カテゴリー「音楽(music)」の記事

2017年10月22日 (日)

都響2018~2019ラインアップ

Suntory Hall 2.jpg

都響2018~2019シーズンのラインアップが11日に発表されました。
http://www.tmso.or.jp/j/topics/detail.php?id=1266

今シーズンまで首席客演だったフルシャがバンベルク・フィルとチェコ・フィルに仕事を得たので退任。後釜はアラン・ギルバートになりました。彼は母親が日本人で、ミドルネームも「たけし」です。演奏は肉食系で血湧き肉躍るという感じでしょうか。どうしてニューヨーク・フィルを退任したかは謎です。

定期演奏会は音楽監督・終身名誉・桂冠の3重鎮とアランが中心のメニュー。目玉はやはり4月9日・10日の大野指揮のマーラー交響曲第3番ニ短調でしょう(Ms リリ・パーシキヴィ)。ベルティーニやインバルの偉大な演奏と比較されるのは仕方ありません。

個人的に特に楽しみな演奏会としては:

# アラン・ギルバートのドヴォルザーク「新世界」・リムスキー=コルサコフ「スペイン奇想曲」
# オリヴァー・ナッセンのホルスト「惑星」
# 大野和士のラヴェル「ダフニスとクロエ」・ブルックナー交響曲第6番
# ミヒャエル・ザンデルリンクのショスタコーヴィチ「交響曲第6番」
# クラウス・マケラのシベリウス「交響曲第1番」
# エリアフ・インバルのブルックナー「交響曲第8番」・ショスタコーヴィチ「交響曲第5番」

美貌ピアニスト カティア・スカナヴィ
https://www.youtube.com/watch?v=4yl92M5BHJU

奇才ヴァイオリニスト パトリシア・コパチンスカヤ
https://www.youtube.com/watch?v=xr9KmgDFwMc

貴公子風ヴァイオリニスト レイ・チェン
https://www.youtube.com/watch?v=I03Hs6dwj7E

なども聴けます。

ベテラン指揮者中心のプログラムなので、いかに新鮮味を出すかが課題でしたが、そこそこ頑張ったと思います。特に上記3人のソリストを呼べたのは成功でしょうね。

最後に個人的な苦情:

やったばかりの「ドン・キホーテ」をなぜまたやるのかわけわかりません
ドヴォルザークの交響曲第7番は失敗作 その証拠に第8番では方向転換した
ツェムリンスキーやルトスワフスキの音楽は退屈
「春の祭典」は生け贄が踊って死ぬという状況にどう感動すれば良いのか?
3定期とプロムナードに女性指揮者を1回も起用していませんが、これはそのうち問題になります 日本の女性指揮者はみんな外国のオケが育てることになってもいいのでしょうか? (私はフィンランド人のエヴァ・オリカイネンを押しますけどね)
あと日本人若手指揮者の起用もなしですね これはお偉方の問題だけではなくて、楽団員に指揮者を育てるというという姿勢がないのではないかと疑います。

都響は札幌・名古屋・福岡・欧州・特に西東京方面にはしばしば行くのに、隅田川より東の区部・東京東部地域にはめったに来ません。すみだトリフォニーホール・江戸川総合文化センター・青砥シンフォニーホール・西新井文化ホール・サンパール荒川・北トピアなど立派なホールがたくさんあります。これは非常に不可解です。

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2017年10月 8日 (日)

山鳩の見る夢@三軒茶屋2017年10月6日

P1060725長い間CDを聴くだけだったのですが、ついに「まきちゃんぐ」のライヴに行くことができました。

場所は三軒茶屋のグレープフルーツムーン。

タイナカ彩智さんとのコラボ「山鳩の見る夢」です。イメージ的には巫女(タイナカ)と酋長の娘(まきちゃんぐ)のタイアップという感じかな。タイナカ彩智さんはピアノの名手で、著名なシンガーソングライターです。

http://morph.way-nifty.com/grey/2016/10/by-2666.html

まきちゃんぐはパンタロン形のジーンズにピンヒールという奇怪なファッションで登場。顔がまん丸に見えるように前髪をカットしているのもめずらしいヘヤースタイルです。

オープニングでタイナカさんが歌っているとき、まきちゃんぐがキーボードで伴奏していたのですが、どんどんペダルがずれて危ないなと思っていたら、突然演奏しながら靴を脱いで、はだしで引き寄せて踏み始めました。これはマジックです。

今回は河合さんという絵描きの方を呼んで、ライブドローイングをやってもらうという趣向だそうです。歌を歌っている間に、指に多分カーボンか黒い顔料の粉をつけて描いていくというのが河合さんの芸風のようです。モノクロですが、驚くべきパフォーマンスでした(写真)。是非画像をクリックして、大画像でご覧になってください。

P1060741

まきちゃんぐも30歳になったようで、若い頃のような毒素ただよう芸風からやや変化して、やわらかくなってきたみたいです。声に張りがある素晴らしいシンガーソングライターですが、激しさもやわらかさも変幻自在のボーカリストでもあります。

「鋼の心」や「赤い糸」もいいですが、「木漏れ日の中で、夏」 「NORA」なんかが私のフェイバリットかな。

ニューアルバム「ハナ」のトレーラー
https://www.youtube.com/watch?v=Mg1-8pFqFoI

愛の雫
https://www.youtube.com/watch?v=ESAqbWBsPjQ

満海
https://www.youtube.com/watch?v=xUWDL1KkgZg

愛と星
https://www.youtube.com/watch?v=XI468c7Hlxk

そうじゃろ
https://www.youtube.com/watch?v=nRlPARRdqs0

岡山出身だそうで関西でのライヴが多く、東京ではなかなか機会がなかったのですが、ようやく聴けて感動しました。クリスマスイヴに南青山マンダラでワンマンをやるそうです。

私の過去記事
http://morph.way-nifty.com/grey/2014/11/by-1ab6.html

オフィシャルHP
http://makichang.info/

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2017年9月29日 (金)

クレア・フアンチ ピアノリサイタル@白寿ホール2017年9月28日

Img1クレア・フアンチはウィキペディアによると、両親が科学者だそうで、ニューヨークのロチェスター生まれ(1990年)の中国系米国人だそうです。

白寿ホールははじめてでしたが、千代田線「代々木公園」に程近いビルの7Fにある素晴らしいホールです。ピアノ演奏を聴くのに非常に適していると思います。シートがまた素晴らしく、特にランバーサポートがしっかりしていて疲れません。

フアンチはショパンのノクターン集のCDを持っていて、すごいピアニストであることは知っていましたが、実演ではもっとエモーショナルで、生演奏らしいエキサイティングな音楽を楽しめました。

さてフアンチはリサイタルなのにドレスは着用せず、地味なパンツに普段着に毛の生えたような衣装で登場。ヤマハのピアノは「月光」ソナタに向いています。第一楽章の、暗い地底からとめどなく湧き上がってくる泉のような3連符にはぞくぞくしました。

休憩後のショパンのプレリュードはエルフルン・ガブリエルのCDがあればいいと思っていましたが、今夜の演奏には完全にやられました。2曲目の暗さがたまりません。「雨だれ」もしとしとの雨ではなく、物凄い暴風雨です。終盤はやや落ち着きがなかったような気もしましたが、実演で聴いた「プレリュード」ではベストであることに間違いありません。

Img2アンコールも拍手が鳴り止まず、スカルラッティを3曲、グリーグを1曲やって、ここまで暗譜でしたが、ついに5曲目「美女と野獣より」には、タブレットを譜面台においての演奏でした。このアンコールも驚異的な名演でした。朝まで聴いていたいという感じでしたね。

私は特に彼女のショパンが好きです。感性的にフィットする演奏なので・・・。よくまあ日本でリサイタルをやってくれたと思います。

https://www.youtube.com/watch?v=xziZgGfZk7g

https://www.youtube.com/watch?v=C-4H_57BW_o

https://www.youtube.com/watch?v=8oIc3A19MAc

https://www.youtube.com/watch?v=Oji289l6fQE

https://www.youtube.com/watch?v=4z5bJUtJivI

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2017年9月23日 (土)

梅田-都響のエルガー「創作主題による変奏曲(エニグマ)」@サントリーホール 2017年9月23日

Imgajpgサントリーホールは改装後はじめてでした。2Fのトイレの位置が変更されていて、従来の男子トイレと女子トイレがくっついて女子トイレとなり、男子トイレは別の位置に移動しました。ところが女子トイレに進入禁止マークがついていて???と思ったら、なんと出口と入口を分けたので出口に進入禁止マークをつけたのだそうです。

出口・入口と書けばわかるだろうに馬鹿なことをするものです。

シートの背もたれが良くなった感じがしました。背骨に問題がある私のような人間には有難いことです。

本日の指揮者は梅田さん、コンマスは矢部ちゃん(札幌まで台風を連れて行ったようですが、今日は朝は雨でしたがぎりぎりセーフ)。

サイドのマキロンは札幌で暴飲暴食かと思いきや意外にすっきり。客席は地味なプログラムの割には結構埋まっていました。

ハイドンの主題による変奏曲は、マエストロ梅田が優美な演奏をめざしていたと思われますが、そのせいか若干締まりが悪かったように思いました。

本日のソリストはチェリストのユリア・ハーゲン。まだ22歳の若手ですが、なかなか豊満なルノアール風の容姿で、なぜか音楽も豊満。リッチな音と繊細な演奏で「ロココの主題による変奏曲」を聴かせてくれました。これはなかなかの掘り出し物です。チェリストの演奏台の裏には、ここで演奏した多くのチェリストのサインがありますが、彼女もサインしたのでしょう。

都響のサポートも万全で、大変素晴らしい演奏だったと思います。拍手に応えてアンコール(バッハ)もやってくれました。後半は客席で都響の演奏を聴いていました。

休憩後のエルガー「創作主題による変奏曲(エニグマ)」は、はじめて実演に接しました。店村というVlaの名手がいる都響向きの曲で、マエストロ梅田も得意の曲なのでしょうか、都響をきっちりコントロールして、かつ生気に満ちた躍動感のある音楽を聴かせてくれました。とはいえエルガーという人も、ここぞというところでキャッチーなメロディーを投入できない、あと一歩の「残念な作曲家」だなあという思いがつのる演奏会でした。

ロココ風の主題による変奏曲 チャイコフスキー
https://www.youtube.com/watch?v=wsWnOgv6RG8

創作主題による変奏曲 エルガー
https://www.youtube.com/watch?v=QB8cE0B11lE

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2017年9月10日 (日)

大野-都響のハイドン「天地創造」@東京芸術劇場2017年9月10日

Imga池袋芸劇でハイドンの「天地創造」です。ずいぶん雨天が続いた今年の夏でしたが、なんと矢部ちゃんがコンマスで晴れ。サイドは四方さん。都響としてはめずらしく、1Vnの隣がVla、2Vnは対面です。

スクリーンがないのでどうするのか心配していたら、なんと正面のリフレクションボードに歌詞を直接投射とは(幻灯か!)。これは見にくかった人もいたのではないでしょうか? まあ手抜きでしょう。客席はほぼ満席の盛況でした。

オケも合唱(スウェーデン放送合唱団)も良い感じではじまりました。ラファエルのヘンシェルはちょっと迫力不足かな。ソプラノ(林正子)とテノール(吉田浩之)は快調です。

後ろの列の子供がうるさくて誰かが注意したら、母親におこられて泣き出してしまいました。後半は親子の姿が見えませんでした。誰かがクレームをつけたのか、周辺の聴衆に対して、係員が音をたてないよう休憩時に注意に来ましたが、事情を知っていたらそんなことしませんよね。

大野-都響-スウェーデン放送合唱団は完成度の高い演奏、特にシーン4第4場(月と星の創造)が繊細な美しさで素晴らしいと思いましたが、休憩前の拍手が思いの外まばらで、合唱団が帰りかけたところで指揮者・ソリストが出てくるというチグハグもありました。

神による天地創造がテーマなわけですが、鳥や獣はいろいろでてくるのですが、昆虫は昆虫という集合名詞でひとくくり、魚類の代表はリヴァイアサンというらしいですが、これはどうも鯨らしくて哺乳類という奇妙。両生類は無視ですか? 19曲目で休憩になりました。

後半は元気の良い音楽で、アダムとイブの場面はもう完全にオペラ風。大野の美学で彫琢・整理された盛り上がりという感じでしょうか。でも何か立派すぎて・美しすぎて、聴衆の燃焼度は80%というのが大野-都響の限界のように思われます。

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2017年8月18日 (金)

西島三重子バースデイライヴ@原宿ラ・ドンナ2017年8月17日

Imga_2012_2原宿は別世界で、日本の街とは思えないくらい、街並みがインターナショナルで、外国人も大勢闊歩しています。

それにいつきても若い人が大勢歩いていて、こんな街がまだ日本に存在することに少し安心します。

街角に鷹がいました。鷹匠さんと良いコミュニケーションがとれているようです。最近またバーバー博士の「もの思う鳥たち」が話題になっていますが

http://www.02.246.ne.jp/~kasahara/psycho/Barber_Human_Nature_of_Birds.html

この写真など見ると、犬猫だけでなく、鳥ともその気になればかなり良い関係が築けるのではないかと思いました。ところでこの鷹匠さんが右手に持っているのは何でしょうか。その答えは下の写真にあります。

Imga2

鷹匠さんは霧吹きで水をかけてあげていました。鷹は気持ちよさそうに水浴びをしています。でも鷹匠体験って何をするのでしょうか? 時間があったらやってみたかったです。

Imgc

ラ・ドンナに行くとまだクローズドの札でしたが、もう十数人が階段を降りて並んでいました。今回のライヴは前売りで満席売り切れです。

このライヴハウスはとても聴きやすい理想的なフロア構造で、音響設備も万全です。ただ最初に食事を注文したのに、持ってきたのがライヴがはじまってから、つまり1時間経過というのは、いまどきあり得ないレストランではないのかと、ひと言苦言を呈しておきます。

サポートは織原洋子(pf)、平野融(g)です。織原さんのピアノがボーカルに寄り添って素晴らしく、平野さんも今回はリラックスして楽しみながら演奏している感じでした。

セットリストはメモをとっていなかったので、うろ覚えです。ご容赦ください。

星のTapestry
孔雀の海
夢の足跡
池上線
池上線ふたたび
愛に流されて
少年の風
天体望遠鏡
おひさまのたね

わたしはどこへ行くの?
渚を走るDolphin
シャドウ
河はながれる
泣きたいほどの海
永遠の少年たち
星屑のララバイ
サイレントデイズ

(Happy birthday to Mieko)

そうよ smile again

特になつかしい「泣きたいほどの海」を聴けたのには感激です。https://www.youtube.com/watch?v=sEyOtFWiqow

「そうよ smile again」
https://www.youtube.com/watch?v=YvzFbk7R60c

ポスターです↓

Imgb


最近みどりむしとヨーグルトで肥満したそうですが、写真写りはそのせいでかえって良くなった感じがします。還暦過ぎてもライヴをやってくれていることに感謝します。以前に石井好子さんが80歳記念ライヴをマンダラでやったそうですが、是非それをめざしましょう。少しエンジンのかかりが遅くなりましたが、声はまだまだ大丈夫という感じがしました。

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2017年8月 8日 (火)

麻枝准 x 熊木杏里 「long long love song」

Imgbアマゾンから分厚い封筒が届く。あれだな。
麻枝准x熊木杏里の「long long love song」だろう。

開けると、奇妙な分厚いブックレットがとびだしてきた。
「Long Long Love Song」 制作日誌、時々入院 麻枝准 ・・・ というタイトルだ。なんじゃこりゃ。

とりあえず読み始める。終われない。
1時間くらいかけて、ようやく読了。

凄い内容だった。プロデューサー(兼作詞・作曲)の闘病と仕事の死闘の記録に圧倒される。

翌日ようやくCDにたどりつく。

Imga


僕らだけの星:曲のスピード感にボーカルがついていくのに必死感あり

Bus Stop:地味だけど、深みのある良い曲だと思う 麻枝のファンも絶賛

小説家とパイロットの物語:クマッキーの声が映える曲 ただメロディーの印象が薄い

Rain Dance:ボーカルが浮かび上がるアレンジが秀逸

約束の歌:メロディーの印象が薄く、はいっていけない

きみだけがいてくれた街:クマッキーのキャラに合わない感じだが、しみじみした曲 麻枝は人生の空虚さを表現したかったらしい

tale of the tree:メロディーが複雑すぎてついていけない 2オクターブ!? 変拍子!?

光の行方:エネルギーを与えてくれる曲

銀色世界:イントロがいい 地味だけど落ち着いてひたれるバラード CDの尺の限界でアウトロが断腸のオミットだったそうで残念

End of the World:アニメの主題歌らしい曲 それだけ

汐のための子守歌:素晴らしいバラード クマッキーの大事なレパートリーになりそう

Supernova:これはちょっと・・・

Love Song のつくり方:この曲だけは麻枝准の詩曲と熊木杏里のボーカルがきっちりシンクロした雰囲気がある。コラボの甲斐があった名曲。

私ははっきり言って現代の若い世代の音楽について行けてない。もちろん熊木杏里・まきちゃんぐ・The fin・洸美など、時代と無関係に音楽をつくっている人たちにはついていっているつもり。麻枝准は現代風の音楽の中心に居る人。だから私にとって、このCDはそのついて行けてない世界を垣間見るきっかけになったように思う。

クマッキーも自分の世界だけにひたって音楽をやっていればいいように思うが、周辺がそれをゆるさなかったり、自分でも壁を感じたりしたのでこのようなコラボを断行したのだろう。

麻枝准はクマッキーのような天才作曲家ではない。なぜなら脳にこびりつくようなメロディをつくることができないからだ。しかし病気を乗り越え、破格の努力を重ねてここまでたどりついたことに拍手とエールを送りたい。クマッキーも麻枝准のプライベートな情念が横溢する詩曲を歌いこなすのは難行苦行だった思う。お疲れ様でした。

きみだけがいてくれた街
https://www.youtube.com/watch?v=lXY6tefsuFw

全曲試聴ムービー
https://www.youtube.com/watch?v=wkkT6503KLc

麻枝准とは? (熊木杏里との対談)
2時間くらいかかりますが、非常に興味深い対談。曲も満載。
https://www.youtube.com/watch?v=0C38LL-61l0

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2017年7月30日 (日)

玉木宏 音楽サスペンス紀行~亡命オーケストラの謎~

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7月29日(土)の20~22時に、NHK-BSプレミアムで「玉木宏 音楽サスペンス紀行~亡命オーケストラの謎~」という番組をやっていました。

亡命オーケストラとはいったい何だろうと興味を覚えて視聴しました。
http://www6.nhk.or.jp/nhkpr/post/trailer.html?i=11005

これが引き込まれる驚くべき番組でした。太平洋戦争の最高責任者の1人であり自殺した近衛文麿の実弟で、日本のクラシック音楽の創始者の1人である近衛秀麿が、実はフランスでレジスタンス運動をやっていたというお話なのです。

彼は若い頃からドイツに留学し、ナチスドイツでもハーケンクロイツをバックにオーケストラを指揮していたのですが、それに嫌気がさしてゲッペルスの不興を買い、ドイツ国内での演奏会を禁止されてしまいました。

秀麿は1943年頃にはポーランド国境付近の村に蟄居することになり、そこで近所に住んでいたパウル・パーゲルという反ナチ地下組織の活動家と知り合い、以降レジスタンスとして活動することになったようです。

どんな方法でレジスタンス活動を行ったかというと、1944年にパリで私的なオーケストラ「グラーフ・コノエ」を立ち上げ、そこにユダヤ人の音楽家を参加させて、機を見て逃亡させたというものです。秀麿のオーケストラにはピエール・ピエルロ(オーボエ)やジャック・ランスロ(クラリネット)のような、戦後著名な演奏家になった人がいましたが、特に重要なのはやはりこのオケのメンバーで、戦後パレナン四重奏団を立ち上げて活躍したジャック・パレナンです。

NHKはパレナンの娘から、このオケがユダヤ人を亡命させるための隠れ蓑であった(と父が語っていた)という証言を得ました。秀麿の残した記録のなかにも、車のトランクに人を隠して国境まで自分の車で運んだという記載があるそうです。オケのメンバーは50人くらいだったそうですが、演奏会の記念にと残された署名は30人分くらいしかなく、その他は署名が危険なユダヤ人だったのではないかと推測されます。

秀麿はゲッペルスの不興を買ったものの、完全決裂とまでは行っていなかったので、困難ながらも細々とドイツ占領地(ポーランド・オランダ・フランスなど)で演奏活動ができたようです。ゲッペルスに演奏会をやらせてもらえるよう手紙を書いたという記録が残っています。おそらく秀麿が同盟国日本の総理の弟ということで、そう簡単には処断できなかったという事情もあったのでしょう。

当時の「グラーフ・コノエ」のメンバーの話では、ユダヤ人を助けるだけでなく、仕事場がなく強制労働をやらざるを得ないと覚悟していたフランスの若い演奏家にとっても、強制労働を免れる上にキャリアを続けられるという2重の意味で、大変有り難い存在であったそうです。

レジスタンス活動というのは密告や暗殺の応酬などダークな側面を持つので、秀麿を含めて参加した人は戦後は口を閉ざして語らない場合が多いのですが、NHKはよくここまで調査したと思います。

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2017年7月27日 (木)

スメタナ「わが祖国」 by フルシャ都響@2017年7月26日ミューザ川崎

Imgaフェスタサマーミューザでの都響の演奏は毎年名演続きで、しかも破格の低料金。これは聴き逃せません。

ミューザ川崎は大変素晴らしいホールで、音響だけでなくオケと聴衆の一体感が音楽を盛り上げてくれます。まるで巨大なカタツムリの殻の中で聴いているような感じです。

1Fフロアはわずか11列で、会場全体が非対称の設計です(https://www.kawasaki-sym-hall.jp/seat/)。

永田音響設計事務所(http://www.nagata.co.jp/)のHPに出ていますが、実際に設計したのは松田平田設計事務所のようです。しかし後者のHPにはでてきません。これは震災で天井が落ちたことと関係があるではないかと思いますが、真相は知りません。いずれにしても世界の音楽家が激賞するホールで、天才建築家の作品だと思います。

本日はスメタナの「わが祖国」全曲で、指揮はヤクブ・フルシャ、コンマスは雨男矢部ちゃん、サイドはゆづきです。雨模様ですが傘はいらない程度。ほぼ満席の大盛況です。

めずらしく2台のハープがステージの左右に分かれていて、「高い城」はその2台のハープがからみあって始まります。いやあ素晴らしい音楽です。都響もフルシャも絶好調の感じです。ただ矢部ちゃんのアクションがおかしい。両足を揃えて床の上をスライディングするなど、いつもと違う非常に気持ちの悪い動きで、いったいどうしたのだろうと思いました。なぜか後半はおとなしくなりましたが、さすがにゆづきかマキロンが「気持ち悪いからやめてくれ」とでも注意したのではないでしょうか。

前半は精緻な感じでしたが、後半(「ボヘミアの森と草原から」以降)はほとんどお祭り状態で、奏者の名人芸の饗宴でした。フルシャも何度もジャンプするなど乗りに乗っていました。この演奏会は都響主催じゃないので恒例のベストテンの枠外だと思いますが、含まれていれば間違いなく上位を占める演奏会だったと思います。ただ曲の凄さや感動という観点で言えば、同じチェコの作曲家ですが日曜日のマーラー「復活」には足許にも及ばないとも言えます。

こんな曲です↓

ブラニーク:https://www.youtube.com/watch?v=TAZYVwIykEw

モルダウ:https://www.youtube.com/watch?v=2Sp4JyDNNr8

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2017年7月23日 (日)

マーラー交響曲第2番「復活」 by チョン・ミョンフン-東フィル@オーチャードホール2017年7月23日

Imga久しぶりの渋谷。昨年のNHKホール以来でしょうか。スクランブル交差点では2Fのスタバに外国人が鈴なりで、交差点の写真を撮っています。何が面白いのかさっぱりわかりません。

地下にある東急のれん街の総菜店をみてまわると、どれも美味の名作料理のように思われます。東横線や井の頭線沿線に住んでいる人はこのようなものを食べているのかと、ちょっとうらやましく思いました。オーダーYシャツの店があって、1着2万円だそうです。

都響がマーラーのシンフォニーをほとんど取り上げなくなったので、ではということで東フィルの「復活」を聴きに行くことにしたわけですが、オーチャードホールは20年ぶりくらいでしょうか。 日本最悪の音楽ホールという意見もあるようですが、「復活」をやるにはちょうど良いサイズかもしれません。指揮者はチョン・ミョンフン(鄭明勳)さん。チケット完売で、この巨大なホールが超満員の大盛況でした。

Imgb_3ソリストではメゾの山下牧子氏の歌声が素晴らしく、大いに感動しました。さらに新国立劇場合唱団はppでも空気の振動が感じられるような素晴らしいハーモニーで、こんなコーラスは聴いたことがありません。チョン・ミョンフンの指揮は折り目正しく、格調高い雰囲気でした。

オケで感じたのは、金管が粘り気が強い感じのパフォーマンスで(多分指揮者の指示)、アンサンブルの正確さより迫力を重視していたようです。都響とはやや異なるやり方でしょう。バンダのミスなどありましたが、2Fの最後列で聴いていても十分な音量と迫力の演奏で非常に盛り上がりました。

「復活」についてはマーラーは第1楽章を28歳の時に作って、その数年後に全曲を完成させたわけですが、その間に様々な作曲の技法を編み出したようで、変化に富んだ楽章の構成、ソリストや合唱を組み込むなど、やはり素晴らしい名曲です。

いつも思うのですが、終楽章の最後の鐘がどうして鐘じゃなくて板をたたくのかというのがよくわかりません。オケを圧倒するような鐘の音をここで聴いてみたいと思うのは私だけなのでしょうか?

Youtube ではウィグルスワース指揮オランダ放送フィルハーモニー管弦楽団の演奏が好きです。
https://www.youtube.com/watch?v=SNEmcB8cBug

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