« 2024年10月 | トップページ | 2024年12月 »

2024年11月27日 (水)

Walk down the memory lane 13: The music of Hirota Mieko

Miekohirota1

Hirota Mieko (1947-2020)  from wikimedia commons

Popular music is affected generally by the atmosphere of the era. I think there were two turning points after world war II. After the war ended, the golden age of popular music had appeared. At that time, the atmosphere was filled with the delight of war ending as well as the poverty due to the defeat. After a while children who don't know the war grew and the society recovered, they made the next wave of new music (J-POP) that was not depend on the american music. Hirota Mieko (singer) and Tsutsumi Kyohei (composer) were the engines to move the wave, though (and probably because) they were the specialists of the american music. Nowadays J-POP is in the third wave that is created by ones who don't know the age of prosperity of Japan.

The end of summer (渚のうわさ Rumor of the Seaside)
https://www.youtube.com/watch?v=uotHB4Is_Ds

The end of summer (渚のうわさ Rumor of the Seaside)
colored
https://www.youtube.com/watch?v=-zlXEsRb2yA

渚のうわさ 弘田三枝子 1967 TV show
colored film
https://www.youtube.com/watch?v=UVop4gL1lwg

踊りあかして in Japanese and English (TV show)
colored film
https://www.youtube.com/watch?v=X-0_WYtIMdA

すてきな16才 in Japanese (Original:Neil Sedaka)
Happy birthday sweet sixteen
https://www.youtube.com/watch?v=nZKeR3Cwuqk

落ち葉のコンチェルト in English (Original:Albert Hammond)
For the Peace of All Mankind
https://www.youtube.com/watch?v=p7pcLWZIr_Q

Be My Baby   in Japanese (Original:The Ronnetes)
https://www.youtube.com/watch?v=ikg34H4glW8

砂に消えた涙  in Japanese (Original:Mina Mazzini)
https://www.youtube.com/watch?v=BspPgnu39bk

Mack The Knife   in English
https://www.youtube.com/watch?v=6d16G1ALtRw

Louisiana Mama   in Japanese
https://www.youtube.com/watch?v=o0zOyMCpIkI

人形の家 in Japanese (after plastic surgery)
https://www.youtube.com/watch?v=K5G-xy2jWsM

DAM unpublished special LP (Jazz)
https://www.youtube.com/watch?v=99JSIZLulDA

太平洋戦争がようやく終わって、戦時中は戦意高揚の歌ばかりだった歌謡界も自由になって、多くのヒット曲が生まれました。リンゴの唄-並木路子、東京ブギウギ‐笠置シズ子、憧れのハワイ航路-岡晴夫、銀座カンカン娘-高峰秀子、お富さん‐春日八郎など、現在よりも庶民の生活の中に歌が深く浸透していたような気がします。でもこのような歌謡曲がその後1970年代、80年代のJ-POP全盛時代に直結するとは思えなくて、フィーリングの問題ではありますが、そこには溝があるような気がします。

現在のポップスと昭和のポップスにも溝があるような気がしますが、それは Perfume が出現したあたりから音楽が変わったように思います。でも今日はそこじゃなくて、1960年代の話です。弘田三枝子が「渚のうわさ」(作詞:橋本淳、作曲:筒美京平)をリリースするまで、J-POPというジャンルの音楽はないも同然でした。確かにポップスのシンガーは伊東ゆかり、中尾ミエなどをはじめとして大勢いましたが、皆さん米国の音楽を翻訳して歌っていたのです。中尾ミエの「かわいいベイビー」など大ヒットした曲もありましたが、これはコニー・フランシスの曲です。弘田三枝子も「渚のうわさ」がリリースされるまでは、米国産の歌を歌っていました。この曲が売れたので、新路線曲のリリースが続くことになり、和製のポップスもだんだん世に認められるようになったわけです。

私は1967年に日本コロムビアからリリースされた「渚のうわさ」がJ-POP最初の曲だと思っています。レコード番号はP‐1で、まさしくポップスの1番です。筒美京平の音楽とストラテジーはものすごく大きな影響があったと思います。弘田三枝子も筒美京平も米国の音楽を深く知る人々だっただけに、なんとか物真似でない日本独自の音楽を作りたいと考えていたのではないでしょうか。

「渚のうわさ」は、なんとミュージックビデオまで制作されていたというのがすごいですが、最近カラー化されてアップされているのに気が付いてさらにびっくりしました。ご存じない方は是非聴いてみてください。

この記事を書くにあたってウィキペディアは見ましたが、なんと彼女はエラ・フィッツジェラルドから直接「養女にしたい」というオファーをもらったことがあるそうです(爆)。

渚のうわさ★colorized★弘田三枝子(HIROTA Mieko)
https://www.youtube.com/watch?v=-zlXEsRb2yA

カラー化してアップしてくださった方々に感謝します。

★★★
https://friday.kodansha.co.jp/article/125494

 

| | | コメント (0)

2024年11月26日 (火)

メールポストのジャンク化

Tsugi

マイナンバーカードはかなり前に申請して持っていますが、使用したことはありません。しかし申請して以来変化したことがあります。それは私のメールポストのジャンク化です。私のメールアドレスを知っている商店はいくつかあって、そのうちある商店から漏洩したことはニュースにもなりましたが、タイミング的にメールポストのジャンク化時期より遅くて、多分そこではないと思います。

これだけ荒れ放題になると、どれが本物のメールでどれが偽メールなのか、触るのも怖い状況になってきました。この中にはおそらく犯罪に関係したものも含まれていると思いますが、メールを送っただけでは警察も動きようがありません。

しかし建物の郵便ポストにチラシを入れるのとは全くわけが違って、電子メールポストの偽メールは非常に危険で、うっかり開いて誘導に従って個人情報を渡したら何が起こるかわかりません。メールポストの大半がこのような偽メールになってしまうと、日常生活にも支障をきたします。このようなメールを取り締まる法律が必要だと思います。

 

| | | コメント (0)

2024年11月24日 (日)

ティアラこうとう

Img_3025a

マエストロ藤岡はおしゃべり好きで陽気な人です。楽団からストップをかけられるまで今日(土曜日)もプレトークに花が咲きます。確かにラフマニノフのメロディにはチャイコフスキーのようなラメントは感じられません。夢の中で浮遊するような趣があります。

ラフマニノフ交響曲第2番の第3楽章、みんなで細心のお膳立てをする中で、山口さんがただただ美しいクラリネットを奏でる別世界・・・これが音楽の真髄。なんらかの感情をかきたてる音楽とは一線を画し、脳の別の場所にアクセスするようです。東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団の充実に陶然とし、スカイツリーの美しいイルミネーションを右に、ナイターで野球をする人々を左に見てふわふわと帰途につきました。

 

| | | コメント (0)

2024年11月22日 (金)

続・生物学茶話252: 腸神経

出勤時に急に下痢が来てトイレに駆け込むという経験は、サラリーマンなら1度や2度は誰でも経験していると思いますが、その時に用は足せましたか? 私の経験では朝のパブリックトイレ(大)はどこでも混んでいてまず用は足せません。私の知人のなかには、朝通勤するときに会社にストレスを感じていたため、必ず途中の駅で下車してトイレ(大)を探すという人がいました。結局その人は退職することになりました。

このような症状を医学的には過敏性腸症候群と言うそうですが、ストレスで排便したくなるというというのはおかしな話です。本来であればストレスがかかると交感神経優位となって胃腸の働きは抑制され、便秘になるはずです(1)。こういう人が多いということは、人類が進化する過程で中枢神経が過剰に内臓支配を行うようになったからだと思いますが、その原点は魚類の進化に遡ることができそうだということが最近判明しました。

そのまえに末梢神経の起源について復習しておきましょう。脊髄神経は胚の外側を覆う外胚葉の一部が内側に落ち込んでできますが、このとき脊髄神経に予定されて落ち込んでいく細胞と外側にとどまる細胞の間に神経堤という堤防みたいな部分が形成され、ここから細胞が下部に移動して様々な細胞に分化します。この中に末梢神経細胞やシュワン細胞が含まれています(2、3、図252-1、図252-2)。

2521a

図252-1 神経堤とは


2522a

図252-2 神経堤の各部域はそれぞれどのような組織に分化するのか

ヤツメウナギ類とヌタウナギ類は分類学上の位置が不安定で、現在でも定まっていません。両者をまとめた円口類という名前は分類学上定義された名称ではありません。ウィキペディアの記述も項目ごとにバラバラで統一されていません。例えば「頭甲綱」という項目をみると「頭甲綱(とうこうこう Cephalaspidomorphi)は無顎類の一群として知られる脊椎動物。全て絶滅種であり、オルドビス紀前期からデボン紀後期にかけて繁栄していたことが化石によって知られている。その名称のとおり、多くの種には骨質の頭甲があった。かつては現生のヤツメウナギ類がこのグループに含まれるとされたが、現在ではこれらは別のグループと見なされることが多い」と説明されているわけですが、その下にはヤツメウナギ目が頭甲綱に含まれる1グループとして記載されており、しかもここにはヌタウナギ類は排除されています(4)。これでは何が何だかわかりませんね。ただヤツメウナギとヌタウナギを脊椎動物亜門に入れることについてはコンセンサスがようやく成立したようです(5)。

円口類の誕生・進化については以前にここでとりあげたことがありますので、興味のある方はご覧ください(6)。円口類の祖先と魚類の祖先が分岐したのはエディアカラ紀末で、カンブリア紀を経過し、ヤツメウナギグループとヌタウナギグループが分岐したのはオルドビス紀初期ということになっています(6)。今回のテーマはヤツメウナギの腸神経なので、まず形態図をウィキペディアからひろってきてコピペしておきます(7、図252-3 日本語は私が添加)。形態的に魚類と異なるのは、体の側面に左右対称のヒレがないこと、顎がなく吸盤があることです。歯はありますがケラチンの歯であり、魚類や私たちのハイドロキシアパタイトの歯とは異なります。

2523a

図252-3 ヤツメウナギの外観

図252-4は脊椎動物の消化管のイラストです。腸神経は主として筋肉層の内部にある筋層間神経叢(アウエルバッハ神経叢)と粘膜と筋肉の間の粘膜下層にある粘膜下神経叢(マイスナー神経叢)からなります。そこに含まれるニューロンの数は脊髄よりも多いといわれています。これらの神経は制御はうけるものの自律神経系の支配とはある程度独立に、消化管の動きや栄養分・水分の吸収を調節しています(8、9)。

消化器官はウルバイラテリア(始原的左右相称動物)の時代から存在していたに違いない臓器であり、脳や心臓より従属栄養生物(動物)にとって基本的に重要な臓器といえます。エサがあるときは消化吸収と排出腔への移動がその仕事です。腸神経系は脳や脊髄よりも先にあったものですから、もともと独自に活動していたわけで、中枢神経系による制御は後付けのメカニズムといえます。

2524a

図252-4 脊椎動物の消化管

グリーンらはそんな腸神経の進化的ヒストリーについて興味深い研究結果を発表しています(10)。彼らはヤツメウナギの幼生の頭部(菱脳)と背側体幹にトレーサー色素などを注入し、取り込んだニューロンの動きを追跡しました。そうすると頭部の色素は腹側に広がりますが、消化管の周辺には認められず、一方背側体幹の色素は消化管の周辺に移動していくことがわかりました(図252-5)。

2525a

図252-5 ヤツメウナギ腸神経の発生上の起源

DiIなどのトレーサーを使ってマウスの腸神経と比較すると、マウスの腸神経は迷走神経提から移動してくるものと、体幹部神経堤から移動してくるものが混在することがわかりました(10、図252-6)。このことはヤツメウナギ(円口類)と魚類から進化した一般脊椎動物の共通祖先の腸神経は体幹部神経堤から移動してきた細胞が分化したものであり、ヤツメウナギはその祖先型の腸神経を受け継いでいるのに対して、分岐した一般脊椎動物は他のデータなども併せて考えると(2)、迷走神経堤からも腸神経細胞が供給されるという新機軸を獲得したということになります。このことは迷走神経の指示によって消化管が活動しうること、また消化管の情報が求心性迷走神経によって延髄から脳に伝えられることを意味します。

2526a

図252-6 腸神経系を作る細胞の起源 マウスとヤツメウナギの比較

腸神経系を脳・延髄・副交感神経システムがその支配下に置くということは、体全体のアナボリズム・カタボリズムの調整や行動の統一性維持にはアドバンテージがあると考えられますが、一方で冒頭に述べたような自律神経の不調がそのまま胃腸の不調につながるということにもなります。

ヤツメウナギは古い体の構造を残した生きた化石などと呼ばれますが、彼らもそれなりに進化して何度もあった大絶滅時代を乗り越え、何億年も生き延びてきました。現に魚類を餌にして生きている種類もいます(11)。

参照

1)大正製薬ナビ 過敏性腸症候群
https://www.taisho-kenko.com/disease/142/

2)脳科学辞典:神経堤
https://bsd.neuroinf.jp/wiki/%E7%A5%9E%E7%B5%8C%E5%A0%A4

3)Uesaka T, Nagashimada M, Enomoto H. Neuronal differentiation in Schwann cell lineage underlies postnatal neurogenesis in the enteric nervous system. J. Neurosci., vol.35: pp.9879–9888. (2015)
DOI: 10.1523/JNEUROSCI.1239-15.2015
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/26156989/

4)ウィキペディア:頭甲綱
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%A0%AD%E7%94%B2%E7%B6%B1

5)ウィキペディア:円口類
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%86%86%E5%8F%A3%E9%A1%9E

6)続・生物学茶話195:円口類の源流
http://morph.way-nifty.com/grey/2022/11/post-1f4cf6.html

7)Wikipedia: Lamprey
https://en.wikipedia.org/wiki/Lamprey

8)脳科学辞典:腸管神経系
https://bsd.neuroinf.jp/wiki/%E8%85%B8%E7%AE%A1%E7%A5%9E%E7%B5%8C%E7%B3%BB

9)Wikipedia: Enteric nervous system
https://en.wikipedia.org/wiki/Enteric_nervous_system

10)Stephen A. Green1, Benjamin R. Uy, and Marianne E. Bronner, Ancient evolutionary origin of vertebrate enteric neurons from trunk-derived neural crest., Nature, vol.544(7648): pp.88–91. (2017) doi:10.1038/nature21679
https://www.nature.com/articles/nature21679

11)医療法人 金剛 エリー湖のヤツメウナギ
https://kongo.or.jp/2011/07/14/%E3%82%A8%E3%83%AA%E3%83%BC%E6%B9%96%E3%81%AE%E3%83%A4%E3%83%84%E3%83%A1%E3%82%A6%E3%83%8A%E3%82%AE/

 

| | | コメント (0)

2024年11月18日 (月)

東京シティ・フィルさん おめでとうございます

Img_0964a

雨に煙る団地の道路。雨とともに冬がやってきました。朴の木の紅葉がいつになく美しい。
いつもの年だともう葉がボロボロになっていて、紅葉してもみられたものではないのですが、今年の異常気象のためか上から勾配的に紅葉がみられます。

Img_0968a

Img_0971b

とりわけプラタナスの紅葉(黄葉)は見事なものです。

今日は東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団創立50周年の記者会見に出かけました。
写真は左から戸澤哲夫コンマス、常任指揮者の高関健氏、首席客演指揮者の藤岡幸夫氏です。
2025~2026シーズンはオペラシティーの改修などもあって、定期演奏会は10回しかできず大変なようです。それでもサントリーホールを奇跡的に2日間確保できて、マエストロ高関の指揮でマーラーの6番と2番のシンフォニーの特別演奏会ができることになったそうです。これはもともとオペラシティーじゃ演奏困難と思われる曲なので瓢箪から駒です。まあ演奏会は再来年の話なので、しばらく忘れることにします。

Img_0972a

Img_0974a

私はティアラ江東のシリーズは必ず行くつもりです。ソアーレスさんの「新世界より」、藤岡さんのチャイコフスキー交響曲第5番、務川さんをソリストに迎える高関さんのラヴェル集などとても楽しみです。

 

 

 

| | | コメント (0)

2024年11月17日 (日)

良識がネット動画に敗れた日

Sejmu_slaskiego_square_1939

ヨーゼフ・ゲッペルス「嘘も百回言えば真実となる」

今日は良識がネット動画に敗れた記念日。

今の世には新聞やテレビは見ないで、情報はネットだけという人々も多い。
何が正しい情報かわからなくなっているのが今です。
自分について振り返ってみても、自分と最初から反対意見とわかっているコンテンツはほとんど見ません。
かろうじてテレビのニュース番組は見ますが、キャスターがある方向に視聴者を誘導しようとしているという意図がみえるといやな気分になります。

もこうなってくると、 「意図をもって嘘を述べたコンテンツをウェブサイトに投稿した者を処罰する」 しかネットの暴走を止める手立てはありません。最低でもこのようなコンテンツは削除する必要があります。

言論の自由との兼ね合いが難しいですが、とりあえず調査権限と機能を持つ公的な委員会をつくって、プロバイダーに虚偽の動画を削除させるくらいのことはやらないと、衆愚政治が蔓延することになるでしょう。 私自身が自戒すると同時に、行政も反発はあってもきちんとやってほしいと思います。

 

| | | コメント (0)

2024年11月14日 (木)

続・生物学茶話251: 求心性自律神経

英国の生物学者エドガー・エイドリアンは刺激が神経を通じて脳に伝わるのは電気的伝導であり、同じ刺激が続くとそれは減弱することを示して1932年のノーベル生理学・医学賞を受賞しました。彼の自律神経に関する業績は日本語版にも英語版にもウィキペディアには書いてありませんが、鈴木によるとノーベル賞受賞の翌年に自律神経に求心性のものが含まれていると報告しているそうです(1)。求心性の自律神経についても最近ようやく詳しい研究が行われるようになってきました。

自律神経を代表するのはやはり迷走神経(vagus nerve)でしょう。図251-1はウィキペディアに投稿された、右外側から見た心臓とそこに配置された迷走神経の分枝を描いた図です(2)。分枝といえども多数の神経細胞軸索の集合体で、そこには遠心性および求心性の神経が含まれます。

2511a

図251-1 迷走神経 ウィキペディアの図(1)を改変

おそらくエイドリアンの報告は当時の電気生理学者達に大きな刺激を与えたのでしょう。デュボアとフォーリーは1937年に猫の頸部迷走神経を調べて、その65-80%が求心性の線維(軸索)であることを報告しています。またエバンスとマリは1954年にウサギの腹部の自律神経26000本のうち遠心性のものは10%以下だと報告しました。マリらはさらに猫でもウサギと同様であることを1957年に報告していて、この論文(3)はよく引用されます。

もともとの概念では交感神経も副交感神経も遠心性の細胞ですから、アセチルコリンによって脱分極し、ノルアドレナリンかアセチルコリンを放出するという非常に単純な機能でその役割が果たせます。一方、求心性の神経細胞は臓器からどんな情報をどのような形で受け取って脱分極を起こすのでしょうか? これは現代医学・生物学においても最大級の未知分野のひとつに違いありません。

筋肉の収縮弛緩(心拍数なども含む)・胃腸の内圧・血圧・pH・血糖値・体温・浸透圧(のどの渇きなど)・ホルモン・代謝産物・腸内細菌が生成する化学物質・臓器被膜の変形や損傷などさまざまな刺激によって求心性の神経細胞は興奮し、脳にその情報を伝えます。そのメカニズムを解明するために多くの研究が進行中ですが、全貌の解明にはまだ程遠い状況でしょう(4)。圧力や温度を感知するメカニズムについては2021年にデヴィッド・ジュリアスとアーデム・パタプティアンがノーベル賞を受賞しましたが、これは感覚神経に関連した業績です(5)。

ひとつ不思議なのは、遠心性の交感神経・副交感神経は節前細胞・節後細胞というシナプスを介した複数のニューロンで臓器までつながっているのですが、求心性の神経は直接延髄や脊髄まで伸びているらしいのです。なぜ行きと帰りでこのような構造的相違があるのかはよくわかりませんが、求心性の情報の方がシンプルという見方もできます。

Brain and Nerve の「迷走神経の不思議」という特集号の冒頭で、鈴木が迷走神経性求心性線維への入力として図に記載しているのは、消化管ホルモン(CCK=cholecystokinin, PYY=peptideYY, GLP-1=glucagon-like peptide-1, グレリンなど)、レプチンや栄養成分、代謝産物です(6)。このあたりが比較的研究が進んでいる分野なのでしょう。このほかに内臓知覚神経から骨髄を経由する情報、血流を介して直接視床下部にアクセスする情報などがあります(7、8、図251-2)。

2512b

図251-2 内臓の情報を脳に伝える3つの経路 

満腹になる、あるいは栄養が十分に足りているにもかかわらずどんどん食べ続けると、胃腸がパンクするか糖尿病になってしまいます。ですからそれらを感知して食べるのを中止するシステムは、胃腸ができる頃と同時期には出来上がっていたはずです。このシステムが機能するためには消化器官の状況を感知する求心性の神経系が必要です。

そのためのメカニズムのひとつには GLP-1 がかかわっています。GLP-1 は腸管腔内の栄養が十分な時に、腸のL細胞から分泌されるホルモンです。Kuhre らがL細胞を検出した写真が図251-3です(9)。上部の暗い部分が腸管です。

2513a

図251-3 免疫組織化学により検出された腸のL細胞 文献(9)の図を改変

L細胞は小腸下部・大腸・結腸に分布していますが、普通何某かを分泌する細胞は腺のような組織を作るはずが、L細胞はひとつふたつの細胞がかなり距離をおいてポツンと存在しています。分泌細胞はニューロンのように一生同じということはなく、死んではまた作られているはずなので幹細胞もセットになっているはずで、おそらく分化した細胞2つと幹細胞1つのセットで機能していると思われます。このような最小単位からなる組織は珍しいと思います。

GLP-1 はホルモンといっても血流で運ばれて遠くのターゲットに作用するのではなく、近隣の求心性迷走神経のニューロン表層の受容体に結合することによって効果を発揮します。このことは迷走神経を切断したり、迷走神経の受容体をノックダウンすることによって証明されました(10、11)。クリーガーらはレンチウィルスベクターを使って迷走神経の GLP-1 受容体をノックダウンする方法を開発し、これによってラットは大食いになり、食べた後のインスリンリリースも抑えられて高血糖になってしまうことを示しました(11)。

GLP-1 にはインシュリンの分泌を促進する作用がありますが、意外なことにインスリンを分泌する膵臓β細胞のGLP-1受容体はこのプロセスに関与していません。これは膵臓β細胞特異的 GLP-1 欠損マウスによる実験で判明しました(12)。GLP-1 の作用は求心性迷走神経の GLP-1 受容体を介して行われます。現場での勝手な判断は許されず、報告を上にあげてから上部組織が決定するというシステムです。

インスリンも通常のホルモンとしての作用で各臓器における糖の細胞へのとりこみや同化作用を促進していますが、実は中枢神経系にも作用することが知られています。ところがインスリンはほとんど血液脳関門を通過できないので、通常のホルモンとして脳に作用することができません。しかし食後しばらくは膵臓周辺のインスリン濃度は求心性迷走神経が応答する濃度に達しているので、求心性神経経路で十分脳に影響を与えうるそうです(13、14)。このようなことからインスリンおよび GLP-1 による摂食・糖代謝の求心性迷走神経を介した情報は図251-4のような経路で視床下部につたえられ、視床下部が行動を制御したり、膵臓や肝臓の機能調節、各臓器における代謝調節などを行っていると考えられます(図251-4)。

2514a

図251-4 求心性迷走神経を介した摂食・糖代謝調節

 

参照

1)鈴木郁子 自律神経の科学 講談社 (2023) p.167

2)Wikipedia: Vagus nerve
https://en.wikipedia.org/wiki/Vagus_nerve?uselang=ja

3)E. Agostoni, J. E. Chinnock, M. de Burgh Daly, AND J. G. Murray, Functional and histological studies on the vagus nerve and its branches to the heart, lungs and abdominal viscera in the cat. J.Physiol., vol.135, pp.182-205 (1957)
https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC1358921/pdf/jphysiol01365-0210.pdf

4)佐々木拓哉 内臓信号が神経回路演算に及ぼす影響の考察 日本神経回路学会誌 Vol. 30, No. 3, pp.142-147 (2023)
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jnns/30/3/30_142/_article/-char/ja

5)彩恵りり 2021年ノーベル生理学医学賞解説「温度と触覚の受容体の発見」
https://note.com/science_release/n/nb14019a8451b

6)鈴木郁子 迷走神経の生理学 基礎研究の歴史から現在への展開 BRAIN and NERVE vol.74, no.8, pp.955-958

7)山田哲也、片桐秀樹 求心性神経路によるエネルギー代謝調節 糖尿病 vol.51(5):pp.399?402, (2008)
https://www.jstage.jst.go.jp/article/tonyobyo/51/5/51_5_399/_pdf

8)井上啓 金沢大学プレスリリース 脳による血統調節の分子メカニズムの解明に成功!! (2016)
https://www.kanazawa-u.ac.jp/wp/wp-content/uploads/2016/03/160303.pdf

9)Rune E. Kuhre, Carolyn F. Deacon, Jens J. Holst, and Natalia Petersen,What Is an L-Cell and How Do We Study the Secretory Mechanisms of the L-Cell? Front. Endocrinol., vol. 12 no. 694284 (2021)
doi: 10.3389/fendo.2021.694284
https://www.frontiersin.org/journals/endocrinology/articles/10.3389/fendo.2021.694284/full

10)Makoto Nishizawa et al., Intraportal GLP-1 stimulates insulin secretion predominantly through the hepatoportal-pancreatic vagal reflex pathways., Am J Physiol Endocrinol Metab vol.305: E376?E387, (2013)
doi:10.1152/ajpendo.00565.2012.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/23715725/

11)Jean-Philippe Krieger, Myrtha Arnold, Klaus G Pettersen, Pius Lossel, Wolfgang Langhans, Shin J Lee, Knockdown of GLP-1 Receptors in Vagal Afferents Affects Normal Food Intake and Glycemia., Diabetes vol.65(1): pp.34-43 (2016)
doi: 10.2337/db15-0973
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/26470787/

12)Eric P Smith et al., The role of β cell glucagon-like peptide-1 signaling in glucose regulation and response to diabetes drugs., Cell Metab vol.19(6): pp.1050-1057 (2014)
doi: 10.1016/j.cmet.2014.04.005
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/24836562/

13)Masafumi Kakei, Toshihiko Yada, Atsushi Nakagawa, Hajime Nakabayashi, Glucagon-like peptide-1 evokes action potentials and increases cytosolic Ca2+ in rat nodose ganglion neurons., Auton Neurosci
vol.102(1-2): pp.39-44. (2002)
doi: 10.1016/s1566-0702(02)00182-0
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/12492134/

14)岩﨑有作、矢田俊彦 食後ホルモンインスリン・GLP-1 の求心性迷走神経を介した摂食・糖代謝調節 自律神経 58 巻 1 号 pp.105-113 (2021)
https://doi.org/10.32272/ans.58.1_105
https://www.jstage.jst.go.jp/article/ans/58/1/58_105/_article/-char/ja/

 

 

| | | コメント (0)

2024年11月12日 (火)

Walk down the memory lane 12: Teichiku age of Nishijima Mieko テイチク時代の西島三重子

このCDを持っていることは私のちょっとした自慢です。
というのはテイチク時代に、このアルバムより後にリリースした3枚のアルバムはCD化されていないからです。

This CD is a rare item, because other CDs in her Teichiku (name of music publisher) age have not been released. At that time analog LP disk was the standard media. Some fans may have not awared of the publication of the CD.

Byebye

テイチク時代は彼女の絶頂期で、昭和を代表する名曲を天才のおもむくままに次々とリリースしていました。現代のZ世代にもこの音楽を鑑賞してほしいと思います。

彼女は自分なりのフォークを突き詰めていって、ワーナーパイオニア時代の最後のアルバム「シルエット」を完成しましたが、ここでポップスの要素を取り入れた新しい音楽に挑戦することを決意し、テイチクに移籍しました。

シルエット(ワーナー・パイオニア最後のアルバム)
https://www.youtube.com/watch?v=SnelxXTZ7Rk

以下テイチク時代の4枚のアルバム   4 albums in her Teichiku age↙

Bye-Bye
https://www.youtube.com/watch?v=FZlRH-oMHQw&t=139s

Lost Hour
https://www.youtube.com/watch?v=EqQPfZmseto

Image(イマージュ)
YouTube への up は多分ありません (not uploaded)

Image_20241112094801

Soft-i
https://www.youtube.com/watch?v=ncQQWbwfg88&list=PLgbZ2sGRHPkX19bla52c-cp5wxQ61sSeq

---------------------------

やはり彼女の真骨頂はスローテンポの曲にあると思います。夢の中の物語のような趣があります。こんなに耽美的なJ-POPは他では聴いたことがありません。

Aesthetic melodies of her music

#Sequence of Memories  アルバム「SHADOW」に収録
https://www.youtube.com/watch?v=oTMG-6eWOa4

#Imagination Canvas アルバム「Lost Hour」に収録
https://www.youtube.com/watch?v=7cdNRmqB4zU

#少年の日 アルバム「Soft-i」に収録

https://www.youtube.com/watch?v=Zwp6cfKMV4Y
(12min あたりから)

https://www.youtube.com/watch?v=04z4-kn9oGk&t=21s
(11min 50sec あたりから)

この曲は夫には相手をしてもらえない、子供は恋をして独立していくという母親の寂しさがそこはかとなく感じられます。

---------------------------

販売中のベストCD

ワーナー「オールタイムベスト」  

テイチク「ゴールデン★ベスト」

to アマゾン

---------------------------

最近は絵本作家として活躍しておられるようです

No-credit_20241112095401

中央公論新社

https://www.chuko.co.jp/tanko/2022/10/005581.html

 

 

| | | コメント (0)

2024年11月 9日 (土)

なぜトラ

1_20241109092101

1990年頃から中後進国の経済進出が進み、それまでの先進国は製品のシェアを奪われていくことになりました。労働力が安いわけですから、中後進国が先進国と同等な製品を生産できるようになればそれは当然のことです。米国はそれを製品ではなくAIやバイオなどの物体製造以外の分野でカバーしようとしてある程度成功してきました。しかしそれにはやはり限界があって、さらにごくわずかな人々に富が集中するという事態を招きました。その矛盾が爆発してトランプという怪物を生み出したわけです。

日本はその間米国のように科学技術にものを言わせるほど科学技術を重視してなかったので、乗り換えができず、ずるずると没落していきました。放置していればどんどん製品が中後進国のものに置き換わるのは当然で、管理貿易に移行しなければならないのは時間の問題なのですが、それが日本も米国も遅すぎました。とりわけ米国はスタンドアローンでも存続できる国なのに、どんどん外国製品に浸食されるまま放置していたわけです。そんなことにはおかまいなく、外国への輸出でかせぎたい勢力がいたからでしょう。

日本はスタンドアローンというわけにはいかないので、1990年の時点でロシアやオセアニアとの協力、米国抜きのTPPなどで防波堤を築かなければなりませんでしたが、いつまでたっても「自由で開かれた」などという寝言を言っている状況でした。日本がやったことといえば、企業課税を消費税に転嫁し輸出企業を支援したことですが、それは長い目で見れば焼け石に水で、しかも景気の低迷と市民の窮乏を招くことになりました。

米国がトランプによってスタンドアローン国家になっていけるのかどうかというのは、たぶんできるのではないかとは思いますが、その過程で大きな軋轢も生むのではらはらします。それにトランプには余計な政策がくっつきすぎているのが問題です。最たるものが妊娠中絶の禁止です。トランプ派がずっと米国を支配していくなら、日本は米国とは距離を置きロシア・オセアニア・アジア諸国と密接な関係を築く必要があります。トランプに政権を奪われた民主党において、バーニー・サンダース派はバイデンに奪われた主導権を取り戻すチャンスです。その先頭に立つのはもちろんオカシオ=コルテスであり、彼女がトランプ後の米国指導者となるなら、私たちは米国にぴったり寄り添って間違いはないはずだと思います。金満マフィアや軍産複合体は全力でサンダース派をつぶしに来ると思うので、そのようなことになる可能性は低いとは思いますが...。

 

| | | コメント (0)

2024年11月 8日 (金)

片眼で挨拶 でもウィンクじゃない

Img_2536

サラ

Img_2818a

ミーナ


片眼で挨拶 でもウィンクじゃない 

片眼だけ開けて挨拶するという無精


 

 

| | | コメント (0)

2024年11月 6日 (水)

続・生物学茶話250: 交感神経と副交感神経

自律神経を発見したのは誰かというと、それはおそらく古代ギリシャの医師であり医学研究者でもあったガレノスだということになっています。原著を読んだわけではありませんが、彼は脳神経や脊髄神経がどこにはじまりどこにつながっているかということを詳しく記載しており、その中には動かしたり感じたりすることができない内臓につながっているものあるので、当然筋肉を動かしたり感覚を中枢に伝えたりするためだけに神経が存在するわけではないことは理解していたと思われます(1)。

自律神経 = autonomic nervous system という言葉を19世紀末に提唱したのはジョン・ニューポート・ラングレーですが(2)、彼は内臓につながる自律神経は遠心性神経のみという定義をしてしまったため、当時から一部では問題視されていました(3)。現在では遠心性神経(交感神経・副交感神経)、求心性神経、腸管神経を含めて自律神経とされています(4)。求心性神経が知られたのは1933年ですが、ラングレーの時代から腸管神経は知られていました。彼はこれを第3の自律神経系と呼んでいたようです(5)。

生物学的に言えば、交感神経や副交感神経は大脳には直接支配されてないとはいえ、脳には支配されているので自律神経というのは妙な言葉ではあります。求心性神経も脳に情報を伝えるためにあるわけですから同様です。一方、腸管神経は脳から影響は受けるものの、基本的には脳につながっていないので正しい意味での自律神経です。そしてウルバイラテリア(始原的左右相称動物)がまだ生まれていなかった頃から、そして生物が脳を持っていなかった時代から、腸管神経は存在していた可能性があります。

まあそういうロマンティックな話はさておき、交感神経と副交感神経から話を始めたいと思いますが、ウィキペディアの図(6-8)はやや見にくいと感じたので、とりあえず修正して図250-1~図250-4として掲載しました。これらをもとに話を進めたいと思います。

2501a

2502a

2503a

2504a

まず脳幹系副交感神経(図250-1)からみていくと、III・ⅤII・ⅨのグループとⅩのグループとは違うなと感じます。前者はすべて獲物または餌をみつけて食べるということに関連したものであり、後者は様々な臓器が進化していくなかで、それぞれを制御する神経が徐々に生まれてきたと想像されます。たとえばナメクジウオ(頭索類)には肝臓がありませんが、このグループから進化したとみられるヌタウナギ(メクラウナギ、円口類)には肝臓があり、迷走神経があります(9)。しかしナメクジウオに自律神経がないかというとそんなことはなく、例えば彼ら独特の内分泌器官であるハチェックピットには自律神経と思われる神経が伸びているようです(10)。

副交感神経の出力は空間配置的には延髄でいったんとぎれて、脊髄の大部分からは交感神経のみが出力し、その最先端部(尾に近い部分)の仙髄から再び副交感神経が出力します。おそらく目や口に関連のある最前部と生殖に関係がある最後部がエディアカラ紀初期にはつながっていて、その中間部はその後できてきたと想像されます。このことから考えると、脳幹から出力している副交感神経がより古いタイプの神経なのでしょう。

交感神経と副交感神経には奇妙な一致点があります。それは自律神経節という中継地点があり、そこで1回シナプスを経由して情報が伝達されるという点です。ただその中継地点は交感神経の場合脊髄に非常に近いところにあり、副交感神経の場合は臓器に近いところにあります(図250-5)。いずれの場合も自律神経節より中枢側を節前神経、末梢側を節後神経といいます。図250-1~図250-4の交感神経では、節前神経を実線、節後神経を点線で描いてあります。交感神経の場合、同じ情報を多くの臓器に伝えるため、副交感神経の場合個々の臓器に別々に情報を伝えるためにこのような構造になっていると考えられています(4 pp.38-41)。

2505a

交感神経の節前神経と節後神経は別種の細胞で、節前神経はアセチルコリン、節後神経はノルアドレナリンをシナプスで放出します。一方副交感神経の節前神経と節後神経は同種の細胞でいずれもアセチルコリンをシナプスで放出します。どちらも節後細胞のアセチルコリン受容体はニコチン型受容体です(図250-5)。。

臓器側が交感神経のノルアドレナリン情報を受け取る受容体はα型とβ型で、副交感神経のアセチルコリン情報を受け取る受容体はムスカリン型受容体です。同じ臓器であっても、異なる受容体で異なる神経伝達因子を受け取るというのは、混乱を防ぐという意味で極めて合目的的です。

交感神経と副交感神経の主な役割を図250-6の表にまとめました。それぞれが拮抗的に臓器の活動を制御していることが示されていますが、興味深いのはペニスの活動に対する機能で、拮抗するどころかシーケンシャルに生殖のためのお膳立てをやっています。たとえば臨床関係では、治療という立場から勃起と射精が全く別のメカニズムであることを強調していますが(11)、正常な生殖のためには当然連動していなければなりません。

実は迷走神経以外の部分では拮抗支配でない場合があります。例えば涙腺や唾液腺では交感神経も副交感神経も分泌する方向に誘導します。このことは脊髄ができてから迷走神経(副交感神経)vs脊髄神経(交感神経)という拮抗メカニズムが確立されたのであって、それ以前の時代には手分けしていただけだったのかもしれません。現在の私たちにおいても、汗腺・立毛筋・皮膚の血管・副腎髄質などは交感神経だけで制御されてます(4 pp.53-54)

2506a

参照

1)坂井建雄、池田黎太郎、月澤美代子 ガレノス「神経の解剖について」 ―ギリシャ語原典からの翻訳と考察 日本医史額雑誌第49巻第3号(2003)
http://jshm.or.jp/journal/49-3/403-454.pdf

2)Langley JN. On the union of cranial autonomic (visceral) fibres with the nerve cells of the superior cervical ganglion.
J Physiol (Lond) vol.23: pp.249-270.(1898)

3)田村直俊 自律神経研究の歴史 ―情動と自律神経―  第 74 回日本自律神経学会総会 / 自律神経レクチャーズ 7
https://www.jstage.jst.go.jp/article/ans/59/2/59_197/_pdf/-char/ja

4)鈴木郁子 自律神経の科学 講談社ブルーバックス (2023)

5)マイケル・ガーション著 古川奈々子訳「セカンドブレイン 腸にも脳がある」 小学館(2000)

6)Wikipedia: Autonomic nervous system
https://en.wikipedia.org/wiki/Autonomic_nervous_system

7)ウィキペディア:副交感神経系
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%89%AF%E4%BA%A4%E6%84%9F%E7%A5%9E%E7%B5%8C%E7%B3%BB

8)Wikipedia: Sympathetic nervous system
https://en.wikipedia.org/wiki/Sympathetic_nervous_system

9)肝細胞研究会HP 塩尻信義、太田考陽  脊椎動物における肝臓構築の多様性と進化
http://hepato.umin.jp/kouryu/kouryu49.html

10)窪川かおる ナメクジウオの生物学 Journal of Reproduction Biology Vol. 47, No. 6 (2001)
http://reproduction.jp/jrd/jpage/vol47/470603.html

11)プライベートケアクリニック東京 勃起と射精のメカニズム
https://pcct.jp/repro/disease/mechanism-of-erection-and-ejaculation/

 

| | | コメント (0)

2024年11月 3日 (日)

タビター都響:展覧会の絵@サントリーホール2024/11/03

Photo_20241103201901

雲ひとつない快晴の中、サントリーホールでの都響演奏会です。ここまでくるのも大変になってきたので、都響会員は来年までと決断しました。残り少ない機会なので、今年度・来年度は楽しまなくてはいけません。

カラヤン広場では盛大に滝の水を流していて、空には今日のマエストロ(タビタ・ベルグルンド)を祝福するかのような十字架が見えます。

Img_0947a

タビタ・ベルグルンドはノルウェーの指揮者ですが、来シーズンからドレスデンフィルの首席客演を務めるということで、欧米では期待される若手なのでしょう。リハーサルは2日間だったみたいですが、もう完全に都響を掌握している感じで、こんなにみんなをやる気にさせることだけ見ても一流であることは明らかです。

スカートをはいて都響の指揮台に立つ指揮者を見るのは10年以上前のエヴァ・オリカイネン以来です。ポヒョラの娘は初めて聴く曲でしたが、なかなか雰囲気は良い曲です。終わった後思い出そうとしてもできませんが・・・。

グリークのコンチェルトはギムセの演奏が、まるで至高の美術品のような美しさでしたが、鑑賞するのみでのめりこみは無し。

のめりこめたのは休憩後の ムソルグスキー「展覧会の絵」で、これはマエストロの十八番だったのかな。都響の演奏も迫力満点でした。コンマスが武闘派の山本さんだったのもよかったのでしょうか。サイドはマキロンでした。ユーフォニアムやアルトサックスの名演奏も聴けましたし、西條氏も好調でした。弦も本当によく鳴っていました。

Img_0954a

満席の会場は熱狂し、ついに点灯後の指揮者アンコールまで。タビタはつつましくステージの端のほうにちょっとだけ出てきました。

| | | コメント (0)

2024年11月 1日 (金)

World music collection 21: Old songs by Mitsu (=honey)

Photo_20241101133801

蜜(mitsu) means "honey" and they constitute of Kimura Uni and Hashizume Ryo. They started their activity at 2007. I think they have a special talent to arrange old songs as if they are the originals of mitsu.

HP: 蜜 木村ウニ&橋詰遼
http://mitsu71.com

==============

銀座カンカン娘 高峰秀子
https://www.youtube.com/watch?v=6hgUGbZpwEI

A song just after the end of world war II. The age required bright entertainment. The title "Ginza kan-kan girls" is difficult to explain even by us Japanese. Someone says that kan-kan is a word of campaign against the prostitutes for US soldiers.

高峰秀子が歌っているのはさすがに見たことありません
歌は子供のころから知っていました
ウィキペディアによると:「カンカン」とは山本嘉次郎の造語であり、当時の売春婦の別称「パンパンガール」に対して「カンカンに怒っている」という意味が込められている: だそうです

-------------------------

め組のひと RATS & STAR
https://www.youtube.com/watch?v=p6k4Lvhg1DE

どうして「め組」なのかはよくわかりませんでした 江戸時代に火消しの「め組」と相撲力士による乱闘事件があったそうですが、特に関係はなさそう

-------------------------

Summer Vacation 村田和人&竹内まりや (Murata Kazuhito & Takeuchi Mariya)
https://www.youtube.com/watch?v=mSg2UUXZsWk

I think it's one of the best songs of Murata Kazuhito who passed away at 2016.

村田和人畢生の名曲だと思います ピアニカ風味のアレンジ

-------------------------

Traveling 宇多田ヒカル (Utada Hikaru)
https://www.youtube.com/watch?v=_4pr6y86S14

オリジナルよりはまっていると思います でもリハ不足

-------------------------

ひこうき雲(Contrail) 荒井由実(Arai Yumi = Yuming)
https://www.youtube.com/watch?v=XAngtHb2_3M

Yuming created this song in her age of teenager. It is a kind of mourning song.

後に多くの人がカバーするようになりましたが、彼らは昔からこの曲が好きでよくカバーしていたようです


==============

オリジナル(Originals)

Tasting of me     Music Video
https://www.youtube.com/watch?v=xV93LcSZc74

What can I do?   Music Video
https://www.youtube.com/watch?v=vcDnYoFwpqE

You know?    Live performance
https://www.youtube.com/watch?v=A5z7viz668I

Unfortunately, their original melodies do not come to stay in my brain.

 

 

| | | コメント (0)

« 2024年10月 | トップページ | 2024年12月 »