カテゴリー「生物学・科学(biology/science)」の記事

2019年1月12日 (土)

やぶにらみ生物論120: ギャップ結合チャネル

多細胞生物が出現したのはいつなのかはわかりませんが、単細胞生物が多細胞になるためには、ともかく細胞分裂がおこったときに2つの娘細胞が離れないでくっついているためのメカニズムを構築することが重要でした。その上で生殖細胞を分化させ、生殖細胞は本体から分離しなければなりません。

細胞を接着させる機構は、図1に示すようにいくつかあってそれぞれ特徴がありますが(1)、ここでは興奮の伝達というブログの流れから、ギャップ結合とその構成要素であるコネクシンに着目します。図1・図2にみられるようにギャップ結合部位にはトンネルがあって、分子量約1000以下の水溶性低分子はここから隣接した細胞に移動することが可能です。

A


ギャップ結合の構造は1967年にレベルとカルノウスキーによって発見されました(2)。 この構造にギャップ結合(Gap junction)という名前を与えたのは、ブライトマンとリーゼとされています(3)。これが細胞と細胞を結ぶトンネル様の構造であることは、X線解析や電子顕微鏡観察によって1970年代に明らかにされました(4)。また構成タンパク質であるコネクシンも報告されました(5)

細胞興奮(アクションポテンシャル)の本質はイオンの移動ですから、このトンネルを通してイオンが移動すれば興奮も隣の細胞に移動します。神経伝達の基本はシナプスですが、これはいったん細胞から出たシグナル分子が隣接細胞のレセプターを介して情報の受け渡しをおこなうプロセスであり、制御可能で正確な伝達ではあっても時間を要します。

これに対して、たとえば心臓のように多くの細胞が常時連動して興奮すべき器官では、関連する細胞がギャップ結合で連結していて、イオンや電子が直接移動することによって興奮の伝達を行なうことができれば、非常に効率的です。ギャップ結合はこのような目的にふさわしい構造です。

図2にギャップ結合の大まかな構造を示します。トンネル部分を分子が通過することからギャップ結合チャネルとも言われます。チャネルとは水路という意味です。6分子のコネクシンというタンパク質が集合してパイプのような構造を形成し細胞膜を貫通します(6)。この6量体をコネクソンといいます。

A_2


コネクソンは隣接細胞のコネクソンと結合してギャップ結合チャネルを形成します(図2)。ギャップ結合チャネルは細胞と細胞を接着させる機能と、細胞から細胞への分子量約1000以下の分子の移動をサポートするというふたつの機能を持っています。他の細胞接着構造は細胞間の分子移動をサポートしていません(図1)。

ヒトやマウスにはそれぞれ20のコネクシン遺伝子があり、それに対応して20種のタンパク質がコネクシンとして機能しています。同じタンパク質6個が集合してコネクソンを形成することもあれば(ホモマー)、別種のタンパク質が集合してコネクソンを形成することもあります(ヘテロマー)(図3)。ホモマーのコネクソン同士が結合してギャップ結合チャネルを形成することもあれば、ヘテロマーとホモマー、ヘテロマーとヘテロマーという組み合わせの場合もあります(7、図3)。

A_3

図4にギャップ結合の電子顕微鏡写真を示します(8、東京医科歯科大学講義資料より)。細胞と細胞の間には通常10~20nmくらいの隙間があるのですが、ギャップ結合部位では2~4nmに狭まっており、多数のギャップ結合チャネルが存在して留め金のように細胞と細胞を接着させています(9)。

A_4

前田らはギャップ結合を構成しているコネクシンが電位の変化によって分子構造を変化させ、チャネルを閉鎖できることを示しました(10、11、図5)。このことによってギャップ結合を介した興奮伝達も、アクションポテンシャルのように一過性であることが可能になります。

A_5


随意筋である骨格筋は数千個の筋細胞が融合してできたシンシチウム(多核細胞体)であり、ひとつのニューロンのアクションポテンシャルがシナプスを介してシンシチウムに伝えられると、このひとつのシグナルによって数千個の細胞に相当するシンシチウムが統合された筋収縮を行なうことができます(12)。

一方不随意筋からなる心臓は個々の細胞が個別に連携して筋収縮を行なう必要があります。19世紀には心臓の収縮は神経によって支配されるという神経原説と、心臓自体に自動収縮能があるという筋原説が対立していましたが、エンゲルマン(図6)はカエルの心筋を分断しても、ごく一部の筋束で繋がっていれば分断された双方が同調して収縮することから、筋原説を提唱しました(13)。

A_6


田原(図6)は心臓の刺激伝達系を詳しく解析し、刺激は房室結節に発し、房室束からプルキンエ線維に伝えられて心臓全体が動くことを示しました(14、図7)。田原の発表の翌年には、房室結節の上流に洞房結節という組織があり、ここがシグナルの源泉すなわちペースメーカーであることがキースとフラックによって発見されました(15、図6、図7)。田原としては大魚を逸したということで、大変残念だったことと思います。

A_7


前記したようにコネクシン(コネキシン)には多くの種類があり、それぞれトンネルのサイズや特異性、どのくらいの電位差で開閉するかなどに違いがあります。図7のようにそれぞれが組織特異的に分布しています(16)。心臓の中でも部位によって各分子の局在が異なります。いずれにしても神経によって直接活動が制御されていない心臓の活動は、ギャップ結合チャネルによって統合されることによって秩序のある収縮が行なわれていると考えられています。

無脊椎動物にもコネクシンに相当するタンパク質は存在し、イネクシンと呼ばれています。しかしイネクシンが分子進化によってコネクシンができたわけではなく、脊索動物が持つコネクシンは別系統の4回膜貫通タンパク質から進化したと考えられています(17、図8)。

脊索動物にはコネクシン以外に、イネクシンに近縁のパネクシンというタンパク質が存在し、これはカエルなどではギャップ結合チャネルをつくりますが、哺乳類ではつくりません。では何をやっているかというと、細胞と外界とを結ぶ膜チャネルとして機能しています。コネクシンも連結するコネクソンがない場合、膜チャンネルをつくることもあります(17)

A_8


ギャップ結合チャネルには興奮の伝達以外にも重要な働きがあることが知られています。ある細胞にある化学物質が情報を伝えたとします。その情報を核に伝えるシグナル因子がつくられた際に、その細胞とギャップ結合をしている細胞にはそのシグナル因子が伝わり、同じ遺伝情報が発現されることになります。

このことは生物がその発生過程のなかである臓器を作る場合、ギャップ結合でつながっている細胞群がその臓器に分化し、つながっていない細胞群は別の臓器に分化することを意味します(17)。ですからギャップ結合チャネルは多細胞生物が形態形成をおこなう上で有意義なツールだと言えるでしょう。


参照

1)https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%B4%B0%E8%83%9E%E6%8E%A5%E7%9D%80

2)J. P. Revel, M. J. Karnovsky., Hexagonal array of subunits in intercellular junctions of the mouse heart and liver. J. Cell Biol., vol.33 C7-C12 (1967)

3)M.W. Brightman and T.S. Reese., Junctions between intimately apposed cell membranes in the vertebrate brain. J. Cell Biol., vol.40,  pp.648- 677 (1969)

4)J.C. Saez et al., Plasma membrane channels formed by connexins: Their regularion and functions. Physiol. Rev., vol. 83., pp. 1359-1400 (2003)
https://www.physiology.org/doi/pdf/10.1152/physrev.00007.2003

5)Daniel A. Goodenough., Bulk isolation of mouse hepatocyte gap junctions. Characterization of the principal protein, connexin., J Cell Biol. vol.61(2): pp. 557–563. (1974)
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC2109294/
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC2109294/pdf/557.pdf

6)https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B3%E3%83%8D%E3%82%AF%E3%82%B7%E3%83%B3

7)Gulistan Mese, Gabriele Richard and Thomas W. White., Gap Junctions: Basic Structure and Function., J. Invest. Dermatol., vol. 127, pp. 2516–2524 (2007); doi:10.1038/sj.jid.5700770

8)東京医科歯科大学講義資料 細胞膜
http://www.tmd.ac.jp/artsci/biol/pdf/cellmemb.pdf

9)https://en.wikipedia.org/wiki/Gap_junction

10)Shoji Maeda, So Nakagawa, Michihiro Suga, Eiki Yamashita, Atsunori Oshima, Yoshinori Fujiyoshi & Tomitake Tsukihara., Structure of the connexin 26 gap junction channel at 3.5 A resolution
Nature 458, 597-602 (2009)
http://www.protein.osaka-u.ac.jp/achievement/papers/connexin-26-gap-junction-channel-structure
http://ipr.pdbj.org/eprots/index_ja.cgi?PDB%3A2zw3

11)前田将司 ギャップ結合チャネルの構造基盤 日本結晶学会雑誌 52巻 第1号 pp.25~30、(2010)

12)https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%90%88%E8%83%9E%E4%BD%93

13)https://en.wikipedia.org/wiki/Theodor_Wilhelm_Engelmann

14)Tawara S : Das Reizleitungssystem des Saeugertierherzens. Eine Anatomisch-Histologische Studie ueber das
Atrioventrikularbuendel und die Purkinjeschen Faeden. Gustav Fischer Jena, (1906).

15). Keith A, Flack M., The form and nature of the muscular connections between the pri-mary divisions of the vertebrate heart. J Anat Physiol, vol. 41, pp. 172–189. (1907)

16)九州大学学術情報リポジトリ 柴田洋三郎 「ギャップ結合:コネキシン分子の多様な発現 : 『田
原結節』の分子解剖学」 (2010)
https://catalog.lib.kyushu-u.ac.jp/opac_download_md/16985/fam101-1_p001.pdf

17)Eric C. Beyer and Viviana M. Berthoud., Gap junction gene and protein families: Connexins, innexins, and pannexins., Biochim Biophys Acta., vol. 1860(1), pp. 5–8. (2018)  doi:10.1016/j.bbamem.2017.05.016.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/28559187
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC5704981/pdf/nihms885096.pdf

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2018年12月15日 (土)

やぶにらみ生物論119: 跳躍伝導

生物にとって神経の伝達速度を上げると、他の生命体より早く知覚し早く行動することができるので、生存にとって明らかに有利です。また周囲からの干渉を遮断・絶縁することや漏電を防ぐことも、正確な伝達には必要なことでしょう。脊椎動物はそのためにミエリン鞘(髄鞘)という神経を被覆する組織を獲得しました(1、図1)。ただし脊椎動物の専売特許ではなく、脳科学辞典によるとエビやミミズも類似した組織を持っているようです(1)。

ミエリン鞘は軸索を完全に被っているわけではなく切れ目があって、その部分をランヴィエ絞輪とよびます(図1)。ミエリン鞘とランヴィエ絞輪はそれぞれルドルフ・フィルヒョウ(2、図1)とルイ・ランヴィエ(3、図1)によって19世紀に発見されました。

すべての神経にミエリン鞘やランヴィエ絞輪があるのではなく、有髄神経に限って存在します(1)。無髄神経では、たとえば皮膚の痛覚神経では伝達速度は1m/秒くらいですが、同じ皮膚でも有髄神経の触覚神経では50m/秒と著しくアドバンテージがあります。伝達速度は有髄・無髄の差以外に、神経線維の太さが関係します(4)。イカの巨大軸索は直径が1mmくらいあり、伝達速度は30m/秒と、無髄神経であるにもかかわらず脊椎動物の有髄神経にも匹敵する高速伝達を行ないます。

A


ミエリン鞘の実体は末梢神経系ではシュワン細胞、中枢神経系ではオリゴデンドロサイトです。シュワン細胞は毛布のような細胞で、軸索に巻き付いています(図2)。オリゴデンドロサイトについては後述します。これらの細胞が何重にも巻き付くことによってミエリン鞘が形成され、有髄神経ができあがります(図2)。ミエリン鞘の一番外側の部分を神経鞘ともいいます。断面をみればミエリン鞘の多層構造がよくわかりますが、これらの層はすべて同じ細胞で連続しています(図2)。

毛布がきちんとたたまれてはがれないようにするためには、高度に硫酸化された糖鎖を持つP0(ピーゼロ)というタンパク質が必要だとされています(5)。ミエリン鞘は単に電源コードのシールドのようなものではなく、神経細胞とさまざまな相互作用を行なって、神経細胞を健全に保つためにも有用であるようです(6)。

A_2


さて今回のテーマは跳躍伝導ですが、これを理解するためにはコンデンサというものを理解する必要があるようです。ウィキペディアにはいろいろなコンデンサを並べた写真がでていました(7、図3)。世界で年間に2兆個も制作されているとのことです。

村田製作所のサイトによると、コンデンサは 1)電圧を安定させる、2)ノイズを取り除く、3)信号を取り出すなどの用途に用いられます(8)。要するに充電式電池のようなものですが、電池が化学式で書けるような化学変化すなわち分子の変化を基盤としているのに対して、コンデンサは分子の整列や分子内での構造変化を基盤とするものです。生物はみずから体内にコンデンサの役割を果たす組織を制作・設置し、神経伝達に使っています。

A_3


コンデンサは絶縁体の両側を2枚の金属板ではさんだような構造になっています(8-10、図4A)。ここに電池を使って電圧をかけると、2枚の金属板にはそれぞれ+および-の荷電が蓄積します(図4充電)。このとき絶縁体内部でも非通電時にはランダムだった分子の並びが整列した状態になり、各分子の内部でも電子密度が偏った状態になります(9)。この状態は電池をはずしても変わりません(図4B、蓄電)。ところが導線を電池の代わりに電球につなぐと、ここに電流が発生し、電球は点灯します(図4C、放電)。

電球が点灯してエネルギーが消費されると、コンデンサにおける金属板の帯電と絶縁体での分子の状態がもとのランダムな状態にもどります(図4A)。ここでまた電池をつなぐと再び充電されます。

図4をよく見ていただくと、絶縁体があるにもかかわらず、あたかも充電時には電池プラス極→導線→金属板→絶縁体→金属板→導線→電池マイナス極、放電時には電球→導線→金属板→絶縁体→金属板→導線→電球と逆回りに電流が流れているような状況が生まれます。

A_4


神経細胞の軸索は図5のようにミエリン鞘で被われており、その切れ目にランヴィエ絞輪があります。このどの部分がコンデンサかというと、それはミエリン鞘と軸索の細胞膜がそれに当たります(図5)。

ランヴィエ絞輪には多数のナトリウムチャネルが集中していて、これがいわば図4の電池のような役割を果たしているわけです。ここに刺激がきて一時的にチャネルがフリーパス状態になると、ナトリウムイオンが軸索に流れ込み、これらはミエリン鞘に被われた部分のマイナスチャージにひかれて移動し、電流が流れます。一方外側はナトリウムイオンが減少するので、ミエリン鞘の外側からランヴィエ絞輪の方向に電流が流れます。神経標本の周囲の電解液が導線の役割を果たします。

電流が隣のランヴィエ絞輪に届くと、隣のランヴィエ絞輪のナトリウムチャネルが開放されます。このようにランヴィエ絞輪から隣のランヴィエ絞輪へと刺激は伝達されます。ランヴィエ絞輪につつまれた部分の軸索には、ほとんどナトリウムチャネルはありません。つまりチャネルの開放部位が順次軸索内でドミノ倒しのように移動しなくても、ランヴィエ絞輪単位でステップワイズに(飛び飛びに)神経伝達が行なわれます。これが跳躍伝導です。このシステムによって、有髄神経は前述のような桁違いの高速伝達を可能にしました。

A_5


慶應義塾大学の田崎一二らは第二次世界大戦前に、図6に記したような方法などで、実際にミエリン鞘というコンデンサから発生する電流を測定し、跳躍伝導を証明しました(図6)。

杉晴夫によると(9)、第二次世界大戦中に彼らが論文をドイツの雑誌に投稿したところ、ベルリンが廃墟になっているにもかかわらず、ちゃんと雑誌に印刷発表されたそうです(10、11)。日本ではほとんどの学術雑誌は戦争で休刊せざるを得なくなりました。図6は簡略化したものなので、詳細を知りたい方は文献10、11をあたってください。

田崎一二の業績も含めて、跳躍伝導などについてはすでにやぶにらみ生物論102でも述べていますが(12)、記述が足りなかったのであらためて仕切り直しました。重複する部分が発生しましたがご容赦下さい。田崎一二は戦後まもなく渡米し、米国に帰化して97才までNIHで働いていました。これはNIHのレコードだそうです(13)。

A_6


イカなどは巨大神経線維をつくって神経伝導の速度をはやめましたが、脊椎動物は有髄神経による跳躍伝導のシステムをつくることによって、細い神経線維でも高速な伝達速度を確保することに成功しました。このことは脳を発達させる上で非常に重要なエポックだったと思われます(9)。なぜなら脳にそんな太い神経が鎮座すると、脳に多くの情報を詰め込むための容量が損なわれてしまいます。

脳ではシュワン細胞に代わって、オリゴデンドロサイトというグループのグリア細胞がミエリン鞘を形成します(14、15、図7)。ひとつのオリゴデンドロサイトがいくつもの軸索のミエリン鞘をかけもちするところが、末梢でのシュワン細胞とは違うところです(図7)。

A_7


参照

1)http://humancell.blog.jp/archives/%E3%82%B7%E3%83%A5%E3%83%AF%E3%83%B3%E7%B4%B0%E8%83%9E.html

2)https://en.wikipedia.org/wiki/Rudolf_Virchow

3)https://en.wikipedia.org/wiki/Louis-Antoine_Ranvier

4)神経線維の信号伝達のスピード
http://web2.chubu-gu.ac.jp/web_labo/mikami/brain/12/index-12.html

5)T. Yoshimura et al., GlcNAc6ST-1 regulates sulfation of N-glycans and myelination in the peripheral nervous system., Scientific Reports vol. 7, Article number: 42257 (2017)
https://www.nature.com/articles/srep42257

6)https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B7%E3%83%A3%E3%83%AB%E3%82%B3%E3%83%BC%E3%83%BB%E3%83%9E%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%83%BB

%E3%83%88%E3%82%A5%E3%83%BC%E3%82%B9%E7%97%85

7)https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B3%E3%83%B3%E3%83%87%E3%83%B3%E3%82%B5

8)村田製作所 コンデンサとは?
https://www.murata.com/ja-jp/campaign/ads/japan/elekids/compo/capacitor

9)杉晴夫 「生体電気信号とはなにか」 講談社ブルーバックス (2006)

10)Ichiji Tasaki und Taiji Takeuchi, Der am Ranvierschen Knoten entstehende hktionsstrom und seine Bedeutung fiir die Erregungsleitung., Pflügers Archive vol.244, pp. 696- (1941)
https://link.springer.com/article/10.1007%2FBF01755414

11)Ichiji Tasaki und Taiji Takeuchi, Weitere Studien über den Aktionsstrom der markhaltigen Nervenfaser und über die elektrosaltatorisehe Übertragung des Nervenimpulses.,  Pflügers

Archive., vol. 245, pp. 764-782 (1942)
https://science.nichd.nih.gov/.../Myelinated_nerve_fiber.pdf

12)http://morph.way-nifty.com/grey/2018/04/post-a2b0.html

13)NIH record - mile stones - Biophysicist Tasaki Leaves Extraordinary Scientific Legacy
https://nihrecord.nih.gov/newsletters/2009/02_20_2009/milestones.htm

14)https://en.wikipedia.org/wiki/Oligodendrocyte

15)https://bsd.neuroinf.jp/wiki/%E9%AB%84%E9%9E%98

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2018年12月 8日 (土)

やぶにらみ生物論118: 活動電位

17世紀の生物学者スワメルダムが神経伝達の速度は音や光のように速いと考えたことはすでに述べましたが(1)、その速度の測定は19世紀までまたなければなりませんでした。

エミール・デュボア=レーモンはマテウッチの損傷電流(1)に関心を持っていましたが、マテウッチの実験は筋肉で測定したものだったので、どうしても神経でその損傷電流を測定したいと考えました。

ところがなかなか神経ではうまく損傷電流を測定できませんでした。彼が使っていた既存のガルバノメーター(検流計)はコイルが6,000回巻いてあるものでしたが、レーモンは一念発起し、この感度を高めるために数週間かけてコイルを24,000回巻いた高性能ガルバノメーターを作成しました(2)。

自作の高性能ガルバノメーターを使うと、図1Aのように神経における損傷電流を測定することに成功しました。しかも奇妙なことに図1Bのように神経に刺激を与えると、一過性で損傷電流が消滅することがわかりました(1、2、図1)。デュボア=レーモンはこれを電気陰性波と呼びました。興奮の伝導とはこの電気陰性波が刺激部位から神経の両側に沿って移動することを意味します(図1)。

A_6

デュボア=レーモンは1852年に研究をまとめて "On animal electricity" という本を出版しました。この本の翻訳はいくつかあるようですが、例えば2014年に英訳版が出版されていて現在も販売されています(3)。私は未読です。彼の言う電気陰性波の実体は何なのでしょうか? その答えは生物学とはかけ離れた分野からもたらされました。

1869年にドイツの物理学者ヴィルヘルム・ヒットルフは、真空容器の中に電極を封入し電圧をかけると、陽極側の容器内壁が発光することを発見しました(4)。フィリップ・レーナルトとジョセフ・トムソンは、これが陰極から撃ち出される粒子(電子)が容器壁に衝突することによって発生する現象であることとし、原子は物質の最小単位ではなく、その中に電子を含むものであることを証明しました(5、6)。彼らはこの業績により1905年と1906年に相次いでノーベル物理学賞を受賞しました。

電子の存在が明らかになりつつある頃、ユリウス・ベルンシュタインは差動型レオトーム(7)という測定器(検流計)を開発し、レーモンの言う電気陰性波を正確に測定することに成功しました。

電気陰性波はミリセカンド単位の時間しか発生しないので、正確に測定するには機器を開発する必要がありました。電子の存在とベルンシュタインの研究を合わせて考えと、

『神経は通常の状態ではその細胞膜の内側に沿って電子が並んでおり、細胞膜の外側には陽イオンが並んでいて電気的二重層を形成している(図2A)。神経が損傷すると、損傷部位から電子が流出し細胞膜の外側を損傷していない部位へと移動する(図2B)。したがって電流は非損傷部位から損傷部位へと流れる。ここで神経を電流などで刺激すると、刺激を与えた部位から陽イオンが細胞内に一時的に流れ込み(脱分極)、そこに向かって電子が移動するので電流は刺激部位から両方向に流れ、両サイドを刺激する(図2C)。この刺激によって脱分極が誘発され、両サイドにパルスが伝播する』

・・・・・というような考え方で神経伝達が説明できそうです(8)。

図2Bの様な状態の時に神経に刺激を与えると損傷電流とは逆方向の電流が発生するので、デュボア=レーモンの実験で一時的に損傷電流が消滅することも理解できます。

A_2


刺激が与えられていない状態での細胞内外の電位差(静止電位)は、細胞膜内側に電子が並ぶのでマイナス(約-70mV)なのですが、刺激が与えられると陽イオンが細胞内に流入し、非常に短い時間脱分極が起こってプラスに転じます。これが活動電位(アクションポテンシャル)です(図3)。その後陽イオンの細胞外への排出が行なわれ、電位差は元にもどります(図3)。

実はカリウムイオンは細胞内濃度が高いので刺激がくると外に流出するのですが、ナトリウムイオンの流入効果の影響が大きく(赤点線の囲み)、活動電位はプラスとなります(図3)。

A_3

真空容器の中に電極を封入し電圧をかけると、陰極から電子が撃ち出されることは前述しましたが、その電子がぶつかる容器面に蛍光物質を塗っておくと、蛍光物質は電子が衝突することにより発光します。小さな発光する点の明るさを制御することによって画面に像を作ることができます。これがブラウン管の原理であり、テレビができた頃にはみんなブラウン管でテレビを見ていたわけです。これを発明したのはカール・フェルディナント・ブラウンです(9、10、図4)。1909年にノーベル物理学賞を受賞しています。

ブラウン管によって時間による輝度の変化を投射したのがオシロスコープであり、オシロスコープによって活動電位の変化の様子や神経伝達の速度などを観察できるようになり、神経生理学は飛躍的に進歩しました。

A_4


ところで、1920年代には神経伝達が減衰するかしないかで論争があり、特に日本では京都大学と慶應義塾大学でおぞましいほどの激しい論争がおこなわれていたそうです。神経の伝達速度はその種類や太さに依存するので、慶応の加藤元一はなんとか単一神経線維で実験できないものかと考えていたのですが、文献11から引用すると「そして1930~1931年、ついに清水、釜谷、大邸医専から研究に来ていた郭在禧博士らによって神経束から単一神経線維の分離に成功した」とあります。この技術は顕微解剖法によるもので、私は読んでおりませんが文献12に方法が詳しく述べられているようです。この方法を用いた実験で加藤らの非減衰説が勝利しました。

さらに重要なのは、加藤らは自らが考案した図5のような装置を用いて(13)、単独神経線維を刺激する実験から、筋収縮は刺激の強さに応じて収縮の強度が変化するのではなく、一定の閾値を超えた刺激に対して筋肉は常に同じ反応をする=全か無かの法則を証明したことです。このことは文献11によると「1935年,条件反射で有名なパヴロフによって国際生理学会がモスクワで開催された時、加藤先生は単一神経線維の実験のデモを行うため、170 匹のガマとともに一週間のシベリア鉄道の旅を行った。教授は毎朝太陽に向かい、ガマが死なないように祈ったという有名な話がある。パヴロフ会長は、ノーベル賞候補として加藤を推薦したことを告げた。単一神経線維興奮のデモは新入研究生の田崎一二(跳躍伝導の発見者)が行った」 だそうです。

A_5


慶應義塾大学信濃町キャンパスの新教育研究棟の一階の入り口に、武見太郎の筆で「加藤元一先生之像」と刻まれた胸像があるそうです。

文献14によるとそこには「不減衰之記 加藤元一先生、大正六年慶應義塾に医学部創設さるゝや、弱冠二十八歳にして生理学教授とならる。昭和二年「不減衰傳導学説」に対して帝国学士院賞を授与させらる。続いてノーベル賞候補に挙る事再度、その学勲内外に高し。昭和十九年三月義塾に医学専門部、開設されるやその長となり、昭和二十七年三月同部を閉ずるまでの間、四百六十六名の人材を育成し、慶應医学にあらたなる活力を加えたり。この間の教育者としての情熱、蓋し不減衰傳導学説樹立にも勝るものあり。茲に我等卒業生その徳を仰ぎ、その情を慕い且つその智を敬してこの像を建つ。

昭和四十一年文化の日 慶應義塾大学附属医学専門部 卒業生一同」

と記されているそうです。

参照

1)やぶにらみ生物論117: 動物電気への道
http://morph.way-nifty.com/grey/2018/11/post-bca3.html

2)Jef Akst,The Body Electric, 1840s. Emil du Bois-Reymond’s innovations for recording electrical signals from living tissue set the stage for today’s neural monitoring techniques. The Scientist., 2014
https://www.the-scientist.com/foundations/the-body-electric-1840s-36484

3)E H Du Bois-Reymond, On animal electricity., Book on Demand Ltd. (2014)
https://www.amazon.co.jp/Animal-Electricity-H-Du-Bois-Reymond/dp/5519073244

4)https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%99%B0%E6%A5%B5%E7%B7%9A

5)https://en.wikipedia.org/wiki/Philipp_Lenard

6)https://en.wikipedia.org/wiki/J._J._Thomson

7)https://en.wikipedia.org/wiki/Julius_Bernstein

8)Seyfarth E.A., Julius Bernstein (1839–1917): pioneer neurobiologist and biophysicist. Biological Cybernetics., Vol. 94, Issue 1,  pp. 2–8  (2006)
https://link.springer.com/article/10.1007%2Fs00422-005-0031-y
https://dl.acm.org/citation.cfm?id=1108509.1108511

9)https://en.wikipedia.org/wiki/Karl_Ferdinand_Braun

10)https://en.wikipedia.org/wiki/Cathode-ray_tube

11)大村裕:我が国の神経生理学の黎明期 日本生理学雑誌 Vol. 71,No. 1, pp. 44-49 (2009)
http://physiology.jp/wp-content/uploads/2014/01/071010044.pdf

12)加藤元一 The microphysiology of nerve., Maruzen, Tokyo, (1934)

13)杉晴夫 「生体電気信号とはなにか」 講談社ブルーバックス (2006)

14)山内慶太 蝦蟇(がま)と三色旗 三田評論 2016年7月号
https://www.keio-up.co.jp/mita/r-shiseki/s1012_2.html

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2018年11月20日 (火)

やぶにらみ生物論117: 動物電気への道

イタリアが主導したルネサンスは、17世紀に入ると国家の混乱のうちに終焉を迎え、ガリレオ・ガリレイも失意のうちに亡くなりました。次世代の科学は英国のニュートンやボイル、オランダのホイヘンスらが主導する物理学の時代となりました。生物学の分野では英国のロバート・フック(1635-1703)やオランダのフォン・レーウェンフック(1632-1723)が顕微鏡図譜で業績を上げたくらいで、どちらかといえば停滞していた時代かもしれません。

ただあまり教科書などには登場しませんが、オランダの生物学者ヤン・スワメルダム(1637-1680)については述べておく必要があります。彼は生活のために医師を職業としていましたが、業績から言えば生物学者とよぶのがふさわしいでしょう。

かの有名な哲学者デカルト(1596-1650)は当時生物学の分野にまで進出していて、動物機械論=機械と動物の違いはその複雑さだけである・・・という理論を提出していました。デカルトは中世まで考えられていたような霊魂(スピリット)が神経の中を流れて筋肉を動かすという説を廃し、神経の中を物質(液体または気体)が移動して筋肉に達し、そのはたらきによって筋肉が動くと考えました。

スワメルダムはカエルの神経付きの筋肉の生体標本をつくり、神経をピンセットなどで刺激すると筋肉が収縮することをまず確認し(図1A)、もしデカルト説が正しければ、刺激によって物質が移動するのだから筋肉の体積が増加するはずだと考えました。そこで図1B・Cのように筋肉をガラスの管(下方は密閉、上方は毛細管)に閉じ込め、毛細管の中に水滴をいれて、刺激によって筋肉の体積が増えれば水滴が上昇するという装置をつくりました(1-3)。

そこで図1Bのcをメスでつついたり、より洗練された図Cのように、真鍮のフックで固定した神経を銀線でつついたりしてガラス管の筋肉を収縮させる実験をおこないましたが、いずれの場合も水滴が上昇することはありませんでした(2、3)。デカルト説は証明できませんでした。

11b_2

しかし、そこでスワメルダムは昔の霊魂説にもどったかというと、そうではなく、彼は神経伝達は光や音のように瞬時に伝わるメカニズムによると考えました。これはスワメルダムが当時としては非常に先進的な考えを持っていたことを示しています。彼が考案した神経付きのカエル筋肉標本はその後何世紀にもわたって、頻繁に神経と筋収縮の実験に用いられましたし、さらに彼は顕微解剖法という技術も開発しました。しかも彼の最も著名な業績は昆虫の変態の研究や赤血球の発見であって、ここで述べた研究ではないのです(2、3)。

図1のCで興味深いのは、神経を刺激したとき真鍮と銀という2種類の金属が神経に接触していることです。おそらくスワメルダムは後述するガルヴァーニの電気刺激の実験を1世紀前にすでに行なっていたのではないかと思われます(2、3)。

さて、学校というのはもちろん紀元前からあったでしょうし、インドには経典を教える大規模な高等教育機関もあったようですが、現代につながる大学の原点となるような学術研究と教育の最高学府である大学の最初のモデルは、11世紀設立のイタリアのボローニャ大学だろうと言われています(4)。引き続いてパリ大学やオックスフォード大学が設立されました。

ボローニャ大学の校章をみると1088年設立となっています(図2)。日本最古の大学である東京大学の開学が1877年であることを考えると、このイタリアの大学の設立時期は気の遠くなるような昔で、日本では平安時代の話です。ボローニャ大学は現在も健在です。こうしてみると日本ではまだまだ学問が市民権を得ていないというのもうなずけます。なにしろ文部科学省が人文科学は不要といっているほどですから(5)。

ウィキペディアにあった1350年代のボローニャ大学での講義風景をコピペしました(図2)。まじめに講義を聴いているのは2列目までで、後方では雑談したり居眠りしたりしている風景は現在でも変わりません。ルイジ・ガルヴァーニはこの大学で医学と哲学の学位をとり、1762年にスタッフに採用されました(6)。

22b


ガルヴァーニは1780年代に、カエルの筋肉が2種の金属に同時に触れると収縮するという現象を発見し、1791年に論文をまとめて、発表しました(7)。この現象は異種金属を接続したアークをつくり、その両端を筋肉にあててもおこります(図3)。

33b

この現象の解釈として次のふたつが考えられます。(A) もともと蛙の筋肉の中に電気が存在していて、それに二つの金属が接触して「電気が流れて」、筋肉が収縮した。(B) 「二つの異なった金属」から電気が発生し、蛙の足に「電気が流れて」筋肉が収縮した。

ガルヴァーニは(A)を選択し、ここで流れる電気を「動物電気」と名付けました。一方アレッサンドロ・ボルタは後者の(B)説を選択し、実際2種の金属を接触させると電気が発生することを、前記事(やぶにらみ生物論116:電池の起源へ寄り道)で記したように、ボルタ電堆などによって証明し、(B)説が正しいことを証明しました(8)。

「動物電気」は実際には存在するのですが、ガルヴァーニの実験では証明できませんでした。しかし彼の実験は、ボルタ電堆にはじまる電池の発明、イオン化傾向の発見、電流と磁場の関係の発見、電磁誘導の発見など思わぬ方向の怒濤のような化学や電磁気学の進展のきっかけをつくったことで、大きな意義のある実験でした。ボローニャ市にはカエルの筋肉の標本を持ったガルヴァーニの彫像があるそうです(図3)。

上述した中で、「電流と磁場の関係の発見」はデンマークの科学者ハンス・クリスチャン・エルステッドの1820年の業績です(9、10)。彼は図4のように金属線に電流を流すと、磁石の針を動かす力が発生することを発見しました。電流と磁場という全く関係のなさそうな現象が、密接に関係していることがはじめて示されたことは、物理学における革命的な発見でした。これはノーベル賞ができるずっと前のことです。コペンハーゲンにはエルステッドの名を冠した公園があるそうです。

44b


アンドレ=マリー・アンペアはエルステッドの発見を理論化し、ヨハン・シュヴァイガーなどと共に検流計を開発してガルバノメーターと名付けました。もちろんこの分野の発展の契機をつくったルイジ・ガルヴァーニにちなんで命名したわけです(11、12)。エルステッドの発見以来間髪を入れず開発されたガルバノメーターは、さまざまな研究者・技術者によって改良が重ねられましたが、図5は1900年頃開発された D'Arsonval/Weston型といわれるものです。電線と針が一体化して動くようになっています。


55b



ガルバノメーターの発明によって、ようやく「動物電気」を測定することができるようになりました。最初に動物が電気を発生することをみつけたのはボローニャ大学出身のカルロ・マテウッチでした。彼は1840年頃、正常なカエルの筋肉に電極をあてても電気は流れていませんが、筋肉に損傷を与え、その損傷面と正常面に電極をあてると、ガルバノメーターによって電流が検出さることを発見しました(12、図6)。これがいわゆる損傷電流(current of injury)です。ちょうど損傷電流が流れなくなるように逆方向の電圧を加えると、その値は数十mVでした(14)。

66b


参照

1)https://en.wikipedia.org/wiki/Jan_Swammerdam

2)Nerve function and “animal spirits”
http://www.janswammerdam.org/nerve.html

3)Matthew Cobb, Exorcizing the animal spirits: Jan Swammerdam on nerve function., Nature Reviews Neuroscience, vol. 3, pp. 395-400 (2002)
http://www.janswammerdam.org/NRN.pdf

4)https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9C%E3%83%AD%E3%83%BC%E3%83%8B%E3%83%A3%E5%A4%A7%E5%AD%A6

5)人文社会系学部は不要? 文部科学省の通達の背景を専門家が解説
https://benesse.jp/kyouiku/201507/20150726-2.html
https://www.j-cast.com/2015/11/07250008.html?p=all

6)https://en.wikipedia.org/wiki/Luigi_Galvani

7)Luigi Galvani, De viribus electricitatis in motu musculari commentarius. Accademia delle Scienze, Bologna, (1791)
https://web.archive.org/web/20110909013601/http://137.204.24.205:80/cis13b/bsco3/intro_opera.asp?id_opera=23

8)http://morph.way-nifty.com/grey/2018/11/post-7b47.html

9)https://en.wikipedia.org/wiki/Hans_Christian_%C3%98rsted

10)Hans Christian Orsted (1997). Karen Jelved, Andrew D. Jackson, and Ole Knudsen, translators from Danish to English. Selected Scientific Works of Hans Christian Orsted, ISBN?0-691-04334-5, pp.421-445

11)https://en.wikipedia.org/wiki/Andr%C3%A9-Marie_Amp%C3%A8re

12)https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%A4%9C%E6%B5%81%E8%A8%88

13)https://en.wikipedia.org/wiki/Carlo_Matteucci

14)杉晴夫著 「生体電気信号とは何か」 講談社ブルーバックス(2006) p.32

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2018年11月13日 (火)

やぶにらみ生物論116: 電池の起源へ寄り道

ヒトという生物にとって分子生物学の観点から見た生命現象はバックグラウンドであって、脳という電気信号の巨大な集積体が私達の意識を形成し、私達はその中で生きているわけです。ですから電気について考察することは生物、特にヒトを理解する上で避けては通れないことだと思われます。

元素の水溶液中におけるイオン化傾向は、元素の酸化されやすさの指標でもあり(1)、化学の一丁目一番地です。私は「金借るな、間借りあてにすな、水餡食い過ぎ銀ブラ禁」とおぼえましたが、最近では「リッチに貸そうかな まああてにすんな ひどすぎる借金」という語呂合わせが流布しているようです(2)。後者の方が正確かもしれません(図1)。

最も酸化されやすい元素の一つであるリチウムは、海水中だけでも2300億トンあるそうですが(3)、人間が製造した物を除いては、単体では地球上に存在しません。意外なことに金も海水中に50億トンも存在するそうです(4)。金はほとんど単体で存在します。ともあれ私達生物も化学の法則に則って生きているので、このイオン化傾向のリスト(図1)は重要な意味を持っています。

A


ここで少し電池の話に寄り道してみましょう。後述するように、私達の体を構成するひとつひとつの細胞もある種の電池です。電池は金属によってイオン化傾向が異なるということがその原理と深く関わっています。電池の発明によって、私達は電気を人工的に製造し使用することが可能になったのですが、ではその電池を発明したのは誰なのでしょうか? 一般的にはアレッサンドロ・ボルタが1800年に発表したボルタ電堆が最初と言われていますが、それはおそらく違います。

1936年にイラクの首都バグダッドの近郊で、鉄道の敷設を行なっていた作業員が奇妙な容器を発見しました(5)。調べてみるとそれは図2のような電池で、パルティア国またはサーサーン朝ペルシャで製造された物であることがわかりました(5、6)。パルティア国とは紀元前約250年から紀元後224年まで現在のイラン・イラクおよび周辺を支配していた国家で(7、図2)、サーサーン王朝はその領地を引き継ぎ、紀元後650年位まで続きました(8)。

この電池は1~2ボルトくらいのパワーがあり、おそらく金または銀メッキを行なうために使われたのではないかといわれています(5、6)。さらにもっと以前の時代の古代エジプトでも金メッキは行なわれており、おそらく電池が使われたのではないかと考えられています(9、10)。

A_2

近代になってからは、ボルタの電堆(voltaic pile)が最初に発明された電池として有名です(11、図3)。これは銅板-電解液(希硫酸または食塩水)に浸した紙-亜鉛板のセットを1ユニットとして、多数このユニットを積み上げた物です。希硫酸電解液の中では、Zn → Zn2+ plus  2e- および 2H+ plus 2e- → H2 という反応が起きて、亜鉛イオン(Zn2+)は隣接する上方の銅板の方に、電子(2e-)は隣接する下方の電解液の方に流れるので、電流は下から上に流れることになります。

A_3


ボルタが電堆を発表したのは1800年頃ですが、江戸時代の蘭学者宇田川榕菴は、1830年代から40年代にかけて出版されたその著書「舎密開宗(せいみかいそう」の中で、ボルタ電堆を紹介しています(図4)。電気分解を行なっているような図です。

宇田川榕菴は岡山県最北部の津山藩に所属していましたが、そのような辺境の地にありながら、世界でも先進的な研究の勉強や実験をよくやっていたものだと驚かされます。このウィキペディアに掲載されていた肖像画に記してある名前は榕菴とはなっていないので、信じていいのかどうか私にはわかりません。

A_4


希硫酸の中に銅板と亜鉛板を入れると、銅には何の変化もありませんが、亜鉛はイオン化してZn++の形で溶解し、亜鉛板には電子が取り残されます。両者は静電気で引きつけ合うので、亜鉛イオンは板の外側、電子は板の内側に集合して自由に動けない状態となります(図5)。これを電気的二重層といいます。

この状態は細胞と似ています。細胞は表層のイオンポンプで常にナトリウムをくみ出しているので、外側にNa+が集合し、内側に電子が集合するという状況になっています(図5)。このような状況では電流は流れませんが、電池の場合は導線などで銅板と亜鉛板をつなぐ、細胞の場合はイオンチャンネルの穴を開放するなどの操作によって、電気的二重層は崩壊し電流が発生します。

A_5
ボルタ電池の銅板と亜鉛板を導線でつなぐと、亜鉛板の電子は陽極(銅板)に移動し、亜鉛イオンは電解質溶液中に解放されて、そこで硫酸と反応して硫酸亜鉛と水素イオンを生成します(図6)。水素イオンは陽極に集積した電子と反応して水素分子を形成し、泡となって空中に放出されます。これがボルタ電池の原理です。

なのですが、ボルタ電池で起こっていることを科学的に正確に説明するのはなかなか困難なことらしく、歴史的に重要ではあっても、あまり教科書に使うのにはふさわしくないという考え方もあります(12)。

A_6


確かにダニエル電池の場合、時間による反応の変動が少ないので実用的であるだけでなく、説明も容易でしょう(図7)。基本的に陽極では銅が析出し、陰極では亜鉛が溶出するということです。この電池を発明したジョン・フレデリック・ダニエルの本職は気象学者で、湿度計や温度計の開発にも大きな業績を残しました(13)。

A_7


参照

1)https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A4%E3%82%AA%E3%83%B3%E5%8C%96%E5%82%BE%E5%90%91

2)https://juken-mikata.net/how-to/chemistry/ionization-tendency.html

3)https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AA%E3%83%81%E3%82%A6%E3%83%A0

4)金のこれまでの採掘量と地球に残された埋蔵量
https://nanboya.com/gold-kaitori/post/amountof-gold-extraction/

5)When Was the Battery Invented?
https://batteryuniversity.com/learn/article/when_was_the_battery_invented

6)バグダッド電池
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%90%E3%82%B0%E3%83%80%E3%83%83%E3%83%89%E9%9B%BB%E6%B1%A0

7)パルティア国
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%91%E3%83%AB%E3%83%86%E3%82%A3%E3%82%A2

8)サーサーン朝
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B5%E3%83%BC%E3%82%B5%E3%83%BC%E3%83%B3%E6%9C%9D

9)http://xanadu.xyz/850/

10)メッキとは何か
http://www.geocities.jp/hiroyuki0620785/k0dennsikotai/51c3mekki.htm

11)Giuliano Pancaldi: Volta, Science and culture in the age of enlightment. Princeton Univ. Press. ISBN 978-0-691-12226-7 (2003)
https://books.google.co.jp/books?id=hGoYB1Twx4sC&pg=PA73&redir_esc=y&hl=ja#v=onepage&q&f=false

12)坪村宏: ボルタ電池はもうやめよう 一 問題の多い電気化学分野の記述 化学と教育 vol.46, no.10, pp. 632-635 (1998)
https://www.jstage.jst.go.jp/article/kakyoshi/46/10/46_KJ00003520589/_pdf

13)https://www.britannica.com/biography/John-Frederic-Daniell


| | コメント (0) | トラックバック (0)

2018年10月13日 (土)

やぶにらみ生物論115: 昆虫の単眼

多くの昆虫たちは立派な複眼を2つ持っている上に、3つの単眼を持っています(図1)。彼らはどうしてこんなに贅沢な眼のセットを装備しているのでしょうか?

図1中央のカマキリ(1)の3つの単眼をみると、左右の単眼は左右を、前の単眼は前を向いているように見えます。これは左のアシナガバチの場合とは違う感じがします。

右図のカマキリが飛んでいるところを示しますが(2)、カマキリは人間で言えば立った状態で飛んでいるように見えます。こんな状態だと、眼が前を向いていないと視界が上と後方に限られます。ですから単眼の前の1個は前方を見ている必要があること、そして後ろの2個は左右を見ていることが推測できます。

ハチは体を水平にして飛ぶので、体の外側に眼が飛び出してさえいれば、広い視野が確保できるのでしょう。

A_8


私が単眼に興味を持ったのは、水波誠著「昆虫-驚異の微小脳」(3)を読んでからです。この第4章はすべて単眼について述べてあります。

素晴らしい本なのですが、この第4章は記述に混乱がみられ、私も原著をさがして検証していったので少し疲労しました。特にチャールズ・テイラーの仕事(後述)については、名前を出して解説すべきではないでしょうか? 是非改訂版を出版して欲しいと思います。

単眼の構造はヤフー知恵袋にきれいな絵があったので(4)、改変して図2を作成しました。図2に示したように、昆虫たちの単眼が私達の眼と異なるのは、ピントを合わせたり光量を調節したりする装置がまったく装備されていないことです。ですから網膜の上に像を結ばせることはできませんし、まぶしさを回避することもできません。

A_9


単眼からは少し話がそれますが、ドナルド・ウィルソンという登山家としても有名な研究者が1961年に「The central nervous control of flight in a locust」という論文を出版しました(5、図3)。これは衝撃的なタイトルです。それまでは動物のリズミカルな運動は末梢神経における反射の連続で行なわれると考えられていたからです。

ドナルド・ウィルソンはバッタの飛翔が全身の感覚器を動員して、中枢神経の制御のもとに行なわれることを証明しました。彼の論文は単独名ですが、ジェラルディン・タカタという方が実験のお手伝いをしていたようです(6)。

A_10



ドナルド・ウィルソンは1970年に37才の若さで亡くなりました。アイダホ州の川でラフティング(急流下り)を楽しんでいるときに不慮の事故にあったそうです。あるサイト(7)に、彼の仕事と生涯の記録がアップされています。プライベートな多数の写真も見ることができます。

マーチン・ウィルソンはドナルド・ウィルソンの仕事を引き継ぎ、バッタの飛翔には3つの単眼から得られた情報が中枢神経で処理されることが重要であることを示しました(8)。さらにチャールズ・テイラーはバッタの3つの単眼がそれぞれ空と大地などの明るさを識別し、その割合と境界線の角度を知ることによって、飛翔を安定化していることを示しました(9、10)。これこそが主要な単眼の機能だったのです。

前に位置する1個の単眼は、暗部が多いと下向きの飛翔、明部が多いと上向きの飛翔であることを認識し、これを中枢神経に伝えて、もし水平飛行すべきであればそのように筋肉に修正の指示を出すわけです(図4)。後部のふたつの単眼はそれぞれの明暗部の割合から左右どちらに傾いているかを認識し、修正することができます。また明暗域の左右への移動から旋回の方向と速度を測定することができます(図4)。まさしく航空機が搭載しているジャイロスコープのような役割を果たしているわけです(9、10、図4)。

しかし地平線とか景色とかは複眼でも見えているわけですから、なぜ単眼でなければならないのでしょうか? 複眼は見ているものの形を識別するために、多数のニューロンに個別にパルスを発生させ解像度を高めています。また記憶と照合するなどの作業のために神経回路も複雑になっています。一方単眼はもともと結像していませんし、単眼といってもそれなりに視細胞は多数ありますが、実はそれぞれの情報を極めて僅かなニューロンに集積しているのです。しかもその結果を最少のシナプスで中枢神経に伝えます。

このようなシステムによって、単眼は明るさ暗さを精細かつ短時間に中枢神経に伝達することができます。水波の著書(3)によると、バッタの単眼と複眼に光刺激を与え、刺激開始から運動中枢のニューロンに応答が起こるまでの時間を測定したところ、複眼では25ミリ秒~33ミリ秒であったのが、単眼では9ミリ秒だったそうです。飛翔の制御は迅速に行なうことが特に重要なので、単眼のメリットは十分にあると考えられます。

C


単眼はすべての昆虫に3つづつ配置されているわけではなく、ゴキブリや類縁関係にあるシロアリでは2個しかありませんし(11、12、図5、単眼は触角の根元にあるようですが、私はどこにあるのか判定できませんでした)、多くの甲虫は単眼を持っていません。おそらく生活の中で、上手に飛翔する必要がないグループでは退化してしまったのでしょう。実際カミキリムシなど甲虫の飛翔は実にのんびりしたものです。それでも体が硬いので鳥のエサにはなりにくいのでしょう。

単眼が2個のゴキブリですが、バッタやミツバチに比べてゴキブリは実験室での飼育が圧倒的に簡単です(さすがに大量に飼育しているのを見るのは気持ち悪いですが)。

水波はワモンゴキブリを材料として単眼の研究を行ないました(3)。水波によると、ワモンゴキブリの単眼には約1万個の光受容細胞がありますが、それらは僅か4つの二次ニューロンとシナプス結合するそうです。これは明るさの違いを二次ニューロンが精細に識別することができることを意味します。そして1個の二次ニューロンはそれぞれ13個以上の脳細胞(3次ニューロン)に接続しているそうです。

A_12


ゴキブリはおそらく上手に飛翔するよりも、主として明るさを避けたり、暗闇の中での確実で迅速な行動のために単眼を使っているのではないかと考えられます。ゴキブリの飛翔は何度か見たことがありますが、ミサイルのように直線的に突進する感じでした。

さて、では私達の祖先にもあったはずの単眼はどこに行ってしまったのでしょうか? ヒトの場合、その痕跡は脳の奥深くに松果体という組織で残っています(図6)。私達の祖先には頭頂部に光を通す頭蓋骨の「窓」があり、現在は松果体となった光感知組織(網膜)が存在したと考えられています。

今その松果体は何をやっているかというと、メラトニンという催眠ホルモンを分泌し、概日リズムを保つ(ひらたくいえば夜が来ると眠くなる)上で重要な働きをしています。松果体自体は脳の深部にあるので光を感知できず、眼や皮膚で感知した光の情報が視床下部に届き、視床下部が松果体に指示を下すとされています(13)。

A_13


脊椎動物の中にも、祖先が持っていた単眼(頭頂眼)を失わずに持っている種類がいます。図7のウシガエル、マダガスカルミツメイグアナ、カリフォルニアアノールトカゲなどです。ほとんどの脊椎動物は三畳紀にこの頭頂眼を失ったとされています(13)。どうしてそうなったのかは全くわかりませんが、哺乳類についてはおそらく多くが夜行性だったために、夜になると眠くなるのでは困ったのかもしれません。もっともゴキブリは単眼があるのに夜行性です。ただこれは察知して明るいところを避けているとか、日光の照射には弱いとか別の理由がありそうです。

また三畳紀末期は哺乳類を派生した単弓類のほとんどが壊滅するような絶滅時代で、これは乾燥によるとされています。この時代を生き残るには夏眠(冬眠)ができるものが有利で、概日リズムはむしろ上書きされなければならなかったのでしょう。三畳紀には翼竜という空飛ぶ爬虫類も出現しましたが、昆虫のように3つの単眼でジャイロスコープの役割を果たすというような特殊な進化はみられなかったと思われます。3つの単眼を持つ脊椎動物はみつかっていません。

A_14

参照

1)南大沢昆虫便り
https://blog.goo.ne.jp/mos314/e/8ef2c28d7e5a9d8cdc7bc313160a3a86

2)昆虫の楽園
http://a-kurosawa.cocolog-nifty.com/blog/2011/12/post-0461.html

3)水波誠著「昆虫-驚異の微小脳」中公新書1860(2006)

4)https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q11174624961

5)Donald M. Wilson, The central nervous control of flight in a locust., Exp. Biol., vol.38, pp. 471-490 (1961)
http://jeb.biologists.org/content/209/22/4411

6)Donald M. Wilson, Inherent asymmetry and reflex modulation of the locust flight motor pattern. Exp. Biol., vol.48, pp. 631-641 (1968)

7)Donald M. Wilson~ the point that must be reached ~ (1932 - 1970)
http://faculty.ucr.edu/~currie/donald-wilson.htm

8)Martin Wilson., The functional organisation of locust ocelli., J. Comp. Physiol., vol. 124, pp. 297-316 (1978)
https://link.springer.com/article/10.1007/BF00661380

9)Charles P. Taylor., Contribution of compound eyes and ocelli to steering of locusts in flight. I. Behavioural analysis.,  J. Exp. Biol., vol. 93., pp. 1-18 (1981)
http://jeb.biologists.org/content/93/1/1

10)Charles P. Taylor., Contribution of compound eyes and ocelli to steering of locusts in flight. II. Contribution of compound eyes and ocelli to steering of locusts in flight.,  J. Exp. Biol., vol. 93., pp. 19-31 (1981)
https://pdfs.semanticscholar.org/d5f7/0c0958c6dc3ac9674038bb2ff20e53dcceb3.pdf#search=%27Contribution+of+compound+eyes+and+ocelli+to+steering+of+locusts+in+flight.+I.%27

11)BSI生物科学研究所 衛生昆虫の微細構造 第一章
http://bsikagaku.jp/insect/cockroach.pdf#search=%27%E3%82%B4%E3%82%AD%E3%83%96%E3%83%AA+%E5%8D%98%E7%9C%BC%27

12)山野勝次 昆虫学講座 第3回
https://www.bunchuken.or.jp/wp-bunchuken/wp-content/uploads/2012/03/60_4.pdf

13)松果体(ウィキペディア)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%9D%BE%E6%9E%9C%E4%BD%93

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2018年10月 2日 (火)

やぶにらみ生物論114: ミツバチは日々記憶をたぐり、考え、判断する

今回はミツバチのお話しです。ミツバチの研究は日本でも活発に行なわれており、玉川大学にはミツバチ科学研究センターがあり(1)、山田養蜂場にはみつばち健康科学研究所があります(2)。ここでは簡単なミツバチについてのお話しと、私が関心を持ったことについて少し述べたいと思います。

ミツバチはご存じのように社会性昆虫でハイブと呼ばれる巣(そういえばバイオ・ハザードのアンブレラ社の研究所はハイブといって、ボスはコンピュータでした)をつくり、1匹の女王(図1)と多数の働き蜂と少数のオス蜂で社会を構成します。働き蜂の形態は図1の右に示したようなもので、尾部に毒針をもっていることが目立った特徴ですが、これについては最後にふれます。

もうひとつの特徴はかなり毛むくじゃらだということで、この毛は哺乳類の毛とは全くちがったものですが、哺乳類と同じ役割を果たすのかどうかはわかりません。保温や紫外線の直射を逃れるのには多少役だっているのかもしれません。多分より大事な役割は花粉をくっつけることで、蜜をまぜて花粉団子をつくり巣への運搬に役立てています(3)。このほか単眼や複眼や体全体に花粉がくっついて、それを足で払いのける際にキズがつかないようにという役割もあるのでしょう。

A_8

みつばちはひとつのApisという属の生物ですが、コミツバチ・オオミツバチ・ミツバチという3つの亜属にわけられていて、セイヨウミツバチとトウヨウミツバチはミツバチ亜属に含まれます。ニホンミツバチはトウヨウミツバチの亜種なので、もちろんミツバチ亜属に含まれます。

セイヨウミツバチは欧州・アフリカに分布し、トウヨウミツバチ・オオミツバチ・コミツバチはアジアに分布します(コトバンク)。オーストラリアやアメリカ大陸にはもともとミツバチはいませんでした。ただし養蜂業者が持ち込んだために、現在では図2のような分布図は無意味となっています。セイヨウミツバチは採取できる蜜の量が多いので、最近では日本でもセイヨウミツバチが優位の分布になっているようです。

A_9


さて、ミツバチが8の字ダンス(waggle dance)で花の位置を仲間に教えるということは大変有名で、高校などの教科書にも記載されています。このことを発見したのはカール・フォン・フリッシュです(4、5、図3)。無脊椎動物が言葉を持っているという大発見でしたが、彼がノーベル生理学医学賞を受賞したのは研究発表後50年も経過してからの1973年のことでした。

ミツバチは蜜が吸える花が巣から数メートルくらいの距離にあるときは、ぐるぐる回るだけですが、花が少し遠いところにあると、方角と距離を仲間に教えるために8の字ダンスを踊ります。図3の蛇行曲線の位置をおしりを振りながらブンブン羽音をたてて進みます。

この尻振りダンスの重力の鉛直線(図3の上下の青線)からの角度が、太陽からの角度(θ)を示し、尻振りダンスをしながら進む時間の長さが距離をあらわしています(図3)。現在ではリアルタイムで自動的にミツバチのコミュニケーション・ダンスを検出、解読、そしてマッピングできるシステムが開発されています(6、7)。

A_10


大事なのは、ミツバチが垂直に巣板をならべるように巣をつくることです(図4)。図4はたまたま外側の覆いが無く、内部が露出した巣です。左のスズメバチの巣(8)は私達の団地のように水平に1F・2F・3F・・・となっていますが、右のミツバチの巣(9)は垂直の層構造になっています。もし水平の構造だったら、8の字ダンスはありえません。なぜならY軸が決まらないからです。ミツバチは重力のベクトルと反対方向を0度とし、そこから何度ダンスの進行方向がずれているかで太陽と花の角度を仲間に知らせます。

ですからスズメバチのような巣だと、地磁気探知の機能を使って方位を知る能力でも持たない限り、太陽からの角度を表現できません。

A_11


ここで一つ驚くのは、太陽と花の角度は図3の左図のように地面に水平な地図上の角度ですが、ミツバチはこれを90度ずらして、垂直な壁に角度を表現します。これは彼らが壁に地図をかけて位置を知ることができる人間にも似た能力を持っていることを意味します。人間にも地図が読めない人がいる(10)ことを考えると、これは驚異的です。

そしてミツバチの知能はまだまだこんなものではありません。Martin Giurfa らはいろいろな図形を左右に傾けて、右に傾斜したときだけご褒美(砂糖水)をあげると、ミツバチはやがて学習した図形以外のさまざまな図形がどちらに傾いているかを認識することができることを証明しました(11、図5)。つまり彼らは図形の傾きという抽象的概念を抽出して頭脳に記憶し、さまざまな図形に適用してそれらが傾いていることを判断できるのです。

A_12


文献(11)では、さらにさまざまな対称性をもつ図形と対称性を持たない図形(図6a)をミツバチに見せ、片方を選択した場合だけご褒美をあげるというトレーニングをすると、学習した図形とはまったくことなる図形群(図6b)を見せた場合も、それが対称性を持つものか持たないものかを判別することができることを証明しています(図4)。

つまり彼らはさまざまな図形から対称性という抽象的概念を抽出して頭脳に記憶し、さまざまな図形に適用してそれらが対称性をもつものかどうかを判断しているのです。図5や図6の図形はミツバチやその祖先が何億年もの間みたこともないものです。彼らはあきらかに本能にしたがって生きているだけではなく、私達と同様日々記憶し、また日々記憶をたぐっていろいろ迷い考えて、そして最後は決断しながら生きているのです。

A_13


こんな画像から抽象的な概念を抽出するなどという複雑なことがうちのサラやミーナにできるでしょうか? いやそれは無理でしょう。ミツバチはほとんどの哺乳類の脳ができないようなことができるという、きわめて知的な動物であることがわかります。

私達とミツバチとは系統的にはずいぶん離れていますが、結局毎日なさねばならぬ事はそんなに違わないということでしょうか? エサをみつける、エサかエサでないかを判断する、エサの場所を記憶する、共有すべき情報を仲間に伝える、住む場所をつくる、捕食者から逃れる、敵と戦う、などはヒトもミツバチも日常的にやっていることです。そのようなことを上手にやれるように進化してきた結果、似たようなことになる部分もあるというのはわかる気がします。

最後に蜂の毒針についてふれておきます。毒針はもともと産卵器だった構造が変化してできたそうで、すべての蜂がもっているわけではありませんが、スズメバチ・アシナガバチ・ミツバチなどは持っています。ただし産卵器が変化したものなのでオスは持っていません。

A_14


図7の毒針の形態図は生きペディアのサイト(12)から拝借しました。ここで示すように、毒針は2本の穿刺針と1本の毒液注入針からなります。穿刺針の外側は矢尻状になっていて、いったん刺すと抜けにくくなっています。抜けるかどうかは刺された生物の皮膚の硬さによります。ミツバチはいったん刺すと、刺した針を抜けず無理に抜こうとすると体内の臓器ごとはがれてしまうので、やがて命を落とすことになるとされていますが、それは人を刺した場合のことであって、「皮膚が硬いが刺せないほどではない」というミツバチにとってはまずい事情のためにそうなってしまうのです。ですから、刺した動物(昆虫も含む)によってはうまく抜いて再使用できる場合もあるようです。

図7の右側には毒の成分を示しました。一部しか記していないので、詳しいことが知りたい方は他の文献(13など)をご覧下さい。なかでもスズメバチのマンダラトキシンは神経伝達を阻害する強力な毒素のようです。私達哺乳類が刺された場合、毒性そのものはたいしたことない場合でも過剰な免疫反応でアナフィラキシーショックを起こすことがあるので気をつけなければなりません。

参照

1)http://www.tamagawa.jp/research/academic/center/honey.html

2)https://www.bee-lab.jp/?prid=pli_ad_aac_A02_Y426&sc_cid=pli_ad_aac_A02_Y426

3)NHK for school  だんご職人 ミツバチの秘密
https://www.nhk.or.jp/rika/micro/shiryou/2010_001_01_shiryou.html

4)Uber die "Sprache der Bienen". Eine tierpsychologische Untersuchung. In: Zoologische Jahrbucher (Physiologie), Abteilung fur allgemeine Zoologie und Physiologie 40, S.1-186 (1923)

5)Aus dem Leben der Bienen. Springer Verlag Berlin (1927)
https://www.springer.com/de/book/9783642649226

6)ニューラルネットで「ミツバチのダンス」解読、大量死の謎解明へ
http://ascii.jp/elem/000/001/549/1549709/

7)Automatic detection and decoding of honey bee waggle dances. Fernando Wario, Benjamin Wild, Raul Rojas, Tim Landgraf., arXiv:1708.06590 (2017)
https://arxiv.org/abs/1708.06590

8)スズメバチの巣(やす緑のひろば) 
http://midorinohiroba.shiga-saku.net/e977278.html

9)ミツバチの巣(山里の素人農業) 
https://daii.jp/bee/kaiho_s.php

10)「地図が読めない人」の脳はどうなっているのか
https://wired.jp/2013/12/05/map-sense/

11)Julie Bernard, Silke Stach, and Martin Giurfa., Categorization of visual stimuli in the honey bee Apis mellifera. Anim Cogn col.9, pp. 257-270 (2006)
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/16909238
https://www.cs.helsinki.fi/group/cosco/Teaching/CoscoSeminar/spring2007/articles/benard-2006.pdf

12)https://ikimono-seibutu.com/hati-hari/

13)高見台クリニック ハチ毒について
http://takamidai-clinic.com/?p=44408
http://takamidai-clinic.com/?p=44411

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2018年9月20日 (木)

やぶにらみ生物論113: 視葉の構造と機能

昆虫の網膜はまるで芸術作品のようで、とても遺伝子によって作られたとは思えないくらい精細で美しい構造をしています(図1、参照1の文献より)。水波誠の著書によると、神経解剖学の父といわれるカハールは昆虫の網膜をスケッチして「鳥類や高等哺乳類の網膜などは粗末で、哀れなほど初歩的に見える」と述べたそうです(2)。

その一つの理由は昆虫の体のサイズの小ささにあり、このことによって感覚器や脳神経系のサイズも小さくせざるを得ず、必然的に集積度の高いパーツを作らざるを得なくなったのでしょう。図1のミツバチのように、昆虫は複眼で得られた情報を視葉で処理し、さらに前大脳(中心複合体やキノコ体を含む)に集積して行動を決定します。

A_11


しかし昆虫はあまりにサイズが小さいため、個々の軸索を特定して電極を挿入し、研究を進めて行くには適していませんでした。そこでハートラインらは代わりに、同じ節足動物で複眼を持つカブトガニを材料として研究することにしました。カブトガニは大きい個体だと体長が数十センチにもなり、かつ神経細胞も大型なので、昆虫よりはるかに取り扱いは簡単です(図2)。

カブトガニはカニという名が付いていますが、触角もハサミも持たず、図2のようにクモやサソリに近い節足動物です。一対の複眼の他にいくつかの単眼を持っていますが、ここでの主題は複眼についてです。

A_12


カブトガニの網膜を構成する視神経の軸索は1本1本解剖によって分離識別できたので、それぞれに電極を差し込み、光を照射したあとの反応を測定できました。

それぞれの神経細胞は網膜で受け取った光の強さに応じて、高頻度のパルス(放電)を発生します。複眼の中のある個眼だけに光を当てた場合が図2の上下の図AaloneおよびBalone で、それぞれ1.5秒に53回と46回のパルスを発生しています。ところが両者に光をあてると、Aは43回、Bは35回にそれぞれパルスの頻度が低下しました(3、図3)。

A_13

つまりそれぞれの神経細胞は相互に抑制し合う(mutual inhibition)という性質を持っていました。この抑制作用は一秒当たりのパルスが8~10回以上になると発生し、パルスの頻度が増すほど強くなることがわかりました(3、図4)。

これは生化学におけるフィードバック制御と似ていて、ある反応が過度に進行するのを防ぐのと同じような省エネあるいは安全装置の役割を果たしていると思われます。

A_14


しかし生化学のような溶液中の反応と違って、パルスの場合は固定された位置で発生する現象なので、違った効果も発生します。

例えば仮に細胞が1秒間に10回以上パルスを発生すると抑制作用を発動するとします。図5の中央の赤い細胞は強い光刺激を受けて1秒に10回パルスを発生し、まわりの灰色の細胞はそれよりやや弱い刺激で1秒に8回パルスを発生したとします。

10回パルスを発生した赤い細胞は連結する周囲の細胞に抑制作用を発動し、8回パルスの灰色細胞は抑制作用を発動しません。そうすると赤細胞の周辺にある灰色細胞が抑制作用を受けてパルスの回数を減らすことになります。仮に6回に低下したとすると、10:8だったコントラストが10:6になり、中央の赤細胞の信号が際立って明瞭になるという結果になります。

もちろん実際には関わる細胞も多数となり、こんなに簡単な話ではありませんが、ハートラインらは数式で結果を表現していて(3)、それは現在でも正しいとされています。

A_15


つまり網膜に軸索を延ばす細胞は、まるでフォトショップによる画像補正のようなことをやっていることになります。これがまさに視葉という脳のパーツがやっている仕事のひとつです。このような現象を解明したことなどの功績を讃えられ、ハートラインは1967年度のノーベル生理学医学賞を受賞しました(3)。カブトガニを使った実験の方法については、ビデオによる解説もあります(4)。

昆虫の視葉は冒頭に記したカハールの言葉のように、神経細胞が整然と並べられた美しい構造になっています(5)。志賀向子氏のルリキンバエ網膜・視葉のプレパラートが素晴らしく、感動してしまいました(図6)。図6のように視葉はラミナ・メダラ・ロビュラ・ロビュラプレートの4つの組織で構成されています。情報の流れは網膜→ラミナ→メダラ→ロビュラ・ロビュラプレート→脳の中心部となっています。

A_16

ラミナでは画像の鮮明化を行ない、メダラでは動画の解析を行なうようです。複眼は図7(6、7)の走査電子顕微鏡写真のようにハニカム構造をとっています。ですから隣接する各個眼の情報を時間軸で比較すると、6つの方向のうちどちらに物体が動いたかを知ることができます(2、8)。

メダラではこの他に色彩の情報処理が行なわれるようです(2、8)。ロビュラプレートではより広範囲な動きについて解析し、ロビュラでは物体の構造認識などを行なっているようですが、まだ未知の部分も多いようです。

A_17

複眼の中の個眼を1画素と考えると、ハエは6000画素、ミツバチは4000~5000画素、トンボでもせいぜい2万数千画素で(9)、最近のカメラは1000万画素以上ですから、昆虫の複眼は決して高解像度を誇れるものではありません。しかし人間と違ってたいていの昆虫は飛翔します。たとえばハエは1秒間にその体長の250倍も飛翔するそうです(2)。これは身長1.7mの人に換算すると時速1530kmで音速より早くなります。したがって彼らにとって重要なのは、障害物にぶつからず飛翔すること、捕食者やハエたたきから逃れることなどで、そのためには解像度より動体視力の方が圧倒的に重要です。実際昆虫はピストルの弾が見えるそうです(10)。

私達が車を運転していると、景色は前方から後方へ流れていきますが、足許の道路やまわりの建物は高速で流れていくのに対して、山や空の雲はゆっくりと移動します。ハエのロビュラプレートには個々の物体は認識しないで、このような走行(飛行)中の「景色の流れ」を解析するためのニューロンが約60個あり、色々な方向に転回しながら飛行しても直ちにいわゆるオプティカルフローのパターン認識ができるようです(2)。

ミツバチは様々な図形を認識できることがわかっていますが、興味深いのは人間と同じくカニッツァの3角形(図8)を錯視することです(線が引いてないのに中央に白い逆3角形がみえる)。ファン・ハテレンらのグループは、3角形ではありませんが長方形を使ってミツバチが人と同様な錯視を行なうことを綿密な実験で確かめました(11、図8)。このことは複眼でみているミツバチと単眼でみているヒトが、脳で同じような情報処理を行なっていることを示唆しています。

A_18

参照

1)ミツバチの解剖学 The Anatomy of The Honey Bee
http://honeybeeanatomy.blogspot.com/2012_10_01_archive.html?view=magazine

2)水波誠「昆虫-驚異の微小脳」中公新書1860(2006)

3)Haldan Keffer Hartline, Visual receptors and retinal interaction
Nobel Lecture, December 12, 1967
https://www.nobelprize.org/prizes/medicine/1967/hartline/lecture/

4)https://www.jove.com/video/1384/?language=Japanese

5)志賀向子 ルリキンバエの視葉 Optic Lobe
https://invbrain.neuroinf.jp/modules/htmldocs/IVBPF/Fly/Fly_optic_lobe.html?ml_lang=ja

6)テクネックス タイニーカフェテラス
http://www.technex.co.jp/tinycafe/discovery44_05.html

7)タイニーカフェテラスのホームページ
http://www.technex.co.jp/tinycafe/

8)無脊椎動物脳プラットフォーム  視葉 Optic lobe
https://invbrain.neuroinf.jp/static/moth/optic_lobe.html
https://invbrain.neuroinf.jp/modules/htmldocs/IVBPF/General/optic_lobe.html

9)松縄正彦 Markの部屋
http://markpine.blog95.fc2.com/blog-entry-92.html

10)東工大 Science Techno
https://www.t-scitech.net/history/kitchen/goki/page03.htm

11)J. H. van Hateren, M. V. Srinivasan and P. B. Wait,  "Pattern recognition in bees: orientation discrimination,"  Journal of Comparative Physiology vol. 167 (5) : pp. 649-654 (1990)
https://core.ac.uk/download/pdf/12926215.pdf

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2018年9月10日 (月)

やぶにらみ生物論112: 背と腹

私達が所属する脊椎動物などの後口動物(deuterostome)では中枢神経系が背側にあるのに対して、昆虫などの前口動物(protostome)では中枢神経系が腹側にあります(図1)。

A_8


この相違について、19世紀にフランスでジョルジュ・キュヴィエとジョフロワ・サンティレール(図2)の論争があり、キュヴィエは両者のボディープランが根本的に異なるとしたのに対して、ジョフロワは裏返っただけで両者は同じボディープランだと主張しました。この論争は西欧ではかなり有名らしく、私は未読ですが本まで出版されています(1)。キュヴィエが優勢だったようですが、ゲーテは持論の「Urform=原型」からすべての動物が生まれたという思想からジョフロワを支持しました。図1の上段の図はある種のUrformです。

A_9

この論争に決着をつけたのは、あの自殺した理研の笹井芳樹らでした(2)。デ・ロバーティスと笹井(図3)はマウスとショウジョウバエという系統的にかけ離れた種において、ボディープランを決定する遺伝子、特に前後軸を決定するHox遺伝子クラスターや背腹軸を決定するSog/Dpp遺伝子に共通点が多いことから、これらは進化的に保存されたものであるとし、後口動物と前口動物の共通祖先としてウルバイラテリア(urbilateria)を想定しました(2、3、図1-左右相称動物の基本型)。キュヴィエ-ジョフロワ論争から言えば、彼らはジョフロワの亡霊をよみがえらせたというわけです。

A_10

彼らのグループは実際にショウジョウバエとアフリカツメガエルのSogとChordinのmRNAには互換性があることなどを実験的に確認しています(4)。口と肛門が同じ扁形動物に所属するプラナリアが脳を持つことを考えると、ウルバイラテリアがすでに中枢神経系を保持しており、後口動物または前口動物が分岐したときに位置がひっくりかえったということは納得できる説明だと思います。

動物が初期発生の頃、基本的な形態形成を行なうための場を形成する分子群は数百以上あるでしょうが、なかでも重要な役割を果たしているのはBMPとその関連因子です。Sog、Chordin、Dpp、BMP4などもその中に含まれています。

BMPを最初に見つけたのはカリフォルニア大学の整形外科医だった Marshall R. Urist (5、図3)で1965年のことでした。もともとは骨の増殖促進因子として発見されたので、bone morphogenetic protein などという名前がつけられましたが、実はこの因子は生理的には骨形成と直接の関係はなく、もっと広汎な作用を持つ因子だということが後に判明しました(6)。

BMPには多くの分子種がありますが、いずれもTGF-βスーパーファミリーに属する分子であり、BMPという名前が付いていなくても関連する分子もあります。このブログでも以前にリストを提供しています(7、図4に再掲)。またBMPをリガンドとする情報伝達系についても若干の記述を行ないました(7)。

A_11

図1または図5でわかるように、基本型からみると後口動物はそのまま中枢神経と消化管の位置関係を保存しており、一方前口動物ではそれらが頭部近傍の1ヶ所でクロスしていることがわかります。すなわち後口動物こそが伝統的なボディープランを維持しており、前口動物は変異体から発展したグループであるという考え方がわかりやすいと思います。

図5をみると節足動物のSOGと脊椎動物のChordinはホモログであり、いずれも中枢神経を誘導する機能に互換性があることが証明されています(4)。ただ初期発生の頃に、節足動物のSOGは腹部に発現し、脊椎動物のChordinは背部に発現するという違いがあります。この発現位置を決める遺伝子の変異によって、位置が逆転したと思われます。このほかに腹背の特徴を制御するDPPとそのホモログBMP4の発現位置も節足動物と脊椎動物では逆転しています(図5)。

A_12


Chordinはシュペーマンとマンゴルトのオーガナイザー(https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC2464568/)の分子的実体だと注目されましたが、それが本当かどうかは微妙です。初期発生における3軸(前後・腹背・左右)の決定には3次元的に多数の因子が関わっており、人間の知能ではごくおおざっぱにしか把握できなのではないかと思われます。おそらくスーパーコンピュータに数値を入れると、答えが返ってくるというような課題ではないでしょうか。

それはそれとして、Chordinの作用機構についてはかなり解明されているようです。Chordinは分子量約12万ダルトンのかなり大きめのタンパク質で、分子内に4つのシステインリッチドメインを持っていることが特徴です(8、図6)。

ChordinはTsgというタンパク質と結合しているBMPをトラップし、本来細胞膜のBMP受容体に結合すべきBMPを隔離するという作用を持っています。つまりChordin自体が背側誘導のカスケードを起動するのではなく、BMPが起動する腹側誘導カスケードを阻害することによって、結果的に背側を誘導するということです(9)。

A_13

BMPは様々な形態形成過程で重要な役割を果たすので、いつまでもトラップされていては困ります。BMPをChordinから解放するために、Tolloid というメタロプロテアーゼが用意されています。このタンパク質分解酵素はChordinを切断してBMPを解放します(図6、図7)。

ここでCrossveinless2というタンパク質が興味深い役割を果たします。これがないとショウジョウバエの翅脈がうまくできないというのが名前の由来です。このタンパク質は細胞膜から突き出した糖鎖に結合しており、システインリッチドメインを介してChordin-BMP-Tsg複合体に結合します(10、図7 のピンクで記してある cystein rich domein と CR1)。

したがってCrossveinless2を特定領域に密集させておけば、Chordinが分解されたときに高濃度のBMPが放出されて、効率よくBMPカスケード(BMP→BMP受容体→Smad複合体→転写)を起動できることになります(10)。

A_14

前にも述べたように、腹背軸の決定などの初期発生における3軸決定には多くの因子がからんでいるので、上記のような単純な理論はひとつの切り口に過ぎず、他の側面からも見る必要があります。

たとえば三品はBMPシグナルとFGFシグナルが競合的に働くことで中胚葉誘導時の中胚葉の背腹パターンを制御しているというモデルを提唱しています(6)。


参照

1)Tobey A. Appel, The Cuvier-Geoffroy Debate. French Biology in the Decades Before Darwin., Oxford University Press (1987)
https://global.oup.com/academic/product/the-cuvier-geoffroy-debate-9780195041385?cc=jp&lang=en&

2)De Robertis EM, Sasai Y.,  A common plan for dorsoventral patterning in Bilateria. Nature 380: 37–40. (1996)
https://www.nature.com/articles/380037a0

3)秋山(小田)康子、小田広樹: なぜ今、クモなのか?胚発生が描く進化の道すじ、生命誌ジャーナル 2004年秋号
http://www.brh.co.jp/seimeishi/journal/042/research_21.html

4)Scott A. Holley, P. David Jackson, Yoshiki Sasai, Bin Lu,  Eddy M. De Robertis, F. Michael Hoffman, Edwin L. Ferguson., A conserved system for dorsal-ventral patterning in insects and vertebrates involving sog and chordin. Nature volume 376, pages 249–253 (1995)
http://www.nature.com/articles/376249a0

5)Marshall R. Urist, Bone: Formation by Autoinduction., Science, Vol. 150, Issue 3698, pp. 893-899 (1965) DOI: 10.1126/science.150.3698.893
http://science.sciencemag.org/content/150/3698/893

6)三品 裕司 BMPシグナルの多彩な機能——初期発生から骨格形成まで Journal of Japanese Biochemical Society vol. 89(3):  pp. 400-413 (2017) doi:10.14952/SEIKAGAKU.2017.890400
https://seikagaku.jbsoc.or.jp/10.14952/SEIKAGAKU.2017.890400/data/index.html

7)初期発生と情報伝達1
http://morph.way-nifty.com/lecture/2018/01/post-8af9.html
http://morph.way-nifty.com/grey/2018/01/post-4d71.html

8)Juan Larraín, Daniel Bachiller, Bin Lu, Eric Agius, Stefano Piccolo, and E. M. De Robertis., BMP-binding modules in chordin: a model for signalling regulation in the extracellular space., Development. vol. 127(4):  pp. 821–830 (2000)
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC2280033/

9)The chordin page.
http://www.hhmi.ucla.edu/derobertis/EDR_MS/chd_page/chordin.html

10)Catharine A. Conley, Ross Silburn, Matthew A. Singer, Amy Ralston, Dan Rohwer-Nutter, David J. Olson, William Gelbart and Seth S. Blair1, Crossveinless 2 contains cysteine-rich domains and is required for high levels of BMP-like activity during the formation of the cross veins in Drosophila., Development, vol. 127, pp. 3947-3959 (2000)
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/10952893

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2018年8月29日 (水)

やぶにらみ生物論111: 体節形成と進化

原始的な生物で口と肛門がおなじという場合もありますが、口と肛門が別個にある動物は、前後については対称形にはなれません。前は口で後ろは肛門です。左右や上下は対称形になることができます。

さまざまな動物門の基本型はカンブリア紀の初期またはそれ以前に形成されていたと考えられますが、カンブリア紀に食うか食われるかの捕食ヒエラルキーがはじまると、頂点に君臨する動物以外は、守るか、逃げるか、隠れるか、強い繁殖力をもつか、など生き残るための特別なストラテジーを必要としました。そのためにさまざまな形態的バリエーションが生み出されました。

守るために上下の対称性を放棄して、背中に棘をつけたり甲羅をつけたりする者が現われましたし、逃げるには上手に高速で泳ぐ必要があります。海底の様々な地形に対応して隠れるには脚が便利かもしれません。

ここでひとつ見逃してならないのは体節が形成されたことです。頭と肛門の部分はそれぞれ別仕立てになるのは仕方ありませんが、中間部分は消化管と神経を通せば良いだけなので、同じ構造をリピートさせて体長を伸ばすというのは一つのアイデアです。

長い体は、かみ切ることができない生物のエサにはなりにくく、また体が小さい生物のエサにもなりにくいという利点があります。岩陰の迷路を進むこともできます。ただそうは言っても体節形成がカンブリア紀における弱肉強食社会への対応の結果かというと、それは必ずしも正しくないような気もします。

体節という構造を採用した動物門(黒字)と、採用しなかった(または放棄した)動物門(赤字)を図1に示しました。

A_15


体節を採用しなかった(または放棄した)生物群の代表は軟体動物です。体節を採用するしないは知能の高低とは無関係です。軟体動物の中でも貝類は自前のシェルターに隠れて生活するという道を選んだので、高度な知能は必要としませんでしたが、自由生活を選んだ頭足類などは高度な知能を発達させました。

体節形成はB点で起こったと考えるのは可能です。線形動物は体節を持ちませんが、いったん獲得した形質を失うのはひとつの遺伝子変異でも可能なので、不思議なことではありません。ただそれならA点で起こったという考えも成り立ちます。実際軟体動物の中でもヒザラガイ(多板綱)のグループは体節を思わせる背板をもっています(2)

私達脊索動物も、後に述べるように体節構造を持っています。これはC点で獲得したものなのでしょうか? 脊索動物はすでにミロクンミンギアやピカイアなどがカンブリア紀から存在していました(1)。したがって体節形成の基本様式はすでにA点で完成しており、以後の体節を持たないすべての生物群は、遺伝子変異などでその機構をうしなった結果と考えることも可能でしょう。

扁形動物はA点直前に分岐したのではないでしょうか。プラナリア(扁形動物)の神経系を腹側から見せた免疫染色の写真を阿形氏がアップしていますが(3、図2)、これをみると筋肉や皮膚が体節化する前に、神経がある意味体節化している状況がよくわかります。見た目環形動物の神経系より「はしご状神経系」というネーミングがふさわしいように思われます(図2)。これは単なる想像ですが、神経系をはしご状に構築した遺伝情報が、体節形成の契機になったのではないかと想像させられます。

環形動物では体節ごとに神経節が形成され、体節ごとに付属する脚などの動きや感覚を統御する役割を果たしています。そしてそのような機構は節足動物にも引き継がれています(図2)。

A_16

私達が所属する脊索動物門と、イカ・タコ・貝類が所属する軟体動物門は非常に離れた分類群で、どちらも5億年以上前のカンブリア紀から存在しています。脊椎動物にも匹敵するような高度な知能を持つ頭足類(イカ・タコなど)も、はやくもカンブリア紀に棲息していたとされています(5、6、図3)。この古代の頭足類はネクトカリスという生物で、何しろ名前が「泳ぐエビ」という意味ですから、当初節足動物だと誤認されていたくらい原始エビ的な風貌です。この生物に体節がある(5)とすると、図1のA点で体節が形成されたという説が信憑性を帯びてきます。

図3のネクトカリスは現在の頭足類と同様漏斗(ジェット水流を任意の方向に噴き出して推進力とする)をもち、頭に2本の足が生えています。貝殻はもっていないようです。これは頭足類の研究者にとっては驚きでした。もともとは原始的頭足類がもっていた貝殻が退化して、現在のイカ・タコとなったと考えられていたからです。

現在でも痕跡的な貝殻を持つイカがいます(7)。英語では貝殻を持つイカは cuttlefish、 持たないイカは squid です。私的には、貝殻もさることながら、ネクトカリスに体節の痕跡があるかどうかに興味があります。

A_17

頭足類の脳は昆虫の脳と同様、部分的には私達の脳よりすぐれているところがありそうです。タコの脳神経系には5億2千万個の神経細胞があると報告されています(8)。ジョン・ヤングによって描かれたタコ脳のスケッチ(9、図4)をみると、視葉が著しく大きく(細胞数6千5百万x2)、脳本体(細胞数4千万)をはるかに凌駕しています。さらに特徴的なのはこれらを足しても1億7千万で、残りの3億5千万個の神経細胞は末梢に存在することです(9)。

ブデルマンによると、これは足と吸盤を操作するためとのことです(9)。確かに8本の足を整合性を持って動かすというのは私達人間には想像を絶する複雑な行為です。

単に本数が多いというだけでなく、彼らには骨や関節がありません。私達の腕や足には骨と関節があるので、動きはデジタル的となり、タコに言わせれば驚くほど単純な動きしかできません。たこの足は任意の位置で曲げられますし、ヒモのように何かに巻きつけることもできます。吸盤を個別に機能させることもできます。彼らはこのような複雑な動きを、各足の神経節で独自に判断して実行することもできますし、脳による統制のもとで、すべての足を協調させて泳ぐなどの行動もできます(10、11)。

A_18


タコに利き腕・利き足があるという話まであります(12)。ヒトや馬は手(前足)が右利きなら足(後ろ足)も右利きのようですが、タコはいったいどういうことになっているのでしょうか?

ちょっと寄り道が長くなりましたので、元の体節の話に戻りましょう。体節形成の分子機構についてはマウスでかなり研究が進んでいて、FGF、Mesp2、Notch、Tbx6などの制御因子がみつかっていますが、まだまだ教科書に記述するにはほど遠い感じがします(13)。

体節形成が生物にとって本当に重要であるかどうかはわかりません。現にタコやイカに体節はありませんし、私達の体も見かけ上は体節はなく、退化途上にあるのかもしれません。ただ環形動物・節足動物・脊索動物などの共通の祖先が体節を発明して、それを今生きている様々な生物がさまざまな形で引き継いでいるのでしょう。なかでも基本型をそのままに近い形で引き継いでいると思われるのがゴカイとムカデです(図5)。

図5は tree of life web project のものです (14)。ゴカイの図をみていただきますと体節は尾節から発生し、古い体節の順に前に押し出されます。ですから頭部に一番近い体節は、発生の過程で早期に形成されたことになります(図5)。

ただ頭部近傍には尾節から形成されたものではない体節らしき構造があり(赤で示した部分)、これは頭部から独自に形成されたものと思われます。ムカデも体節はそれぞれワンペアの足をもつ構造の繰り返しで基本型ですが、頭部は複雑に分化していることがわかります(図5)。

A_19

ヤスデにもムカデと同様明瞭な体節がみられますが、重要な違いがあります。それは一つの体節に2ペアの脚が生えていることです(図6)。これはふたつの体節が進化の過程で融合したためと考えられています(15)。

ヤスデは脱皮する度に体節が増えて体調が長くなります。図6のヤスデは脚が618本もありますが、どうしてこんなに体長が長くなるのかがわかりません。途中で切れてしまったらプラナリアのように再生するのかというと、それはできないようです。この様な奇妙な生物ですが、ヤスデは落ち葉を食べて栄養豊富な土壌をつくる役割をはたしているので、生態系のなかでは重要な生物です。

ヤスデの形態を詳しく見ていくと、実は頭部に続く3つの体節では脚がワンペアだということがわかります(図6)。昆虫の場合、頭部に続く3つの体節は胸部という特殊な構造になるわけですが、ヤスデの場合と関係があるかどうかはわかりません。ヤスデやムカデが属する多足類の生物は、昆虫に先立ってシルル紀には棲息していたと考えられています。

A_20

図7は「MASA ラボ---鸚鵡(オウム)の会議は白昼夢」から引用させていただきました(16)。扁形動物が分岐して以降、動物は体節を獲得し、その基本型となる図7左図1番上のようなシンプルなボディプランの生物から、さまざまな生物が派生してきたと考えられますが、昆虫は進化の過程で最前部から数個の体節が特殊な分化を行なって、触角、眼、顎、中枢神経系などを形成しました。さらに脚は頭部の後方3体節(胸部)で計6本のみで、腹部の脚は退化しました(図7)。このあたりの事情は前稿トビムシのところで記しました(19)。

さらに革命的だったのは、頭部に続く3つの体節から羽が生えたということです(17、18、図7)。昆虫はデボン紀には誕生していましたが、羽のある昆虫がみられるようになったのは次の石炭紀です(20、図7)。

A_21

石炭紀の中期には羽が4枚の、現在とほとんど同じ形態の昆虫が出現しました(図8)。当時は酸素濃度が高く、血管系を持たない昆虫にとっては住みやすい時代でした。図8のメガネウラ(オオトンボ)などの仲間には、翼開長70センチメートル前後の史上最大の昆虫の化石もみつかっています(21)。

ウィキペディアによると「これら原蜻蛉目のトンボは、その原始的な翅の構造(翅脈も単純である)から、現生トンボ類に見られるようなホバリングの能力はなく、翅を時折はばたかせながら滑空していたと考えられる」だそうです。

A_22


脊索動物あるいは後口動物の体節形成の歴史は謎です。なにしろピカイアはカンブリア紀にすでに繁栄していたのですから、それ以前が問題ということになって、今のところ雲をつかむようなお話です。

脊索動物の体節は、脊索に沿って両側にある中胚葉が分節して発生します(22)。現在の知識では、すべての体節形成はクロックアンドウェイヴフロント (clock and wavefront)
理論によって説明できることになっています(23-25)。とはいえ関与する因子は生物によって異なるので、多くの生物でそれらを調べることによって体節形成の進化も明らかになってくると思われます。

いずれにしても、脊索動物にとっても各体節から神経が決まった臓器や組織に連絡していることから、脳神経系にとって体節はきわめて重要な意味を持つことに変わりはありません(図9)。このことはいずれ後に、別の記事で取り扱うことになると思います。

A_23

脊椎動物は体節形成でひとつの新機軸を生み出しました。それは体節中胚葉が真皮と筋肉以外に、硬節から脊椎骨を形成して、神経を被覆することによって脊椎と脊髄を生み出したことです(26、図10)。このことは、脊椎動物がそのはじまりから食うか食われるかの生存闘争に明け暮れた生活を送っていた-すなわち肉は切らせても中枢神経系は守りたい-ことを示唆するのではないでしょうか?

A_24

参照

1)https://en.wikipedia.org/wiki/Myllokunmingia

2)https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A4%9A%E6%9D%BF%E7%B6%B1

3)http://www.jsdb.jp/leaders/post-15.html

4)日本大百科全書(ニッポニカ) 集中神経系

5)https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%8D%E3%82%AF%E3%83%88%E3%82%AB%E3%83%AA%E3%82%B9

6)Smith, M. R. and Caron, J. B., Primitive soft-bodied cephalopods from the Cambrian., Nature vol. 465 (7297): pp. 469–472. (2010)
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/20505727?dopt=Abstract

7)https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A4%E3%82%AB%E3%81%AE%E9%AA%A8

8)Young. J.Z. (1963) The number and sizes of nerve cells in Octopus. Proc. Zool. Soc. London, vol. 140: pp. 229 -254.

9)Budelmann, B.U., The cephalopod nervous system: What evolution has made of the molluscan design., The Nervous Systems of Invertebrates. An Evolutionary and Comparenve Approach, Birkhauser Verlag Basel/Swuzertand (1995)
https://www.researchgate.net/profile/Bernd_Budelmann/publication/270052369_The_cephalopod_nervous_system_What_evolution_has_made_of_the_molluscan_design/links/5a2d935145851552ae7eec3d/The-cephalopod-nervous-system-What-evolution-has-made-of-the-molluscan-design.pdf

10)タコの心臓は3つ!脳みそは9つ!ハイスペックなタコの生体に迫る
https://macaro-ni.jp/34925

11)「海の賢者たこ」 心臓は3つ。脳は9つの超生命体だった!
https://matome.naver.jp/odai/2139056755492819601

12)タコの足、実は8本じゃなくて腕が6本で足が2本
http://digimaga.net/2008/08/octopuss-foot-is-two-the-remainder-is-an-arm

13)国立遺伝学研究所 発生工学研究室 体節形成に関する研究
http://www.mmd-lab.net/research/research02.html

14)Tree of life web project
http://tolweb.org/tree/phylogeny.html

15)https://en.wikipedia.org/wiki/Millipede

16)MASA ラボ---鸚鵡(オウム)の会議は白昼夢
https://plaza.rakuten.co.jp/nakabisya/diary/?ctgy=4

17)Evolution of Insects in terms of the Implicate and Explicate Orders.  Evolution of the flight-function in insects. Part VI.
http://www.metafysica.nl/wings/wings_6.html

18)Palaeodictyoptera
https://en.wikipedia.org/wiki/Palaeodictyoptera

19)渋めのダージリンはいかが: トビムシ
http://morph.way-nifty.com/lecture/2018/08/post-72a8.html
http://morph.way-nifty.com/grey/2018/08/post-d5d4.html

20)デボン紀
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%87%E3%83%9C%E3%83%B3%E7%B4%80

21)メガネウラ Meganeura
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A1%E3%82%AC%E3%83%8D%E3%82%A6%E3%83%A9

22)体節
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BD%93%E7%AF%80_(%E8%84%8A%E6%A4%8E%E5%8B%95%E7%89%A9)

23)J. Cooke and E. C. Zeeman, A clock and wave-front model for control of the number of repeated structures during animal morphogenesis. J. theor. Biol., vol.58, pp. 455–476. (1976)
https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0022519376801312
https://pdfs.semanticscholar.org/fed2/243c0ca8faad67d99c5b8e4e128bbfe59196.pdf

24)二反田康秀 体節形成過程における遺伝子発現振動を利用したパターン形成のメカニズム(URLから直行できないので、タイトルで検索して下さい)
https://library.naist.jp/mylimedio/dllimedio/showpdf2.cgi/DLPDFR010645_P1-80

25)小田広樹ら 脊索動物と節足動物の共通祖先を理解する
https://www.brh.co.jp/research/lab04/activity/07.html

26)理科年表オフィシャルサイト 体節のできかた
https://www.rikanenpyo.jp/FAQ/seibutsu/faq_sei_006.html

| | コメント (0) | トラックバック (0)

より以前の記事一覧