形になります。補助席も出る大盛況。

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ふつう2メンというと、前半と後半で分けて演奏するわけですが、なんとみんな出ずっぱりでまさしくコラボです。綿密なリハーサルが行われたに違いありません。しょったん(夕食ホットのメンバー)がちゃんぐさんの「花のたねまき」を歌い、ちゃんぐさんが夕食ホットの「水平線」を歌うという趣向もありました。どっちも自分の持ち歌みたいにすごい。

出演者皆さんの写真はまきちゃんぐオフィシャルサイトにあります。
https://x.com/makichang_info

はなのたねまき(まきちゃんぐ)
https://www.youtube.com/watch?v=faYSNQTtd4A&list=RDfaYSNQTtd4A&start_radio=1

水平線(夕食ホット)
https://www.youtube.com/watch?v=j7KswletTfI&list=RDj7KswletTfI&start_radio=1

今回の趣向はちゃんぐさんとしょったんが中村中さんの主催するコーラスグループに参加していたことがきっかけになったみたいですが、その中村さんもみえていました。

今日 私的に印象深かった曲 🌺🌺🌺🌺🌺

まきちゃんぐ 木造アパート
https://www.youtube.com/watch?v=wPfcdLQAuNU&list=RDwPfcdLQAuNU&start_radio=1

夕食ホット giovanni
https://www.youtube.com/watch?v=pgiGlOY01NA&list=RDpgiGlOY01NA&start_radio=1

 



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2025年9月14日 (日)

倒木の敗者復活戦

このコーヒーの木は数年前に入れたのですが、たちまち病気になってほぼ全滅し、ほとんどの枝を落としました。わずかな生き残りから生育した木が今ベランダにいます。酷暑の夏にも耐えて結構元気に葉を出しました。

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うちのベランダの鉢植えは古いものが多いです。サボテンは20年以上前に購入したもので、主幹が横に延びてしまったのでやむなく切断し、植え替えた支幹が今生き延びています。ときには花も咲かせますし、きっとまだまだ生き続けるでしょう。

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「倒木の敗者復活戦」 作詞・作曲 中島みゆき

宮苑晶子
https://www.youtube.com/watch?v=1WyEP9OSlIU&list=RD1WyEP9OSlIU&start_radio=1

宮下文一
https://www.youtube.com/watch?v=PRDnbTjrWEw&list=RDPRDnbTjrWEw&start_radio=1

KIJIBATO&TAKA
https://www.youtube.com/watch?v=a4_ve3d-oGI&list=RDa4_ve3d-oGI&start_radio=1

ピアノソロ
https://www.youtube.com/watch?v=_V8PJauGLy4&list=RD_V8PJauGLy4&start_radio=1

中島みゆき トレーラー
8:55
https://www.youtube.com/watch?v=AT2MTas5X_s&t=535s

 

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2025年9月12日 (金)

続・生物学茶話280: 大脳辺縁系 4.記憶のメカニズム解明の第1歩

長期増強現象を発見したTerje Lφmo(タイエ・レモ)はノルウェーの医師で、大学時代は家族の期待もあって開業医をめざしていたわけですが、アルフ・ブローダルの研究室に出入りして脳幹網様体形成の話を聴いているうちにしだいに研究に興味を持って、イタリアのピサに留学して1年間の研究生活を経験するほどのめりこみました(1、2)。

大学を卒業後兵役義務で軍医として1年半勤務した後、研究への関心も薄れ、やはり医師として病院に勤務しようと仕事を探していた時に偶然ペール・アンデルセンと出会って意気投し、1964年に博士号を取得するためオスロ大学のアンデルセンの研究室に所属することになりました。ここで早速ウサギやネコを使った海馬の研究に着手しました。アンデルセンは海馬を使った電気生理学実験の手技はきちんと指導してくれましたが、1年後にはじめたD論の実験については自由にやらせてくれて、レモはこのやり方を気に入っていたようです(1、2)。

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図280-1 シナプス可塑性と長期増強に関する初期の研究にかかわった人々

レモが取り組んだテーマは歯状回への入力と、その繰り返しによる周波数増強の問題でした。彼はその結果を1966年にフィンランドのトゥルクで開催された学会で発表しました。

その内容を要約すると-「海馬に反復して入力刺激を与えると、顕著にスパイク発生が増加することが知られています。しかしそのメカニズムはあまり知られていません。内嗅皮質や貫通線維からの刺激によって引き起こされる歯状回の反応を、貫通線維から顆粒細胞樹状突起へのシナプスと顆粒細胞細胞体の2ヵ所に電極を設置して記録しました。顆粒細胞の反応は刺激の頻度によって変化することがわかりました。12~15回刺激/秒の場合が最も強い反応が得られ、6回以下/秒や50回以上/秒では反応の強化はみられませんでした。5~10分の休憩をはさんで、10回/秒の反復刺激を与えると、最初よりも繰り返した方が反応のスパイクは強く高頻度でみられました。この反応増強は1時間以上継続的にみられました」-というものでした。これが長期増強(longterm potentiation=LTP)についての最初の発表とされています(2、図280-2)。

脳科学辞典をみると「一般的に、シナプス伝達効率の増強が1時間以上持続する場合をLTPと呼び、それよりも短い場合は短期増強(short-term potentiation, STP)と呼ばれることが多い。」という記載があるので、このレモの発見は長期増強とみなされます(3)。長期増強に関する最初の論文はブリスとレモの共著による文献(4)とされています。

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図280-2 長期増強発見の第1歩

ここで少し不思議なのは、最初に実験に成功したのが1966年以前のはずなのに、論文による発表が1973年とかなり間が空いていることです。通常このような目覚ましい成果が出た時は、先を越されると困るので、学会発表したら間髪を入れず論文を書かなければいけません。レモは参照文献(2)でその理由について述べています。「初期の実験では実験動物のウサギは農家から格安で手に入れていましたが、後には実験動物業者から入手するようになりました。つまりウサギが育った環境が非常に違っていたのです。21世紀になってから、実験動物が受けるストレスやコルチコステロイドによって海馬における長期増強が大きな影響を受けることがわかりました(5)。また麻酔の方法に関連して、ウサギ、ラット、マウスの実験前の状況や種による違いもあり、このようなことによって再現性に問題が出ました。このほかにもノルウェーと英国を行ったりもどったりしていた混乱で遅れてしまった」とのことです。

長期記憶と言えば、文章の記憶などより走るとか自転車に乗るとか「運動の自動化」の方が確実な長期記憶なので、小脳をターゲットとした長期記憶の研究も当然行われましたが、これは海馬よりもさらに実験が技術的に困難で、プルキンエ細胞における長期抑圧(プルキンエ細胞は抑制性のニューロン)に関する最初の論文が出版されたのは1982年になります(6)。確実視されるようになったのは加納方伸と加藤誠の報告(7)が1988年に出版されてからのようです。

21世紀になって光遺伝学の手法が導入され、上記のあいまいさが回避できるようになりました。脳科学辞典を引用します:「電気刺激は特異性が低く電極の近傍に存在する軸索や細胞体を非特異的に活性化してしまう。また、脳深部電気刺激(Deep Brain Stimulation)では、局所の神経細胞を刺激していることが有効なのか、それとも抑制していることが有効なのかメカニズムが不明であった。一方、作動薬や拮抗薬等の局所投与などの薬理学的手法は、神経の活性化と抑制の両方が可能であるが、時間的精度が低いだけでなく、細胞特異性、シナプス特異性も制御できないという欠点があった。さらに、特定の遺伝子欠損動物の行動解析では、発生過程における影響や他の神経による機能補償などが起こっている可能性を払拭できなかった。光遺伝学はこれらの欠点を全て補っており、マイクロ〜ミリ秒オーダーの神経活動の活性化あるいは抑制が可能であり、特定の神経活動のみを制御できる。」(引用終わり)。膜移行シグナルを付加したチャネル2ロドプシンをベクターによって神経細胞に導入し、細胞膜に発現させ、ここに青色光を照射すると陽イオンがチャネル2ロドプシンの内部を通過してアクションポテンシャルが発生します。

もうひとつの手法はたとえばグルタミン酸に光分解性保護基をつけておき、光照射によって保護基を分解してグルタミン酸を活性化します(アンケージング)。これと2光子励起システム(8、非常に小さな領域だけに光を照射できる)を組み合わせることによって、特定のシナプスを活性化することができます。図280ー3のように、457nmの照射でグルタミン酸のシナプス、720nmの照射でドーパミンのシナプスを選択的に活性化することもできます。

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図280-3 光照射システムによって、特定のニューロンを興奮させることができる

河西らはこのような実験系を用いて1μmくらいの領域を非侵襲的に活性化し、グルタミン酸によるシナプスの活性化の結果、50分くらい経過すると明らかに樹状突起のスパインが肥大化することを示しました(9、図280-4 赤い円で囲った部分が肥大化したスパイン)。スパインのサイズと生理的強度に正の相関があることはホラーらの研究によって確かめられました(10)。このことはスパインのサイズが大きく保たれている限り、記憶が保たれていることを示唆します。

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図280-4 シナプスの活性化によるスパインの肥大化

スパイン拡大のメカニズムについては多くの研究者によって研究進行中ですが、おおざっぱにはカルシウムの流入によってCa2+/カルモジュリン依存性プロテインキナーゼIIが活性化され、様々な細胞骨格関連タンパク質がリン酸化されることによってアクチン繊維の空間的拡張が行われる結果だと考えられています(9)。

参照

1)Wikipedia:Terje Lφmo
https://en.wikipedia.org/wiki/Terje_L%C3%B8mo

2)Terje Lφmo, Long-Term Potentiation: The Accidental Discovery., Hippocampus, 35:e23664 (2025)
https://doi.org/10.1002/hipo.23664

3)脳科学辞典:長期増強
https://bsd.neuroinf.jp/wiki/%E9%95%B7%E6%9C%9F%E5%A2%97%E5%BC%B7

4)V.P. Bliss and T. Lømo, Long-lasting potentiation of synaptic transmissin in the dentate area of the anaesthetized rabbit following stimulation of the perforant path., J. Physiol., vol.232, pp. 331-356 (1973)
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/4727084/

5)Segal, M., G. Richter-Levin, and N. Maggio, Stress-Induced Dynamic Routing of Hippocampal Connectivity: A Hypothesis., Hippocampus vol.20, pp.1332–1338 (2010)
https://doi.org/10.1002/hipo.20751
https://onlinelibrary.wiley.com/doi/abs/10.1002/hipo.20751

6)Masao Ito, Masanobu Kano, Long-lasting depression of parallel fiber-Purkinje cell transmission induced by conjunctive stimulation of parallel fibers and climbing fibers in the cerebellar cortex., Neuroscience Letters., vol.33, issue 3, pp.253-258 (1982)
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/6298664/

7)Masanobu Kano, Makoto Kato, Mode of induction of long-term depression at parallel fibre—Purkinje cell synapses in rabbit cerebellar cortex., Neuroscience Research
vol.5, Issue 6, pp.544-556 (1988) DOI: 10.1016/0304-3940(82)90380-9
https://doi.org/10.1016/0168-0102(88)90041-7
https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/0168010288900417

8)続・生物学茶話220: 多光子顕微鏡
https://morph.way-nifty.com/grey/2023/09/post-c627c3.html

9)Haruo Kasai, Noam E. Ziv, Hitoshi Okazaki, Sho Yagishita and Taro Toyoizumi, Spine dynamics in the brain, mental disorders and artificial neural networks., Nat Rev Neurosci vol.22, pp.407–422 (2021).
https://doi.org/10.1038/s41583-021-00467-3
https://www.nature.com/articles/s41583-021-00467-3

10)Holler, S., Köstinger, G., Martin, K.A.C. et al. Structure and function of a neocortical synapse. Nature vol.591, pp.111–116 (2021). https://doi.org/10.1038/s41586-020-03134-2
https://www.nature.com/articles/s41586-020-03134-2

 

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2025年9月 9日 (火)

誰がとめどない物価上昇を抑えてくれるのか?

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近年日本の政治は壊滅状態にあり、暗黒への道を歩んでいるように見えます。この第一の原因はとめどない物価の値上がりです。どうすればこの異常な物価上昇を抑えられるかがわかりません。石破総理もこれはできませんでした。

このような状況になった第一の要因は、政治がすべてプロバイダーサイドに都合のいいように行われてきたことにあると思います。象徴的なのはカスハラキャンペーンで、モンスタークレーマーを取り上げては<プロバイダーに強く文句を言わないようにという風潮>を社会に醸成するという経団連などの思惑にマスコミも乗っかり、カスタマーを抑圧しています。しかし実際には日本製品も次第に堕落していて、しかも会社がカスタマー対応を怠り、電話じゃなくメール対応でどんどんいい加減になっています。メールは返信しないで放置しておいても罵声をあびることはありません。何の役にも立たない返信でおしまいにもできます。

プロバイダー第一主義では物価値上がりは避けられません。その結果プロバイダーお抱えの自民党が人気をなくして力を失い、カルトな右翼政党が集票して政界は非常に危険な状況になりました。

プロバイダーに都合の良い社会の改造でもうひとつ重要なのは、自民党が政策的に派遣労働者や嘱託労働者を増やして、ウィキペディア(1)によると2021年には労組の組織率が16.3%になってしまったことです。日本でも昭和44年には35.2%だったのです(それでも高いとは言えませんが)。わずかな労働者しか団体交渉をやってないのですから、日本は普通の資本主義国家ではありません。実質企業独裁です。しかもそのささやかな労組も産別組織ではなく会社と一体の労組ですから、連合などはほとんどプロバイダーサイドに立っていると言っても過言ではありません。連合お抱えの国民民主党はマスコミでは右翼といわれています。

働き方改革などと言っていますが、嘱託労働者はともかく、派遣労働者は給料のかなりの部分をピンハネされるという気の毒な状況にあります。ウィキペディアによれば、派遣労働者の93.2%が組合加入資格なしです(1)。

税金も物品税ではなくなぜ消費税なのかと言えば、物品税だと高価なものが売りにくくなるというプロバイダーサイドの思惑があるという側面もあります。消費税は少なくとも食料品についてはゼロにすべきです。立憲民主党は「臨時・時限的な措置として」という限定的な政策を主張していますが、どうしてこんなにびびっているのかわけがわかりません。足りない分は所得税・物品税・内部留保課税でまかなえばいいでしょう。金がなければ国債を発行すればよいなどとバカなこと言っている政党だけでなく(そんなことができるのならトランプはとっくにやっている)、きちんとカスタマーサイドに立った政治を行う政党がいま求められています。

参照

1)ウィキペディア:日本の労働組合
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%97%A5%E6%9C%AC%E3%81%AE%E5%8A%B4%E5%83%8D%E7%B5%84%E5%90%88

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2025年9月 6日 (土)

2025シーズン 阪神タイガース 圧倒的な優勝へ

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みんな喜んでくれるでしょう

 

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2025年9月 5日 (金)

ゾーラン・マムダニ ニューヨーク市長に最有力

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ゾーラン・マムダニ (Zohran Mamdani, 1991年10月18日 - ) は民主党に所属するニューヨーク州議会議員で、アレクサンドリア・オカシオ=コルテスらが率いるDSA(Democratic Socialists of America)のメンバーです。ウガンダ出身のムスリムですが、ブロンクス科学高等学校というノーベル賞受賞者を8人も出している名門高校を出て、アイビーリーグのボウディン大学を卒業し、ラッパーとして活躍していたそうです。父親は文化人類学者マフムード・マムダニ、母親は映画監督ミーラー・ナーイル。

ラッパーとしてのマムダニ
https://www.youtube.com/watch?v=DZ1OblYm5YY&list=RDDZ1OblYm5YY&start_radio=1

そのマムダニが民主党のニューヨーク市長候補に実績あるクオモを抑えて選ばれたというのですから驚きです。トランプが激怒して他州から州兵を動員できる制度にするそうです。ワシントンやロスでさわがれていますが、ニューヨークでもいずれ問題になるでしょう。

ニューヨークの市長選挙は11月で、ニューヨークは民主党優位なのでおそらく彼が市長に選任されるでしょう。マムダニはバリバリの反体制派社会主義者なので、右翼や投資家はヒステリックにつぶそうとしてくるでしょうが、さてどうなりますか。

彼の政策「公営スーパーの設置」「保育料の無料化」「市営バスの無料化」「家賃上昇の凍結」は立派ですが、何より弾圧されているコロンビア大学やニューヨーク市立大学を立て直してほしいと思います。

ヤフーニュース: トランプ氏も警戒!? 注目の若きNY市長候補 ゾーラン・マムダニ氏とはいったい何者なのか?
https://news.yahoo.co.jp/articles/03dee92f5a3b1f854713f82429e421f93d5d74a1

時事ドットコム: NY市長選、経済界動揺 「社会主義」に支持
https://www.jiji.com/jc/article?k=2025062800325&g=int#goog_rewarded

時事通信:トランプ米政権、補助金削減で大学に圧力 = 学問の自由維持に懸念広がる
https://sp.m.jiji.com/article/show/3476220

Trump Cuts Off Budding CUNY Scientists From Mentorship and Aid
こちら

時事ドットコム:米首都、トランプ政権を提訴 州兵派遣は「自治侵害」
https://www.jiji.com/jc/article?k=2025090500228&g=int

 

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2025年9月 4日 (木)

脳に棲む背後の王 ~ 中島みゆきの歌をカバーする人々

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自分は自分の意志で動くと思いたいでしょう。でもあなたは あなた自身の証明である「記憶」・・・を忘れるべきものと心に留めるべきものとに分別できますか? いいえそれはできません。胃腸の動きや心臓の鼓動も制御することはできません。血圧や血糖値を下げることもできませんし、汗腺をひらくこともできません。

せめて歩くのは自分の意志でと思いたいですが、実は歩行のプログラムは脳に保管されていて、あなたはプログラムのスイッチをオンにするだけなのです。私など風呂に入ったときに気が付くと湯船に入ろうとしています。でもそれまでに無意識のうちに体を洗っているのです。頭を洗ったことは記憶にあるのですが、そのあとのことは自動化されていて思い出せません。

あなたの意識の背後に、脳のどこかにあるコントロールセンターが常に存在していて(ここでは背後の王と呼ぶ)あなたを支配しているのです。思い出は閉じ込められた殻ですが、もし背後の王がバルブを緩めたら、悔恨、屈辱、悲哀、孤独、恐怖、怨念、敵意、性欲などがパンドラの箱の蓋があいたようにとめどなく溢れだしてきて制御できなくなるかもしれません。

私は江戸時代のように「遠島」という刑罰があったらいいのにと思います。性犯罪や凶悪犯罪を犯す者は、その背後の王になんらかの欠陥があるはずで、そういう人々はたとえば農場のある無人島に施設を作って、そこで米作りなどの仕事をして普通の生活ができるようにするべきだと思います。もちろん脳科学が進歩して治療が可能になれば、それに越したことはありませんが。

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中島みゆきの曲は聴覚を使ってその背後の王に密かにそのバックドアからアプローチしていると思います。背後の王はどこにいるかというと、その中心は辺縁系でしょうが、おそらく脳全体を支配していてミリセカンドレベルで移動しています。自我は背後の王が使うひとつのツールにすぎません。

🍃===🍃===🍃===🍃===🍃

#シュプレヒコールの波は通り過ぎていくのです。
世情 魚高ミチル
https://www.youtube.com/watch?v=Ilcz-HmAPhY&list=RDIlcz-HmAPhY&start_radio=1

#遠ざかる船のデッキ ~ ヘンリー・モレゾンのように ~
歌姫 Naru&ぷりん
https://www.youtube.com/watch?v=CcpV9UxJ1Sg&list=RDCcpV9UxJ1Sg&start_radio=1

#思い出は人間を閉じ込める殻です。でも夢だとすれば・・・
夢だもの まきちゃんぐ
https://www.youtube.com/watch?v=hgpeMBRxbdU&list=RDhgpeMBRxbdU&start_radio=1

#殻の中に閉じ込められたメモリーにそっとアプローチ
愛から遠く離れて 伽藍琳
https://www.youtube.com/watch?v=OwmEBrrF-6U&list=RDOwmEBrrF-6U&start_radio=1

#背後の王はいつも愛を知っている
ミルク32 満島ひかり
https://www.youtube.com/watch?v=95thSZDHAvo&list=RD95thSZDHAvo&start_radio=1

#ふるさとに帰らないと決めたのは誰だろうか?
ホームにて YO-EN
https://www.youtube.com/watch?v=UY87XmwggsA&list=RDUY87XmwggsA&start_radio=1

 

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2025年9月 2日 (火)

続・生物学茶話279: 大脳辺縁系 3.ヘンリー・グスタフ・モレゾン氏の貢献

20世紀の脳科学の進歩にマテリアルとして絶大な貢献をした人物がいます。その人の名はヘンリー・グスタフ・モレゾン氏で、2008年に亡くなりましたが」存命中はH・Mというイニシャルで呼ばれていました。彼は存命中ずっと脳科学の研究者に協力していましたが、死後もMRIで脳を9時間スキャンするとか、脳全体を切片にして保存するとか、彼の遺言に従って大きな貢献をしました。

モレゾン氏は10才でてんかんを発症し、次第に重症化してついに1953年27才の時にウィリアム・スコヴィル医師によって、内側側頭葉ロボトミーという実験的な手術を受けることになりました。スコヴィルは穿刺吸引法によって、両側の海馬(一部残す)・海馬傍回(一部残す)・扁桃体(ほぼ全体)などを吸い取り除去しました。現在の知識からみると、海馬傍回の嗅内皮質をすべて除去したため、海馬の一部を残したといってもほとんど機能していなかったと考えられます。

手術は成功してんかん発作は激減したのですが、モレゾン氏にはとんでもないことが起こっていました。昔のことはある程度覚えているのですが、病院内でのことはほとんど忘れていてトイレにすらいけません。また何も新しいことを覚えられなくなりました。これは脳科学者にとっては、脳における記憶の機能を遂行する場所を特定したという意味で驚くべき知見でした。

同時期にワイルダー・ペンフィールド医師も2人のてんかん患者に同様な手術を行い、その結果モレゾン氏と同様な結果になりました。ペンフィールドの場合片側の内側側頭葉ロボトミーを行った場合はモレゾン氏のような結果にはならないが、片側が機能していなかったり、再度の手術で両側を処置した場合に記憶障害が起きることまでわかりました。

ペンフィールドは自分の懐刀であるブレンダ・ミルナーをスコヴィルの研究室に派遣し、モレゾン氏らの状態を詳しく検討しました。この結果は次のような論文に結実しました。

SCOVILLE WB, MILNER B., Loss of recent memory after bilateral hippocampal lesions. J Neurol Neurosurg Psychiatry. 1957 Feb;20(1):11-21. doi: 10.1136/jnnp.20.1.11.
https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC497229/

この論文の要旨は
1)左右の内側側頭葉を切除すると患者は記憶障害を発症する
2)内側側頭葉は記憶を形成するために必要である
3)アンモン角・歯状回の背部にある海馬鉤・下部にある扁桃体を除去しても記憶障害はおきない
4)アンモン角と歯状回はどちらを除去しても記憶障害がおきる

というもので、精神病やてんかんに効果があるからと言って海馬を切除してはならないという警告を脳外科医に与えただけではなく、記憶研究のスタートラインとしても重要な成果でした。

モレゾン氏は知覚・抽象的思考・推論に関わる能力・パーソナリティーに障害はなく、記憶を構成する能力が著しく障害されていました。

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図279-1 ぼくは物覚えが悪い 健忘症患者H・Mの生涯 スザンヌ・コーキン著 鍛原多恵子訳 早川書房刊(2014)

この本の著者スザンヌ・コーキンはブレンダ・ミルナーの研究室の大学院生としてキャリアをスタートさせました。そして米国に住むモレゾン氏にモントリールの研究室まで来てもらって研究するというやり方で研究を進めました。モレゾン氏は手術後のことはすべて忘れていましたが、手術以前のことについては人の顔をはじめとして多くのことを覚えていましたし、歯磨きや髭剃りなど日常的な動作にも支障はありませんでした。

脳科学で言う「短期記憶」は新規の電話番号を覚えるとか数十秒しか保たれない記憶のことですが、この能力についてはモレゾン氏はごく普通であり、手術後に損傷されているということはありませんでした。ところがその短期記憶を脳科学でいう「長期記憶」として定着することが彼にはできないことがわかりました。これだけでも記憶には2種類のプロセスがあるということを示したという意味で衝撃的な研究結果でした。

モレゾン氏はさらに詳細に何秒短期記憶を保つことができるかのテストを受け30~60秒の間であることがわかりました。それ以上記憶を保つには長期記憶のメカニズムが必要ですが、それが彼にはありませんでした。

ミルナーはモレゾン氏の作動記憶(ワーキングメモリー)についてのテストも行いました。作動記憶とは脳科学辞典によれば「ワーキングメモリーは、感覚情報、または想起した宣言的記憶などを、数秒から数十秒の間、短期記憶として頭に思い浮かべたまま保持し、それを用いて意思決定や計算、発話、思考など、他の様々な認知機能を実行する為の、脳の機能である」とされています。作動記憶が可能なら会話も可能です。

テストを行うには、図279-2のような4枚のカードをみせて、自分が持つカードをこの上に置かせます。

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図279-2 作動記憶のテスト

たとえば自分の持つ赤い△△△カードを赤い△のキーカードの上に置いたときに正解というと、被験者はキーが同色・キーが同じ型の図形・キーが3つの図形などの選択ができますが、たとえばキーが赤色として次々赤カードを乗せていって正解が続いた後、ある時点で不正解にかわり、ここでルールが変わったので正解になるまで模索します。そうしてまた正解が続くとルールを変えます。このようなゲームにモレゾン氏は順応することができました。臨機応変に正解を探すことができたのです。ところが前頭葉の前部3分の1を両側切除した患者はいくら不正解が続いても、正解を模索することができませんでした。このような患者は作動記憶を行うことができないのです。モレゾン氏は数十秒の記憶しかないにもかかわらず作動記憶は可能でした。ただし彼の短期記憶のメモリー容量の限界を超えるような複雑な課題の処理はできませんでした。

スザンヌ・コーキンはこう書いています「彼はつらそうにふるまうことはほとんどなく、いつまでも途方にくれたり怖がったりもしなかった・・・中略・・・どの人に対しても寛容と信頼の精神で接した。彼は温厚で愛想が良く・・・」

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図279-3 ヘンリー・グスタフ・モレゾン

それは長期記憶は人を心の痛み・辱め・裏切り・失敗・トラウマなどの負の殻に閉じ込めてしまうからでしょう。コーキンもそのように考えました。そんな殻を持てないモレゾン氏は永遠の現在に生きていて、それは解放感に満ちた世界だったのでしょう。とはいっても、彼は若い頃てんかんの発作を抑える薬を飲んでいたため、その副作用で小脳が委縮し、世話をしていた彼の母親とともに苦労の多い人生でもありました。

モレゾン氏が手術を受けたのは1953年でしたが、その際にどの部分が失われたのか正確な情報が得られたのは1993年にMRI検査を行ってからでした。この結果嗅内皮質・嗅周皮質・海馬傍皮質・偏桃体がほぼすべて失われ、海馬は一部残されていましたが外部からの入力を絶たれていたため役に立ってはいそうもない状態でした。2002年~2004年にさらに詳細なMRIの解析が行われ、これらの失われた構造が長期記憶を構成するために必要な領域であることが証明されました。ただ後の検査で嗅周皮質と海馬傍皮質の一部が残されていることがわかり、モレゾン氏がある種の長期記憶ができたのは、そのためであろうことが推測されました。

コーキンは長期にわたってモレゾン氏とテストを行い、モレゾン氏の視覚・聴覚・触覚が正常で、それらを覚えられないのは記憶障害のためであり、決して知覚できないせいではないことも証明しました。

通常医学の進歩は実験動物を用いて様々な研究を行い、最後に人間をマテリアルとした治験を行うわけですが、記憶の研究に関しては逆に最初に人間についての研究があって、それに触発されてアメフラシなどの動物で研究が進みました(1)。これは稀有なケースです。

ヘンリー・モレゾン(HM)の言葉
「僕が生きて、あなた方は学ぶ」


1)続・生物学茶話217: 記憶2 HMとアメフラシ
https://morph.way-nifty.com/grey/2023/07/post-c879b9.html

 

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2025年8月31日 (日)

輪廻転生

36°Cという異常な暑さの中で、なぜか薔薇(ジャクリーヌ・デュプレ)が花をつけました

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そうこれは3匹のセミを埋葬した鉢です
彼らは薔薇の花となって新しい生命に生まれ変わったのです

こちら1

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Rose 倉橋ルイ子
こちら2

Wind and roses 五輪真弓
こちら3

 

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2025年8月28日 (木)

続・生物学茶話278: 大脳辺縁系 2.海馬の形態

海馬という脳のパーツは、図278-1のようにタツノオトシゴとそっくりな形態をとっていて(1)、タツノオトシゴは英語で sea horse というので海馬という名前の語源は英語でしょう。しかし英語で海馬そのものは hippocampus で、これはギリシャ語の ヒッポカンポス=海神ポセイドンが使う上半身が馬で下半身が魚という動物が語源になっています。

海馬という言葉は専門用語でもありますが、これが曲者でいちいち定義してないと何を指しているのかわかりません。図278-1の海馬の部分だけを指しているのか、海馬+歯状回を指しているのか、海馬+歯状回+海馬台を指しているのか、海馬+歯状回+海馬足(海馬台)+海馬傍回+海馬采を指しているのか、写真全体を指しているのか、それがわかりません。図278-1では脳弓や乳頭体まで含んでいるように見えます。

広義の海馬を海馬体ということもありますが、じゃああらためて海馬体はどこまで含むのかということになって混乱は果てしなく続きます。ここでは海馬=狭義の海馬+歯状回ということにしておきます。海馬台も海馬に含まれるという定義も有力ですが、これには矛盾があります。海馬台というのは海馬の台という意味ですから、その台が海馬に含まれるというのは言葉の矛盾でしょう。アイロン台もアイロンの一部だなんてあり得ません。これはぜひ脳科学者にやめてほしいとお願いしたいです。もっと言葉の意味にセンシティブになってほしいと思います。

狭義の海馬だけを指す場合、アンモン角という言葉も使われます。私もこの言葉を使うことにします。これはエジプトの太陽神アンモンの髪が羊の角のようであることから名付けられたようで。古生物のアンモナイトもここから名付けられたようです(2、図278-1)。タツノオトシゴの頭の部分が海馬足という名前になっていますが、これも脳科学者が言葉のデリカシーに欠けていることの証明でしょう。個人的には海馬瘤とか海馬耳とかだとよかったのにと思います。

上記のさまざまなパーツが存在すること、狭義の海馬(アンモン角)にCA1、CA2、CA3という領域が存在することなどを含めて、全体のサイズ以外では大脳皮質などと違って、ヒトと実験動物の海馬の基本構造に大きな差はありません。

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図278-1 脳における海馬の位置と海馬関連組織全体の形態

海馬周辺の組織を図278-2に示します(3)。海馬の中心部は図の赤線で囲まれた部分で、歯状回とアンモン角(CA1+CA2+CA3)からなります。これらを下から支えている部分が海馬台で、ここにつながっているのが海馬傍回です。海馬傍回のなかで海馬台に近い部分を嗅内皮質と呼びます。

海馬への神経連絡(入出力)は主に海馬傍回・海馬台から行われますが、CA3の左側の組織、海馬采・脳弓・乳頭体方面(図278-2ではみえていない)や交連線維からも行われます(4)。

魚類や両生類の大脳には辺縁系しかないとされており(5)、その中心である海馬は脊椎動物が知的活動をはじめるにあたってその中心的役割を果たしてきたであろうと考えられます。

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図278-2 ヒト海馬と周辺の構造

マウス(6)・ラット(3)など実験動物の海馬の基本構造はヒトと同じです(図278-3)。嗅内皮質・海馬台から歯状回顆粒細胞(7、図278-4)への入力はグルタミン酸による興奮性入力です。この興奮はさらに顆粒細胞のからアンモン角の方向に延びる軸索(苔状線維=mossy fiber)によってアンモン角(CA3・CA2)の興奮性細胞である錐体細胞に伝えられます(図278-3、図278-4)。歯状回顆粒細胞の興奮は苔状細胞の活動によって増幅されます。ここで苔状細胞と顆粒細胞の苔状線維は関係がありません。またまずいことに苔状線維という名の軸索は小脳にも存在し、これが固有名詞なのか普通名詞なのかがはっきりしません。これも不適切用語と言えるでしょう。

歯状回顆粒細胞層の内側(多形細胞層)および外側(分子層)にはGABA系の抑制性細胞が散在し、顆粒細胞-苔状細胞の過剰な興奮を抑制しています(図278-4)。図278-4に示されるように、海馬CA3の錐体細胞層の先端は歯状回の多形細胞層に取り囲まれており、その外側に顆粒細胞層がコの字型(またはつの字型)に多形細胞層を取り囲むという形態になっています。

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図278-3 海馬(アンモン角+歯状回)と海馬台の垂直断面図


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図278-4 歯状回の層構造と細胞

海馬関連の入出力については稿を改めますが、図278-5において大まかにはアンモン角の入出力は嗅内皮質・海馬台・歯状回を介する場合(右側)と乳頭体・脳梁・海馬采を介する場合(左側)がメインで、CA1・CA2・CA3錐体細胞の軸索は左右2方向に分かれているようです。また樹状突起も上下(上層層・放線層)に多数存在し、左右両方向からの遠隔入力および介在細胞からの近傍入力に対応しています(4)。

歯状回から伸びる軸索(苔状線維)がCA3に投射する領域には形態学的に識別できる層があり、透明層(stratum lucidum)と呼ばれています(図278-5)。歯状回顆粒細胞とアンモン角錐体細胞自身はグルタミン酸投射型の興奮性細胞ですが、アンモン角錐体細胞に投射する細胞は顆粒細胞だけでなく、GABA型の介在細胞のほかドーパミン型・アドレナリン型・セロトニン型など多種多様です(4)。

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図278-5 アンモン角錐体細胞の樹状突起と軸索

 

参照

1)医療法人 さいたま記念病院 海馬
http://www.saitamakinen-h.or.jp/news_head/%E6%B5%B7%E9%A6%AC/

2)ひつじnews アンモナイトの語源
https://www.hitsuzi.jp/2005/06/182sheep.html

3)Wikipedia: Hippocampus
https://en.wikipedia.org/wiki/Hippocampus

4)脳科学辞典:海馬
https://bsd.neuroinf.jp/wiki/%E6%B5%B7%E9%A6%AC

5)理研HP 脳の進化
https://bsi.riken.jp/jp/youth/know/evolution.html

6)石原義久 熊本大学 学位論文 マウス海馬台の領域・層区分に関する免疫組織化学的研究(2016)
file:///C:/Users/Owner/Downloads/igaku_kou2079ronbun-1.pdf

7)Leifeld J, Förster E, Reiss G and Hamad MIK, Considering the Role of Extracellular Matrix Molecules, in Particular Reelin, in Granule Cell Dispersion Related to Temporal Lobe Epilepsy. Front. Cell Dev. Biol. vol.10: 917575. (2022)
https://doi.org/10.3389/fcell.2022.917575
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/35733853/

 

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2025年8月26日 (火)

銀河鉄道の夜

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カンパネルラはジョバンニ自身にとってただ一人の友人であり、親友だと考えていました。しかしカンパネルラはジョバンニをいじめているザネリともつるんでいて、それがジョバンニには不満に思えていたわけです。

しかしジョバンニの夢の中では、カンパネルラは自分と二人で銀河鉄道に乗って、信仰と幻想と科学満載の楽しい旅をします。でも目が覚めて現実に帰ってみると、カンパネルラは川に転落したザネリを助けるために命を落としていました。

自分が親友だと思っていても、その相手には相手の全く別の世界があって、自分の思い通りにはなりません。それが現実であることを人はいつか知らなければなりません。

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銀河鉄道 BUMP OF CHICKEN
https://www.youtube.com/watch?v=_-OjjCZOe7I&list=RD_-OjjCZOe7I&start_radio=1

銀河鉄道 BUMP OF CHICKEN coner by melodycat
https://www.youtube.com/watch?v=N7gzaH7xjvg&list=RDN7gzaH7xjvg&start_radio=1

銀河鉄道の夜 GOING STEADY
https://www.youtube.com/watch?v=EhEzTs7qNUo

銀河鉄道の夜 GOING STEADY cover by goose house
https://www.youtube.com/watch?v=fI3av1fRiYE&list=RDfI3av1fRiYE&start_radio=1

銀河鉄道の夜 GOING STEADY cover by mihoro
https://www.youtube.com/watch?v=Z3YAXYuTmew&list=RDZ3YAXYuTmew&start_radio=1

♪銀河鉄道999♪ ゴダイゴ
https://www.youtube.com/watch?v=vb_JwSMP9Kg&list=RDvb_JwSMP9Kg&start_radio=1

♪銀河鉄道999♪ ゴダイゴ cover TrySail  🌸
https://www.youtube.com/watch?v=MOIQ68JGYlw&list=RDMOIQ68JGYlw&start_radio=1

ゴダイゴ「銀河鉄道999」おとラジ Band Cover【atagi ✕ ゆゆうた】
https://www.youtube.com/watch?v=Uaun9S6QA68&list=RDZ3YAXYuTmew&index=2


星めぐり 西島三重子 🌷
https://www.youtube.com/watch?v=CVM6x-QQsns


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2025年8月23日 (土)

まきちゃんぐ ご来店!

20250823-225049

まきちゃんぐご来店!   
https://www.youtube.com/watch?v=4IHF4Q15yIM

出演:つるうちはな & まきちゃんぐ

話の中に出てくるフライヤー
驚愕の自作作品
https://x.com/makichang_info

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一緒にいようよ つるうちはな
https://www.youtube.com/watch?v=HSA_AxEK3CQ&list=RDHSA_AxEK3CQ&start_radio=1

はなのたねまき まきちゃんぐ
https://www.youtube.com/watch?v=mbJRHKHyIO4&list=RDmbJRHKHyIO4&start_radio=1

ハレルヤ つるうちはな&まきちゃんぐ
https://www.youtube.com/watch?v=BGcAnyruops&list=RDBGcAnyruops&start_radio=1

まきちゃんぐさんは「不器用」という歌の中で「人の気持ちがうまくわかりません」と歌っています。まるでアスペルガー宣言みたいですが、実際にそういう傾向はあるようです。そのせいで人と衝突することが多かったとお話しされたことがあります。はなさんは対照的に「HSP(ハイリー・センシティブ・パーソン)」の傾向があるのかもしれませんが、ともかく頭の回転がはやすぎてついていくのが大変。

親友がいるって素敵なことですね

 

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2025年8月21日 (木)

ちょっと早い枯葉

最近は毎年異常な暑さで雨も少ないですが、今年はなかでも異常でした。団地に結構多いこの木(朴の木のようですが違うかもしれません)は7月から先頭を切って枯れ始めますが、これは毎年なので多分病気のせいではないと思います。むしろ暑熱や降水の影響だとかんがえるほうが妥当でしょう。とはいっても今年は涼しい夏だったなという年がずっとないので、確かなことはわかりません。

今年はこんなアーティスティックな枯れ方です。

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枯葉 八代亜紀https://www.youtube.com/watch?v=xjJGFzfdiac&list=RDxjJGFzfdiac&start_radio=1

 

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2025年8月19日 (火)

続・生物学茶話277: 大脳辺縁系 1.イントロダクション

大脳辺縁系=Limbic system という考え方は James Papez (ジェイムス・ペイプズ)という人が1937年に発表した論文(1)に基づいているそうです。この論文の冒頭で著者は hypothalamus(視床下部), gyrus cinguli(帯状回), hippocampus(海馬) のアンサンブルが感情の解剖学的根源であると述べています。彼の肖像写真はウェブサイトで閲覧できます(2)。感情と脳の構造を結びつけたわけですから、この論文が世の中に与えた反響は大きかったでしょう。

現在では limbic system (大脳辺縁系)とは、帯状回・内嗅皮質・海馬傍回・海馬・視床下部・視床・中隔・扁桃体・眼窩前頭皮質・前頭前野・前側頭葉を含む広大な領域を指します(3)。ただし研究者・論文によって異なる場合があります。Limbic とはラテン語のlimbus=辺縁を語源とし、大脳の辺縁にある領域として19世紀にブローカというフランスの解剖学者がこの言葉を使ったとされています(4)。Limbic system という術語は米国の神経科学者マクレーンによります(4)。

広辞苑で辺縁とは「ヘリの部分、末端」としてあるので、大脳辺縁といえばすべて大脳に含まれていなければなりませんが、これは脳科学にはよくある不適切用語で明らかに大脳をはみ出している部分もあります。辺縁系の全貌を示す画像はウィキペディアからお借りして示します(図277-1、日本語化してあります)。

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図277-1 大脳辺縁系を構成する主要な構造

ただし海馬傍回・内嗅皮質は図277-1ではほんの少し見えているだけなので、別に図277-2に示しました(5)。海馬傍回は大きな組織で、内嗅皮質はその一部です。内嗅皮質は海馬と他の脳領域間の情報通路であり、短期記憶のほか空間認識や感情の統合も行います(6)。

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図277-2 海馬傍回と内嗅皮質

辺縁系の中心となるのはやはり短期記憶などを行う海馬(狭義の海馬+歯状回)でしょうが、この組織の研究はほとんど哺乳類と鳥類で行われています。とはいえ魚類にだって日常の生活に短期記憶は必要でしょう。しかし海馬に相当する組織は魚類にはみつかっていません。植松らはおそらく魚類は小脳で短期記憶を行っているであろうと示唆しています(7)。

両生類の場合魚類に比べて小脳は非常に退化しているので、おそらく短期記憶も別の場所に移行したと思われ、実際両生類では medial pallium(内側外套)に祖先的形態の海馬がみられるようです(8)。ただし Burmeister は歯状回に相当する構造はそこにはないと述べています(8)。鳥類は哺乳類と相同な海馬に相当する組織を保有しているので(9、図277-3)、爬虫類(鳥類)と哺乳類の共通祖先が短期記憶や空間認識を行う海馬という構造を獲得したものと思われます。

鳥類の前頭部にある Wulst というのは英語にはない言葉で、もともとはソーセージを意味するドイツ語ですが、解剖学でふくらみという意味をもたせることもあります。鳥類ではここが視覚情報処理や運動制御にかかわる重要な領域です(10、図277-3)。

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図277-3 鳥類と哺乳類の海馬の位置(水平断面)

辺縁系において海馬グループとともに重要なパーツとして扁桃体グループがあります。ヴァトースとマリヤはMRIによって詳細な検討を行い、扁桃体の主要な出力先が分界条であり、ここから図277-4に示されるような様々な領域に出力されることがわかりました(11)。

両側の扁桃体を切除したサルでは怒り・恐怖・不安などの反応を示さなくなることが知られています(クリューバー・ビューシー症候群)。さらに視覚はあるにもかかわらず、視覚によってそれが何であるかを認識することができなくなります(12、13)。つまり視覚に関わる記憶にアクセスできなくなってしまうのです。

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図277-4 扁桃体・分界条からの出力 参照文献11からの図を改変

扁桃体が情動や視覚記憶に関する役割を持っているのに対して、海馬が損傷すると陳述記憶ができなくなること(14、15)などから、扁桃体-脳基底核グループと海馬-大脳皮質グループというある程度独立した2つのグループが脳では機能していると思われます。

扁桃体グループは図277-5でピンクの下線をひいた部分で、扁桃体-拡張扁桃体-尾状核-分界条-分界条床核-被殻 というふたつのリング(左・右 それぞれにおいて脳基底核の一部と辺縁系の一部が一体化している)を形成し、脳の中心部に位置しています。これとやはり脳の中心部に位置する海馬グループのバランス(情と知)によって行動するのが哺乳類の基本です。

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図277-5 脳基底核・辺縁系における扁桃体と関連組織  Anton J M Loonen と による(2017) 参照文献16

 

参照

1)James W. Papez, A proposed mechanism of emotion. Arch Neurol Psychiatry vol.38, no.4, pp.725-743. We can see now on The Journal of Neuropsychiatry and Clinical Neurosciences.,
https://doi.org/10.1176/jnp.7.1.103
https://psychiatryonline.org/doi/10.1176/jnp.7.1.103?url_ver=Z39.88-2003&rfr_id=ori:rid:crossref.org&rfr_dat=cr_pub%20%200pubmed

2)McLeod country museum of history
https://mcleodhistory.pastperfectonline.com/Photo/3CAF3957-443F-475D-AB5E-345779772540

3)Arash Kamali et al., The Cortico‑Limbo‑Thalamo‑Cortical Circuits: An Update
to the Original Papez Circuit of the Human Limbic System., Brain Topogr., vol.36(3): pp.371-389. (2023) doi: 10.1007/s10548-023-00955-y.
https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC10164017/

4)ウィキペディア:大脳辺縁系
https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC10164017/

5)Daniel J. Bell Radiopedia: Entorhinal cortex
https://radiopaedia.org/articles/entorhinal-cortex

6)Igarashi KM. Entorhinal cortex dysfunction in Alzheimer's disease. Trends Neurosci. vol.46(2): pp.124-136.(2023) doi: 10.1016/j.tins.2022.11.006.
https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC9877178/

7)植松一眞 魚類の小脳のふしぎ 脳機能の起源を探る 化学と生物 Vol. 42, No. 10, pp.658-660 (2004)
https://www.jstage.jst.go.jp/article/kagakutoseibutsu1962/42/10/42_10_658/_article/-char/ja/

8)Sabrina S. Burmeister, Ecology, Cognition, and the Hippocampus: A Tale of Two Frogs., Brain Behav Evol vol.97: pp.211–224 (2022) doi: 10.1159/000522108
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/35051940/

9)渡辺茂 鳥類における空間記憶と海馬 The Japanese Journal of Psychology
Vol. 71, No. 2, pp.144-156 (2000)
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjpsy1926/71/2/71_2_144/_pdf/-char/ja

10)Karten HJ. Vertebrate brains and evolutionary connectomics: on the origins of the mammalian 'neocortex'. Philos Trans R Soc Lond B Biol Sci. vol.19; 370 (1684):20150060 (2015) doi: 10.1098/rstb.2015.0060.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/26554047/

11)Vattoth S, Mariya S. Practical microscopic neuroanatomy of the limbic system and basal forebrain identifiable on clinical 3T MRI. Neuroradiol J. 2023 Oct;36(5):506-514. doi: 10.1177/19714009221122250. Epub 2022 Aug 22. PMID: 35996275; PMCID: PMC10569190.
https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC10569190/

12)桔梗が原病院リハビリテーション研究会
https://www.keijin-kai.jp/news/4243

13)Joe M. Das; Waquar Siddiqui., Kluver-Bucy Syndrome, Stat Pearls NIH
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/books/NBK544221/

14)佐藤病院 記憶とは?
https://midori-satohp.or.jp/feature/feature-62/

15)脳科学辞典 海馬
https://bsd.neuroinf.jp/wiki/%E6%B5%B7%E9%A6%AC

16)Circuits regulating pleasure and happiness: evolution and role in mental disorders Acta Neuropsychiatrisa vol.30(1): pp.1-14 (2017)  DOI: 10.1017/neu.2017.8
https://www.researchgate.net/publication/316737135_Circuits_regulating_pleasure_and_happiness_evolution_and_role_in_mental_disorders


 

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