横井庄一著「明日への道 -全報告 グァム島孤独の28年」
日本政府はいよいよTPPという第2の太平洋戦争に打って出ようとしています。これで貧乏人が量産される可能性は高いと思いますが、それ以上にすべてのルールがアメリカ化されて、知らず知らずのうちに日本が消滅するのが残念です。
先日ギリシャの農民のドキュメントが放送されていましたが、ギリシャがEUに加入してから作物が売れなくなり、かわりに政府が補償金をくれるのですが、補償金をもらうために熱心に作物を作る人などはいないわけで、品質はどんどん低下し土地は荒れ果ててしまいました。民主党の松下政経塾グループの政策だと日本もいずれそうなるでしょう。TPPなどに参加する前から、円高になれば日本の主要企業は海外に逃避し、儲かるのは株主と会社経営者だけとなっています。
そんなことを考えていると、なぜかもう亡くなってから10年以上になる横井庄一さんのことを思い出しました。彼は赤紙で招集され、昭和19年(1944年)にグァム島に送り込まれます。グァム島は直後から米軍の標的となり、無茶苦茶な艦砲射撃で日本軍は壊滅。ジャングルに逃れた敗残兵も厳しい掃討作戦で次々と殺害されるなかで、昭和47年(1972年)に発見されるまで、彼は28年間も生き延び日本に帰還したのです。
彼の著書「明日への道」を読むと、彼がどうやって生き延びたかということが詳しく書かれています。特に食べることについては30年前のことも詳細に書かれていて、人間にとって食べるということがどんなに大切なことかわかります。また彼が最後の8年間より前にすごした2人との人間関係も興味深く書かれています。多分横井さんは大変注意深く慎重な人で(だからこそ生き延びられたと思います)、口うるさく頑固に他の二人にも自分の考えを押しつけようとしたのではないでしょうか。ですから他の二人と別居したりくっついたりする結果になったのでしょう。夫婦や友人同士でも、そんな関係の人は多いのでしょう。
TPPに参加しないでさびれた日本になったとしても、水と食料さえあれば人は生きられるのです。TPPに参加して一部に潤う人々がいても、食糧自給率が14%と聞くと、食料を100%自給で生き延びた横井さんがご存命なら、何とコメントされるのでしょう? 横井さんは小川の近くで暮らしていて、エビやウナギを食べ、芋を栽培し、野生植物も利用して生き延びたのです。痛恨だったのは火をつけるためのレンズをある事件でなくしてしまったことで、これがあればもっと楽にグレードの高い生活ができたでしょう。日本人は再び彼の著書を読んで、もっと農業・漁業・食料の生産を重視した生き方に目覚めるべきではないでしょうか。
最後に彼の言葉を引用しておきます・・・<戦争は終わったのか。戦争の責任を国は取り終えたのか。友軍の魂は「そうではない、お前が出て行って是非政府にことの真相を訴えてくれ」と私に告げているのです>。
「明日への道 -全報告 グァム島孤独の28年-」横井庄一著 文藝春秋社刊(1974)
残念ながら絶版のようですが、今のところ中古本は容易に入手可能です。
横井庄一記念館のサイト:http://www.kuronowish.com/~oshika18/newpage201.htm
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