「渋めのダージリンはいかが」へようこそ

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「生物学茶話:@渋めのダージリンはいかが」の紙本は九州大学理系図書館、京都大学理学部図書館、島根大学附属図書館、東京大学理学図書館、東京科学大学大岡山図書館、北海道大学理学部図書室、杏林大学医学部図書館、電子書籍としては国立国会図書館に収蔵されています。

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Hair follicle の本は Springer から出版したのでここには中身を掲載できませんが、アマゾンインターナショナルなどで販売しています。

入手が難しいかたは
https://morph.way-nifty.com/grey/2023/08/post-f37c78.html
の最下行に表示している連絡先にメールをしていただければご返事を差し上げます。

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2025年5月17日 (土)

幸福を感じる日

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暴風雨の日(もちろんコンマスは矢部) こんな日にはるばる溜池山王まででかける酔狂。しかし会場はビデオカメラとマイクが林立してオペレーターも待機していました。

ペンデレツキの音楽は酔狂。

しかしツィブレヴァが真っ赤なスカートで登場し、曲(ショスタコーヴィチ ピアノ協奏曲第2番)はチャーミングだけれどピアノはきれきれで瑞々しく、また第2楽章は深い情緒の音楽を聴かせてくれました。シューマンの子供の情景に突然世紀の名曲トロイメライが出現するような感じ。まあそこまではいきませんが。ドイツ音楽にはないリズムも感じました。

ショスタコーヴィチ交響曲第5番は第3楽章までは大変な名演だと思いましたが、ロシアの歴史を学びに来ているわけでもないので、ウルバンスキの意図が納得できなかった部分も第4楽章にはあります。

繰り返し聴くのはこちらかな ⤵

https://www.youtube.com/watch?v=34tCtfa9JIk 
https://www.youtube.com/watch?v=9UvhAL81yLg

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指揮者アンコールで歓呼にこたえるウルバンスキ

ウルバンスキの指揮には独特なエレガンスがあります 指をよく動かします。
ときどき左足だけ内股になります。

都響も彼の意図を実に忠実に表現していたように思います さすがです。

 

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2025年5月16日 (金)

続・生物学茶話268:基底核 2:進化

脳基底核のなかで黒質はそこに障害(黒質緻密部ニューロンの変性)がおきることによって、パーキンソン病などがひきおこされるとが昔から知られており、医師・医学者には深い関心を持たれています(1、2)。それでは黒質は脳のどの位置にあるのでしょうか? その存在位置を見て驚きます。図269-1(ウィキペディアの図をもとに作成)の断面図は左側の図のように、橋のすぐ上の中脳の断面を示したものです。大脳からはとても遠い位置にあります。にもかかわらず多くの教科書・文献には大脳基底核の主要構成要素と書かれています。神経連絡をみていくとそうなるということでしょう。

図269-1の白点線の上側が緻密部、下側が網様部になります。緻密部は主としてドーパミン作動性ニューロンからなり、網様部は主としてGABA作動性ニューロンからなります。268では単純化のため記してありませんが、緻密部のドーパミン作動性ニューロンは線条体のほか、黒質網様部、淡蒼球、視床下核などにも投射しています。またGABA作動性の入力を線条体や黒質網様部から受けています。網様部のGABA作動性ニューロンは脳基底核の主要な投射ニューロンであり、視床・脚橋被蓋核などに投射することによって運動が開始されると考えられています(1、3)。

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図269-1 ヒト脳における黒質の位置

脳基底核は魚類はもちろん、円口類であるヤツメウナギにも存在することが証明されています(4-6)。ヤツメウナギと魚類が分岐したのは5億6千万年前とされているので、この研究結果からみて脳基底核はそれ以前から存在していたと思われます(図269-2)。つまり脳基底核の進化についてはあまりにも古い時代の話なので研究は難しいですが、ただヌタウナギの脳基底核を調べることはできるので、もう少し知識は得られるかもしれません(7)。

諸般の状況を考慮して行動を開始するかどうか決める必要性は、弱肉強食の世界となったカンブリア紀には敵との遭遇や闘争を避けるために大いに必要だったとおもいますが。5億6千万年前といえばそれ以前の平和なエディアカラ紀です。円口類は脳基底核を持っていないナメクジウオなどとくらべると動きが活発でエレガントなので、もちろん姿勢制御などのために脳基底核が役立つのかもしれませんが、当時でも後に述べるように「諸般の状況」を考慮してから行動する個体に生存のアドバンテージがあったと思われます。「諸般の状況」についての情報が集まる場所が今も昔も脳基底核なのでしょう。黒質に相当する部分もおそらくエディアカラ紀から存在して、その後の時代になって脳が前方に進化発達するにつれて脳幹の近傍(中脳の最後部)に取り残されたのだと思います。

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図269-2 ヤツメウナギの進化上の位置

黒質のニューロンが変性するとパーキンソン病が発生することは定性的には昔からわかっていますが、これを定量化することはなかなか困難です。玉利らは3次元神経メラニン画からコンピュータプログラムを用いてその定量化を試み、2017年に発表しています(8、9)。もちろん彼らの独自基準に基づくものですが、結果は明快です(図269-3)。

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図269-3 パーキンソン病患者と健常人の黒質体積比較

哺乳類の行動に黒質が深くかかわっていることは明らかですが、では5億6千万年前に分岐したといわれるヤツメウナギの行動には脳基底核とりわけ黒質はどのようにかかわっているのでしょうか? カロリンスカ研究所のグループはこのことに関心を持って長らく研究を続け、現在では「ヤツメウナギと哺乳類の終脳・視床・基底核のネットワークは類似しており、全体的な構造、連絡網、伝達物質、受容体、ニューロペプチド、イオンチャネルの開閉などは共通である」という結論に達しました(10)。

脳基底核のシステム、あるいは終脳皮質-視床-脳基底核のシステムが5億6千万年より前から存在したということは、ひとつにはおそらく生物が餌に接近し食べようとしたときに、経験や状況を配慮していったんやめるという必要があったということだと思います。食物連鎖がない先カンブリア時代であっても、自分より強力なライバルが近傍にいる場合はいったんやめた方がアドバンテージがあったのでしょう。これは配偶者を争奪する場合にも言えます。ライバルとは関係なく、餌がそこに接近すると危険な場所にある場合、たとえば地形的に危険だったり、周りに生えている植物によって怪我をする恐れがあったりという場合などにも「やめる」ことにはメリットがあります。ですから先カンブリア時代から脳基底核のシステムがあることは、そんなに不思議なことではないと思います。ヤツメウナギにおける基底核の位置は図269-4に示しました(10)。

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図269-4 ヤツメウナギ脳基底核の位置 Figure 4-6 were made based on the figures of Suryanarayana et al (ref.10)

ヤツメウナギの終脳皮質-視床-脳基底核の信号伝達経路を示したのが図269-5です。哺乳類と同様直接路・間接路・ハイパー直接路が存在し、これらの信号伝達がグルタミン酸とGABAによって行われていることも含めて、全く哺乳類と同じです。

黒質の場合はドーパミンを用いた信号伝達を行っており、これを受け取る線条体にはD1系およびD2系の受容体があります。これらのシステムについても私たちとヤツメウナギは全く同じで、実に5億6千万年以上前に完成したものをほぼそのままの形で現在も使っていることを意味します。したがってあらゆる脊椎動物はパーキンソン病を患う可能性があります。

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図269-5 ヤツメウナギの終脳皮質・基底核・視床のネットワークシステム

黒質緻密部に着目して詳細にその作用を示したのが図269-6です。黒質緻密部からのドーパミンによる信号経路は、報酬が得られる場合には活発化し、得られなくなると不活化します。したがってそのアクティビティーは生物の活動全体に大きな影響を与えます。黒質緻密部はヤツメウナギにおいても、図269-6に示したように、終脳皮質・線条体・視床下核・感覚器官・外側手綱核・脚橋被蓋核・中脳蓋などから多くの情報を集めるとともに、線条体・視床下核・黒質網様部・間脳運動制御領域・中脳運動制御領域・中脳蓋など多くの運動制御領域に投射して、生物の運動プログラム全体に影響を及ぼしています(図269-6)。

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図269-6 ヤツメウナギにおける黒質緻密部の機能

 

参照文献

1)ウィキペディア:黒質
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%BB%92%E8%B3%AA

2)高草木薫 大脳基底核の機能;パーキンソン病との関連において
日本生理学会誌 Vol. 65,No. 4・5 pp.113-129 2003
http://physiology.jp/wp-content/uploads/2014/01/065040113.pdf

3)脳科学辞典:脚橋被蓋核
https://bsd.neuroinf.jp/wiki/%E8%84%9A%E6%A9%8B%E8%A2%AB%E8%93%8B%E6%A0%B8

4)続・生物学茶話241:基底核の起源 ヤツメウナギの場合
https://morph.way-nifty.com/grey/2024/07/post-35ba6c.html

5)Yuki Tanimoto, Hisaya Kakinuma, Ryo Aoki, Toshiyuki Shiraki, Shin-ichi Higashijima, Hitoshi Okamoto, "Transgenic tools targeting the basal ganglia reveal both evolutionary conservation and specialization of neural circuits in zebrafish", Cell Reports 43, 113916 (2024)
https://doi.org/10.1016/j.celrep.2024.113916
https://www.cell.com/action/showPdf?pii=S2211-1247%2824%2900244-4

6)Marcus Stephenson-Jones, Ebba Samuelsson, Jesper Ericsson, Brita Robertson, and Sten Grillner, Evolutionary Conservation of the Basal Ganglia as a Common Vertebrate Mechanism for Action Selection., Current Biology vol.21, pp.1081?1091, (2011)
DOI 10.1016/j.cub.2011.05.001
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/21700460/

7)菅原文昭・倉谷滋 円口類から解き明かされる脳の領域化の進化的な起源
ライフサイエンス新着論文レビュー
DOI: 10.7875/first.author.2016.015
https://first.lifesciencedb.jp/archives/12168

8)玉利誠 国際医療福祉大学博士論文 神経メラニン画像を用いたパーキンソン病患者の黒質体積測定プログラムの開発と解析
file:///C:/Users/Owner/Downloads/32206AS262.pdf

9)玉利誠, 宇都宮英綱, 永良裕也 理学療法学 SupplementVol.44 Suppl. No.2 (2017)
MRI画像を用いたパーキンソン病患者の黒質緻密部の定量解析とHoehn & Yahr重症度との関係 
第52回日本理学療法学術大会 抄録集
https://doi.org/10.14900/cjpt.2016.1027
https://www.jstage.jst.go.jp/article/cjpt/2016/0/2016_1027/_article/-char/ja/

10)Shreyas M. Suryanarayana, Juan Pérez-Fernández, Brita Robertson, Sten Grillner, The Lamprey Forebrain – Evolutionary Implications., Brain Behav Evol., vol.96: pp.318–333 (2021)
DOI: 10.1159/000517492
https://karger.com/bbe/article/96/4-6/318/821601/The-Lamprey-Forebrain-Evolutionary-Implications

 

 

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2025年5月13日 (火)

2024-2025 シーズンのバルサ

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印西郵便局前のメタセコイヤ並木道

今年のFCバルセロナ(バルサ)はまれにみる強さでエル・クラシコを全勝し、スペイン国王杯のタイトルを獲得し、欧州チャンピオンズリーグはベスト4、そしてリーガ・エスパニョーラも優勝目前です。これはもちろんフリック監督、選手たち、フロントの努力によるものですが、私が感じたことはやはり素晴らしい選手達がいたことです。

GK:大黒柱のテア・シュテーゲンが長期故障欠場という危機の中で、いったん引退を決意していたシュチェスニーが代役を引き受けてくれたことは幸運でした。有難いことです。ラ・マシアから急遽引き上げられたイニャキ・ペーニャもきちんと重責を果たしていたと思います。

DF:DFは一番大変でした。本来はアラウホがリーダーとなって統率しなければいけなかったのですが、故障欠場が多くてそれができませんでした。クリステンセンもほとんど故障のため出場できませんでした。イニゴ・マルティネスはずっとバスクのチームで活躍してきたバスク人で、ビルバオのリーダーだったベテラン選手です。そんな選手をバルサが採用したときには物議をかもしましたが、ちょうど契約満了だったのでタイミングよく獲得できたことが幸運でした。彼はセンターバックとして出場し続けバルサを救いました。2007年生まれのクバルシも破格の頑張りで、バルサのCBを、大きな故障もなくシーズン通して勤めきりました。サイドバックのバルデとクンデも同じく大きな故障もなく無事に勤め切りました。ふたりとも突破力と守備力を兼ね備えた素晴らしい選手だと思います。ベンチにはエリック・ガルシアとラ・マシア引き上げしかいないというなかで、猛烈なハードスケジュールをこなしたディフェンダーの功績はすごいものがあります。

MF:バルサの中核です。今シーズンはガビやデ・ヨングが故障であまり出場できなかった中で、ダニ・オルモを獲得したのが大きかったです。非常に攻撃的なMFで、その突破力は異常です。あとはもっと長い時間ピッチで頑張れる体力ですね。ペドリは往年のチャビをバージョンアップしたようなゲームコントローラーで、多くの評論家が褒めたたえます。カサドもガビのいない穴をきっちり埋める活躍でした。フェルミンとパブロ・トーレは来シーズンの成長に期待します。

FW:レバンドフスキーは年齢的に11月位までしか持つまいと思っていたのですが、なんとピチーチを争うような大活躍で春まで出場できたのはびっくり。やはりバルサ優勝の最大の貢献は彼でしょう。ヤマルは2007年生まれ次の時代のフットボル界をしょって立つ大物テクニシャンで、まだ高校生の年で本当に華のある選手です。一瞬のタイミングに放つ左足のミドルシュートはメッシを凌駕するものがあります。彼が観衆を魅了するのはその意外感です。とても心配な問題は、彼に支払うサラリーとリーガが定めたチーム上限との折り合いがつくかどうかです。フェラン・トーレスは昨シーズンまでは絶好のチャンスにGK正面にしかシュートを打たない??FWだったのですが、なんと今年は信じられない大変身で得点が取れるFWになりました。本人は精神的なものだと言っているようです。ラフィーニャはもともとすごい実力のある選手で、チャビ監督との相性がわるかった(右サイドで起用してもダメな選手)だけで、今シーズンの活躍は当然です。ファティはようやく故障が癒えましたが、今シーズンは活躍できませんでした。彼の独特のリズムのシュートに期待しているので、来シーズンもチームに残ってほしいと思います。

最後にフリック監督のドイツ人にもかかわらず、バルサ伝統の高い最終ラインのオフサイドトラップ、中盤の回収力、隙間の突破などを重視するなかで、特に縦パスからの切込みを徹底した戦略は素晴らしいと思いました。

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1.

声を あげよう

われら ブラウグラナ

地の涯からも 集いし友よ

掲げる旗のもと 拳(こぶし)を合わせよう

ブラウグラナは 嵐を呼ぶ

叫べ われらの名

バルサ バルサ バルサ


2.

嬉しい日 悲しい日

どんなときも

心ひとつに 合わせし友よ

掲げる旗のもと 勝利を信じよう

ブラウグラナは 嵐を呼ぶ

叫べ われらの名

バルサ バルサ バルサ

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Visca el Barca 🎀

Visca Catalunya 🎀

============

 

 

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2025年5月10日 (土)

フィルそして雨上がりの住吉

イソヒヨドリのベティが4月10日にオス(フィルと命名)をうちに連れてきて、翌日からしばらく姿を見せませんでしたが。5月6日にしばらくぶりでやってきました。ということは多分近所で抱卵して雛がかえったと思われます。そして5月10日にはフィルをみかけました。団地の自転車置き場で写真を撮らせてくれました。ベティとともに子育て中なのでしょうか。月末には子供を連れて遊びに来てくれるのでしょうか。それとも巣立った子供たちはすぐに遠くに行ってしまうのでしょうか。

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住吉に出かけました。地下鉄の出口にある美容室の看板が いいね! 評判の良い店らしい。

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住吉の猿江恩賜公園入口には薔薇が咲き誇っていました。私が好きなのはバラ色の薔薇です。品種は確認できませんでしたが、多分GDルイーズでしょうか。雨上がりで水滴が光っていました。

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それにしても多久和怜子氏のフルートはマニアックです。「管弦楽のためのラプソディ」では尺八風の音を出していました。ソアーレスさんの指揮はまるで糊がビシっと効いた真っ白なYシャツみたいで、ソリストの壺阪さんもラプソディー・イン・ブルーでそんな雰囲気の音を出していました。満場の拍手にこたえてのソリストアンコールは、デサフィナード(アントニオ・カルロス・ジョビン)。「新世界より」も清新で折り目正しく、かつ細部はやわらかい音楽をやっていました。シティフィルは大健闘、客席の興奮もすごかったです。

ビート・タケシが「これからの日本は何で飯を食っていくのか」と嘆いていましたが、音楽の実力は十分なので、あとは政府が世界に売り出すためにどんな手助けができるかにかかっています。

 

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2025年5月 9日 (金)

続・生物学茶話268:基底核 1:イントロダクション

ヒトの大脳に相当する脳のパートは魚類では主として臭いの判別に用いられていましたが、進化するにつれて大脳は多くの仕事を受け持つようになりました。なぜそうなったかはよくわかりませんが、脊椎動物は進化によって新しい仕事ができると、それを脳の前の方(ヒトの場合は上の方)の部分に細胞をつくってやらせるというのが標準となっています。魚類はヒトより高速で泳いだり、方向転換したり、転回したりできますが、餌を鰓でつかんで口に運んだり、寄生虫を鰓で払い落したりすることはできません。ヒトでは言葉を覚えたり、キーボードをたたいたり、編み物をしたりという複雑な作業を進化した脳にやらせています。

そういうわけでヒトでは大脳は巨大になり、その制御システムも複雑になりました。それを最も簡略に模式化した図で示すと図268-1のようになります。しかし言葉の定義にはいろいろ問題があります。大脳辺縁系というのは言葉のイメージとしては大脳の外側にあるような感じですが、なぜか内側にあります。英語では limbic system ですが、名詞の limbo は物事が決まらないこと、忘れられていた状況、どっちつかずの場所などを言いますが、天国と地獄の間の場所という意味もあり、誰かがこれを「辺獄」と訳したことに関係があるようです。本当は間脳と大脳の間のどっちつかずの組織という意味でしょう。

それを踏まえると、大脳基底核というのはあまりにも不適切な言葉になります。英語では basal gannglia であり、どこにも大脳という言葉はありません。中間(リンボ)より間脳寄りなのですから、大脳基底核というのは無理でしょう。脳基底核か単に基底核とするほうが妥当だと思います。さらに言えば「核」という言葉にも問題があります。普通、核=神経核は組織未満のニューロンの集合体を指しますが、たとえば線条体などは臓器と言ってもいいくらいのまとまりがあって、これを核と称するのは失礼でしょう。

視床という言葉も変です。まるで視覚だけに関係しているような印象を与えます。そもそも生物学の立場から言えば、大脳が大きいのは霊長類だけで、脊椎動物全体から見ればごくごくわずかな生物を基準にして言葉を決めるのはおかしいわけで、一般的な意味では終脳ということを生物学者達は推奨しています。ただ確かにヒトでは大脳は大きいので、ここでは大脳という言葉を使います。

どうしてこんなに脳科学の基本用語が不適切用語のオンパレードになっているのか不可解です。脳科学というのは医学・医療と深くかかわっているので用語を使う人の裾野が広大なために、一度決めるとなかなか変えられないという事情があるのかもしれません。前置きが長くなりました。御託はこの辺にして、図268-1は巨大化した大脳皮質を制御するための4層構造を示しています。実際の立体配置もこれに近い構造になっています。視床は間脳の一部ですが、特に大脳と深くかかわっています。この構造はヒエラルキーを意味しません。むしろネットワークです。

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図268-1 脳の最も簡略な模式図

図268-2も模式図ですが、図268-1よりずっと実際の配置に近く描かれています。今回の話題は基底核(脳基底核)ですので、その位置がわかるように描いてあります。基底核は見た目脳の中心周辺に位置しています。ただしこれは脳を左側から見た図で同じ構造が右側にもあります。全体の立体構造を把握するには図268-3のような水平断面図も合わせて把握することが必要です。

基底核は脊椎動物が地球上に出現した頃に近い形態のままのヤツメウナギにも存在します(1、2)。おそらく脊椎動物においては、進化の早い時期から大脳(終脳)+基底核+視床はセットで機能していたと思われます。ナメクジウオにはこのようなセットはありません。扁桃体は構造的に尾状核と連結していますが、現在の脳科学では基底核ではなく大脳辺縁系に含まれることになっています。

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図268-2 脳基底核の位置

図268-3はヒト脳を水平に切ってみた1断面ですが、これをみると脳の中心は視床で、そのまわりを基底核と脳室が取り囲む構造が見えます。模式図でなくMRIで実際に水平断面を見た構造は、例えば参照文献3に便利な画像が提供されています(3)。

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図268-3 脳の水平断面

大脳皮質と基底核、そして両者と深い関係にある視床がどのような神経回路でつながっているかは古くから研究されていて、大まかには解明されています。それをまとめたのが図268-4です。一つの神経細胞ができることは2つしかありません。それは連絡先の細胞を興奮させるか興奮を抑制するかです。そういう意味では神経系はデジタル的なシステムです。

基底核からの出力は黒質網様部と淡蒼球内節から行われますが、両者ともGABAによる抑制性の情報出力で、これは常時行われています。このことは私たちが手足を動かしていないなどのデフォルト状態のときには常に抑制性のシグナルが出ていて、その抑制性のシグナルが抑制されることによって行動が開始されるという私たちの体の基本的なメカニズムと深い関係があります(4)。

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図268-4 脳基底核・大脳皮質・視床のネットワーク

大脳皮質・基底核・視床にかかわる神経伝達については、直接路・関節路・ハイパー直接路という伝統的な分類が行われています。ウィキペディアの記述によれば(5)、下記のようになります。図268-4で赤のグルタミン酸が伝達物質となる経路は興奮、青のGABAが伝達物質となる経路は抑制行います。ピンクのドーパミンが伝達物質となる場合は受容体によって興奮・抑制の両者の場合があります。

1.直接路:
大脳皮質→線条体→淡蒼球内節・黒質網様部→運動性視床核→大脳皮質運動野

2.関節路:
大脳皮質→線条体→淡蒼球外節→視床下核→淡蒼球内節・黒質網様部→運動性視床核→大脳皮質運動野

3.ハイパー直接路:
大脳皮質→視床下核→淡蒼球内節・黒質網様部→運動性視床核→大脳皮質運動野

基底核から直接脳幹経由の運動指令が出されるケースは非常にマイナーですが、視床からは直接脳幹に投射する経路もあります(4)。多くの場合大脳皮質から脳幹に運動指令が出されます。ただ正しい運動指令を出すためには大脳皮質-基底核-視床のネットワークが必須です。

基底核は運動に関するいわば奥の院なので、ここに不具合が起こるとさまざまな病気が発生します。たとえば黒質緻密部のニューロンに不具合がおきると、線条体への興奮刺激が低下し、線条体からのGABAによる抑制シグナルが低下するため、黒質網様部や淡蒼球内節による視床への抑制シグナルをおさえられなくなり、常に運動を行わないような指示が出ている状態になります(図268-4)。このためパーキンソン病のような運動障害が発生してしまいます(6、図268-5)。逆に黒質網様部や淡蒼球内節のニューロンに不具合がおきると、視床への抑制が効かなくなり、不随意で持続的な筋収縮がおきてジストニアを発病します(7、図268-5)。またハンチントン病は尾状核のニューロンに不具合が起きた時に罹患する病気として知られています(8)。

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図268-5 脳基底核の不調によって発生する病気

ここでは運動に注目して述べてきましたが、基底核は認知機能、感情、動機づけ、学習など様々な機能に関わっているため(5)、その不具合は様々な症状を引き起こします。まだ十分に解明されていない部分も多いと思われます。

参照文献

1)Sten Grillner and Brita Robertson, The Basal Ganglia Over 500 Million Years., Current Biology 26, R1088–R1100, (2016) doi: 10.1016/j.cub.2016.06.041.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/27780050/

2)続・生物学茶話241:基底核の起源 ヤツメウナギの場合
https://morph.way-nifty.com/grey/2024/07/post-35ba6c.html

3)病気が見える 7:脳・神経
https://www.byomie.com/gallery/vol7/mri_axial/index.html

4)国立生理学研究所 生体システム部門HP
https://www.nips.ac.jp/sysnp/ganglia.html

5)ウィキペディア:大脳基底核
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A4%A7%E8%84%B3%E5%9F%BA%E5%BA%95%E6%A0%B8

6)ウィキペディア:パーキンソン病
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%91%E3%83%BC%E3%82%AD%E3%83%B3%E3%82%BD%E3%83%B3%E7%97%85

7)ウィキペディア:ジストニア
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B8%E3%82%B9%E3%83%88%E3%83%8B%E3%82%A2

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2025年5月 5日 (月)

World music collection 26: Sohma Hiroko

Cd

CDs of Sohma Hiroko

Sohma Hiroko is a female singer of Japan born 1970 at Nagoya. She has published 12 albums. Among them, "Eve" and "Adam" are self-cover specials arranged acoustically and I recommend for you. Though they were published 2007 and 2006, uploaded to YouTube just recently.

She was deeply affected by the music of Mary Black and she visited Ireland in her young days and met her. Based on it, she constructed her original music.

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夕なぎ Yu-nagi means evening calm (in Adam)
https://www.youtube.com/watch?v=wNj65ADmiuQ 

An old photograph, put between the sheets of the address note, slipped off to the sand of the beech, that reminds me of my old boy friend and young days. Soon it gave me a shock while everything around me is not changed and calm. I pick up the photograph and sand off. I wait for a bus at the seaside bus stop in the evening calm, while I do not know when it comes.

The song starts by vocal and guitar, but soon an oboe joins impressively. I love this arrangement very much.

この曲を聴くと、学生の頃三浦半島の油壷に行くために引橋のバス停でぼーっと何時間もバスを待っていたことを思い出します。マリンパークが消滅して、油壷は寂しい場所になっているのでしょうね。

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リフレイン Refrain (in Adam)
https://www.youtube.com/watch?v=TGBLz1-0-Hs 

A pure and sincere love song.

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愛が教えてくれたもの  The love left me something reliable (in Adam)
https://www.youtube.com/watch?v=zSYLdTygb1k 

This is the garden that I played in my childhood. Now the house disappeared and it changed to the field of dandelion. The things and people I loved have disappeared now. But the love left me something reliable.

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永遠を探しに To explore the eternity (in Eve)
https://www.youtube.com/watch?v=Aj-YuUv53DE 

Let's jump out the home town, and aim for the horizon.

Live performance
https://www.youtube.com/watch?v=H4C4g_JIPOM 

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風の祭日 The day of wind festival
https://www.youtube.com/watch?v=8mqBGnRXLTM&list=PL_JPyZ1-dS7MwoXgbZpe12Py3ShxnP6cP 

You may become aware of the irish taste easily.

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Lion in the zoo
https://www.youtube.com/watch?v=efurnDrGkEI 

Zoo means the established society.

I love this music and lyrics.

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Live performances

The place where the sky encounters with the sea.
https://www.youtube.com/watch?v=4YHg_tjdWmM&t=401s 

1%
https://www.youtube.com/watch?v=uKXaHf4dEHg 

The sky of Tokyo
https://www.youtube.com/watch?v=Bfj7TvrOkKw 

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Promotion video

https://www.youtube.com/watch?v=64w74hRE2dw

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HP:

http://www.hirokosohma.com/

Her picture (Hiroko is also a painter) .

She loves cats (me too💕).

Sketch_doa

 

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2025年5月 4日 (日)

明日でブログ開設20年目になります 読者の皆様に深謝

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なんと明日でブログ開設20年目に突入します。

ご閲読賜りまして有難うございます。これが生きがいというより、私のなかではこのブログが私という存在の過半です。

最近はクローラーがよく来ていて、無生物に見て回られるというのも不気味ではあります。AIにとりこまれて利用されるのでしょうか? うーん なんだかなあ・・・。

それはそれとして、今年も例年通り記事を書くつもりなので何卒よろしくお願い申し上げます。人様に見ていただけるのが何よりの励みになります。

管理人 monchan より

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この19年間に耐えがたい困難な事態が何度かありましたが、なんとかまだ生き延びてこのブログを続けています。ただブログを開設した19年前は、いま改めて記事を見てみると、わりと平穏な年だったようです。

私の最初のブログ記事に添えられていた電子顕微鏡写真です。筋細胞がアクトミオシンを蓄積しつつある私が撮影した写真です。

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<ブログ開設の年に書いたお気に入りの記事>

19年前の南青山曼荼羅ライブの記録です ↓ 。
以下当時に書いたままをコピペしました。

2006.12.09 西島三重子
南青山マンダラライヴ

前半は70年代フォーク特集

1)愛と風のように(小出さん) --- スカイラインは高級車で手がでません。
2)サルビアの花
3)なごり雪
4)海を見ていた午後
5)22才の別れ
6)池上線
7)いちご白書をもう一度
8)酒と涙と男と女
9)異邦人
ユーミンの曲を2曲(4と7)やったのにはびっくりしました。
ユーミンには作曲家としてライバル心メラメラと思っていましたので。
(小声で)2曲ともホントいい曲ですねえ。
異邦人(オリジナルは久保田早紀)はなんかはまってましたね。
すっかり乗せられてしまいました。

Break

後半はオリジナル曲

1)ミッドナイトララバイ --- 今日この曲がきけるとは!
2)ジンライム
3)シベールの日曜日 --- 小生のリクエスト hime の好意に感謝します
4)青春のシュプレヒコール
5)DearMyFriend
6)おひさまのたね --- 仏日版って結構好きです
7)プレゼント
8)BonCourage(ボン・クラージュ)
9)星屑のララバイ

アンコール

1)やさしくなれる季節だから --- 今日のオリジナル曲のなかでは1番だと思う
2)ホワイトクリスマス

それにしても、リクエストした人間の面がみんな割れてしまうという仕掛けには
お手上げでした(ヤマガラのカレンダーいただきました 謝謝)

 

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2025年5月 2日 (金)

豪雨の南青山

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南青山曼荼羅・西島三重子ライブに行ってきました。青山通りと外苑西通りの交差点あたりは外資系の会社がいっぱいで、ここが日本かと思います。みーちゃんは昨年十二月に生死をさまようような交通事故にあって、なんとドクターヘリで病院に運ばれたそうです。すっかり回復し、お元気そうで何よりでした。

なんと今回は3曲も初めての曲がありました。古い曲ですがライブでは今までやったことがなかったみたいです。

セルフカバー曲

あざやかな微笑(石川ひとみ)
https://www.youtube.com/watch?v=_S7nODjPRVE 

風の中のさよなら(桜田淳子)
https://www.youtube.com/watch?v=a92HOv6B-go 

オリジナル曲

ムーン・リバー(西島三重子)

石川ひとみさんのために作曲した曲としては「にわか雨」がお気に入りだそうです。
https://www.youtube.com/watch?v=IioJr7LqKVg

今年もまたバースデイライブ(8月17日)は開催されるようです。

今日は来場者に自家製はがきのプレゼントがありました ↓。 

有難うございます。

西島家のアビ子ちゃんはネズミの死体をプレゼントしてくれるそうです(爆)。

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最後に曼荼羅では曼荼羅弁当(名物)とカレーライスがメニューから消えていました。コメはあきらめたようです。政治のミスはこんなところにも影響を及ぼしています。

 

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2025年4月29日 (火)

ジャクリーヌ・デュプレが満開

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ちょっと早いでかもですが、バラの季節です
(地球温暖化のせいか?)
うちのジャクリーヌ・デュプレも開花しました
この品種の名は、往年の名チェリストにちなんで名付けられました
彼女は多発性硬化症を発症し、短い人生を終えた不運の天才です

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ジャクリーヌ・デュプレのトゲはすごいです(矢印)

怨念なのでしょうか?

ジャクリーヌ・デュプレ(チェロ)
ドヴォルザークのチェロ協奏曲の名演奏
後に離婚する夫ダニエル・バレンボイム指揮ロンドン交響楽団と共に
https://www.youtube.com/watch?v=U_yxtaeFuEQ&t=1245s 

映画も制作されました
「ほんとうのジャクリーヌ・デュ・プレ」
https://filmarks.com/movies/26759 

 

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2025年4月27日 (日)

バルサ 激闘のスペイン国王杯を制す

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バルサが120分延長戦の激闘の末、コパ・デル・レイ優勝を決めました。

試合の前から戦いは始まっていて、首都系のテレビでレフェリーを罵倒する放送があって騒然とする中でのキックオフ。昔はレフェリーはマドリーサイドと決まっていたのですが、あらためてマドリーが審判にプレッシャーをかけに来るとは時代も変わったものです。そういえば最近の放送(U-NEXT)では解説者がバルサファンであることを隠そうともしないのも驚きです。

決勝点はあの遅刻常習者ジュール・クンデのミドルシュート。バルサは守備陣のわずかな隙間にパスを通して点を取るのが定番のチームでしたが、最近は豪快なミドルシュートでの得点もありです。先制ゴールもペドリのミドルシュートでした。

延長戦になると、もうチャンピオンズリーグのことなど考えていられません。全力プレーであまりの激戦で両陣営ヘトヘト。なんとヴィニシウスの足がつるというのもびっくり。エムバペが途中から出てきましたが、フリーキックをバルサゴールにつきさしたとはいえ、ヴィニシウスがいないと彼も真の実力を発揮できません。

最後によほど悔しかったのか、マドリーの3選手(リュディガー、バスケス、ベリンガム)が物をピッチに投げ込んで全員レッドカードとは爆笑。

https://www.youtube.com/watch?v=H0hU93OHfts

https://www.youtube.com/watch?v=dGLDzZLceNk

https://www.youtube.com/watch?v=MklS04nfjxk

https://www.youtube.com/watch?v=S6_bu0-Gj-w

 

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2025年4月26日 (土)

続・生物学茶話267:視床と大脳皮質2

Edward G. Jones は2007年に出版した「The Thalamus」という本(私は未読)の中で 「All cortical areas receive thalamocortical projections from specific thalamic nuclei」(大脳皮質のすべての領域は、それぞれ特異的な視床の神経核からの投射を受けている)と書いているそうです(1)。 視床から大脳皮質への投射が意識そのものなのかどうかはわかりません。もしそうならコンピュータだって意識を持っているということになるので、それは違うのではないでしょうか。意識を持つということは記憶との照合などもう少し高次のメカニズムが必要なのでしょう。また視床と大脳皮質の連絡は一方通行ではなく相互的なものであり、意識に基づく行動は大脳皮質から視床への投射によります。このネットワークがどのように成立するのかは意識を持つ生命体にとっては核心的に重要です。

どのような細胞、どのような因子が軸索の伸長とターゲットへの接近をサポートしているかという問題は、無脊椎動物では案内する細胞を個別に破壊するという手法で確かめられていますが(2)、哺乳類の胚でそのような実験を行うことは技術的に困難です。哺乳類では発生過程で脳のネットワークを形成する段階で、大脳皮質領域から視床に向かって伸びるニューロンが、視床から大脳皮質へ延びるニューロンの道案内細胞となるという仮説(ハンドシェイク仮説)は古くからありました(3、4、図267-1)。これは大脳皮質から伸びる軸索と視床から伸びる軸索が、例えばマウスの場合胎生13~14日目に中間点で邂逅するという解剖学的・形態学的な知見に基づいています。これに失敗した場合正常なマウスは生まれません。

PC・テレビ・無線通信・有線電話などでネットワーク通信を行う場合、情報が片方向にしか流れない場合と双方向に流れる場合があります。ケーブルにも片方向用と双方向用があります。私たちの場合、腸神経系以外では多分ほとんどの神経は片方向用にできています。しかし視床と大脳皮質のように起床時には常時大容量の双方向通信を行っているネットワークでは、ハンドシェイクによって形成された双方向ケーブルによって、事実上有線電話のような常時性双方向通信ができることは合理的です。

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図267-1 ハンドシェイク仮説

ハンドシェイク仮説は興味深い仮説ですが、それを証明したのは提唱者であるオックスフォード大学のグループではなく、エジンバラ大学のグループでした。Chen らはAPCというニューロンが分化する際に必要な因子のコンディショナル・ノックアウトマウスを用いて、視床から伸びる軸索が大脳皮質に到達するためには、大脳皮質のニューロンの助力が必要だということを証明しました(5)。

彼らは大脳皮質のニューロンだけが軸索進展に必要なAPC遺伝子を失うというノックアウトマウスでは、胎生15.5日目においても視床ニューロンの軸索がPSPB(pallial-subpallial boundary=外套‐外套下部境界、すなわち将来大脳皮質などになる部分と基底核などになる部分との境界)を乗り越えることができないことを見出しました(5、図267-2B、D)。大脳皮質周辺から遠隔の細胞に届くような誘導物質は放出されていないことも証明していたので、視床ニューロンの軸索がPSPBを乗り越えるためには大脳皮質からのびてくるニューロン軸索の助力が必要であることが示唆されています(5)。

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ノックアウトマウスの予定大脳皮質領域を取り除き、正常マウスの予定大脳皮質領域を移植すると、視床ニューロンの軸索はPSPBを乗り越えられることもわかりました(5、図267-3)。大脳皮質および視床由来の軸索が伸びる領域には多くの誘導物質がそれぞれの濃度勾配を持って配置されており、基本的にそれらに導かれて軸索は伸びるものと思われますが、PSPBを乗り越えるメカニズムについてMolnarらは誘導物質というより、大脳皮質由来のニューロンが視床由来の軸索のバンドリング(束を作る)に必要な物質を供給するのだろうと述べています(6)。PSPB付近は胎生2週間にはグリア細胞が緻密に存在しており、これらをかき分けて伸びるにはバンドリングが必要なのかもしれません。

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図267-3 ミュータント大脳皮質に正常大脳皮質を移植すると、視床神経軸索はPSPBを突破できる

Molnar と Kwan は最近の総説(6)で大脳皮質‐視床ネットワーク構築に関する知見のリニューアルをおこなっています。彼らのまとめによると誘導因子のなかには欠損すると、Tbr1, Mash1, Pax6, Gbx2:大脳皮質→視床、視床→大脳皮質の双方向に伸びる軸索がともに迷子になって進めなくなる、Nkx2.1:視床→大脳皮質は到達するが大脳皮質→視床は迷子になるものがある、Ebf1:大脳皮質→視床は到達するが視床→大脳皮質は迷子になるものがある、Emx2:到達できるが経路が異なる、Dix1:到達できないばかりか大脳皮質からの軸索は消失してしまう、などさまざまな場合が示されています(図267-4、図267-5)。

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図267-4 誘導因子の影響1

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図267-5 誘導因子の影響2

特に興味深いのは Doyle らの研究結果(7)で、彼らはArid1aというクロマチンモデリング複合体の構成成分であるタンパク質の遺伝子のコンディショナルノックアウトマウスを作成し、大脳皮質-視床のネットワーク構築過程を調べたところ、この遺伝子の欠損によって特に視床→大脳皮質の軸索のバンドリングができなくなり、ハンドシェイクが成立しなくなることがわかりました。そしてハンドシェイクが成立しないと、特に視床から伸びてきた軸索はPSPBを乗り越えることがほとんどできません(図267-6)。

この動物は視床の細胞の Arid1a は正常なのですから、正常な視床ニューロン軸索の動向が、別の細胞である大脳皮質ニューロンだけに現れるクロマチン構造の変異の影響を強く受けるということになります。

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図267-6 Arid1a のコンディショナルノックアウトマウス(大脳皮質ニューロンでの変異)ではハンドシェイクが成立しない

 

参照

1)Edward G. Jones「The Thalamus」2nd Ed., (2007) Cambridge University Press

2)Bentley D, Caudy M (1983) Pioneer axons lose directed growth after selective
killing of guidepost cells. Nature vol.304: pp.62-65 (1983)
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/6866090/

3)Molnar Z, Blakemore C, Lack of regional specificity for connections formed between thalamus and cortex in coculture. Nature vol.351: pp.475–477. (1991)
https://www.nature.com/articles/351475a0

4)Zoltan Molnar, Richard Adams, Andre M. Goffinet, and Colin Blakemore, The Role of the First Postmitotic Cortical Cells in the Development of Thalamocortical Innervation in the Reeler Mouse., The Journal of Neuroscience, vol.18(15): pp.5746–5765 (1998)
doi: 10.1523/JNEUROSCI.18-15-05746.1998
https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC6793036/

5)Yijing Chen, Dario Magnani, Thomas Theil, Thomas Pratt, David J. Price, Evidence That Descending Cortical Axons Are Essential for Thalamocortical Axons to Cross the Pallial-Subpallial Boundary in the Embryonic Forebrain, PLoS ONE 7(3): e33105. (2012)
https://doi.org/10.1371/journal.pone.0033105
https://journals.plos.org/plosone/article?id=10.1371/journal.pone.0033105

6)Zoltán Molnár and Kenneth Y. Kwan, Development and Evolution of Thalamocortical Connectivity, Cold Spring Harb Perspect Biol, vol.16, no.1, a041503.
DOI: 10.1101/cshperspect.a041503
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/38167425/

7)Doyle DZ, Lam MM, Qalieh A, Qalieh Y, Sorel A, Funk OH, Kwan KY., Chromatin remodeler Arid1a regulates subplate neuron identity and wiring of cortical connectivity.,
Proc. Natl. Acad. Sci. USA Vol. 118 | No. 21 e2100686118 (2021)
https://doi.org/10.1073/pnas.2100686118
https://www.pnas.org/doi/10.1073/pnas.2100686118

 

 

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2025年4月24日 (木)

米国はデフォルトしたのじゃないのか?

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私は経済学は全く知らないので(大学で公文俊平という男の講義を1年間聴いただけ・・・一応単位は取った記憶があります、もうすべて忘れました)、米国で何が起こっているのかはよくわかりません。しかし、貿易赤字や金利の上昇を極端に恐れたり、政府職員を大量解雇したり、さまざまな補助金をカットしたり、ウクライナに金を出し渋ったりしているのをみると、トランプがなんだかんだ理由はつけていますが、結局のところ米国は実はデフォルトじゃないかという疑念がわいてきます。だとすると米国が今やっている一見メチャクチャな政治がすっきり理解できるように思います。

一部の政治家や経済学者は、自国通貨でお金を借りている場合は紙幣を印刷すればいいのだからデフォルトはあり得ないと言っていて、だから米国や日本がデフォルトするなどありえないなどというわけですが、実はそう単純ではなくて実際には紙幣を赤字の分だけ印刷して補填するなどということはできないんじゃないか・・・という疑いを持たざるを得ない今日この頃です。

 

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2025年4月22日 (火)

ボードゲーム AI恐るべし

ボードゲームは囲碁・将棋・麻雀・コントラクトブリッジあたりは、超弱とはいえなんでもやりますが、最近驚いたのはAIvsAIの将棋です。人間同士がやっているのを見るより面白いです。

例えばポンタマンvs水匠10(beta)3
https://www.youtube.com/watch?v=GDr_m5BUtGY&t=1667s 

最初は矢倉風にはじまりますが、そのうち仰天手が満載。
たとえばここで後手どう指すか?

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なんと9八香です(つぎは9九飛車うちのねらい)。
まあこれは序の口で、一見意味不明に見えてもしばらく指してみると納得できる・・・という妙手連発で驚愕します。

これならひょっとすると政治もAIにまかせたほうがいいのか?

 

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2025年4月19日 (土)

まきちゃんぐ 本と音楽

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今日は神保町ブックセンター(岩波書店)の企画で、ライブセレクト「本と音楽」vol.3として、まきちゃんぐさんのお話と音楽を楽しむ会が開催されました。

神保町ブックセンターは飲食店と図書館が合体したような場所で、こんな場所で時間が過ごせる近隣の方々がうらやましくなるような素晴らしい空間です。

このお店の奥にライヴができるスペースがあって、ライブハウスにはないような座り心地の良い椅子で、音響も文句なく、大変リラックスして楽しめる会場でした。読書家であるちゃんぐさんの本に関する蘊蓄を拝聴しながらのライブ、なかなかない経験でした。

セットリストはすべて覚えているわけではありませんが、少なくとも下記の曲は歌いました。日本一のソウルシンガーであるまきちゃんぐさんは絶好調でした。ただ「愛が消えないように」は歌と演奏のキーがずれる感じで最後にやりなおしましたが、これがけがの功名といいますか本日最高のパフォーマンスで圧倒的でした。

さなぎ

木造アパート

名前

2020

鋼の心

ハニー

愛が消えないように

私のサイトに YouTube へのリンクがあります
https://morph.way-nifty.com/grey/2023/11/post-6f6350.html 

まきちゃんぐオフィシャル
https://x.com/makichang_info 

 

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2025年4月17日 (木)

素晴らしいCDジャケット

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マッケラスさんは米国生まれですが、子供のころからオーストラリアに住み、シドニー交響楽団のオーボエ奏者を務めていたそうです。指揮者としての活躍は主として英国で、特にスコティッシュ室内管弦楽団とのモーツァルト録音や、ヤナーチェクのオペラの録音で著名な方です。2010年に亡くなっています。

この霧の中で光が差し込む墓地のジャケットは、なんとも素晴らしいタイミングで撮影されたものと思います。モーツァルトのレクイエムにどんぴしゃの映像、そして演奏も清潔で引き締まった集中力の高い名演だと思います。

Mozart - Requiem K.626 (Mackerras) 2002
https://www.youtube.com/watch?v=Pl4oZg1J4xs

YouTube にも多く演奏がアップされていますが、ロンドンフィルを指揮したときはソフトな感じになるのがちょっと彼らしくない感じがします。

モーツァルト 交響曲第38番第1楽章 マッケラス指揮スコットランド室内管弦楽団
https://www.youtube.com/watch?v=iA_zRbA2LQI 

モーツァルト 交響曲第40番第4楽章 マッケラス指揮スコットランド室内管弦楽団
https://www.youtube.com/watch?v=JGO3Hr3_00M 

モーツァルト 交響曲第41番第1楽章 マッケラス指揮スコットランド室内管弦楽団
https://www.youtube.com/watch?v=1afrf5HaFLc 

JBL K2 S5500 + UT505 with SANSUI B-2102 MOS VINTAGE - モーツァルト 交響曲第25番 第1楽章 / チャールズ・マッケラス
https://www.youtube.com/watch?v=GEXGESkQl4I 

アマゾンで見ると、同じ曲のCDはありましたがジャケットが変わっているようでした。

 

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2025年4月14日 (月)

続・生物学茶話266:視床と大脳皮質1

「意識」という現象は昔は哲学や心理学で取り扱われていましたが、今では自然科学の研究対象でもあります。医学では意識レベルという段階が定義されています(Japan Coma Scale, Glasgow Coma Scale, 1)。視床という脳の領域は「意識」と深いかかわりがあり、この部分の損傷によって「意識」は障害されます(2-4)。

「意識」といっても救急医学で定義されているレベルとは違った意味で、動物によって異なるレベルがあり、それは視床や関連領域の発達の程度によって異なると思われます。また「意識」は視床という脳のパートが単独で担うものではなく、視床と大脳皮質との神経連絡を中心としたネットワークが担っていると思われます。この意味で視床と大脳皮質をつなぐ中間地点に位置する尾状核被殻領域も「意識」とは深いかかわりがあると思われます。

今回登場する関連部域(マウス脳のパーツ)の一覧を図266-1に示します。一次とか二次とかがありますが、二次というのは脳の他の領域で得た情報と照合するとか、より複雑で高級な処理をする脳の領域です。たとえば予測に基づいて環境の変化に対応する行動をとるとか(5)、音の高さや強さだけでなくハーモニー・メロディ・リズムのパターン処理をするとか(6)を受け持つ部分です。まあ実際にはそんなに単純ではないと思いますが。

視床と大脳皮質一次体性感覚野・一次視覚野は相互に投射するニューロンによって密接なネットワークを構築しています(図266-1c、7)。

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図266-1 マウス大脳皮質と視床

視床から大脳皮質への軸索の伸長、逆に大脳皮質から視床への軸索の伸長は、意識の成立のためにも非常に重要なことなので胎生期に行われます。マウスなら胎生13.5日目にはそのネットワーク構築は開始されています。軸索は大脳皮質と基底核の境界や間脳と終脳との境界を乗り越え、方向転換したのち、相互にすれ違うという形をとって進行します。

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図266-2 胎生13.5日目のマウス脳縦断面

そして胎生18.5日目には、それぞれターゲットである大脳皮質と背側視床に到達します。

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図266-3 胎生18.5日目のマウス脳縦断面

背側視床のニューロンから出発する軸索は、間脳終脳境界に至るとそれまで視床下部に向かっていた進行方向を
転換して間脳終脳境界を乗り越え、線条体方向に延びていきます。このような方向転換を実現するために視床下部領域に負の誘導因子が存在するというのが脳発生生物学が到達した結論です(8、図266-4)。

終脳領域に侵入した軸索はさらに、終脳腹側の負の誘導因子、背側の正の誘導因子に導かれて pallial–subpallial boundary を乗り越え、ようやく大脳皮質に到達します。大脳皮質から出発した軸索も同様な誘導因子に導かれて背側視床に到達します(図266-4)。

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図266-4 神経軸索ガイダンス

誘導因子の実体は遺伝子ノックアウトマウスを使った実験によって次々と明らかになってきましたが、ここではロペス=ベンディトらの論文の一部を紹介します(7)。

まずEmx2-KOマウスでは大脳皮質からの軸索、背側視床からの軸索共に遠回りしています。なかにはターゲットに到達できなかった軸索もあります。これは本来終脳間脳境界の腹側にあるはずの負の誘導因子がなかったことによるものと思われます。Tbr1-KOマウスの場合、大脳皮質からおよび背側視床からの軸索共に途中で伸長が止まっています。これは正の誘導因子が欠損していたためと思われます(図266-5)。Gbx2やMash1についても同様と思われます。Pax6も細胞移動に関わる因子とされていますが、ここでどのようにかかわっているかは図266-5からは判断できません。

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図266-5 遺伝子ノックアウトマウスによる誘導物質の探索

ニューロンのネットワークはもちろん正負の誘導因子だけで決まるものではなく、細胞接着、シナプス形成、刈込みなどそのほか多くの要因がかかわって形成されるもので、総合的な見方が必要です。

 

参照文献

1)【意識レベル評価】JCS・GCSとは?意識障害時の対応は?
https://motoyawata.clinic/blog/jcs-gcs/

2)管るみ 失語症,そして復職─私の闘病経験─
高次脳機能研究 vol.42(2):pp.207 ~ 211 (2022)
https://www.jstage.jst.go.jp/article/hbfr/42/2/42_207/_article/-char/ja

3)日坂ゆかり、柿田さおり 意識障害と高次脳機能障害や片麻痺のある脳出血患者の
発症時からの意識障害の回復に伴う自己の障害に対する認識の変化
日本救急看護学会雑誌 vol.23, pp.1-8 (2020)
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jaen/23/0/23_1/_article/-char/ja/

4)田上雄大 他 もやもや病に合併した穿通枝動脈瘤に対して塞栓術を施行した 1 例
脳卒中 vol.45: pp.270-276, (2023)
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jstroke/45/3/45_11115/_article/-char/ja/

5)Kosuke Hamaguchi, Hiromi Takahashi-Aoki and Dai Watanabe, Prospective and retrospective values integrated in frontal cortex drive predictive choice., Proc. Natl. Acad, Sci. USA, vol.119 (48) e2206067119 (2022)
https://www.pnas.org/doi/epub/10.1073/pnas.2206067119

6)ウィキペディア:1次聴覚野
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%80%E6%AC%A1%E8%81%B4%E8%A6%9A%E9%87%8E

7)Guillermina Lopez-Bendito and Zoltan Molnar, Thalamocortical development: how are we going to get there? Nature Rev Neuroscience vol.4, pp.276-289 (2003)
https://doi.org/10.1038/nrn1075
https://www.nature.com/articles/nrn1075

8)新明洋平 軸索ガイダンス分子 Draxin が担う脳神経回路形成機構 金沢大学十全医学会雑誌 第125 巻 第 2 号 55 -59(2016)
https://kanazawa-u.repo.nii.ac.jp/records/16615

 

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2025年4月12日 (土)

私の不思議ノート4: 忘れるということ

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忘れるということは、限られたメモリー量で仕事をしている脳にとっては必要なことだと思います。ハードディスクを整理していないと、そのうちどうにもならなくなってしまうのと同じでしょう。しかしよりによってこれだけは忘れちゃいけないってことを忘れるのは困ります。

山本裕康教授は「冷蔵庫」という言葉を思い出せなくて困ったそうですが(1)、私はもっと困ったことがあります。一生に一度だけですが、数年前に自分のPCのパスワードをなぜか思い出せなくなってしまったことがあります。さすがにこれは、まさか忘れるなんて思っていないのでどこにも書いてありません。誰にも聞けません。呆然として1日過ごしたのですが、幸いにして翌日に思い出しました。一体脳に何が起こっていたのでしょうか?

この話とは全く別なのですが、言葉を全く話せなくなって脳外科にかけこんだことがあります。これは理由がはっきりしていて、MRIとCTをとって硬膜下血腫という病名が付きました。外傷が全くなくてもこの病気になる人はいるようです。脳の硬膜の下側で出血が起こって脳が圧迫され、言語中枢が機能を失ったわけです。出血した血液が脳の浄化システムで徐々にリンパに吸収されていくと回復します。現在はほぼ回復しています。

全く話せなくなるというのは簡単にイメージできますが、ある言葉だけ忘れるというのはなぜなのでしょうか? シナプスが一つなくなるとか細胞が一つ死ぬとかはイメージしやすいですが、それではなぜ1日で回復したのかというのが説明できません。もっと複雑なダメージなのでしょう。

ある時突然帰り道がわからなくなるということだってあるかもしれません。これは「見当識障害」という病名があるようです。住所・電話番号・帰りの道順・PCのパスワードくらい書いたメモは持っていた方がいいみたいです。私は「言葉が話せません、救急車を呼んでください」というメモはいつも持ち歩いています。

1)山本裕康教授のすべらない話Vol,8【春休み特大号】
https://www.youtube.com/watch?v=ivGfK50SfaE 

山本裕康教授のすべらない話・増刊号
https://www.youtube.com/watch?v=DnvsqRp7Seo&t=822s

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2025年4月10日 (木)

ベティがオスをつれてやってきた

ベティはしばらく繁殖でうちを離れるのかと思っていましたが、来なかったのは数日間だけでまた現れました。

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と思ったら、なんと ♂ を連れてきました。私に紹介してくれたのね。

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イソヒヨドリらしく、パートナーとはいえある程度距離をとって行動するようです。

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向かいの建物の一番上のひさしの下にベティが降りていきました(↓)。

オス(♂)は周りをみています。

確認したわけではありませんが、ここに営巣するつもりなのかもしれません。

うーん ここはカラスにみつかって荒らされる危険があるかも・・・。

オスにもフィルという名前をつけてあげましょう。

 

 

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2025年4月 9日 (水)

World music collection 25: Tommy feburuary6 (Kawase Tomoko)

川瀬智子が思い出したように動画をリニューアルしてウェブにアップしたら、大変な人気になっているそうです。私は The brilliant green 時代から favorite だったので、ようやく世界に認められるような world wide な人気者になったんだと大納得です。

Tommy2

Tommya

Tommy feburuary6 以外に Tommy heavenly6 というプロジェクトもやっていますが、こちらの方は個人的に好みではないので下記にはありません。

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Tommy feburuary6

Bloomin’!
https://www.youtube.com/watch?v=u14KDsYeSxk 

?KISS? ONE MORE TIME
https://www.youtube.com/watch?v=LAwg7-vYYfE 

MaGic in youR Eyes
https://www.youtube.com/watch?v=y2R3do1J4jY 

EVERYDAY AT THE BUS STOP
https://www.youtube.com/watch?v=xY5yazcNpCI 

Love is forever
https://www.youtube.com/watch?v=QszNwa2DOYw 

je t'aime ★ je t'aime
https://www.youtube.com/watch?v=I4JrXQrvidw 

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the brilliant green -

(Previously she was a member of a band "The brilliant green")

Hello Another Way -それぞれの場所-
https://www.youtube.com/watch?v=uLvfxh7YZys 

There will be love there -愛のある場所-(SUPER TERRA2000)
https://www.youtube.com/watch?v=JHmP1rQ3eqY 

angel song -イヴの鐘-
https://www.youtube.com/watch?v=moAX32HsMy8 

長いため息のように
https://www.youtube.com/watch?v=5CAutqKGnM4 

Forever to me ~終わりなき悲しみ~
https://www.youtube.com/watch?v=T0JcS5uPJEo 

 

 

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2025年4月 6日 (日)

ATOKとの訣別

P7211794a

純丘曜彰氏の話(引用)
https://www.insightnow.jp/article/11507 

だが、じつは、ここのところ、それ以上の問題が生じている。たとえば、一太郎。多少の改善が進んでいることを期待して、なんとなく二年ごとくらいにはバージョンアップを当ててきたが、今回はやばい。カナ漢字変換のATOKがかってにサブスクになって、前のATOKが自動で消されてしまい、毎年、サブスク更新料を払わないといけなくなる。これは、実質的には一太郎のバージョンアップを毎年、強制されるのと同じ。

それも、良くなっているのならいいのだが、もの書きには使いにくくなる一方。スマホ向けなのか、ATOKが通俗化して、話し言葉、さらには方言や略語などが得意になったせいで、書き言葉、文語、単漢字が後に追いやられ、必要な漢字がすぐに出てこない。それどころか、差別語っぽいものは、辞書そのものから消されてしまっていて、ふつうの変換では出せない。一太郎も、やたら装飾だらけになっていくが、段組やレイアウト枠のリンクなどだらけだと、あいかわらず入力ごとに「応答無し」で待たされ、仕事にならない。

(引用終了)

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全くその通りです。ATOKはたくさんの専門用語を覚えさせて賢くなっていたのですが、なんとある日突然使えなくなってしまいました。ジャストシステムは唯一大手の日本土着ソフト企業として期待していたのですががっかりです。日本語入力システムについては、結局みんな米国の会社であるマイクロソフトが開発したプログラムを利用することになるなんて、あきれるしかありません。

私は日本国憲法を尊重し日本の法律を遵守するなら、いくら大勢の外国ルーツの人々が日本で生活しても結構だと思っていますが、トランプと同様日本人が使う日用品はなるべく日本で生産してほしいと思っていますし、日本で育った文化はそれなりに保存発展してほしいと思っています。ジャストシステムはパーソナルメディアを買収してOSを開発し、マイクロソフトを日本から駆逐するくらいのことをやってほしいと思っていましたが、今の状態だと没落一直線でしょう。

石破政権はトランプから日本がEUより高い関税をくらっても、報復関税すらやらないと公言しています。これははいったいどういうことなのでしょうか? 最初からカードを放棄するんじゃディールにもならないんじゃないの?

 

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2025年4月 5日 (土)

2025 北総の桜

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今年は長く寒い冬でしたが、ようやく桜の季節になりました。
昨年は全く咲かなかった近隣のしだれ桜の老木が、管理組合が手入れしたのでしょうか、見事に花をつけました。まだまだ頑張ってほしい。

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ソメイヨシノはまだ全体的には5~7分咲きですが、この木は満開に近いです。

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春の花は桜だけではありません。近隣の空地に咲く利休梅、本当に可憐で美しい花です。

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うちに毎日やってきていたベティちゃんも、ついに繁殖のための旅に出たようです。

がんばれとエールをおくりたい。子育てが終わったらまたおいで💕

 

 

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2025年4月 3日 (木)

続・生物学茶話265: 活動電位にまつわる話

生物が生まれた非常に初期のころから、外界と細胞との境界膜にNa・Kポンプは設置されていたと思われます。実際細菌や古細菌もこれを保有しています。このポンプは次のような反応を触媒します(1)。

3Na(in)+2K(out)+水1分子+ATP=3Na(out)+2K(in)+ADP+Pi

これはATP1分子と水1分子を消費して、ナトリウムイオン3つを細胞から放出し、同時にカリウムイオン2つを細胞に取り込むという意味です。この結果外界と細胞に電位差が発生し、それを使って糖・アミノ酸、リン酸などの栄養物質のとりこみ、様々なイオンの出し入れ、細胞のpHや体積の調節などが行われます(2)。Na・Kポンプはまさに細胞を電池化する革命的なアイテムでした。

神経細胞もこの電位差を使って作業することになりました。その作業の肝は活動電位の発生です。Na・Kポンプによって細胞内は常にNaイオンの濃度が外界より低く保たれているので、細胞膜に穴をあけるチャネル分子=電位依存性ナトリウムチャネル(3)があれば細胞膜からNaイオンが細胞内に流入し、電流を発生させることができます(4、図265-1)。

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図265-1 活動電位(アクションポテンシャル)

図265-1は高校の教科書などにでてくるアクションポテンシャル(活動電位)のグラフです。このグラフを見ているといろいろ疑問がわいてきます。まずその活動電位を発生させるためのチャネル=電位依存性ナトリウムチャネルの最初の活動は誰が指示しているのでしょうか? 隣のチャネルが活動すればナトリウムが細胞内に流れ込みそれが刺激となってチャネルが開き、それがまた隣に伝搬するわけですが最初はどうなのでしょう。 

通常軸索末端のシナプスから放出された神経伝達物質はシナプス後細胞表層のレセプターと結合して情報は伝達されます。レセプターがリガンド依存性イオンチャネルであった場合、リガンドが結合することによってチャネルが開き、イオンが細胞内に流入します(5、図265-2)。代表的なリガンド依存性イオンチャネルの例として、ニコチン性アセチルコリン受容体などがあげられます(6)。この受容体がリガンドと結合しナトリウムイオンが流入した結果、一定の閾値に達すると電位依存性ナトリウムチャネルが開いてアクションポテンシャルが発生するというわけです。

しかし実際にはそれほど単純ではなく、リガンド依存性チャネルの分布なども影響して、まだ知られていないメカニズムも関与しているようです。脳科学辞典の「閾値」という項目をみると「樹状突起の比較的近い部位の興奮性シナプスが一定数以上同時に活性化すると、各々による脱分極の線形和を越えた脱分極が起こり、それが細胞体に伝わる」という報告がとりあげられています(7、8)。シナプスには抑制性のものもあるので、それぞれの数やクラスター化の程度、軸索起始部との距離など複数のパラメータが関与してアクションポテンシャルの起動が決定されるものと想像できます。

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図265-2 リガンド依存性イオンチャネル 実際に通過するのはカチオン

リガンド結合型チャネルのはたらきによってナトリウムイオンが流入し、ある程度神経細胞の電位が上昇すると、電位依存型のチャネルが開口し、さらにナトリウムイオンが流入してアクションポテンシャルが発生します。リガンド結合型チャネルによるナトリウムイオンの流入は加算的である―すなわちリガンドが結合したチャネルだけが開口し二つ開口すれば流入量が2倍になるという様式なのに対して、ナトリウムイオンの細胞内濃度が閾値を超えるとそれを感知した電位依存型チャネルは原則的にはすべてが一気に開口しアクションポテンシャルを発生させます(図265-3)。

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図265-3 シナプスにおける情報伝達から活動電位発生まで

しかしここでひとつ不思議なことがあります。活動電位(アクションポテンシャル)が発生すると細胞内のナトリウムイオン濃度が爆上がりするので、電位依存型チャネルは開きっぱなしになってしまい、電位を生理的レベルに落とすことができなくなるのではないかと思うのですが、実際にはそんなことはありません。なぜなのでしょうか?

図265-4は故意に膜電位を50mⅤに維持して電位依存型ナトリウムチャネルが開放したままになるかどうか試した実験ですが、そうはならないことがわかりました(9)。電位依存型ナトリウムチャネルが開口するのはわずか10mSという短い時間だけで、すぐ自動的に閉じてしまうのです(図265-4)。この閉じたチャネルのコンフォメーションは膜電位が生理的レベルだった最初とは違った状態(不活化状態)なのですが、ナトリウムイオンが通過できないことに変わりはありません。膜電位を正常レベルに戻すとコンフォメーションも元に戻ります。つまり膜電位が上昇したときの本来のコンフォメーションは不活化状態に相当するものであり、ナトリウムイオンが通過できるのは途中の遷移段階に相当する間だけということです(図265-4)。

一方電位依存型カリウムチャネルは、ナトリウムチャネルが電位変化に素早く反応して開口するのに対して、開口まで10mS前後の時間がかかります。なので活動電位の発生を妨害することはありません。このカリウムチャネルは電位が高い間は開きっぱなしで、電位が生理的レベルに下がれば閉じるというシンプルなメカニズムで活動します。つまりナトリウムチャネルの特殊な活動と、カリウムチャネルのシンプルな活動の組み合わせによってアクションポテンシャルが発生するわけです。

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図265-4 電位依存型ナトリウムチャネルと電位依存型カリウムチャネルの作動様式

電位依存型ナトリウムチャネルのメインサブユニットはαでそれを2次元に広げた模式図が図265-5です(10)。他のサブユニットがない状態でも電位依存型ナトリウムチャネルとして機能します。前記したようにこのチャネルは膜電位が上昇すると自動的にチャネルを閉じますが、それはウィキペディアを引用すると、「ナトリウムチャネルは不活性化ゲート(inactivation gate)を閉じることで自身を不活性化する。不活性化ゲートは、αサブユニットのドメインIIIとIVをつなぐ細胞内の領域が「プラグ」のように機能することで開閉が行われていると考えられている。不活性化ゲートが閉じるとNa+の流れが止まり、膜電位の上昇は止まってチャネルは不活性化状態となる」(10)ということです。図265-5のIの部分が不活性化に関与する領域です(11)。

詳しくは不活性化はⅢ-Ⅳリンカー領域中に存在する疎水性アミノ酸配列 Ile-Phe-Met (IFMモチーフ)が IFM モチーフのレセプターである2つのリンカー(ドメインⅢのセグメント4とセグメント5を結ぶリンカー(ⅢS4-S5)及びドメインⅣのセグメント4とセグメント5を結ぶリンカー(ⅣS4-S5)と疎水性相互作用すること
により生ずると考えられているそうです(12)。

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図265-5 電位依存型ナトリウムチャネルαサブユニットの模式図

不活性化を含む電位依存型ナトリウムチャネルの立体構造に関する最新のデータについては参照文献13をご覧ください。

 

参照文献

1)ウィキペディア:Na+/K+-ATPアーゼ
https://ja.wikipedia.org/wiki/Na%2B/K%2B-ATP%E3%82%A2%E3%83%BC%E3%82%BC

2)上野晋、泉太、川村越 ナトリウムポンプの構造と機能―βサブユニットの役割―
膜 (MEMBRANE), 20 (2), 115-125 (1995)
https://www.jstage.jst.go.jp/article/membrane1976/20/2/20_2_115/_pdf/-char/ja

3)続・生物学茶話190: 電位依存性ナトリウムチャネル
https://morph.way-nifty.com/grey/2022/09/post-b7024f.html

4)やぶにらみ生物論118: 活動電位
https://morph.way-nifty.com/grey/2018/12/post-cf21.html

5)Wikipedia: Ligand-gated ion channel
https://en.wikipedia.org/wiki/Ligand-gated_ion_channel#:~:text=Ligand%2Dgated%20ion%20channels%20(LICs,a%20ligand)%2C%20such%20as%20a%E8%84%B3%E7%A7%91%E5%AD%A6%E8%BE%9E%E5%85%B8%E3%80%80:%E9%96%BE%E5%80%A4

6)続・生物学茶話135: アセチルコリンによる情報伝達
https://morph.way-nifty.com/grey/2021/03/post-5df6c6.html

7)脳科学辞典:閾値
https://bsd.neuroinf.jp/wiki/%E9%96%BE%E5%80%A4

8)Schiller, J., Major, G., Koester, H.J., & Schiller, Y. , NMDA spikes in basal dendrites of cortical pyramidal neurons. Nature, 404(6775), pp.285-289 (2000)

9)岡良隆 基礎から学ぶ神経生物学 オーム社 (2012) p.56

10)ウィキペディア:ナトリウムチャネル
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%8A%E3%83%88%E3%83%AA%E3%82%A6%E3%83%A0%E3%83%81%E3%83%A3%E3%83%8D%E3%83%AB

11)上坂伸宏 電位依存性Na+チャネルの生理機能と構造
膜(MEBRANE), vol.20(6), pp.398-405(1995)
https://www.jstage.jst.go.jp/article/membrane1976/20/6/20_6_398/_pdf/-char/ja

12)宮本和英 ナトリウムチャネルの不活性化ゲート関連ペプチドの立体構造
YAKUGAKU ZASSHI vol.122(12) pp.1123―1131 (2002)
https://www.jstage.jst.go.jp/article/yakushi/122/12/122_12_1123/_pdf

13)Daohua Jiang, Jiangtao Zhang and Zhanyi Xia, Structural advances in voltage-gated sodium channels., Frontiers in Pharmacology., 13:908867. doi: 10.3389/fphar.2022.908867. (2022)
https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC9204039/

 

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2025年3月31日 (月)

ベティ(イソヒヨドリ)の動向

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ヒヨドリは桜の花が大好物なので、この時期になるとうちのベランダには来なくなるのですが、イソヒヨドリのベティちゃんは相変わらず巡回コースのひとつにしているようです。メスはずっとこのような生活をしていて、船乗りの女房のようにオスが1年に一度帰ってくるのを待っているのでしょうか? そろそろ繁殖期ですが、抱卵するときにはオスはメスに食物を運ぶのでしょうか?

大阪市自然史博物館によると、以前はイソヒヨドリの繁殖は海岸に近い場所に限られていたそうですが、最近では内陸でも繁殖しているようです(1)。ただ団地の中に繁殖に適した場所があるかどうか心配になります。

1)https://www.omnh.jp/wada/Breed/Monticola.html

 

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2025年3月28日 (金)

ウィンドウズ11へのアップグレード windows 11 upgrade TPM2.0の有効化

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今年の秋にはウィンドウズ10のサポートが終了するということで、非常にやりたくないのですが11へのアップグレードをやらざるを得ません。私のPCはTPM2.0が搭載されていることはわかっていましたが、テストではアップグレードできないということで、これが disable の状態になっていると思われます。これを enable の状態にするにはBIOSをいじらなくてはいけません。これをしくじると再起動不可になるおそれがあるので、非常にやりたくないのですが、勇をふるってやってみることにしました。

まず一般的な要件を確認

一般的な要件
https://www.iodata.jp/column/storage/058/index.htm 

これはOK

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TPM2.0を有効化すればウィンドウズ11にアップグレイドが可能な機種の場合
下記のサイトにやり方がアップされています

TPM2.0を有効にする手順について
こちら 

・インテル Coreシリーズ8000番台以降
  (Core i7-8700Kなど8000番台以上の数字が付くシリーズ)
・AMD Ryzenシリーズ2000番台以降
  (Ryzen 7 2700など2000番台以上の数字が付くシリーズ)
に適用できます

私のPCのCPUはインテルCoreシリーズの8000番台なのでこれもOK

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PC起動直後にDEL連打あるいはメーカー指定の方法でBIOS画面を表示させ
上記のサイトで指定されている方法でBIOSを書き換えます。

マザーボードとCPUの組み合わせでBIOSの書き換え方が異なります。
マザーボードはASUS,ASRock、MSIの3種類、CPUはインテルかAMDの2種類
なので3x2=6種類のBIOSがあり、それぞれTPM2.0有効化の方法は違います。

わかっていれば問題ないのですが、わからなくても表示されるボタンをみて
上記のパソコンショップ-セブンのサイトと照合すれば6種類のうちどれなのかはわかります。

私の場合は ASRock製マザーボード+インテルCPUだったので
Security → intel(R) Platform Trust Technology を Enabled に変更
→ Exit → Save and Exit で終了しました。
ただし最初にページがadvanced mode になっているかどうか確認します(最初のページの右上隅)

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準備が整ったので、マイクロソフトのウィンドウズ11ダウンロードサイトから11をダウンロードし、インストールしようとしたのですが、90%以上進行したところでインスト―ル不可のエラーメッセージが出て終了。

しかたなく、これも非常にやりたくなかったのですがセキュリティーソフトをアンインストールして、再度マイクロソフトのサイトからダウンロードしやっと成功しました。そしてセキュリティーソフトを再インストール。

結局5時間くらいの長い時間を要して、個人的にはむしろ好ましくないウィンドウズ11にアップグレードしました。

やれやれ

 

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2025年3月27日 (木)

Walk down the memory lane 16: Mina

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ミーナは私を客観的に見ることは無かったと思います。それは猫としてはとてもめずらしいことでしょう。犬に近い関係かもしれませんが、ミーナは私の部下という感覚はないのでそれもちょっと違うかもしれません。多分ミーナにとって私は母親だったのでしょう。

昔イタリアにミーナというシンガーがいました。ご存じの方は少ないかもしれませんが、ウィキペディアを引用すると・・・日本では森山加代子、ザ・ピーナッツらによって「Tintarella di luna」が「月影のナポリ」として、弘田三枝子、伊東ゆかり、ザ・ピーナッツ、矢沢永吉、桑田佳祐らにより「Un Buco Nella Sabbia」が「砂に消えた涙」として、園まり、コレット・テンピア楽団らにより「Eclisse Twist」が「太陽はひとりぼっち」としてカヴァーされている・・・ということで、それぞれの日本歌手のファンの方はご存じかもしれません。1940年生まれで存命だそうです。日本語で歌っている曲も聴いたことがあります。

当時 イタリアのサンレモ音楽祭は日本でも盛り上がっていて、たくさんのヒット曲を生みました。米国や日本のシンガーも多数参加していました。

Nessuno (英語では none という意味) 日本語にはない言葉
https://www.youtube.com/watch?v=4nHEqcRjVm8 

Amor mio 私の愛
https://www.youtube.com/watch?v=26AL1MimpsE 

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Tintarella Di Luna 月影のナポリ

オリジナル
https://www.youtube.com/watch?v=ccK1FifbczE 

森山加代子
https://www.youtube.com/watch?v=iWH6PCE02S8 

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Un Buco Nella Sabbia 砂に消えた涙

オリジナル
https://www.youtube.com/watch?v=3MqjsF6VRvk 

弘田三枝子
https://www.youtube.com/watch?v=BspPgnu39bk 

竹内まりや & 南こうせつ
https://www.youtube.com/watch?v=w9PXoBS-R10 

na Relo
https://www.youtube.com/watch?v=W37E-sR6JME

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wikipedia: ミーナ・マッツィーニ

こちら

 

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2025年3月24日 (月)

Walk down the memory lane 15: サイモンとガーファンクル 「水曜の朝、午前3時」

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Simon and Garfunkel
Wednesday Morning 3 AM (Live)

https://www.youtube.com/watch?v=PHiDVTk_8FY
https://www.youtube.com/watch?v=Mx-DPwKHbJw 

日本語訳

https://www.youtube.com/watch?v=A8cKMMpaQwM

サイモンとガーファンクルは1964~1970年に活躍したデュオですが、現在でもとても大勢の方々がカバーして Youtube などにアップしています。「Wednesday Morning 3 AM」は彼らのデビュー曲ですが、多くの人に愛されているとはいえ、サウンドオブサイレンス、明日にかける橋などにくらべると、それほど有名ではありません。なにしろさっき強盗してきた男の歌ですから。

サイモンとガーファンクルはやわらかくソフィスティケートされた美しいハーモニーで歌っていますが、ワイルドなブルーグラス風のアレンジで歌っている人たちもいて、歌詞の内容からしてそれもありだなと思います。

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ふたりで

Wednesday Morning, 3 A.M. 
Erik Benjaminsson
https://www.youtube.com/watch?v=z3fB5pmS8QQ 

Wednesday Morning, 3 A.M.
Bookends Minack Theatre
https://www.youtube.com/watch?v=oC07huLOpJY

Wednesday Morning, 3 A.M.
Moon Rambler & Johnny Parker
https://www.youtube.com/watch?v=orMXpL5Yjc4

Wednesday Morning, 3 A.M.
Agnes Eriksson Felicia Bellstrom
https://www.youtube.com/watch?v=dGv5oYYgpVs

Wednesday Morning, 3 A.M.
Jake and Dana Rohlfs
https://www.youtube.com/watch?v=lJak0I3l5S4

Wednesday Morning, 3 A.M.
Charlie Miller and Haley Seda
https://www.youtube.com/watch?v=pRwezV0xaXU

Wednesday Morning, 3 A.M.
Amelia Street
https://www.youtube.com/watch?v=4vt6J6lekJE

Wednesday Morning, 3 A.M.
Casey Wickstrom and Taylor Rae
https://www.youtube.com/watch?v=tQQ1y7A_Scg

Wednesday Morning, 3 A.M.
Anabela and Pedro Flynn
https://www.youtube.com/watch?v=RVBvolFt48A

Wednesday Morning, 3 A.M.
checkpoint:soul
https://www.youtube.com/watch?v=R_TALA62ha8

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ひとり二役

Wednesday Morning, 3 A.M.
Laura Currie
https://www.youtube.com/watch?v=MEzN9EVZypQ

Wednesday Morning, 3 A.M.
Jon Michael Swift
https://www.youtube.com/watch?v=sSZmYpvXFfA

Wednesday Morning, 3 A.M.
Yan Yansen
https://www.youtube.com/watch?v=N6P4yFcJRUc

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ひとりで

Wednesday Morning, 3 A.M.
Ivo Penders
https://www.youtube.com/watch?v=ogBimw4J8LM

Wednesday Morning, 3 A.M. *
an imaginary boy
https://www.youtube.com/watch?v=NgssQI4uEeg 

Wednesday Morning, 3 A.M.
Andrew Poirier
https://www.youtube.com/watch?v=81stlI7nM5k

Wednesday Morning, 3 A.M.
Scott Penick
https://www.youtube.com/watch?v=_WFc2aHcXJo

*I think it's nice

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Extra

April come she will 
Clémentine Dubost
https://www.youtube.com/watch?v=65e4ar1Rgtc 

April come she will
Chris Ulep
https://www.youtube.com/watch?v=c8dx4eLEc54

Kathy's song (Paul Simon)
Clémentine Dubost
https://www.youtube.com/watch?v=ONnpqVV1qc4 

 

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2025年3月22日 (土)

私の不思議ノート 3: 季節の異常

私の異常ではありませんが、地球の異常というのも困ります。地球が温暖化しているという説に異論はありませんが、なぜ北極が極端に温暖化しているのかがわかりません。しかも日本の冬は寒冷化しています。これもなぜだかわかりません。寒い冬がことさら嫌いな私のような人間はどうすればよいのでしょうか?

今年の冬ははじめての経験がかなりありました。ひとつはこんなこともあろうかと買っておいた湯たんぽを初めて使用。使いだすと手放せなくなりました。耳とボブテイルだけがついているシンプルなものです。この中身の充電ゲルを発明した人に感謝。

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このほか薄手のキルティングブルゾンを就寝専用として着て寝るというというのもはじめてでしたが、おかげで寒くて眠れない日はありませんでした。また夜に暖房器具は使わなくて済みました。とはいってもこんなにコンベクターを使ったのもはじめてです。もう20年位使っていますが故障はしません。ただコネクターは非常に脆弱で着脱には覚悟がいります。とても気まぐれで暖かい時もあれば、寒いのにいっこうに動かなくて忘れた頃に起動したりします。スイッチオン後、忘れたころに起動するのは新品の頃からです。

冬の間(昨日まで)、ヒヨドリやイソヒヨドリはベランダに来てよくパンくずを食べたり、物干しに留まって景色を眺めたり、仲良かったり悪かったりいろいろありましたが、そろそろモードが変わって行動範囲を拡大し、あまりベランダには来なくなる季節が近づいています。イソヒヨドリのオスは常にひとりで放浪しているそうですが、春にはまた数日間団地を訪問してくれるでしょうか?

 

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2025年3月20日 (木)

東京シティフィル演奏会(指揮高関xソリスト阪田)@ティアラ江東 

東京シティフィルはリハーサルを一部開放しているので、雷鳴と雪のなか昨日出かけた人もおられたそうで、彼らは本物のファンだと思います。本日は穏やかな天気で、久しぶりの住吉駅はA4のエスカレーターもピカピカの新品となって復活していてうれしい。途中に草野球場があって、そこのベンチでおにぎりを食べていると、カラスが一生懸命鳩を追っ払っていました、鳩は数が多いのでうざいのだと思います。お疲れさんと声をかけてティアラへ。

会場は今日も★完売★で盛り上がっています。

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高関さんはプレトークでベートーヴェン「皇帝協奏曲」は幸福感が肝だというお話をされて、まあそういわれるとソリストの名人阪田も心得ましたということで、そういう音楽をサラっとできてしまうのが名人たる所以です。特に第2楽章など柔らかいタッチでマシュマロみたいな演奏を聴かせてくれました。そしてさらにフルートの多久和さんが実に柔らかい音色でサポート。フルートでこんな音が出せるんだと驚きました。万雷の拍手で阪田さんのソリストアンコールもあり(ラフマニノフ)。

休憩後のくるみ割り人形がこれまた素晴らしい演奏。マエストロ高関の秘密のひとつはリズム感覚だと思います。たとえば「花のワルツ」で彼の手はぐるぐると円運動をするんです。これはブンチャッチャにならないように配慮しているのだと思います。チェレスタやハープも含めて、すべての楽器が生き生きと音を出していて大変感動しました。

終演後、外に出るとオケトラが待機していました。

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>斎藤健太君 奥様のお顔が欠けている写真をXにアップしてはいけません

 

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2025年3月18日 (火)

続・生物学茶話264:マウス脳のアトラス

私たちは左右相称動物ですが、ひとつしかない臓器もあります。代表的なのは消化管・消化管から派生した臓器・心臓・膀胱・ペニス・膣です。消化管は左右相称動物に進化する前からひとつだったと思われますが、それ以外はよくわかりません。では脳はどうでしょうか? 実はほとんど2つあると言っていいと思います。たとえば一つの出来事について記憶はひとつで良いのですが、海馬はきっちり2つあります。尾状核・被殻・淡蒼球・偏桃体・視床なども2つあります。大脳や小脳も構造を見ると実質2つあるといっていいと思います。大脳は脳梁、小脳は虫部という組織で左右がつながっている構造になっています。脳が2つあるという構造は魚類でも円口類でもはっきりしていて、さらに昆虫でも同様です。左右相称動物進化の最初期から脳があったわけではないので、なぜだかわかりませんが、この種の動物の行動様式にかかわる必然つまり収斂の結果かと思われます。

ですから脳の前後垂直断面(sagittal section)を正中線で制作すると、ほとんど空洞で主要なパーツはないということになります(図264-1、点線)。しかし困ったことに脳にはひとつしかないパーツ、たとえば脳下垂体、松果体、第3脳室などもあって、これらはすべて当然というか不都合というか真ん中にあります。このような問題があるので、説明用の脳の断面は一部パーツをずらして編集する必要があります。でなければ数枚の断面を表示しないといけません。

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図264-1 脳水平断面の正中線付近はほとんど空洞(リンパ液)

そういうわけで図264-2などは、実際とは少しずれがあるかもしれません。これはマウスの脳ですが、同じ哺乳類なのにヒトとは著しく見た目に違いがあります。しかし短い進化の期間に著しい変化も可能というのが脳という臓器の特性なのです。たとえば Gnothonemus petersii という魚は脳の体積の半分以上を小脳が占めるという、通常の魚類とはかけ離れた形態の脳を持っています(1)。一見して違うのはマウスの場合嗅覚に関係した部分が大きいことです。これはヒトの嗅覚受容体遺伝子が400種くらいなのに対して、マウスの遺伝子は1130種もあるということで(2)、においをかぐことに関してはマウスの方が圧倒的に優れていて、脳でも嗅覚関連領域が大きな部分を占めています。そのかわりヒトでは大脳皮質が巨大になっています。

嗅覚は得意ではないジャンルだといってもヒトにも嗅球が小さいながらも存在しますし、図264-2に示したすべてのマウス脳のパーツはヒトの脳にもあるので、サイズ(量)という点を除けば、それほど質的にはフレキシブルではないとも言えます。魚類の脳も延髄・橋・小脳・中脳・間脳・終脳で構成されており、嗅葉・海馬・偏桃体・大脳辺縁系も存在することがわかっていて(3)、脊椎動物の始まりの頃に主要な構成は完成されていて、あとはどのパーツが強化されたり、弱体化したりというバラエティーが生じたに過ぎないという考え方もできます。とりあえず脳は「嗅球・大脳皮質・脳梁・基底核群・海馬・視床・視床下部・中脳・小脳・橋・延髄」という11のパーツ(図264-2)に分けることができます。

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図264-2 マウス脳の垂直断面(sagittal section)

マイクロソフトの設立者のひとりでもあるポール・アレンは、2003年に1億ドルを寄付してシアトルにアレン脳科学研究所を設立し、マウスや人間の脳の切片画像を集めたアレン脳地図(Allen Brain Atlas)を制作して無料で公開しています(4)。これによって世界の脳科学者はとてつもない恩恵を受けています。

アレン脳地図は無数の切片にひとつひとつキャプションをつけた膨大なものですが、その1枚に日本語を付けたマウス脳のひとつの縦断面を図264-3に示します。ヒトの脳アトラスでは、あまりにも新皮質(大脳皮質)が巨大なために気づかないのですが、マウスのアトラス、たとえば図264-3をみると尾状核被殻・側坐核・淡蒼球・嗅結節が大きな存在感を示しています。またここでは一部しか見えていませんが、線条体も実は大きなスペースを占めています。これらの大脳基底核群はハウスキーピングな脳の機能にかかわるだけでなく、高度な機能を付加する上で重要な役割を果たしていると思われます。

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図264-3 アレンの脳アトラス(マウス脳のひとつの垂直断面)

図264-4は嗅葉から小脳にかけて少し斜め上に切った切片の模式図です。なので側坐核とか視床下部は見えていません。マウスの脳の中心が視床と中脳であることがよくわかります。また脳全体のサイズに比べて小脳のサイズが大きいことがわかります。彼らは豊かな嗅覚と優れた運動能力を武器にして生きているのでしょう。脳のどの部分が発達しているかによって、動物はそれぞれの世界観や生き方・感じ方が全く異なります。ジャネット・ジョーンズは「脳の仕組みを理解すれば、馬が思い通りに動いてくれないのも、まるで自分の心を察しているかのように動いてくれるのも、すべて脳の原則通りなのだと実感できるでしょう」と述べています(5)。

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図264-4 マウス脳の水平断面(模式図)

脳科学において核というのは中枢神経系における神経細胞の集合体を指します。図264-5はアレンのマウス脳地図(6)の1断面から視床をとりあげて、各部位の名前を付けた図ですが、ここで困るのは多くが背腹・前後・外内に「側」という接尾語をつけて名付けられていることです。どの順番になるかはわかりませんし、側をつけない場合もあります。すなわち順不同ということで、それぞれの教科書や文献によって名前がバラバラで略号も統一されていません。学術用語がこんなにいい加減なのは珍しいことです。その場その場で文献の定義にしたがって判断するしかありません。また図263-5についていえば、これは1断面なので見えていない部分もあります。

視床は感覚器官・大脳基底核・大脳皮質などをつなぐ中継部位であり、脳が高度の機能を持つにしたがってその配電盤としての機能は複雑になり重要さは増すことになります。視床各部位の機能は種によっても大きく異なります。たとえば前頭前野を持たない馬のような生物では前頭前野へ投射する、および前頭前野から投射する部位は無いはずです。

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図264-5 アレンのマウス脳アトラスから視床付近の垂直断面

ヒトの脳は言語・科学・芸術を行う上で圧倒的に秀でていますが(残念ながら政治を行うにはまだまだです)、道を歩いていて周りに何があるかには鈍感で気が付かないことが多いですし(5)、嗅覚は貧弱、身体能力も貧弱、視野は前方のみ、磁場感覚もありません(多くの哺乳類も磁場感覚を持っていることが分かっています、7)。ジャネット・ジョーンズによると、ヒトは道を歩くときその目的にとらわれて、周囲に何があるか見逃すことが多いそうですが、私もその経験があります。笛吹川の東沢を歩いて西沢渓谷へ行く道を探していたところ、はっと気が付くと周りで多数のマムシが河原の石の上で休んでいました。噛みつかれたら死んでいたかもしれません。これが人間の脳の弱点の一つです。

動物はそれぞれ特徴のある脳を持っていて、それぞれの感覚でそれぞれの脳世界で生きています。それをよく理解しながら共存していく道をさぐるのも科学そして政治の役割だと思います。

参照

1)続・生物学茶話214: 弱電魚の小脳
https://morph.way-nifty.com/grey/2023/06/post-2c8c8e.html

2)生命科学DOKIDOKI研究室 第13話 味覚の進化を探る
https://www.terumozaidan.or.jp/labo/manga/13/report.html

3)m's Academe 魚の脳
http://m-ac.jp/living_being/animal/chordates/vertebrates/fish/brain/index_j.phtml

4)ALLEN BRAIN MAP Accelerating progress toward understanding the brain.
https://portal.brain-map.org/#

5)島田明宏 熱視線 馬と人間の脳の違いが面白い
https://news.sp.netkeiba.com/?pid=column_view&cid=50756

6)ALLEN BRAIN MAP
https://atlas.brain-map.org/atlas?atlas=2#atlas=2&structure=596&resolution=9.31&x=7767.999945746527&y=4023.9999728732637&zoom=-3&plate=100883869

7)「渡り鳥」の磁場感覚、哺乳類にも存在すると判明
https://wired.jp/2016/02/26/magnetic-field-perception-dog-eyes/

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2025年3月16日 (日)

Erratum: ベティはひよどりじゃなかった

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毎日ベランダに遊びに来てくれるベティですが、専門家に訊いてみると、どうもヒヨドリじゃなくてイソヒヨドリのメスらしいことがわかりました。すみません。お詫びして訂正します。

ここからは言い訳なんですが、なにしろ永年にわたってヒヨドリ(ジョージI世、Ⅱ世、Ⅲ世)がきてくれていたので、つい確認をおこたったわけです。それでもどうも変だなと思っていたんですが、友人が上記のように指摘してくれました。

イソヒヨドリは単独行動でつがいも距離をとるそうですが、オスと一緒にいるのをみたことがありません。オスは大変美しい「幸せの青い鳥」で(*)、つがいで行動していれば一発でわかるのですが・・・。

ベティはヒヨドリたちと、つかず離れずで行動しているようです。キャラ的にはヒヨドリを陽性とすると、イソヒヨドリはつつましくひそやかな陰性の鳥のようです。

*渋めのダージリンはいかが 幸せの青い鳥が団地を訪問
https://morph.way-nifty.com/grey/2024/03/post-74fad0.html


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2025年3月13日 (木)

私の不思議ノート 2: 配電盤と幻聴

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昨夜 夜中に起きて廊下を歩いたときに、久しぶりに電話のベルの幻聴がありました。

実は昨年の6月から12月まで、配電盤の下を通ると、必ずと言っていいくらい電話のベルの音が聞こえていたのです。これは意識して「鳴るぞ鳴るぞ」と身構えて通過すると聞こえません。無意識に通過したときだけ聞こえます。幻聴というのはありふれた病気ですが(1)、あることを契機として聞こえる、まして電磁波の影響でおこるというのはそうはないでしょう。ただ今年になってからはすっかり聞こえなくなり、昨夜めずらしく再現したというわけです。

自分自身が実験動物となって、人間にもテレパシーの能力があることを証明したようなものです。ある種の魚類にテレパシーの能力があることは、最初に東京医科歯科大学の研究者たちが報告し(2)、その後多くの研究者によってメカニズムも解析されて、広く認められています(3)。

ストレスを強く感じているときにはこの能力が高進し、軽減されると失われるというのは、大脳基底核や扁桃体が何らかのメカニズムで配電盤からの電磁波を感知して活性化されるものと思われますが、もちろんメカニズムはわかりません。

1)精神科医が解説!幻聴の正体と対処法
https://www.toyoda-clinic.jp/columns/auditory-hallucination/ 

2)Akira Watanabe and Kimihisa Takeda, The change of discharge frequency by A.C. stimulus in a weak electric fish., J. Exp. Biol., vol.40, pp.57-66 (1963)
https://doi.org/10.1242/jeb.40.1.57.
https://journals.biologists.com/jeb/article/40/1/57/20904/The-Change-of-Discharge-Frequency-by-A-C-Stimulus 

3)続・生物学茶話214: 弱電魚の小脳
https://morph.way-nifty.com/grey/2023/06/post-2c8c8e.html 

 

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2025年3月11日 (火)

感想戦 3月11日のマーラー

昨日NHK 「感想戦 3月11日のマーラー」(1)を見て、あの日々のことがまざまざと蘇りました。それにしても新日本フィルが、当日演奏された ダニエル・ハーディング指揮 新日本フィルハーモニー交響楽団演奏 グスタフ・マーラー交響曲第5番の映像や音声を持っていることを知って驚きました。発売してくれというのは不謹慎なのでしょうか? この番組を放映したのであれば、NHKが買い取って発売することも可能なのではないかと思います。どんなに熟練した演奏者でも2度とできない演奏に違いありません。

当日私がいた建物は屋上にあった消火用の水槽が壊れて洪水になり、滝のように水が流れる中を、私は止まったエスカレーターを使って3Fから降りてきました。地上ではヘアーサロンのお客さんたちがエプロンをかけたまま外にでてきていました。

翌朝イオンに行ってみると、棚にはなにもありませんでした。この時のショックは今でも忘れません。

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ペット用の食料もなかったので、やむなく関西に疎開させることにしましたが、スタンドがすごいことになっていてとてもガソリンを補給できるような状況ではありません。幸い足柄くらいまではいけるんじゃないかという量はあったので出発したのですが、予定通り東京を出るとガソリンも補給可能でなんとか関西にたどり着きました。神戸はどこのホテルも満員でしたが、幸い実家があったので疎開できました。私はどうしてもやらなければならない仕事があったので新幹線でもどりましたが、疎開する列車が満員なのにたいして、東京行の列車はほとんど誰も乗っていないのには驚きました。

当時メルトダウンなんてあり得ないなどとテレビ言っていた原発専門家たちがその後も生き残り、今また原発が国家の基幹エネルギーソースになろうとしているのは、なんという怠慢なのでしょうか。今の数十倍くらいマグマ発電に注力すべきだと思います。原発をやっていると、常に冷やしておかないといけない使用済み核燃料が全国にどんどん積み上げられ、これを捨てる場所もありません。どんなに防衛力を増強しても、超音速ミサイルで原発を破壊されたら、核兵器なんて使わなくても数分で日本に住める場所はなくなります。

1)https://www.nhk.jp/p/ts/EJZ4WJP433/

参照 ダニエル・ハーディングと3.11
渋めのダージリンはいかが 3月11日のマーラー
https://morph.way-nifty.com/grey/2012/03/post-55fe.html

Daniel Harding, Winner Philharmoniker
Mahler Symphony no.5
https://www.youtube.com/watch?v=HZjFSUYZSlI

 

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2025年3月 9日 (日)

ヴェルディ・レクイエム@初台オペラシティ by 高関・東京シティフィル 

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諸般の事情で免許を返上してから交通手段がコミュニティバスとなり(時刻表はまるで交通手段を提供していますよというアリバイつくりのようにまばら)、タクシーも土日と深夜はほとんどいないので、コンサート通いも特に酷寒の日ともなれば難行苦行になります。しかし東京シティフィルがベルディ・レクイエムを演奏するとなれば、久しぶりに重い腰を上げざるを得ません。

チケットはソールドアウトで開演前から初台オペラシティには熱気が充満していました。マエストロ高関は端正かつ力強い演奏を構築し、シティフィルコーアも見事に盛り上げてくれました。怒りの日のトランペット・バンダ隊は舞台後ろの閉鎖された客席左右に二人づつ。これは違和感ありましたね。やっぱり4人並ばないといけません。

ソリストの加納さんと青山さんはこのレクイエムにふさわしい名唱でしたが、ソプラノの中江さんとテノールの笛田さんはもう宗教音楽を逸脱した圧倒的な迫力でホール全体を支配していました。このふたりでブリュンヒルデとジークフリートを演じて「指輪」の日本人公演ができるんじゃないかと思いました。特に最後のリベラ・メは盛り上がりました。ブラボー高関&東京シティフィル。

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終演後

左端はコンマス荒井英治さん マエストロ高関の右は

青山さん(Br)、笛田さん(T)、加納さん(Ms)、中江さん(S) 

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指揮者アンコール

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中江早希さん(本人のXより)

 

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2025年3月 7日 (金)

続・生物学茶話263:半索動物の神経系

生物学でいう動物を大きく分けると、前口動物・後口動物・口と肛門の区別がない動物の3つのグループになります。ヒトは後口動物(新口動物ともいう)のグループにはいります(図263-1)。前口動物(旧口動物ともいう)のグループには万単位の種が存在する節足動物門をはじめとして非常に多くの門が所属しますが、後口動物に含まれるのは脊索動物・半索動物・棘皮動物の3つの門しかありません。これらの門がいつ分岐したかは先カンブリア時代のことなので謎のままです。

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図263-1 後口動物の系統樹

このなかでもギボシムシとナメクジウオはかなり後口動物共通祖先の特徴を残した動物と考えられています。特にギボシムシはヒトでいえば脊髄神経に相当する神経索が背側と腹側にあるという特殊な生物で、背側にある後口動物と腹側にある前口動物の中間に位置する特徴を持つという点で、後口動物と前口動物の分岐点となる生物に近いという可能性を感じさせます(1)。ただし半索動物と呼ばれる要因となった口盲管(ストモコード)は脊索と相同ではないという指摘もあります(2)。

ギボシムシの形態や臓器は田川が公開してくれているので図263-2にお借りしました(3)。最も近い棘皮動物門の生物とは大きく異なりますが、幼生(トルナリア)はかなり似ています。さらに軟体動物の幼生(トロコフォア)とも似ています(4)。棘皮動物は変態するときに五放射相称になるので、後口動物の本来の形とはかけ離れた形態となります。しかし2015年にギボシムシの全ゲノム配列が解明されて、形態的にはかけ離れているように見える棘皮動物と実は近縁であることが明らかになりました(5,6)。

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図263-2 ギボシムシの形態

ギボシムシに近いと思われる生物の化石がカンブリア紀の地層からみつかっています。その名前はユンナノゾーン(雲南の虫)。脊索動物の起源的動物という説もありますが、D.Shuらは半索動物としています(7)。そうではなかったにしてもギボシムシの祖先はカンブリア紀にも生きていたのでしょう。彼らはおそらく武器も防具も俊敏性も持たなかったので、吻という海底に穴を掘る道具を獲得して生き延びたのでしょう(図263-2)。

のどから袋状の口盲管(ストモコード)が伸びているのは半索動物の特徴ですが、これの機能は未知です。吻の主要な目的は穴を掘ることなので、強力な筋肉が存在します。さらに吻の内部にはヒトでいえば糸球体のような脈球があり、また心臓に相当する心胞があります。襟部には下に口があり、明らかに上下が識別できる左右相称動物です。口に続いて咽頭があり、ここから口盲管が吻にのびています。体幹部には中心に消化管があり、外から消化管につながる鰓裂があります。鰓裂があることが後口動物のアイデンティティーです。体幹にはその

ロペスらは主に in situ hybridization の手法を用いて神経マーカーの遺伝子発現を観察し、ギボシムシの神経系について詳しい調査を行いました(8)。まず汎神経マーカーの Elav の発現を3鰓裂期の幼生でみたところ、吻(proboscis)・襟(collar)・体幹(trunk) を通して背側中央に神経索があり、体幹には腹側にも神経索があることがわかりました(図263-3)。また吻の最後部皮膚近傍にはかなり神経細胞の密度が濃い領域がありました(図263-3 O、N)。

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図263-3 Elav marker によるギボシムシ神経の探索

次にカテコールアミン(ドーパミン、ノルアドレナリン、アドレナリン)のマーカーであるチロシンハイドロキシラーゼの発現をみると、吻の前部と最後部、襟の前部、体幹最前部に強い発現が見られます(図263-4B・B’)。この図は生体のものですが幼生でもほぼ同じです。特に襟の前部にあるリング状の発現は顕著で、この付近にカテコールアミン系の神経細胞が集中し、散在神経系から逸脱しつつある神経システムの存在を示しています。

私が特に目を見張ったのはヒスタミンのマーカーであるヒスチジンデカルボキシラーゼの局在で、非常に明快な局在が吻後部および腹部神経索にみられます(図263-4E’)。ヒスタミナージックなニューロンはヒトでは脳の乳頭体に局在し、脳のほとんどの部位に投射して強い影響力を持っています。また胃はヒスタミンによって胃酸分泌をうながされます(9)。私たちの神経機能とも何らかのつながりがあるかもしれません。

襟前部の中抜き△の染色をよく見るとダブルになっています。これで思い出すのはクラゲの傘の円環神経系です。なんらかのつながりがあるのでしょうか?

グルタミン酸デカルボキシラーゼはGABA系ニューロンのマーカーは幼生のステージが進むほどはっきりとした局在を示します。図263-4G’は3鰓裂期のステージですが、吻の最前部と最後部、襟の最前部に局在がみられます。また発現している細胞の数が少ないので見にくいですが背側神経索とのどの後部にも染色がみられます(図263-4G’)。

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図263-4 神経伝達物質マーカーの発現

ロペスらは神経ペプチドのマーカーについても調べています。その一部を図263-5で紹介します。汎マーカーであるPC2(prohormone convertase 2)やGPC(glutaminyl-peptide cyclotransferase)の発現が吻後部や襟前部にみられることは、神経伝達物質の分布とも考えあわせると、この領域がこの生物では神経によるコントロールセンターの役割を果たしていることを示唆しています(図263-5D’E’)。

さまざまな神経ペプチドが特異的な発現を示していることは、まだそれぞれの意味はわかりませんが興味深く感じられます。図263-5F’ のVLamide は、本文ではVIamide となっていて、どちらかがエラーだと思いますが、分布は非常に特異的で吻の特定の部域にしか発現していません。これはなにをやっているのでしょうか? 

Luqin は脊椎動物では失われた神経伝達物質ですが、ギボシムシでは立派に発現しています(図263-5G’)。NNFアミドは吻だけで発現しています。GnRH(ゴナドトロピン放出ホルモン)は背側神経索には全く発現が見られないにもかかわらず、腹側神経索では盛大に発現しているという興味深い特異性が観察されています(図263-5L)。

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図263-5 神経ペプチドの発現

これまで使ってきたマーカーよりさらに特異性が少ない汎用マーカーとして、シナプスによる伝達を行う細胞には必ずあるはずのシナプトタグミンのモノクローナル抗体を使った、3鰓裂期ギボシムシ免疫組織化学の結果が図263-6A~Eです。意外にも吻における神経細胞の密度が高いことがわかります。吻の内部では軸索が前に向かって伸び、辺縁部では外側に向かって伸びているように見えます。

図263-6Aとセロトニンの発現(図283-6、5HT)を比較すると、セロトニンは襟にダブルのリングそして体幹の最前部と腹側神経索の前半分に濃厚に発現することがわかります。腹側神経索と背側のセロトニン発現細胞は連結しています5HT-E。拡大図をご覧になりたい方は原著をみてください(8)。セロトニンは私たちの腸管蠕動運動にかかわっています。ギボシムシでも同じ機能があるとすればまさしく伝統の機能と言えます。ただ体幹の前半にだけ集中していることが気になりますが。

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図263-6 シナプトタグミン抗体を用いた全神経の可視化とセロトニン

ロペスらの研究結果を見て私が感じるのは、ギボシムシの祖先はカンブリア紀からはじまった弱肉強食の世界を「吻」という新機軸に大量の神経と筋肉を投入することによって土遁術を身に着け、海底砂泥の中で生活することによって生き延びて現在に至っているのだろうということです。脊索動物は泳ぐことに集中したのに対し、ギボシムシの祖先は這うという生き方を一度も捨てなかったため、腹部神経索が現在まで保存されているのでしょう。川島らは様々な生物のゲノムを比較した結果、後口動物の祖先はギボシムシのような生物だったとまで言っています(11)。

 

参照

1)続・生物学茶話162:半索動物における神経誘導
https://morph.way-nifty.com/grey/2021/10/post-d2946f.html

2)Noriyuki Satoh, Kunifumi Tagawa, Christopher J. Lowe, Jr-Kai Yu, Takeshi Kawashima, Hiroki Takahashi, Michio Ogasawara, Marc Kirschner, Kanako Hisata, Yi-Hsien Su, John Gerhart,On a possible evolutionary link of the stomochord of hemichordates to pharyngeal organs of chordates., Genesis vol.52, issue 12, pp.925-934 (2014)
https://doi.org/10.1002/dvg.22831
https://onlinelibrary.wiley.com/doi/full/10.1002/dvg.22831

3)田川訓史 ギボシムシ海砂泥地に潜む面白い新口動物群 Kagaku to Seibutsu vol.55(5): pp.308-310 (2017)
https://katosei.jsbba.or.jp/view_html.php?aid=782

4)ウィキペディア:プランクトスフェラ
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%97%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%82%AF%E3%83%88%E3%82%B9%E3%83%95%E3%82%A7%E3%83%A9

5)Oleg Simakov et al., Hemichordate genomes and deuterostome origins., Nature vol.527, pp.459-465 (2015)
https://www.nature.com/articles/nature16150

6)私たちの遠い祖先の謎が明らかに!
https://www.hiroshima-u.ac.jp/koho_press/press/2015/2015_083_2

7)Shu, D., Zhang, X. & Chen, L. Reinterpretation of Yunnanozoon as the earliest known hemichordate. Nature vol.380, pp.428-430 (1996).
https://doi.org/10.1038/380428a0
https://www.nature.com/articles/380428a0

8)Jose M. Andrade Lopez, Ariel M. Pani, Mike Wu, John Gerhart, Christopher
J. Lowe, Molecular characterization of nervous system organization in the hemichordate acorn worm Saccoglossus kowalevskii., PLoS Biol vol.21(9): e3002242. (2023)
https://doi.org/10.1371/journal.pbio.3002242
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/37725784/

9)脳科学辞典:ヒスタミン
https://bsd.neuroinf.jp/wiki/%E3%83%92%E3%82%B9%E3%82%BF%E3%83%9F%E3%83%B3

10) Luis Alfonso Yanez-Guerra and Maurice R. Elphick, Evolution and Comparative Physiology of Luqin-Type Neuropeptide Signaling., Front. Neurosci., vol.14, (2020)
https://doi.org/10.3389/fnins.2020.00130
https://www.frontiersin.org/journals/neuroscience/articles/10.3389/fnins.2020.00130/full

11)川島武士 et al., ギボシムシのゲノムから考察する新口動物の起源
DOI: 10.7875/first.author.2015.117
http://first.lifesciencedb.jp/archives/11802


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2025年3月 2日 (日)

私の不思議ノート 1:  ベッドからダイブ

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最近私は脳も体も疲弊していて、アルツもあることですし、何が起こるかわかりません。一応変なことが起こったら記録しておこうと思いますが、誰も興味がわかないことでしょうから気にしないでください。ミーナ お前は一応聞くよな💦

私は前の車をなぜか追跡していたのですが、その車がある場所で急停止したと思ったら、全速力でバックしてきたのです。私はあわてて全力で横っ飛びで地面にダイブしました。

で そこで目が覚めたら、私は全力でベッドから転落したらしく、でも幸運なことに布団と毛布をしっかりかかえたままダイブしたため、うつ伏せで下に毛布と布団がある状態でした。おかげで脛を少しすりむいたくらいですみました。体の下に布団があるということは、転落したのではなく、しっかり布団と毛布を抱えて180度回転する形でダイブしたのです。これはさすがに自分史上はじめてのことでした。

なぜ追跡していたかは理由があることは覚えているのですが、どうしてもその理由を思い出せません。全く寝覚めの悪い話です。これで思い出したのは風邪薬タミフルでマンションなどから転落する事件が相次いだことです。そのときはきっとこんな感じだったんだなと理解できました。私はタミフルやリレンザを服用していたわけではないのですが、別の夢を見ていたらベランダからダイブしていたかもしれないので、くわばら・くわばらです。

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日経メディカル(引用):抗インフルエンザ薬が処方された20歳未満の患者700例以上を対象に行ったアンケート調査で、異常行動はタミフルが処方された群(10歳未満)、リレンザが処方された群とも約15%で認められ、全体の80%以上は睡眠時または覚醒直後に発生していたことが分かった。
https://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/all/special/flu/topics/201310/533019.html

 

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2025年3月 1日 (土)

ユリカモメ

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上野公園のユリカモメです。

ユリカモメはカモメ科で学名は Chroicocephalus ridibundus

都鳥と呼ばれることもありますが、ほんとのミヤコドリはミヤコドリ科の Haematopus ostralegus


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ほんとのミヤコドリ from wikipedia

東京都の鳥はユリカモメの方です。どうしてほんとのミヤコドリにしなかったのでしょう?

うちにくるベティ(ひよどり)とはお互いに個体認識ができる(私の方は怪しいですが、ベティは多分正確)くらいには親しくなりました。

この人はすごい ⤵

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2025年2月27日 (木)

悪性リンパ腫の異常な増加

高倉健さん、松方弘樹さん、石ノ森章太郎さんらが罹患して亡くなった病気が悪性リンパ腫(1、2)ですが、近年この悪性リンパ腫が爆発的に増えていて、この現象は高齢化では説明できません。最近では今月21日に、青山学院大の陸上競技部の皆渡星七(みなわたりせな)さんの死亡が公表されました。最近話題になっている高額医療費の自己負担の問題も、継続的な治療が必要なこの病気の患者には、モロに引っかかってくると思われます。

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図は国立がんセンターの統計ですが、これが不備です。情けないことに、Ⅹ軸およびY軸の数字が部分的に消えていて、私がY軸は元の表記を全部消して書き換え、X軸は元の表記と私が書き換えた表記を併記しました。国立がんセンターはもっとまじめにやってほしいと思います。もっとまじめにやってほしい点は他にもあって、図の茶色の線は罹患数なのですが、2016年までしかグラフがありません。データはあるに違いないのにグラフ化されていないと思われます。これはあまりにひどいじゃありませんか?

ともかく爆発的に増加していることは確かなのですが、何が原因なのかはさっぱりわかっていないようです。ただもともとは欧米では多く日本ではまれな病気だったことは確かなので、生活の欧米化が原因とは言われています。EBウィルス、ピロリ菌、メトトレキセートなどの関与も疑われていますが、これらでは近年の爆発的増加は説明できないと思います。

成人になっても激しく増殖している細胞は何種類かあって、それらの多くは癌化しないような対策がほどこされています。赤血球は脱核し、皮膚・毛髪細胞はケラチン化し、顆粒球は多型核化し、それぞれ細胞分裂が不可能な状態にすることによって癌化は防がれています。リンパ球は常時増殖している細胞ではないので、そのような特殊化はおこなわれていません。しかし負傷や感染など異常な事態になると増殖します。細胞が増殖すると癌化のリスクは増加します。それはDNAをコピーする際にエラーが発生するためです。

日本の研究者のグループは、患者のDNAを解析しBRCA1, BRCA2, ATM, TP53 の変異が悪性リンパ腫の発症に関係していることを報告しています(3)。

生活の欧米化で癌化のリスクは増すと言われていますが、リンパ球との関連はよくわかりません。ただワクチンを頻繁に接種すると、そのたびごとにリンパ球が増殖するので癌化のリスクは増加します。とはいってもワクチンを打つことのメリットもあるので、メリット―デメリットを数値化することができない現状では打つか打たないかの科学的判断は無理でしょう。

昨今はコメの値上げがとまらず、食生活の欧米化がますます進みそうで、これはさらに悪性リンパ腫を後押しすることになりそうです。本当に困ったものです。

参照

1)塚崎邦弘(がんプラス) 悪性リンパ腫 病型や悪性度、腫瘤の部位や大きさに応じた治療選択
https://cancer.qlife.jp/blood/blood_feature/article6523.html

2)山口素子 悪性リンパ腫 治療の進歩 日本内科学会雑誌 110 巻 9 号 pp.1939-1944 (2021)
https://www.jstage.jst.go.jp/article/naika/110/9/110_1939/_article/-char/ja/
https://www.jstage.jst.go.jp/article/naika/110/9/110_1939/_pdf/-char/ja

3)国立がんセンター プレスリリース 2022年
悪性リンパ腫の大規模ゲノム解析~単一遺伝子疾患型が存在する可能性~
https://www.ncc.go.jp/jp/information/pr_release/2022/0906/index.html

 

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2025年2月24日 (月)

続・生物学茶話262:脳の不思議な世界(一色出版)について 後半

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第6章は脊椎動物に近縁な生物群の中枢神経系について述べられています。対象の動物(ギボシムシ、ホヤ、ナメクジウオなど)はみな非常に興味深く、この本の中心的課題を取り扱う章と言えます。しかしこの章のライターは調子に乗って話をどんどん進め、読者のわかりやすさを顧みないという悪癖があり、エディターがもっと手を入れて文章を整理し、わかりやすくするという努力をすべきだったと思います。異論はあると思いますが、個人的にはホヤは変異が著しいグループなので概ね省いて、ギボシムシとナメクジウオをメインに構成した方が良かったように思います。230ページの図14をみてもホヤの異様さはよくわかります。

ギボシムシ(半索動物)が脊索・神経管・下垂体・甲状腺とそれぞれ相同の組織を持つことがはるか昔から知られていたとは驚きでした。また運動ニューロンの軸索が交差するというのも興味深いお話です。軸索交差は私は合理的ではなく、進化過程の事情でやむなくそうなってしまったのではないかと思いますがどうでしょうか。

ナメクジウオが保有している4つの目のうち2つが前口動物型だというのは非常に興味深く、この動物が後口動物が分岐する前の始原的左右相称動物の特徴を保持していることを思わせます。体型的にも竹輪型です。

第7章はいよいよ脊椎動物の登場です。

260ページから261ページにかけて非常に重要なことが述べられています。従来脊椎動物の脳と無脊椎動物の脳は起源を異にするものであり、相同ではないと考えられていたのですが、近年の分子発生学の進展によって、両者を作る遺伝子の組み合わせがよく似ていることから、前口動物と後口動物の共通祖先の段階から始原的な脳が準備されていたことが明らかになったということです。

ロンボメア形成と脳の機能は、脳の形成過程を知る上で非常に重要であり、私も「続・生物学茶話212:ロンボメア」で取り上げました。興味のある方はご覧ください
https://morph.way-nifty.com/grey/2023/05/post-9ee757.html

私がこの本を購入した一つの理由は両生類の脳についてまとまった知識が欲しいと思ったからですが、それは空振りに終わりました。特にどうして両生類の小脳が魚類に比べて著しく退化しているように見えるのはなぜか知りたかったのですが、全く記載がなく、そもそも小脳に関する記載が非常にプアなのにはがっかりしました。おそらく著者が得意ではない領域だからだと思いますが、両生類の件については論文が非常に少ないのかもしれません。推察するに両生類は非常に限られた極限環境に生きる魚類から進化したため、その誕生の原点から小脳が退化した状態だったのでしょう。カエルやイモリより動きが鈍い爬虫類や哺乳類はいくらでもいますが、彼らは本来小脳がやるべき仕事を脳の他の部分で代替しているのかもしれません。

視床下部が終脳より前方という新しい考え方は興味深いものがありました。また円口類の終脳が非常に進化した構造を持つことにも驚かされました(多分収斂の結果だと思われます)。

第8章は魚類について。脊椎動物の繁栄の基盤は魚類によって作られました。魚類以外の脊椎動物は海から追い出されたいわば負け組の子孫です。脊椎動物成立直後の始原的イメージを継承する円口類と別れて顎を持つ魚類が生まれた後、初期に分岐した軟骨魚類(サメ・エイ)、普通に魚と呼ばれている条鰭類、私たちと条鰭類の中間にある肉鰭類(シーラカンス・ハイギョ)などが魚類に相当しますが、えこひいきなくフラットな分類学の目で見ると、私たち四肢動物を魚類に含めても不思議ではありません。

魚類の脳の構造は私たちの脳と非常によく似ています。特に橋・小脳・中脳・間脳・終脳という並びは同じです。延髄の構造は私たちより複雑で、終脳の前に臭葉があるなどの相違点はあります。ただ基本構造は同じでも各パーツの大きさには大きな違いがあり、環境に適応して脳のパーツのサイズを変えることによって、特に条鰭類は大繁栄してきたと言えます。この章を読むことによって私たちの脳についての基本的な知識を得ることができます。出発点は293ページの脳の俯瞰図です。でもこの図を見ていると、ヒトの脳は本当に奇形だなあと感じます。

ただこの章のタイトル「水生に最適化した脳の多様化」には違和感があります。魚類およびその祖先はすべて水生なのですから、水の中以外の環境はなかったわけですからこのタイトルの意味はよくわかりません。それに最適化したのに多様化するのはなぜと言いたくなります。ところで私たちの脳は陸生に最適化されているのでしょうか?

第9章は両生類かと思いきや、スキップして爬虫類。とはいえ爬虫類の脳についてはほとんど何も知らなかったので、いろいろ学ぶことができました。特にDVR領域についてのカルテンとブエイエスの論争は興味深く読みました。コラムのマムシは赤外線を感知するピット器官というのを持っていて、この情報は視覚の一部として認識されているという話は、全く知らなかったのでびっくりしました。若い頃に沢を歩いていると、周りに昼寝しているマムシがいっぱいいたことがあり、恐ろしい記憶が蘇りました。

第10章は鳥類の脳です。これは各部位がほとんど英語の3文字略語で表記されているので慣れるまでが大変です。例えば図6は日本語で表記してあるのは「大脳基底核」だけで、RA・NCM・HVC・CMM・LMAN・AreaX・DLMなどと並べられると、この本は一体どんな読者を想定しているのだろうと首をかしげます。最低でもどこかに略さないフルネームと略号の対照表を示すべきでしょう。

とはいえ鳥のさえずりを制御する脳の部位についての記述はとても興味深いものがありました。仲間のさえずりを模倣するための部位と、自分の独自性を加味するための部位が異なることなどがわかっているようです。鳥の鼻の穴の形から、いつ恒温化がはじまったかを推定するというお話にはちょっと感動しました。

第11章は脳研究のコアともいうべき哺乳類の脳についてです。膨大な知識がコンパクトにまとめられていて素晴らしい章です。さらに哺乳類の祖先動物にもふれられていて、ジュラ紀のハドロコディウムには立派な大脳皮質があったが、三畳紀のモルガノコドンの大脳皮質は非常に小さく、哺乳類に特異的な6層構造はできていなかったという情報は新知識でした。

ただ全体的な情報量としてはやや物足りないものがありました。なにしろクジラについてのモノグラフである次の12章よりもページ数が少ないのです。クジラの脳については全く知らなかったのであとでじっくり読んでみようと思っていますが、この本の構成として、両生類についての章がないのにクジラについて1章を割くというのはいかにもアンバランスで奇形的です。これがこの本の最大の欠点です。

フィナーレは第12章で人類に関するものですが、小難しい話はあまりなくて気軽に読める内容です。ただ私は毛の研究をしていたことがあるので、ケラチン遺伝子の周辺にネアンデルタール人由来の遺伝子が多いというお話にはびっくりしました。

人類の歴史は700万年前頃からはじまっているそうですが、400万年前頃に生きていたとされるアウスロラピテクスまであまり脳の進化はなく、250万年前のホモ・ハビリスから急速に進化したそうです。

最近スペインのマルトラヴィエソ洞窟で、ホモ・サピエンスがヨーロッパに現れるはるか以前に描かれた手形が発見されて研究されています(1)。これはもちろんネアンデルタール人によるものです。

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1)Christopher D. Standish et al., The age of hand stencils in Maltravieso cave (Extremadura, Spain) established by U-Th dating, and its implications for the early development of art., J.Archael.Sci., vol.61 (2025)
https://doi.org/10.1016/j.jasrep.2024.104891
https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S2352409X24005194

 

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2025年2月22日 (土)

続・生物学茶話261:脳の不思議な世界(一色出版)について 前半

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脳の研究史からはじまって、脳の起源からあらゆる生物の脳について言及するという、まさしく動物の脳について知られていることを全面展開した内容豊富な本です。しかも学術的にきちんと書いてあるので気持ちいいですが、それだけにタイトルから想像できるような一般向けの本ではなく、生物学・医学を学ぼうとする学生あるいはマニア向けと言えます。

第1章はイントロダクションで、カハールとゴルジの論争などが書いてあります。ただ「心の研究」についての著者の意見や立場は明らかにされていません。

第2章で動物系統樹に沿った説明がされていますが、ここで「らせん卵割動物」とされている分類群が出版後大幅にリニューアルされたので改訂が必要かもしれません。腸管神経系について触れられていないのはやや不満があります。腸管神経系は腸を外界として認識し、運動機関として使用する、という脳のプロトタイプとして利用していた先カンブリア時代の動物群がいて、脊椎動物はそこにルーツがあると思うからです。

第3章はプラナリアの脳を中心としたお話で、この生物は栄養吸収を必ずしも腸に頼らないタイプの生物で、腸管神経系を発達させたグループとは別系統だと思いますが、脳を独自に発展させていったようです。体細胞の15%がニューロンだそうでちょっと驚きました。ここでは専門用語がバンバン出てくるので、かなりの知識がないと理解できないと思います。少なくともオプシンとイオンチャネルの関係については図を使って説明すべきだと思いました。

第4章は昆虫の脳についてです。まずこの章の執筆者である上川内あづさ氏・石川由希氏の文章の素晴らしさに舌を巻きました。わかりやすく退屈させません。必要な場所にわかりやすい図が配置されているところにも感心します。ハエの求愛歌の話とか、ハエは交尾したときに精液の味がわかるとか、ミツバチの連合学習とか、シロアリではカーストによって脳の構造が異なるとか、内容的にも興味深いお話が満載です。

第5章はほぼタコの脳についてのモノグラフです。現生動物で最大サイズの脳を持つのはダイオウイカだそうですが、タコの脳もあなどれません。マダコの視覚情報を処理するアマクリン細胞は2500万個あり、それに何しろ足(腕)は8本あってそれぞれの吸盤を制御できるというわけですから、人間には想像不可能なような運動・感覚神経の複雑な制御が行われているに違いありません。それに足には18万個の化学受容細胞があり、何に触ったかがわかるようです。

専門的になりますが、脊椎動物では最も原始的なナメクジウオから哺乳類に至るまでに2回の全ゲノム重複があり、たとえば体の構造を基本的に規定するHоx遺伝子も4倍になっているのですから、様々なバリエーションを作る上で有利でした。それに対して軟体動物ではそのような全ゲノム重複はおこらなかったそうです。にもかかわらずタコと貝では非常に形態が異なります。私たちの体の構造は基本的に魚のヒレを手足に変えると似たようなものなのですが、タコと貝にそのような類似性はありません。

タコのHоx遺伝子はなんとクラスターを形成せず分離して存在することがわかりました(下図)。一度も全ゲノム重複なく進化を成し遂げた理由としてトランスポゾンの作用と、RNA編集によってバラエティに富んだタンパク質がつくられたことが挙げられています。これはホヤについても同様です。ホヤのHox遺伝子もクラスターを形成しておらず、これによって他の脊索動物とはかけ離れた形態をとるようになったと思われます。

QRコードのリンクが切れていたのは残念。軟体動物は私たちとはかけ離れた体の構成を持つ動物なので、研究する意義などないのではないかという考えもあるかもしれませんが、アメフラシの神経やイカの巨大軸索が脳神経系の機能を知る上で果たした巨大な貢献を考えると、このような考えが愚かであることがわかるでしょう。ハエや線虫についても同様です。

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2025年2月20日 (木)

竹田理琴乃 Eテレ クラシックTVに出演

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今日のクラシックTV、竹田理琴乃(りこの)はやっぱり変な奴でしたが、司会が何しろ同じピアニストの清塚なので緊張したことでしょう。

はばたけ!若き音楽家2025 Eテレ 2025年2月20日 
再放送 2月24日(月) 午後2:00~午後2:30
https://www.nhk.jp/p/classictv/ts/14LJN694JR/episode/te/167PV3WNVV/ 

前世は鳥使いということで、選曲はモーリス・ラヴェルの「悲しい鳥たち」 なるほどね。
お見事な演奏でした。

動物たちと共に生きる人生ということで、私は彼女にはシンパシーがあります。

Chopin Piano Competition 2015
https://www.youtube.com/watch?v=YCKFM8BzIso&t=326s 

18th Chopin Competition
https://www.youtube.com/watch?v=aFqjPfnhtRY 

自己紹介
https://www.youtube.com/watch?v=imqVkVVeHIU 

X
https://x.com/rikono_takeda

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私の過去記事

2015 ショパンコンクール
https://morph.way-nifty.com/grey/2015/10/post-35ea.html 

竹田理琴乃(たけだりこの)ランチタイムコンサート@カワイ表参道コンサートサロン
https://morph.way-nifty.com/grey/2016/05/post-d2b6.html 

Chopin Piano Competition 2021
https://morph.way-nifty.com/grey/2021/10/post-4f2c45.html 

 

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2025年2月19日 (水)

特濃ミルク8.2 カフェオレ

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ここのタイトルが「渋めのダージリンはいかが」なので、さぞかし管理人も右京のように紅茶ばかり飲んでいる偏屈と思われるかもしれませんが、私はコーヒーも好きです。ただインスタントコーヒーのような苦味ばかりが感じられるものはあまり好きではありません。

このキャンディーはとてもまろやかな味で万人向けだと思います。ただびっくりするのは1日4粒までと書いてあることです(爆)。表には1日4粒目安としか書いてありませんが、裏には1日摂取目安量を守ってくださいと書いてあります。その理由が4粒当たり28mgのGABAを含んでいるからだそうです。GABAは脳血液関門を通らないので脳に影響はないと思いますが、なぜ4粒制限なのかは書いてありません。調べたところ、腸のGABA受容体が反応して腸の変調をきたす可能性があるようです。あと血圧が下がる可能性があります。

個人的には20粒くらい食べたことがありますが、何も起こりませんでした。なので4粒制限は自己責任で全く気にしていません。私の読んだ論文では1日3gを1か月摂取しても副作用は認められなかったそうです(1)。1日400粒食べても大丈夫ってことです。ただ砂糖がはいっているので、それはおすすめできません。

1)佐々木泰弘・河野元信   美味技術研究会誌 No.15:pp.32-37,(2010)
ギャバ(GABA)の効能と有効摂取量に関する文献的考察

https://www.jstage.jst.go.jp/article/bimi2002/2010/15/2010_32/_pdf

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2025年2月11日 (火)

お知らせ

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サラ 「これからぐっすり眠るんだから 静かにね」

私事のため1週間ほどお休みします。

 

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2025年2月 8日 (土)

逆さであること

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ミーナは逆さの私を認識できるのでしょうか?

逆さと言えば「サカサクラゲ」を思い浮かべます。クラゲは生物学では刺胞動物といいますが、私たちとは最も体の構造が異なる生物群のひとつです。なにしろ脳に相当する神経細胞の集合体が、まるでダブルサークルのシーリングライトみたいな構造になっています。

サカサクラゲはその中でも変わり者で、学名はなんとカシオペア・アンドロメダという天空の名前です。傘を下にして逆さの状態で生きています。まあコウモリみたいなのもいるので、彼らだけというわけではありませんが。

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(藻類に住居を提供し、仕事をさせて安楽に暮らすサカサクラゲ Wikimedia commons)

サカサクラゲが逆さなのにはわけがあって、傘の裏側に藻類を飼っていて、藻類に光合成をさせてそのエネルギーをもらって生きているので、藻類が太陽の光を受けやすいように逆さになっているそうです。これはある意味究極の進化です。これができれば餌を探さなくてよいので一生遊んで暮らすことができます。泳ぐ必要がないのでエネルギーもあまりいりません。たまに泳ぐときには傘を上にして泳ぎます。

クラゲの刺胞は餌に毒を注入して食べやすくするためにあるのですが、サカサクラゲは餌はいらないので刺胞はないのかというと、なんと彼らは自分たちの安楽な生活を脅かす敵を追い払うために、毒針を周りにまき散らすというエグい武器として使っているようです。

クラゲに比べるとタコはずっと私たちと近い生物です。特に眼は私たちとそっくりで、私たちより優れている部分もあります。

Beatles: Octopus garden
https://www.youtube.com/watch?v=A7coEcXjd7Q 

Cover: Reina del Cid, Toni Lindgren, and Travis Worth
https://www.youtube.com/watch?v=A9U0g-5r4P0 

 

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2025年2月 7日 (金)

石破政権 多子世帯への就学支援策を策定

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すごいニュースが入ってきました。

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政府は7日の閣議で、3人以上の子どもがいる多子世帯について大学授業料を無償化するなどとした大学等修学支援法改正案を決定した。今国会に提出し、成立すれば4月から施行する。所得制限を撤廃することで、支援対象は約41万人になる見通し。

対象となるのは、扶養する子が3人以上で、大学、短大、高専、専門学校に通う学生がいる世帯。支援の上限額は、年間の授業料については国公立大が54万円、私立大が70万円。入学金は国公立大28万円、私立大26万円とした。これにより、授業料と入学金の家計負担が国公立は原則ゼロとなり、私立も大幅に減少する。 

【時事通信社】
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私ははるか昔からこのブログで、「少子化を克服するには多子家庭を差別的に優遇しなければならない」と言ってきましたが、わが国が崩壊の瀬戸際に追い詰められて政府がようやく重い腰を上げました。本来なら30年前からやっておくべき政策とはいえ、これは石破政権の大ヒットだと思います。野党も協力してこの法案を成立させるべきです。さらに子供3人以上の家庭は食料品の消費税をゼロにするべきです。そうするだけで、ひょっとすると出生率が大幅に上昇するかもしれません。

さらに会社には社宅や社員寮があり、役所には公務員宿舎があり、大学には学生寮があるのが当たり前の社会に戻すことができれば、人口は+に転じるに違いありません。ちなみに私が学生だった頃には、某銀行の青山の社宅(5LDK)に家庭教師のバイトで毎週お邪魔していました。

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2025年2月 6日 (木)

ヒヨドリのベティ

うちのベランダには2022年まで長い間ずっと、冬になるとヒヨドリが遊びに来ていました。ジョージI世~ジョージⅢ世と名付けていましたが、おそらく親子で3代にわたって文化が伝承されていたと思います。

https://morph.way-nifty.com/grey/2022/02/post-26685e.html

ところが2023年の長期修繕で建物全体がメッシュで覆われてしまい、せっかくの伝承が破壊されてしまいました。それで2024年の冬には全くヒヨドリをみかけることはなくなりました。

とことが2025年になって、なぜか毎日またみかけるようになりました。2022年までは雄主導で、ときどき雌をつれてくるかんじでしたが、今年はどうも主に雌が来ていて、ときどき雄もつきあっているといるという風に見えます。雄雌は生物学的には判定できていないので推測にすぎませんが、とりあえずベティと名付けました。ベティは頭の毛が全く立っておらず、ヒヨドリらしい顔貌ではありません。

ベティとはまだ網戸越しにしか対面していませんが(写真がぼけているのはそのせい)、こちらを正面向いてじっと見ていることもありますし、口笛で多少のコミュニケーションはできていると思います。

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2025年2月 3日 (月)

続・生物学茶話260:筋層間神経叢のストライプ構造

解剖学は医学・生物学の基本ですが、その教科書はほとんどの内容が昔から知られていることというカビ臭いものです。しかし神経の配列はその中で例外的に知られてないことがまだまだ存在するというめずらしい領域です。腸管神経の構造もそのひとつで、2021年にパリ大学のシュヴァリエらのグループが腸管筋・筋層間神経叢(アウエルバッハ神経叢)のマクロな配列が、ニワトリではハニカム構造で、マウスでは格子構造であることを発表してから注目されるようになりました(1、図260-1、図260-2)。

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図260-1 筋層間神経叢の特殊な配列を解明した研究者たち

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図260-2 ニワトリとマウスの違い

スタンフォード大学のハムネットらは特に、マウスの腸管筋・筋層間神経叢が腸管が伸びている方向と垂直な方向にガングリオンが整列し縞模様を形成していることに注目しました(図260-1、図260-3、2)。シュバリエらも同じものを見ていたはずなのですが、このストライプ構造に気が付きませんでした。ミクロに見ているとわかりにくいのですが、ハムネットらは広い領域にわたって免疫組織化学による観察を行い、小腸及び大腸の全域にわたってあまねくガングリオンのつながりがストライプ構造になっていることに気が付きました。これは筋層間神経叢に限って見られる現象で、粘膜下神経叢(マイスナー神経叢)ではガングリオンの分布はランダムで、ストライプ構造は見られません(2、図260-3)。

盲腸に近い一部の大腸(proximal colon)では、ストライプが強く斜めに傾いている部分があります(図260-3D)。それでも類似する非連続性構造が存在することには変わりがありません。

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図260-3 マウス筋層間神経叢はストライプ構造をとる

ハムネットらはさらに発生のいつの時期からこのようなストライプ構造ができてくるのかをマウスで調べました。その結果小腸では胎生14日目(E14.5)ではまだランダムですが、16日目(E16.5)になるとストライプ構造が形成されてくること、大腸では16日目ではまだランダムですが、18日目にはストライプ構造が形成されてくることなどが明らかになりました(図260-4)。これはストライプの間にある細胞がプログラム細胞死したためではないという研究結果も得ました(2)。出生後は小腸・大腸ともに急速に伸長するので、それに伴って神経節同士の距離は拡大し、それはストライプの幅が拡大するという形で現れます(図260-4)。

ハムネットらが所属するスタンフォード大学の神経外科研究室では、引き続きヒトについても研究を行い、マウスと同様ヒト胎生期において小腸でも大腸でも筋層間神経叢のストライプ構造が形成されることが確認されました(3)。ヒトの場合小腸では胎生14週目、大腸では胎生21週目くらいにストライプが形成されます(3)。マウスでもヒトでも小腸に比べて大腸の整列は遅れるので、ストライプ化の情報は前→後の方向に伝搬するものと思われます。

粘膜下神経叢ではこのようなストライプはみられないことから、ストライプはおそらく腸管筋の収縮にかかわっていることが予想されます。弱いシグナルがメリハリなく移動するより、同期によって強いシグナルが飛び飛びに発生しながら移動する方が腸の筋収縮には有利だと思われます。ストライプと言うのは2次元的な表現ですが、3次元的に言えば、腸管を中心として円盤が重なっているイメージになります。

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図260-4 筋層間神経叢のストライプ構造は胎仔のうちに用意される

ストライプということで生物学者がすぐ思い浮かべるのはペアルール遺伝子でしょう。この遺伝子はショウジョウバエでみつかりましたが、体にストライプすなわち3Dでは円盤状の遺伝子発現をABABABというかたちで交互に行うことができます(4)。このようなホメオティック遺伝子はほとんどの生物が持っており、私たちの背骨もこの種の遺伝子によって各椎骨が正確に配置され(椎骨・椎間板・椎骨・椎間板というABAB構造)、末梢神経もそれにしたがって配置されます。したがって神経叢のストライプ構造もホメオティック系の遺伝子がかかわっているのではないかと予想されます。

先天的な神経叢の不良形成によって消化管の蠕動運動がうまくいかなくなるヒルシュプルング病という腸の病気があり、重篤な場合指定難病となっています(5)。ダーショウィッツとカルシュミットはこの病気が従来考えられていたような神経細胞が減少するだけでなく配置・ストライプ形成がうまくいかないために腸管筋の収縮に支障をきたす場合があるのではないかという仮説をたてました(図260-5、6)。

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図260-5 ヒルシュプルング病の新しいモデル

実際にHOX11遺伝子の欠損により筋層間神経叢がうまくできないという報告があります(7)。 また RET遺伝子(チロシンキナーゼ活性を持つ受容体をコードする)とIHH遺伝子(インディアンヘッジホッグ)の両者に変異があり、ヒルシュプルング病または慢性の便秘患者を生ずる家系が報告されています(8)。IHH遺伝子をノックアウトしたマウスでは腸管神経叢のパターニングに異常が発生するという報告もあります(9)。

参照

1) Nicolas R. Chevalier, Richard J. Amedzrovi Agbesi, Richard J. Amedzrovi Agbesi, Yanis Ammouche, Sylvie Dufour, How Smooth Muscle Contractions Shape the Developing Enteric Nervous System., Front. Cell Dev. Biol., vol.9, article 678975 (2021)
https://doi.org/10.3389/fcell.2021.678975
https://www.frontiersin.org/journals/cell-and-developmental-biology/articles/10.3389/fcell.2021.678975/full

2)Hamnett R, Dershowitz LB, Sampathkumar V, Wang Z, Gomez-Frittelli J, De Andrade V, Kasthuri N, Druckmann S, Kaltschmidt JA., Regional cytoarchitecture of the adult and developing mouse enteric nervous system., Curr Biol. vol.32(20): pp.4483-4492. (2022)
doi: 10.1016/j.cub.2022.08.030.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/36070775/

3)Dershowitz, L.B., Li, L., Pasca, A.M. et al. Anatomical and functional maturation of the mid-gestation human enteric nervous system. Nat Commun vol.14, no.2680 (2023).
https://doi.org/10.1038/s41467-023-38293-z
https://www.nature.com/articles/s41467-023-38293-z

4)wikipedia: pair-rule gene
https://en.wikipedia.org/wiki/Pair-rule_gene

5)難病情報センター ヒルシュスプルング病(全結腸型又は小腸型)(指定難病291)
https://www.nanbyou.or.jp/entry/4699

6)Lori B. Dershowitz and Julia A. Kaltschmidt, Enteric Nervous System Striped Patterning and Disease: Unexplored Pathophysiology, Cell Mol Gastroenterol Hepatol., vol.18, no.2, no.191332 (2024)
doi: 10.1016/j.jcmgh.2024.03.004.
https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC11176954/

7)Shirasawa S., Yunker AMR, Roth, KA. et al., Enx(HOX11L1)-deficient mice develop myenteric neuronal heperplasia and megacolon., Nature Med., vol.3, pp.646-650 (1997)
doi: 10.1038/nm0697-646.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/9176491/

8) Sribudiani Y, Chauhan RK, Alves MM, et al., Identification of variants in RET and IHH pathway members in a large family with history of Hirschsprung disease. Gastroenterology vol.155: pp.118–129. (2018)
DOI: 10.1053/j.gastro.2018.03.034
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/29601828/

9) Ramalho-Santos M, Melton DA, McMahon AP. Hedgehog signals regulate multiple aspects of gastrointestinal development. Development vol.127: pp.2763–2772 (2000)
DOI: 10.1242/dev.127.12.2763
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/10821773/

 

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2025年2月 1日 (土)

Walk down the memory lane 14: darcy117117

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Sarah and Mina(calico) on the comforter.
ミーナの肩を抱くサラ

darcy117117って、117117はまあ「いいないいな」だろうとは思いますが、darcy がわかりません。

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画像は多分猫の祭壇で、骨壺もみえます。私の家にもこの種のものがあります。こういうちょっぴりハスキーで沈潜するアルトシンガーが最近はあまり見当たらない気がします。

The movie is probabpy a kind of the altar for her cats. There is a similar one also in my house. Her alto voice is slightly husky and has a feeling of grief.

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雨の街を 荒井由実

ユーミンが自分が制作した曲の中で最も気に入っているそうです。
It'a a rainy early morning. I walk down the street of silent city. The street lights are turned off one by one. Now, I feel I can walk to the far distance if someone may embrace my shoulders.

https://www.youtube.com/watch?v=fQk_UmIaDCw

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ためらい 増田恵子

中年にならないとわからない曲
A song for an affair of middle-aged lovers.

https://www.youtube.com/watch?v=MYug_NkrJyA

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鳥になって 中島みゆき

自殺をテーマにした曲
The theme of this song is the suicide

https://www.youtube.com/watch?v=AkgEVwtVINA

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黄昏のビギン 水原弘

ちあきなおみの曲だと思っていたら、オリジナルは水原弘
A love song in the age just after the world war II.

https://www.youtube.com/watch?v=c9AELpwjy_M

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涙そうそう BEGIN

Memories for the dead.

https://www.youtube.com/watch?v=cQpwzIpQYnI

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家族写真 森山良子

An old photograph of the family, with a cat movie.

https://www.youtube.com/watch?v=CgHMNu6lzmw

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わが麗しき恋物語 バルバラ

A song of a French singer, Barbara.
"Ma plus belle histoire d'amour"

https://www.youtube.com/watch?v=b9d9mjFkybQ

 

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2025年1月30日 (木)

World music collection 24: Feuerwerk Philharmoniker

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https://commons.wikimedia.org/wiki/File:%E8%B5%A4%E9%96%802.JPG

日本の大学は小泉政権以来転落の一途をたどっていますが、スピリットだけでもハーバードやスタンフォードに負けないでほしいと思います。東京大学の関係者を中心としたこのオーケストラ(東京大学フォイヤーヴェルク管弦楽団)は、まだ日本の大学だって死んではいないというところをみせてくれています。圧巻はまず2018年のショスタコーヴィチ交響曲第5番の演奏。

ティンパニの久一氏(都響)、コントラバスの池松氏(都響)、ヴィオラの須田氏(東フィル)、ピッコロの難波氏(日フィル)などプロの奏者も加わっているようですが、ともかくものすごい演奏です。

テンポが適切であるかどうかについては議論があり、私もこの交響曲の意図を逸脱するくらい速すぎるところがあると思いますが、それでも強引に引きずり込まれる迫力はあります。指揮は原田幸一郎氏。

Dmitri Shostakovich : Symphony No.5 in D minor
https://www.youtube.com/watch?v=9UvhAL81yLg&t=2502s

Dmitri Shostakovich : Symphony No.5 in D minor
第4楽章のみ
https://www.youtube.com/watch?v=34tCtfa9JIk

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Haydn : Symphony No.92 in G major
第4楽章のみ
https://www.youtube.com/watch?v=JQmfTq2JahA

L.v. Beethoven: Symphony No.6 “Pastorale” 1st mov.
第1楽章のみ
こちら1

ラフマニノフ ピアノ協奏曲第2番ハ短調
全曲 ピアノ:清水和音
こちら2

Khachaturian"Masquerade_Walts"
ハチャトゥリアン「仮面舞踏会」より ワルツ
https://www.youtube.com/watch?v=f2xb5d_0EUE

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HP:https://feuerwerk-philharmoniker.com/

 

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2025年1月28日 (火)

西鋭夫(にし・としお) 新説・明治維新

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西鋭夫(にしとしお)氏はスタンフォード大学の教授だそうですが、本の冒頭その自分の大学の自慢からはじめるのは品がないと思います。ただスタンフォード大学など米国の一流大学に比べて、日本を代表する諸大学の予算が非常に乏しくレベルが低いというのは事実なので、そのことは受け入れざるを得ません。

この本は講演録だそうですが、言いたいことは一言でまとめられます。それは「明治維新とは、すべてイギリスのアジア戦略です」ということで、文章はとてもうまくまとめられていて、何のストレスもなくすぐに読めましたし理解もできました。

私が特に興味深かったのは、徳川慶喜が大阪城で維新軍を迎え撃とうとしたときに、イギリスのエージェントが通訳を連れてやってきて慶喜を説得し、逃げ出す手伝いまでして江戸に帰らせたというお話で、エビデンスが示されていないのは残念ですが、ちょっとびっくりしました。これが本当ならこの説得が契機になって、江戸城の無血開城につながったのでしょう。

でもより興味深いのは付録でついているコラム(p.69~)です。ここには著者がCIAのエージェントにならないかと誘われた時の様子が生々しく書いてあります。ほぼ決断しかかったとき、最後に日本国籍を捨てて米国籍を取得するように言われて断念したそうです。CIAの予算が年間10兆円以上あるとか、国会議員に10人以上のCIAエージェントがいるというのは多分本当でしょう。民社党の結党をCIAがサポートしたという事実は、米国国務省の資料公開で明らかになっています(1)。小沢一郎の失脚もCIAの工作でしょう(2)。CIAは政党や国会議員、そして現在では特にSNSのインフルエンサーたちと接触しているに違いありません。

著者の意見には賛成できる部分も多いですが、故三宅久之氏に強引に誘われたからとはいえ、安倍応援団に参加してしまったのはいただけませんね。


1)ウィキペディア:民社党
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B0%91%E7%A4%BE%E5%85%9A

2)板垣英憲 マスコミに出ない政治経済の裏話
https://blog.goo.ne.jp/itagaki-eiken/e/be8935d525a9ad223135074e5e9c7553

 

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2025年1月26日 (日)

続・生物学茶話259: カハールの間質細胞(介在細胞)

海綿動物は先カンブリア時代から数億年以上子孫を残し続け、現在も大繁栄している地球上の生物の中で有数の勝ち組と言えます。細孔を多数作って餌と水を取り込みながら栄養をとり、私たちの胃とは大きく違いますが中央に胃腔と呼ばれる空間をつくって、そこに流し込んで穴(肛門)から排出するというのが基本の形です。彼らは数億年以上の期間独自の進化を行ってきたので、ウィキペディアの海綿動物の項目を見ると、まるで高度な美術品のような複雑な構造をもつ多くの種の形態に驚嘆します。

彼らの胃腔と私たちの消化管にはひとつ共通の役割があります。それはその中で微生物を培養して共生するということです。微生物に快適な環境を提供する代わりに、彼らが作り出す有機物を利用して餌が少ない時にも生き延びるなど様々なメリットを得ることができます。

ウルバイラテリア(始原的左右相称動物)の祖先は、非常にシンプルなチクワのような構造の原始海綿動物から進化した生物だったと思われます。進化する過程で筋細胞を分化させて腸(チクワの穴)の周りに配置し、腸のなかに水流を作ることができれば、シンプルな構造であっても襟細胞のように鞭毛で水流を作るより圧倒的に強力な水流を起こすことが可能です。この時点では前後はあっても上下左右はない生物でしたが、我々の祖先が餌として目を付けたのはおそらく海底に付着している生物でした。もし餌にできれば大変効率的ですが、問題なのは浮遊しているプランクトンを吸い込む場合と違って、食べたら別の場所に移動しなければいけません。つまり海底を這って移動しなければいけません。そのために上下の概念を取り入れ、体の下部にも消化管で分化の様式を確立した筋肉を配置して、苔様植物など海底に付着している生物がいる場所に移動できるように進化する必要がありました。その進化に成功した結果、体に上下の区別ができるようになると同時に左右という概念が発生しました。それはウルバイラテリアの誕生を意味します。

想像ばかりでも仕方がないので。実験結果に基づく話に戻しましょう。まずカハールの間質細胞はどこから発生してくるかという問題ですが、これはラ・ドゥアランの研究室で c-Kit マーカーとお得意のウズラ‐ニワトリのキメラを使った実験で、中胚葉(間葉系細胞)から発生することが確認されました(1)。腸上皮は内胚葉、腸管神経系は神経堤から発生するので、カハールの間質細胞は腸上皮、神経細胞、グリア細胞などとは別起源ということになります。このことはマウスでも確かめられました(2)。鳥橋によると、マウスでは胎生17日目頃までは平滑筋細胞とカハールの間質細胞は共通の祖先細胞の状態であり、それは18日目に平滑筋細胞とカハールの間質細胞に分かれてそれぞれ分化するそうです(3、図259-1)。ヒトの場合このタイミングは胎生9週目くらいからになります(4)。鳥橋は「おそらく、消化管という古い器官が進化の過程で固有の律動運動を獲得するなかで、ペースメーカー細胞として機能する特殊な平滑筋というかたちでICCが平滑筋細胞から分かれたのではないか」と述べています(3)。

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図259-1 カハール間質細胞の分化

図259-1をみればカハール間質細胞の分化には SCF-cKit セットが必要と思われ実際にそうらしいのですが(3)、深部輪状筋(輪走筋)に埋め込まれているタイプの細胞(ICC-DMP)は SCF-cKit に依存しないとの報告もあり(5)、なかなか一筋縄ではいきません。神経叢と共存するカハール間質細胞ではリガンドであるSCFのシグナルをレセプターであるcKitが受けてチロシンキナーゼ活性を発動するわけですが、SCF のシグナルが来なくても常時c-Kitがチロシンキナーゼとして機能している場合、カハール間質細胞は癌化するようです(6)。

カハールの間質細胞の各消化管部位における分布を文献7に従って示しました(7、図259-2)。ここには示してありませんが食道における分布はほぼ胃の前半部に近いようです。小腸では縦走筋内部にカハール間質細胞がみられないのが特徴です。また輪状筋内部における配置が部位によって異なっています。食道と胃の前半部では筋層間神経叢にカハール間質細胞がみられません。

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図259-2 各消化管部位におけるカハール間質細胞の分布

カハールの間質細胞は主として筋層間神経叢(アウエルバッハ神経叢)に存在しますが、図259-2のように輪状筋や縦走筋の内部にも筋細胞に交じって存在しており、また輪状筋よりも内腔に近い粘膜下層やマイスナー神経叢にも存在します。そして存在する位置によって形態も異なります(図259-3)。神経叢にあるタイプは多数の分枝を持ち、全体として網状の構造をとりますが(9、図259-4)、筋肉に埋め込まれているタイプは2極性の細長い形態となります。図259-3は参照文献8を参考に作成しましたが、たとえば神経叢にも2極性細長型のカハール間質細胞が存在するので8と異なる部分もあります。

カハールの間質細胞同士はギャップ結合(gap junction、図259-1)でつながっており、電気パルスや代謝活動を共有しています。神経や筋肉とどのような形でコミュニケーションをとっているかわかりませんが、両者の近傍で異なる形態をとるのでコミュニケーションの方式も異なるのかもしれません。

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図259-3 カハール間質細胞の多様性

これは単なる想像ですが、もともとはカハールの間質細胞は縦走筋に埋め込まれているものだけであって、オンオフとペースメーキングだけをやっていればよかったのですが、輪状筋ができたことで制御が複雑となり、縦走筋と輪状筋の間で腸管神経系の統合的な制御を受けることになったと思われます。そしてカンブリア紀にはいると、脳神経系の制御を受けざるを得なくなりました。

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図259-4 筋層間神経叢のカハール間質細胞 ニューロンはオレンジ色、カハールの間質細胞は緑色

カハールの間質細胞の分化と多様性について、より詳細で最新の知識が必要な方はスウィートらの総説が役に立つかもしれません(10)。

 

参照

1)Laure Lecoin, Giorgio Gabella and Nicole Le Douarin, Origin of the c
-kit-positive interstitial cells in the avian bowel., Development vol.122, pp.725-733 (1996)
DOI: 10.1002/(SICI)1097-0029(19991201)47:5<303::AID-JEMT1>3.0.CO;2-T
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/10602289/

2)H. M. Young, D. Ciampoli, B. R. Southwell, and D. F. Newgreen, Origin of Interstitial Cells of Cajal in the Mouse Intestine., DEVELOPMENTAL BIOLOGY vol.180, pp.97–107 (1996)
DOI: 10.1006/dbio.1996.0287
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/8948577/

3)鳥橋茂子 ICCの発生 顕微鏡 vol.40, no,3, pp.145-149 (2005)
file:///C:/Users/Owner/Downloads/KENBIKYO_final-2.pdf

4)Goran Radenkovic, Vojin Savic, Dejan Mitic, Srdjan Grahovac, Marija Bjelakovic, Miljan Krstic, Development of c-kit immunopositive interstitial cells of Cajal in the human stomach., J.Cell.Mol.Med., vol.14, pp.1125-1134, (2010)
https://doi.org/10.1111/j.1582-4934.2009.00725.x
https://onlinelibrary.wiley.com/doi/abs/10.1111/j.1582-4934.2009.00725.x

5)Iino, S., Horiguchi, K. & Horiguchi, S. c-Kit-stem cell factor signal–independent development of interstitial cells of Cajal in murine small intestine. Cell Tissue Res 379, 121–129 (2020). https://doi.org/10.1007/s00441-019-03120-9
https://link.springer.com/article/10.1007/s00441-019-03120-9

6)兵庫医科大学プレスリリース Gastrointestinal stromal tumor (GIST)および
カハールの介在細胞(Interstitial cell of Cajal; ICC) に関する研究
https://www.hyo-med.ac.jp/department/hpth/study01.html

7)小室輝昌 ICC研究の歴史と展望 顕微鏡 vol.40, no.3, pp.140-144 (2005)
https://www.jstage.jst.go.jp/article/kenbikyo2004/40/3/40_3_140/_article/-char/ja/

8)Petru Radu et al., nterstitial Cells of Cajal—Origin, Distribution and
Relationship with Gastrointestinal Tumors., Medicina vol.59, no.63. (2023)
https://doi.org/10.3390/medicina59010063
https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC9865743/

9)堀口和秀, 飯野哲 カハーの介在細胞の微細構造 顕微鏡 vol.40, no.3, pp.150-156 (2005)
https://www.jstage.jst.go.jp/article/kenbikyo2004/40/3/40_3_150/_pdf/-char/ja

10)Tara Sweet, Christeen M. Abraham, Adam Rich, Origin and development of interstitial cells of Cajal., Int. J. Dev. Biol. vol.68: pp.93-102 (2024)
https://doi.org/10.1387/ijdb.240057ar
https://ijdb.ehu.eus/article/240057ar

 

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