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「生物学茶話:@渋めのダージリンはいかが」の紙本は九州大学理系図書館、京都大学理学部図書館、島根大学附属図書館、東京大学理学図書館、東京科学大学大岡山図書館、北海道大学理学部図書室、杏林大学医学部図書館、電子書籍としては国立国会図書館に収蔵されています。

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Hair follicle の本は Springer から出版したのでここには中身を掲載できませんが、アマゾンインターナショナルなどで販売しています。

入手が難しいかたは
https://morph.way-nifty.com/grey/2023/08/post-f37c78.html
の最下行に表示している連絡先にメールをしていただければご返事を差し上げます。

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2025年1月18日 (土)

ホルンは歌う

天空に輝く冬空のオリオン
しかしそれらを支配するシリウスは宇宙の女王だ
マーラー交響曲第7番 第4楽章
谷あかねのホルンが響き渡り、宇宙が鳴動する

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東京シティフィルのホルン軍団

 

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2025年1月16日 (木)

ひろゆき

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(写真はウィキペディアより)

ウィキペディアの西村博之の項目を読みました。一人の人物についてこれだけ詳細な記述があるのは見たことがありません。彼は言わずと知れた2チャンネルの創始者であり、YouTube動画やテレビでもお馴染みで日本人なら誰でも知っているような方ですが、今では4chanという世界的な掲示板も運営しているようで、世界にも名が知れるようになりました。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%A5%BF%E6%9D%91%E5%8D%9A%E4%B9%8B

彼は社会保障を重視するような思想の持ち主かと思えば、4chanは極右の拠点だったりして(ウィキペディアにはハーケンクロイツまで表示されています)政治信条はよくわかりません。日本はどうしようもなく没落してしまうという危機感から、今はパリに移住しています。彼が言っていることには正しいこともたくさんあって、たとえば「収入が400万円台で3人の子育てができるような社会でなければ国は滅びる」というのは客観的な事実で正しい主張です。

日本は敗戦後非常に苦しい時代から社宅・社員寮というのがあって、そこそこの企業はみんな社員に住宅を提供していました。公務員や教師にもそれぞれ公的な宿舎が提供されていましたし、学生には学生寮が提供されていました。みんな非常に安価で、国民が住む場所に困るようなことはなかったのです。それが今では超狭小住宅でもとんでもない家賃を支払って住むしかないようになったのは、政治の誤りとしか思えません。住居提供の復活と食料品にかかる消費税の撤廃を行えば生活は相当楽になります。さらに高校無償化までやれば、400万円台で3人子育てが可能になるでしょう。

東京の住居が異常に高いのは外国人が投資で買っているからで、日本人にとっては非常に迷惑なことです。これには制限をかけるべきでしょう。築地市場跡などは社宅用の土地という制限をかけて、日本の企業に払い下げるべきでしょう。日本が住みよい国になるには、東京の不動産価格の暴落はどうしても通らなければいけない関門です。

ウィキペディアの西村博之の項目の中に、goo や infoseek はシステムとして非常に優れていたのに google に完敗したのは法制上の問題のためだという話がでていましたが、これなどは日本の政治の脆弱さの証明でしょう。それより大きな問題は、日本の小売がアマゾン(そしていずれTemu)に支配されるようになってきたことです。郵政民営化するなら、何故その時に郵便局に小売りをさせなかったのでしょう。

電話はガラケーで十分で、動画や文章はタブレットでみるようなシステムになぜできなかったのでしょう。スマホで日本が負けるとわかったときにそう決断すべきでした。文化的にも健康上もその方がよかったでしょう。これらのことができなかったのは、すべて日本がグローバル標準の中で生きていこうという思想に、政府も官僚も会社経営者もガチガチに凝り固まっていたことが原因になっています。

トランプが唯一正しいのはグローバル標準を捨てたことで、グローバル資本主義の本山である米国ですらそう決断したわけですから、日本はもう30年以上前からどうしたらグローバリズムを捨てることができるかを真剣に考えるべきだったのです。日本がやるべきことはまず資本の流入を制限することです。

水野和夫

閉じてゆく帝国と逆説の21世紀経済
こちら1

資本主義の終焉と歴史の危機
こちら2

今では遅すぎるかもしれませんし、ロシアがウクライナ戦争を始めたのも大きな痛手でした。ロシアはグローバル資本主義とは一線を画している数少ない国だったのでこれはとても残念。グローバル派のオバマ・バイデンらのウクライナでの工作が成功したのです。それでも日本は独自のグローバル資本の影響を排除した国家グループを作って生きていかなければいけません。中国はそこそこうまくやっていてお手本になります。ただし中国の傘下にはいると第2のグローバル資本に支配されるような事態になりかねないので、元の木阿弥にならないよう、うまく付き合うことが必要です。

自由な資本の出入りや自由貿易によって国際競争の中に企業がたたきこまれると、国家ができることはとても少なくなり、結局安倍時代のようにズルズルと負け戦を続けざるを得なくなってしまいます。それだけは避けるように石破政権にはしてほしいですし、野党にもお願いしたいと思います。まずはウクライナ戦争の終結に協力し、終結したらすぐにロシアとの外交を再開すべきです。JR東海のリニア新幹線はやめて、札幌‐稚内‐サハリン‐イルクーツクのリニアをやりましょう。

 

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2025年1月13日 (月)

続・生物学茶話258: ドギエルⅡ型ニューロンの謎

しばらく腸神経について学習していますが、かなり立往生感が強く進みたくても進めないという状況が続いています。努力不足もありますが、結局のところすっきりとわかっていない部分が多く、もっと実験を積み重ねないと詳細についての理解は不能な領域だと思います。

腸管神経系にどんなニューロンがあるかについて概略は脳科学辞典を参考にして図258-1にまとめましたが、モルモットの小腸についてのリストですし、まだまだデータの蓄積が必要です(1)。タキキニンはサブスタンスP(substance P;SP)、ニューロキニンA(neurokinin A;NKA)、ニューロキニンB(neurokinin B;NKB)などの総称ですが、タキキニングループの物質は神経伝達物質としてもホルモンとしても作用するので、これひとつとっても一筋縄ではいきません。筋層間神経叢と粘膜下神経叢で細胞の形態・種類にかなり差があるのも不思議。

ひとつはっきりしているのは、筋層間神経叢におけるドギエルタイプIニューロンは腸管筋に接続するという役割を担っており、その収縮と弛緩に直接関与しているということです。さらにドギエルタイプIニューロンのうち抑制性のものはおそらく一酸化窒素を神経伝達物質として用いているというのは際立った特徴です(1、図258-1)。

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図258-1 主要な腸管神経細胞の性質

神経科学者はどうも一酸化窒素を「神経伝達物質ひとつである」と定義するのを好まないようで、例えば脳科学辞典の一酸化窒素の項目をみると、確かに神経系におけるこの分子の機能をとりあげて詳しく解説していますが、神経伝達物質とは書いてありません(2)。通常の神経伝達物質のメカニズムとは全く異なる方式で情報伝達をおこなうためでしょう(3、図258-2)。図258-2Bのような場合、シナプス領域で得られた情報は軸索を逆行して細胞体に伝えられることになります(4、5)。

ならば軸索の先端などで一酸化窒素以外の情報も逆行することがありそうです(図258-2)。ベルトランドらは昔から腸神経のドギエルⅡ型ニューロンの軸索のターゲットは粘膜層であり、かつこのニューロンは求心性であると結論しています(6)。つまりこのニューロンはおそらく常時軸索を逆行した情報を得ているということです。最近ようやくドギエルⅡ型ニューロンの同定が正確に行われるようになったので、遅々とはしていますがいずれこの方面にも進展があるでしょう(7)。クラゲには双方向性のシナプスを持つ運動ニューロンが存在するという報告もあります(8)。

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図258-2 逆行性情報伝達

図258-3は2004年にファーネスらが報告したドギエルⅡ型ニューロンです(9)。分岐し密生しているのは樹状突起ではなく軸索です。脳科学辞典の「軸索」という項目をみると「樹状突起と軸索と言う形態上の分類は、この機能と密接に関わっていて、一般に、樹状突起: 入力の場。他の神経細胞、感覚器官などから情報を受け取る。軸索: 出力の場。他の神経細胞、筋肉、腺などの効果器へ情報を伝える。と考えられている。但し、突起の中の部位による機能分化も存在するので、形態的分類と、機能的分類が単純に1:1で対応する訳ではない。樹状突起、軸索という分類は、基本的に形態上の名称である。」という記載があります。しかし図258-3を見ると、その「形態上の名称」というのも怪しくなってきます。少なくとも腸神経においては軸索とか樹状突起とかという分別はなりたたないのではないかと思われます。

「軸索」がこのような錯綜した構造をとるということは、それが特定のターゲットに情報を伝える、または情報を得るという目的からはかけはなれています。合目的的ではありません。プルキンエ細胞の樹状突起は錯綜していますが、あくまでも形態は樹状であり、多数の先端がターゲットに接続しています。ドギエルⅡ型細胞の錯綜した軸索はそういった性質のものではありません。

図中にgという部分がありますが、ここは近隣の神経節(ガングリオン)と接する部分を意味しており、このように長大で錯綜した軸索が実は複数の神経節で情報を共有または同期するためのツールであることを示唆しています。gの部分で特に構造が密になっていることは、その部分の情報量あるいは濃度を高める意味があるのではないかと思われます。

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図258-3 ドギエルⅡ型ニューロンの形態

ドギエルⅡ型ニューロンは樹状突起が乏しいので、多分複雑な調節は苦手で、ひとつの軸索からの情報をほかの軸索に伝える(図258-4a-c)、細胞体のシナプスで受け取った情報を軸索に伝える(図258-4d)、他の神経節と接したときに電気的あるいは物質的に他の細胞に情報を伝える(図258-4e)、または受け取る(図258-4f)などの役割が考えられます。

図258-4a-c の情報は何かといえば、軸索が上皮直下の粘膜層まで伸びていることがわかっているので、やはり粘膜層の変形、化学物質、神経伝達物質を認識して興奮するのでしょう。

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図258-4 ドギエルⅡ型ニューロンにおける情報の流れ

 

参照

1)脳科学辞典:腸管神経系
https://bsd.neuroinf.jp/wiki/%E8%85%B8%E7%AE%A1%E7%A5%9E%E7%B5%8C%E7%B3%BB

2)脳科学辞典:一酸化窒素
https://bsd.neuroinf.jp/wiki/%E4%B8%80%E9%85%B8%E5%8C%96%E7%AA%92%E7%B4%A0

3)続・生物学茶話132: 化学シナプスの実在とカルシウムチャネル
https://morph.way-nifty.com/grey/2021/03/post-bb9eed.html

4)ウィキペディア:一酸化窒素
https://bsd.neuroinf.jp/wiki/%E4%B8%80%E9%85%B8%E5%8C%96%E7%AA%92%E7%B4%A0

5)山下直也 神経成長因子による逆行性シグナル伝達研究の新展開 日薬理誌(Folia Pharmacol. Jpn.)vol.154,pp.84-85(2019)
https://www.jstage.jst.go.jp/article/fpj/154/2/154_84/_pdf

6)Bertland P. et al., Electrical mapping of the projections of intrinsic primary afferent neurones to the mucosa of the guinea-pig small intestine., Neurogastroenterology &Motility.,Volume.10, pp.533-542 (1998)
https://doi.org/10.1046/j.1365-2982.1998.00128.x
https://onlinelibrary.wiley.com/doi/epdf/10.1046/j.1365-2982.1998.00128.x

7)Timothy J. Hibberd, Wai Ping Yew, Kelsi N. Dodds, Zili Xie, Lee Travis, Simon J. Brookes, Marcello Costa1, Hongzhen Hu & Nick J. Spencer, Quantification of CGRP-immunoreactive myenteric neurons in mouse colon., J Comp Neurol. vol.530(18): pp.3209-3225. (2022)
doi: 10.1002/cne.25403.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/36043843/

8)P. A. Anderson, Physiology of a bidirectional, excitatory, chemical synapse., J. Neurophysiol., vol.53, pp.821-835 (1985)
https://doi.org/10.1152/jn.1985.53.3.821
https://journals.physiology.org/doi/abs/10.1152/jn.1985.53.3.821

9)Furness JB, Robbins HL, Xiao J, Stebbing MJ, Nurgali K. Projections and chemistry of Dogiel type II neurons in the mouse colon. Cell Tissue Res., vol.317(1): pp.1-12. (2004)
doi: 10.1007/s00441-004-0895-5.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/15170562/

 

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2025年1月10日 (金)

千葉ニュータウンの冬

千葉ニュータウンは観光するところなどほとんどなく、飲み屋街、ライブハウス、コンサートホールなどもないベッドタウンです。しいて言えば車で買い物をする場合、ジョイフル本田、コストコ、カインズ、メガマックス、ケーズデンキ、島忠、東京インテリア、ニトリ、イオン、ドンキなど巨大店が多数あるので便利とも言えます。冬は東京より寒いです。

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駅からの何の変哲もない夕景ですが、これを撮影した直後に立っていた花壇の縁から転落して怪我(多分軽傷)をしました💦

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冬の風物詩 印西市のゆるキャラ 「いんザイ君」 のイルミネーション
サイの一種らしい

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去年の3月末にベランダにやってきたイソヒヨドリ(幸せの青い鳥)が、厳冬の今またやってきました。このベランダを覚えていたとしたら、とても頭の良い鳥です。毎年来てくれるとうれしい。渡りの途中に立ち寄ったのかと思いましたが、今回は季節が違うので実は漂鳥なのかもしれません。

 

 

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2025年1月 9日 (木)

私の好きな写真

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そんなことを考えていたら 突然
私は見知らぬ街に放り出された
呆然と辺りを見回していると
サラがまっすぐにこちらにやってきた
そして私に「お前も仲間に入れてやるから、ここで暮らしな」
と相変わらず女王様口調で言った

いつの間にかミーナも現れて3匹で歩いていると
向こうの方にベンダーが見えた
先を歩いていたミーナが振り返って私に言った
「あの自動販売機まで せーので走ってみよう
あなただけが 私のヒーローだから」

私がミーナと走っていると
道ばたで坂井泉水が微笑んでいるのが見えた

"Hero" by Zard with English caption

https://www.youtube.com/watch?v=JJ13v49VbNk

Covers

https://www.youtube.com/watch?v=RuW3uPrYrsI

https://www.youtube.com/watch?v=XchFW34r3wU

https://www.youtube.com/watch?v=ZFQwAARIETU

 

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2025年1月 5日 (日)

続・生物学茶話257: 腸神経細胞の形態学

腸管神経系の形態学については、19世紀の半ば頃にマイスナーがマイスナー神経叢(現在は粘膜下神経叢と呼ばれることが多い)、アウエルバッハがアウエルバッハ神経叢(現在は筋層間神経叢または腸管筋神経叢と呼ばれることが多い)を発見したことが端緒になっていますが(図257-1)、これらを構成する神経細胞の形態については、ロシアの神経学者アレクサンダー・ドギエルの19世紀末から20世紀初頭にかけての研究が現在でも基準となっています。しかし現在手軽に読めるドギエルの論文はとても少なく、唯一1895年の「Zur Frage uber den feineren Bau des sympathischen Nervensystems bei den Saugethieren」(1)という論文も4980円支払わないと読めないので諦めました。その代わりにエルランゲン‐ニュルンベルク大学のブレーマーの総説(2)を手がかりとして、腸神経細胞の形態学を探訪したいと思います。

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図257-1 腸縦断面の模式図

図257-1は前回の図256-1と同じものです。256では腸の蠕動運動は神経がなくてもカハール間質細胞がペースメーカーとなって自動的に行われることを述べました(3)。では腸神経は何をやっているのでしょうか? おそらく先カンブリア時代からやっていたことが2つあると思います。ひとつは餌が腸にあることを感知して腸をはたらかせ、無い時には休ませるということです。これは大きなエネルギーの節約になります。いまひとつは有害なものを取り込んだときに排出する作業です。これらの作業を行うためには神経だけでなく、センサーとしての上皮細胞の分化も必要です。たとえば痛みを感じたときに全力で蠕動運動を開始することは有益だったでしょう。

腸神経がどのような形態をとっているかは現在でも完全には解明されておらず、議論の対象になっています。たとえば脳科学辞典の腸管神経系の項目には筋層間神経叢における一酸化窒素を神経伝達物質とする神経の形態が示されています(4、図257-2)。これによれば数個の細胞が近接して集合体を作り、それぞれの集合体は軸索や樹状突起を出して連絡しています(図257-2A)。また集合体は1種類のニューロンで構成されるのではなく、別の神経伝達物質を使用するニューロンも共存しています(図257-2B)。

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図257-2 モルモット腸管筋神経叢の免疫染色

ドギエルが報告したとされている TypeI、TypeⅡ、TypeⅢ のニューロンの形態図が脳科学辞典にあったので貼っておきます(4、図257-3)。TypeI は普通のニューロンで、1本の軸索と多数の樹状突起がみられます。TypeⅡ は軸索が枝分かれしているか複数本あって、樹状突起は極めて少ないタイプです。TypeⅢ は軸索は多分1本ですが枝分かれしていて、樹状突起も非常に長く複雑に枝分かれしています。Portbury らが1995年に報告したTypeⅢの図には、軸索が消化管と並行の方向に延びていること、軸索が枝分かれして複数のニューロンに接続していることなどが示されています(5、図257-4)。

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図257-3 ドギエルの古典的な神経細胞形態図と分類

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図257-4 ドギエルTypeIIIニューロンの模式図

細胞の形態が現在でも議論になっているというのは珍しい例だと思いますが、ブレーマーは腸神経系のニューロンの形態をまとめた総説を2021年に出版しています(2)。その中で筋層間神経叢(アウエルバッハ神経叢)にみられるとされているニューロンの一部を図257-5に示します。

TypeI は樹状突起の形態によって"stubby"型と"spiny"型に分けられています。TypeⅡは軸索が複数あるタイプと枝分かれしているタイプがあり、さらに樹状突起があるタイプとないタイプがあります(2、図257-5)。複数の軸索状突起が本当に軸索かどうかについては、1990年にヘンドリクスらが軸索であることを電気生理学的にモルモットで確認しています(6)。その伝達読度は0.23m/秒ということです。腸神経のニューロンは一般的にミエリン鞘で覆われていないので、伝達速度は高速ではありません。実は図257-5では軸索はカットしてあり、最後までトレースすると異常に絡まりあったり分岐している長大で複雑な構造であることが分かっています(11)。

TypeⅡは変わったタイプのニューロンですが、ヒトの全筋層間ニューロンの10%位を占めコリナージックであること、カルレチニン、ソマトスタチン、サブスタンスP、CGPR(calcitonin gene-related peptide)などが検出されることなどが分かっています。TypeⅡのニューロンは実は感覚ニューロンで軸索における情報伝達が逆行性であることが示されているのですが(11)、両行性かもしれません。このあたりは稿を改めてとりあげたいと思っています。

TypeⅢもドギエルが1899年にモルモットの大腸にあることを報告しましたが、スタックがブタの小腸にもあることを報告したのは100年近く経過した1982年でした(7)。ヒトの小腸での存在が確認されたのは2004年です(8)。いかに腸神経系の研究が軽視されてきたかがわかります。TypeⅢの特徴は軸索は1本で、樹状突起がよく発達していて長いことです(図257-5)。TypeⅤはブタの小腸でスタックが発見しました(9)。ヒトにも存在することは確認されています。コリナージックなニューロンですが、樹状突起の途中から軸索が出ているように見えます(図257-5)。

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図257-5 筋層間神経叢ニューロンの形態  ax:axon

ここまで述べてきた様々な形態のニューロンは、筋層間神経叢(アウエルバッハ神経叢)で見つかったものですが、では粘膜下神経叢(マイスナー神経叢)のニューロンはどのような形態なのかを図257-6に示します。筋層間神経叢のニューロンの形態もドギエルの時代から報告はあるのですが、それほど詳しくは研究されてないようです。軸索は概ね1本で、樹状突起は発達しているタイプとほとんどないタイプがあるようです(2、図257-6)。またコリナージックなタイプと一酸化窒素性を使うタイプがあります(2)。

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図257-6 粘膜下神経叢ニューロンの形態

 

参照

1)Dogiel, A.S. Zur Frage uber den feineren Bau des sympathischen Nervensystems bei den Saugethieren. Archiv f. mikrosk. Anat. 46, 305?344 (1895).
https://doi.org/10.1007/BF02906657

2)Axel Brehmer, Classification of human enteric neurons., Histochemistry and Cell Biology vol.156, pp.95-108 (2021)
https://doi.org/10.1007/s00418-021-02002-y

3)続・生物学茶話256: 蠕動運動
https://morph.way-nifty.com/grey/2024/12/post-d46b60.html

4)脳科学辞典: 腸管神経系
https://bsd.neuroinf.jp/wiki/%E8%85%B8%E7%AE%A1%E7%A5%9E%E7%B5%8C%E7%B3%BB

5)Portbury, A.L., Pompolo, S., Furness, J.B., Stebbing, M.J., Kunze, W.A., Bornstein, J.C., & Hughes, S., Cholinergic, somatostatin-immunoreactive interneurons in the guinea pig intestine: morphology, ultrastructure, connections and projections. Journal of anatomy, vol.187 ( Pt 2), pp.303-321 (1995)
https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC1167426/pdf/janat00130-0045.pdf

6)Hendriks R, Bornstein JC, Furness JB, An electrophysiological study of the projections of putative sensory neurons within the myenteric plexus of the guinea pig ileum. Neurosci Lett., vol.110(3): pp.286–290 (1990)
doi: 10.1016/0304-3940(90)90861-3
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/2325901/

7)Stach W., Neuronal organization of the myenteric plexus (Auerbach) in the swine small intestine. III. Type III neurons. Z Mikrosk Anat Forsch vol.96(3): pp.497–516 (1982)
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/7148094/

8)Brehmer A, Blaser B, Seitz G, Schrödl F, Neuhuber W., Pattern of lipofuscin pigmentation in nitrergic and non-nitrergic, neurofilament immunoreactive myenteric neuron types of human small intestine. Histochem Cell Biol vol.121(1): pp.13–20 (2004)
DOI: 10.1007/s00418-003-0603-7
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/14663589/

9)Stach W., Neuronal organization of the myenteric plexus (Auerbach's) in the pig small intestine. V. Type-V neurons. Z Mikrosk., Anat Forsch vol.99(4):pp.562–582 (1985)
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/7210798/

10)Kustermann A, Neuhuber W, Brehmer A., Calretinin and somatostatin immunoreactivities label different human submucosal neuron populations. Anat Rec (hoboken) 294(5):858–869. (2011)
https://doi.org/10.1002/ar.21365
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/21416629/

11)John B. Furness . Heather L. Robbins . Junhua Xiao .Martin J. Stebbing . Kulmira Nurgal., Projections and chemistry of Dogiel type II neurons in the mouse colon., Cell Tissue Res vol.317: pp.1–12 (2004)
DOI 10.1007/s00441-004-0895-5
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/15170562/

 

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2025年1月 3日 (金)

マエストロ 高関健

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私は大晦日には「私の紅白歌合戦」が終わると、テレビ東京でオーチャードホールのカウントダウンを見ることにしています。今年はマエストロ高関の指揮でした。彼のサイトを見ると「もうどうでもよくなった」などと書いてありましたが、これは嘘偽りで予想通りぴったり12時に終了。東フィルもいつになく緊張して演奏しているように思いました。
https://www.youtube.com/watch?v=dk930sZPHvU

彼は桐朋で斎藤氏や小澤氏の指導を受け、カラヤンのアシスタントを6年もやっていたという文句なしのエリート経歴の指揮者です。私も数回以上彼が率いる東京シティフィルの演奏を聴いていますが、がっかりしたことは一度もありません。ですが不思議なことにメジャーなオケ(N響・都響・読響・東フィル)を指揮する機会は非常に少なく、カウントダウンへの起用も69才ではじめてだそうです。

都響アーカイヴをみてみると、ここ12年くらいの出演はありません。それ以前の記録を見ると曲目がなんとも地味すぎで、これでは人気がでるわけないと納得させられました。

2012年:北爪道夫:地の風景
北爪道夫:クラリネット協奏曲
リゲティ:ロンターノ
リゲティ:ピアノ協奏曲

2012年:松平頼暁:コンフィギュレーションⅠ、Ⅱ
松平頼暁:オーケストラのための螺旋
ベリオ:協奏曲第2番「エコーイング・カーヴ」(ピアノと2つの楽器群のための)(日本初演)

2007年:間宮芳生:合唱とオーケストラのためのコンポジション第4番 《子供の領分》
小倉 朗:管弦楽のための舞踊組曲
バルトーク:2台のピアノと打楽器と管弦楽のための協奏曲
バルトーク:舞踊組曲 Sz.77

2004年:松平頼則:ピアノと管弦楽のための3楽章
篠原 眞:ソリチュード(孤独)
夏田鐘甲:管弦楽のための音楽《伽藍》
吉田隆子:組曲《道》 (1948)
倉知緑郎:バレエ音楽《天使たちは正しい》

2003年:鈴木博義:モノクロームとポリクローム
武満 徹:ソリチュード・ソノール
福島和夫:月魄
呉 泰次郎:ヴァイオリン協奏曲第3番 ロ短調 《花》
黛 敏郎:音楽の誕生

こんなカルト企画をホイホイ引き受けていたのが問題だったのでしょう。都響が日本の楽壇にいい顔ができるように利用されたのかもしれません。現在ではほとんど演奏されない曲ばかりです。もちろん選曲にはマエストロもかかわっているでしょうから、自らの責任もあるのでしょうが・・・。

マエストロ高関は野鳥の愛好家でⅩにたくさんの鳥の写真の投稿があります。
https://x.com/KenTakaseki?ref_src=twsrc%5Egoogle%7Ctwcamp%5Eserp%7Ctwgr%5Eauthor

もう年も年だし、シティフィルの若者たち(↓)とガヤガヤ楽しく音楽を作っていった方が彼も幸福なのではないかと思います。そうそう、静響の首席もやっているのですが、こちらも若手の団員が多いですね。

Ndvn

 

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2025年1月 1日 (水)

謹賀新年

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https://www.youtube.com/watch?v=hwNjSyfovio

このブログのアドレスが変わりました

http → https となりました

本年もよろしくお願い申し上げます

 

 

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2024年12月26日 (木)

2024 私の紅白歌合戦

寒さ厳しきおりから読者の皆様にはお元気でお過ごしでしょうか? 

今年も1年お付き合いくださいまして誠に有難うございます。できればこの年末用セットリストにもお付き合いくださるとうれしく存じます。私は毎年このセットリストを作成して、NHK紅白歌合戦の時間に裏番組として楽しんでおります。YouTube にアップしてくださった方々に感謝致します。

このあと、お正月までのしばしの間お休み致します。
では皆様 良いお年をお迎えくださいませ。

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1M もしも僕に / 優里
https://www.youtube.com/watch?v=HTnmJATscdU

柏駅のデッキにて

1F やさしさに包まれたなら / M'size
https://www.youtube.com/watch?v=C2ldDYn5wlk

この声好き

2M サマーバケーション / 村田和人&竹内まりや
https://www.youtube.com/watch?v=FvATwshC4B8

最近の歌にはペーソスが欠乏していると思います

2F 思い出のサントロペ / 奥田晶子
https://www.youtube.com/watch?v=nONcKvGq17k

昔NHK紅白歌合戦では必ずシャンソンもセトリにはいっていました

3M 愛にできることはまだあるかい / Radwimps
https://www.youtube.com/watch?v=EQ94zflNqn4

体にじわじわ浸透してくる感じ

3F 終止符(ピリオド)/ 保科有里
https://www.youtube.com/watch?v=JIM8Hl5buvY

あの夢グループの保科有里

4M 壊れかけの Radio / 徳永英明
https://www.youtube.com/watch?v=C7QVaahn44A

古い記憶がよみがえる

4F 誰がために鐘は鳴る / まきちゃんぐ
https://www.youtube.com/watch?v=BtuSpn1h9z4

天才シンガーソングライター 

5M Elton John - I'm Still Standing
https://www.youtube.com/watch?v=ZHwVBirqD2s

私もまだ立ってるよ

5F Vivo per Lei - カレッタとマーク・アンドレ
https://www.youtube.com/watch?v=k0QvkOPpN_4

コントラバスと美声のナイスコラボ

=================

6M タンホイザー ピルグリムコーラス DRSO DR Koncertkoret Lawrence Foster
https://www.youtube.com/watch?v=fjD126tBlnQ

特に後半の女声コーラスが圧倒的

6F カッチーニのアヴェ・マリア エリーナ・ガランチャ
https://www.youtube.com/watch?v=iNaEpmNqeQY

世界で最も美しい声

=================

7M そしてイニエスタ 森山直太朗
https://www.youtube.com/watch?v=mAsgJnvVgK8

昔のバルサはよかった などと言いたくなります

7F ハムカツサンド 鈴木亜紀
https://www.youtube.com/watch?v=_XsOfMc4qUs

さすらいのシンガーソングライター

8M ビッグスカイ 中川五郎
https://www.youtube.com/watch?v=Qnu9Ms6FiZg

素晴らしい辞世の歌

8F 銀座カンカン娘 蜜
https://www.youtube.com/watch?v=6hgUGbZpwEI

私の親の世代の曲 よく選曲しましたね

9M SMILE〜晴れ渡る空のように〜 桑田佳祐
https://www.youtube.com/watch?v=HcaMkpdkN_4

是非国民栄誉賞を彼に

9F 桜坂 熊木杏里
https://www.youtube.com/watch?v=3A24G0ffclQ

ティーンエイジャーの頃の映像

10M レンガ通り 村下孝蔵
https://www.youtube.com/watch?v=ak9QPtAqHgU

つらく短い人生 安らかに眠れ

10F 池上線 西島三重子
https://www.youtube.com/watch?v=IsB7jJS49tQ&list=RDIsB7jJS49tQ&start_radio=1

なんと年末に交通事故とは(頭蓋骨・仙骨骨折) ご恢復を祈っております

=================

11M いつの日にか 矢沢singバラード企画
https://www.youtube.com/watch?v=j8XfhkDzn8E

やってくれますねえ

11F The way we were   Lucy Thomas
https://www.youtube.com/watch?v=fduZDYKFl04

ルーシーのYouTubeサイトにはフォロワーが100万人以上いるそうです

12M 光と影の季節 浜田省吾
https://www.youtube.com/watch?v=HHs5pX__DKo

昭和のヒーロー

12F Memories 森高千里
https://www.youtube.com/watch?v=duc81YNX6kM

昭和のヒロイン

13M Nothing's Gonna Change My Love For You - Music Travel Love ft. Bugoy Drilon
https://www.youtube.com/watch?v=bTCJ2ehryj8

世界を旅する歌人

13F ロビンソン 絢香
https://www.youtube.com/watch?v=U8HT8JuLS1M

ステージバージョンよりいい感じ

14M W/Ⅹ/Y Tani Yuuki
https://www.youtube.com/watch?v=mp2-w15SXms

私にもわかる音楽

14F シンクロニシティ― 竹内まりや
https://www.youtube.com/watch?v=yUcRcr0qlxg

達郎は下を向いて顔が映らないようにしている なぜ?

15M Let it be 林芳正
https://www.youtube.com/watch?v=kfsv8msCRfQ

官房長官

15F 私は風 中森明菜
https://www.youtube.com/watch?v=fi25Q-PtVdk

至宝

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おしまい

 

 

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2024年12月24日 (火)

続・生物学茶話256: 蠕動運動

「続・生物学茶話252: 腸神経」で、ヤツメウナギの腸神経は脳脊髄神経とは別の場所に発生の起源をもち、独立に働くというグリーンらの仕事を紹介しました(1)。マウスでは迷走神経堤から発生した脳脊髄神経が腸にも伸びてきて、腸神経と二重に腸を制御することになり制御の様式が複雑になりました(1)。しかし腸の蠕動運動そのものは、1917年にトレンデレンブルクが「モルモットの腸を切り出し内部に圧力をかけると試験管内で何時間でも蠕動運動を行う」ということを実験で示して、腸の基本的活動が中枢神経系とは独立に行われ得ることがわかっています(2)。この論文は2006年に復刻出版されています(3)。さらに21世紀にも追試されて確認されています(4)。

脊椎動物が地球上に生まれる前から存在していたに違いない腸神経が、脳脊髄神経系と比較してどんな特徴を持っているかは非常に興味深く感じられますが、とりあえずそれはさておいて、Sharkey と Mawe が作成した腸内部の表面から筋層に至るまでに存在する組織・細胞のイラスト(管理人が日本語で加筆)を図256-1に示します。上皮細胞についてはすでに「続・生物学茶話253: 腸を構成する細胞」で説明しておりますので興味ある方はご覧ください(5)。

上皮と接する皮下組織は上皮細胞からの情報を神経末端が受け取る重要な場所であり、また様々な免疫細胞が感染を防ぐために活動する場所でもあります。平滑筋は3層あり、腸を口方向-肛門方向に伸長・収縮させる筋と、腸の内径を大きくしたり小さくしたりする筋があります。真ん中の筋層が後者であり、上下の筋層が前者です。真ん中の筋層より上皮に近い方の皮下組織を粘膜下層と呼び、その内部に粘膜下神経叢(マイスナー神経叢)があります。それより筋層を経て内部に筋層間神経叢(腸管筋神経叢・アウエルバッハ神経叢)があります。実際には神経叢があるスペースはこの模式図よりずっと狭いのですが、便宜上広く描いてあります(図256-1)。

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図256-1 腸管縦断面

ところで腸神経に興味を持って調べていたところ、実は消化管の蠕動運動は神経がなくても可能で、心臓のように非神経性のペースメーカーがあってそのリズムによって制御されているそうです(6、7)。そのペースメーカーはカハールの間質細胞(Intersti-tial cells of Cajal : ICC)という名前の、カハールがおそらく19世紀に発見した細胞で(正確な年代は不明)、主に筋層間神経叢(myenteric plexus)と重なる位置に存在します。図246-1には描いてありません。この細胞は細胞膜のレセプター型チロシンキナーゼであるC-KITを発現しているので、現在ではこれをマーカーとして同定できます(8)。福井大学医学部解剖学教室のホームページに美しい写真が掲載されていました(9、図256-2)。

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図256-2 マウス筋層間神経叢領域のカハール間質細胞=カハール介在細胞(緑)とニューロン=消化管神経叢(赤)

カハールの間質細胞は場所によっては神経叢のニューロンより圧倒的に稠密に存在しています(図256-2)。この細胞群は相互におよび平滑筋細胞とギャップ結合を形成しており、シナプスを介さず興奮を伝えることができます。活動電位発生のメカニズムは、中村らによるとミトコンドリアのプロトンポンプの活動がカルシウムイオンの濃度変化をもたらし、最終的に細胞膜のカルシウム感受性イオンチャネルが活性化されて電位変動が引き起こされることによるとしています(10)。

カハール間質細胞はC-KITを発現していると述べましたが、C-KITが欠損するとマウスは体毛・色素細胞・赤血球・マスト細胞・生殖細胞を欠損し生まれることができません。そこでC-KITヘテロのマウスとC-KITの細胞外領域だけが正常であるマウスをかけあわせた変異マウスを作成すると、粘膜下神経叢領域にはカハール間質細胞が存在するが筋層間神経叢領域には存在しないというマウスが生まれました。このマウスではペースメーカーがつくる規則的な電位変化はみられず規則的な腸の運動はおこりませんでしたが、不規則な運動は発生しました(7、11)。このことから確かに筋層間神経叢領域のカハール間質細胞はペースメーカーの役割を果たしていると思われますが、ペースメーカーがなくても腸が活動を停止するわけではないことがわかりました。粘膜下神経叢領域のカハール間質細胞が何をやっているかは不明です。もちろん腸の活動は消化すべき食料が中に存在するかどうかによって左右されるわけで、それは腸神経によって go or stop が制御されています。

このように考えると、腸の蠕動運動という観点から図256-3のような腸の進化が考えられます。口-腸-肛門という3点セットが整備されて腸の筋肉が活動するようになって、はじめて大型の餌を食べることができるようになります。さらに餌があるときだけ腸を活動させることによって効率的な消化ができるようになります。5を行うためには脳脊髄神経系の支配をうけなければなりませんが、これは明らかにカンブリア紀になってからの進化です。

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図256-3 蠕動運動から見た腸の進化

図256-3のなかで4までは先カンブリア時代においても、かなり進化することによるアドバンテージがあると思われます。ですからおそらくカンブリア紀の入り口までに、私たちの祖先生物では4まで到達していたと想像できますがどうでしょうか。5を行うためには脳脊髄神経系の支配をうけなければなりませんが、これは戦闘や逃亡が必要になったカンブリア紀になってからの進化でしょう。

腸の蠕動運動という観点とは別に、免疫や共生細菌という観点からの進化もあるので、これらは別途考えなければなりません。


参照

1)続・生物学茶話252: 腸神経
https://morph.way-nifty.com/grey/cat5925431/index.html

2)Trendelenburg P. Physiological and pharmacological investigations of small intestinal peristalsis. Translation of the article “Physiologische und pharmakologische Versuche uber die Dunndarmperistaltik”, Arch. Exp. Pathol. Pharmakol. vol.1, pp.55-129, 1917.

3)Trendelenburg, P. Physiological and pharmacological investigations of small intestinal peristalsis. Naunyn Schmied Arch Pharmacol vol.373, pp.101?133 (2006). https://doi.org/10.1007/s00210-006-0052-7
https://link.springer.com/article/10.1007/s00210-006-0052-7#citeas

4)Dominik Schreiber, Viktor Jost, Michael Bischof, Kristina Seebach, Wim JEP Lammers, Rees Douglas, Karl-Herbert Schafer, Motility patterns of ex vivo intestine segments depend on perfusion mode., World J Gastroenterol vol.20(48): pp.18216-18227 (2014)
DOI: 10.3748/wjg.v20.i48.18216
file:///C:/Users/Owner/Downloads/Motilitypatternsofexvivointestinesegmentsdependonperfusionmode.pdf

5)続・生物学茶話253: 腸を構成する細胞
https://morph.way-nifty.com/grey/2024/12/post-973808.html

6)Malysz J, Thuneberg L, Mikkelsen HB, Huizinga JD. Action potential generation in the small intestine of W mutant mice that lack interstitial cells of Cajal. Am J Physiol. vol.271: G387-G399 (1996)
DOI: 10.1152/ajpgi.1996.271.3.G387
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/8843760/

7)Dickens EJ, Hirst GDS, Tomita T. Identification of rhythmically active cells in guinea-pig stomach. J Physiol(Lond) vol.514, pp.515-531, (1999)
doi: 10.1111/j.1469-7793.1999.515ae.x.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/9852332/

8)Yu Chen, Tambudzai Shamu, Hui Chen, Peter Besmer, Charles L. Sawyers, Ping Chi, Visualization of the Interstitial Cells of Cajal (ICC) Network in Mice., J.
Vis. Exp. (53), e2802, doi:10.3791/2802 (2011).
https://www.jove.com/video/2802

9)福井大学医学部解剖学教室HP カハール介在細胞 ICC: interstitial cells of Cajal
https://www.med.u-fukui.ac.jp/laboratory/anatomy/icc/

10)中村江里 他 胃平滑筋の自発活動発生機序 日薬理誌(Folia Pharmacol. Jpn.)vol.123, pp.141-148 (2004)
https://www.jstage.jst.go.jp/article/fpj/123/3/123_3_141/_pdf

11)高木都 魅力ある講義と生理学教育(消化器)テーマ:消化管運動の発生機序並びに自律神経性制御 日本生理学雑誌 vol.68(7・8) pp.253-261, 2006
https://cir.nii.ac.jp/crid/1010282256961623048
http://physiology.jp/wp-content/uploads/2014/01/068070253.pdf

 

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2024年12月22日 (日)

井上道義 最後のオペラ

今日(12月22日 日曜日)午後九時から 井上道義 最後のオペラ
プッチーニ作曲「ラ・ボエーム」が Eテレで放映されます
彼はきちんと指揮ができているうちに引退したいというダンディな指揮者です

Yahoo News
こちら

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指揮:井上道義
演出・振付・美術・衣裳:森山開次
出演

ミミ:ルザン・マンタシャン
ロドルフォ:工藤和真
ムゼッタ:イローナ・レヴォルスカヤ
マルチェッロ:池内響
コッリーネ:スタニスラフ・ヴォロビョフ
ショナール:高橋洋介

私の最も好きな歌です
ミレッラ・フレーニの「私の名はミミ」

1965年のスカラ座映像
https://www.youtube.com/watch?v=yTagFD_pkNo

東京のコンサートにて(年不明)
https://www.youtube.com/watch?v=hGO5fEfrHEU

 

井上道義 このダンディな指揮ぶりを見よ
https://www.youtube.com/watch?v=D4lEJQGQ8oI


https://x.com/daibutsumichiko
https://x.com/michiyoshi_web/status/1860682554791325970

FB
https://www.facebook.com/michiyoshi.inoue.jp/?locale=ja_JP

番外編 のんちゃんとコロナ
https://www.youtube.com/watch?v=dP1zUgIn4tk

私としては 彼の指揮者としての最後の年に LvB「田園」交響曲を都響の
演奏で聴けたのはよい思い出になりました 2019年にミューザ川崎で
ブルックナー交響曲第8番を聴けて、かつ若い頃の思い出話を聞けたのも
心に残っています といっても彼の思想にはついていけませんが💧


 

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2024年12月21日 (土)

ペリー来航の絵に寄せて

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ペリー来航の絵(ヴィルヘルム・ハイネ) ウィキペディアより

ペリーが1854年に日本に来航し久里浜に上陸したときの絵は有名で、ほとんどの日本人が見たことがあると思いますが、とても精密に描いてあってまるで写真のようです。いったい誰が描いたのだろうかという疑問を抱きました。調べてみるとそれはヴィルヘルム・ハイネという人だそうです(1)。ローレライの歌で有名なあの詩人ハイネとは別人です。

彼はドレスデンの生まれで当地で育ち、絵画や建築の勉強をしていましたが、成人になる頃(1849年)ドレスデン5月蜂起という民主派vs王政派の歴史的戦闘があって、彼は民主派として友人の音楽家ワーグナーやすでに革命家として有名であったバクーニンらと共に戦いました。民主派は敗北し、ハイネはワーグナーと共にパリに亡命し、さらにアメリカ合衆国に渡りました。ここで中米外交官の仕事を得て、大統領とも知り合いになり、ペリーに随行して日本遠征に加わることになりました。

私はペリーは太平洋を横断して日本にやってきたとばかり思っていましたが、それは間違いで彼らは大西洋を横断し、アフリカ大陸の南端を回ってインド洋経由で日本にたどり着いたそうです。燃料の確保に不安があったようです。ハイネはその後も何度も江戸時代の日本にやってきて、3度目の1860年には、シベリアの監獄から脱出して日本に来ていた旧友のバクーニンにも横浜で会っています。バクーニンとハイネはおそらく太平洋経由で米国に渡航し、バクーニンはさらに中米経由で欧州に帰りました。

私が見た中で最も印象深い映画の一つである 篠田正浩監督 イアン・グレン&本木雅弘主演 の「スパイゾルゲ」というのがあります(2)。ゾルゲは日本のドイツ大使館にスタッフとして潜り込み、日本とドイツの情報を得ていました。この映画のなかで、ゾルゲの上司がバクーニン派だったために粛清されて、ゾルゲはスパイでありながら故国ロシアに帰国できなくなったという話を思い出しました。ゾルゲはその正体が露見して政府によって処刑されましたが、墓は多磨霊園にあります(3)。愛人であった石井花子が戦後、雑司ヶ谷で白骨になっていたゾルゲの死体を探し当て、多磨霊園に改葬したそうです(4)。

e-徒然草にあった石井花子の画像

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1)ウィキペディア:ヴィルヘルム・ハイネ(Peter Bernhard Wilhelm Heine)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%B4%E3%82%A3%E3%83%AB%E3%83%98%E3%83%AB%E3%83%A0%E3%83%BB%E3%83%8F%E3%82%A4%E3%83%8D

2)映画「スパイ・ゾルゲ」予告
https://www.youtube.com/watch?v=vzSLe58G6FY

3)リヒャルト・ゾルゲ:伝説のスパイの足跡を訪ねて
https://www.nippon.com/ja/guide-to-japan/gu007005/

4)石井花子
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%9F%B3%E4%BA%95%E8%8A%B1%E5%AD%90


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ふむふむ 寒い寒い 丸まって寝よー

 

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2024年12月19日 (木)

来年もまたコメ不足騒ぎが起きるのか

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今年の9月にはわが国でコメがないという事態が発生しました。秋田県大潟村のリーダーである涌井徹氏(1)は、米を作る農業従事者が十数年後には現在の百三十万人から三十万人まで減少すると注意を促しています。またコメ不足の原因は50年以上続いた政府の減反政策が、農家の営農意欲を減退させたことにあると指摘しています。

ともかく主食くらいは自国で生産しなければ乞食国家になってしまいます。この人手不足は数年以内に何とかしなければ大変なことになるので、外国人の移住促進しか方法はありません。

これには反対する人々もいますが、たとえばラグビーの日本代表チームのメンバーをみてください(2)。どこの国のチームかわからないくらい外国系の選手満載です。それで不祥事など起きていません。日本の国技である大相撲はかなり前からモンゴル人によってささえられていますし、野球・サッカー・卓球・バスケ・陸上みんな外国系の人々によってささえられています。農業がそうなっても不思議はないでしょう。


1)ウィキペディア:涌井徹
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B6%8C%E4%BA%95%E5%BE%B9

2)ラグビー日本代表
https://www.rugby-japan.jp/japan/member/

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コメ食べないからって爆睡はないだろう 話くらい聴けよ・・・

 



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2024年12月15日 (日)

カスハラより100倍も重要な問題

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それは ダメ 💢💢

@nifty News
まさに泥棒に追い銭!「イオンカード」が不正利用被害で利用停止後も狙われ続ける驚きの理由
https://news.nifty.com/article/domestic/society/12311-3652075/

このブログに11月26日付でメールポストのジャンク化について記事を書きましたが
https://morph.way-nifty.com/grey/2024/11/post-d248b2.html

そのなかにはイオンを装った偽メールもありました。マスコミは今カスハラがどうのこうのと言っていますが、その100倍も問題なのは企業がカスタマーと直接対応するのを嫌って、まともに電話で対応するのを逃げていることです。メール対応だと返事をしなければいいのですから企業は楽なものです。返事をしたところで木で鼻を括ったような感じて、「ともかく返事はしたよ」では困ります。私自身もある企業の日本支店と10回くらいメールのやり取りをしても全くらちが明かず、ドイツの本店とやりとりして初めて向こうが陳謝したということがありました。

今回のようなカード不正利用のケースでは、イオンなど誰でも利用する一流企業からのメールが一番危険なので、最低でも電話対応は必須です。勝手にイオンカードで買物されて、「解約しようとしてもなかなか対応してくれないのでどんどんその間にも買い物をされてしまう」という地獄のような状況のようです。窓口対応だと胸倉つかまれても不思議ではありません。そのくらいの恐怖感がないと企業はカスタマーに対してまともに対応しようとしません。もしクレーム用有人窓口があれば、おそらくその日のうちに解約できたのではないかと思います。人が押しかけて騒ぎになるので、無理してもそうするでしょう。

ですから企業のクレーム対応が悪すぎる&遅すぎる方に問題があると言いたいのですが、それはそれとして企業も犯罪者のせいで迷惑を受けているわけですから、一番悪いのはその犯罪者、その次に悪いのは偽メールを取り締まらない警察です。そして経済活性化のためとか言って、個人情報のパブリック化を事実上推進している役所にも責任があります。企業に対してカスタマーは圧倒的に弱い立場にあるということも、役所やマスコミに認識してもらわなくては困ります。

 

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2024年12月13日 (金)

続・生物学茶話255: 腸の起源をさぐる

ヒトが分類学上所属するアモルフェアというスーパーグループの生物はすべて従属栄養です(1)。すなわち光合成ができないのでエネルギーを得るには餌を食べるしかない、いわば他の生物に依存する寄生的生物といっても良いかもしれません。そういうやり方で生きるためには、有機物を体に取り込むことが必要です。取り込む方法にはあまりバラエティーはなくて3種類しかありません。それは・・・

A.糖やアミノ酸をトランスポーターを使って細胞膜を透過させ、細胞内に取り込む
B.細胞膜で餌を包み込み、包みの中のpHを下げて餌を分解して栄養物質を得る
C.細胞外に消化酵素を分泌して餌を分解し、1)または2)の方法で栄養物質を細胞内に取り込む

Aは私たちも含めてすべての従属栄養生物が行っている方法です。つまりこれを行うための遺伝子やメカニズムは10億年レベルで保存されています。しかし1)の方式では低分子レベルのものしか取り込めないので得られるエネルギーは少ないのが欠点です。Bの方式はかなり複雑で、実行するためにはいくつかの新機軸が必要です。まず細胞膜で餌を包み込むメカニズムを開発しなければなりません。次にとりこんだ包みの内部で消化を行わなければいけません。消化酵素を投入したいのですが、包みの中には遺伝子がなくDNAから情報を得て酵素を合成・調達することはできません。かと言ってもとから消化酵素があれば自分が消化されてしまいます。

そこで普段は不活性な酵素をあらかじめ用意しておいて、包みの中のpHを下げることによって活性化するというメカニズムを開発した生物がいて、その方式を連綿と受け継いでいる子孫の一種が私たちであるわけです。単細胞生物のゾウリムシなどもすでにこのメカニズムを獲得していて、餌を食胞(food vacuole)にいれて内部のpHを下げ消化するということをやっています(2、3、図255-1)。

図255-1を見て、ゾウリムシが cytoproct=細胞肛門という構造を持っていることに気が付き、知らなかったのでちょっとびっくりしました。彼らはもちろん腸はもっていませんが、食胞の通路というのは多分あるのだと思いました。

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図255-1 ゾウリムシ

Bの方式を採用することによって、Aだけの場合とくらべて細胞はサイズを1000倍くらいの体積に拡大することができました。それが真核生物の細胞の普通のサイズです。ゾウリムシは単細胞ですが、私たちの体の細胞よりずっと大きく大腸菌の体積の10万倍以上あるでしょう。Bの方式は餌を消化するだけではなく、真核生物にとって有害な細菌やウィルスを取り込んで無害化するという目的のためにも用いられるようになり、私たちの場合はむしろそちらの方がメインになっています。

Cの方式はおそらく単細胞生物で成功した者はいません。多細胞生物となって腸を形成し、その中に消化酵素を分泌することによって実現することができます。単細胞生物だと外に消化酵素を出しても普通は拡散してしまうので非効率です。ここに腸の存在意義があります。生物学でいう動物すなわちメタゾア(後生動物)はすべて多細胞生物ですが、これと最も近縁な単細胞生物が襟鞭毛虫です。私たちの精子とよく似た生物ですが、彼らは鞭毛の周りに立てた襟のような構造物を持っていて、なかには立襟鞭毛虫と呼んでいる人々もいます(4)。立襟のなかに餌を集めて細胞に取り込みます。ここに消化酵素を放出して消化するという報告はないので、おそらくC方式はやっていないのでしょう。

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図255-2 襟鞭毛虫

襟鞭毛虫は本来単細胞生物には必要がなさそうなカドヘリンという細胞接着に必要な物質や、他の細胞に情報を伝えるためのシグナル伝達因子を持っており(4)、多細胞生物まであと一歩というところまできているような生物です。実際に群体のような形をつくることもあるようです(5、図255-2)。横につながることができれば円をつくることができ、円を重ねると竹輪型の構造を形成することができます。それはもう腸の原型でしょう。彼らは約2万個の遺伝子を持っており、これは人の遺伝子数約2万6千にかなり近い数です(4)。

初期の海綿動物は骨格(炭酸カルシウムやシリカからなる)を持たなかったと思われるので、化石としては残りにくいですが、わずかな骨格を持つものがエディアカラ紀の地層からみつかっています(6、7)。おそらく最初は襟鞭毛虫の群体から進化したと思われます。シンプルなタイプの海綿の細胞(襟細胞)は襟鞭毛虫と酷似しています。現在は図255-3に示されているように、シンプルなタイプから、非常に複雑な構造を持つタイプまでバラエティーに富む種類が繁栄しています(8)。

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図255-3 海綿動物

どのタイプも体の中心にアトリウムというパイプ状の構造を持っていますが、これはある意味腸とも言えます。ただ栄養は大部分水流がここに来るまでの細管で吸収されると思われるので、この部分の主な役割は排出腔であり、外界に開けた大孔は肛門と言えます(図255-3)。細胞が力を合わせて一定の方向に水流を作って餌を集めるのは効率的であり、また細胞が集合することによって繁殖も容易になります。集合することによる排出物の集積というデメリットはアトリウムと大孔をつくることによって解決しました。このボディープランは海中のプランクトンを餌として生きていくには大変優れたものであったに違いなく、だからこそ5億年以上前から現在に至るまで生き残って繁栄しているのでしょう。

先カンブリア時代において、海綿動物とは異なるボディープランを選択したなかに刺胞動物があります。クラゲの化石は割と多くエディアカラ紀の地層から見つかっています。しかし一部のクラゲは最近の研究では左右相称動物に近く、始原的な刺胞動物はサンゴの仲間だと考えられています(9)。サンゴの縦断面を図255-4に示しました(10)。

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図255-5 刺胞動物(サンゴ)

刺胞動物の体の構造を見る前に、ひとつ不思議なことがあります。それはほどんどの刺胞動物が刺胞(9、図255-4)という銛(モリ)のような高度な武器を持っていて、この中に毒を仕込んで餌の動物を麻痺させて取り込むという先カンブリア時代としては信じがたいほど特殊な進化をとげているということです。このことはこのような特殊な武器を持たない種は生き残ることができなかったということを意味します。

図255-4に示したように、刺胞動物は胃腔(stomach) を持っていて、これが海綿動物のアトリウムと異なるのは水流が双方向だということです。すなわちこの胃腔の出入り口となる孔は口であり肛門でもあるということです。細いパイプを通る餌を取り込む海綿の襟細胞とちがって、この広大な胃腔の餌を取り込むのは効率が悪く、また生きたままの生物を消化するのは時間がかかります。逃げられる恐れもあります。麻痺させるか殺せばトラップは完全で消化の効率も上がるので、刺胞を持つことが生存の絶対条件になったのだと思われます。いったん刺胞を獲得すれば、大きな胃腔は大きな餌をトラップすることが可能になるのでむしろメリットとなります。それにしても先カンブリア紀のクラゲはどんな餌を食べていたのでしょうか? それとも刺胞はカンブリア紀になってからの新種が獲得したもので、それ以外の刺胞を持たない刺胞動物は全部絶滅したのでしょうか?

水流を反対方向に切り替えるには細胞を協調させるメカニズムや、胃壁を動かす筋肉が必要となります。このことが神経や横紋筋の進化に貢献し、ひいては左右相称動物が出現する伏線になったのでしょう。海綿動物や固着性の刺胞動物が海底に豊富に存在することも、もちろん海底を移動して餌を探す左右相称動物が出現する前提でもあります。

 

参照

1)続・生物学茶話254: 動物分類表アップデート
https://morph.way-nifty.com/grey/2024/12/post-a39dd7.html

2)川島祥二、原田恵、菊池嘉子 ゾウリムシにおける食胞形成 連鎖菌と栄養物質 茨城大学教養部紀要(第30号)pp.61-71
file:///C:/Users/Owner/Downloads/CSI2010_1856-1.pdf

3)Wikipedia: Paramecium
https://en.wikipedia.org/wiki/Paramecium

4)隈恵一ほか 単細胞生物から動物への進化を探る
https://www.nii.ac.jp/userimg/openhouse/2010/202_kuma.pdf

5)Wikipedia: Choanoflagellate
https://en.wikipedia.org/wiki/Choanoflagellate

6)Wang, X., Liu, A.G., Chen, Z. et al. A late-Ediacaran crown-group sponge animal. Nature vol.630, pp.905–911 (2024). https://doi.org/10.1038/s41586-024-07520-y
https://www.nature.com/articles/s41586-024-07520-y

7)Nature ハイライト 古生物学:先カンブリア時代の海綿動物の証拠
https://www.natureasia.com/ja-jp/nature/highlights/127066

8)Nelly Godefroy, Emilie Le Goff, Camille Martinand-Mari, Khalid Belkhir, Jean Vacelet, et al.. Sponge digestive system diversity and evolution: filter feeding to carnivory. Cell and Tissue Research, vol.377 (3), pp.341-351. (2019) doi: 10.1007/s00441-019-03032-8
https://link.springer.com/article/10.1007/s00441-019-03032-8

9)Wikipedia: Cnidaria
https://en.wikipedia.org/wiki/Cnidaria

10)Wikipedia: Coral
https://en.wikipedia.org/wiki/Coral

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2024年12月10日 (火)

World music collection 22: Nara Sisters

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Let's listen to nara sisters!  How do you feel mina?

According to their self-introduction (1), "Nara sisters" is a unit of genetically real sisters, though they don't resemble each other. Previously they started their activities independently, but recently they resumed the new activity together as "nara sisters" .

1) Self-introduction (in Japanese)
https://www.youtube.com/watch?v=fcuBF40mH2s

For the first time, I recommend you the song written by Yuming
"Anniversary - infinitely calling you"

Now, I'm walking with you.
We have overcomed the difficulties of our younger days.
At this moment, I feel the sunshine penetrates infinitely.
Of course this morning is a usual morning.
But I feel today is the aniversary for me.

https://www.youtube.com/watch?v=WEmTXol3CN4


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Another song by Yuming  if you like

Hello, my friend (covered by Nara sisters)
https://www.youtube.com/watch?v=JdBX-enmMtk

Hello, my friend (original MV by Yuming)
https://www.youtube.com/watch?v=K6dmZhdCYs0

-------------------

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Last Christmas / Wham! in English
https://www.youtube.com/watch?v=B645hvE0VXw

Santa claus is coming to town in English & Japanese
https://www.youtube.com/watch?v=ua5ohJCXkiY

雪のクリスマス (Christmas in snow) / DREAMS COME TRUE
https://www.youtube.com/watch?v=hC7FRs3Lp_U

メリクリ / BoA
https://www.youtube.com/watch?v=LTA2d_pk6Os

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粉雪 / レミオロメン
https://www.youtube.com/watch?v=XMYFxptlr9c

マカロニ / Perfume
https://www.youtube.com/watch?v=l1MKrAN8Qvk

再会 / LiSA×Uru
https://www.youtube.com/watch?v=lwKbANKHZzY

冬のうた / Kiroro
https://www.youtube.com/watch?v=fdTlfZdACPM

-------------------

オリビアを聴きながら / 杏里
https://www.youtube.com/watch?v=KAXFkDbX5lc

ロビンソン / スピッツ
https://www.youtube.com/watch?v=G3IiXVyY09E

夏の終わりのハーモニー / 井上陽水×安全地帯
https://www.youtube.com/watch?v=I01fAOJP2K0

レイニーブルー / 徳永英明
https://www.youtube.com/watch?v=WDrYN-Quv1g

メロディー / 玉置浩二
https://www.youtube.com/watch?v=SXDDKZ2jBL4

桜 / コブクロ
https://www.youtube.com/watch?v=LAdMq_QRKWU

-------------------

Original songs:

White Season
https://www.youtube.com/watch?v=_O3Oo-l49yM

Under The Sky
https://www.youtube.com/watch?v=13pvVnKegfM

 

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2024年12月 7日 (土)

続・生物学茶話254: 動物分類表アップデート

分類学は私にとって親密なジャンルではありませんが、生物学に関心を持つ者には避けて通れない基礎知識です。普段見かけないような体長1mm位の線虫が実は地球上に3億トンも居たりするので、あなどれません(1)。

線虫はまだ脊椎動物に寄生するので、鮮魚をさばく人ならアニサキスはみたことあるでしょうし、犬を飼っている人はフィラリアには関心があるでしょう。しかしヒトの食料にはならない生物に寄生する生物や、海底の砂のすきまにいる微小生物、海にいることはわかっていても採集は不可能で、ガラス板を沈めておくとそこにくっつくのでみつかる平板動物などというのもいて(2)、現代は人の活動がもたらした生物大絶滅時代であるにもかかわらず、次々と新種がみつかり門レベルの再編成まで行われたりするので、ときどき分類表の知識をアップデートすることは必須です。

本稿はウィキペディアの「動物」という項目の記述をもとに、加筆・編集しました(3)。

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図254-1 スーパーグループ

図1はもっとも大まかな生物の分類表です。生物は非常に早い時期に光合成をする生物と光合成ができない生物に分かれたことがわかります。光合成ができない生物は当然餌を必要とします。光合成をする生物にはバラエティーがあって、炭素源が二酸化炭素だけの生物もあれば有機物を利用する生物もいます。独立栄養生物の中から二次的に従属栄養に転化した生物(TSARの一部)もいるようです。また逆に鞭毛虫のなかには葉緑体を獲得して光合成を営む者もいます。鞭毛虫の一部からアモルフェアというスーパーグループが生まれ、私たちはここに含まれます。

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図254ー2 オピストコンタ

オピストコンタはアモルフェアのなかのひとつのグループで、すべて従属栄養の生物からなります。オピストコンタとは後方鞭毛という意味で、鞭毛を動かして鞭毛がある方と反対側に進むのが特徴です。ヒトの精子も鞭毛のある側と反対側に進みます。単細胞の原生生物、襟鞭毛虫、動物のすべてのほかカビやキノコもオピストコンタに含まれます。メタゾア(後生動物)とは生物学の言葉で、動物のすべてを意味します。同じメタゾアではありますが、有櫛動物(クシクラゲなど)と海綿動物はその他の動物と非常に遺伝子や体の構成が異なっており、エディアカラ紀以前の非常に早い時期に分岐したと考えられています。その後平板動物が分岐し、さらに刺胞動物と左右相称動物が分岐します。私たちはもちろんその左右相称動物(バイラテリア)に含まれます。

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図254-3 バイラテリア

左右相称動物(バイラテリア)は口が先にできる(前口動物)か肛門が先にできる(後口動物)かで大きく2つのグループに分かれます。私たちは後口動物に含まれる生物であり、分類学的にはマイナーなグループです(種の数としては少ない)。それでも私たちを含む脊椎動物は大繁栄しています。

前口動物は脱皮動物と螺旋動物が2つのメジャーグループで、それ以外はとてもマイナーな生物群です。脱皮動物は節足動物門を含み、なかでも昆虫は100万種以上が既知の巨大なグループです。脱皮動物はカンブリア紀から現代までずっとメジャーな生物であり続けています。螺旋動物は最近できた名前で、卵割(初期発生)がらせん状に行われる生物のことを意味します。

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図254-4 螺旋動物

螺旋動物のなかでは軟体動物や環形動物がメジャーな生物です。より専門的な知見に関心がある方は文献(4)などをご覧ください。

ところでこのブログでは今腸関係の話題を扱っていますが、脱皮動物に属するエラヒキムシの形態には興味をそそられます。円筒形の体の中心にほぼまっすぐに口-腸-肛門が配置されていて、まわりを神経・筋肉・皮膚が囲み、その名前に反して鰓はなく、中枢神経や心臓血管系もなく、しかし腎臓・生殖器・腸神経・赤血球・マクロファージはあるという、とてもシンプルな基本形の生物のように思われます(5、図5)。しかもウィキペディアでも指摘しているように、この生物はカンブリア紀に生息していたオットイアとそっくりです(5、図5)。もし私が腸や腸神経の研究をしていたら、是非いじってみたい生物です。

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図254-5 鰓曳動物

 

参照

1)二井一禎 私たちの知らない線虫の世界 農業新時代 vol.1, pp.38-51(2020)
https://www.nippon-soda.co.jp/nougyo/wp-content/uploads/2023/03/001_038.pdf

2)ウィキペディア:センモウヒラムシ
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%BB%E3%83%B3%E3%83%A2%E3%82%A6%E3%83%92%E3%83%A9%E3%83%A0%E3%82%B7

3)ウィキペディア:動物
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8B%95%E7%89%A9

4)矢﨑裕規・島野智之 真核生物の高次分類体系の改訂―Adl et al. (2019) について― タクサ 日本動物分類学会誌 vol.48, pp.71-83 (2020)
https://www.jstage.jst.go.jp/article/taxa/48/0/48_71/_pdf

5)ウィキペディア:鰓曳動物
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%B0%93%E6%9B%B3%E5%8B%95%E7%89%A9#

 

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2024年12月 4日 (水)

真山仁 「地熱が日本を救う」

私たちは地球の表面に住んでいますが、地球は図1の濃い茶色で示してある地殻すなわち卵の殻のような薄い表層部分を除いて、すべて灼熱地獄です。この熱は人類が今の生活を続けるとしても、種の寿命が終わるまで(つまり人類が消滅するまで)使い続けても余りあるくらいのエネルギーを内包しています。そしてその一部は地殻をつきぬけてマグマとして噴出することがあります。

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図1 地球の内部構造 ウィキペディアより(1)

イタリアはヨーロッパの中では火山の国として有名ですが、地熱発電はそのイタリアで1913年に産声をあげました。火山としてはヴェスヴィオとかエトナがよく知られていますが、イタリアの地熱発電銀座はそれらから離れたフィレンツェ近郊のトスカーナ地方にあり、世界最初の地熱発電所であるラルデレロ発電所もここにあります。図2の地域に現在も二十数基が稼働しています(2、図2)。

Italy

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図2 ラルデレロの地熱発電所 〈独)エネルギー・金属鉱物資源機構のHPより

しかしそのはるか上を行くのはアイスランドで、必要な電力のほとんどを地熱と水力による発電でまかなっています(3)。それで大量の電力を使用するデータセンターなどを誘致して、世界でも最も豊かな国のひとつになっていて、住みたい国のランキングでもいつもトップクラスです。日本もアイスランドと同じくプレート境界の上にある国で、地熱発電のポテンシャルは高いはずです。

日本でも地熱発電は昭和時代に1時期盛り上がっていたのですが、1997年に新エネ法ができたときに、地熱はなんと新エネルギーからはずされ研究開発も発電所建設もボロボロになってしまいました(4、図3)。当時の役人も国会議員も本当に先見の明がなく愚かだったとしか言いようがありません。

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図3 真山仁 地熱が日本を救う

この状況=地熱暗黒時代が10年以上続いたあと、ようやく2010年になって環境省が国立公園内の地熱開発にゴーサインを出して、少し復活の兆しが見えてきましたが、そのときに2011年の大震災が起きました。福島の原発が爆発し、普通なら東京が住めない場所になるところが、奇跡的な幸運で使用済み核燃料の崩壊を免れ現在に至っています。

現在ではさすがに超党派の地熱発電普及推進議員連盟などもあって、ようやく軌道に乗ってきたようで、1日も早く原発のない日本にしてほしいと思います。原発がある限り、超音速ミサイルで爆破されたら日本はおしまいなので、いくら防衛予算を増やしても国家を防衛する方法はありませんよ。

真山仁さんの小説は昔から好きでよく読んでいたのですが、ニュース23に出演して解説をしていたのでびっくりしました(5)。

参照

1)ウィキペディア:マントル
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9E%E3%83%B3%E3%83%88%E3%83%AB

2)独立行政法人 金属鉱物資源機構 地熱資源情報
https://geothermal.jogmec.go.jp/information/plant_foreign/005.html

3)エコめがね 再エネ電力100%の国、アイスランドの地熱発電所体験
https://blog.eco-megane.jp/%E5%86%8D%E3%82%A8%E3%83%8D%E9%9B%BB%E5%8A%9B100%EF%BC%85%E3%81%AE%E5%9B%BD%E3%80%81%E3%82%A2%E3%82%A4%E3%82%B9%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%83%89%E3%81%AE%E5%9C%B0%E7%86%B1%E7%99%BA%E9%9B%BB%E6%89%80/

4)真山仁 「地熱が日本を救う」 角川学芸出版 p.122 (2013)

5)真山仁 HP
https://mayamajin.jp/index.html

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2024年12月 1日 (日)

続・生物学茶話253: 腸を構成する細胞

私たちの便の成分は80%が水分、残りの20%はぼ1/3づつ食べかす・細菌・腸の粘膜からなります。腸には100兆個の細菌が常時住みついており、この数は人の体を構成する細胞の数より明らかに大きいのです。こんなに細菌まみれの臓器なので、切り取って培養するわけにはいきません。マウスで腸内細菌を枯渇させるような操作を行うと、なんとセロトニンが枯渇するそうです(1)。これはもう正常な動物とは言えません。腸内細菌は私たちにとって大事な共生生物です。とはいっても腸は大量の細菌と常時接触している器官なので、強力な免疫機能を持っており、全免疫細胞の60~70%が腸に存在すると言われています(2)。

腸の粘膜が便として排出されるというのはどういうことでしょうか? 実は腸の細胞(腸管上皮細胞)はかなりのハイペースで入れ替わっており、例えばマウスではその寿命は3~5日です。そのため毎日大量の死細胞が排出されることになります。どうしてそうなるかといえば、粘液などで保護されているとはいえ、腸壁の細胞は脂質やタンパク質を分解する酵素に常時さらされているわけですから、寿命が短いのはやむを得ないのでしょう。

ウィキペディアによると腸は小腸(十二指腸を含む)と大腸(直腸を含む)という2つの部分からなり、小腸は約6m、大腸は約1.5mの長さがあります(3)。まず小腸の構造を見ておきましょう。

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図253-1 腸(小腸)の構造と構成細胞 マクロファージ・樹状細胞(dendritic cell)・T細胞は上皮細胞より内部の結合組織に存在する免疫細胞で、細菌の侵入に備えている細胞群です

図253-1は小腸縦断面の模式図です。無数の凹凸があり、凸の部分を絨毛(villi)、凹の部分を陰窩(crypt)といいます。腸上皮は大部分が腸管側を粘液に覆われたモノレイヤーで、この図には描いてありませんが陰窩の部分だけは細胞が重層化しています。陰窩の一番深部に幹細胞があり、近隣には幹細胞を保護し免疫機能も持つパネト細胞があります(ウィキペディアではパネート細胞となっています、4)。陰窩で幹細胞から生まれた腸上皮細胞は押し出されるように柔毛上部に移動し、頂点に達すると死んで脱落します。その寿命は3~5日と言われています(5)。つまり3~5日かけて陰窩から絨毛の先端まで移動し、そこで剥がれて腸管に排出されます。

腸上皮には幹細胞、パネト細胞、腸上皮細胞以外にも少数ながら数種の細胞が存在し、それらの機能は図253-2にリストアップして示しました。腸上皮には1)栄養や水分をとりこむ 2)消化酵素から組織を守る 3)栄養状態を神経などに伝える 4)細菌や寄生虫から生体を守る など様々な役割があり、それぞれの細胞は分担してその役割を果たしています。

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図253-2 腸を構成する細胞とその機能一覧

腸上皮の機能を研究する上で大きなネックはプライマリーカルチャーが困難だったことです。幹細胞の決定的なマーカーがないことも大きな問題でした。ユトレヒトのニック・バーカーらのグループがGPCR型受容体のひとつである Lgr5 を発現する細胞が腸上皮幹細胞であることをつきとめたことが、腸上皮研究のブレイクスルーになりました(6)。

図253-3右上部の6つ組図は Lgr5 遺伝子に lacZ のレポーターをつけて青色に発色させたもので、小腸・大腸・胃においてこの細胞が陰窩に存在し、特に小腸ではパネト細胞と一つ置きに配置されているという美しい図が得られています。この配置は電子顕微鏡でも確認され、ふっくらとした円錐形のパネト細胞の間に細長い形態の幹細胞が見られます(図253-4)。幹細胞とナース細胞が一つ置きに配置されているような組織は他にはないと思います。

その後 Metcalfe らはジフテリアトキシンを使って Lgr5 発現細胞をすべて殺す実験系を開発し、Lgr5 発現細胞をすべて除去すると放射線照射後の腸上皮再生が起こらなくなることを示し、Lgr5+ 細胞が腸上皮幹細胞であることの補強的証明を行いました(7)。

佐藤俊朗らは Barker らと同じグループですが、幹細胞が Lgr5 を特異的に発現していることを利用して、腸研究者達が永年渇望してきた消化管幹細胞の培養技術を開発し、図253-3下図のようなオルガノイド(3次元の人工的な臓器)をシャーレの中で形成させることによって in vitro で正常な消化器官の機能を解析することが可能になりました(8、9)。

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図253ー3 腸研究の革命的進展を成し遂げた Clevers 研究室のメンバーと業績

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図253-4 腸管上皮幹細胞とパネト細胞の電子顕微鏡写真

ただ腸上皮細胞の寿命はわずか3~5日なので、これを維持するには幹細胞がのべつ幕無しで細胞分裂を行わなくてはならず、常識的にはDNA塩基配列の正確さが短期間で失われると考えられます。これを回避するために、一定の期間が経過すると普段は細胞分裂していない親玉の幹細胞が細胞分裂を行って、この種の高速増殖型幹細胞の補填を行うと考えた方が自然であり、その候補として昔から幹細胞ではないかといわれていた、いわゆる+4幹細胞が挙げられているそうです(10)。

図253-5におもな腸上皮細胞の細胞系譜を示しました。「通常は休止している幹細胞」は間違いなく存在すると思いますが、まだ仮説的なものです。

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図253-5 腸管上皮細胞のターンオーバーを維持するシステム

 

参照

1)Tukuba Journal 2020/11/17 腸内細菌がいなくなると睡眠パターンが乱れる
https://www.tsukuba.ac.jp/journal/medicine-health/20201117200209.html

2)シオノギヘルスケア 人体最大の免疫器官「腸」
https://www.shop.shionogi-hc.co.jp/Reading/Info-immunity_20210423.html

3)ウィキペディア:腸
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%85%B8

4)ウィキペディア:パネ―ト細胞
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%91%E3%83%8D%E3%83%BC%E3%83%88%E7%B4%B0%E8%83%9E

5)金野祐 小腸上皮細胞の細胞寿命を制御する新規因子の探索
上原記念生命科学財団研究報告集, 32 (2018)
https://www.ueharazaidan.or.jp/houkokushu/Vol.32/pdf/report/131_report.pdf

6)Nick Barker, Johan H. van Es, Jeroen Kuipers, Pekka Kujala, Maaike van den Born, Miranda Cozijnsen, Andrea Haegebarth, Jeroen Korving, Harry Begthe, Peter J. Peters & Hans Clevers, Identification of stem cells in small intestine and colon by marker gene Lgr5., Nature vol.449, pp.1003-1008, (2007) doi:10.1038/nature0619 pp.1003-1008
https://www.nature.com/articles/nature06196

7)Metcalfe C, Kljavin NM, Ybarra R, de Sauvage FJ. Lgr5+ stem cells are indispensable for radiation-induced intestinal regeneration. Cell Stem Cell. vol.14(2): pp.149-159. (2014)
doi: 10.1016/j.stem.2013.11.008.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/24332836/

8)Toshiro Sato, Robert G. Vries, Hugo J. Snippert, Marc van de Wetering, Nick Barker, Danie E. Stange,Johan H. van Es, Arie Abo, Pekka Kujala, Peter J. Peters & Hans Clevers, Single Lgr5 stem cells build crypt –villus structures in vitro without a mesenchymal niche., Nature vol.459, pp.262-266 (2009) doi:10.1038/nature07935
https://www.nature.com/articles/nature07935

9)松井伸祐,坂口恒介,岩槻健  オルガノイド培養の課題と展望
研究者目線で語るオルガノイド研究
化学と生物 Vol. 61, No. 4, pp.179-187, (2023)
https://katosei.jsbba.or.jp/view_html.php?aid=1689

10)佐藤卓,樗木俊聡 組織再生を担う腸管幹細胞の維持と機能
生化学 第 93 巻第 4 号,pp. 503‒511(2021)
DOI: 10.14952/SEIKAGAKU.2021.930503
https://seikagaku.jbsoc.or.jp/10.14952/SEIKAGAKU.2021.930503/data/index.html

 

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2024年11月27日 (水)

Walk down the memory lane 13: The music of Hirota Mieko

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Hirota Mieko (1947-2020)  from wikimedia commons

Popular music is affected generally by the atmosphere of the era. I think there were two turning points after world war II. After the war ended, the golden age of popular music had appeared. At that time, the atmosphere was filled with the delight of war ending as well as the poverty due to the defeat. After a while children who don't know the war grew and the society recovered, they made the next wave of new music (J-POP) that was not depend on the american music. Hirota Mieko (singer) and Tsutsumi Kyohei (composer) were the engines to move the wave, though (and probably because) they were the specialists of the american music. Nowadays J-POP is in the third wave that is created by ones who don't know the age of prosperity of Japan.

The end of summer (渚のうわさ Rumor of the Seaside)
https://www.youtube.com/watch?v=uotHB4Is_Ds

The end of summer (渚のうわさ Rumor of the Seaside)
colored
https://www.youtube.com/watch?v=-zlXEsRb2yA

渚のうわさ 弘田三枝子 1967 TV show
colored film
https://www.youtube.com/watch?v=UVop4gL1lwg

踊りあかして in Japanese and English (TV show)
colored film
https://www.youtube.com/watch?v=X-0_WYtIMdA

すてきな16才 in Japanese (Original:Neil Sedaka)
Happy birthday sweet sixteen
https://www.youtube.com/watch?v=nZKeR3Cwuqk

落ち葉のコンチェルト in English (Original:Albert Hammond)
For the Peace of All Mankind
https://www.youtube.com/watch?v=p7pcLWZIr_Q

Be My Baby   in Japanese (Original:The Ronnetes)
https://www.youtube.com/watch?v=ikg34H4glW8

砂に消えた涙  in Japanese (Original:Mina Mazzini)
https://www.youtube.com/watch?v=BspPgnu39bk

Mack The Knife   in English
https://www.youtube.com/watch?v=6d16G1ALtRw

Louisiana Mama   in Japanese
https://www.youtube.com/watch?v=o0zOyMCpIkI

人形の家 in Japanese (after plastic surgery)
https://www.youtube.com/watch?v=K5G-xy2jWsM

DAM unpublished special LP (Jazz)
https://www.youtube.com/watch?v=99JSIZLulDA

太平洋戦争がようやく終わって、戦時中は戦意高揚の歌ばかりだった歌謡界も自由になって、多くのヒット曲が生まれました。リンゴの唄-並木路子、東京ブギウギ‐笠置シズ子、憧れのハワイ航路-岡晴夫、銀座カンカン娘-高峰秀子、お富さん‐春日八郎など、現在よりも庶民の生活の中に歌が深く浸透していたような気がします。でもこのような歌謡曲がその後1970年代、80年代のJ-POP全盛時代に直結するとは思えなくて、フィーリングの問題ではありますが、そこには溝があるような気がします。

現在のポップスと昭和のポップスにも溝があるような気がしますが、それは Perfume が出現したあたりから音楽が変わったように思います。でも今日はそこじゃなくて、1960年代の話です。弘田三枝子が「渚のうわさ」(作詞:橋本淳、作曲:筒美京平)をリリースするまで、J-POPというジャンルの音楽はないも同然でした。確かにポップスのシンガーは伊東ゆかり、中尾ミエなどをはじめとして大勢いましたが、皆さん米国の音楽を翻訳して歌っていたのです。中尾ミエの「かわいいベイビー」など大ヒットした曲もありましたが、これはコニー・フランシスの曲です。弘田三枝子も「渚のうわさ」がリリースされるまでは、米国産の歌を歌っていました。この曲が売れたので、新路線曲のリリースが続くことになり、和製のポップスもだんだん世に認められるようになったわけです。

私は1967年に日本コロムビアからリリースされた「渚のうわさ」がJ-POP最初の曲だと思っています。レコード番号はP‐1で、まさしくポップスの1番です。筒美京平の音楽とストラテジーはものすごく大きな影響があったと思います。弘田三枝子も筒美京平も米国の音楽を深く知る人々だっただけに、なんとか物真似でない日本独自の音楽を作りたいと考えていたのではないでしょうか。

「渚のうわさ」は、なんとミュージックビデオまで制作されていたというのがすごいですが、最近カラー化されてアップされているのに気が付いてさらにびっくりしました。ご存じない方は是非聴いてみてください。

この記事を書くにあたってウィキペディアは見ましたが、なんと彼女はエラ・フィッツジェラルドから直接「養女にしたい」というオファーをもらったことがあるそうです(爆)。

渚のうわさ★colorized★弘田三枝子(HIROTA Mieko)
https://www.youtube.com/watch?v=-zlXEsRb2yA

カラー化してアップしてくださった方々に感謝します。

★★★
https://friday.kodansha.co.jp/article/125494

 

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2024年11月26日 (火)

メールポストのジャンク化

Tsugi

マイナンバーカードはかなり前に申請して持っていますが、使用したことはありません。しかし申請して以来変化したことがあります。それは私のメールポストのジャンク化です。私のメールアドレスを知っている商店はいくつかあって、そのうちある商店から漏洩したことはニュースにもなりましたが、タイミング的にメールポストのジャンク化時期より遅くて、多分そこではないと思います。

これだけ荒れ放題になると、どれが本物のメールでどれが偽メールなのか、触るのも怖い状況になってきました。この中にはおそらく犯罪に関係したものも含まれていると思いますが、メールを送っただけでは警察も動きようがありません。

しかし建物の郵便ポストにチラシを入れるのとは全くわけが違って、電子メールポストの偽メールは非常に危険で、うっかり開いて誘導に従って個人情報を渡したら何が起こるかわかりません。メールポストの大半がこのような偽メールになってしまうと、日常生活にも支障をきたします。このようなメールを取り締まる法律が必要だと思います。

 

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2024年11月24日 (日)

ティアラこうとう

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マエストロ藤岡はおしゃべり好きで陽気な人です。楽団からストップをかけられるまで今日(土曜日)もプレトークに花が咲きます。確かにラフマニノフのメロディにはチャイコフスキーのようなラメントは感じられません。夢の中で浮遊するような趣があります。

ラフマニノフ交響曲第2番の第3楽章、みんなで細心のお膳立てをする中で、山口さんがただただ美しいクラリネットを奏でる別世界・・・これが音楽の真髄。なんらかの感情をかきたてる音楽とは一線を画し、脳の別の場所にアクセスするようです。東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団の充実に陶然とし、スカイツリーの美しいイルミネーションを右に、ナイターで野球をする人々を左に見てふわふわと帰途につきました。

 

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2024年11月22日 (金)

続・生物学茶話252: 腸神経

出勤時に急に下痢が来てトイレに駆け込むという経験は、サラリーマンなら1度や2度は誰でも経験していると思いますが、その時に用は足せましたか? 私の経験では朝のパブリックトイレ(大)はどこでも混んでいてまず用は足せません。私の知人のなかには、朝通勤するときに会社にストレスを感じていたため、必ず途中の駅で下車してトイレ(大)を探すという人がいました。結局その人は退職することになりました。

このような症状を医学的には過敏性腸症候群と言うそうですが、ストレスで排便したくなるというというのはおかしな話です。本来であればストレスがかかると交感神経優位となって胃腸の働きは抑制され、便秘になるはずです(1)。こういう人が多いということは、人類が進化する過程で中枢神経が過剰に内臓支配を行うようになったからだと思いますが、その原点は魚類の進化に遡ることができそうだということが最近判明しました。

そのまえに末梢神経の起源について復習しておきましょう。脊髄神経は胚の外側を覆う外胚葉の一部が内側に落ち込んでできますが、このとき脊髄神経に予定されて落ち込んでいく細胞と外側にとどまる細胞の間に神経堤という堤防みたいな部分が形成され、ここから細胞が下部に移動して様々な細胞に分化します。この中に末梢神経細胞やシュワン細胞が含まれています(2、3、図252-1、図252-2)。

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図252-1 神経堤とは


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図252-2 神経堤の各部域はそれぞれどのような組織に分化するのか

ヤツメウナギ類とヌタウナギ類は分類学上の位置が不安定で、現在でも定まっていません。両者をまとめた円口類という名前は分類学上定義された名称ではありません。ウィキペディアの記述も項目ごとにバラバラで統一されていません。例えば「頭甲綱」という項目をみると「頭甲綱(とうこうこう Cephalaspidomorphi)は無顎類の一群として知られる脊椎動物。全て絶滅種であり、オルドビス紀前期からデボン紀後期にかけて繁栄していたことが化石によって知られている。その名称のとおり、多くの種には骨質の頭甲があった。かつては現生のヤツメウナギ類がこのグループに含まれるとされたが、現在ではこれらは別のグループと見なされることが多い」と説明されているわけですが、その下にはヤツメウナギ目が頭甲綱に含まれる1グループとして記載されており、しかもここにはヌタウナギ類は排除されています(4)。これでは何が何だかわかりませんね。ただヤツメウナギとヌタウナギを脊椎動物亜門に入れることについてはコンセンサスがようやく成立したようです(5)。

円口類の誕生・進化については以前にここでとりあげたことがありますので、興味のある方はご覧ください(6)。円口類の祖先と魚類の祖先が分岐したのはエディアカラ紀末で、カンブリア紀を経過し、ヤツメウナギグループとヌタウナギグループが分岐したのはオルドビス紀初期ということになっています(6)。今回のテーマはヤツメウナギの腸神経なので、まず形態図をウィキペディアからひろってきてコピペしておきます(7、図252-3 日本語は私が添加)。形態的に魚類と異なるのは、体の側面に左右対称のヒレがないこと、顎がなく吸盤があることです。歯はありますがケラチンの歯であり、魚類や私たちのハイドロキシアパタイトの歯とは異なります。

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図252-3 ヤツメウナギの外観

図252-4は脊椎動物の消化管のイラストです。腸神経は主として筋肉層の内部にある筋層間神経叢(アウエルバッハ神経叢)と粘膜と筋肉の間の粘膜下層にある粘膜下神経叢(マイスナー神経叢)からなります。そこに含まれるニューロンの数は脊髄よりも多いといわれています。これらの神経は制御はうけるものの自律神経系の支配とはある程度独立に、消化管の動きや栄養分・水分の吸収を調節しています(8、9)。

消化器官はウルバイラテリア(始原的左右相称動物)の時代から存在していたに違いない臓器であり、脳や心臓より従属栄養生物(動物)にとって基本的に重要な臓器といえます。エサがあるときは消化吸収と排出腔への移動がその仕事です。腸神経系は脳や脊髄よりも先にあったものですから、もともと独自に活動していたわけで、中枢神経系による制御は後付けのメカニズムといえます。

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図252-4 脊椎動物の消化管

グリーンらはそんな腸神経の進化的ヒストリーについて興味深い研究結果を発表しています(10)。彼らはヤツメウナギの幼生の頭部(菱脳)と背側体幹にトレーサー色素などを注入し、取り込んだニューロンの動きを追跡しました。そうすると頭部の色素は腹側に広がりますが、消化管の周辺には認められず、一方背側体幹の色素は消化管の周辺に移動していくことがわかりました(図252-5)。

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図252-5 ヤツメウナギ腸神経の発生上の起源

DiIなどのトレーサーを使ってマウスの腸神経と比較すると、マウスの腸神経は迷走神経提から移動してくるものと、体幹部神経堤から移動してくるものが混在することがわかりました(10、図252-6)。このことはヤツメウナギ(円口類)と魚類から進化した一般脊椎動物の共通祖先の腸神経は体幹部神経堤から移動してきた細胞が分化したものであり、ヤツメウナギはその祖先型の腸神経を受け継いでいるのに対して、分岐した一般脊椎動物は他のデータなども併せて考えると(2)、迷走神経堤からも腸神経細胞が供給されるという新機軸を獲得したということになります。このことは迷走神経の指示によって消化管が活動しうること、また消化管の情報が求心性迷走神経によって延髄から脳に伝えられることを意味します。

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図252-6 腸神経系を作る細胞の起源 マウスとヤツメウナギの比較

腸神経系を脳・延髄・副交感神経システムがその支配下に置くということは、体全体のアナボリズム・カタボリズムの調整や行動の統一性維持にはアドバンテージがあると考えられますが、一方で冒頭に述べたような自律神経の不調がそのまま胃腸の不調につながるということにもなります。

ヤツメウナギは古い体の構造を残した生きた化石などと呼ばれますが、彼らもそれなりに進化して何度もあった大絶滅時代を乗り越え、何億年も生き延びてきました。現に魚類を餌にして生きている種類もいます(11)。

参照

1)大正製薬ナビ 過敏性腸症候群
https://www.taisho-kenko.com/disease/142/

2)脳科学辞典:神経堤
https://bsd.neuroinf.jp/wiki/%E7%A5%9E%E7%B5%8C%E5%A0%A4

3)Uesaka T, Nagashimada M, Enomoto H. Neuronal differentiation in Schwann cell lineage underlies postnatal neurogenesis in the enteric nervous system. J. Neurosci., vol.35: pp.9879–9888. (2015)
DOI: 10.1523/JNEUROSCI.1239-15.2015
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/26156989/

4)ウィキペディア:頭甲綱
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%A0%AD%E7%94%B2%E7%B6%B1

5)ウィキペディア:円口類
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%86%86%E5%8F%A3%E9%A1%9E

6)続・生物学茶話195:円口類の源流
https://morph.way-nifty.com/grey/2022/11/post-1f4cf6.html

7)Wikipedia: Lamprey
https://en.wikipedia.org/wiki/Lamprey

8)脳科学辞典:腸管神経系
https://bsd.neuroinf.jp/wiki/%E8%85%B8%E7%AE%A1%E7%A5%9E%E7%B5%8C%E7%B3%BB

9)Wikipedia: Enteric nervous system
https://en.wikipedia.org/wiki/Enteric_nervous_system

10)Stephen A. Green1, Benjamin R. Uy, and Marianne E. Bronner, Ancient evolutionary origin of vertebrate enteric neurons from trunk-derived neural crest., Nature, vol.544(7648): pp.88–91. (2017) doi:10.1038/nature21679
https://www.nature.com/articles/nature21679

11)医療法人 金剛 エリー湖のヤツメウナギ
https://kongo.or.jp/2011/07/14/%E3%82%A8%E3%83%AA%E3%83%BC%E6%B9%96%E3%81%AE%E3%83%A4%E3%83%84%E3%83%A1%E3%82%A6%E3%83%8A%E3%82%AE/

 

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2024年11月18日 (月)

東京シティ・フィルさん おめでとうございます

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雨に煙る団地の道路。雨とともに冬がやってきました。朴の木の紅葉がいつになく美しい。
いつもの年だともう葉がボロボロになっていて、紅葉してもみられたものではないのですが、今年の異常気象のためか上から勾配的に紅葉がみられます。

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とりわけプラタナスの紅葉(黄葉)は見事なものです。

今日は東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団創立50周年の記者会見に出かけました。
写真は左から戸澤哲夫コンマス、常任指揮者の高関健氏、首席客演指揮者の藤岡幸夫氏です。
2025~2026シーズンはオペラシティーの改修などもあって、定期演奏会は10回しかできず大変なようです。それでもサントリーホールを奇跡的に2日間確保できて、マエストロ高関の指揮でマーラーの6番と2番のシンフォニーの特別演奏会ができることになったそうです。これはもともとオペラシティーじゃ演奏困難と思われる曲なので瓢箪から駒です。まあ演奏会は再来年の話なので、しばらく忘れることにします。

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私はティアラ江東のシリーズは必ず行くつもりです。ソアーレスさんの「新世界より」、藤岡さんのチャイコフスキー交響曲第5番、務川さんをソリストに迎える高関さんのラヴェル集などとても楽しみです。

 

 

 

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2024年11月17日 (日)

良識がネット動画に敗れた日

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ヨーゼフ・ゲッペルス「嘘も百回言えば真実となる」

今日は良識がネット動画に敗れた記念日。

今の世には新聞やテレビは見ないで、情報はネットだけという人々も多い。
何が正しい情報かわからなくなっているのが今です。
自分について振り返ってみても、自分と最初から反対意見とわかっているコンテンツはほとんど見ません。
かろうじてテレビのニュース番組は見ますが、キャスターがある方向に視聴者を誘導しようとしているという意図がみえるといやな気分になります。

もこうなってくると、 「意図をもって嘘を述べたコンテンツをウェブサイトに投稿した者を処罰する」 しかネットの暴走を止める手立てはありません。最低でもこのようなコンテンツは削除する必要があります。

言論の自由との兼ね合いが難しいですが、とりあえず調査権限と機能を持つ公的な委員会をつくって、プロバイダーに虚偽の動画を削除させるくらいのことはやらないと、衆愚政治が蔓延することになるでしょう。 私自身が自戒すると同時に、行政も反発はあってもきちんとやってほしいと思います。

 

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2024年11月14日 (木)

続・生物学茶話251: 求心性自律神経

英国の生物学者エドガー・エイドリアンは刺激が神経を通じて脳に伝わるのは電気的伝導であり、同じ刺激が続くとそれは減弱することを示して1932年のノーベル生理学・医学賞を受賞しました。彼の自律神経に関する業績は日本語版にも英語版にもウィキペディアには書いてありませんが、鈴木によるとノーベル賞受賞の翌年に自律神経に求心性のものが含まれていると報告しているそうです(1)。求心性の自律神経についても最近ようやく詳しい研究が行われるようになってきました。

自律神経を代表するのはやはり迷走神経(vagus nerve)でしょう。図251-1はウィキペディアに投稿された、右外側から見た心臓とそこに配置された迷走神経の分枝を描いた図です(2)。分枝といえども多数の神経細胞軸索の集合体で、そこには遠心性および求心性の神経が含まれます。

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図251-1 迷走神経 ウィキペディアの図(1)を改変

おそらくエイドリアンの報告は当時の電気生理学者達に大きな刺激を与えたのでしょう。デュボアとフォーリーは1937年に猫の頸部迷走神経を調べて、その65-80%が求心性の線維(軸索)であることを報告しています。またエバンスとマリは1954年にウサギの腹部の自律神経26000本のうち遠心性のものは10%以下だと報告しました。マリらはさらに猫でもウサギと同様であることを1957年に報告していて、この論文(3)はよく引用されます。

もともとの概念では交感神経も副交感神経も遠心性の細胞ですから、アセチルコリンによって脱分極し、ノルアドレナリンかアセチルコリンを放出するという非常に単純な機能でその役割が果たせます。一方、求心性の神経細胞は臓器からどんな情報をどのような形で受け取って脱分極を起こすのでしょうか? これは現代医学・生物学においても最大級の未知分野のひとつに違いありません。

筋肉の収縮弛緩(心拍数なども含む)・胃腸の内圧・血圧・pH・血糖値・体温・浸透圧(のどの渇きなど)・ホルモン・代謝産物・腸内細菌が生成する化学物質・臓器被膜の変形や損傷などさまざまな刺激によって求心性の神経細胞は興奮し、脳にその情報を伝えます。そのメカニズムを解明するために多くの研究が進行中ですが、全貌の解明にはまだ程遠い状況でしょう(4)。圧力や温度を感知するメカニズムについては2021年にデヴィッド・ジュリアスとアーデム・パタプティアンがノーベル賞を受賞しましたが、これは感覚神経に関連した業績です(5)。

ひとつ不思議なのは、遠心性の交感神経・副交感神経は節前細胞・節後細胞というシナプスを介した複数のニューロンで臓器までつながっているのですが、求心性の神経は直接延髄や脊髄まで伸びているらしいのです。なぜ行きと帰りでこのような構造的相違があるのかはよくわかりませんが、求心性の情報の方がシンプルという見方もできます。

Brain and Nerve の「迷走神経の不思議」という特集号の冒頭で、鈴木が迷走神経性求心性線維への入力として図に記載しているのは、消化管ホルモン(CCK=cholecystokinin, PYY=peptideYY, GLP-1=glucagon-like peptide-1, グレリンなど)、レプチンや栄養成分、代謝産物です(6)。このあたりが比較的研究が進んでいる分野なのでしょう。このほかに内臓知覚神経から骨髄を経由する情報、血流を介して直接視床下部にアクセスする情報などがあります(7、8、図251-2)。

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図251-2 内臓の情報を脳に伝える3つの経路 

満腹になる、あるいは栄養が十分に足りているにもかかわらずどんどん食べ続けると、胃腸がパンクするか糖尿病になってしまいます。ですからそれらを感知して食べるのを中止するシステムは、胃腸ができる頃と同時期には出来上がっていたはずです。このシステムが機能するためには消化器官の状況を感知する求心性の神経系が必要です。

そのためのメカニズムのひとつには GLP-1 がかかわっています。GLP-1 は腸管腔内の栄養が十分な時に、腸のL細胞から分泌されるホルモンです。Kuhre らがL細胞を検出した写真が図251-3です(9)。上部の暗い部分が腸管です。

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図251-3 免疫組織化学により検出された腸のL細胞 文献(9)の図を改変

L細胞は小腸下部・大腸・結腸に分布していますが、普通何某かを分泌する細胞は腺のような組織を作るはずが、L細胞はひとつふたつの細胞がかなり距離をおいてポツンと存在しています。分泌細胞はニューロンのように一生同じということはなく、死んではまた作られているはずなので幹細胞もセットになっているはずで、おそらく分化した細胞2つと幹細胞1つのセットで機能していると思われます。このような最小単位からなる組織は珍しいと思います。

GLP-1 はホルモンといっても血流で運ばれて遠くのターゲットに作用するのではなく、近隣の求心性迷走神経のニューロン表層の受容体に結合することによって効果を発揮します。このことは迷走神経を切断したり、迷走神経の受容体をノックダウンすることによって証明されました(10、11)。クリーガーらはレンチウィルスベクターを使って迷走神経の GLP-1 受容体をノックダウンする方法を開発し、これによってラットは大食いになり、食べた後のインスリンリリースも抑えられて高血糖になってしまうことを示しました(11)。

GLP-1 にはインシュリンの分泌を促進する作用がありますが、意外なことにインスリンを分泌する膵臓β細胞のGLP-1受容体はこのプロセスに関与していません。これは膵臓β細胞特異的 GLP-1 欠損マウスによる実験で判明しました(12)。GLP-1 の作用は求心性迷走神経の GLP-1 受容体を介して行われます。現場での勝手な判断は許されず、報告を上にあげてから上部組織が決定するというシステムです。

インスリンも通常のホルモンとしての作用で各臓器における糖の細胞へのとりこみや同化作用を促進していますが、実は中枢神経系にも作用することが知られています。ところがインスリンはほとんど血液脳関門を通過できないので、通常のホルモンとして脳に作用することができません。しかし食後しばらくは膵臓周辺のインスリン濃度は求心性迷走神経が応答する濃度に達しているので、求心性神経経路で十分脳に影響を与えうるそうです(13、14)。このようなことからインスリンおよび GLP-1 による摂食・糖代謝の求心性迷走神経を介した情報は図251-4のような経路で視床下部につたえられ、視床下部が行動を制御したり、膵臓や肝臓の機能調節、各臓器における代謝調節などを行っていると考えられます(図251-4)。

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図251-4 求心性迷走神経を介した摂食・糖代謝調節

 

参照

1)鈴木郁子 自律神経の科学 講談社 (2023) p.167

2)Wikipedia: Vagus nerve
https://en.wikipedia.org/wiki/Vagus_nerve?uselang=ja

3)E. Agostoni, J. E. Chinnock, M. de Burgh Daly, AND J. G. Murray, Functional and histological studies on the vagus nerve and its branches to the heart, lungs and abdominal viscera in the cat. J.Physiol., vol.135, pp.182-205 (1957)
https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC1358921/pdf/jphysiol01365-0210.pdf

4)佐々木拓哉 内臓信号が神経回路演算に及ぼす影響の考察 日本神経回路学会誌 Vol. 30, No. 3, pp.142-147 (2023)
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jnns/30/3/30_142/_article/-char/ja

5)彩恵りり 2021年ノーベル生理学医学賞解説「温度と触覚の受容体の発見」
https://note.com/science_release/n/nb14019a8451b

6)鈴木郁子 迷走神経の生理学 基礎研究の歴史から現在への展開 BRAIN and NERVE vol.74, no.8, pp.955-958

7)山田哲也、片桐秀樹 求心性神経路によるエネルギー代謝調節 糖尿病 vol.51(5):pp.399?402, (2008)
https://www.jstage.jst.go.jp/article/tonyobyo/51/5/51_5_399/_pdf

8)井上啓 金沢大学プレスリリース 脳による血統調節の分子メカニズムの解明に成功!! (2016)
https://www.kanazawa-u.ac.jp/wp/wp-content/uploads/2016/03/160303.pdf

9)Rune E. Kuhre, Carolyn F. Deacon, Jens J. Holst, and Natalia Petersen,What Is an L-Cell and How Do We Study the Secretory Mechanisms of the L-Cell? Front. Endocrinol., vol. 12 no. 694284 (2021)
doi: 10.3389/fendo.2021.694284
https://www.frontiersin.org/journals/endocrinology/articles/10.3389/fendo.2021.694284/full

10)Makoto Nishizawa et al., Intraportal GLP-1 stimulates insulin secretion predominantly through the hepatoportal-pancreatic vagal reflex pathways., Am J Physiol Endocrinol Metab vol.305: E376?E387, (2013)
doi:10.1152/ajpendo.00565.2012.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/23715725/

11)Jean-Philippe Krieger, Myrtha Arnold, Klaus G Pettersen, Pius Lossel, Wolfgang Langhans, Shin J Lee, Knockdown of GLP-1 Receptors in Vagal Afferents Affects Normal Food Intake and Glycemia., Diabetes vol.65(1): pp.34-43 (2016)
doi: 10.2337/db15-0973
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/26470787/

12)Eric P Smith et al., The role of β cell glucagon-like peptide-1 signaling in glucose regulation and response to diabetes drugs., Cell Metab vol.19(6): pp.1050-1057 (2014)
doi: 10.1016/j.cmet.2014.04.005
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/24836562/

13)Masafumi Kakei, Toshihiko Yada, Atsushi Nakagawa, Hajime Nakabayashi, Glucagon-like peptide-1 evokes action potentials and increases cytosolic Ca2+ in rat nodose ganglion neurons., Auton Neurosci
vol.102(1-2): pp.39-44. (2002)
doi: 10.1016/s1566-0702(02)00182-0
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/12492134/

14)岩﨑有作、矢田俊彦 食後ホルモンインスリン・GLP-1 の求心性迷走神経を介した摂食・糖代謝調節 自律神経 58 巻 1 号 pp.105-113 (2021)
https://doi.org/10.32272/ans.58.1_105
https://www.jstage.jst.go.jp/article/ans/58/1/58_105/_article/-char/ja/

 

 

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2024年11月12日 (火)

Walk down the memory lane 12: Teichiku age of Nishijima Mieko テイチク時代の西島三重子

このCDを持っていることは私のちょっとした自慢です。
というのはテイチク時代に、このアルバムより後にリリースした3枚のアルバムはCD化されていないからです。

This CD is a rare item, because other CDs in her Teichiku (name of music publisher) age have not been released. At that time analog LP disk was the standard media. Some fans may have not awared of the publication of the CD.

Byebye

テイチク時代は彼女の絶頂期で、昭和を代表する名曲を天才のおもむくままに次々とリリースしていました。現代のZ世代にもこの音楽を鑑賞してほしいと思います。

彼女は自分なりのフォークを突き詰めていって、ワーナーパイオニア時代の最後のアルバム「シルエット」を完成しましたが、ここでポップスの要素を取り入れた新しい音楽に挑戦することを決意し、テイチクに移籍しました。

シルエット(ワーナー・パイオニア最後のアルバム)
https://www.youtube.com/watch?v=SnelxXTZ7Rk

以下テイチク時代の4枚のアルバム   4 albums in her Teichiku age↙

Bye-Bye
https://www.youtube.com/watch?v=FZlRH-oMHQw&t=139s

Lost Hour
https://www.youtube.com/watch?v=EqQPfZmseto

Image(イマージュ)
YouTube への up は多分ありません (not uploaded)

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Soft-i
https://www.youtube.com/watch?v=ncQQWbwfg88&list=PLgbZ2sGRHPkX19bla52c-cp5wxQ61sSeq

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やはり彼女の真骨頂はスローテンポの曲にあると思います。夢の中の物語のような趣があります。こんなに耽美的なJ-POPは他では聴いたことがありません。

Aesthetic melodies of her music

#Sequence of Memories  アルバム「SHADOW」に収録
https://www.youtube.com/watch?v=oTMG-6eWOa4

#Imagination Canvas アルバム「Lost Hour」に収録
https://www.youtube.com/watch?v=7cdNRmqB4zU

#少年の日 アルバム「Soft-i」に収録

https://www.youtube.com/watch?v=Zwp6cfKMV4Y
(12min あたりから)

https://www.youtube.com/watch?v=04z4-kn9oGk&t=21s
(11min 50sec あたりから)

この曲は夫には相手をしてもらえない、子供は恋をして独立していくという母親の寂しさがそこはかとなく感じられます。

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販売中のベストCD

ワーナー「オールタイムベスト」  

テイチク「ゴールデン★ベスト」

to アマゾン

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最近は絵本作家として活躍しておられるようです

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中央公論新社

https://www.chuko.co.jp/tanko/2022/10/005581.html

 

 

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2024年11月 9日 (土)

なぜトラ

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1990年頃から中後進国の経済進出が進み、それまでの先進国は製品のシェアを奪われていくことになりました。労働力が安いわけですから、中後進国が先進国と同等な製品を生産できるようになればそれは当然のことです。米国はそれを製品ではなくAIやバイオなどの物体製造以外の分野でカバーしようとしてある程度成功してきました。しかしそれにはやはり限界があって、さらにごくわずかな人々に富が集中するという事態を招きました。その矛盾が爆発してトランプという怪物を生み出したわけです。

日本はその間米国のように科学技術にものを言わせるほど科学技術を重視してなかったので、乗り換えができず、ずるずると没落していきました。放置していればどんどん製品が中後進国のものに置き換わるのは当然で、管理貿易に移行しなければならないのは時間の問題なのですが、それが日本も米国も遅すぎました。とりわけ米国はスタンドアローンでも存続できる国なのに、どんどん外国製品に浸食されるまま放置していたわけです。そんなことにはおかまいなく、外国への輸出でかせぎたい勢力がいたからでしょう。

日本はスタンドアローンというわけにはいかないので、1990年の時点でロシアやオセアニアとの協力、米国抜きのTPPなどで防波堤を築かなければなりませんでしたが、いつまでたっても「自由で開かれた」などという寝言を言っている状況でした。日本がやったことといえば、企業課税を消費税に転嫁し輸出企業を支援したことですが、それは長い目で見れば焼け石に水で、しかも景気の低迷と市民の窮乏を招くことになりました。

米国がトランプによってスタンドアローン国家になっていけるのかどうかというのは、たぶんできるのではないかとは思いますが、その過程で大きな軋轢も生むのではらはらします。それにトランプには余計な政策がくっつきすぎているのが問題です。最たるものが妊娠中絶の禁止です。トランプ派がずっと米国を支配していくなら、日本は米国とは距離を置きロシア・オセアニア・アジア諸国と密接な関係を築く必要があります。トランプに政権を奪われた民主党において、バーニー・サンダース派はバイデンに奪われた主導権を取り戻すチャンスです。その先頭に立つのはもちろんオカシオ=コルテスであり、彼女がトランプ後の米国指導者となるなら、私たちは米国にぴったり寄り添って間違いはないはずだと思います。金満マフィアや軍産複合体は全力でサンダース派をつぶしに来ると思うので、そのようなことになる可能性は低いとは思いますが...。

 

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2024年11月 8日 (金)

片眼で挨拶 でもウィンクじゃない

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サラ

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ミーナ


片眼で挨拶 でもウィンクじゃない 

片眼だけ開けて挨拶するという無精


 

 

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2024年11月 6日 (水)

続・生物学茶話250: 交感神経と副交感神経

自律神経を発見したのは誰かというと、それはおそらく古代ギリシャの医師であり医学研究者でもあったガレノスだということになっています。原著を読んだわけではありませんが、彼は脳神経や脊髄神経がどこにはじまりどこにつながっているかということを詳しく記載しており、その中には動かしたり感じたりすることができない内臓につながっているものあるので、当然筋肉を動かしたり感覚を中枢に伝えたりするためだけに神経が存在するわけではないことは理解していたと思われます(1)。

自律神経 = autonomic nervous system という言葉を19世紀末に提唱したのはジョン・ニューポート・ラングレーですが(2)、彼は内臓につながる自律神経は遠心性神経のみという定義をしてしまったため、当時から一部では問題視されていました(3)。現在では遠心性神経(交感神経・副交感神経)、求心性神経、腸管神経を含めて自律神経とされています(4)。求心性神経が知られたのは1933年ですが、ラングレーの時代から腸管神経は知られていました。彼はこれを第3の自律神経系と呼んでいたようです(5)。

生物学的に言えば、交感神経や副交感神経は大脳には直接支配されてないとはいえ、脳には支配されているので自律神経というのは妙な言葉ではあります。求心性神経も脳に情報を伝えるためにあるわけですから同様です。一方、腸管神経は脳から影響は受けるものの、基本的には脳につながっていないので正しい意味での自律神経です。そしてウルバイラテリア(始原的左右相称動物)がまだ生まれていなかった頃から、そして生物が脳を持っていなかった時代から、腸管神経は存在していた可能性があります。

まあそういうロマンティックな話はさておき、交感神経と副交感神経から話を始めたいと思いますが、ウィキペディアの図(6-8)はやや見にくいと感じたので、とりあえず修正して図250-1~図250-4として掲載しました。これらをもとに話を進めたいと思います。

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まず脳幹系副交感神経(図250-1)からみていくと、III・ⅤII・ⅨのグループとⅩのグループとは違うなと感じます。前者はすべて獲物または餌をみつけて食べるということに関連したものであり、後者は様々な臓器が進化していくなかで、それぞれを制御する神経が徐々に生まれてきたと想像されます。たとえばナメクジウオ(頭索類)には肝臓がありませんが、このグループから進化したとみられるヌタウナギ(メクラウナギ、円口類)には肝臓があり、迷走神経があります(9)。しかしナメクジウオに自律神経がないかというとそんなことはなく、例えば彼ら独特の内分泌器官であるハチェックピットには自律神経と思われる神経が伸びているようです(10)。

副交感神経の出力は空間配置的には延髄でいったんとぎれて、脊髄の大部分からは交感神経のみが出力し、その最先端部(尾に近い部分)の仙髄から再び副交感神経が出力します。おそらく目や口に関連のある最前部と生殖に関係がある最後部がエディアカラ紀初期にはつながっていて、その中間部はその後できてきたと想像されます。このことから考えると、脳幹から出力している副交感神経がより古いタイプの神経なのでしょう。

交感神経と副交感神経には奇妙な一致点があります。それは自律神経節という中継地点があり、そこで1回シナプスを経由して情報が伝達されるという点です。ただその中継地点は交感神経の場合脊髄に非常に近いところにあり、副交感神経の場合は臓器に近いところにあります(図250-5)。いずれの場合も自律神経節より中枢側を節前神経、末梢側を節後神経といいます。図250-1~図250-4の交感神経では、節前神経を実線、節後神経を点線で描いてあります。交感神経の場合、同じ情報を多くの臓器に伝えるため、副交感神経の場合個々の臓器に別々に情報を伝えるためにこのような構造になっていると考えられています(4 pp.38-41)。

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交感神経の節前神経と節後神経は別種の細胞で、節前神経はアセチルコリン、節後神経はノルアドレナリンをシナプスで放出します。一方副交感神経の節前神経と節後神経は同種の細胞でいずれもアセチルコリンをシナプスで放出します。どちらも節後細胞のアセチルコリン受容体はニコチン型受容体です(図250-5)。。

臓器側が交感神経のノルアドレナリン情報を受け取る受容体はα型とβ型で、副交感神経のアセチルコリン情報を受け取る受容体はムスカリン型受容体です。同じ臓器であっても、異なる受容体で異なる神経伝達因子を受け取るというのは、混乱を防ぐという意味で極めて合目的的です。

交感神経と副交感神経の主な役割を図250-6の表にまとめました。それぞれが拮抗的に臓器の活動を制御していることが示されていますが、興味深いのはペニスの活動に対する機能で、拮抗するどころかシーケンシャルに生殖のためのお膳立てをやっています。たとえば臨床関係では、治療という立場から勃起と射精が全く別のメカニズムであることを強調していますが(11)、正常な生殖のためには当然連動していなければなりません。

実は迷走神経以外の部分では拮抗支配でない場合があります。例えば涙腺や唾液腺では交感神経も副交感神経も分泌する方向に誘導します。このことは脊髄ができてから迷走神経(副交感神経)vs脊髄神経(交感神経)という拮抗メカニズムが確立されたのであって、それ以前の時代には手分けしていただけだったのかもしれません。現在の私たちにおいても、汗腺・立毛筋・皮膚の血管・副腎髄質などは交感神経だけで制御されてます(4 pp.53-54)

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参照

1)坂井建雄、池田黎太郎、月澤美代子 ガレノス「神経の解剖について」 ―ギリシャ語原典からの翻訳と考察 日本医史額雑誌第49巻第3号(2003)
http://jshm.or.jp/journal/49-3/403-454.pdf

2)Langley JN. On the union of cranial autonomic (visceral) fibres with the nerve cells of the superior cervical ganglion.
J Physiol (Lond) vol.23: pp.249-270.(1898)

3)田村直俊 自律神経研究の歴史 ―情動と自律神経―  第 74 回日本自律神経学会総会 / 自律神経レクチャーズ 7
https://www.jstage.jst.go.jp/article/ans/59/2/59_197/_pdf/-char/ja

4)鈴木郁子 自律神経の科学 講談社ブルーバックス (2023)

5)マイケル・ガーション著 古川奈々子訳「セカンドブレイン 腸にも脳がある」 小学館(2000)

6)Wikipedia: Autonomic nervous system
https://en.wikipedia.org/wiki/Autonomic_nervous_system

7)ウィキペディア:副交感神経系
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%89%AF%E4%BA%A4%E6%84%9F%E7%A5%9E%E7%B5%8C%E7%B3%BB

8)Wikipedia: Sympathetic nervous system
https://en.wikipedia.org/wiki/Sympathetic_nervous_system

9)肝細胞研究会HP 塩尻信義、太田考陽  脊椎動物における肝臓構築の多様性と進化
http://hepato.umin.jp/kouryu/kouryu49.html

10)窪川かおる ナメクジウオの生物学 Journal of Reproduction Biology Vol. 47, No. 6 (2001)
http://reproduction.jp/jrd/jpage/vol47/470603.html

11)プライベートケアクリニック東京 勃起と射精のメカニズム
https://pcct.jp/repro/disease/mechanism-of-erection-and-ejaculation/

 

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2024年11月 3日 (日)

タビター都響:展覧会の絵@サントリーホール2024/11/03

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雲ひとつない快晴の中、サントリーホールでの都響演奏会です。ここまでくるのも大変になってきたので、都響会員は来年までと決断しました。残り少ない機会なので、今年度・来年度は楽しまなくてはいけません。

カラヤン広場では盛大に滝の水を流していて、空には今日のマエストロ(タビタ・ベルグルンド)を祝福するかのような十字架が見えます。

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タビタ・ベルグルンドはノルウェーの指揮者ですが、来シーズンからドレスデンフィルの首席客演を務めるということで、欧米では期待される若手なのでしょう。リハーサルは2日間だったみたいですが、もう完全に都響を掌握している感じで、こんなにみんなをやる気にさせることだけ見ても一流であることは明らかです。

スカートをはいて都響の指揮台に立つ指揮者を見るのは10年以上前のエヴァ・オリカイネン以来です。ポヒョラの娘は初めて聴く曲でしたが、なかなか雰囲気は良い曲です。終わった後思い出そうとしてもできませんが・・・。

グリークのコンチェルトはギムセの演奏が、まるで至高の美術品のような美しさでしたが、鑑賞するのみでのめりこみは無し。

のめりこめたのは休憩後の ムソルグスキー「展覧会の絵」で、これはマエストロの十八番だったのかな。都響の演奏も迫力満点でした。コンマスが武闘派の山本さんだったのもよかったのでしょうか。サイドはマキロンでした。ユーフォニアムやアルトサックスの名演奏も聴けましたし、西條氏も好調でした。弦も本当によく鳴っていました。

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満席の会場は熱狂し、ついに点灯後の指揮者アンコールまで。タビタはつつましくステージの端のほうにちょっとだけ出てきました。

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2024年11月 1日 (金)

World music collection 21: Old songs by Mitsu (=honey)

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蜜(mitsu) means "honey" and they constitute of Kimura Uni and Hashizume Ryo. They started their activity at 2007. I think they have a special talent to arrange old songs as if they are the originals of mitsu.

HP: 蜜 木村ウニ&橋詰遼
http://mitsu71.com

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銀座カンカン娘 高峰秀子
https://www.youtube.com/watch?v=6hgUGbZpwEI

A song just after the end of world war II. The age required bright entertainment. The title "Ginza kan-kan girls" is difficult to explain even by us Japanese. Someone says that kan-kan is a word of campaign against the prostitutes for US soldiers.

高峰秀子が歌っているのはさすがに見たことありません
歌は子供のころから知っていました
ウィキペディアによると:「カンカン」とは山本嘉次郎の造語であり、当時の売春婦の別称「パンパンガール」に対して「カンカンに怒っている」という意味が込められている: だそうです

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め組のひと RATS & STAR
https://www.youtube.com/watch?v=p6k4Lvhg1DE

どうして「め組」なのかはよくわかりませんでした 江戸時代に火消しの「め組」と相撲力士による乱闘事件があったそうですが、特に関係はなさそう

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Summer Vacation 村田和人&竹内まりや (Murata Kazuhito & Takeuchi Mariya)
https://www.youtube.com/watch?v=mSg2UUXZsWk

I think it's one of the best songs of Murata Kazuhito who passed away at 2016.

村田和人畢生の名曲だと思います ピアニカ風味のアレンジ

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Traveling 宇多田ヒカル (Utada Hikaru)
https://www.youtube.com/watch?v=_4pr6y86S14

オリジナルよりはまっていると思います でもリハ不足

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ひこうき雲(Contrail) 荒井由実(Arai Yumi = Yuming)
https://www.youtube.com/watch?v=XAngtHb2_3M

Yuming created this song in her age of teenager. It is a kind of mourning song.

後に多くの人がカバーするようになりましたが、彼らは昔からこの曲が好きでよくカバーしていたようです


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オリジナル(Originals)

Tasting of me     Music Video
https://www.youtube.com/watch?v=xV93LcSZc74

What can I do?   Music Video
https://www.youtube.com/watch?v=vcDnYoFwpqE

You know?    Live performance
https://www.youtube.com/watch?v=A5z7viz668I

Unfortunately, their original melodies do not come to stay in my brain.

 

 

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2024年10月30日 (水)

コーヒーの木

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掌に入るくらいのコーヒーの木の苗をイオンで購入してからもう5年になりますが、何度も死にかかったのを、何とか葉をほとんど刈り取るとか、大規模剪定するとかして救助し、今日に至ります。殺虫剤や防カビ剤は一切使いませんが、NPKは栄養として与えています。5年たっても30cmくらいの高さです(農園ならあり得ません)。

栽培の困難さは例えば ↓ をみるとわかります。本当にひ弱な植物です。
https://www.clovergarden-ex.co.jp/info/tree02/coffea

これを大規模に栽培して商品にするには、おそらく大量の化学薬品が必要だと思います。腎臓には良いそうですが、どうなんでしょうかねえ?

寒さにはとても弱いので、昨日から室内に移動しました。実はつけなくても葉はとても美しく、観葉植物としては大いに気に入っています。

さて今年の冬を無事こせますかどうか?

 

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2024年10月29日 (火)

自律神経の科学 鈴木郁子著

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この本の著者鈴木郁子さんはお茶大理学部出身で日本保健医療大学の教授です。自律神経について学びたいと思っていたのですが、メカニズムに関心がある私としては、話を医療から始められるのは困ると思っていたのでこの本を選びました。

カバーが猫になっていますが、これは多分著者が猫好きのせいではなくて、昔は自律神経研究のための実験動物として猫がよくつかわれていたからだと思います(合掌)。このイラストの作者をみると小泉さよさんで、なんとこのブログの2つ前の記事「黒猫ダイアリー」とつながってしまってびっくり。

講談社ブルーバックス(2023年刊)なので一般向けのはずなのですが、読み始めてすぐ、これはかなりきちんとした教科書であることに気がつきます。それでとばした「はじめに」をあらためて読むと、著者の講義録をふくらませたものであると書いてありました。ならばそれなりの心構えで読まなければいけません。

そのつもりで読むと、とてもわかりやすい教科書です。脳神経系に関する予備知識がなくても読めると思います。私は特に内臓求心性線維(第3の自律神経)について興味深く拝読しました。また腎臓の健康のためにはコーヒーがよいという研究論文が複数あるとか、実用上のメリットもありました。排尿とか排便のメカニズムについては特に詳しく書いてあって、この問題を抱えている人は一読に値します。

 

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2024年10月28日 (月)

2024 総選挙

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総選挙の結果、日本もスペインやフランスのような混迷の政界になってしまいました。まあそれはそれとして小さいけれども革命が起きた選挙でした。

1.日本にも右翼政党ができた - 参政党3 保守党3
2.れいわ9 が 共産党8 を上回る議席を得た

社会福祉主義でいくか、新自由主義でいくかというのは、マグマのように日本の政治の相容れない根本的対立となっていくでしょう。自民党はこれが混在しているので、両者を抱え込んだままこれからやっていけるかどうか???

新自由主義:自民党の一部(メジャー)+維新+参政+保守
社会福祉主義:自民党の一部(マイナー)+公明+立憲+れいわ+共産+社民
これでAとBにわかれるのが良いと思いますが、わからないのは国民民主党?

わが千葉13区は 医師vs生物学者 という対決でしたが、両者当選しました。

(画像はウィキペディアより)

 

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2024年10月25日 (金)

黒猫ダイアリー

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Noro が亡くなって、毎年使っていた平野謙三さんの 「Norojourney」 日記帳が終了したため、来年を共に過ごす日記帳を考えなければいけなくなってしまいました。いまさら昔々使っていた高橋書店の手帳に戻る気もしないので、できれば黒猫つながりでと探していたところ、ミドリカンパニーのくろねこダイアリーをみつけて購入しました。

このブログには登場しませんが、実は以前にクロパンという黒猫がうちにいて、この猫は押し入れで生まれて、引っ越しも含めてうちでそのすべての人生19年を過ごしました。自分の飼い猫の中でも19年も生きたのはクロパンだけでした。

購入したくろねこダイアリーは各ページに小泉さよさんのイラストがあって、黒猫独特の距離感の中にも親密な雰囲気があるシックな手帳型の日記帳です。パタンと完全に開くので書きやすいのがいいところ。1日5行づつ書けます。私はそれで十分。来年はこの手帳と共に生きていきます。

 

 

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2024年10月23日 (水)

食料が自給できない

農林水産省によると、昨年の食料自給率(カロリーベース)は38%だったそうですが、実際にはもっと低いのではないかと疑っています。自分が購入している食料の産地が毎年外国に変わりつつあります。まあここ3年38%を保っているというのは円安のせいもあるのでしょう。今年は円が高かった時期もあるのでおそらくもっと下がっていると思います。

この原因の一つは食料生産にかかわる人手不足、特に農業漁業就労者の高齢化があると思います。これはまだ外国人労働者を雇うという手がかすかに残されています。それができなければ輸入元が異常気象に見舞われた時などには、もう日本では生産できなくなっていて食べられなくなってしまうという事態になりそうです。

先日イオンに買い物に行ったときに購入した商品(個人的にご飯の友として必須)のラベルです。驚愕します。

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食料自給率の低下はある程度庶民にもわかりますが、外国資本による日本占領は庶民にはよくわかりません。セブンイレブンが外国に買われそうだという話は表に出ましたが、こういうことを自由にさせておいていいわけがありません。国際資本による富の独占は許してはなりませんが、たとえ立憲民主党が政権を運営しても、彼らがリベラルと呼ばれている限りこれを阻止するような政策をとれるかどうか疑わしいと思います。

 

 

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2024年10月21日 (月)

続・生物学茶話249: 樹状突起スパイン2

樹状突起スパインの形成と可塑性にアクチン繊維がかかわっていることを最初に指摘したのはおそらくマトゥスなのでしょうが(1)、コロボヴァとスヴィトキナは海馬の細胞(ラットかマウスか不明)を培養し、樹状突起スパインの成長を観察しながらアクチン繊維の形成について詳しく調査しました。そして2010年の論文(2)の中で次のように述べています -Surprisingly, the spine necks and bases, as well as dendritic filopodia, also contained a network, rather than a bundle, of branched and linear actin filaments that was immunopositive for Arp2/3 complex, capping protein, and myosin II, but not fascin-。スパインにはアクチンのネットワークが存在し、Arp2/3 が存在するので枝分かれが可能で、ミオシンIIがあるので収縮も可能です。しかしアクチン線維のバンドリングに必要なファシンは存在しません。つまり図249-1のような細かく枝分かれした細いアクチン線維のネットワーク構造があります。

彼らの観察によると、まず糸状の細い突起ができて、それが次第にふくらみマッシュルーム型のスパインに成長するということです。これは in vivo の観察と一致しています。2020年の Jung らのレヴューではネックの部分にミオシンのリングが描いてあります(3)。マッシュルーム型のスパインができるためにミオシンがどのような役割をはたしているかはまだわかりません。いずれにしても傘の上部が広いほど多くの受容体を配置できるので、強いシグナルを樹状突起に伝えることができます。

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図249-1 樹状突起スパインの成長

樹状突起スパインが多くのシナプスを作って効率的な情報伝達を行うためには、その形態が細長い突起のようではいけませんし、球形でもだめで、頂上に広場のような平らな部分がなくてはいけません。このためには直接的にはシナプス前領域とシナプス後領域をつなぎとめる橋のような構造が考えられます。脳科学辞典を見ると Ephrin/EphR やβ-neurexin/Neuroligin がその役割を果たしているような図がありました(4、図249-2)。一方 N-cadherin を重要視する考え方もあります(5)。

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図249-2 シナプス後領域で働くタンパク質一覧(脳科学辞典)

ただそのような橋構造自体はシナプスの安定化に寄与しても、樹状突起スパインの頂点に広場をつくったり、スパインの構造自体を平ぺったくするような機能を持つとは考えられません。奈良先端科学技術大の稲垣研究室では20年位前からシューティン(shootin)というタンパク質の研究を行っていて、 フルサイズのものをシューティン1b、スプライシングバリアントをシューティン1aと命名しました。このうち1a は脳に特異的に存在していることがわかっていました(6,7)。

図249-3(写真上、5)はラット海馬培養細胞の樹状突起をファロイジンでF-アクチンの染色をしたものですが、先端に行くにつれてF-アクチンが少なくなっていることがわかります。先端のほうでF-アクチンが染色されているのはほぼスパイン領域に限られます。シューティン1a もF-アクチンと同じくスパインに局在していることがわかります(図249-3写真下、5)。Kastian らはシューティン1をノックアウトすると、スパイン自体の数が6割くらいに減り、その多くがやせたフィロポディア型になってしまうことを示しました(5)。

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図249-3 樹状突起におけるF-アクチンとシューティン1aの局在

シューティン1a はF-アクチンとL1-CAM(細胞接着因子)の両者に結合する能力があるので、スパインの外側の細胞やマトリクスとL1-CAMを介して結合し、同時にF-アクチンとも結合することによって(クラッチカップリング)、アクチンの重合によって発生する力を細胞外に伝えることができます。つまりスパイン内でアクチン繊維が増えると外に押すことができるということです。したがって頭をシナプスで抑えられていると、クラッチカップリングが壁を移動させるような役割を果たしてスパインが横に膨張し、切り株のような(stubby)形のスパインを形成することができます。Kastian らはこれを図249-4に示しています(5)。

クラッチカップリングの存在はシナプスにストレスを与えないよう、位置がずれないよう、あるいは剝がれてしまわないように安定化し、記憶が安定的に保持されるうえでも有意義なのではないかと思われます。

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図249-4 Kastian らのスキーム

参照

1)A.Matus, Actin-based plasticity in dendritic spines. Science, vol.290(5492): pp.754-758. (2000) doi: 10.1126/science.290.5492.754.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/11052932/

2)Farida Korobova and Tatyana Svitkina, Molecular Architecture of Synaptic Actin Cytoskeleton in Hippocampal Neurons Reveals a Mechanism of Dendritic Spine Morphogenesis., Molecular Biology of the Cell
vol.21, pp.165–176, (2010) doi: 10.1091/mbc.E09-07-0596
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC2801710/

3)Minkyo Jung, Doory Kim and Ji Young Mun, Direct Visualization of Actin Filaments and Actin-Binding Proteins in Neuronal Cells., Front. Cell Dev. Biol. vol.8:588556. (2020)
doi: 10.3389/fcell.2020.588556
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33324645/

4)脳科学辞典:PSD-95
https://bsd.neuroinf.jp/wiki/PSD-95

5)Ria Fajarwati Kastian et al., Shootin1a-mediated actin-adhesion coupling generates force to trigger structural plasticity of dendritic spines., Cell Reports vol.35, issue 7, no.109130 (2021)
https://doi.org/10.1016/j.celrep.2021.109130
https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S2211124721004691

6)Toriyama, M., T. Shimada, K.B. Kim, M. Mitsuba, E. Nomura, K. Katsuta, Y. Sakumura, P.Roepstorff, and N. Inagaki. Shootin 1: A protein involved in the organization of an asymmetric signal for neuronal polarization. J. Cell Biol. vol.175: p.147–157 (2006)
DOI: 10.1083/jcb.200604160
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/17030985/

7)Ria Fajarwati Kastian, Shootin1a mediates an F-actin-adhesion clutch for dendritic spine formation and synaptic plasticit., (2019) Doctoral Thesis.
奈良先端科学技術大学院大学学術リポジトリ
https://naist.repo.nii.ac.jp/records/9529

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2024年10月19日 (土)

昔の自分に出会う

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なぜか急に部屋の模様がえをしたくなって、絨毯を取り替える決断をしました。そのためには上に置いてあるものをすべてどかさなくてはなりません。それであちこち掃除していると、古い原稿などがでてきて捨てようかどうしようかと迷っていると、作業がはかどりません。

そんなこんなで渋滞するなか、突然30年以上前の私に出会ってなんだか懐かしい気持になりました。当時私は赤血球の培養をやっていて、エリスロポエチンもクローニングされていましたし、献血などしなくてもジャンジャン赤血球を製造できるようになると信じていましたが、実際やってみると赤血球はなかなか気難しい細胞でうまく培養できず、結局断念したという苦い思い出があります。

現在でも輸血は献血に依存しているので、結局培養はうまくいっていないのでしょう。21世紀の科学の進歩は遅いと思います。この文章はまだ赤血球の培養をやっていた頃に雑談風に書いた文章です。商業出版されたわけではないので、ここに載せます。読み直したところ特に修正すべき点も発見できなかったので、当時のままです。

タイトル: コンドルは飛ぶ -赤芽性造血研究の歩みー

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注:現在ではエリスロポエチン産生細胞は腎臓の尿細管間質に分布していることがわかっています。

中田紘介 柳田素子 日本内科学会雑誌 第103巻 第 1 号・pp.160-165 平成26年 1 月10日
腎疾患とEPO産生細胞
https://www.jstage.jst.go.jp/article/naika/103/1/103_160/_pd

 

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2024年10月17日 (木)

布団の季節になりました

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都響 HP&SNS その1~重鎮編
https://morph.way-nifty.com/grey/2024/10/post-d92006.html

都響 HP&SNS その2~弦楽器編
https://morph.way-nifty.com/grey/2024/10/post-d64ab4.html

都響 HP&SNS その3~管・打楽器編
https://morph.way-nifty.com/grey/2024/10/post-e09740.html

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2024年10月15日 (火)

ニュース23 イスラエルによる国連軍攻撃を報道

本日(2024/10/15)、TBSニュース23はイスラエルが国連平和維持軍を攻撃し負傷者が出たことを報道しました。

一方でテレ朝報道ステーションは韓国の芸能事務所のスキャンダルを延々と報道するなどあきれた内容で埋められていました。これは非常に重要な問題なのに、意図的に報道しなかったとみられても仕方ないでしょう。

いかに現在の報道ステーションが退化してしまったかの証明でしょう。

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(画像はウィキペディアより)

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地熱発電が日本を救う

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私はずっと前から主張しているのですが(1、2)、日本は太陽光や風力による発電より地熱発電が向いているのです。1980年頃には盛り上がっていて、技術開発も高温岩体発電がほぼできるくらい進んでいたのですが、結局原子力で行こうということになってぽしゃってしまったのは本当に残念。

それでも少しづつはやっている人がいて、最近出力4万2千Kwの発電所もできました(3)。原子力と違って安全ですし、ほとんどメンテナンスフリーなのが利点です。観光業界が反対するわけですが、何が大切なのか少し考えてみればわかるでしょう。

政府は開発に本腰を入れて、特にマグマの位置を正確に検出して近傍にパイプを通す技術を確立して欲しいと思います。マグマ発電ができれば原発はいりませんし、むしろ他国より電力供給ではアドバンテージがあると思います。真山仁が本を出しています(4)。

1)https://morph.way-nifty.com/grey/2012/02/post-681b.html

2)https://morph.way-nifty.com/grey/2012/09/post-95e9.html

3)山葵沢(わさびざわ)地熱発電所
https://emira-t.jp/special/6070/?utm_source=outbrain&utm_medium=display

4)真山仁 地熱が日本を救う 角川新書(2013)



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2024年10月13日 (日)

「エロイカ」 by ライアン・ウィグルスワース&都響@サントリーホール2024/10/13

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不思議なフライヤーです。指揮者だけが星の中に居て、ソリストを呼んでいるのに写真がありません。そのバチが当たったのか、このフライヤーの下方のコンサートに出演予定だったイモージェン・クーパーさんがリハーサル終了後に負傷されてキャンセルになりました。ところがどこまでついているのか、土曜日に京都市交響楽団のコンサートで同じ演目を演奏したピアニストがいるということで、急遽日曜日のオファーを出したらOKということで、公演前日のアクシデントにもかかわらず穴を開けずにすんだという、狐につままれたようなお話でした。

サントリーホールはほぼ満席です。当日までわからなかったので、ソリストが交代して同じ曲を演奏するなんてことをしらないお客さんもいたことでしょう。開演前に国塩さんがステージに出てきてそのあたりの事情をお話ししてから演奏会がはじまりました。代役のアンドリュー・フォン・オーエンさんは、まるでチェンバロを弾いているような感じの演奏で(ピアノはスタインウェイ)、完全に自分の世界を持っている方でした。彼の世界に一体化できるほど都響の演奏は上品ではありませんが、本日の指揮者ライアン・ウィグルスワースの堅実なタクトのもとに無事破綻無く終了し、めでたしめでたし。

後半のエロイカは、指揮者がめざすベートーヴェンの演奏を矢部コンマスのもとに完全に音にした都響の演奏が素晴らしい。鷹栖・松木という2人の天才が扇の要に並ぶこの風景のなかに私が共存していることが夢のようです。ホルン勢も素晴らしかった。こんな演奏会に遭遇するので、コンサートホールに通うのをやめられません。

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2024年10月12日 (土)

イスラエル 国連軍を攻撃!

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イスラエルはこれまでにもパレスチナにいた国連職員を多数殺害していますが、ついにレバノンの国連平和維持軍(UNIFIL=United Nations Interim Force In Lebanon)を攻撃し、国連の兵士を負傷させたようです。

https://tanakaryusaku.jp/

これは完全に一線を越えており、世界に敵対する行為といえます。
日本はイスラエルと断交すべきです。

(画像はウィキペデイアより)

 

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2024年10月11日 (金)

続・生物学茶話248: 樹状突起スパイン1

アクチンもチューブリンもその起源をたどれば細菌までたどり着くという生物にとってなくてはならない重要なタンパク質です(1、2)。当然20世紀から大勢の研究者によって研究が進められてきましたが、それぞれ制御が複雑なメカニズムでおこなわれていて一筋縄ではいかない上に、アクチンとチューブリンのかかわりについてはあまり研究が進まず、21世紀も深まった現在まで課題が持ち越されてきたのが現状です。これは疾病に直接関わりのない生物学のテーマは、いくらそれが基本的なものであってもファンドがつかないことが原因でしょう。

アクチンモノマーからポリマー(マイクロフィラメント)がつくられる過程は前回述べましたが(3)、もうすこし詳しくみると、ATPと結合したアクチンモノマーはフォルミン、プロフィリンと結合した後に、これらの補助因子の力を借りて直鎖状にポリマーを形成します(図248-1)。枝分かれ構造をつくるためにはArp2/3 複合体を介する必要があります(図248-1)。これによってアクチン線維(マイクロフィラメント)は樹状の構造をつくることができ、されにそれらが重なり合ってメッシュのような構造をつくることができます。このことは細胞が様々な形態をとってそれをストレスに対抗して維持できることに貢献しています。

チューブリンの重合=微小管の形成については脳科学辞典の微小管の項目に詳しい解説がありますし(4)、また私の過去記事もあるのでご覧下さい(5)。微小管が崩壊してチューブリンモノマーに分解することを習慣的にカタストロフといいます。アクチンと違って、チューブリンはポリマーをつくるためのエネルギーをATPではなくGTPから得ています。

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図248-1 アクチン線維(マイクロフィラメント)の形成

アクチンとチューブリン、あるいはその重合体であるマイクロフィラメントと微小管については昔から詳しい研究が行われてきました。ただそれらがどのような共同作業(クロストーク)を行っているかについては21世紀も深まってようやく少しづつ解明されてきました(6)。

神経細胞もその機能を実現するためにアクチンとチューブリンを大いに利用しています。神経細胞は形態的な観点から見るとかなり特殊な細胞で、たとえば軸索という異常に長く伸びる(場合によっては細胞のサイズの1万倍くらいの長さ)突起をひとつだけ持つ、そしてそれと対照的に短い突起(樹状突起)は複数存在する、というのはどのように説明すれば良いのでしょうか。またそれらの構造はどう違うのでしょうか?

おそらく軸索が1本しかないというのは、細胞が分化する過程であるタイミングで1度しかおこらないアクチンとチューブリンおよび関連タンパク質の共同作業だと思われますが、その結果他の細胞には無い特異な構造が形成されます(7、図248-2)。すなわち軸索は、伸びていく先端が+、後端が-という極性が同じ微小管が Tau というタンパク質でパラレルに束ねられた構造が軸になり、まわりをアクチン線維がリング状に取り囲むという構造になっています(7,8、図248-2)。チューブの外壁にはアクチン線維と直交し、微小管とは平行に位置するスペクトリンのロープが伸びています(8)。先端だけにはフィロポディアのような構造がみられます(7、図248-2)。

一方樹状突起は複数存在するのが普通で、これは分化が終了した後も可塑性があると思われます。樹状突起内部の微小管は MAP2 というタンパク質で架橋されて束ねられています。極性はランダムで、軸索の場合のように先端が+、後端が-ということはありません。アクチン線維によるリング構造もありません。

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図248-2 軸索と樹状突起における微小管とアクチン線維

図248-2の右下図をみると、樹状突起にできるスパインはアクチン線維で充たされており、微小管が伸びていけない状況が描かれています。これはおそらくアクチン線維の緻密さによるとおもわれ、実際 in vitro の実験ですが、微小管は固い物に当たると急速なカタストロフを起こすことが知られています(9)。図248-3の右図のように微小管がスパインとの境界でカタストロフを起こしては、またその境界まで伸長するという状態を繰り返していると、自然に棲み分けができるでしょう。シナプス後細胞のスパインに充満し、その構造を支えているのはアクチン線維であることがわかります。

図284-3の左図はもうひとつの可能性を示したもので、微小管の先にキャッピングが行われ、そのコンプレクスがアクチン線維と結合しているとすると、微小管は伸長を妨げられ、またアクチン線維との結合によって構造が安定化すると思われます。樹状突起スパインでどうなっているかはわかりませんが、細胞分裂の際に中心体から放射状にのびる微小管と細胞膜の裏打ちとなるアクチン線維を連結する構造については、MISP, EB1, p150, myosin-10, cortical dynein などの関与が示唆されています(7)。

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図284-3 微小管がアクチン線維と出会うとき

脳科学辞典などによれば、自閉スペクトラム症では樹状突起スパインの数が増加し、統合失調症・アルツハイマー病・知的障害の場合は減少するそうです(10、11、図284-4)。このことは微小管やアクチン線維がこれらの疾患に関わっていることを示唆します。

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図284-4 樹状突起スパインと脳の疾病

 

参照

1)渋めのダージリンはいかが アクチンの系譜
https://morph.way-nifty.com/grey/2013/09/post-9bba.html

2)渋めのダージリンはいかが やぶにらみ生物論74: 細胞骨格1
https://morph.way-nifty.com/grey/2017/05/post-00ab.html

3)続・生物学茶話247: シナプス後厚肥
https://morph.way-nifty.com/grey/2024/09/post-33e61d.html

4)脳科学辞典:微小管
https://bsd.neuroinf.jp/wiki/%E5%BE%AE%E5%B0%8F%E7%AE%A1

5)渋めのダージリンはいかが やぶにらみ生物論75: 細胞骨格2
https://morph.way-nifty.com/grey/2017/06/post-20be.html

6)Charlotte H. Coles and Frank Bradke, Coordinating Neuronal Actin–Microtubule Dynamics., Current Biology vol.25, R677–R691 (2015)
http://dx.doi.org/10.1016/j.cub.2015.06.020
https://www.cell.com/action/showPdf?pii=S0960-9822%2815%2900714-9

7)Dogterom, M., and Koenderink, G. H., Actin–microtubule crosstalk in cell biology., Nat. Rev. Mol. Cell Biol. vol.20, pp.38–54. (2019)
http://doi: 10.1038/s41580-018-0067-1
https://www.nature.com/articles/s41580-018-0067-1

8)Minkyo Jung, Doory Kim and Ji Young Mun, Direct Visualization of Actin Filaments and Actin-Binding Proteins in Neuronal Cells., Frontiers in Cell and Developmental Biology, vol.8, article no.588556 (2020)
htpp://doi: 10.3389/fcell.2020.588556
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33324645/

9)Marcel E Janson, Mathilde E de Dood, Marileen Dogterom, Dynamic instability of microtubules is regulated by force., The Journal of Cell Biology, vol.161, no.6, pp.1029–1034 (2003)
http://www.jcb.org/cgi/doi/10.1083/jcb.200301147
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/12821641/

10)脳科学辞典:樹状突起スパイン
https://bsd.neuroinf.jp/wiki/%E6%A8%B9%E7%8A%B6%E7%AA%81%E8%B5%B7%E3%82%B9%E3%83%91%E3%82%A4%E3%83%B3

11)Ria Fajarwati Kastian, Doctoral Thesis:Shootin1a mediates an F-actin-adhesion clutch for dendritic spine formation and synaptic plasticity. 奈良先端科学技術大学院大学(2019)
https://library.naist.jp/opac/book/92496

 

 

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2024年10月10日 (木)

東京のコンサートホール改修と都響ラインナップ発表

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東京のコンサートホールは改修ラッシュの時期に突入します。当分改修無く使えるホールも、実は改修費値上げのため予算不足で延期したところも多いと聞いています。東京文化会館が3年かけてリニューアルするのは大歓迎です。私が住んでいる団地も東京文化会館も5Fで、どちらも階段で5Fまで歩いてあがる仕様です。改修後はエスカレータくらいはつけると信じたいです。席の狭さや旧式トイレも改善の必要があります。ただ精養軒は残して欲しいですね。

東京文化会館はものすごく駅改札と距離が近いので、大変便利なホールです。名実ともに都響の拠点としてきちんと整備されることを願います。都響は東京都の外郭団体なのですから、サントリーホールでコンサートをやるのは、民間オケが使うべき機会を侵食していると思うのでやめるべきです。東京西部でやりたいのなら区か市の施設を使うべきです。

改修中または改修予定のホール

東京文化会館
2026年から3年間

東京芸術劇場
2024年10月~2025年7月

サントリーホール
2024年9月~2025年7月

東京オペラシティ
2026年1月~2026年6月

紀尾井ホール
2025年8月~2026年12月

ティアラ江東
2026年1月~2027年7月

すみだトリフォニーホール
2027年1月~2029年3月

新宿文化センター
2023年11月~2025年9月

調布市グリーンホール
近年に建て替え予定

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以下は当分大丈夫

目黒パーシモンホール
文京シビックホール
杉並公会堂
世田谷区民会館
葛飾シンフォニーヒルズ
大田区民ホール・アプリコ
江戸川区総合文化センター
西新井文化ホール・ギャラクシティ
北とぴあ
サンパール荒川

25~26シーズンの都響演奏会ラインナップが発表になりました。
ホール修理の関係で日取りはイレギュラーとなりましたが、偏らない演目、堅実な指揮者陣、豪華なソリストと本当によく考えられたラインナップだと思います。改修の嵐の中で国塩頑張りました。

ひとつ異様な点はありますが、それは都響会員がひそひそ話で交わすことだと思うので、ここでは述べません。

世の中値上がりの嵐で、コンサートホールだけじゃなくて家の不具合だって簡単には直せません。これから選挙ですが、物価値上げを阻止すると言っている政党はあるのかな?

 

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2024年10月 9日 (水)

都響 HP&SNS その3~管・打楽器編

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都響 HP&SNS 最終回の管・打楽器編です。ペットの写真を使わせていただいたこと、ご容赦お願いします _(._.)_。

#フルート

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小池郁江


https://x.com/ikue_koike

Photo_20241009155901

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中川愛

フェイスブック
https://www.facebook.com/ai.nakagawa.3

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#オーボエ

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大植圭太郎

next mushroom promotion
http://kinoko2001.music.coocan.jp/oue_keitaro.html

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南方総子(なんぽうふさこ)

マエストロ-ラ音楽院
https://www.maestrora.jp/room/room27.html

上野学園大学音楽学部
https://www.uenogakuen.ac.jp/pdf/teacher/university/nampo_fusako.pdf

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#クラリネット

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糸井裕美子


https://x.com/yu_minn_u3u

=======================

勝山大輔


https://x.com/daitempo

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#ファゴット

=======================

向後崇雄(こうごたかお)

インスタグラム
https://www.instagram.com/takao_kogo/

=======================

山田知史(やまだのりひと)

ドルチッシモ
https://x.com/bsndlcsm

=======================


#ホルン

=======================

有馬純晴(ありますみはる)

フェイスブック
https://www.facebook.com/sumiharu.arima/

=======================

五十畑勉


https://x.com/isohatatsutomu

インスタグラム
https://www.instagram.com/tisohata/

洗足学園音大
https://www.senzoku.ac.jp/music/teacher/tsutomu-isohata

=======================

鈴木優(すずきゆう)


https://x.com/uuu___u

インスタグラム
https://www.instagram.com/u_u0716/

=======================

和田博史(わだひろふみ)

HP
http://zqto.web.fc2.com/wada.htm

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#トランペット

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伊藤駿


https://x.com/syuntrumpet0208

Photo_20241009161001

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内藤知裕


https://x.com/tomopet

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中山隆崇(なかやまたかし)

フェイスブック
https://www.facebook.com/takashi.nakayama.908/?locale=ja_JP

洗足学園音大
https://www.senzoku.ac.jp/music/teacher/takashi-nakayama

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#トロンボーン

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井口有里(いぐちゆり)

フェイスブック
https://www.facebook.com/trb.iguchi/?locale=ja_JP

武蔵野音大
https://www.musashino-music.ac.jp/graduate/teacher/guest/wind/iguchi_yuri

=======================

ザッカリー・ガイルス


https://x.com/zguiles

コンサートスクウェア(非公式)
https://www.concertsquare.jp/musician/unofficial/detail/8137BCnOqYrPWDrjpeag

Guiles2

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野々下興一


https://x.com/koichinonoshita

インスタグラム
https://www.instagram.com/nonoshita/

洗足学園音大
https://www.senzoku.ac.jp/music/teacher/kouichi-nonoshita

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#テューバ

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佐藤潔


https://x.com/kiyoshisatotuba

武蔵野音大
https://www.musashino-music.ac.jp/graduate/teacher/guest/wind/satokiyoshi

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#打楽器

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西川圭子

アメーバニュース
https://news.ameba.jp/profile/detail/%E8%A5%BF%E5%B7%9D%E5%9C%AD%E5%AD%90/

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2024年10月 8日 (火)

都響 HP&SNS その2~弦楽器編

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重鎮編に続いて弦楽器奏者編です。

前回同様ペットの写真を使わせていただきますので、ひらにお許しを _(._.)_。

#ヴァイオリン

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安達優希


https://x.com/yuukiadachi_vn

フェイスブック
https://www.facebook.com/mameta.neko

Photo_20241008092901

======================

伊東翔太


https://x.com/itooo_com

インスタグラム
https://www.instagram.com/shota__ito/?hl=ja

フェイスブック
https://www.facebook.com/shota.lto.1/?locale=ja_JP

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及川博史

フェイスブック
https://www.facebook.com/hiroshi.johnmarie

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蔭井清夏(かげいさやか)

ハッシュタグ
こちら

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小関郁(こせきふみ)


https://twitter.com/fumikoseki_vn

ブログ
https://ameblo.jp/fumi-note-vn/

フェイスブック
https://www.facebook.com/fumi.koseki.3/?locale=ja_JP

コンサートスクウェア(非公式)
https://www.concertsquare.jp/musician/unofficial/detail/2020ECDJDCIKqjOlqrNX

Photo_20241008094001

=====================

塩田脩(しおだしゅう)

インスタグラム
https://www.instagram.com/explore/tags/%E5%A1%A9%E7%94%B0%E8%84%A9/top/

コンサートスクウェア(非公式)
https://www.concertsquare.jp/musician/unofficial/detail/5616flPdKnJCKOTZHegb

=====================

田口美里

フェイスブック
https://www.facebook.com/misato.taguchi.7

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田中雅子

フェイスブック
https://www.facebook.com/masako.tanakaokamoto

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大和加奈

フェイスブック
https://www.facebook.com/kana.yamato.1

Yamatokana-dog

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三原久遠(みはらひさお)

フェイスブック
https://www.facebook.com/hisao.mihara.3/?locale=ja_JP

=====================

山本翔平

フェイスブック
https://www.facebook.com/hisao.mihara.3/?locale=ja_JP

=====================

海和伸子


https://x.com/musmus_vn

フェイスブック
https://www.facebook.com/profile.php?id=100004201507111

=====================

小林久美

フェイスブック
https://www.facebook.com/kumi.kobayashi.7568

=====================

高田はるみ


https://x.com/harulin9

フェイスブック
https://www.facebook.com/harumi.takada1

コンサートスクウェア(非公式)
https://www.concertsquare.jp/musician/unofficial/detail/6087okzOIrqCkmxXVzxl

=====================

新田僚(にったつかさ)

X
https://x.com/tsukasanitta

フェイスブック
https://www.facebook.com/tukasa.nitta/?locale=ja_JP

=====================

吉本萌慧(よしもともえ)

X
https://x.com/riapatch

フェイスブック
https://www.facebook.com/ria.patch/?locale=ja_JP

インスタグラム
https://www.picuki.com/tag/%E5%90%89%E6%9C%AC%E8%90%8C%E6%85%A7

ブログ
https://blog.goo.ne.jp/adreamsession/e/cf8667b66c28f219e1de905cc2e0f760

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# ヴィオラ

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石田紗樹


https://x.com/va_sakiishida

フェイスブック
https://www.facebook.com/saki.ishida.33/?locale=ja_JP

====================

村田恵子


https://x.com/keco_va

====================

デイヴィッド・メイソン


https://x.com/dmasonviola

フェイスブック
https://www.facebook.com/masondw/

インスタグラム
https://www.instagram.com/dmasonviola/

====================

冨永悠紀子


https://twitter.com/yucco_va

 

Photo_20241009175501

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萩谷金太郎


https://x.com/kinkintaroro

フェイスブック
https://www.facebook.com/kintaro.hagiya/?locale=ja_JP

Photo_20241008113201

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#チェロ

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江口心一


https://x.com/eguocchi

俺の弦チャンネル
https://www.youtube.com/channel/UCao0yk4_Fyy1c04MrhIWIxw

====================

長谷部一郎


https://x.com/ichirocello

ブログ 長谷部一郎 Cello日記
http://ichirocello.cocolog-nifty.com/

====================

清水詩織


https://x.com/ichirocello

フェイスブック
https://www.facebook.com/profile.php?id=100002624680138

東音企画
https://concertmanagement.to-on.com/artists/843

====================

高橋純子

インスタグラム
https://www.instagram.com/junkocello/

====================

平田昌平

i-Amabile
https://i-amabile.com/conductor/668

====================

森山涼介


https://x.com/vc_moriyama

フェイスブック
https://www.facebook.com/profile.php?id=100027721863074

Photo_20241008114501

====================

 

#コントラバス

====================

佐野央子(さのなかこ)


https://x.com/ganznakako

フェイスブック
https://www.facebook.com/nakako.sano/?locale=ja_JP

佐野豆腐店
https://note.com/dawndishproject/n/n84a74a4e0f51

====================

本山耀佑(もとやまようすけ)

HP
https://yosukemotoyama.com/


https://x.com/motoyamayosuke

インスタグラム
https://www.instagram.com/yosukemotoyama/

ブログ
https://yosukemotoyama.com/%E3%83%96%E3%83%AD%E3%82%B0/

===================

 

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2024年10月 4日 (金)

高関健&東京シティフィル スメタナ「わが祖国」@東京オペラシティコンサートホール

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都響のC定期が芸劇の工事の関係で9月で終了ということで、以降のコンサートは東京シティフィルのチケットを入手して初台に通うことにしました。ここは遠いのですが駅から近いというのが取り柄。

例によってマエストロ高関がきさくにプレトークをしてから本番。コンマスは荒井さん。「ヴィシェフラド」はなにか手探り状態でおそるおそるの演奏でしたが、「ヴルタヴァ」までくるとようやくオケがまとまってきて熱い演奏になりました。あまりに素晴らしい演奏だったので、終了後かなりブラボーや拍手があったくらいです。指揮者もオケも盛り上がっていて、やっぱり来たかOKという感じでした。

「シャールカ」のクラリネット(山口さん)の鋭角的・戦闘的な演奏には度肝を抜かれました。クラリネットという楽器のイメージが変わるようなショックを受けました。ヴルタヴァに続いてすごい演奏が続きます。・・・ここで休憩。

「ボヘミアの森と草原から」は谷さんのホルンが冴え渡って素晴らしく、ポルカもノリが良くて名演でした。今日はホルン8本という豪華版。永年クラシックの演奏会に通っていますが、一番失敗が多いのがホルンで、多分この楽器がオケの中で一番演奏が難しい楽器なんじゃないでしょうか? シティフィルも昔ホルンが第1楽章から暴走してボロボロになったこともあります。「ターボル」と「ブラニーク」はスメタナの音楽そのものがうるさいだけであまり感動はなし。

終演後指揮者アンコールで高関さんはクラリネットの山口さんを帯同して現れました。指揮者もびっくりしたのかもしれません。

谷あかね
https://www.instagram.com/akanehorn/

高関健
https://x.com/KenTakaseki?ref_src=twsrc%5Egoogle%7Ctwcamp%5Eserp%7Ctwgr%5Eauthor



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2024年10月 3日 (木)

都響 HP&SNS その1~重鎮編

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都響のオフィシャルサイト以外で都響メンバーのHP・SNSを探索してみました。網羅しているわけではありませんので、みつからなかった場合はごめんなさい。今回の重鎮編は都響の中でもお偉方とおぼしき方々限定です。一般編もやる予定ですが、時間がかかりますのでしばらく後で。サイトからペットの写真をお借りすることがあります。ひらにお許しを _(._.)_。

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大野和士

オフィシャル
https://www.kazushiono.com/ja

AMATI
https://www.amati-tokyo.com/artist/conductor/post_1.php

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エリアフ・インバル

JAPAN ARTS
https://www.japanarts.co.jp/artist/eliahuinbal/

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アラン・ギルバート

オフィシャル
https://www.alangilbert.com/en-us/


https://x.com/gilbertconducts

ヒラサオフィス
https://www.hirasaoffice06.com/artists/view/38

----------------------

小泉和裕

AMATI
https://www.amati-tokyo.com/artist/conductor/post_3.php

======================

矢部達哉

X 
https://twitter.com/TatsuyaYabeVL?ref_src=twsrc%5Egoogle%7Ctwcamp%5Eserp%7Ctwgr%5Eauthor

インスタグラム
こちら

JAPAN ARTS
https://www.japanarts.co.jp/artist/tatsuyayabe/

======================

水谷晃

オフィシャル
http://musiciansparty.jp/artist/mizutani/


https://twitter.com/mizutani_akira?ref_src=twsrc%5Egoogle%7Ctwcamp%5Eserp%7Ctwgr%5Eauthor

インスタグラム
https://www.instagram.com/akira_mizutani_1986/

======================

山本友重

フェイスブック
こちら


https://x.com/tomoshigeyama

コンサートスクウェア(非公式)
https://www.concertsquare.jp/musician/unofficial/detail/2125MRlaSWLKWjynQRkd

======================

吉岡麻貴子

フェイスブック
こちら

======================

渡邉ゆづき


https://x.com/yuzuki79403436

インスタグラム
https://www.instagram.com/yuzukiviolin/

フェイスブック
https://www.facebook.com/watanabe.yuzuki.1

======================

遠藤香奈子

フェイスブック
こちら

インスタグラム
https://www.instagram.com/ko_kana828/


https://x.com/kanak0_032?lang=gl

コンサートスクウェア(非公式)
https://www.concertsquare.jp/musician/unofficial/detail/4540zoRzlhKLozoJXRmp/

======================

双紙正哉


https://x.com/masayasoshi

フェイスブック
https://www.facebook.com/masaya.soshi/?locale=ja_JP

コンサートスクウェア(非公式)
https://www.concertsquare.jp/musician/unofficial/detail/1189FKkBWckEJdvXMZQy

Soushicat

======================

鈴木学


https://x.com/mana_bratsche

コンサートスクウェア(非公式)
https://www.concertsquare.jp/musician/unofficial/detail/6905voEYbjDFTQyMHzwQ

======================

伊東裕


https://x.com/yuitobanbi

東音企画
https://concertmanagement.to-on.com/artists/1476

コンサートスクウェア(非公式)
https://www.concertsquare.jp/musician/unofficial/detail/803qSjTPHXeQhjOzIPi

======================

古川展生

オフィシャル
https://www.nobuofurukawa.com/


https://x.com/nobuofurukawavc

AMATI
https://www.amati-tokyo.com/artist/cello/post_56.php

======================

池松宏

HP(芸大のサイト)
https://researchmap.jp/ikematsu.hiroshi

コンサートスクウェア(非公式)
https://www.concertsquare.jp/musician/unofficial/detail/8005WvfSPPMLKamAwAFw

Dreamusic
https://dreamusic.co.jp/artist/hiroshi-ikematsu/profile/

======================

山本修

オフィシャル
http://yamamotoosamu.seesaa.net/

======================

松木さや

インスタグラム
https://www.instagram.com/saya2116/

======================

柳原佑介

HP(武蔵野音大のサイト)
https://www.musashino-music.ac.jp/graduate/teacher/guest/wind/yanagihara

======================

鷹栖美恵子

東音企画
https://concertmanagement.to-on.com/artists/995

鷹栖音楽教室
https://takasuonkyo.com/

======================

広田智之

オフィシャル
https://tomoyukihirota.com/profile/


https://x.com/TomoyukiHirota?ref_src=twsrc%5Egoogle%7Ctwcamp%5Eserp%7Ctwgr%5Eauthor

Hirotagog

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長哲也


https://x.com/tetsuyacho

フェイスブック
https://www.facebook.com/tetsuya.cho.35/?locale=ja_JP

コンサートスクウェア(非公式)
https://www.concertsquare.jp/musician/unofficial/detail/4720pcGscwbjaTfQSOzK

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岡崎耕二

HP(武蔵野音大のサイト)
https://www.musashino-music.ac.jp/graduate/teacher/guest/wind/kojiokazaki-trp

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高橋敦

HP(洗足学園音大のサイト)
https://www.senzoku.ac.jp/music/teacher/osamu-takahashi

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風早宏隆

HP(武蔵野音大のサイト)
https://www.musashino-music.ac.jp/graduate/teacher/guest/wind/kazehaya_hirotaka

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高瀬新太郎


https://x.com/tks_tb

フェイスブック
https://www.facebook.com/takase.shintaro.9

東音企画
https://concertmanagement.to-on.com/artists/1957

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安藤芳広

HP(武蔵野音大のサイト)
https://www.musashino-music.ac.jp/graduate/teacher/guest/percussion/ando

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久一 忠之

フェイスブック
こちら

HP(東邦音楽大学のサイト)
https://www.toho-music.ac.jp/college/teachers/teacher3777.html

 

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