出口-東京シティ・フィル ショスタコーヴィチ交響曲第5番@ティアラ江東
最近の天候には季節感が混乱してしまいます。確かにセミはもう鳴いていないし、トンボも飛んでいますが、温度はまだ34℃もあります。街路樹の桜もためらいながら黄葉をはじめました。
東京シティフィルの裏定期が住吉のティアラ江東で行われるということででかけました。オペラシティーは作られた音という感じですが、ティアラは素の音。ただし東京文化会館のような広大な空間ではなく、比較的こじんまりとしているので音圧はすごいものがあります。
最近の東京シティフルの充実ぶりは顕著で、今日のコンサートも早々と完売です。
本日のマエストロはただいま売り出し中の左ききの指揮者出口大地氏です。そしてソリストは2004年生まれの中野りなさん。チャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲を演奏しましたが、このうら若い女性奏者には驚かされました。特に第2楽章の内面的な表現には深い感銘を受けました。演奏効果など一切考えず、ひたすらにチャイコフスキーの心の襞をたどるような作品との向かい方は素晴らしいです。オーケストラもそのようなソリストを繊細にサポートしていました。ただフルートはちょっと音が大きすぎると感じられる部分もありましたが、それもささいな違和感です。中野さんは満場の大拍手に答えて、ソリストアンコールでパガニーニの24のカプリースから第5番を聴かせてくれました。
休憩後のショスタコーヴィチ交響曲第5番は、折り目正しくメリハリが明快な指揮者のタクトのもと、東京シティフィルが本領発揮です。私は特に第3楽章の後半の弱奏の美しさに感銘を受けました。ホルンが一ヶ所潰れましたが、その後ちょっと神経質になったのは残念。しかしそれも消し飛ぶくらいエネルギーが爆発する第4楽章で、会場は異様な興奮に包まれました。今夜からいよいよ季節も秋めいてくるそうで、最後の夏の日にふさわしいものすごい演奏会でした。
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