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2024年4月17日 (水)

World music collection 13: Ohno Aika

Ohno-aika

Since 1990 or so, japanese popular music scene has been filled with singer song writers, and the space for composers and lyricist became scarce. Under such situation Ohno Aika survived as a music composer for a long time. Her published all works are listed at the following site:

The list of songs provided by Ohno Aika

大野愛果は今では数少ない作曲家として、上のリンクのように多くの歌手に作品を提供していますが、最大の業績は倉木麻衣を世に出したことでしょう。ザードへの提供曲も心に残るものでした。

Ohno Aika demonstrates her natural gift as a composer and a melody maker. Undoubtedly she is genius. Kuraki Mai became famous as a star singer by the support of Ohno Aika. Aika provided many famous songs also to ZARD and other singers. Her works are sensitive and moving.

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In my personal opinion, Aika is not a goog vocalist, because her pronuciation is unclear.

But I start to introduce the songs by her self cover.

明日もし君が壊れても (Ohno Aika)
(Wands への提供曲 provided to Wands)
Aika sings by herself (self cover)
https://www.youtube.com/watch?v=hrXBwFSbJIo&list=PL9jUMqw7DokJJ-EgGbdvN2PQjC4KMRy1t

Shadows of Dreams (Ohno Aika)
(sweet velvet への提供曲 provided to sweet velvet)
Aika sings by herself (self cover)
https://www.youtube.com/watch?v=0ovHZTIAgCM

This is your life (Ohno Aika)
Aika sings by herself
https://www.youtube.com/watch?v=pX868X_5KVk

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君の涙にこんなに恋してる 大野愛果作曲 AIの歌 (AI sings)
(なついろ への提供曲 provided to natsuiro)
https://www.youtube.com/watch?v=mmJq-rBd4v0

Beautiful 大野愛果作曲 natsuiro sings
(なついろ への提供曲 provided to natsuiro)
https://www.youtube.com/watch?v=ldlSKN0308w

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[LIVE] 愛内里菜 & 宇徳敬子 & 大野愛果 - Forever You ~永遠に君と~
(愛内里菜 への提供曲 provided to Aiuchi Rina)
Rina, Keiko, and Aika sing  (movie)
https://www.youtube.com/watch?v=i-jEGwSwsxU

倉木麻衣×大野愛果 Tonight, I feel close to you 
デュエット ライブ Duet with Kuraki Mai  (movie)
(倉木麻衣 への提供曲 provided to Kuraki Mai)
https://www.youtube.com/watch?v=bnYrCeOKb8k

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Reach for the sky 大野愛果作曲 Kuraki Mai
Aika sings by herself (self cover)
https://www.youtube.com/watch?v=p3iFwAK5bXc

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Secret Of My Heart, Romaji + Kanji + English Lyric Translation
大野愛果作曲 Ohno Aika
(倉木麻衣 への提供曲 provided to Kuraki Mai)
https://www.youtube.com/watch?v=UP2e2_VGwew

Stay by my side 作曲 大野愛果
(provided to Kuraki Mai)
https://www.youtube.com/watch?v=zBAa0wfr03g

Love, Day After Tomorrow 作曲 大野愛果 Kuraki Mai sings
(provided to Kuraki Mai)
https://www.youtube.com/watch?v=Ctt0vHi7Oho

Time after time ~花舞う街で~ 作曲 大野愛果 Kuraki Mai sings
(provided to Kuraki Mai)
https://www.youtube.com/watch?v=u-mFtAtWytU

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竹井詩織里&大野愛果 世界止めて~君を知らない街へ~つながり 
デュエット ライブ   Duet: Siori and Aika
(竹井詩織里 への提供曲  provided to Takei Shiori)
https://www.youtube.com/watch?v=LpIP5zGkNX8&t=114s

爱内里菜 & 三枝夕夏 - 七つの海を渡る風のように
(三枝夕夏 IN db & 愛内里菜 への提供曲)
provided to Saegusa U-ka and Aiuchi Rina)
Duet by Saegusa U-ka and Aiuchi Rina
https://www.youtube.com/watch?v=8J0gVMrQWBg

笑顔でいようよ / 大野愛果
(三枝夕夏 IN db への提供曲  provided to Saegusa U-ka)
https://www.youtube.com/watch?v=3pRpZXgV9NE

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Hero/ZARD  作曲 大野愛果 
(provided to ZARD)
This is one of my most favorite songs.
https://www.youtube.com/watch?v=8esQgzFfjSQ
https://www.youtube.com/watch?v=NJYCyMa1cTc

+ English caption
https://www.youtube.com/watch?v=O7wC8ZLoirE

English translation (script)
https://lyricstranslate.com/en/hero-hero.html-28

cover by ayumi
https://www.youtube.com/watch?v=RuW3uPrYrsI

cover by sena
https://www.youtube.com/watch?v=YVfrWazxQRs

cover by T.Y.Kim including Korean translation
https://www.youtube.com/watch?v=ZFQwAARIETU

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夏を待つセイル(帆)のように / ZARD  作曲:大野愛果
https://www.youtube.com/watch?v=dDxein4GxQQ

This song by ZARD has been supported and covered by many young singers and musicians even after the accidental death of Sakai Izumi (ZARD) at 2007.

English translation
https://lyricstranslate.com/ja/xia-wodai-tuseirufan-noyouni-natsu-o-matsu-seiru-ho-no.html-0

中文
https://vip2600.pixnet.net/blog/post/11791900

cover 宮崎奈穂子 Miyazaki Naoko
https://www.youtube.com/watch?v=pOBdekTWKHA

cover Mayuna
https://www.youtube.com/watch?v=kv9aYU3KqXU

cover MiO
https://www.youtube.com/watch?v=4QaChvZwWf0

cover Nostalgie Flower
https://www.youtube.com/watch?v=r8ehExfbThE

cover SARD UNDERGROUND
https://www.youtube.com/watch?v=0e9wbw3Z0NM

cover TARU INO
https://www.youtube.com/watch?v=2k-SmX2djFQ

coner IZUMIRT
https://www.youtube.com/watch?v=Vg2vKLTOJQo

Piano
https://www.youtube.com/watch?v=xkzD8_Hw3NU

with Orchestra
https://www.youtube.com/watch?v=p8sge2UY86Y

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2024年4月14日 (日)

続・生物学茶話 タイトル一覧とリンク

Human_brain

101:脳神経科学の源流 こちら101
102:ニューロンという細胞 こちら102
103:動物分類表 こちら103
104:プラナリア こちら104
105:脳のはじまり1 こちら105
106:脳のはじまり2 こちら106
107:脳のはじまり3 こちら107
108:脳のサイズ こちら108
109:キノコ体 こちら109
110:匂いを嗅ぐことの源流・・・大腸菌の場合 こちら110
111:クオラムセンシング こちら111
112:光を感じるタンパク質 こちら112
113:単細胞真核生物の眼点 こちら113
114:真核生物型ロドプシン こちら114
115:眼の進化 こちら115
116:Pax 6 の構造と機能 こちら116
117:水晶体とクリスタリン こちら117
118:体節形成の起源をめぐって こちら118
119:ショウジョウバエの体節形成 こちら119
120:体節形成のメカニズム こちら120
121:NGF (Nerve growth factor)  こちら121
122:ニューロトロフィンファミリーとその受容体 こちら122
123:軸索誘導 こちら123
124:ウルバイラテリアをめぐって こちら124
125:背と腹 よみがえったジョフロワの亡霊 こちら125
126:電池の起源 こちら126
127:活動電位 こちら127
128:パッチクランプ法 こちら128
129:ミエリン鞘(髄鞘)こちら129
130:クシクラゲ(有櫛動物)の衝撃 こちら130
131:ギャップ結合が召喚したゴルジの亡霊 こちら131
132:化学シナプスの実在とカルシウムチャネル こちら132
133:毒矢とアセチルコリン こちら133
134:高親和性コリントランスポーター こちら134
135:アセチルコリンによる情報伝達 こちら135
136:副腎とアドレナリンの物語 こちら136
137:アドレナリンとノルアドレナリン こちら137
138:GPCRの進化 こちら138
139:パーキンソン病とドーパミン こちら139
140:ドーパミン受容体 こちら140
141:ドーパミンの普遍性とその役割 こちら141
142:アメフラシとセロトニン こちら142
143:セロトニン受容体 こちら143
144:モノアミントランスポーター こちら144
145:小胞神経伝達物質トランスポーター こちら145
146:神経伝達物質としてのヒスタミン こちら146
147:GABA その1 こちら147
148:GABA その2 GABAA受容体 こちら148
149:GABA その3 GABAB受容体 こちら149
150:グリシン その1 神経伝達物質としてのグリシン こちら150
151:グリシン その2 グリシン受容体のルーツ こちら151
152:グルタミン酸 その1 イオンチャネル型グルタミン酸受容体 こちら152
153:グルタミン酸 その2 代謝型グルタミン酸受容体 こちら153
154:グルタミン酸 その3 グルタミン酸トランスポーター こちら154
155:遺伝子・アミノ酸配列から見た神経伝達物質の進化 こちら155
156:ニューロフィラメント その1 こちら156
157:ニューロフィラメント その2 こちら157
158:脳波 こちら158
159:電気魚 こちら159
160:グリア細胞 その1 研究史・起源と進化 こちら160
161:グリア細胞 その2 種類 こちら161
162:半索動物における神経誘導 こちら162
163:ヘッジホッグ こちら163
164:脊索(ノトコード) こちら164
165:脊索の起源をめぐって こちら165
166:神経堤 こちら166
167:C.エレガンスの神経細胞 こちら167
168:Cre/loxP システム こちら168
169:GFPの発見からコンフェティマウスへ こちら169
170:ナメクジウオ こちら170
171:ヌタウナギ こちら171
172:ハイコウエラ こちら172
173:神経堤の進化 こちら173
174:皮膚と神経板の境界領域 こちら174
175:神経堤のデラミネーション こちら175
176:Prdmファミリー こちら176
177:神経幹細胞の源流 こちら177
178:ラウバーの鎌 こちら178
179:頭と胴尾、脳と脊髄 こちら179
180:ポロネーズから原条形成へ こちら180
181:神経系細胞と中胚葉系細胞に分化できる幹細胞 こちら181
182:3胚葉説の崩壊 こちら182
183:脊索の出自と役割り こちら183
184:頭索動物の脊索 こちら184
185:頭索動物の光受容 その1 こちら185
186:ナメクジウオの4種の眼 こちら186
187:ナメクジウオ脳の部域化 こちら187
188:グリシントランスポーターの進化 こちら188
189:オピストコンタの系統図更新 こちら189
190:電位依存性ナトリウムチャネル こちら190
191:電位依存性カルシウムチャネル こちら191
192:カリウムチャネル こちら192
193:脳の老廃物廃棄システム こちら193
194:円口類 こちら194
195:円口類の源流 こちら195
196:円口類の視覚 こちら196
197:円口類の嗅覚 こちら197
198:エディアカラ紀のトピック こちら198
199:神経堤と頭部プラコード こちら199
200:意識の起源 こちら200
201:意識があるということを示す基本的な要素 こちら201
202:脳の起源をめぐって こちら202
203:刺胞動物のヒストリー こちら203
204:脳の部域化 こちら204
205:脳神経の基本構成 こちら205
206:HOX遺伝子一覧 こちら206
207:われら魚族 こちら207
208:脊椎動物の脳を比較する こちら208
209:栄養と呼吸のために こちら209
210:脳神経整理 こちら210
211:脳神経の入出力 こちら211
212:ロンボメア こちら212
213:小脳とは こちら213
214: 弱電魚の小脳 こちら214
215:肺魚と両生類の脳 こちら215
216:記憶1 長期増強と長期抑制 こちら216
217:記憶2 HMとアメフラシ こちら217
218:記憶3 馴化の解消 こちら218
219:fMRI こちら219
220:多光子顕微鏡 こちら220
221:シナプスの除去とニューロンの刈り込み1 こちら221
222:シナプスの除去とニューロンの刈り込み2 無脊椎動物の場合 こちら222
223:視交叉 こちら223
224:ゲノムインプリンティング こちら224
225:アンジェルマン症候群 こちら225
226:興奮と抑制 こちら226
227:チャネルロドプシン こちら227
228:光遺伝子治療に向かって こちら228
229:ヘリオロドプシン こちら229
230:睡眠-刺胞動物の場合 こちら230
231:レム睡眠とノンレム睡眠 こちら231
232:2相性睡眠の起源 こちら232
233:備忘用 ヒト脳図譜 こちら233
234:大脳皮質 最初の一歩 こちら234
235:大脳皮質の形成 こちら235

画像 wikimedia commons

 

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2024年4月11日 (木)

レム睡眠 サラとミーナの場合

サラは10才くらいまでは毎日うちの隅々まで点検してまわって、少しでも異変があると匂いを嗅いだりぐるぐる回ったりして確認し脳に格納してある地図を更新していました。ですからレム睡眠はきちんとやっていたと思います。一方ミーナはテリトリーや地図などには全く関心がなく、目の前の出来事に対処するだけという生き方だったので、多分レム睡眠の時間は少なかったと思います。

そもそも実験するときはケージの中に実験動物を閉じ込め、理想的な睡眠環境を整えてデータをとっているに違いないので、そのような変化の少ない環境ではレム睡眠の時間が短くなるのではないかと危惧します。それに個体差もかなりあるのではないかと思います。

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サラはきっときっちりレム睡眠を行って、脳の情報更新に努めていたと思います。

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ミーナは日々更新すべき情報は特にないので、ノンレム睡眠だけでも生きていけるのではないでしょうか(多分)。

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こんなに上から圧力をかけられると、サラのレム睡眠もままならないでしょう。

 

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2024年4月 9日 (火)

続・生物学茶話235: 大脳皮質の形成

大脳皮質は外界から得られた情報の処理、判断、判断に基づく行動、記憶の倉庫、など私たちが生存するためだけでなく、自分が自分であるというアイデンティティーを保有するために必要なシステムを内蔵するパーツで、特に脊椎動物の進化と共に発達してきました(1)。まずそれがどのように発生分化するのかをみていきましょう。

哺乳類の大脳皮質は放射状グリア細胞という奇妙な細胞を起源として形成されます。放射状グリア細胞は脳の最深部から外縁まで細長く伸びた特殊な形状をとる細胞ですが、そのような特殊に分化した細胞であるにもかかわらず、非対称分裂を行ってニューロンやグリア細胞を生み出す神経幹細胞のひとつです(2、図235-1)。ニューロンは中間型増殖細胞を経由するものと、放射状グリア細胞の非対称分裂から直接分化するものがあります(図235-1)。脳の神経幹細胞については意外にも多くのことが不明なまま残されており、それがどのような径路を経て神経細胞やグリア細胞に分化するかについては諸説あるようですが(3)、放射状グリア細胞については上記のような理解でよしとしておきます。

後にも述べますが、放射状グリア細胞の基底膜側突起は神経細胞が脳室周辺から外縁方向(軟膜方向)へ移動する際に、登山者にとってのロープのような役割を果たしています。

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図235-1 放射状グリア細胞とそこから生まれる大脳皮質の細胞 文献2の図をもとに作成

次に大脳皮質の組織が形成されてくるプロセスの概要を図235-2に示します。脳室周辺部で生まれた神経細胞は、外に押し出され原始網状層(プレプレート)を形成します。ここまではいいのですが、この後大脳皮質では不思議なことが起こります。通常幹細胞から生まれた細胞は、先にできた古い細胞が外に押し出され、幹細胞→新しい細胞→古い細胞の順に並びます。典型的なのは皮膚の細胞で、表層に近いほど古い細胞で最後は垢になって廃棄されます。

しかし大脳皮質では深部から表層に向かって、幹細胞→古い細胞→新しい細胞という順で並んでいて、このような構造は細胞の特殊な動き(ロコモーション)がないと説明できません。これをサポートしているメカニズムのひとつが放射状グリア細胞の基底膜側突起で、新しくできたニューロンはこの突起を伝って古い細胞を追い越し、外側に移動します(ロコモーション、4、図235-1、図235-2)。

古い細胞を追い越すニューロンのメカニズムは、この他にも細胞体トランスロケーションや多極性移動などが知られています(5)。大脳皮質が層構造になっていない爬虫類では、ロコモーション型のニューロンの移動が観察されないので、層構造の形成にはロコモーションが重要であることが示唆されています(6)。ただし鳥類では下層・上層という層構造は存在し、下層は下部の神経前駆細胞から、上層は上部の神経前駆細胞から生み出されるとされています(7、8)。パリウム・大脳皮質の進化についてはいずれ記事をあらためて議論したいと思います。

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図235-2 大脳皮質の形成プロセス 文献4の図をもとに作成

図235-2は大脳皮質の形成初期には原始網状層という均一な細胞集団だった部分が、発生が進むにつれて最終的に成体におけるI-Ⅵの6層に分化していく様子を示しています。このような組織形成には辺縁帯まで伸びている放射状グリア細胞の基底膜側突起(放射状突起)を利用したニューロンのロコモーションが大きな役割をはたしています。ロコモーションが実行されるとき、ニューロンが外側に移動する過程で先導突起に膨らみ(dilation)が形成され、核が細胞体からその膨らみに移動し、さらに細胞体の細胞質を膨らみに収容することによって移動が実行されることがわかっています(9、10、図235-3)。

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図235-3 Dilation(膨らみ)によつ細胞核の移動とそれを利用したニューロンの移動。文献10の図を参考にして適当に作成(写生したものではありません)

どのような因子がこの膨らみを使った細胞移動に関わっているかということも研究されていて、図235-3に示しています(10-12)。この図を見て私は個人的に思い出したことがあって(昔私たちが発表した研究結果)、それは赤血球の脱核プロセスです。哺乳類の赤血球には核がなく、その成熟過程で細胞は膨らみをつくり、そのなかに核を押し込むような形をつくったあと細胞質分裂を行って核を放出するのですが(13、図235-4)、ここで最後の細胞質分裂をやめ、核の方に細胞質をとりこめば図235-3と同じような結果になります。メカニズムの一部になんらかの共通点があるかもしれません。

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図235-4 ハムスター赤血球脱核のプロセス 核は青、免疫染色のミオシンが茶色です。核は細胞膜に何らかの機構で引き寄せられ、おそらくアクトミオシンのパワーと接着因子によって細胞膜に包み込まれた後、細胞から放出されます。核が細胞の片側に引き寄せられることと、球形の形状からくびれが入った形に変形することはロコモーションのプロセスに似ています。文献13からの引用。

放射状突起を利用したニューロンの移動が阻害されると滑脳症(てんかんや精神遅滞を伴う脳奇形)や統合失調症など、多くの脳疾患が引き起こされると考えられています(14、15)。ニューロンはN-カドヘリンを使って放射状グリア細胞と結合し、放射状突起にからみつくようにして外側に移動していきます(14、図235-5)。図235-5ではニューロンは緑色、放射状グリア細胞は赤色に染色されています。

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図235-5 ニューロンと放射状突起の結合 図は文献14より

ニューロンが移動する際には下部のN-カドヘリンを細胞内にとりこみ、上部にそのN-カドヘリンを移転して結合するというプロセスを繰り返して移動します(14、15)。

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図235-6 ニューロンが「足」を前へ踏み出す仕組み 文献14より

どうして哺乳類だけがニューロンのロコモーションを発達させたのでしょうか? それは脳のサイズが大きいので効率的な移動様式が必要だったからとは言えないと思います。ティラノサウルスは500グラム程度の脳をもっていたと考えられています(16)。ただティラノサウルスの脳がどのような構造であったかはわからないので断言はできませんが。

おそらく恐竜全盛期には多くの哺乳類が夜行性であったことと関係があると思います。続・生物学茶話234でラットのヒゲの話をしましたが(17)、触角によって触った物の形状や質を認識するためには高度な情報処理が必要で、そのために精密な脳の構造が必須だったと思われます。夜に行動するにはヒゲだけでなく手足や体全体の触覚と運動神経の精密な連携も必要だったでしょう。街灯のない山道を夜歩いてみれば、どれだけ神経を鋭敏に研ぎ澄まさなければならないかわかるでしょう。

ほとんどの恐竜が絶滅したあと残った鳥類は脳のサイズに強い制約があることもあって、哺乳類とは別の方式で脳の構造進化を進めたのでしょう。

参照

1)穐吉(あきよし)亮平、加我君孝  
脊椎動物の大脳・脳幹の組織学標本からヒトの脳の起源を探る
Otol Jpn vol.32 (1) : pp.39–46, (2022)
https://www.jstage.jst.go.jp/article/otoljpn/32/1/32_39/_pdf/-char/ja

2)ウィキペディア:放射状グリア細胞
https://bsd.neuroinf.jp/wiki/%E6%94%BE%E5%B0%84%E7%8A%B6%E3%82%B0%E3%83%AA%E3%82%A2%E7%B4%B0%E8%83%9E

3)ウィキペディア:神経幹細胞
https://bsd.neuroinf.jp/wiki/%E7%A5%9E%E7%B5%8C%E5%B9%B9%E7%B4%B0%E8%83%9E

4)脳科学辞典:皮質版
https://bsd.neuroinf.jp/wiki/%E7%9A%AE%E8%B3%AA%E6%9D%BF

5)脳科学辞典:神経細胞移動
https://bsd.neuroinf.jp/wiki/%E7%A5%9E%E7%B5%8C%E7%B4%B0%E8%83%9E%E7%A7%BB%E5%8B%95

6)Tadashi Nomura, Chiaki Ohtaka-Maruyama, Hiroshi Kiyonari, Hitoshi Gotoh, Katsuhiko Ono,
Changes in Wnt-Dependent Neuronal Morphology Underlie the Anatomical Diversification of Neocortical Homologs in Amniote., Cell Reports 31, 107592 (2020)
DOI:https://doi.org/10.1016/j.celrep.2020.107592
https://www.cell.com/cell-reports/fulltext/S2211-1247(20)30541-6?_returnURL=https%3A%2F%2Flinkinghub.elsevier.com%2Fretrieve%2Fpii%2FS2211124720305416%3Fshowall%3Dtrue

7)Ikuo K. Suzuki, Takahiko Kawasaki, Takashi Gojobori, Tatsumi Hirata, The temporal sequence of the mammalian neocortical neurogenetic program drives mediolateral pattern in the chick pallium., Developmental Cell, vol.22, pp.863-870 (2012)
DOI 10.1016/j.devcel.2012.01.004
https://www.cell.com/developmental-cell/pdf/S1534-5807(12)00038-X.pdf

8)鈴木郁夫・平田たつみ 大脳新皮質における神経新生プログラムの哺乳類と鳥類との進化的な保存性 ライフサイエンス新着論文レビュー
DOI: 10.7875/first.author.2012.052
https://first.lifesciencedb.jp/archives/4739

9)Rakic, P., Mode of cell migration to the superficial layers of fetal monkey neocortex. The Journal of comparative neurology, 145(1), 61-83. (1972)

10)西村嘉晃、川内健史 薬理学的アプローチによる大脳皮質形成における神経細胞移動の分子機構の解明 日薬理誌(Folia Pharmacol. Jpn.)vol.153,pp.167~171(2019)
https://www.jstage.jst.go.jp/article/fpj/153/4/153_167/_pdf/-char/ja

11)Shohei Okuda, Mariko Sato, Saho Kato, Shun Nagashima, Ryoko Inatome, Shigeru Yanagi, and Toshifumi Fukuda, Oscillation of Cdc20–APC/C–mediated CAMDI stability is critical for cortical neuron migration ., J. Biol. Chem. , vol.297(2) 100986 (2021)
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC8353494/pdf/main.pdf

12)Yang, T., Sun, Y., Zhang, F., Zhu, Y., Shi, L., Li, H., and Xu, Z., POSH localizes activated Rac1 to control the formation of cytoplasmic dilation ofthe leading process and neuronal migration. Cell Rep. 2, 640–651 (2012)
https://www.cell.com/cell-reports/pdf/S2211-1247(12)00232-X.pdf

13)Hiromi Takano-Ohmuro, Masahiro Mukaida, Kiyokazu Morioka, Distribution of actin, myosin, and spectrin during enucleation in erythroid cells of hamster embryo., Cell motility and the cytoskeleton (Cytoskeleton), vol.34, issue 2, pp.95-107 (1996)
https://doi.org/10.1002/(SICI)1097-0169(1996)34:2<95::AID-CM2>3.0.CO;2-H
https://onlinelibrary.wiley.com/doi/abs/10.1002/(SICI)1097-0169(1996)34:2%3C95::AID-CM2%3E3.0.CO;2-H

14)川内健史 JST・慶應義塾大学プレスリリース 大脳皮質が作られる際に神経細胞が正しい位置まで動く仕組みを解明-脳疾患の原因究明と治療法の開発に前進-
https://www.jst.go.jp/pr/announce/20100826/index.html

15)Takeshi Kawauchi, Katsutoshi Sekine, Mima Shikanai, Kaori Chihama, Kenji Tomita, Ken-ichiro Kubo, Kazunori Nakajima, Yo-ichi Nabeshima, and Mikio Hoshino., Rab GTPases-Dependent Endocytic Pathways Regulate Neuronal Migration and Maturation through N-Cadherin Trafficking., Neuron vol.67, pp.588–602, (2010)
DOI:https://doi.org/10.1016/j.neuron.2010.07.007
https://www.cell.com/action/showPdf?pii=S0896-6273%2810%2900545-3

16)化石セブン 恐竜の脳の大きさ 彼らは何を考えていたのか
https://www.kaseki7.com/z_column/dinosaur_brain_size.html

17)続・生物学茶話234: 大脳皮質 最初の一歩
http://morph.way-nifty.com/grey/2024/03/post-a5a881.html

 

 

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2024年4月 7日 (日)

わが街 北総の桜 - cherry blossom in my hometown

今年も桜が咲きました。いま8分咲きくらいでしょうか。3月30日、31日と急激に暖かくなり、寒い春でのんびりしていた桜もびっくりして咲き始めた感じです。

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Cb3

今年の冬は墓仕舞いとか手術とかで多忙でした。ようやく春が来てのんびりしています。

とは言っても夏の準備も必要です。間一髪間に合ったチケ取り。

これ↓ 高関-シティフィルのカルミナ・ブラーナ💥

Karumina

 

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2024年4月 6日 (土)

ユロフスキ・バイエルン国立歌劇場管弦楽団のマーラー

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バイエルン国立歌劇場管弦楽団の設立は16世紀前半、日本で言えば室町時代にあたります。19世紀にはハンス・フォン・ビューローやリヒャルト・シュトラウス、20世紀にはブルーノ・ワルター、ハンス・クナッパーツブッシュ、ゲオルク・ショルティ、ヨーゼフ・フリッチャイ、カルロス・クライバー、日本でもよく知られているカイルベルトやサヴァリッシュなどが指揮していました。そして2021年からはベルリンフィルに転出したキリル・ペトレンコの後任として、ウラディミール・ユロフスキ-が音楽監督を務めています。ロシアと戦争状態にありながら、国家を代表する2つのオーケストラの指揮者がどちらもロシア人というのはドイツの度量です。

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ユロフスキーはこれ以上やるとフォルムが崩壊するというくらいロマンティックな音楽造りをすることがあり、このマーラー交響曲第4番もそんな演奏です。私はマーラーの音楽の中でもこの交響曲第4番は好きで、例えば第3楽章は有名な交響曲第5番のアダージェットより緻密な構成かつロマンチックなアダージョで、素晴らしい音楽だと思います。とりわけオーボエのソロには心を打たれます(34分38秒あたりからなど)。文学的趣旨としては「旨い食事と楽しい音楽があればそれは天国」という交響曲です。

この動画では 第Ⅲ楽章 Ruhevoll 静かに (poco adagio) - は、30分11秒より開始。もちろん他の楽章もソリスト Louise Alder の歌唱も含めて素晴らしい演奏です。

https://www.youtube.com/watch?v=5WEfgc5D1jg

その他 リヒャルト・ワーグナー トリスタンとイゾルデ前奏曲 などもアップされています。

https://www.youtube.com/watch?v=kybyEjEF0wY

私が持っているのはこのCD↓。こっちはホルストらしく端正かつ壮麗な演奏です。作曲家によってきちんと振り分けて、それぞれわざとらしさが感じられないというのが指揮者の技量だと思います。

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余談ですが、写真を見るとバイエルン国立歌劇場は1F席が15列くらいしかありません。オーケストラピットが幅をとっているので、人の生声を届けるにはこのくらいのサイズが適切だと思います。初台の国立劇場は22列で広すぎる感じです。どうせ来るのは富民だし、それでも公費は投入せざるを得ないのですから、配信を1000円くらいでやって国民に還元すれば良いと思います。

歌劇場の写真はウィキペディアより
指揮者の写真は Alexander Nikiforov 氏の投稿(wikimedia commons)

 

 

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2024年4月 3日 (水)

World music collection 12: Lucy Thomas

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ローティーンの頃からバラードを歌い続けて、ルーシーはいまや米国を代表するバラードシンガーになりました。日本版のアマゾンでも数多くのCDが発売されています。決して鋭くエッジを立てないで、柔らかくじわじわと盛り上げていく歌唱です。

米国でバラードを聴く人々は、信仰心を持って毎週教会に通っているような保守派が中心のような気がします。ですからシンガーも多くがスピリチュアルな曲を歌っています。ルーシーもそのような傾向はありますが、なかでは幅広く曲をとりあげている方でしょう。とはいえ前回とりあげたロシアのアナスタシア・グレボヴァみたいにセクシーを売りにするのは御法度。

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All by myself - Eric Carmen - Celine Dion - Cover by Lucy Thomas

https://www.youtube.com/watch?v=4Y1ThLEezys

エリック・カルメンは今年の3月に亡くなりました。ご冥福をお祈りします。彼は若い頃はラズベリーズというバンドを結成して活躍していたそうです。今、彼がボーカルを担当していたラズベリーズを聴いてみると、桑田佳祐が影響を受けたというのがなんとなくわかります。

https://www.youtube.com/watch?v=7wT_NpsYdes

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The Way We Were - Barbra Streisand - Covered by Lucy Thomas

https://www.youtube.com/watch?v=fduZDYKFl04

この曲を作曲したマーヴィン・ハムリッシュは エミー賞、グラミー賞、オスカー、トニー賞、ピューリツァ賞を受賞した米国音楽史上最高の有名人だそうです。

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You Raise Me Up - Celtic Woman
covered by a sister duet - Lucy & Martha Thomas

https://www.youtube.com/watch?v=dU00EuczOiA
https://www.youtube.com/watch?v=QdRd_nJvl88

バラードシンガーの実力が試される定番名曲をあえて妹のマーサと共に歌う。

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The Climb - Miley Cyrus
covered by Lucy & Martha Thomas

https://www.youtube.com/watch?v=482nqeAl6eU

姉妹が大人になってからのデュエット

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Over The Rainbow - Eva Cassidy - Cover by Lucy Thomas
James Frankland がギターでサポート

https://www.youtube.com/watch?v=n1JvDqck4sM

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A Whiter Shade Of Pale - Procol Harum
Covered by Lucy Thomas

ユーミンはこの曲に霊感をうけて歌手になろうと決意したそうですが
歌詞は難解で どう解釈したらいいのかいまでも謎です
バレエとともに

https://www.youtube.com/watch?v=02a0l2UhsXQ
https://www.youtube.com/watch?v=_9JPLvL4Xgw

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Bridge Over Troubled Water - Simon & Garfunkel
Covered by Lucy Thomas
邦題:明日に架ける橋 で日本でも大ヒットしました。

https://www.youtube.com/watch?v=dWO1HbkBUR8

歌詞について

https://lyriclist.mrshll129.com/simonandgarfunkel-bridge-over-troubled-water/

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Memory - Cats Musical - Andrew Lloyd Webber

https://www.youtube.com/watch?v=4v-cJX17xy4
https://www.youtube.com/watch?v=PgGRvcyAik8

前回グレボヴァの回でもとりあげた名曲。あのセクシーなグレボヴァもかしこまって歌っていました。
http://morph.way-nifty.com/grey/2024/03/post-9c5e91.html

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Footprints in the Sand - Leona Lewis - Cover by Lucy Thomas

https://www.youtube.com/watch?v=-kFoiYfrq0M

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La Vie En Rose - Edith Piaf cover by Lucy Thomas
珍しくシャンソン

https://www.youtube.com/watch?v=-yI3bOKIZKk

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What A Wonderful World  - Louis Armstrong
Covered by a sister Duet - Lucy & Martha Thomas

https://www.youtube.com/watch?v=gHenRzcnBOQ

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Smile - Nat King Cole
チャーリー・チャップリンが作曲した曲
母娘3人で歌う

https://www.youtube.com/watch?v=kNDP2-q9NsY

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Lucy Thomas in Concert - "Somewhere" (There's a Place For Us) - West Side Story

https://www.youtube.com/watch?v=JnnDuQLjdlY

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2024年4月 1日 (月)

イソヒヨドリ - 捕逸

イソヒヨドリの英語を調べたら2つ出てきました。
1)Yellow-bellied Bulbul
2)Blue Rock Thrush

Bulbul はヒヨドリ、Thrush はツグミなのですが、実はスズメ目ヒタキ科だそうです。
学名は Monticola solitarius Linnaeus, 1758
solitarius という学名は多分 solitary (ひとりぼっち)と関連があるのでしょう。
決して群れをつくらないようです。ウィキペディアをみると、つがいでも距離をとることがあると書いてあります。

Linnaeus, 1758 ということはリンネも知っていた、昔からポピュラーな鳥だったようです。

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街灯の上から周囲を眺める


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道路の脇を歩く 車も通るので危ないけど大丈夫か?

 

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