カテゴリー「美容・コスメ」の記事

2009年1月28日 (水)

しわをのばす幹細胞

1 脂肪組織に由来する幹細胞ADSC(adipose-derived stem cells)は様々なサイトカインを分泌し、真皮の繊維芽細胞を刺激してコラーゲンの産生を促す作用を持っています。W-S Kim 博士らはこの細胞を培養し、紫外線で皮膚にシワが出来た無毛マウス(毛があると紫外線のダメージが防御される)の皮下に注入するという実験を行いました。

その結果、細胞を注入したマウスの皮膚のシワが目立たなくなることを見いだしました。コラーゲンの分泌が促進される他、繊維芽細胞の増殖も促進されるようです。当然皮膚の厚みも増加します。顕著な実験結果だと思いますが、著者らは注入した細胞の生存を2週間しか追跡していないので、どのくらい効率的な治療に結びつくのかはわかりません。もし長期間効果が持続するなら、紫外線被爆のみならず、老化による皮膚の見栄えの悪化も改善できると思われ、期待は大きくなりそうです。

写真はこの仕事と直接の関係はありませんが、脂肪細胞の電子顕微鏡写真です。成熟した脂肪細胞は巨大な脂肪滴を含み、細胞質はそのまわりに遠慮がちに(薄皮のような感じで)あります。この様な細胞が集合して脂肪組織を形成します。

Won-Serk Kim et al: Antiwrinkle effect of adipose-derived stem cell: Activation of dermal fibroblast by secretory factors. J. Dermatol. Sci. 53, 96-102 (2009)

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2008年12月30日 (火)

ダイエットと寿命

1 マウスやラットでは食餌制限を行うと、寿命がのびる事が知られています。今年になって京都大学で線虫でもダイエットすると寿命が延びることが明らかになって、新聞で報道されました。

http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/3958810
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/8409187?ordinalpos=1&itool=EntrezSystem2.PEntrez.Pubmed.Pubmed_ResultsPanel.Pubmed_DiscoveryPanel.Pubmed_Discovery_RA&linkpos=5&log$=relatedreviews&logdbfrom=pubmed
http://news.goo.ne.jp/article/kyodo/life/health/CO2008121501000391.html

しかしここで注意しないといけないのは、実験動物のマウスやラットを飼育するときは、彼らに必要な栄養成分がバランスよく配合されている飼料が使われているということです。

人がダイエットすると、必要な栄養素が極端に足りなくなるおそれがあります。例えば各種ビタミン、ミネラル(ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、鉄、亜鉛、コバルト、クロム、マンガン、セレン、モリブデン etc.)などは食べ物によって偏って含まれている可能性が高く、必要量を確保するだけ食物を食べてしまうと、他の栄養素(炭水化物など)を過剰に摂取することになってしまう(当然肥満におちいる)かもしれません。

平安時代には平均寿命が20歳代だったと言われています。この短寿命の要因の第一は疫病だと思われますが、栄養の問題もあったのでしょう。
http://www.taishitsu.or.jp/aging/aging6.html

源氏物語の中で、光源氏は40才になって「老人になってしまった・・・」と言っていますが、現在と比べると自然な老化もかなり早かったのでしょう。当時の貴族階級でも、食事は粗末なもので、ご飯・干物・豆・野菜くらいと考えられています。現代に比べて早い老化の進行は、栄養不足も大きな要因だったのでしょう。

したがって、マウスやラットでダイエットが寿命をのばすからといって、人でも同様だろうというのは怪しい推測です。特に偏った食事をしている人が、そのまま食事の量を減らすと、栄養失調に陥る可能性は高いです。もちろん肥満がいろいろな疾病につながることも事実なので、どの辺で妥協するかというのは微妙な問題です。少なくともその人の食生活や体質によって、どのくらいの体重が適切であるかは異なるでしょう。胴回りが何センチ以上がメタボリックシンドロームだなどと一律に規定するのは暴論です。

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2008年7月16日 (水)

肥満と脂肪細胞の数の関係

1_2 太るとかやせるとかいうのは、脂肪細胞に脂肪がたまるかどうかによるのであって、脂肪細胞の数が増えたり減ったりするためではないというのが、これまでの常識であり、確かにそうなのです。

(図は電子顕微鏡による脂肪細胞の断面図 右半分が脂肪滴、その左の狭い領域に核やミトコンドリアが見える)

ところがスポルディング博士らスエーデン・カロリンスカ研究所のグループが、数百人の人について調査をしたところ、太った人のグループとやせた人のグループを比較すると、太った人のグループは、20才くらいまでにやせた人のグループの倍くらいの数の脂肪細胞をつくり、その数はずっと年取るまで維持されることがわかりました。

また肥満の治療で胃を小さくする手術をした人について調べてみると、手術によって体重が減少した場合も、脂肪細胞の数は減っていないことがわかりました。

つまり個々の人について言えば、太るやせるは細胞の数の増減ではないのですが、太っている人はもともと脂肪細胞の数が多いということがわかったわけです。

さらに彼らは地上で核実験していた頃に人のDNAに蓄積していた炭素の放射性同位元素14Cの量を調べました。14Cは地上での核実験が禁止されるとたちまち宇宙への拡散や海への吸収でほとんど消滅しました。もしその頃の脂肪細胞がそのまま年取っても残っていたとすれば、当時と同じ量の同位元素が検出されますし、同位元素が次第に減っていったとすると、細胞の数には変わりがないわけですから、一部の細胞が死に、一部の細胞が分裂して増えたということになります。計算すると一年で10%くらいの細胞が入れ替わっているという結果が出ました。

したがって肥満を防ぐには、子供の頃に脂肪細胞が増えるのを阻止すればいいわけです。そんなうまい方法が見つかるかどうかは疑問ですが、とりあえず大人になってからじゃ間に合わないのが残念。

研究の結果、脂肪細胞は結構しぶとく生き残っているんだなと思いました。8年経っても半分は生き残っている計算になります。さらにその数は成人になってからはかなり厳密に制御されているというのも驚きです。子供の頃には脂肪細胞はどんどん増えるので、この制御機構は成人になってはじめて機能するものです。

参照:KL Spalding et al:Dynamics of fat cell turnover in humans. Nature 453, 783-787 (2008)

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2008年4月 8日 (火)

エリスロポエチンと毛髪

1エリスロポエチンは赤血球の製造をうながすホルモンで腎臓でつくられます。したがって腎臓の機能が低下するとエリスロポエチンの生産が低下し、貧血になります。現在ではこの種の貧血の治療のため遺伝子工学でつくられたエリスロポエチンが、医薬品として製造・販売されています。

マラソン選手が高地でトレーニングすると、低酸素状態を体が感知してエリスロポエチンを増産し、赤血球をたくさん作ろうとします。こうして血液中の赤血球の数を増やし、そのまま低地におりてきて赤血球が減る前にマラソン大会に出ると、他の人より赤血球の数が多いので酸素供給が楽になり、良い成績が期待できます。まあ一種の合法的なドーピングのようなものです。ただ気をつけないといけないのは、血球が増えるので血液の容量が増えて血圧が上がるという副作用があります。

最近低酸素状態にすると、腎臓だけでなく毛(毛包)でエリスロポエチンがつくられることが分かりました。そればかりか毛はエリスロポエチン受容体もつくることができて、自分自身で増殖の制御ができるようです。放射線治療で頭髪が抜けてしまったようなときに、エリスロポエチン投与が有効かもしれません。将来皮膚に塗布してエリスロポエチン受容体を活性化するような医薬品ができれば、有力な増毛剤になるかもしれません。

私事ですが、昔エリスロポエチンを使って仕事をしていたことがあるので、不思議な縁があるなあと思いました。

文献:Human hair follicles are an extrarenal source and a nonhematopoietic target of erythropoietin
Bodo, E., Kromminga, A., Funk, W., Laugsch, M., Duske, U., Jelkmann, W., Paus, R. 2007 FASEB Journal, 21 (12) pp. 3346-3354.

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2008年1月17日 (木)

カーリーヘヤーの毛根

Photo カーリーヘヤーは主にアフリカ系黒人の毛髪の特徴ですが、これは毛シャフトの角質化が非対称におこることが原因であると思っていました。そのような論文を読んだことがあります。

少し前になりますが(その後めざましい進展はありません)、フランスの化粧品会社ロレアルの研究者達がこの問題にまじめに取り組み、カーリーヘヤーの毛根は意外にも深部から非対称で、外毛根鞘や真皮性毛根鞘(結合組織性毛包)は明らかに凹側が分厚いことを示しました。対照に用いた白人の直毛ではこのような非対称性は認められませんでした。

さらに毛球上部凸側のA地点ではまだ細胞が増殖しているのに、凹側のB地点でははやくも増殖を停止し、分化(角質化)の方向に向かっていると、彼らは述べています(図を参照してください)。ケラチンや Ki-67 などの抗体を使って検討した結果であり、面白い結果だと思います。つまり凹側の方が、さまざまな分化に関連した遺伝子の発現が早めにおこるというわけです。

ただ直毛の場合でも毛根は傾斜していることがままあり、そのような例について記載がないのは物足りない感じがします。さらなる研究の発展を期待します。個人的に特に関心があったのは、α-平滑筋アクチンの分布ですが(外毛根鞘にもある)、これはちょっと専門的すぎるのでここでははしょります。

文献:S.Thibaut et al: Human hair shape is programmed from the bulb. Brit. J. Dermatol. 152, pp.632-638 (2005)

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2007年7月12日 (木)

タウリンと毛髪

Taurineタウリンというのは昔からリポビタンDに入っていたので、よく知っているという方も多いでしょう。ちなみにリポビタンDは1962年から現在まで販売されていて、博物館まであります。

http://www.taisho.co.jp/lipod/

Photo_174 最初は19世紀に牛の胆汁から発見されたそうで、牛=タウロス(ミノタウロスはミノス王の牛という意味)にちなんで命名されたようです。タウリンは魚介類に多く含まれており、イカをするめにしたときにみられる白い粉の主成分だそうです。

図はミノタウロスを刺殺するテーセウス(ウィキペディアより)。

普通アミノ酸はアミノとカルボン酸を含みますが、構造式からわかるようにタウリンは変わっていて、アミノとスルホン酸を含みます。プロリンのようにアミノ基を含まなくてもアミノ酸といっている化合物すらあるので、タウリンもアミノ酸といっていいわけですが、通常のアミノ酸と違うのは、タウリンはタンパク質の構成成分ではないということです。

タウリンは胆汁の中に結構多量に含まれていて、胆汁酸と協力して脂肪の乳化を行い、消化を助ける役目を果たしています。そのほかに血圧を下げるとか、筋肉や肝臓の活動を促進するとか、ある種のビタミンのような役割を果たしています。

ヒトやネズミはタウリンを自分で合成できますが、ネコは合成できません。長年肉食を続けていると、ほとんど自分と同じアミノ酸組成を持つエサなので、アミノ酸合成をする必要が少なくなり、アミノ酸合成をささえる酵素の遺伝子がつぶれても平気なので退化が進みます。植物は動物とはかなりアミノ酸の組成が異なっているので、草食動物は自分に必要なアミノ酸をつくる必要があります。タウリンが欠乏するとネコの毛づやが悪くなることは知られていますが、ではヒトの毛とタウリンは何か関係があるのでしょうか?

東工大の西教授らは特殊な方法で毛髪の弾性を調べ、ダメージヘヤーで極端に低下した弾性がタウリンによって回復することを発見しました。これはビゲンヘヤカラーでおなじみのホーユーとの共同研究だそうです。

http://www.titech.ac.jp/tokyo-tech-in-the-news/j/archives/2005/07/1120435200.html

すでにタウリンを含むシャンプーが発売されています。

http://www.fivetec.info/productindex.html

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2007年4月25日 (水)

髪の毛が薄くなる(女性の場合)

Touhatsu1 男性の場合、年をとるとハゲになる人がかなりいますが、女性の場合それほど顕著ではありません。しかしやはり加齢にともなって髪の毛は「薄く」なってきます。資生堂の研究グループは100人以上の日本人女性Touhatsu2 の頭髪を研究し、この「薄く」なるということの本質について報告しています。まあこれだけ多数の女性の許可を得て詳しい研究をおこなうというのは、資生堂ならではの成果でしょう。

人の頭髪の場合、通常はひとつの毛穴から2-3本の毛髪がはえていますが(図1)、彼らの研究によると、女性が50才ー60才になると、ひとつの毛穴に1本の毛髪しかない場合が増えるそうです(図2)。これがなんとなく毛が薄くなったなあと感じる最大の要因のようです。

これ以外に40才くらいから、徐々に毛の直径が小さくなったり、伸長速度が低下したり、成長を休止していて毛が伸びないステージにある毛根が増えたりするということも観察されたとのことです。

Tajima et al: Characteristic features of Japanese women's hair with aging and with progressing hair loss. J. Dermatol. Sci. 45, 93-103 (2007)

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2007年3月16日 (金)

白髪と酸化ストレス

153pxhydroquinonesvg色素細胞はチロシンというアミノ酸からメラニンを合成しているわけですが、この過程で活性酸素ができてしまうため、常に酸化ストレスにさらされています。ですから、よく美白剤に含まれているハイドロキノン(図に化学構造を示す)などが上乗せされると、こらえきれずに死滅してしまいます。色素細胞が死滅するわけですから、肌が白くなるわけです。

ハイドロキノンは生体内で還元されてベンズキノンになりますが、これはNADHによって還元されてまたハイドロキノンになるというサイクルができて、そのたびにNADHが消費され、その過程で活性酸素ができてしまいます。これは基本的にメラニンができる途中のドーパキノンについても同じと考えられます。

Ark 博士らは毛包細胞を培養し、ある濃度のハイドロキノンを加えることによって、選択的に色素細胞が死滅することを確認しました。色素細胞は死滅しても、角化する細胞をはじめ他の細胞は元気でした。また白髪の色素細胞の観察なども行った結果から、彼らは白髪の原因が酸化ストレスであると主張しています。

酸化ストレスは紫外線、ハイドロキノンなどの薬剤、炎症、心労などによって増強されます。もちろん遺伝的要因も関与していることは明らかですが、白髪にならないためには酸化ストレスを回避することが重要なのでしょう。

参照: Petra Clara Arck et al: Towards a "free radical theory of graying": melanocyte apoptosis in the aging human hair follicle is an indicator of oxidative stress induced tissue damage. FASEB J. 20, E908-E920 (2006)

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2007年2月 2日 (金)

皮膚の老化を防ぐ

加齢や紫外線による肌の老化は、シワ、タルミ、乾燥化などがその特徴としてあげられますが、コラーゲンやヒアルウロン酸はこれらのすべてに関わっています。

ヒアルウロン酸は表皮の細胞など、コラーゲンは表皮より深い部位にある真皮の細胞で主に合成されています。コラーゲンは繊維性のタンパク質で、肌のハリや弾力を保ち、一方ムコ多糖であるヒアルウロン酸はコラーゲン繊維の間で水分の保持などの役割を果たしています。これらは皮膚そのものの主要な構成因子でもあります。

加齢や紫外線によってこれらを合成する細胞がダメージを受けると、コラーゲンやヒアルウロン酸が十分でない部分ができて、シワやタルミが発生し、また肌が乾燥しやすくなってしまいます。乾燥すると皮膚の弾力や可塑性が失われ、シワができやすくなります。

ヒアルウロン酸やコラーゲンを皮膚に注入するのは有効ですが、高額である上に、数ヶ月で分解されて効果がなくなってきます。他に方法はないのでしょうか? 従来レチノイン酸(ビタミンAからできる)が、肌の老化防止に有効であるとされていて、実験的にも有効なのですが、実際に肌に塗ってみると、痛みを感じたり、腫れたりする場合があるうえに、DNAに変異を与えたり、奇形児を増やすという毒性も報告されています(通常使用する範囲内では、さほど心配する必要はありませんが)。

岡野博士らはレチノイン酸に似たトコフェリルレチノイン酸という化合物が、紫外線によるDNAの損傷を軽減し、ヒアルウロン酸やコラーゲンの合成を高めて、シワを減らす効果があることを報告しています。この化合物は毒性も非常に少ないようです。これから十分に安全性が確認されれば、レチノイン酸にかわってスキンケアに有効なツールになるかもしれません。

参照: Y Okano et al.: Improvement of wrinkles by an all-trans-retinoic acid derivative・・・. J. Dermatol. Sci. 2, supplement 1, s65-s74 (2006)

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2006年9月28日 (木)

色黒のススメ

Img_301388_35443641_0 すでにフロンはモントリオール議定書によって規制されており、日本もこれを批准して規制を進めています。しかしすでに排出されたものを回収することはできないので、当分の間フロンによるオゾン層の破壊を止める手だてはありません。オゾン層の破壊によって、UVBという短波長の紫外線が大量に地上に降り注ぐようになり、これは日焼けや、シミ、そばかす、肌荒れのもとになるばかりでなく、皮膚細胞のDNAを破壊することによって皮膚ガンの発生を増加させる原因となります。特に光線過敏症の人(私も軽い症状ですがその一人です)にとっては深刻な問題です。

生物、特に陸地で生きる生物は昔から紫外線に対抗する手段を開発してきました。皮膚にメラニン色素を集積して紫外線を吸収する、というのもその方法のひとつです。皮膚が大量の紫外線を浴びると、皮膚の細胞がMSHというホルモンを出し、このホルモンの指令をメラノサイト(色素細胞)はMC1Rというセンサーで受け取り、メラニン色素を大量に作り出して皮膚にばらまき、褐色の肌を作って紫外線に対抗するという方式です。もちろん黒人はもともと大量のメラニン色素が肌にあるので、紫外線には強い抵抗力をもっています。一方光過敏症の人の中には、このセンサーが機能不全をおこしている場合が多いと言われています。このような人は紫外線を浴びても褐色の肌にはならず、ダメージだけが残ることになります。

ところで哺乳類は普通体が毛で覆われていますので、紫外線は皮膚を直撃しません。ですから、マウスなどは黒いマウスでも毛が黒いだけで、皮膚へのメラニン蓄積はありませんし、日焼けもしません。ただし耳は毛が少ないので、人と同じように日焼けして黒くなります。ところがマウスにもヒトと同じように、MSHセンサー(レセプター)の機能不全で、光線過敏症になっているミュータントがいます。このようなマウスは紫外線を耳に浴びても、メラニン蓄積はおこらず、ダメージのみが残ります。 D'Orazio 博士らは、このようなミュータントマウスを用いて、光に当たらなくても色黒になれる薬はないかと調べてみました。

そうすると、インドやネパールに自生するシソ科植物のコレウス・フォルスコリなどが含むフォルスコリンというテルペンの1種が、色黒誘導物質であることがわかったと彼らは報告しています。この物質は、脂肪減少に有効ということで、市販のダイエット用タブレットなどにもかなりの量が含まれており(例えば、ハレオ イグナイトなど)、ダイエットしようと思ったら思い切り色黒になってしまったというような人がいるかもしれません。しかし皮膚ガンを防ごうと思ったら色黒にならなきゃいけないわけですから、怪我の功名ともいえるでしょう。ただし色黒目的なら飲むんじゃなくて、肌に塗ったほうがもちろん有効でしょう。

参照: Topical drug rescue strategy and skin protection based on the role of Mc1r in UV-induced tanning. JA D'Orazio et al. Nature 443, pp.340-344 (2006)

写真はルネバンドール佐田野さんの作品です

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