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2023年1月26日 (木)

続・生物学茶話200:意識の起源

生物学茶話1~100は管理人と仕事上ある程度かかわりがある話題でしたが、101以降の続・生物学茶話については私はアウトサイダーであり、意識の問題などについて書いているこの記事も含めて単なるスタディノートにすぎません。とりわけ難解な「意識」についての考察などというラビリンスにどうして迷い込んだかと言えば、円口類について調べているうちにファインバーグとマラットの論文に行き当たり、彼らが単に円口類の生物学者ではなく壮大な脳科学の難問にチャレンジしていることがわかったからです。これも何かの縁ということで彼らの著書(1)を購入して読んでみることにしました。翻訳したのはやはり円口類の研究者である鈴木大地氏です。よくまあこんな本を翻訳しようと思いついたと思います。さぞかし大変なご苦労だったと思います。

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意識とは何かを考える上での1丁目1番地は「意識についての神経存在論的な主観的特性」の定義だそうですが(1)、この言葉自体の難解さで最初のドアから開けられなくなります。とりあえず「意識を科学的にみるとどんな特徴があるか」とでも考えた方がよさそうです。脳科学者は哲学的問題まで取り扱うので、やたらと言葉が難解になりがちというのが大きな障害です。

ファインバーグとマラットによれば、意識とは1.参照性、2.心的統一性、3.クオリア、4.心的因果だそうで(1)、言葉を羅列しただけではなんのことかさっぱりわかりません。最初の参照性からして難解ですが、どうも生物が感覚器から得た情報は、それが脳によって記憶されるということ自体は全く知覚されることはなく、外界または体全体に投影されたものとして感じられるということらしいです。例えば押上のスカイツリーを見るという経験をすると、別の日に空を見上げるとそこにスカイツリーを投影するという形で情報を引き出すことができます。脳のどの部位にこの映像が収蔵してあるかを知覚することはできません。指を骨折して痛かったという記憶は、指を意識することによってその記憶を引き出すことができるわけですが、脳を探ることによって引き出すことはできません。それは参照性という言葉が適切かどうかは別として、確かに脳神経系の特徴のひとつであるということは納得できます。脳科学には参照点依存性(2)という言葉があるので混同しそうですが、これは別の意味のようです。

心的統一性というのは割とわかりやすい概念です。人間は2つの眼で別々の画像を見ているのに、その映像は一つとして認識されます。それぞれ別の神経系で処理された情報が脳で統合されて、その統合された後の結果だけが認識されるというわけです。処理されるプロセスを私たちは認識することができません。文献(1)の表現では、脳は客観的には砂粒の集まりのように見えるのに、主観的には砂浜全体として意識が経験されるということです。私の理解ではプロセスは認識されず、結果だけが認識されて「意識」を構成するということなのでしょう。

3つめのクオリアというのは難解です。感覚質と訳されているようですがあまり使われてはいません。脳科学辞典のクオリアという項目にある「点と十字を組み合わせた動く画像」がヒントになりそうです(3)。この動画の中央の緑の点滅をずっと見つめていると、まわりの黄色い3つの点が消えたり現れたりします。個人的には左上の点がよく消えます。これは脳の作用によって、実際に見えているはずのものとは違うものが認識され意識を構成することがあるということを意味します。人間はある画像を見ても記憶できるのは中央部だけであり、周辺部は全体的な雰囲気としてその「感じ」は認識しているものの、詳細を記憶として引き出すことはできないのです。その「感じ」がクオリアだというわけです。という風に聞かされてもやはりよくわかりません。結局自然科学寄りの人はとりあえずスキップしても良いのではないかと思いました。

最後の心的因果というのは脳科学辞典やウィキペディアにも項目がなく、「心の哲学まとめWiki」などというサイトに説明がありますが(4)、これは哲学の問題であり、実験科学の立場に立つ者としてはとりあえず避けて通るべきではないかと思われます。ただ神経伝達という単純なプロセスと意識の形成という高次な過程の間には大きなギャップ(ハードプロブレム)があるというのは事実で、それは新しい手法で解明しなければならないということは明らかです。

ファインバーグとマラットはハードプロブレムを解決するために、神経進化的アプローチを試みようとしています(1)。それは単純な生物であるほどハードプロブレムにおけるギャップは小さいと考えられるからでしょう。神経細胞がない生物に意識があるはずはなく、ハードプロブレムも存在しません。しかし脳がある<下等?>な生物には意識があるかもしれません。

彼らの考え方の基本は、進化の初期段階で獲得された意識は後々の高次に進化した意識でも反映されるということです。それは進化は古いものをとっぱらって新しいものを作るという形ではなく、古いものを抱え込んだまま徐々に変化するという形でしか実現できないからです。彼らは「反射」を「意識」の対置概念ではなく、先駆けとしてとらえています。

脳科学辞典によると、反射とは「特定の感覚入力が、定型的な身体反応を誘発する現象」と定義しています(5)。「反射」のアントニムが「意識」ではありません。私たちは右足と左足を同時に出すと歩けません。「無意識」のうちに左右交互に足を出すことによって歩けるわけです。始原的左右相称動物も筋肉を使った移動、すなわち定型的な身体反応は「無意識」のうちに行っていたのでしょう。ではエサの位置をなんらかの感覚で知覚し、そこに向かって歩くという行為はどうでしょう? ファインバーグとマラットはそれは「意識」とは言えないとしています。そればかりかフェロモンに導かれて行う生殖行為も「意識」には至らない行為としています(1の71ページ)。彼らはアン・バトラー説にしたがって視覚を重視していて、イメージを形成できるレンズを持った眼によって得られた情報を解析するためにニューロンの複雑な階層構造が形成され、そのニューロンの連鎖が「意識」を形成したと考えているようです(7)。ただヌタウナギはレンズ眼を持っていないので、彼らには意識がないかというと、そうは言えないと思います。嗅覚が特別に発達した動物はそれなりの意識を持っているに違いありません。

今のところイメージを形成できると推定される眼をもつ最古の生物は5億2000万年前のハイコウイクチス(=ミロクンミンギア 7)です。この少し後の時代のメタスプリッギナも同様な眼を持っています。これらの生物はおそらく脊椎動物だと推定されています(7)。そしてファインバーグとマラットは、これらの生物が「意識」を持っていたと考えています。彼らはさらに、このような眼が形成されたのは5億6000万年前から5億2000万年前の間、つまりエディアカラ紀終盤からカンブリア紀序盤にかけてと考えています(1)。


参照

1)トッド.E.ファインバーグ、ジョン.M.マラット著「意識の進化的起源」 日本語訳:鈴木大地 勁草書房(2017)

2)道産子北国の経済教室 【参照点依存性とは?】他人と比較してしまう理由
https://kitaguni-economics.com/referencepoint/

3)脳科学辞典 クオリア
https://bsd.neuroinf.jp/wiki/%E3%82%AF%E3%82%AA%E3%83%AA%E3%82%A2

4)心の哲学まとめwiki
https://w.atwiki.jp/p_mind/

5)脳科学辞典 脊髄反射
https://bsd.neuroinf.jp/wiki/%E8%84%8A%E9%AB%84%E5%8F%8D%E5%B0%84

6)Ann B. Butler, Hallmarks of consciousness., Adv Exp Med Biol., vol.739: pp.291-309. (2012) doi: 10.1007/978-1-4614-1704-0_19.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/22399410/

7)ウィキペディア:ミロクンミンギア
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9F%E3%83%AD%E3%82%AF%E3%83%B3%E3%83%9F%E3%83%B3%E3%82%AE%E3%82%A2

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2023年1月19日 (木)

続・生物学茶話199:神経堤と頭部プラコード

節足動物の中には早くもカンブリア紀に肉食を行っていた生物がいましたが、多くの脊索動物はまだ濾過摂食(1)といって、体長が1mm 以下のプランクトンなど海水に浮遊する生物あるいは有機物を何らかの方法でトラップして食べていたようです。ただコノドント動物は歯を持っていて、肉食していた可能性があります(2)。現在の円口類の歯は私たちのとは違ってケラチンを主成分とするので、当時の大部分の円口類の祖先たちもおそらく歯はケラチンだったのでしょう。コノドントの歯は石灰質ですが、ケラチンはタンパク質なのでそれ自体は化石として残りません。オルドビス紀の魚類はまだ濾過摂食で、顎のある肉食の魚類が生まれたのはシルル紀と考えられています(3)。肉食を行うためにはエサを見つけて・捕獲し・殺さなければなりません。このためにはさまざまな進化が必要です。

脊椎動物におけるこのような進化は、主に発生過程で神経板と表皮の中間領域に存在する神経堤と頭部プラコードに由来する細胞によって実現しました(4、5、図199-1)。脊椎動物に進化する少し前の動物の姿に似ていると考えられている頭索動物のナメクジウオには、神経堤やプラコードに相当する組織が見当たりません。ただ Six1/2とEyaを産生する細胞は神経板以外の外胚葉に点在し、神経細胞に分化するようです。また神経板と外胚葉の境界には脊椎動物と同様、中枢神経系の形成に関与するPax3/7、Zic、神経堤の外胚葉→中胚葉転換に関与する Msx1/2 などの発現があり境界領域の萌芽はみられます(6)。

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図199-1 外胚葉由来の4つの部域 表皮・神経板・神経堤・プラコード

プラコードや神経堤からは脊椎動物にあるべき視覚・聴覚・内分泌・感覚神経・自律神経・骨・歯などに関連した組織が発生するので(7、図199-2)、発生過程でこの2つの部域を獲得したことは脊椎動物らしさを獲得するために重要です。脊椎動物と思われるコノドント、ハイコウイクチス、ミロクンミンギアなどはカンブリア紀に生きていましたし、ホヤらしき生物もいたようです(8)。つまり神経堤・プラコードは脊椎動物がまだ濾過摂食を行っていたカンブリア紀に、すでに存在していたということです。

図199-2に血管条という言葉がありますが、これは私も初めて聞く言葉だったので調べてみました。日比野浩氏のサイトが参考になりました(9)。音を感知する細胞は内リンパ液と接しており、その内リンパ液は高濃度のカリウムを含んでいて、細胞内のカリウムとの濃度差を利用して振動が電気パルスに変化することによって音は感知されます。血管条というのは耳の内耳蝸牛にある組織で、リンパ液のカリウム濃度を高く保つために必要であるとされています。通常の神経細胞はナトリウムの濃度差を利用して興奮するので、耳の神経細胞に相当する有毛細胞は特殊な機能を持つ細胞と言えます。このような新組織をつくるためにもプラコードという新機軸が進化の過程で必要であったと思われます。

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図199-2 プラコード、神経堤から分化する細胞

神経堤・プラコードという第4の胚葉を獲得するという進化を実現したヤツメウナギは、エディアカラ紀の生物の特徴を色濃く残していると思われるナメクジウオに比べて、脳や周辺の感覚器官が格段に複雑になっています。濾過摂食からいわゆる肉食の生物に進化するためには、視覚・嗅覚とそれらの情報を処理するための脳の構造が格段に複雑化することが必須だったと思われます(10、11、図199-3)。ヤツメウナギは私たちと同様な脳のコンパートメントを持っていますが、ナメクジウオの脳には形態学的な分化はみられません。

こうしてみるとナメクジウオが現代に生きていることは奇跡のように思われます。彼らと近縁な、しかしよりすぐれた感覚器官・運動器官・脳を持つほとんどの生物が種としての生命を終えた中で、海底の砂に潜るという一芸で絶滅をまぬがれ、また脊椎動物と非常に近い生物であるにもかかわらず、私たちがまだ知らないその能力によって5回の大絶滅時代をしぶとく生き延びたナメクジウオは、まさに「生きた化石」と言えます。

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図199-3 ナメクジウオとヤツメウナギの頭部 Vedantu free education for kids (modified by the auther) および Wikipedia: Lamprey の図を利用しました 引用文献10、11。

神経堤やプラコードができてくる過程で、そこにどんな因子(モルフォゲン)が発現してくるかというのは昔から発生生物学の基本的テーマです。とはいっても、なにしろ細胞数個分の領域に一時的に発生する多くの物質の濃度勾配や相互作用が複雑に関係して細胞の運命が決まるわけですから、最終的にはAIに答えを求めるしかないと思いますが、大雑把に理解することもまた重要であり、サワニとグローヴスが提供してくれている最新情報を図199-4に示しておきます(12)。

おおまかにはBMPやWntが濃い状態では表皮に分化し、それらのアンタゴニストが濃い状態では神経に分化するわけですが、神経堤やプラコードはその中間の微妙な状況のなかで出現する部域です。中間的であるということは分化の方向性決定を保留できるということでもあります。具体的には多能性幹細胞として残って表皮や神経に早期に分化するのを回避し、後の適切な時期や移動した場所で分化するということです。オリジナルの図(閲覧フリー)に付属している説明文をそのまま掲載しておきました。

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図199-4 脊椎動物発生過程におけるモルフォゲンの分布 Early ectodermal patterning at the anterior epiblast. Although the ectodermal patterning varies significantly across chordates, and even within amniotes, we illustrate, here, the key stages of ectodermal patterning most faithful to amniote development. The medial epiblast begins to exhibit molecular differences compared to the surrounding tissue, with the medial region expressing pre-neural/neural (salmon) markers and lateral (blue) region with predominantly non-neural/epidermal gene expression. At the initial stages of gastrulation, the transitional zone between the neural and non-neural ectoderm, called the neural plate border (yellow), becomes more defined. By the early stages of neurulation, two distinct spatially segregated populations of cells can be detected at the border region – pre-placodal ectoderm laterally (purple) and neural crest cell progenitors medially (green). Although much remains uncertain about the roles and timing of WNT, BMP, and FGF signaling pathways and associated gene-regulatory networks during the early ectodermal patterning, a general consensus of the signaling levels and classic spatially distinct markers are indicated below the epiblast cartoons. Additionally, the asymmetric WNT signaling along the anterior-posterior axis and, subsequently, key molecular expression differences are also presented on the right-most panel.

頭索動物は組織としての神経堤やプラコードがみられませんが、それに相当する Six/Eya を発現する細胞は予定表皮のなかに存在し、実際化学物質や機械刺激などに反応する感覚器や関連する神経細胞、あるいはハチェックスピットと呼ばれる分泌器官などに分化します(7、12、図199-5)。これらは表皮に分化するのをある確率で免れた細胞なのかもしれません。肉食に必要な諸器官をつくるためにはナメクジウオのような機構ではまかないきれなくて、多数の未分化細胞が予定表皮と予定神経の中間に大きな集団となって確定して出現するように進化した生物、すなわち脊椎動物の祖先にあたる生物がカンブリア紀に適応放散したのでしょう。

尾索動物は一見両者の中間のようにも見えますが(図199-5)、彼らの祖先はいったん脊椎動物と同様な進化を遂げながら方向転換して全く別の生き方を選んだので、これはそのような方向転換の結果と考えるべきでしょう。

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図199-5 脊索動物における神経・表皮境界領域の進化 Evolution of the neural plate border in chordates. The diagrams compare the neural plate border (neural – salmon; non-neural – blue) derivatives between different taxa within the phylum Chordata. The vertebrate neural plate border gives rise to two distinct cell populations – the placodes (purple) that thicken and invaginate in the anterior embryo and the neural crest cells (green) that migrate along the entire length of the embryo except for the anterior neural fold (black arrows show migratory properties). However, this feature is an evolutionary novelty in vertebrates. The embryos from the sister clade, urochordates, have a molecularly distinct border region with several gene markers common with the vertebrates (magenta and light green); however, the crest-like migratory cell populations (light green) are relatively limited, such as the bipolar tail neurons. Cephalochordates, the phylogenetic neighbors considered less evolved to tunicate-vertebrate group, have some migratory epidermal sensory cells (pink) with similar molecular signatures to the vertebrate placodes; however, these are largely scattered individual cells that delaminate from the ectoderm much lateral to the neural/non-neural boundary.

参照

1)ウィキペディア:濾過摂食
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%BF%BE%E9%81%8E%E6%91%82%E9%A3%9F

2)ウィキペディア:コノドント
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B3%E3%83%8E%E3%83%89%E3%83%B3%E3%83%88

3)ウィキペディア:棘魚類
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%A3%98%E9%AD%9A%E9%A1%9E

4)R. Glenn Northcutt and Carl Gans, The Genesis of Neural Crest and Epidermal Placodes: A Reinterpretation of Vertebrate Origins., The Quarterly Review of Biology, vol.58, no.1, pp.1-28 (1983)
https://www.journals.uchicago.edu/doi/10.1086/413055

5)G.Schlosser Evolution of neural crest and cranial placode in "Invertebrate origins of vertebrate nervous system" Elsevier (2017)
https://books.google.co.jp/books?hl=ja&lr=lang_ja%7Clang_en&id=XTUYCwAAQBAJ&oi=fnd&pg=PA25&dq=protoplacodal+ectoderm&ots=Io8phXiMHX&sig=yUOWMHO4GlFA6TlysMPUzFJrfbk&redir_esc=y#v=onepage&q=protoplacodal%20ectoderm&f=true

6)G.Schlosser, From so simple a beginning – what amphioxus can teach us about placode evolution., Int. J. Dev. Biol. vol.61: pp.633-648 (2017) doi: 10.1387/ijdb.170127gs
https://www.academia.edu/70157393/From_so_simple_a_beginning_what_amphioxus_can_teach_us_about_placode_evolution

7)G. Schlosser Evolution of neural crest and cranial placode., Elsevier (2017)
https://books.google.co.jp/books?hl=ja&lr=lang_ja%7Clang_en&id=XTUYCwAAQBAJ&oi=fnd&pg=PA25&dq=protoplacodal+ectoderm&ots=Io8phXiMHX&sig=yUOWMHO4GlFA6TlysMPUzFJrfbk&redir_esc=y#v=onepage&q=protoplacodal%20ectoderm&f=true

8)Jun-Yuan Chen, Di-Ying Huang, Qing-Qing Peng, Hui-Mei Chi, Xiu-Qiang Wang, and Man Feng, The first tunicate from the Early Cambrian of South China., Proc Natl Acad Sci U S A., vol.100(14): pp.8314–8318. (2003) doi: 10.1073/pnas.1431177100
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC166226/

9)日比野浩、内耳聴覚研究班
https://www.med.niigata-u.ac.jp/ph2/past/ri_bi_ye_yan_jiu_ban.html

10)Vedantu free education for kids  (modified by the auther)
https://www.vedantu.com/question-answer/wheel-organ-is-found-in-a-herdmania-b-amphioxus-class-11-biology-cbse-5f2235d705c8ea56440f6f8d

11)Wikipedia: Lamprey
https://en.wikipedia.org/wiki/Lamprey

12)Ankita Thawani and Andrew K. Groves, Building the Border: Development of the Chordate Neural Plate Border Region and Its Derivatives., Front. Physiol., Sec. Developmental Physiology vol.11: no.608880. (2020)
https://doi.org/10.3389/fphys.2020.608880
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC7750469/

 

 

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2023年1月 5日 (木)

続・生物学茶話198:エディアカラ紀のトピック

1945年9月2日 戦艦ミズーリにおいて、日本政府は無条件降伏とポツダム宣言受諾の署名を行い第2次世界大戦は終了しました。レジナルド・スプリグは1942年に修士号を取得していましたが、大戦中は従軍し原爆に必要なウラニウム資源の調査に従事していました。終戦後化石の調査を始め、1946年にはアデレード郊外で採掘された鉱物の残渣を調査していました。そこでカンブリア紀以前と思われる地層からクラゲ様の化石を発見し、Nature 誌に投稿しましたが掲載を拒否されました。その後英国の学会でも発表しましたが話題にもなりませんでした(1)。

それでもスプリグは地元の雑誌に論文を発表しましたが、なんとそのタイトルは early cambria にクエスチョンマークをつけたものでした(2)。しかしその後他の研究者も興味を持って研究を始めた結果、しだいに彼の成果も認められるようになりました。スプリグは古生物の研究に興味を失ったわけではありませんでしたが、むしろ天然ガス・ウラニウム・ニッケルなどに関連した資源調査の会社を作って社長としての仕事に取り組むことになりました(1)。彼の業績が本当に認められるようになったのは、おそらくグレスナーが1959年にNature誌に論文を書いてからだと思います(3)。エディアカラ紀という名称を国際地質科学連合(IUGS)が正式に承認したのは2004年のことでした。スプリグはエディアカラ紀という名称が認められる10年前の1994年に亡くなりましたが、彼の声と映像は YouTube で知ることができます。クラゲの化石を手にして説明しています(4)。彼の写真とその名前に因んだ生物を図198-1に示しました。

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図198-1 スプリグと彼に因んで命名された古生物

地質時代の名称として、カンブリア紀以降は顕生代(Phanerozoic eon)、エディアカラ紀以前は原生代(Proterozoic eon)ということになっています。このような分け方は生物学の観点からは好ましいものではありません。なぜならエディアカラ紀は現代の生物が誕生する上で非常に根源的で重要な時期だったからです。エディアカラ紀とカンブリア紀が分断されるのは、エディアカラ紀においては化石になりやすい骨格や殻などが未発達であったからに過ぎません。従って生物学の観点からはエディアカラ紀以降とクライオジェニアン紀以前に分けて命名するのが適切だと思います。クライオジェニアン紀はその名前からも想像できるように、赤道付近まで凍り付くいわゆるスノーボールアースとなった極寒の時代でした。まあ区分を決めるのは地質学者なのでそれなりの理由があるのでしょう(図198-2)。

エディアカラ紀には前口動物と後口動物共通の祖先となる左右相称動物=ウルバイラテリアが存在したはずという仮説がデ・ロバーティスと笹井によって1996年に提出されましたが(5、6)、その実態は謎に包まれていました。以前からエディアカラ紀の地層に残された移動の痕跡に注目していた研究者はいましたが、それを残した生物についての情報はありませんでした(7、図198-2)。

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図198-2 エディアカラ紀以前の年代区分とエディアカラ紀の生物痕跡

しかしエバンスらはついにその生物の実体を捉えたようで2020年にプロナスに論文を発表しました(8)。この論文には美しい再構成図も添えられているので是非ご覧ください。フリーで閲覧できます。感動します。ウィキペディアにも別の図(漫画的)がでているので、こちらはコピペしておきます(9、図198-3)。

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図198-3 エディアカラ紀のウルバイラテリアに近いとおぼしき生物

エディアカラ紀は海底に細菌が繁殖し、その上に何層もの藻類がびっしりと生えそろった、ある意味楽園のような世界が広がっていましたが(10)、海水に浮遊する細菌や浮遊物を食べている動物しかいなかった時代はこの楽園が維持されていました。しかし藻類を食べる動物が生まれたことによって状況は徐々に変化しました。藻類を食べるには口が下になければいけません。このためには平衡感覚が必要となります。藻類を食べる動物はまわりの藻類を食べ尽くしたら、他の場所に移動しないと食事ができません。そしてランダムに移動すれば良い時代から、探さないといけない時代に移行するのは時間の問題でした。上下を判断する必要性とエサの方向に進む必要性は、左右相称動物誕生の進化的圧力になったと思われます。

エサを探すには移動するための筋肉、それを制御するための神経、エサをみつけて移動方向を決めるための感覚器などが必要です。藻類が食べ尽くされるにつれて、移動するための器官・組織の必要性は大きくなります(10)。エバンスらがみつけたこの体長数ミリの生物(Ikaria wariootia)は直線的に進むだけでなく曲がることができたようです(8)。このことは左右の運動器官を整合性をもって制御しながら進むことができるということで、この生物がかなり高度な神経系をもつことを意味します。

藻類を探して食べているうちにその藻類も食べ尽くされ、ついに肉食生物が登場したのがカンブリア紀でした。肉食生物を代表するのは節足動物のアノマロカリスの仲間たちで、イメージを構成できる眼とエサをつかむ触手を活用し、彼らは海の帝王の地位を獲得しました(図198-4)。他の生物はこの節足動物に食べられないように遺伝子を改変した者が生存に有利となりました。私たちの祖先に近縁な脊索動物、ハイコウイクチス、ミロクンミンギア、メタスプリッギナ、ピカイアなどは泳いで逃亡するという手段を選択しました(図198-4)。これは結構成功したようで、現在でも彼らにかなり近いタイプの子孫=魚類が繁栄しています。

この他にも防御の装備をかためる(ハルキゲニア、ウィワキシア、貝類)、海底の砂に潜る(オットイアなど)、海綿の中に潜る(アイシュアイア)など様々な作戦で捕食を免れる生物が現れました(図198-4)。これによってバラエティーに富んだ生物が生まれたのがカンブリア紀です。貝類は現在でも繁栄していますし、海底の砂に潜る生物も数多く見かけられます。

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図198-4 カンブリア紀に多様化した生物

 

参照

1)Wikipedia: Reg Sprigg
https://en.wikipedia.org/wiki/Reg_Sprigg

2)Sprigg R.C., Early Cambrian(?) jellyfishes from the Flinders Ranges.
Transactions Royal Society South Australia vol.71, pp.212-214 (1947)
https://web.archive.org/web/20070929092905/http://www.samuseum.sa.gov.au/Journals/TRSSA/TRSSA_v071/trssa_v071_p212p224.pdf

3)M. F. Glaessner, Precambrian Coelenterata from Australia, Africa and England. Nature vol.183, pp.1472-1473 (1959).
https://doi.org/10.1038/1831472b0

4)Reg Sprigg's Discovery in South Australia
https://www.youtube.com/watch?v=cpTTdcH0Tvc

5)E. M. De Robertis & Yoshiki Sasai, A common plan for dorsoventral patterning in Bilateria., Nature vol.380, pp.37–40 (1996). https://doi.org/10.1038/380037a0 
https://www.nature.com/articles/380037a0

6)続・生物学茶話 124: ウルバイラテリアをめぐって
http://morph.way-nifty.com/grey/2021/01/post-4f9530.html

7)Soren Jensen, The Proterozoic and earliest Cambrian trace fossil record; patterns, problems and perspectives. Integr. Comp. Biol. vol.43, pp.219–228 (2003)
https://doi.org/10.1093/icb/43.1.219

8)Scott D. Evans, Ian V. Hughesb, James G. Gehling, and Mary L. Droser., Discovery of the oldest bilaterian from the Ediacaran of South Australia., Proc.N.A.S., vol.117, no.14, pp.7845–7850 (2020) doi/10.1073/pnas.2001045117
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32205432/

9)Wikipedia: Ikaria wariootia
https://en.wikipedia.org/wiki/Ikaria_wariootia

10)トッド・E・ファインバーグ、ジョン・M・マラット 翻訳:鈴木大地 「意識の進化的起源」 勁草書房 2017年刊

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2022年12月13日 (火)

続・生物学茶話197:円口類の嗅覚

韓国ではヌタウナギを食べるそうです(1)。私は食べたことありませんし、世界でもほとんど食用にする地域はないでしょう。粘液を出したり、かみついたりするので漁業の邪魔で、そのせいか agriculture の領域では嫌われているようで、研究は進化に興味のある生物学者たちが細々と続けてきました。ただヌタウナギが放出する粘液に含まれる繊維がクモの糸より軽くて丈夫だということがわかって、近年注目を集めているようです(2)。

今回は主にヌタウナギの嗅覚について話題にしようともくろんだのですが、どんな匂いに反応するかということについての研究がなかなかみつかりませんでした。もちろんヌタウナギの嗅覚が鈍感なわけではなく、暗い場所でも好むエサを置けばたちまち集まってくるので、彼らが嗅覚を基盤にして生活している動物であることは明らかです。

昔 Walbig という人がオスロ大学の研究施設近郊の海で53匹のヌタウナギを採集し、個体のマーキングを行って2.5km離れた場所に放流したところ、4年後に18匹が元の場所に戻ってきたそうです(3)。ヌタウナギは海底をはいずって生きているベントスであるうえに、死んだり、食べられたり、見つけられなかったりする個体もあったでしょうから、これは驚異的な帰還率だと思います。そして嗅覚をたよりにもどってきたとしか思えません。

鮭の母川回帰は有名なお話ですが、 どうもまだそのメカニズムは完全には解明されていないようです(4)。ですからヌタウナギの嗅覚に関する研究が進んでいないのも仕方ないのかなと思います。Sutterlin はいろいろなアミノ酸やその組み合わせでヌタウナギを引き寄せようとしましたが、失敗におわりました。タラの筋肉には引き寄せられましたが、何が臭いの元なのかということは突き止められませんでした(5)。2019年に出版されたグローバーらの論文には「Currently there is only a rudimentary understanding of chemosensory systems in hagfish」と書いてありました(6)。

まあ気を取り直してヌタウナギの鼻周辺の構造を文献(7、8)をたよりにみていきましょう(図197-1)。ヌタウナギの鼻は口の上にあり、喉に通じています。しかも私たち哺乳類と同様に口と鼻の間に隔壁がある高度な構造です。鼻孔の途中に臭いのセンサーがある嗅覚器官があります(図197-1)。鼻からの水量と口からの水量は、口の中にある弁で調節できます。また鰓からも排出できるので、消化管にすべて流れ込んでしまうことはありません。

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図197-1 ヌタウナギ頭部断面図と嗅覚器官 ヌタウナギの鼻孔はひとつで咽頭に貫通しています。途中に囊(嗅覚器官)があり嗅上皮と神経細胞が分布しています。

嗅覚器官は脳と極めて近接した位置にあり、素早く情報が伝わるようになっています(図197-1)。歯は下向きにも使えるようになっていて、これは顎がないことの利点です。固い物は噛むのではなく、下向きの歯でこそぎとることができます。上向きにすれば石や骨を消化管にいれないようにするフィルターとしても使えます。

鼻の穴をヤツメウナギ、ヌタウナギ、ウツボ(ウナギの仲間の硬骨魚類)で比べてみると、ヌタウナギの鼻がいかに巨大であることがわかります(9-11、図197-2)。正面から見ると口は下についているので、顔のほとんどが鼻の穴という感じです。これはヤツメウナギとは非常に違う点です。ヤツメウナギの場合鼻の穴は頭の上にあるので、これはエサを探すという用途とは直接関係がなさそうな位置です。ヤツメウナギはエサかそうでないかは視覚で判断できるので、嗅覚はおそらく別の目的のために用いられているのでしょう。ヤツメウナギとヌタウナギは鼻の穴がひとつですが、魚類であるウツボは左右ふたつあります。これは発生の初期段階から原基を用意しなければならないので大きな相違です。眼の原基は円口類と魚類が分岐する以前から2つ用意されていたことは明らかなので、鼻については分岐後に大きな発生上の改変がおきたことになります。

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図197-2 円口類の鼻孔はひとつですが、ヤツメウナギの場合頭の上にあり、ヌタウナギは前方に大きく開口します。ウツボは有顎動物であり、私たちと同じく鼻孔は2つです。図のソースは左から順にそれぞれ参照文献9-11です。

ヤツメウナギとヌタウナギで鼻の構造はかなり異なるのでその発生を比較したくなりますが、それは論文が出版されています(12、図197-3)。ポンセラとシメルトによれば、嗅覚器官と腺下垂体(人間の脳下垂体の一部と相同)は一体で分化し、最終的に前後に並んだ形で落ち着きます(図197-3 adult)。

しかしその部域に隣接する前部(青)と後部(緑)はかなり違った形になります。ヤツメウナギの場合前部はとても小さな部域である鼻の穴の後部領域のみを形成しますが、ヌタウナギでは鼻の穴から体内に続く長いダクトの上部全体を形成します。そして隣接する後部は、ヤツメウナギの場合反転して口の上側とここから90°折れて鼻のダクトの下部を構成する大きな部域となります。これに対してヌタウナギでは口と鼻の穴の隔壁を形成します(図197-3)。見方によれば、ヤツメウナギの鼻の穴を90°前に倒して引っ張るとヌタウナギのようになります。

ここでひとつ重要なのはヤツメウナギでは鼻の穴は盲囊になっていてつきあたりがありますが、ヌタウナギでは喉に貫通しているという違いがあることです。盲囊になっていると、そこにたまっている物質を追い出さないと次の臭いを判別できませんが、貫通していると刻々と変化する臭いをリアルタイムで感知できます。これは嗅覚に頼って生活している動物にとっては必要なことでしょう。

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図197-3 ヤツメウナギ・ヌタウナギ嗅覚器官の発生

ヌタウナギはほとんどの時間を何もしないで、近くに屍体が落ちてくるのを待機するという生活をしています。エサを食べずに9~11ヵ月も生存していたという報告があります(13)。これは彼らが脂肪を筋肉に蓄積できるからと考えられています(14)。このような特殊能力こそが、彼らがさして形も変えずにカンブリア紀以来5回の大絶滅を乗り越えてきた要因なのでしょう。

少し脱線しますが、昨今の地球の危機は増加した人類が大量の食料とエネルギーを消費し始めたためといえます。その結果6回目の生物大絶滅時代がすでにはじまっています。これを止めるのは簡単なことです。全世界で株式市場を廃止すればいいのです。バースコントロールだけではなく、こうして時間を稼いでる間に科学を進展させて、人間を冬眠させるとか、記憶を転写して生命活動を停止させ後に再生するとかの技術を開発して人口を削減することによって、真のSDGsが可能となるでしょう。

元に戻してヌタウナギの話ですが、彼らはいったん活動を始めると非常に活発に動いて、時には捕食者になるようなこともあるようです。ジンツェンらはそんな様子をビデオに収録しています(15)。視覚によってエサとなる生物の位置を正確に知ることができないので、狙いをつけてからかみつくまで何時間もかかっていますが、最終的には捕食しているようです。前記のように臭いを頼りに故郷に帰るというような行動も行ないます。

ヌタウナギが臭いに関してどんな行動をとるかという実験はまだまだ始まったばかりのようで、グローバーらは迷路を使ってとりあえずエサには近づき、安息香酸の誘導体からは遠ざかるというような結果を発表しています(6)。

嗅覚情報を処理する脳の部位=嗅球はヤツメウナギもヌタウナギもはっきりとわかります(理研のグループによる16、図197-4)。特にヌタウナギの臭球は大脳や間脳に匹敵するほどのサイズとなっています。断面を見ると、ヌタウナギは臭球だけでなく脳全体がヤツメウナギに比べて容積が大きいことがわかります。

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図197-4 ヤツメウナギ・ヌタウナギの脳の形態と断面図
A, B, E, F:外観、C, D, G, E:断面図 スケール・バー=1mm

同じ理研のグループは聴覚についても研究を進めていて、5億年以上前の円口類と有顎類の共通祖先が内耳半規管を持っていたことを示唆しています(17)。ヌタウナギやヤツメウナギも内耳を持っていて、重力や平衡を感知できるようです。ただ彼らに聴覚があるのかどうかはよくわかりません。魚類は外耳を持っていませんが、うきぶくろや側線を使って実は我々よりよく音が聞けるという説もあるので、円口類についても研究が必要でしょう。

参照

1)Konest ウナギ・ヌタウナギ
https://www.konest.com/contents/gourmet_guide_detail.html?sc=2091

2)National Geographic ヌタウナギの粘液が環境志向の繊維に
https://natgeo.nikkeibp.co.jp/nng/article/news/14/9167/

3)Walving F., Experimental marking of Hagfish (Myxine glutinosa L.)., Nytt. Mag. Zool., vol.15, pp.35-39 (1967)

4)Maruha Nichiro, Salmon Museum. 鮭の母川回帰
https://www.maruha-nichiro.co.jp/salmon/jiten/jiten02.html

5)A. M. Sutterlin, Chemical Attraction of some Marine Fish in their Natural Habitat., Journal of the Fisheries Board of Canada Volume 32, Number 6 (1975)
https://doi.org/10.1139/f75-095

6)Chris n. Glover, Dustin Newton, Jasmin Bajwa, Greg G. Goss & Trevor J. Hamilton, Behavioural responses of the hagfish Eptatretus stoutii to nutrient and noxious stimuli., Scientific Reports vol.9, no.13369 doi: 10.1038/s41598-019-49863-x
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/31527627/

7)York University, Kelly Laboratory, Lecture 6, Evolution and Classification Part II, Class Myxini
https://www.yorku.ca/spk/fishbiol09/FB09lecture6.pdf

8)Kjell B. Doving, The Biology of Hagfishes (eds Jorgensen et al), Chapman and Hall 1998, p.534

9)Private Aquarium
https://aqua.stardust31.com/

10)@ニフティブログ HK21 ヌタウナギ2
http://hk21.cocolog-nifty.com/blog/2018/10/post-2056.html

11)The Aquarium Adviser Moray Eel Size and Tank Size for Saltwater Eel Species
https://theaquariumadviser.com/saltwater-aquarium-moray-eel/

12)Guillaume Poncelet and Sebastian M. Shimeld, The evolutionary origins of the vertebrateolfactory system., Open Biology, Volume 10, Issue 12, No.200330. (2020)
https://doi.org/10.1098/rsob.200330
https://royalsocietypublishing.org/doi/epdf/10.1098/rsob.200330

13)Mario N Tamburri, James P Barry, Adaptations for scavenging by three diverse bathyla species, Eptatretus stouti, Neptunea amianta and Orchomene obtusus
Author links open overlay panel., Deep Sea Research Part I: Oceanographic Research Papers, vol.46, issue 12, pp. 2079-2093 (1999)
https://doi.org/10.1016/S0967-0637(99)00044-8

14)Vincent Zintzen, Karyne M. Rogers, Clive D. Roberts, Andrew L. Stewart, Marti J. Anderson, Hagfish feeding habits along a depth gradient inferred from stable isotopes., MARINE ECOLOGY PROGRESS SERIES Mar Ecol Prog Se, vol.485: pp.223–234, (2013) doi: 10.3354/meps10341
https://www.researchgate.net/profile/Vincent-Zintzen/publication/269336865_Hagfish_feeding_habits_along_a_depth_gradient_inferred_from_stable_isotopes/links/548761b30cf289302e2eda58/Hagfish-feeding-habits-along-a-depth-gradient-inferred-from-stable-isotopes.pdf?origin=publication_detail

15)Vincent Zintzen, Clive D. Roberts, Marti J. Anderson, Andrew L. Stewart, Carl D. Struthers & Euan S. Harvey., Hagfish predatory behaviour and slime defence mechanism., Scientific Reports volume 1, Article number: 131 (2011)
https://www.nature.com/articles/srep00131

捕食の様子を収録したビデオ
https://static-content.springer.com/esm/art%3A10.1038%2Fsrep00131/MediaObjects/41598_2011_BFsrep00131_MOESM2_ESM.mov

16)Fumiaki Sugahara, Yasunori Murakami, Juan Pascual-Anaya, Shigeru Kuratani, Forebrain Architecture and Development in Cyclostomes, with Reference to the Early
Morphology and Evolution of the Vertebrate Head., Brain Behav Evol vol.96, pp.305–317 (2021) DOI: 10.1159/000519026
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34537767/

17)神戸大学 Research at Kobe: 脊椎動物の半規管の進化 -脊椎動物の共通祖先の内耳は、思いのほか複雑だった-
https://www.kobe-u.ac.jp/research_at_kobe/NEWS/news/2018_12_05_01.html

 

 

 

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2022年12月 3日 (土)

続・生物学茶話196:円口類の視覚

私たち脊椎動物のルーツに非常に近い生物と思われるカンブリア紀のメタスプリッギナは、鰓弓を持ち、脊索は分離して骨になり、眼を持つ動物でした(1)。彼らはおそらく有顎脊椎動物の祖先とはエディアカラ紀に分岐したと考えられています(2、3)。なので彼らが生きていれば、脊椎動物の眼や視覚のルーツや進化について多くの情報が得られたのでしょうが、カンブリア紀に絶滅してしまいました。円口類が分岐する前には、他にコノドント、ピピスキウス、アナスピッドという生物群が分岐しましたが、現存するものはいません。つまり有顎脊椎動物と最も近い現存生物は円口類ということになります。したがって円口類の脳神経系やそれと接続する感覚器・運動器の研究は特別な意味を持っています。

肉眼で観察すると成体のヤツメウナギにははっきりと魚類のような眼があります。魚類と哺乳類の眼はレンズを収縮するメカニズムに違いがありますが、ほぼ同様な構造です(4)。ヤツメウナギの場合、大雑把な形態は図196-1のようなものです。角膜(透明化した皮膚)、レンズ、網膜、見る方向やピントを合わせるための筋肉が装備されています。一方ヌタウナギは角膜・レンズ・筋肉がない低機能の眼しか持っていません。ヤツメウナギは左右の眼だけでなく、第3の眼である松果体が機能していて、ここに2種類の光受容細胞があって、紫外部と可視部をそれぞれ受光しています。したがって色を識別することができます(5)。ヤツメウナギの眼にはヒトの光受容細胞の始原を思わせる桿体細胞と錐体細胞のような形態を持つ2種類の光受容細胞があります(6)。ヌタウナギが非常に低機能な眼しか持っていないのは、彼らが光があまり届かない海底に住んでいるからと思われますが、このことについてはあとで議論します。

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図196-1 円口類の眼

次に円口類の網膜に言及したいのですが、その前にヒトの網膜の構造について確認しておきたいと思います。ウィキペディアにきれいな図があったので、これに字を入れました(7、図196-2)。本来なら光が当たる側に光受容細胞があって、その裏側に神経細胞が分布しているのが理にかなっていて、実際軟体動物の網膜はそうなっていますが、なぜか脊椎動物の網膜は最初に光が当たる側に神経節細胞の軸索が配置されていて、一番奥に光受容細胞と色素上皮が配置されています。これは明らかに進化上の失敗です。

図196-2のようにヒトの網膜は光が最初に当たる位置から網膜神経節細胞と脳につながる軸索、内網状層、内核層、外網状層、外核層、視細胞外節層、色素上皮という構造になっていて、ここに2種類の光受容細胞(錐体細胞、桿体細胞)、4種類の神経細胞(網膜神経節細胞・アマクリン細胞・水平細胞・双極細胞)、そしてグリア細胞であるミュラー細胞が収蔵されています。

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図196-2 ヒトの網膜

有顎脊椎動物の網膜はほとんどの場合196-2図の様な構造ですが、円口類についてはブラッドショーとアリソンが比較図を公開してくれているので、図196-3に使わせていただきました(8)。図196-2とは上下逆になっているのでご注意ください。

ヤツメウナギの場合、幼体では網膜は未発達で領域は狭く、光受容細胞は1種類、神経細胞は2種類、そしてミュラー細胞しかありません。その他の細胞は変態と同時に分化してくるようです(8、図196-3C)。しかし成体の網膜は驚くべきことにほとんど私たちと同じ構造、同じ種類の細胞で構成されています。違う点は網膜神経節細胞の軸索が網膜の外側ではなく、内側を通って脳と接続している点で、フラッドショートとアリソンはこの領域を optic fibre layer としています(8、図196-3)。このことはこのような共通構造がすでにエディアカラ紀に完成されていたと言うことを示唆し、驚くほかありません(9)。有顎脊椎動物で神経節細胞軸索が露出しているのは、硝子体が進化して保護できるようになったからと思われます。

ヌタウナギの場合、ヒトやヤツメウナギのように各層の境界線がはっきりせず、光受容細胞は1種類しかなく、ミュラー細胞はみつかっていません。しかし4種類の神経細胞は存在するようです(8、図196-3)。あと重要なのは色素上皮層がないことです。これでは散乱光を吸収できないので、光の方向さえわかりません。要するに明るいか暗いかさえわかればいいという、非常に機能の低い眼となっています。眼が松果体の役割を果たすため、松果体はないようです。ヤツメウナギは松果体を持っています。

ヌタウナギ、ヤツメウナギ、有顎脊椎動物の網膜を比較してまとめた表を図196-4に示しました。ヤツメウナギと有顎脊椎動物の組織・細胞の有無が完全に同じであるのに対して、ヌタウナギにはいくつかの欠落が見られます。大石らによってヌタウナギとヤツメウナギの近縁性は証明されているので(9、10)、これはヌタウナギが視覚を重視しない生活環境に適応する過程で失ったと考えるのが妥当でしょう。

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図196-3 有顎脊椎動物と円口類の網膜を比較する(字が小さいのでクリック拡大してご覧ください)

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図196-4 網膜を構成する組織・細胞の比較

構造にかなりの相違がみられるにもかかわらず、網膜の発生に関連するホメオボックス遺伝子は、ヌタウナギ・ヤツメウナギ・有顎脊椎動物で差はみられません(8、図196-5)。これらの遺伝子はおそらくエディアカラ紀の共通祖先が用意したものが引き継がれていると思われます。一方bHLHのグループには差が見られます。この差が網膜構造の差違に関連しているのでしょう(8、図196-5)。

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図196-5 網膜の発生に関連する遺伝子の有無

ヌタウナギの眼はヤツメウナギと比べて非常に貧弱なので、この原因についてはいろいろ議論があります。図196-6Aの考え方は、ヌタウナギがより古いタイプの円口類だというものです。しかしこの考え方はサラ・ガボットらの研究によって旗色が悪くなりました。彼女らは古生代のヌタウナギ Myxinikela siroka の化石を調べ、その眼は現在のヌタウナギより高機能と思われる形態で、当時のヤツメウナギに遜色なくメラニン色素もちゃんと存在することを示しました(11、12)。このことは眼を退化させたグループが現在まで生き残ったことを意味します(図196-5B)。眼の退化は進化というスケールで見れば、極めて短い時間で実現することが洞窟生物などの研究でよく知られています(13)。

一方でヌタウナギの眼は幼形成熟(ネオテニー)による進化によって形成されたという考え方もあります(8、図196C)。ネオテニーという現象は決して珍しい現象ではなく、たとえば鳥類の頭部は恐竜のネオテニーによってできたものだというような説もあります。確かにヌタウナギは洞窟生物のように色素を全く失っているわけではありませんし、洞窟における眼の退化の時間スケールより遙かに長い間明暗を感じることができる眼を保持しています。まあそれは中途半端な暗さの中でずっと生きてきたからだと言えばそれまでですが、真相はまだ定かではありません。

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図196-6 脊索動物における眼の進化

ヌタウナギの生態についてはナショナルジオグラフィックのサイトに動画や解説があります(14)。興味のある方はのぞいてみてはいかがでしょうか。

 

参照

1)ウィキペディア:メタスプリッギナ
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A1%E3%82%BF%E3%82%B9%E3%83%97%E3%83%AA%E3%83%83%E3%82%AE%E3%83%8A

2)渋めのダージリンはいかが 続・生物学茶話195:円口類の源流
http://morph.way-nifty.com/grey/2022/11/post-1f4cf6.html

3)Tetsuto Miyashita, Michael I. Coates, Robert Farrar, Peter Larson, Phillip L. Manning, Roy A. Wogelius, Nicholas P. Edwards, Jennifer Anne, Uwe Bergmann, Richard Palmer, and Philip J. Currie, Hagfish from the Cretaceous Tethys Sea and areconciliation of the morphological?molecularconflict in early vertebrate phylogeny., Proc Natl Acad Sci USA vol.116, no.6, pp.2146-2151 (2019).
https://www.pnas.org/doi/suppl/10.1073/pnas.1814794116

4)髙橋恭一 魚眼の構造と機能 ――水晶体の役割を中心にして――
広島修道大学リポジトリ (2020)
https://shudo-u.repo.nii.ac.jp/?action=pages_view_main&active_action=repository_view_main_item_detail&item_id=3062&item_no=1&page_id=13&block_id=62
file:///C:/Users/Owner/Downloads/KJ19001.pdf

5)Seiji Wada, Emi Kawano-Yamashita, Tomohiro Sugihara, Satoshi Tamotsu, Mitsumasa Koyanagi and Akihisa Terakita, Insights into the evolutionary origin of the pineal color discrimination mechanism from the river lamprey., BMC Biol vol.19, article no.188 (2021)., https://doi.org/10.1186/s12915-021-01121-1
https://bmcbiol.biomedcentral.com/articles/10.1186/s12915-021-01121-1

6)森慶二,外崎昭、ヤツメウナギの視細胞― 桿状体細胞と錐状体細胞の始まり 電子顕微鏡 Vol.31,No.1(1996) pp.40-44
https://www.jstage.jst.go.jp/article/kenbikyo1950/31/1/31_1_40/_pdf/-char/ja

7)ウィキペディア:網膜
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%B6%B2%E8%86%9C

8)Sarah N. Bradshaw and W. Ted Allison, Hagfish to illuminate the developmental and evolutionary origins of the vertebrate retina., Front. Cell Dev. Biol.10: 822358 (2022). doi:10.3389/fcell.2022.822358
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/35155434/

9)Oisi, Y., Ota, K., Kuraku, S. et al. Craniofacial development of hagfishes and the evolution of vertebrates. Nature vol.493, pp.175–180 (2013). https://doi.org/10.1038/nature11794
https://www.nature.com/articles/nature11794

10)大石康博、太田欣也、工樂樹洋、藤本聡子、倉谷滋 ヌタウナギの頭蓋顔面の発生と脊椎動物の進化
https://staff.aist.go.jp/t-fukatsu/CATNewsVol3NoS2.pdf

11)Sarah E. Gabbott, Philip C. J. Donoghue, Robert S. Sansom, Jakob Vinther
, Andrei Dolocan and Mark A. Purnell, Pigmented anatomy in Carboniferous cyclostomes and the evolution of the vertebrate eye., Proc. R. Soc. B., vol.283: issue 1836 (2016)
http://doi.org/10.1098/rspb.2016.1151
https://royalsocietypublishing.org/doi/epdf/10.1098/rspb.2016.1151

12)Answers in genesis: Elizabeth Mitchell Discovery of Hagfish Eyes Debunks Claim About Eye Evolution (2016)
https://answersingenesis.org/aquatic-animals/fish/discovery-hagfish-eyes-debunks-claim-about-eye-evolution/

13)Alex Keene and Johanna Kowalko, Repeated evolution of eye loss in Mexican cavefish: Evidence of similar developmental mechanisms in independently evolved
populations., This is the author manuscript accepted for publication and undergone full peer review but has not been through the copyediting, typesetting, pagination and proofreading process, which may lead to differences between this version and the Version of Record. doi: 10.1002/jez.b.22977.
https://onlinelibrary.wiley.com/doi/am-pdf/10.1002/jez.b.22977

14)ナショナルジオグラフィック:【動画】深海魚のヌタウナギ、驚異の7つの異能力
https://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/news/17/031600099/

 

 

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2022年11月22日 (火)

続・生物学茶話195:円口類の源流

一時期ヌタウナギとヤツメウナギが異なるグループの生物であるという考え方が優勢になって、円口類という分類群が消滅していた時期があったそうです(1)。しかし今世紀にはいって、特に大石康博がヌタウナギの腺性下垂体がヤツメウナギと同様外胚葉由来であることを示し(2)、ハイムバーグらが miRNA の比較を行ってからは(3)、ヌタウナギとヤツメウナギの類縁関係が明白になって円口類という分類群が復活し、このグループの分類学的位置が明らかになってきました(4)。

宮下哲人らは円口類の進化について包括的に示した仮説図を提供してくれていて(5)、カンブリア紀以降の円口類の進化や脊椎動物の関係についてもやもやしていたものが吹き飛ぶ快感が得られました。図195-1はその一部を示したものです。勇気を持ってたたき台を作ってくれる人がいるジャンルの研究者は幸運だと思います。

この宮下らの図は2014年にサイモン・コンウェイ・モリスらが発表した図(6)とはひとつ大きな違いがあります。モリスらは円口類は早い時期に有顎類の祖先と分岐し、その後有顎類の祖先からコノドントやアナスピッドが分岐しているとしていますが、宮下らは円口類・コノドント・アナスピッドの共通祖先が有顎類の祖先と分岐したとしています(図195-1)。

いずれにしても脊椎動物のルーツはエディアカラ紀にあり、ここでハイコウエラ、ミロクンミンギア、メタスプリッギナ、無顎類、有顎類それぞれのルーツが分岐し、この5つの生物群がそれぞれカンブリア紀に進化して化石に残る生物となりました(図195-1)。宮下らによると、意外にも円口類が分岐したのはカンブリア紀にはいってからで、エディアカラ紀とされる有顎脊椎動物の分岐より遅いとしています(図195-1)。

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図195-1 円口類と有顎脊椎動物の源流(宮下ら-参照5ーの系統図の一部を日本語化)

これから図195-1に登場する脊椎動物のルーツに近い生物たちを探訪していきたいと思います。まずハイコウエラ、ハイコウイチクス、ミロクンミンギアですが、これらは中国雲南省の澄江で発掘された化石生物で、カンブリア紀前期に生息していたとされています。ウィキペディアなどにあった図をまとめて図195-2に掲示しました。宮下らはこの中でもハイコウエラの祖先を脊椎動物の一番の根元に置いています(図195-1)。ハイコウエラについてはこのサイトでも以前にレポートしました(7)。Chen の報告によると、この生物は中枢神経系、鰓弓(6対らしい)、背びれ、眼、そして萌芽的脊椎を持っているそうです(8)。それらの根拠となる化石は図195-3のようなものです。この図は Chen の論文(8)からお借りしました。

宮下らの図にはユンナノゾーンは出ていませんが、ユンナノゾーン Yunnanozoon (図195-3)はハイコウエラと同じ生物だという説が長い間ずっとくすぶっていて、なかなか結論には至らないようです。たとえば Pei-Yun Cong らは論文の中で we consider that ‘Haikouella’ is a junior synonym of Yunnanozoon と述べていますが、アブストラクトにはそうは書いていません(9)。ハイコウイクチスとミロクンミンギアについても、同じ生物だという人もいますが、宮下らやモリスとカロン(6)は別の生物としています。彼らは遊泳力と視覚を持っていたので、カンブリア紀の前期にはそこそこ繁栄していたのでしょう。しかしおそらく次第に他の遊泳生物の後塵を拝するようになり、カンブリア紀の途中で絶滅しました。

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図195-2 最も始原的な脊椎動物と考えられている生物群

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図195-3 ユンナノゾーンとハイコウエラ

私たちやヤツメウナギも含めて現存脊椎動物とハイコウエラのグループ(クレスト動物)の中間的な存在として、サイモン・コンウェイ・モリスらがバージェス生物群からみつけだしたメタスプリッギナという生物がいます(6、10、図195-4)。メタスプリッギナはエディアカラ紀のスプリッギナ(11)とは関係が無い生物なので、この命名は失敗でした。

図195-1によると、メタスプリッギナはコノドントや円口類が生まれるずっと前に有顎脊椎動物の祖先と分岐しています。その意味では今のところ有顎動物と最も近い無顎動物かもしれません。メタスプリッギナはノトコードに沿って7対の骨をもっていますが、これらは脊椎のようにそれぞれ独立しています。そして7対のうち6対は鰓をささえる役割を持っていますが、最前部の1対はサイズが大きく萌芽的な顎の骨と考えられています(12)。このような特徴はこの生物が有顎脊椎動物の祖先と近い関係にあることを示唆します。

ハイコウエラなどそれまでの生物が2~3cmの大きさだったのに比べて、メタスプリッギナは大きなものでは体長が10cmのものもみつかるので、これは大きな進化だと言えます。また中国と米国でほぼ同じ化石がみつかっているので、ユニバーサルな生物だったことも確実です(13)。筋肉の付き方がよくわかる化石があって、それによるとメタスプリッギナはうなぎのようにくねくねと泳ぐ術を習得していたようです。したがって鰭が貧弱または無くても遊泳できたと考えられます。形を認識できそうな立派な一対の眼を持っていました(12、図195-4)。このような眼と遊泳術、細長いからだがあれば敵が来ても、岩の隙間や穴に隠れることができます。エサはヤツメウナギのように海底の有機物を吸い込んで摂取していたのでしょう。カンブリア紀に絶滅しましたが、これはニッチをコノドントや円口類の祖先に奪われたからかもしれません。

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図195-4 メタスプリッギナ

コノドントは19世紀の半ばに歯のような固形物が化石として発見されて以来、どんな生物のものなのか100年以上もさっぱりわからなかったのですが、20世紀の終盤になってようやくアルドリッジらがヤツメウナギと似たような生物であることを証明しました(14、15)。ですからコノドントは歯のことを意味して、その歯の持ち主はコノドント動物と呼ばれる場合も多いようです。

コノドントはヤツメウナギと似た生物ですが大きく違うのはその歯です(図195-5)。歯と言ってもコノドントの場合かみ砕いたりすりつぶしたりするのではなく、石や貝などを吸い込まないようにするためのフィルターのように見えます。従来ヤツメウナギの歯はケラチン、コノドントの歯はリン酸カルシウムと言われてきたのですが、テリルらはX線光電子分析法によってコノドントの歯にイオウが含まれていることをつきとめ、少なくとも部分的にはケラチンが含まれていると推定しています(16)。

コノドントの歯は海底の有機物を飲み込んで栄養源にする生物としては理想的なフィルターと思われ、コノドント動物はヤツメウナギやヌタウナギと同様にペルム紀末大絶滅を乗り越えるという圧倒的な生存能力を発揮しましたが、なぜか三畳紀に絶滅しました。

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図195-5 ヤツメウナギとコノドント

ウィキペディアの絵をみると、ピピスキウスはやはりヤツメウナギに似た感じの生物ですが、アナスピッドはむしろ魚類に似た感じです。円口類はもともと見た目魚類に似たような生物でしたが、臭覚で海底の有機物を探してそれらを吸い込んで栄養を吸収し、視覚で認識した捕食者からは砂に潜ったり、狭い岩の間や穴に隠れてやりすごすという生き方を追求するうちに魚類とは異なる形態に進化し、別のニッチを獲得したということなのでしょう。


参照

1)ウィキペディア:円口類
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%86%86%E5%8F%A3%E9%A1%9E

2)大石康博 ヌタウナギの頭部発生から脊椎動物の頭部形態の進化を読む
神戸大学学術成果リポジトリ
https://da.lib.kobe-u.ac.jp/da/kernel/D1005717/

3)Alysha M. Heimberg, Richard Cowper-Sal・lari, Marie Semon, Philip C. J. Donoghue, and Kevin J. Peterson, microRNAs reveal the interrelationships of hagfish,lampreys, and gnathostomes and the nature of the ancestral vertebrate., PNAS, vol.107, no.45, pp.19379?19383 (2010)
https://www.researchgate.net/publication/47499985_MicroRNAs_reveal_the_interrelationships_of_hagfish_lampreys_and_gnathostomes_and_the_nature_of_the_ancestral_vertebrate

4)続・生物学茶話171: ヌタウナギ
http://morph.way-nifty.com/grey/2022/02/post-73233a.html

5)Tetsuto Miyashita, Michael I. Coates, Robert Farrar, Peter Larson, Phillip L. Manning, Roy A. Wogelius, Nicholas P. Edwards, Jennifer Anne, Uwe Bergmann, Richard Palmer, and Philip J. Currie, Hagfish from the Cretaceous Tethys Sea and areconciliation of the morphological?molecularconflict in early vertebrate phylogeny., Proc Natl Acad Sci USA vol.116, no.6, pp.2146-2151 (2019).
https://www.pnas.org/doi/suppl/10.1073/pnas.1814794116

6)Simon Conway Morris and Jean-Bernard Caron, A primitive fish from the Cambrian of North America., Nature vol.512, pp.419-422 (2014) doi:10.1038/nature13414
https://www.nature.com/articles/nature13414
http://eprints.esc.cam.ac.uk/3073/1/nature13414.pdf

7)続・生物学茶話172:ハイコウエラ
http://morph.way-nifty.com/grey/2022/02/post-17ba80.html

8)Jun-Yuan Chen, The sudden appearance of diverse animal body plans
during the Cambrian explosion., Int. J. Dev. Biol. 53: 733-751 (2009)
doi: 10.1387/ijdb.072513cj
http://www.ijdb.ehu.es/web/paper/072513cj/the-sudden-appearance-of-diverse-animal-body-plans-during-the-cambrian-explosion-

9)Pei-Yun Cong, Xian-Guang Hou, Richard J. Aldridge, Mark A. Purnell, Yi-Zhen Li, New data on the palaeobiology of the enigmatic yunnanozoans from the Chengjiang Biota, Lower Cambrian, China., Palaeontology vol.58, issue 1 pp.45-70 (2015) https://doi.org/10.1111/pala.12117
https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/pala.12117

10)Simon Conway Morris, A Redescription of a Rare Chordate, Metaspriggina walcotti Simonetta and Insom, from the Burgess Shale (Middle Cambrian), British Columbia, Canada. Journal of Paleontology vol.82 (2): pp.424–430. (2008) doi:10.1666/06-130.1
https://www.cambridge.org/core/journals/journal-of-paleontology/article/abs/redescription-of-a-rare-chordate-metaspriggina-walcotti-simonetta-and-insom-from-the-burgess-shale-middle-cambrian-british-columbia-canada/070D2759C11CFA7CD52732D996211A20

11)ウィキペディア:スプリッギナ
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B9%E3%83%97%E3%83%AA%E3%83%83%E3%82%AE%E3%83%8A

12)Wikipedia: Metaspriggina
https://en.wikipedia.org/wiki/Metaspriggina

13)Evolution News & Science Today: Metaspriggina:Vertebrate Fish Found in Cambrian Explosion
https://evolutionnews.org/2014/08/metaspriggina_v/

14)R.J.Aldrige, D.E.G.Briggs, M.P.Smith, E.N.K.Clarkson and N.D.L.Clark, The anatomy of conodonts., Phil.Trans. R. Soc. Lond. B., vol.340, pp.405-421 (1993)
https://www.academia.edu/25163368/The_Anatomy_of_Conodonts

15)Scotland - the home of geology, Conodont animals from Granton, Edinburgh.,
https://www.scottishgeology.com/geo/scotlands-fossils/conodont-animals-from-granton-edinburgh/

16)D. F. Terrill, C. M. Henderson and J. S. Anderson, New applications of spectroscopy techniques reveal phylogenetically significant soft tissue residue in Paleozoic conodonts., J. Anal. Atom. Spectrom., issue 6 (2018)
DOI: 10.1039/c7ja00386b
https://pubs.rsc.org/en/content/articlelanding/2018/ja/c7ja00386b#!divCitation

 

 

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2022年11月14日 (月)

続・生物学茶話194: 円口類

インターナショナルな教育を目的とし、随時改訂される教科書としてウェブサイトに無料公開されているCK-12(1)に採用されている脊椎動物の進化系統図を図194-1に示します。この図に表示されている生物より少し以前に現れた生物であるナメクジウオについては、このブログでもそれなりに突っ込んで議論してきましたが(2-4、6-9)、ここで階段を一つ上がって円口類に進もうかと思います。

円口類というのは学術用語ではないらしく、無顎魚類のうち現在も生きている生物をまとめてそう呼ぶ一般用語のようです。無顎魚類(jawless fish)という学術的な呼び方はヤツメウナギ、ヌタウナギ、それらの祖先を含めて、魚のイメージとはかけ離れた一群の生物も魚類と称するという一種の思想のようなもので、それが適切かどうかはわかりませんがとりあえずそうしておきます。

その無顎魚類ですが、それらしき最も古い化石はカンブリア紀のものが見つかっています(10)。したがってヤツメウナギやヌタウナギは、おそらくシーラカンスなど足下にも及ばないほど太古からの特徴を引き継いでいる生きた化石と言えます。頭索動物・尾索動物から無顎魚類に進化する際にはゲノムの2倍化が起きていて、一気に進化のスピードが増しました(5)。ちなみに無顎類から有顎魚類に進化する際にもゲノムの2倍化が起きています(5)。こうした不連続性があるので、普通に考えれば無顎魚類(円口類)は頭索動物・尾索動物・脊椎動物と同等な分類上のランク(亜門 subphylum)が与えられるべきだと思います。

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図194-1 脊椎動物の進化系統図

円口類と魚類との関係を考えるときに避けて通れないのがコノドントという生物です。コノドントはパンダーが1856年に記載して以来、歯のような堅い構造物しかみつからず、どんな生物か全くわからなかったのですが、1983年に英国エジンバラのグラントンというところで全身の化石が発見され、ようやく歯の持ち主がわかりました(11、12)。サイモン・ネルの本にはこの頃の興奮がかかれてあると思いますが、アマゾンの配送料が\2269(本は\3695)というので読むのは諦めました(13)。現在では全身化石の情報も蓄積されて、ウィキペディアには想像図まで掲載されています(14)。この生物が円口類と近縁であることがわかります。実際ウィキペディアにはヤツメウナギと近縁な生物として系統図も書かれています(14)。すなわち現在の分類学を容認するなら、彼らも当然脊椎動物の一員ということになります。ただ化石に残るほどの脊椎は持っていなかったということです。

歯の化石はカンブリア紀からみつかっているので、コノドントがカンブリア紀にはすでに歯を持って生きていたことは明らかです。おそらく脊椎動物で最初に歯を持った生物です。彼らはその後繁栄してペルム紀末の大絶滅も乗り越え三畳紀まで生き延びましたが、そこで絶滅しました(14)。ヌタウナギやヤツメウナギの祖先は生き延びたのに、コノドントだけがなぜ絶滅したかは謎です。

図194-2はウィキペディアの図(15)をベースにして作成した魚類中心の脊椎動物の系統図ですが、今も生きている円口類の祖先、コノドント、現存魚類の祖先生物がカンブリア紀あるいはそれいぜんにどのような関係にあったかは不明でやむなく?印になっています。脊椎動物系統樹の根元あたりにはこれ以外にも謎の生物がいます。それは翼甲類と甲皮類です(9)。翼甲類は背中に甲羅をしょった無顎の魚のような生物で、ドレパナスピスの化石が国立科学博物館にあります(16)。甲皮類も同様な生物です(17)。これらの生物はデボン紀に絶滅し円口類との関係はよくわかっていないようですが、ヌタウナギよりはヤツメウナギに近いとされています(10)。いずれにしてもも脊椎動物系統樹の根元に近い生物ではあるようです。

円口類を生きた化石と言いましたが、私たち哺乳類がたった一度の大絶滅時代(白亜紀大絶滅)を経験したのに比べると、彼らは5回の大絶滅時代を生き延びたスーパースターであり、また5億年の長きにわたって進化を重ねているので、現在の円口類がカンブリア紀と同じであるわけはありません。多くは海洋と淡水を行き来できるような浸透圧調節システムを獲得しましたし、ある者は魚類や海獣の屍体を食べるのに適した口器を発達させ、粘液をまきちらすという特技を獲得し、また変態によって眼を発生させるという進化も行いました。なかには魚類の皮膚に吸い付いて生活する吸血寄生生物になった者もいます。私たちがまだ知らないさまざまな進化も重ねてきたと思われます。

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図194-2 魚類を中心に見た脊椎動物の進化系統図 2億5千万年前あたりに段差があるのは、ここでペルム紀末の大絶滅があったためです(驚くべきことに円口類は影響を受けていないとされています) ウィキペディアの Evolution of fish の項目に収録されていた図をベースに作成しました。

生物分類学の父であるカール・フォン・リンネの弟子であるペール・カルムは、1747年に北米に調査にでかけるためスウェーデンのエーテボリを出航しましたが、すぐに嵐に出会って、船を修復するためノルウェーのグリムスタッドに何週間も滞在することになりました。暇を持て余したカルムは当地の様々な生物を調査することにしました。そんなうわさを聞きつけた地元の漁師が見たこともない生物を持ってきたのですが、それは地元の漁業者にはよく知られた生物で、網にかかるとお金になる魚を食い荒らし、大量の粘液をまき散らして商品を台無しにする悪者でした。カルムはきちんと記録をとってレポートにしました(18)。

カルムのレポートを読んだリンネはこの生物に Myxina glutinosa (mixa=スライム、gluten=糊)という学名をつけましたが、後に前口動物系の生物だと誤って別の学名に代えたりして失敗しました(18)。最初の学名はいまでもヌタウナギ科の Myxinidae として残されています。日本語では以前はメクラウナギとしていましたが、これは差別用語だとして2007年からはヌタウナギに変更されました(19)。ヌタとは沼とか泥という意味です。英語では hagfish ですが、hag は鬼婆という意味です。

無顎類(円口類)のもうひとつのグループはヤツメウナギで、ヌタウナギが海洋生物なのに対してヤツメウナギは主に淡水に生息する生物です。ただし一時期海洋を回遊する種もあります(20)。ヌタウナギの鰓孔の数は不定ですが、ヤツメウナギは左右に7つづつと決まっていて、眼とあわせてヤツメという名前がつけられました。ドイツ語では Neunauge でココノツメですが、これは鼻の穴も数えてそうなったようです(21)。英語は lamprey で、これはラテン語系の言葉で石をなめるという意味だそうです(22)。図194-3は両者の形態を比較したものです。

ヤツメウナギは水底の有機物を食べるとか書いてありますが、多分魚糞とか藻類とかを食べているのでしょう。変態して成魚になってからはあまり餌も食べないで繁殖行為をおこなったらすぐに死ぬようです。しかし40年くらい生きるという情報もあってはっきりしません。テリトリーも主張しないおとなしい生物ではあるようです(23)。しかしなかには Sea Lamprey(ウミヤツメ) のように、生きた魚に吸い付いて血液を吸い取りながら寄生するような種もあります(24、25)。ヤツメウナギが餌を吸い取るのに適した口であるのに対して、ヌタウナギは立派な歯を持っていて、これで魚の屍体などの肉をこそぎとって食事をします(26、図194-3)。鯨の屍体は大好物のようです(27)。

敵に襲われたときにどうするかは、ヌタウナギとヤツメウナギでは大きく違います。ヌタウナギは全身に多数の粘液排出口を持っていて、襲われると粘液(スライム)を一気に放出します。これが鰓にくっつくと捕食者は窒息してしまいます。ヤツメウナギは立派な鰭をもっていて自由に泳げますし、捕食者に吸い付くことができるので、そうなると食べたくても食べられません。食べるつもりが気づくと自分が食べられているという結果になります(28)。サメもヤツメウナギに食べられるそうです(28)。ヤツメウナギはある意味海洋最強の捕食者かもしれません。

ヌタウナギはヤツメウナギにはない咽皮管(いんひかん、pharyngo-cutaneous duct)という器官を持っています。これは体の左側にしかなく、飲み込んだ余分な水分を排出するためのものです(29)。ヌタウナギは腐肉を食べるので、海底のスカベンジャー(清掃人)として重要な生物です。このような生物を底曳き網で根こそぎさらって殺してしまうというのは、重大な環境破壊です。The IUCN Red List of Threatened Species によると現在約2割の種が絶滅の危機にあるそうです。

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図194-3 ヌタウナギとヤツメウナギの形態 wikimedia commons の図ですが、ヌタウナギの図の原典は Zintzen et al., Hagfish predatory behaviour and slime defence mechanism., Scientific Reports 1 : 131 (2011) DOI: 10.1038/srep00131

図194-3のようにヌタウナギとヤツメウナギは顔相をはじめとしてかなり形態が異なっており、うなぎのように細長い体であることを除いてはあまり似ていなくて系統的に遠いのではないかという疑いが持たれていたわけですが、大石康博らは両者の発生過程を詳細に検討して、非常に似ている発生段階があることを確認し、やはり円口類としてまとめてよいという見解を発表しています(30、31)。確かに文献31の図3をみるととてもよく似ています。両者の祖先が分岐してから4.5億年~5億年経過していると考えられるので(32)、それぞれ独自の進化をとげたとしても不思議ではありません。

実際脳の解剖図をみると成体の脳の形態はヌタウナギとヤツメウナギでかなり異なっています。前者は「The Biology of Hagfishes」という本の図(33)、後者は「Zoology Notes」というウェブサイトの図(34)を元に描いてみました(図194-4)。かなり異なると言っても、同じ哺乳類でもヒトの脳とマウスの脳では大きな形態的な違いがあるので、驚くほどの違いではありません。

単純に眺めてみた印象では、ヌタウナギの方が各部域の境界があいまいで原始的な印象を受けます。ヤツメウナギは松果体を持っており、特に視葉(中脳)が顕著に大きいという特徴があります。両者とも魚類では明確に識別できる小脳は少なくとも形態学的に識別はできません。ヌタウナギの脳が原始的なのか、退化した結果そうなったのか、あるいはむしろ中身は立派なのかはよくわかりません。

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図194-4 ヌタウナギとヤツメウナギの脳の形態

 

参照

1)CK-12 Biology for High School, 12.5 Vertebrate Evolution
https://flexbooks.ck12.org/cbook/ck-12-biology-flexbook-2.0/section/12.5/primary/lesson/vertebrate-evolution-bio/

2)ナメクジウオと脊椎動物の進化
http://morph.way-nifty.com/grey/2008/07/post_ad46.html

3)脳のはじまり3
http://morph.way-nifty.com/grey/2020/08/post-d3e786.html

4)ナメクジウオ
http://morph.way-nifty.com/grey/2022/01/post-c8b5d8.html

5)沖縄科学技術大学院大学 公開資料 古生代における種間交雑:脊椎動物における全ゲノム重複の真実が明らかに (2020)
https://www.oist.jp/ja/news-center/press-releases/35053

6)頭索動物の脊索
http://morph.way-nifty.com/grey/2022/07/post-d3842a.html

7)頭索動物の光受容 その1
http://morph.way-nifty.com/grey/2022/08/post-53d84a.html

8)ナメクジウオの4種の眼
http://morph.way-nifty.com/grey/2022/08/post-e84af9.html

9)ナメクジウオ脳の部域化
http://morph.way-nifty.com/grey/2022/08/post-277eea.html

10)ウィキペディア: 無顎類
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%84%A1%E9%A1%8E%E9%A1%9E

11)Scotland - the home of geology, Conodont animals from Granton, Edinburgh
https://www.scottishgeology.com/geo/scotlands-fossils/conodont-animals-from-granton-edinburgh/

12)Derek E. G. Briggs, Euan N. K. Clarkson, Richard J. Aldridge, The conodont animal., Lethaia vol.16, Issue 1, pp.1-14 (1983)
https://doi.org/10.1111/j.1502-3931.1983.tb01993.x
https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/j.1502-3931.1983.tb01993.x

13)The Great Fossil Enigma: The Search for the Conodont Animal (Life of the Past) Auther: Simon J Knell Indiana University Press (2012)
https://www.amazon.co.jp/Great-Fossil-Enigma-Search-Conodont/dp/025300604X/ref=sr_1_7?__mk_ja_JP=%E3%82%AB%E3%82%BF%E3%82%AB%E3%83%8A&crid=25MLFN9KGUL5D&keywords=conodont&qid=1668050722&qu=eyJxc2MiOiIyLjc1IiwicXNhIjoiMC4wMCIsInFzcCI6IjAuMDAifQ%3D%3D&s=english-books&sprefix=conodont%2Cenglish-books%2C169&sr=1-7

14)Wikipedia: Conodont
https://en.wikipedia.org/wiki/Conodont

15)Wikipedia: Evolution of Fish
https://en.wikipedia.org/wiki/Evolution_of_fish

16)Hatena Blog: 【古生物紹介】ドレパナスピス
https://prehistoriclifeman.hatenablog.com/entry/2020/09/12/185259

17)樽本龍三郎 魚の系統進化その3 顎のない魚ー甲皮魚類
http://tarumoto.cocolog-nifty.com/blog/2009/04/post-ccd3.html

18)The biology of hagfishes., ヨルゲンセンらによる編集 Capman and Hall によって出版 (1998) 現在は Springer Science + Business Media Dordrecht によって出版

19)ウィキペディア: ヌタウナギ
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%8C%E3%82%BF%E3%82%A6%E3%83%8A%E3%82%AE

20)ウィキペディア: ヤツメウナギ
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A4%E3%83%84%E3%83%A1%E3%82%A6%E3%83%8A%E3%82%AE

21)ドイツ釣りにんげん Neunauge ヤツメウナギ
http://angelnaufjapanisch.blogspot.com/2012/05/neunauge.html

22)Wikipedia: Lamprey
https://en.wikipedia.org/wiki/Lamprey

23)アクアリウム生活 ヤツメウナギの飼育方法:奇妙な生態とは?餌は何を食べるの?
https://aquarium-style.com/1314.html

24)Wikipedia: Sea lamprey
https://en.wikipedia.org/wiki/Sea_lamprey

25)Tronto Japan Magazine 特集記事 水産学博士の雨宮さんが語る、オンタリオの水辺に生息するちょっと変わった魚たち (2014)
https://torja.ca/fish-in-ontario/

26)沼津港深海水族館・シーラカンスミュージアム公式ブログ ヌタウナギの歯がすごい
https://ameblo.jp/numazu-deepdea/entry-12179156249.html

27)マイケル・アランダ クジラの死骸が豊かな生態系を作る
https://logmi.jp/business/articles/121733

28)NWK. World, Hagfish vs Lamprey: 5 Key Differences
https://nmk.world/hagfish-vs-lamprey-5-key-differences-189427/

29)ウィキペディア小見出し辞書: 咽皮管 (いんひかん、英: pharyngeo-cutaneous duct) または 食道皮管(しょくどうひかん、羅: ductus oesophageo-cutaneus)
https://www.weblio.jp/content/%E5%92%BD%E7%9A%AE%E7%AE%A1+%E3%81%BE%E3%81%9F%E3%81%AF+%E9%A3%9F%E9%81%93%E7%9A%AE%E7%AE%A1

30)Oisi, Y., Ota, K., Kuraku, S. et al. Craniofacial development of hagfishes and the evolution of vertebrates. Nature vol.493, pp.175–180 (2013). https://doi.org/10.1038/nature11794
https://www.nature.com/articles/nature11794

31)大石康博、太田欣也、工樂樹洋、藤本聡子、倉谷滋 ヌタウナギの頭蓋顔面の発生と脊椎動物の進化
https://staff.aist.go.jp/t-fukatsu/CATNewsVol3NoS2.pdf

32)菅原文昭・倉谷 滋 円口類から解き明かされる脳の領域化の進化的な起源 ライフサイエンス 新着論文レビュー
DOI: 10.7875/first.author.2016.015
http://first.lifesciencedb.jp/archives/12168

33)The Biology of Hagfishes. Chapman and Hall, London (1998) Chapter 29 written by Ronan and Northcutt

34)S. Bhavya, Anatomy of Lamprey., Zoology Notes
https://www.notesonzoology.com/phylum-chordata/lamprey/anatomy-of-lamprey-with-diagram-vertebrates-chordata-zoology/7897

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2022年11月 1日 (火)

続・生物学茶話193: 脳の老廃物廃棄システム

21世紀になって2光子顕微鏡という新しい技術が開発され、形態学に革命が起きました。この顕微鏡の原理は量子力学に無知な私には全くわかりませんが、1931年にゲッペルト=マイヤ-という人がその可能性を述べているそうです。藤崎久雄が量子力学的原理をスキップして説明してくれているので、彼の論文の一節を引用すると「2光子顕微鏡は、1個の蛍光色素分子が1光子励起の場合の吸収波長の2倍の波長の光子2個を同時に吸収して光子エネルギーの2倍の準位に励起され、励起光波長の1/2より少し長い波長の蛍光を発する2光子励起という現象を利用する」(1)ということだそうです。

2光子による励起は非常に光子密度が高い状態で起こる現象なので、集光点近傍でしか起きません。このことはバックグラウンドを低くおさえることができるという利点があります。一方で必ず起きる1光子励起に対して、2光子励起は偶発的に起こるので絶対的解像度は普通の蛍光顕微鏡に比べて劣るということになります。

2光子励起は集光点近傍だけでおきるので、集光点の深度を変えて撮影しコンピュータで処理すれば立体的な画像が得られます。また赤外線によって励起を行うので試料を透過しやすく、現在では1.6mmくらいの深部まで見ることができるようです(2)。このことはサンプルを薄切せず、生きたままの生物の内部を観察できるということを意味します。また励起が集光点近傍だけで起きるとということは、図193-1(脳科学辞典参照2からの引用、赤字と点線は管理人の脚色です)の青い鼓型シェードの部分全体で発生する蛍光の影響を受けないことだけでなく、自家蛍光によるバックグラウンドを低く抑えられるという利点があって、この意味でも革命的な技術といえます。

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図193-1 2光子顕微鏡

話は変わりますが、少し前まで脳にはリンパ系の組織がないとされていました。他の体の部分は常にリンパ管を介してリンパ液が流れており、老廃物を洗い流しています。この流れは筋肉によっておきるので、筋肉がない脳にリンパ系の組織があっても機能しないでしょう。それでも老廃物は出るので、何らかの方法で排出しなければなりません。この謎はなかなか解けませんでした。そして解明の糸口が見つかったのは21世紀になってからで、先鞭をつけたのはイリフらのグループでした。彼らは2光子顕微鏡を用いて、マウスに投与した蛍光物質の動態を観察しました(3)。

彼らはまず脳実質と髄膜の間にあるマウスの Cisterna magna(後小脳延髄槽)にトレーサーとなる蛍光物質を注入し、30分後には脳室をはじめとする脳全体に広がることを確認しました(蛍光物質の分子量によってその速度は異なる 分子量3000の TR-d3 で50%程度の領域に確認)。そして頭蓋骨に穴を開け2光子顕微鏡を使って、脳表層から100μmくらいの脳内部の蛍光物質の分布を観察しました(図193-2)。

自分の経験から言うと、血液にはかなり自家蛍光があってトレーサーによる蛍光観察は困難と思っていましたが、この2光子顕微鏡による観察、特に図193-2DEなどでは、血管が黒くみえて自家蛍光が非常に低いことがわかります。そして目的のトレーサーはDをみると、動脈(赤点線)の周辺にみられることがわかります。静脈(青点線)の周囲にはトレーサーの発光がみられません。このことは後小脳延髄槽に注入したトレーサーが動脈の血管周囲腔(PVS)を伝って脳全体に広がっていることを示唆します。血管周囲腔は細胞のまわりの間質液と直接つながっており、脳脊髄液の通路ともつながっているので、この経路で脳の老廃物が排出されることが推定されることになりました。そしてその流れの動力となるのが動脈の脈動であることもこの論文は示唆しています。図193-2Lはアストログリア細胞が血管周囲腔を介して血管と接触していることを示しています。

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図193-2 2光子顕微鏡によるトレーサー実験

脳の老廃物廃棄システムを考える上でもうひとつ重要なのは、脳脊髄液とリンパ系の関係なのですが、その前に脳脊髄液の産生についてみておきましょう。発達した脳を持つ生物は通常脳内に細胞がない脳室という液体に満たされたプールのような部分があり、こことつながる液体の領域が老廃物廃棄システムの主役であることは容易に想像できます。

ヒトの場合脳の深部に位置する2つの側脳室・第3脳室および小脳の近傍にある第4脳室にある脈絡叢という部分で脳脊髄液が作られます(4、図193-3)。脈絡叢は窓空き型の毛細血管と上皮細胞からなり、この上皮細胞は毛細血管から血液成分を取り込んで脳脊髄液を反対側の脳室方向に分泌します(4)。したがって原材料は血液ですが、脳脊髄液では血球は排除されることになります。脳弓・視床・脳梁・小脳などは常に新鮮な脳脊髄液に浸されていることになり、これらの部域が生命にとって重要であることが想像されます。

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図193-3 脳脊髄液は脳室の脈絡叢でつくられる

なんらかの理由で脳脊髄液が過剰になると人も動物も水頭症という脳圧が高まる病気になります(5)。このことは脳脊髄液がなんらかのバリアを通過してゆっくりとリンパ系に出て行くことを意味しています。どこからどのように出て行くのでしょうか?

この質問に対する回答は、2015年にアスペルントら(6)とルーヴォーら(7)の2つのグループによって独立に発表された論文で行われました。ルーヴォーらの論文とウィキペディアの図(8)によって説明します(図193-4)。彼らの研究によって脳実質を覆う髄膜(外側から硬膜・くも膜・軟膜)にリンパ管が存在することが証明されました。なぜこのような基本的な知見が得られていなかったというと、リンパ管の内皮細胞の特異的マーカーが報告されたのが21世紀になってからだったという事情があるようです(6)。ともあれ脳の間質液・脳脊髄液とリンパ管が髄膜内でつながっていることが明らかになりました。そして髄膜のリンパ管は鼻粘膜を経由して首のリンパ管に接続していることも明らかになりました(7)。

これらのことから、脳の老廃物は体の他の部分と同様にリンパ管をつかって排出されていることがわかりました。また脳が独自の免疫系をもっているのではなく、通常の免疫システムによって保護されていることも示唆されます。

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図193-4 脳脊髄液とリンパシステムの接点

イリフやネーダーガードらはさらに詳細な研究を重ねて、リンパ系と脳脊髄液が共同して老廃物の排出や免疫を行うシステムをグリンファティックシステム(glymphatic system)と呼んでいます(9-11、図193-5)。まとめると、脳室の脈絡叢で産生された脳脊髄液は髄膜の動脈周囲の領域を伝わって脳表層全体に拡がります。その動脈が脳実質に入り込むときに、動脈周囲腔の脳脊髄液も内部に入り込み、動脈の脈動を利用して脳細胞の間隙にある脳間質に浸透し間質液となります。間質液は排出される老廃物をともなって移動した後静脈周囲腔を伝わって脳の表層方向に移動します。そして静脈が表層の髄膜に入ったときに間質液はリンパ管に取り込まれます。リンパ管は鼻粘膜を通って首のリンパ系に老廃物を輸送し、リンパ系の細胞によって分解処理されるというわけです。興味深いことに、このような脳の清掃システムは主に睡眠中に稼働しているそうです(10)。

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図193-5 グリンファティックシステム

当初はこのグリンファティックシステムのアイデアには多くの批判があったようですが、その多くは実験動物を殺してから切片をつくるという旧来の研究法によるアーティファクトが原因だとネーダーガードらは主張しています(10)。動物を殺した瞬間に動脈の脈動も止まり、結果に大きな影響が出るのです。2光子顕微鏡やMRIによる生きたままの生物を観察する手法によってはじめて実態が明らかになりました。現在ではいろいろ反論はあるものの、イリフやネーダーガードらの主張は多くの脳科学者に概ね受け入れられているようです(12、13)。参照12のレビューは27の研究機関に所属する研究者が著者になっていてます。脳の老廃物の問題はアルツハイマー病をはじめとして、さまざまな疾病に関与すると思われるので、少なくともグリンファティックシステムの考えをたたき台にして、これから進展していくのでしょう。

参照

1)藤崎久雄 ビデオレート2光子顕微鏡
生物物理 vol.40, no.3, pp.195-198 (2000)
file:///C:/Users/Owner/Desktop/193/%EF%BC%92%E5%85%89%E5%AD%90%E9%A1%95%E5%BE%AE%E9%8F%A1%EF%BC%88%E8%97%A4%E5%B4%8E%EF%BC%89.pdf

2)脳科学辞典 2光子顕微鏡
https://bsd.neuroinf.jp/wiki/2%E5%85%89%E5%AD%90%E9%A1%95%E5%BE%AE%E9%8F%A1

3)Jeffrey J. Iliff, Minghuan Wang, Yonghong Liao, Benjamin A. Plogg, Weiguo Peng, Georg A. Gundersen, Helene Benveniste, G. Edward Vates, Rashid Deane1, Steven A. Goldman, Erlend A. Nagelhus, and Maiken Nedergaard, A Paravascular Pathway Facilitates CSF Flow Through the Brain Parenchyma and the Clearance of Interstitial Solutes, Including Amyloid β., Sci Transl Med. vol.4(147): 147ra111.(2012) doi:10.1126/scitranslmed.3003748
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/22896675/

4)Wikipedia: Choroid plexus
https://en.wikipedia.org/wiki/Choroid_plexus

5)あいむ動物病院 動物の病気 水頭症
https://www.119.vc/illness/archives/5

6)Aleksanteri Aspelund, Salli Antila, Steven T. Proulx, Tine Veronica Karlsen, Sinem Karaman, Michael Detmar, Helge Wiig, and Kari Alitalo, A dural lymphatic vascular system that drains brain interstitial fluid and macromolecules., J. Exp. Med., Vol.212, No.7 pp.991–999 (2015)
www.jem.org/cgi/doi/10.1084/jem.20142290
file:///C:/Users/Owner/Desktop/193/Aspelund%20JEM.pdf

7)Antoine Louveau, Igor Smirnov, Timothy J. Keyes, Jacob D. Eccles, Sherin J. Rouhani, J. David Peske, Noel C. Derecki, David Castle, James W. Mandell, S. Lee Kevin, Tajie H. Harris, and Jonathan Kipnis, Structural and functional features of central nervous system lymphatics., Nature., vol.523(7560): pp.337–341 (2015)
doi: 10.1038/nature14432
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4506234/

8)ウィキペディア:髄膜
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%AB%84%E8%86%9C

9)Jeffrey J. Iliff and Maiken Nedergaard, Is there a cerebral lymphatic system? Stroke., vol.44(6 0 1): S93–S95. (2013) doi:10.1161/STROKEAHA.112.678698
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/23709744/

10)Humberto Mestre, Yuki Mori, Maiken Nedergaard, The brain’s glymphatic system: current controversies., Trends Neurosci., vol.43(7): pp.458–466. (2020) doi:10.1016/j.tins.2020.04.003
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32423764/

11)Lauren M. Hablitz and Maiken Nedergaard, The Glymphatic System: A Novel Component of Fundamental Neurobiology., The Journal of Neuroscience, vol.41(37): pp.7698–7711 (2020)

12)Tomas Bohr, Poul G. Hjorth, Sebastian C. Holst, Sabina Hrabetova ́ , Vesa Kiviniemi, Tuomas Lilius, Iben Lundgaard, Kent-Andre Mardal, Erik A. Martens, Yuki Mori, U. Valentin Na ̈ gerl, Charles Nicholson, Allen Tannenbaum, John H. Thomas, Jeffrey Tithof, Helene Benveniste, Jeffrey J. Iliff, Douglas H. Kelley, and Maiken Nedergaard, The glymphatic system: Current understanding and modeling., iScience 29, 104987, September 16, (2022)
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/36093063/

13)毛利拡 脳を司る「脳」 講談社ブルーバックス B-2157 2020年刊

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2022年10月21日 (金)

続・生物学茶話192 カリウムチャネル

カリウムチャネルはナトリウムチャネルやカルシウムチャネルに比べて生物進化のなかで古くから存在すると言われています(1)。そしてその研究もイオンチャネルのなかでは最も早くから進み、ロデリック・マキノンは細菌のカリウムチャネルの構造をX線結晶解析によって1998年に解明し、2003年にはノーベル化学賞を受賞しました(2、図192-1)。

カリウムは皆様ご存じのように、周期律表をみればナトリウムよりひとまわり大きな原子なので、チャネルのイオンフィルターがカリウムを通過させてナトリウムを通過させないというのは謎でしたが、構造が解明されることによってその理論的な裏付けがとれました(3)。基本的にはカリウムはまわりのカルボニル基のマイナスイオンから均等な位置をとれますが、ナトリウムは片側に吸着されるという差があるようです。そういうわけでナトリウムはカリウムの1000分の1くらいしか通過しないとされていましたが、最近の研究によって80分の1くらいは通過することがわかりました(4)。

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図192-1 マキノンと電位依存性カリウムチャネルの立体構造

カリウムチャネルについては脳科学辞典にわりと詳しい解説があって、初心者もはいっていきやすくなっています(3)。大別するとこのチャネルの核心部を形成するαサブユニットには3つのタイプがあり、最もシンプルなものは2カ所の膜貫通部位とひとつのポア構成部位をもつ2TM(transmembrane)型で、このタイプは4つの分子が集合してイオン通過ポアを構築します(図192-2左)。ふたつめは4カ所の膜貫通部位を持ち、ふたつのポア構成部位をもつ4TM型で、この分子は2個でひとつのイオン通過部位を構築することができます(図192-2中央)。Two-pore domain potassium channel とも呼ばれています。ここで主に取り扱いたいのは最も一般的な図192-2右に示したタイプで、6つの膜貫通部位を持ち、ひとつのポア構成部位を持つ6TM型です。

6TM型はポアから離れた位置にあるN末側の4つの膜貫通部位が電位センサーとして機能し、C末側の2つの膜貫通部位がポア構成部位となります。4分子が集合してひとつのイオン通過ポアを構築します(図192-2右)。基本的には電依存性チャネルですが、一部の6TM型は電位依存性は持たないで、脱分極ではなくカルシウムによって活性化されるチャネルとして機能するものもあります(3)。哺乳類は2TM・4TM・6TMのすべてのタイプのカリウムチャネルを持っており、細菌の時代から生物進化の過程で構築されてきた分子型をすべて廃棄せず保有していることになります。しかもそれぞれのタイプにはさらに細かいバラエティーがあり、膨大な分子集団が多様な仕事をしていてまだ不明な点も多いようです(3)。

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図192-2 さまざまなタイプのカリウムチャネル

イオン通過ポアの開閉はダイナミックな分子構造の変化によって行われるようで、特にオープン時の細胞質部分にみられる分子が傘が開くように構造変化する様子には驚かされます(5-7、図192-3)。ただすべてのカリウムチャネルの開閉がこのように行われるとは限らないようで、チャネルの種類によってメカニズムは多様で、βサブユニットの関与もあるようです(3)。

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図192-3 カリウムチャネル開閉時の立体構造

図192-4はカリウムチャネルから派生した分子群の系統図で、これらのほとんどがヒトにも存在するということには驚かされます(6、7)。ナトリウムチャネルやカルシウムチャネルもカリウムチャネルから派生した分子群ですが、これらが神経伝達や筋収縮のキープロセスを担っていることはもちろんですが、この親戚筋にあたる図の緑系の分子群は精子のCatSperだけでなく、痛覚・味覚・温度感知・血圧・視覚などに関与する TRP(transient receptor potential channel) も含みます(8)。

赤・橙・ピンクで示されている分子群がいわゆるカリウムチャネルを構成しています。カリウムチャネルの最も一般的な役割は、電位依存性カリウムチャネルが担っている脱分極した細胞をカリウムイオンを放出することによってもとの静止電位にもどすことですが、Inwardly Rectifier K+ channels (または Inward-rectifier potassium channel)はカリウムを取り込む(回収する)役割を担っています。

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図192-4 カリウムチャネルファミリーの分子系統

電位依存性カリウムチャネルの種類・機能・分布について、脳科学辞典の記載のほかいくつかの文献を参考にリストアップしてみました(3、9-12、図192-5)。まだよくわかっていないことも多いようです。興奮性の制御とはカリウムを放出して脱分極した細胞を静止電位にもどすことですが、カリウムを出したままでは困るのでいずれ取り込まなければいけません。この作業は主に2TM型のKirという分子が担っているようです(図192-2、192-4)。

このほかにも Two-pore domain型やカルシウムによって活性化されるタイプなど、アイソフォームを含めると非常に多くの種類のカリウムチャネルがあり、詳しい研究が行われていないものも多いようです。

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図192-5 電位依存性カリウムチャネルのアイソフォームとその性質

最後にペンシルベニアのジグラらの興味深い仮説を紹介しておきましょう。カリウムチャネルはもともとショウジョウバエのシェイカー変異をもたらす遺伝子の産物として注目され、同じ6TMタイプであることから、植物のカリウムチャネルもプラントシェイカータイプと呼ばれていましたが、彼らは分子構造の詳細から見て植物のチャネルは動物のシェイカー型とは全く異なる出自であることを示しました(13)。

特に興味深いのは、彼らの図によると動物(メタゾア)は細菌由来と古細菌由来のチャネルを保有していますが、植物は細菌由来のものだけを保有していることになっています(図192-6)。これが真実であるとするならば、ウィルスによる遺伝子の水平伝播ということも考えられるでしょう(14)。

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図192-6 カリウムチャネルの進化

参照

1)Peter A.V. Anderson and Robert M.Greenberg, Phylogeny of ion channels: clues to structure and function., Comparative Biochemistry and Physiology Part B: Biochemistry and Molecular Biology vol.129, issue 1, pp.17-28 (2001)
https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S1096495901003761?via%3Dihub

2)ウィキペディア:ロデリック・マキノン
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AD%E3%83%87%E3%83%AA%E3%83%83%E3%82%AF%E3%83%BB%E3%83%9E%E3%82%AD%E3%83%8E%E3%83%B3

3)脳科学辞典:カリウムチャネル
https://bsd.neuroinf.jp/wiki/%E3%82%AB%E3%83%AA%E3%82%A6%E3%83%A0%E3%83%81%E3%83%A3%E3%83%8D%E3%83%AB

4)Kenichiro Mita, Takashi Sumikama, Masayuki Iwamoto, Yuka Matsuki, Kenji Shigemi, and Shigetoshi Oiki, Conductance selectivity of Na+ across the K+ channel via Na+ trapped in a tortuous trajectory., Proc. Natl. Acad. Sci. USA vol.118, no.12, e2017168118 (2021)
https://doi.org/10.1073/pnas.2017168118
https://www.pnas.org/doi/epdf/10.1073/pnas.2017168118

5)Jiang, Y., Lee, A., Chen, J., Cadene, M., Chait, B.T., Mackinnon, R., Crystal Structure and mechanism of a calcium-gated potassium channel, Nature vol.417: pp.515-522 (2002) DOI: 10.1038/417515a
https://www.nature.com/articles/417515a

6)Educational portal of  PDB (PDB-101)
https://pdb101.rcsb.org/motm/38

7)Wikipedia: Potassium channel
https://en.wikipedia.org/wiki/Potassium_channel

8)Wikipedia: Transient receptor potential channel
https://en.wikipedia.org/wiki/Transient_receptor_potential_channel

9)澤田光平,日原裕恵,吉永貴志  電位依存性イオンチャネル探索研究における蛍光および電気生理学的高速スクリーニング(HTS)法
日薬理誌(Folia Pharmacol. Jpn.)126,321~327(2005)
https://www.jstage.jst.go.jp/article/fpj/126/5/126_5_321/_pdf

10)Yuanzheng Gu, Dustin Servello, Zhi Han, Rupa R.Lalchandani, Jun B. Ding, Kun Huang, Chen Gu, Balanced Activity between Kv3 and Nav Channels Determines Fast-Spiking in Mammalian Central Neurons., iScience, vol.9, pp 120-137 (2018)
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/30390433/

11)H. Ying; D. J. Ramsey; H. Qian, The Potassium Channel kv12.1 Is an Interactor for the Go Subunit in Mammalian Retina.,
Investigative Ophthalmology & Visual Science., Vol.49, 1289 (2008)

12)Guo, J., Cell Surface Expression of Human Ether-a-go-go-Related Gene (hERG) Channels is Regulated by Caveolin-3 via the Ubiquitin Ligase Nedd4-2., The Journal of Biological Chemistry, 287(40), 33132-33141 (2012)
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/22879586/

13)Timothy Jegla, Gregory Busey, and Sarah M. Assmann, Evolution and Structural Characteristics of Plant Voltage-Gated K+ Channels., The Plant Cell, vol.30: pp.2898–2909 (2018)
http://www.plantcell.org/cgi/doi/10.1105/tpc.18.00523
file:///C:/Users/Owner/Desktop/192/Plant%20potassium%20channels.pdf

14)Gerhard Thiel, Anna Moroni, Guillaume Blanc, and James L. Van Etten, Potassium Ion Channels: Could They Have Evolved from Viruses? Plant Physiology, vol. 162, pp.1215–1224 (2013) http://www.plantphysiol.org/cgi/doi/10.1104/pp.113.219360
file:///C:/Users/Owner/Desktop/192/Kion%20channel%20Thiel.pdf

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2022年10月11日 (火)

続・生物学茶話191: 電位依存性カルシウムチャネル

前回の続・生物学茶話190では電位依存性ナトリウムチャネルをとりあげましたが、そのなかでこのツールはもともと細菌では鞭毛形成に使われていたという説を紹介しました(1)。電位依存性カルシウムチャネルについても、私たちは筋収縮のトリガーとして、またはシナプス前細胞が化学伝達物質を放出するトリガーとして使っていますが、細菌は筋肉もシナプスもないにもかかわらずこの特殊なチャネルを保持しているわけです。細胞質イオン環境のホメオスタシス以外にもなんらかの役割があるのかもしれません。

鞭毛を動かすにはプロトンモーターやナトリウムモーターが知られていましたが、最近になってカルシウムやマグネシウムを使って鞭毛を駆動する細菌がみつかりました(2、3)。カルシウムチャネルはナトリウムチャネルと極めて近い関係にあり、わずかなアミノ酸配列の変化があるだけなのですが、それがどのような役割を持って細菌→古細菌→単細胞真核生物と引き継がれてきたかはまだまだ謎めいています。

単細胞の真核生物も筋肉や神経を持っていないわけですが、彼らも細菌と同様、電位依存性カルシウムチャネルを鞭毛運動に利用していました。昔からゾウリムシが障害物にぶつかると繊毛の打ち方を変えて後方に泳ぐことについて、脱分極とカルシウムの流入がかかわっていることが知られていましたが(4)、藤生(ふじう)らはクラミドモナスを用いて、電位依存性カルシウムチャネル Cav2 が鞭毛の打ち方を制御することを証明しました(5)。カルシウムチャネルは私たちの精子の活動にも、おそらく深く関わっていると思われます(6)。

原核生物の電位依存性カルシウムチャネルの系譜は下村らによって詳しく調査されています(7、8)。カルシウムチャネル(CavMr)はバチルス系のナトリウムチャネルと近縁な AnclNav と彼らが名付けたグループから派生したようです(図191-1)。下村らはAnclNav グループは,我々ヒトも含めた多細胞生物の Nav や Cav の先祖型の特徴を保持したチャネルである可能性が高いと考えています(8)。

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図191-1 細菌におけるナトリウムおよびカルシウムチャネルの分子系統樹(下村らによる)

CavMr は電位依存性ナトリウムチャネルとよく似た構造で、6つの膜貫通部位を持った分子4個で構成され、カルシウムチャネルの場合イオンを選択するフィルターを構成している部分のアミノ酸配列の4番目の位置にグリシンがあることがキーポイントのようです(7、図191-2)。

ヒトの Cav は4ドメインの1分子型ですが、図191-2のようにドメインIとドメインIIIは4番目がグリシンで、CavMr に似た配列がみられます(7、8)。

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図191-2 イオン選択フィルター部位のアミノ酸配列

図191-3は1ドメインx4型の電位依存性ナトリウム・カルシウムチャネルの進化的系譜を示しています(9)。この型の遺伝子が2回タンデムな重複を繰り返すことによって4ドメインx1型のチャネル分子が形成されたと考えられています(図191-3A)。

しかし生物全体を見渡すと、図191-3Bのようにメジャーなのは1ドメインx4型であり、植物を含む真核生物のさまざまなスーパーグループにまたがって原核生物の遺伝子が受け継がれていることがわかります(見にくいですがクリック拡大してご覧ください)。

哺乳類精子で鞭毛の動きを制御しているのもこの1ドメインx4型で(10)、この古い型のチャネルを私たちも捨てずに保存しています。おそらく重複した後、4ドメイン型とは別々に進化したのでしょう。古い型といっても細菌からひきついだものですから、長い年月の内にカチオンチャネル複合体という高度に組織化されたチャネルに進化していることが最近報告されました(11)。私たちは精子だけでこのチャネルを使っているようです。

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図191-3 1ドメイン4分子型カルシウムチャネルの分子系統樹

4ドメインx1型のカルシウムチャネルはオピストコンタに含まれる生物(菌類、襟鞭毛虫、メタゾア=動物)にみられます(11、図191-4)。S.pombe や S.cerevisae は酵母で、これらが持つのは Nav ですがメタゾアのカルシウムチャネルのルーツとみられています(12)。ですからメタゾアのカルシウムチャネルはカルシウムチャネルとして細菌から受け継いだわけではありません。

平板動物(Placozoa)や海綿動物 (Polifera) は神経系をもっていませんが、カルシウムチャネルは保持しています。特に平板動物は3つのタイプの分子種をすべて保持しています(12)。このことはもともと4ドメインx1型のカルシウムチャネルが神経伝達のために生まれてきた分子ではなく、刺胞動物 (Cnidaria) 以降の動物が流用したものと思われます。有櫛動物 (Ctenophora) は Cav2 タイプしか持っていませんが、これで神経系を運用しています(12)。

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図191-4 4ドメイン1分子型カルシウムチャネルの分子系統樹と神経システムの系譜

ここまで述べてきたカルシウムチャネル分子はα1サブユニットだけについてですが、実際のチャネルはイオンフィルターと電位を感知する部位を持つα1サブユニットだけでなく、その他の制御部位などを持つβ、γ、α2、δという別のサブユニットが加わった複合体であることが知られています(13、図191-5)。これらが加わることによって正しい電位のレベルによる反応や、カルシウムの効率よい通過が維持されます(13)。キャテラルはサブユニットが集合した際の3次元構造も示していたので、図191-5にお借りして示しておきます。

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図191-5 4ドメイン1分子型カルシウムチャネル複合体の全体像

ヒトのαサブユニットには10種類のアイソフォームが知られていて、それぞれ別の領域に分布して、さまざまな役割を果たしています。基本的には神経伝達物質の放出、筋収縮、遺伝子発現の変換などが主な役割です。一覧表が脳科学辞典に掲載されていたので、ここにも貼っておきます(14、図191-6)。

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図191-6 ヒト電位依存性カルシウムチャネルアルファサブユニットのアイソフォーム 分布と役割

DHP:ジヒドロピリジン(dihydropyridine)、PAA:フェニルアルキルアミン(phenylalkylamine)、BTZ:ベンゾチアゼピン(benzothiazepine)、オメガアガトキシン:クモ(Agelenopsis aperta)由来のP/Q型カルシウムチャネルのブロッカー、オメガコノトキシン:イモ貝由来のN型カルシウムチャネルのブロッカー、SNX-482:タランチュラ由来のR型カルシウムチャネルブロッカー。

参照

1)続・生物学茶話190: 電位依存性ナトリウムチャネル
http://morph.way-nifty.com/grey/2022/09/post-b7024f.html

2)Riku Imazawa, Yuka Takahashi, Wataru Aoki, Motohiko Sano & Masahiro Ito, A novel type bacterial flagellar motor that can use divalent cations as a coupling ion., Scientific Reports volume 6, Article number: 19773 (2016)
https://www.nature.com/articles/srep19773

3)伊藤政博 世界初:2価陽イオンで駆動するべん毛モーターCa2+やMg2+でもべん毛は回転する Kagaku to Seibutsu vol.55(4): pp.240-241 (2017)
https://katosei.jsbba.or.jp/view_html.php?aid=766

4)Yutaka Naitoh and Roger Eckert, onic Mechanisms Controlling Behavioral Responses of Paramecium to Mechanical Stimulation., Science, Vol 164, Issue 3882
pp. 963-965 (1969) DOI: 10.1126/science.164.3882.963
https://www.science.org/doi/10.1126/science.164.3882.963

5)藤生健太 単細胞生物クラミドモナスの鞭毛カルシウムチャネルの分布と機能の分子基盤 生物物理 vol.49(6),pp.294-295(2009)
https://www.jstage.jst.go.jp/article/biophys/49/6/49_6_294/_pdf

6)柴小菊 カルシウムシグナルを介した鞭毛・繊毛運動制御機構の解明
科学研究費補助金研究成果報告書 (2011)
https://core.ac.uk/download/pdf/56651494.pdf

7)Takushi Shimomura, Yoshiki Yonekawa, Hitoshi Nagura, Michihiro Tateyama,
Yoshinori Fujiyoshi, Katsumasa Irie, A native prokaryotic voltage-dependent
calcium channel with a novel selectivity filter sequence., eLife 2020;9:e52828. DOI: https://doi.org/10.7554/eLife.52828
https://elifesciences.org/articles/52828

8)下村拓史,入江克雅, 細菌の祖先型イオンチャネルから探る,普遍的なカルシウム
選択機構 生物物理 61(4),223-226(2021)
DOI: 10.2142/biophys.61.223

9) Katherine E. Helliwell, Abdul Chrachri, Julie A. Koester, Susan Wharam, Alison R. Taylor, Glen L. Wheeler, Colin Brownlee, A Novel Single-Domain Na+-Selective Voltage-Gated Channel in Photosynthetic Eukaryotes., Plant Physiology, Vol.184, Issue 4, pp.1674–1683 (2020)
https://doi.org/10.1104/pp.20.00889

10)Alejandro Vicente-Carrillo, Manuel Álvarez-Rodríguez, Heriberto Rodríguez-Martínez, The CatSper channel modulates boar sperm motility during capacitation., Reproductive Biology Vol.17, Issue 1, pp.69-78 (2017)
https://jglobal.jst.go.jp/detail?JGLOBAL_ID=201702257559599827

11)Lin, S., Ke, M., Zhang, Y., Yan, Z., Wu, J., Structure of a mammalian sperm cation channel complex., Nature vol.595: pp.746-750 (2021)
DOI: 10.1038/s41586-021-03742-6
https://www.nature.com/articles/s41586-021-03742-6

12)Adriano Senatore, Hamad Raiss and Phuong Le, Physiology and Evolution of
Voltage-Gated Calcium Channels in Early Diverging Animal Phyla: Cnidaria, Placozoa, Porifera and Ctenophora., Front. Physiol. vol.7: article 481.(2016)
doi: 10.3389/fphys.2016.00481
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/27867359/

13)William A. Catterall, Voltage-Gated Calcium Channels., Cold Spring Harb Perspect Biol 2011;3:a003947 doi: 10.1101/cshperspect.a003947
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3140680/

14)脳科学辞典:電位依存性カルシウムチャネル
https://bsd.neuroinf.jp/wiki/%E9%9B%BB%E4%BD%8D%E4%BE%9D%E5%AD%98%E6%80%A7%E3%82%AB%E3%83%AB%E3%82%B7%E3%82%A6%E3%83%A0%E3%83%81%E3%83%A3%E3%83%8D%E3%83%AB

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