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2024年1月29日 (月)

2023~2024 団地鳥事情

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うちの団地の留鳥は長い間 カラス、キジバト、ムク、ヒヨ、スズメ でしたが、どうも最近事情が変わりつつあるようです。これが地球温暖化の影響か、一時的なものなのかはまだわかりません

シジュウカラは毎年5月くらいにやってきて、7月には他の場所に移動するのが常でしたが、昨年は一部がずっと団地に長逗留して夏が過ぎ、秋が過ぎ、そしてついに現在に至るまで滞在しています。これはもう団地の留鳥といってもいいでしょう。

大規模修繕の時期が来て、昨年秋からずっと建物がベールで被われて窓やベランダから野鳥を見ることができなくなっていますが、春からまた観察できるのが楽しみです。工事の音はうるさいし、車や人がたくさん行き交う状況の中で、留鳥たちは逃げ出しもせずそれぞれの営みを続けているのが頼もしい。ただムクは少なくなった気がします。一方でヒヨはめずらしく群れがやってきました。ごく少数で過ごしていた団地ヒヨドリのジョージ3世たち(今は多分4世になっている)がどうこの状況に対処するのかが心配です。

(写真はウィキペディアより Laiche 氏がアップ)

大規模修繕には大勢の外国人が参加していて、たいてい片言の日本語は話せます。ほとんど素人みたいで「コワイヨー」などといいつつ作業をすすめています。監督は日本人で、これダメだからといって全部やり直させたり、監督自身が結局自分で作業したりしています。

 

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2024年1月27日 (土)

高関健-東京シティフィル@ティアラこうとう 2024/01/27

雲ひとつない快晴の穏やかな冬の土曜日。マエストロ高関はリハや演奏会がない日はずっと家にこもって楽譜に向かっているそうです。しかしそれでは糖尿になってしまうので、夕方になると荒川の河原にカメラを持って出かけ、鳥の写真を撮影するのが趣味とのことで、Xには鳥の写真が満載です(1)。今日はそのマエストロ高関が指揮する東京シティフィルの演奏を聴きに、住吉のティアラ(江東公会堂)に出かけました。チケットは完売で会場は凄い熱気でした。

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今日の目玉はカーゲルのティンパニ協奏曲で、ソリストはオケマンの目等(もくひと)氏が務めます。これは20世紀の音楽ですが、リゲティなどと違って私にはとても理解しやすく、また様々なティンパニの技巧を楽しめる音楽でした。なにか新しい精神世界をのぞけたような気がしました。ティンパニ奏者がメガホンでうなるというのも、音楽的なつながりが感じられてそれなりに違和感は感じませんでした。ソリストはタコにならなければいけないので、身体がやわらかく痩身の目等氏はまさしく適任で、超絶のパフォーマンスを聴かせて(見せて)くれました。特に素手が素晴らしい。最後は例の頭を突っ込むやつで、終演後は皆さん写真撮影に余念がありません。

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後半びっくりしたのは本日のソリストが普通にオケマンとして登場してきたことで、これは今まで多分経験がなかったと思います。ドン・ファンもティルも素晴らしい音で魅了されました。ホルンはあのくらいぶっ放した方がドン・ファンらしいと思いました。ティルもアンサンブル頑張っていました。帰りにオケトラが正面玄関に停車していました。思わず撮影。

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1)https://twitter.com/KenTakaseki?ref_src=twsrc%5Egoogle%7Ctwcamp%5Eserp%7Ctwgr%5Eauthor

 

 

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2024年1月25日 (木)

Walk down the memory lane 5: Sarah

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浜本沙良さんは1994年デビューで、2000年のアルバムを最後に引退したはずですが、なんと2023年にセカンドアルバムの「Truth of Lies」が再発売されました。サードアルバムからは Sarah という名前で活動していました。実はうちのサラは彼女の名前からいただいたものです。

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引退後しばらくは YouTube へのアップもなく、このまま忘れられてしまうのかと危惧していましたが、しばらくぶりに検索してみると、なんと YouTube では大復活していてMVまで出ていたのには腰が抜けるほど驚きました。

それがこれです
https://www.youtube.com/watch?v=GlX3_ICDMgo

やわらかで、かつさわやかな声です。

タワーレコードによるとアンビエント系ポップスだそうで。

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feelin’ blue (作詞・作曲 鈴木恵子・小森義也)
https://www.youtube.com/watch?v=nwRwXhohdQo

ドロドロした失恋ソングも、まるでドビュッシーの音楽を聴いているようなピュアリティー。

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いつも eyes to me(作詞:夏野芹子、作曲:羽場仁志)
https://www.youtube.com/watch?v=lx6TaS5-hJw

この曲や Morning moon をiPodで聴きながらよく朝の通勤路を駅まで歩いていました。
Morning moon はアップされていませんでしたが、下記で聴けます。

Sara Hamamoto (浜本沙良) - Puff (1994) [FULL ALBUM]
Morning moon 25:58
https://www.youtube.com/watch?v=Lw8jIUVbLOI&list=PLDGfmWj8gXJNd7BI_igHRVIpbs4dX-cqU

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さよならは天使のはじまり( 作詞:松井五郎  作曲:羽場仁志)
https://www.youtube.com/watch?v=SJM4kbWkZR8

これがデビュー曲

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What is love
https://www.youtube.com/watch?v=gpbZSZr3xSM

この曲が売れなかったのが致命的でしたが、やっぱり羽場仁志の曲が当時のポップスや歌謡曲から離れていたせいだと思います。でも沙良にはぴったりとはまっていました。

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風の輝く場所で
https://www.youtube.com/watch?v=JfWmIJsjZxw

春ある国に生まれ来て
https://www.youtube.com/watch?v=18YkJep-crk

雲のゆくえ
https://www.youtube.com/watch?v=2HrpQELUcos

くれない
https://www.youtube.com/watch?v=h0ExSh3dPlI

存在
https://www.youtube.com/watch?v=SMxzKerrpBo

ふたり
https://www.youtube.com/watch?v=PqdzOGgJijQ

優しい日々
https://www.youtube.com/watch?v=s9_oISN1t0o

沙良さんはこのブログに直接コメントをいただいた唯一の芸能人でもあります。

お元気でしょうか!?

 

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2024年1月23日 (火)

続・生物学茶話228:光遺伝子治療に向かって

CRISPR(クリスパー)-Cas9システムについてはすでにこのブログで7年前に述べていますが(1)、もう一度簡単に復習しておきましょう。このシステムはもともと原核細胞が感染したウィルスの遺伝子構造を自らのDNAに保管し、再度感染した際にその配列にエンドヌクレアーゼを誘導して切断するという免疫システムです。このシステムを利用すれば、任意の配列のDNAにエンドヌクレアーゼ(たとえばCas9)を誘導して切断できます。切断は2本鎖切断の形でおこなわれるので、生物が持つDNA2本鎖切断修復機能(相同組み換え機能)を利用して、外部DNAを挿入することもできます。

簡単に説明すると、ターゲットとなるDNAに相補的な配列(ガイド配列)と使うエンドヌクレアーゼと結合する部位の両者を持つRNAを制作し、エンドヌクレアーゼ(DNase)=Cas9などを切断箇所に誘導して2本鎖切断を行わせます(図228-1、2)。これによって遺伝子ノックアウト動物を作成したり、切断部位に外部DNAを組み込ませてノックイン動物を作成するなどの用途に用いられます。このシステムを利用して、遺伝子の変異が起きた細胞を正常な細胞に再生するなどということはまだできないので、「遺伝子編集」などという言葉は過大ですが、この技術が開発されてからもう20年以上経過しますので、新たな進歩もあります。今回はその一部を紹介しようと思います。

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図228-1 CRIPR-Cas9 システムの概要

図228-1についてはもう少し説明する必要があります。Cas9というクリスパーシステムの中核であるエンドヌクレアーゼは類似した機能を持つ多くのタイプがあることが知られていますが、いずれ稿を改めて取り扱おうと思っていますので、ここでは詳しく述べません。ただ石野によれば古細菌の90%、真正細菌の50%くらいがクリスパーシステムを持っているようなので、バラエティーが多くても不思議ではありません(3)。例えばPAMという配列を認識してCas9はDNAと結合しますが、それは一定ではなく酵素によって認識する配列は異なります。たとえば化膿性レンサ球菌由来のCas9(SpCas9)のPAM配列は5’-NGG-3’(Nは任意の塩基)ですが、黄色ブドウ球菌由来のCas9(SaCas9)は5’-NNGRRT-3’(RはAまたはG)となっています(4)。

Cas9が機能するためには crRNA+tracrRNA または sgRNA が必要で、Cas9はこのRNAと相補的な配列を持つDNAを切断するとともに、対となっている反対側のDNAも切断します(図228-1)。よく研究されている Streptococcus pyogenes のCas9タンパク質の1次元マップを図228-2に示します(5)。一般的にCasタンパク質はRNAを認識するRECローブとヌクレアーゼ活性を持つNUCローブからなりますが、それらはサブユニットではなく、BH(ブリッジヘリックス)でつながっているひとつのペプチド鎖です(図228-2)。

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図228-2 Casタンパク質の1次構造マップ

Streptococcus pyogenes のCas9タンパク質の場合、NUCローブは一次元的には分離していますが、生物種によっては分離していない場合もあります(6)。また最近よく使われるCas12a(Cpf1)の場合も分離しているものとしていないものがあります(6)。PAMを認識する部分は一般的にNUCローブに存在しています。

図228-3は西増らによって発表された Streptococcus pyogenes のCas9タンパク質の立体構造で、RECローブ、NUCローブ、sgRNA、ターゲットDNAの関係がよくわかります(7)。ただHNHとRuvCという2つのDNA切断活性を持つサイトが離れているので、ダブルストランドが同時に切断されるのではなく、HNHサイトで片鎖が切断された後、なんらかのコンフォメーションチェンジがあって、RuvCでの切断が行われると思われます。

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図228-3 Streptococcus pyogenes Cas9 の立体構造 

佐藤らはアカパンカビの光受容体を使って、「青色光によって結合し、暗所で解離する」というタンパク質のセットを開発してマグネットシステムと名付けました。彼らはCasタンパク質のC末断片とN末断片を分離し、それぞれにマグネットタンパク質を結合させてから青色光を当てることによって、特定の場所と時間を決めてCRISPR-CasシステムをON/OFFすることに成功しました(8-10)。

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図228-4 マグネットシステムを用いた標的遺伝子の切断

このことは将来、たとえば脳の特定の神経細胞の特定の遺伝子をノックアウトするというような、新しい脳疾患の遺伝子治療に道を開く技術であると言えます。このような治療が成功するためには、特にオフターゲット効果が小さい、すなわち標的でないDNAを切ってしまうエラーが少ないことが重要で(増殖を制御している部分を切ってしまうと癌が発生する可能性があるなど)、Cas12a(=Cpf1)はCas9よりもこの点で優れているようです。また青色光ではなく赤外光にレスポンスするセットの方が深部でも反応するのでベターでしょう。

古細菌、緑藻、アカパンカビなどの研究からクリスパー・キャス、光遺伝学、光遺伝子治療などという21世紀の驚異的なイノベーションが生まれてきました。こんなことは高級官僚や国会議員がいくら頭をひねっても思いつくことではありません。「選択と集中」は科学を陳腐なものにしてしまうのがオチであることを心に刻みましょう。研究材料が誰も関心のないような生物であったとしても、その研究者をバカにするのはやめましょう。

参照

1)やぶにらみ生物論95: クリスパー
http://morph.way-nifty.com/grey/2017/12/post-0ba2.html

2)ThermoFischer Accelerating ScienceLearning at the Bench 分子生物学実験関連 そういうことだったのか ! ゲノム編集実験(CRISPR/Cas9) ~第1回 CRISPR/Cas9システムの原理~
https://www.thermofisher.com/blog/learning-at-the-bench/gene-editing_bid_ts_1/

3)石野良純 奇妙な繰り返し配列クリスパーの謎
公研 2021年6月号「私の生き方」
https://koken-publication.com/archives/1036

4)M-hub CRISPR-Cas9とは?原理をわかりやすく解説!
https://m-hub.jp/biology/4829/332

5)西増 弘志 CRISPR-Cas9 の構造と機能 生化学 第 87 巻第 6 号,pp.686‒692(2015)
https://seikagaku.jbsoc.or.jp/10.14952/SEIKAGAKU.2015.870686/data/index.html

6)Alberto Cebrian-Serranom, Benjamin Davies, CRISPR-Cas orthologues and variants: optimizing the repertoire, specificity and delivery of genome engineering tools., Mamm Genome , vol.28: pp.247–261(2017) DOI 10.1007/s00335-017-9697-4
https://www.researchgate.net/publication/317799176_CRISPR-Cas_orthologues_and_variants_optimizing_the_repertoire_specificity_and_delivery_of_genome_engineering_tools

7)Hiroshi Nishimasu, F. Ann Ran, Patrick D. Hsu, Silvana Konermann, Soraya I. Shehata,
Naoshi Dohmae, Ryuichiro Ishitani, Feng Zhang and Osamu Nureki, Crystal Structure of Cas9
in Complex with Guide RNA and Target DNA., Cell vol.156, pp.935–949 (2014)
DOI:https://doi.org/10.1016/j.cell.2014.02.001
https://www.cell.com/cell/fulltext/S0092-8674(14)00156-1?_returnURL=https%3A%2F%2Flinkinghub.elsevier.com%2Fretrieve%2Fpii%2FS0092867414001561%3Fshowall%3Dtrue

8)佐藤守俊 ゲノムの光操作技術の創出 生物工学会誌 第 100 巻 第 8 号 pp.429–432.(2022)
DOI: 10.34565/seibutsukogaku.100.8_429

9)Nihongaki, Y., Otabe, T., Ueda, Y. and Sato, M., A split CRISPR–Cpf1 platform for inducible genome editing and gene activation. Nat Chem Biol 15, 882–888 (2019). https://doi.org/10.1038/s41589-019-0338-y
https://www.nature.com/articles/s41589-019-0338-y

10)東京大学プレスリリース ゲノム編集を制御する新たな技術 ~Split-CRISPR-Cpf1の開発〜 (佐藤守俊)
https://www.jst.go.jp/pr/announce/20190813/index.html

 

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2024年1月19日 (金)

志賀原子力発電所で何が起こったか?

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Hirorinmasa氏撮影(ウィキペディアより)

地震によって志賀原子力発電所(停止中)で起こったこと

1.多数のモニタリングポストが停止
2.外部電源5回線のうち2回線が使えなくなる
3.変圧器が破損
4.非常用発電機が1台停止
5.北陸電力グループ内のネットワーク回線が故障

わかっているだけで これだけのことが起こっているのですから おそらく配管の破断や配線の切断などまだ当局も把握していないような故障はあるに違いありません。

現在志賀原子力発電所は、なんと「人的リソースを復旧作業にメインに割り当てていて、現場によるメディアの取材は受け入れていない状況」でマスコミが取材できないという状況に陥っている状況のようです。

稼働していない状況でマスコミ対応ができないくらい慌てふためいているというのは驚きです。
稼働中に地震が来たらいったいどうなってしまうことやら・・・。
怖すぎます。

北陸電力プレスリリース
https://www.rikuden.co.jp/press/attach/24011799.pdf

原子力規制庁資料
https://www.nra.go.jp/data/000465120.pdf

東京新聞 志賀原発の周辺15カ所で放射線量を測定不能 モニタリングポストが「壊れているのか、埋まっているのか…」
https://www.tokyo-np.co.jp/article/300509

NHK
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240117/k10014325041000.html

読売新聞
https://www.yomiuri.co.jp/science/20240117-OYT1T50192/

白坂和哉ジャーナル 志賀原発の情報がなかなか出てこない理由
https://twitter.com/shirasaka_k/status/1747833706990206981
https://twitter.com/poloon2/status/1747874536102756521

情報速報ドットコム
https://johosokuhou.com/2024/01/19/71990/

清水潔(ジャーナリスト)
https://twitter.com/NOSUKE0607/status/1747755434256331263

 

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2024年1月18日 (木)

World music collection 7: Elle Cordova (2023年に改名 以前は Reina del Cid)

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Toni (left),  Elle(=Reina, Right)

Elle Cordova (2023年に改名 以前は Reina del Cid)

改名の理由
https://www.youtube.com/watch?v=h76JgC3iYLc

Facebook
https://www.facebook.com/ellecordovamusic/?locale=ja_JP

Insragram
https://www.instagram.com/ellecordova/

相方は主に Toni Lindgren ですが、他のプレイヤーと演奏することもあります。

Slip Sliding Away - Paul Simon cover
https://www.youtube.com/watch?v=_3XRbW18NzQ

E-guitar を弾いているのがトニ レイナ(エル)は基本的にはポール・サイモンみたいに人生の面倒な側面を歌うのが好きな人だと思います。とはいえオールディーズのカバーが受けているのも事実。

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What I'm Losing (original song)
Reina del Cid ft. Josh Turner
https://www.youtube.com/watch?v=430qMTESTVk

このブログでもすでに登場しているジョシュ・ターナー(1)に手伝ってもらって歌ったオリジナル。ネガティヴな雰囲気だけど、それはそれでなかなかいいんじゃないかと思う。彼女はこういう曲を歌いたい人  世界中に忘れ物(笑)

1) http://morph.way-nifty.com/grey/2023/12/post-569871.html

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The Sound of You (original song) -
Reina del Cid  Guitar:James Will
https://www.youtube.com/watch?v=GXPCNJBQGwo

とても内向的な歌 

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The Garden (original song)
相棒の Toni と
https://www.youtube.com/watch?v=Mzvw0Hg_G5o

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Take Me Home, Country Roads - John Denver
Reina del cid and friends
https://www.youtube.com/watch?v=q2dbtA_NXpc

私が初めてレイナ・デル・チッドという人を知ったのはこの動画 ストレートに伝わってくるものがありました

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Delta Dawn - Tanya Tucker
Reina del Cid and The Petersens
https://www.youtube.com/watch?v=C9s3Cns_I9I

すでに登場の The Petersens(2) と共演
2)http://morph.way-nifty.com/grey/2023/12/post-d0e0c6.html

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How Deep Is Your Love - Bee Gees cover feat. Josh Turner, Reina del Cid, Carson McKee
Toni Lindgren
https://www.youtube.com/watch?v=6IZphtFaPCE

やっぱりビージーズはハートフェルト カバーしてくれるのは嬉しい

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The Sound of Silence - Simon & Garfunkel cover
Reina del Cid and Toni Lindgren
https://www.youtube.com/watch?v=BZ5CJlccy1A

大ヒットした曲ですが、歌詞は今見ても難解

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Octopus's Garden - The Beatles
Reina del Cid, Toni Lindgren, and Travis Worth
https://www.youtube.com/watch?v=A9U0g-5r4P0

ビートルズがこんな愉快な曲を作っていたとは知りませんでした

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Fireflies - Owl City
feat. Kent Nishimura and Toni Lindgren
https://www.youtube.com/watch?v=KWnH23lgHOY

来日した際に大阪の日本家屋で収録 ケント・西村と共演

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The Lucky One - Alison Krauss
covered by Reina
Guitar - Toni Lindgren
Bass - Andrew Foreman
Mandolin - David Robinson

https://www.youtube.com/watch?v=2gkrkjt86ow

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ライブ Caffe Lena
Runner in the Sun (original song)
https://www.youtube.com/watch?v=xMJzqCaNG3M

ライブ冒頭の配信 コードが未結線で慌てる(笑)

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2024年1月15日 (月)

Walk down the memory lane 4: Itsuwa Mayumi

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Recorded at Paris

五輪真弓ももう50周年を過ぎて、若い方々の中には知らない人も増えてきたと思います。ウィキペディアによると、女性としてはソニー在籍最長を誇るそうです。キャロル・キングに憧れて歌手になったそうですが、なんとデモテープをキャロル・キングに送ったら高評価で、キング自身が米国でのデビューアルバム制作に参加するという夢のようなデビューをした方です。

デビュー当時はかなり独特なテイストの音楽をやっていましたが、しだいに歌謡曲的作風に傾斜していって、「恋人よ」は大ヒットしました。私のお気に入りは12番目のアルバム「窓~せめて愛を~」で、当時(1983年)ちょうどCDの勃興期で、パリで録音されたこのアルバムはレフェレンス的な音質の良さで、CDの良さをみんなに知らしめた1枚だったという記憶があります。

全体的にノスタルジーやゆったり感があって、こういう風な気分で生きられた時代でもあったんだなとと感慨にふけりました。「海と風と砂と」という曲は YouTube では長い間見かけませんでしたが、最近その存在に気がつきました。

海と風と砂と(Sea, wind, and sand)

A watch, lost at seaside
It had been long forgotten.
The memory was lost in the sand.
The sea calls "return here to recall memories"
But seaside is deadly calm.
It's autumn now.

https://www.youtube.com/watch?v=LjHRw7bWM4M

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Wind and Roses

A rose flower in my mind
was lost by a strong wind
But the memories of love remain in my heart

I think this version is the best.
https://www.youtube.com/watch?v=NDzCXlLMzks

Othe versions:

https://www.youtube.com/watch?v=x0wdyfy6Xlw
https://www.youtube.com/watch?v=-cnm4s0jndI
https://www.youtube.com/watch?v=wbu26I5j5YM

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空 (Sky)

The skyscrapers look like a mirage.
But when birds sing, the sky between them
reminds me of the real life therein.

https://www.youtube.com/watch?v=FoqtquoGuQc

https://www.youtube.com/watch?v=kXVySbcnoTw

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せめて愛を (Love, at least)

I'll wait for him untill late in the night.
The baby is crying on my knee.
I may read a fairy tale for you.
Please sleep and dream.
I never turn off the light until he will return home.

https://www.youtube.com/watch?v=A7DFgCf_Czc

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時計(Clock)

Streetpassers look us through windows.
They may think of us as a happy couple.
But he is talking about the subject of separating.
I talk to him seriously while he glances at the clock

https://www.youtube.com/watch?v=CqT8aPApk2A
(start from about 1:00 minute)

https://www.youtube.com/watch?v=CqT8aPApk2A

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抱きしめて (愛は夢のように) Give me a hug

Please come forward and give me a hug
before say goodbye.

https://www.youtube.com/watch?v=dzm0mkQqF1U

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少女  (Girl)

Debut single, Live

https://www.youtube.com/watch?v=7jG8bC9md2s

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1980~  Good days.....

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2024年1月13日 (土)

下野竜也ー都響 ブルックナー交響曲第1番(1891ウィーン稿)

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若い人は知らないと思いますが、東京芸術劇場の5Fへのエスカレーターは現在はこの写真の目線の方向に左側の壁にくっつけて運転していますが、昔は空中を支えもなく、この写真の右側に見えるように空間をただよって1F→5Fに運転していました。3.11のときはそのような状態だったので、いったいどんなに揺れたのでしょうか? 想像するだけでも身震いがします。

今日は首都圏のブルオタ全員集合のような演奏会だったので(めったに演奏されない交響曲第1番)、遠慮してもよかったのですが、あえて出席しました。コンマスはボス矢部・・・雨どころか雪になってしまいました。しかもマイナス4℃。雨男は返上で雪男になるか! サイドはマキロン。まあとりとめのない曲でしたが、部分部分はやっぱりブルックナーで、まあこんなものか? 指揮者はシモーノで素晴らしかったと思います。よくこの曲をここまで聴かせてくれました。ブルオタ勢は盛り上がっていました。最後になりましたが、津田さんのピアノ(モーツァアルト ピアノ協奏曲第24番ハ短調 K.491 )はとても品の良い演奏で感服しました。ただ個人的には20番と21番が圧倒的に好きなんですよね。

ともかく眠りはしませんが眠い演奏会でした。そうだよなミーナ。

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2024年1月11日 (木)

Walk down the memory lane 3: Lorin Maazel

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ロリン・マゼールは2006年に亡くなりましたが、私たちに多くのプレゼントをCDや Youtube に残してくれました。

いまはもう廃れてしまったCD-Rによるロリン・マゼール指揮バイエルン放送交響楽団のマーラー全集。ウィーンフィルとのCDがあるのですっかりマイナーになりましたが、内容はすごいと思います。

うそだと思うならこの Youtube の演奏を聴いてみてください。バイエルン放送交響楽団と演奏したマーラーのアダージェットです。

Gustav Mahler "Adagietto"  by Lorin Maazel and Bavarian Symphony Orchesta

https://www.youtube.com/watch?v=L1ZIG9c8ikE

FCバイエルンと共に

https://www.youtube.com/watch?v=wvFk_E8PfFg

アリアCDの松本社長の解説:EN LARMESからリリースされておそるべき全集録音となったマゼール&バイエルン放送響によるマーラー・ツィクルス。まさに21世紀の誇る最大最高のマーラー演奏。GREAT BOXというレーベルから格安セットで登場。分売もあり。

え お前は退屈だって!? まあ仕方ないか・・・

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2024年1月 9日 (火)

半島のマリア 第14話:捜査(第1話 風穴 から続く)

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 第一発見者がホトケの知り合いだったとは何という幸運だろう。なにしろホトケは外国人らしい上に、スマホもパスポートも所持していなかったのだ。身元が確認できそうなので、関係者から話を聞けば自殺の理由も推定できるだろうし、すぐに処理できる案件だと小室は判断した。しかし検死の結果はあまり芳しいものではなかった。死因がはっきりとしないらしいのだ。結局血液を科捜研で検査してもらうことになって、時間がかかることになった。しかも米国人とはいえなかなか係累がみつからず、引き取り手がないまま屍体を保管することになって想定外の面倒な事態になってしまった。

 そしてしばらくすると、科捜研からとんでもないことがわかったと知らされた。血液から日本でも米国でも使用が許可されていな筋弛緩剤と思われる薬物が検出されたということだ。しかもそれは非常に不安定な物質で死体が凍結状態にあったのでなんとか検出できたが、正確な化学構造は決められないというのだ。
 
 折から富士山の噴火が近そうだと言うことで、県警は多忙を極めていたが、ともかく科捜研の報告を受けて今後の方針を決めるための会議が幹部を集めて行われた。簡単には解決できそうもない殺人事件の捜査本部を立ち上げるのは大きな負担になる。ホトケが外国人でしかも未登録の薬物による殺人と言うことになると、外国の組織による謀殺という可能性が高い。しかしそこで問題になったのは、小室刑事が第一発見者からきいたという、ホトケと関係があったとみられる日本人の女性が同時に行方不明になっているという話だった。そっちは東京の事件なので、投げられるものなら警視庁に投げたいという意見も出た。もちろん合同捜査本部を立ち上げるべきだという意見もあった。しかし会議をやっている最中にもやや大きめの地震が発生して室内灯が点滅しはじめると、みんな黙り込んでしまった。

 そんなときに警視庁から朗報?がもたらされた。マノス社関連の二人の行方不明の件は公安の外事で前からやっているので、今回の山梨の事件は警視庁で非公開の捜査を行なうということだった。県警は一気に安堵の雰囲気で充たされた。しかし「どうぞ」とは言えない。ロスバーグの死体の発見現場はあくまでも山梨なのだ。小室とあと一人英語が堪能な中野を地震関係の動員からはずしてこの事件の専従とし、警視庁の了解をとって捜査に参加させることとした。

 とはいっても警視庁の公安が田舎の刑事と情報共有するはずもなく、結局自分たちが東京で捜査しても黙認するということになったと小室は理解した。とりあえず樹海の死体を通報してくれた二人に会うことからはじめようと、建二が勤めるマノス社に行った。あらかじめ早智さんにも来てもらうようにと連絡を入れておいたので二人から話を訊くことができた。

「先日はご通報有難うございました。今日は亡くなったエディさんのことと、先日伺いました同時期に行方不明になったという玲華さんのことについてうかがいたいのですが」と小室が用件を告げると、建二は「それなら私は顔見知り程度なので、早智に訊いてもらったほうがいいと思います」と答えた。

「では早智さん、エディいやエドウィン・ロスバーグさんのことについて、ご存じのことをお話しいただけますか」
「エディさんのことはあまり知らないんですよ。私の友達の玲華がここからシンガーとしてデビューすることになっていて、同じ会社のエディさんとお付き合いしているという話は聞いています」
「ではエディさんが誰かに恨まれているとか、仕事上のトラブルとかはありませんでしたか」
「わかりません」
建二も「それは知りません」と答えた。
「玲華さんについてはどうですか」
「ふたりが行方不明になった年の夏頃ですが、最近エディが会ってくれないと玲華が言ってました」
「ほう でその理由はわかりますか」
「いえ わかりません。でも京子か田所先生には何か話しているかもしれません」
刑事達は彼らの住所をメモして「ご協力有難うございました」と言い、立ち去った。

 小室らはマノス社の他の社員にも当たってみたが、唯一長谷川部長から有益な情報が得られた。それはエドウィン・ロスバーグはマノスに出向という形をとっていたが、実際には米国政府のエージェントだったということだ。それで血液から検出された特殊な筋弛緩剤や、警視庁の公安が関心を持っていることとつながった。ならば玲華は巻き添えを食った可能性が高い。
 中野は「こんな事件 うちらで解決できますかねえ」と弱音を吐いたので、小室は「若い女性が行方不明になっているんだよ。次はロスバーグの自宅があった場所に行ってみよう」とせきたてた。

 世田谷の閑静な住宅街の一角にあるマンションの管理人は、エディのことをよく覚えていた。「前にも警察に話したんだけど、おとなしくて礼儀正しい人でしたよ。よく日本語で挨拶してくれました」と話してくれたが、「何かトラブルのようなことはありましたか」と訊くと、「神奈川の警察から車が放置されていたので、警察で保管している。引き取りに来るように伝えてくれという電話がかかってきたことがありました。エディさんが不在だったので、管理人に連絡が来たたのでしょう。でもそれから一度もエディさんを見ていません」と答えた。重要な情報だが、こんどは神奈川だ。これは署長を通さないとまずい。しかしまずいついでに残る田所という人物にも会っておこうということで、翌日ふたりは半島の田所の家を訪問することにした。

 早智の教えられたギター教室のパネルのある小径を下っていくと田所の家に着いた。田所は玲華やエディ、そしてひろたんやドローンのことも隠さず話した。ただ玲華の行方についてひろたんに聞いたことだけは話さなかった。

「ああそうだ。広田らが攻撃を受けた吹き矢を1本預かっているんですよ。フリーザーに入れてありますが、持って帰りますか?」と達也が言うと、小室はエディの血液から出た不安定な筋弛緩剤のことをすぐに思い浮かべた。

「それは不安定なものかもしれないので、あらためて準備をして受け取りにきます。それまでそのまま保管しておいてください」と小室は達也に頼んだ。田所邸を辞したあと、京子の家にも立ち寄ったが、残念ながら京子は不在だった。しかしたった2日間の聞き取りで大きな成果を得たことに小室達は興奮した。ただ田所の話に出た旧灯台にも立ち寄ったが、ボタンを押しても応答がなく、駐車場にも車はなくて人の気配が感じられなかった。さすがに撤収したのだろう。事件のストーリーはだいたいわかったが、玲華さんの行方については残念ながら情報は得られなかった。

 山梨に帰ると、いよいよ富士山が噴火するという情報がはいっていて県警には緊張が高まっていた。小室は噴火がおきてしまったら、あのエディの死体の発見現場もどうなってしまうかわからない、もう一度みておこうという気持ちがたかまってきた。帰投翌日、中野に「神奈川はあとにして、ともかくもう一度富士風穴に行こう」と言って、二人で再び死体発見現場に向かうことにした。
 
 富士風穴は観光客もなく、静かに彼らの到着を待っていた。発見現場はそのままというより、崩壊が進んでいてより危険な状態になっていた。中野は「もう一度大きいのが来るとうちらも埋まってしまうかもしれませんよ」としりごみしたが、小室はいさいかまわず穴に降りていこうとしたとき、中野の予想が当たって大きな揺れが来た。小室は階段を踏みそこない尻餅をついた。揺れはおさまらず、大きな崩壊が起こって、砂が舞い上がり何も見えなくなった。ふたりは砂埃がおさまるまでしばらく待つことにした。

 揺れが収まり、しばらくして砂埃も薄らいでくると中野が奇声をあげた「あれー、死体がまた出ましたよ」。土砂の中に人間らしきものが横たわっているのが見える。小室は「なに あ ほんとうだ」ともう一度降りていこうとした。そのとき中野がもう一度奇声をあげた「あれー マグマです マグマ」。小室が洞窟の方を見ると、マグマが一気に噴き出してくるのが見えた。小室は大声で叫んだ「退却だ、退却」。二人は全力で車まで走り、中野が震える手でハンドルをにぎってアクセルをふかした。小室が後方を見ると、マグマの「しぶき」のようなものが見えた。全身の血が逆流してきた。無線をとって小室は署に「噴火が始まりました」と時間と場所、噴火の状況などを報告した。報告を終わり、もう一度後ろを見るとマグマは見えなくなっていた。小室は中野に「事故を起こすなよ、落ち着いて運転しろ。もうマグマは見えないから大丈夫だ」と指示した。小室は心の中で、「これでもう県警でエディ達の事件に関心を持つ者など誰もいなくなるだろう」とつぶやいた。しばらくして中野は「今日見たのは男性のようでした。玲華さんではありませんね」と言った。小室はマグマに埋まってしまうであろう、新たにみつかった死体に手を合わせた。

(完)
 
この作品に含まれる物語はすべてフィクションです。実在の人物、団体、事件などにはいっさい関係ありません。

通読するにはサイドバーのカテゴリー 小説(story) をクリックしていただきますと便利です。なお第14話の写真は wikimedia commons の資料を使わせていただきました。

 

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2024年1月 8日 (月)

続・生物学茶話227: チャネルロドプシン

最初にロドプシンを同定したのは誰か? de Grip と Ganapathy のレビュー(1)のイントロダクションをみると、それは Katharine Tansley らしいです。彼女の論文は1931年に単独名で出版されていて(2)、visual purple という物質が明るい場所では消費されつくしていて、暗い場所に移るとそれが再合成されて次第に見えるようになるというプロセスを測定しています。George Wald はそれがレチナールとタンパク質の複合体であろうと述べていますが、まだ証明できませんでした(3)。結局ロドプシンのタンパク質部分=オプシンの構造は1980年代に Hargrave らによって明らかにされました(4)。そして結晶化されて21世紀以降理研などで詳細な立体構造の解析が行なわれました(5、6)

真核生物のロドプシン(オプシン+レチナール)はGタンパク質共役型受容体(GPCR)型の膜タンパク質で、そこに含まれるレチナールが光が当たることによって異性化し、タンパク質が構造変化を起こしてGタンパク質を活性化するというメカニズムで視覚に貢献しています。古細菌も類似したオプシン+レチナールのGPCR型ロドプシンを持っていますが、それとは別に7回膜貫通型ではあってもGPCRではないライトセンサーも存在することが知られています。このあたりは以前に生物学茶話で書いています(7)。これ(7)は実は個人的にお気に入りの記事です。

しかしここまでの話は、脳科学とは視覚にかかわるという意味でしか関連がありませんでした。神経細胞と関連が深い「非特異的陽イオンポンプ」としてのロドプシンが注目される端緒は、ヘーゲマンらがクラミドモナスという緑藻類でチャネルロドプシンらしき物質を報告した(8)ことでした。ヘーゲマンらは人口が15万人くらいのレーゲンスブルクという田舎町の大学で研究を進めていましたが、この研究はたちまち注目を集め、マックスプランク研究所のプロジェクトとなって次のようなことがわかりました(9)。1)クラミドモナスの細胞膜にあるChR2というロドプシンは、光を吸収することによって陽イオンを非選択的に透過させる 2)ChR2は7回膜貫通タンパク質であり構造的にGPCRと類似しているが、機能的には全く異なり陽イオンを透過させるためのモチーフを持っている 3)ChR2は光を照射することによって細胞を脱分極させる。このことは光照射によって神経細胞の脱分極を誘導できることを意味し、神経生物学・脳科学にとって革命的な意義を持ちます。

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図227-1 チャネルロドプシンによる脱分極 (写真はウィキペディアより)

クラミドモナス(10)は単細胞生物ですが、眼に相当する構造を持っています。眼に光が当たることによってチャネルロドプシンの作用で陽イオンを取り込み、そのタイミングで鞭毛のビーティングを制御して動く方向を決めているようです。詳しいメカニズムについては文献(11)をご覧ください。単細胞生物であるにもかかわらず、私たちの「眼→神経系→運動器官の制御」と同様なことをやっているのには驚かされます。

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図227-2 クラミドモナスの構造 4のアイスポットで光を検知し、1の鞭毛のビートタイミングを決める

クラミドモナスのChR2(チャネルロドプシン2)は最初に動物の神経細胞を興奮させるツールとして用いられたことで有名ですが、現在では多くの研究室で使われています。その開閉メカニズムはタンパク質構造の研究者にとって重要な研究ターゲットですが、東大物性研の柴田らによると、光照射によってレチナールが構造変化を起こした結果、周囲のヘリックスが押し出されてチャネルが開き、流入した水の影響でレチナールのシッフ塩基がプロトン化されることによってもとにもどるというメカニズムのようです(12、13、図227-3)。まあ私のような者にとっては猫に小判ですが、そのような説明で納得しておきます。

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図227-3 ChR2(チャネルロドプシン2)の開閉メカニズム 細菌型ロドプシンの場合、光が当たっていないときはレチナールは直線型(オールトランス)で、光が当たると13シス型となり折れ曲がる

細胞膜7回貫通型でポケットにレチナールを装備するタンパク質=ロドプシンは、光を利用するためのツールとして細菌・古細菌の共通祖先の時代から存在し、真核生物にも引き継がれてきました。真核生物の場合伝統的なオールトランス型に光が当たると13シス型に変化するタイプとは別に、新しく11シス型に光が当たるとオールトランス型に変化するタイプのシステムを開発しました。図227-4では前者の伝統的なタイプのロドプシンの進化的系譜を示してあります(14)。

機能別に分類すると、いまのところ4種のようで、トリチウムポンプ、塩素ポンプ、光センサー、陽イオンチャネルに分類されています。真核生物の伝統的ロドプシンは細菌に近いものと、古細菌に近いものがあり、クラミドモナスなどのチャネルロドプシンは細菌のトリチウムポンプに近いようです(図227-4)。これはミトコンドリアを介して受け継いだものかもしれません。

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図227-4 細菌型ロドプシンの系譜 動物型ロドプシンは11-シス型レチナールを発色団にしていますが、細菌型ロドプシンはオールトランス型を発色団にします。両者は進化の初期の段階で分かれて、それぞれ独自に発展していきました

これらの他にも細菌型ロドプシンには、酵素活性をもつものや非特異的アニオンチャネルや方向性のあるものなどさまざまなタイプが最近みつかっています(15)。ロドプシンは細菌・古細菌・真核生物にみつかっていますが、いわゆる植物にはみつかっていないようです。

 

参照

1)Willem J. de Grip and Srividya Ganapathy, Rhodopsins: An Excitingly Versatile
Protein Species for Research, Development and Creative Engineering., ront. Chem. 10: article 879609. (2022) doi: 10.3389/fchem.2022.879609
file:///C:/Users/Owner/Desktop/%E5%85%89%E9%81%BA%E4%BC%9D%E5%AD%A6/channel%20rhodopsin/de%20Grio.pdf

2)Katharine Tansley, The regeneration of visual purple: its relation to dark adaptation and night blindness., J Physiol., vol.71(4): pp.442-458. (1931)
doi: 10.1113/jphysiol.1931.sp002749
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC1403094/

3)George Wald, CAROTENOIDS AND THE VISUAL CYCLE,
J Gen Physiol, vol.19 (2): pp.351-371. (1935)
https://doi.org/10.1085/jgp.19.2.351
https://rupress.org/jgp/article/19/2/351/11495/CAROTENOIDS-AND-THE-VISUAL-CYCLE

4)P. A. Hargrave, J. H. McDowell, Donna R. Curtis, Janet K. Wang, Elizabeth Juszczak, Shao-Ling Fong, J. K. Mohana Rao & P. Argos, The structure of bovine rhodopsin., Biophys. Struct. Mechanism vol.9, pp.235–244 (1983). https://doi.org/10.1007/BF00535659
https://link.springer.com/article/10.1007/BF00535659#citeas

5)Krzysztof Palczewski, Takashi Kumasaka, Tetsuya Hori, Craig A. Behnke, Hiroyuki Motoshima, Brian A. Fox, Isolde Le Trong, David C. Teller, Tetsuji Okada, Ronald E. Stenkamp, Masaki Yamamoto, Masashi Miyano, Crystal Structure of Rhodopsin: A G Protein-Coupled Receptor., Science vol.289, pp.739-745. (2000)

6)理化学研究所 プレスリリース 視覚に関わるタンパク質の超高速分子動画
-薄暗いところで光を感じる仕組み-
https://www.riken.jp/press/2023/20230323_1/index.html

7)続・生物学茶話 112: 光を感じるタンパク質 
http://morph.way-nifty.com/grey/2020/09/post-453128.html

8)Peter Hegemann, Markus Fuhrmann, and Suneel Kateriya, Algal sensory photoreceptors., J. Phycol. vol.37, pp.668–676 (2001)
https://www.annualreviews.org/doi/abs/10.1146/annurev.arplant.59.032607.092847

9)Georg Nagel, Tanjef Szellas, Wolfram Huhn, Suneel Kateriya, Nona Adeishvili, Peter Berthold, Doris Ollig, Peter Hegemann, and Ernst Bamberg, Channelrhodopsin-2, a directly light-gated cation-selective membrane channel., PNAS vol.100(24), pp.13940-13945 (2003)
https://doi.org/10.1073/pnas.1936192100
https://www.pnas.org/doi/abs/10.1073/pnas.1936192100

10)Wikipedia: Chlamydomonas
https://en.wikipedia.org/wiki/Chlamydomonas

11)植木紀子、若林憲一 緑藻クラミドモナスの走光性と細胞レンズ効果藻類の「眼」の赤い色の役割 Kagaku to Seibutsu vol.55(6): pp.366-368 (2017)
https://katosei.jsbba.or.jp/view_html.php?aid=796

12)東京大学物性研究所 物性研ニュース 光遺伝学の中心的なツール、チャネルロドプシンのチャネル開閉メカニズムを新開発時間分解ラマン分光系で解明! 
https://www.issp.u-tokyo.ac.jp/maincontents/news2.html?pid=18613

13)Keisei Shibata, Kazumasa Oda, Tomohiro Nishizawa, Yuji Hazama, Ryohei Ono, Shunki Takaramoto, Reza Bagherzadeh, Hiromu Yawo, Osamu Nureki, Keiichi Inoue, and Hidefumi Akiyama, Twisting and Protonation of Retinal Chromophore Regulate Channel Gating of Channelrhodopsin C1C2., J Am Chem Soc vol.145(19): pp.10779-10789. (2023) doi: 10.1021/jacs.3c01879.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/37129501/

14)Oliver P. Ernst, David T. Lodowski, Marcus Elstner, Peter Hegemann, Leonid S. Brown,
and Hideki Kandori, Microbial and Animal Rhodopsins: Structures, Functions, and
Molecular Mechanisms., Chemical Reviews vol.114, pp.126-163 (2014)
https://doi.org/10.1021/cr4003769
https://pubs.acs.org/doi/full/10.1021/cr4003769

15)井上佳一 ロドプシンを用いたオプトジェネティクスの最前線 生物工学会誌 vol.100, no.8, pp.420-424 (2022)
https://www.jstage.jst.go.jp/article/seibutsukogaku/100/8/100_100.8_420/_pdf

 

 

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2024年1月 6日 (土)

半島のマリア 第13話:ドローン

Dorone1

 達也は半島の自宅にいたので、東京で何が起こっているのか全く知らなかったが、京子が訪ねてきて詳細を伝えてくれた。達也にも玲華が失踪する理由は全くみつからなかった。これからデビューしようとしている玲華が自ら姿を消すなんてことは考えられない。エディと付き合っていたという話には驚いたが、そういえばエディと会ったときに玲華を呼び捨てにしていたことを思い出した。しかしそのエディも行方不明とはいったい何が起こっているのだろう。京子と共に首をかしげたまま、しばらく沈黙が続いた。しかしじっとしていてもはじまらない。何かをやらなくてはいけない。

「駆け落ちする理由なんてないし、全然訳がわからない。ともかくスマホに連絡がきてるかもしれないから見てみよう 京子もみてくれ」
「わかった。うーん ないわね。そうだ、クラウドストレージになにかあるかもしれないから、念のために見てみるね。あれっ なにかあるわ」
「どれどれ、あーこれは鍵かかってるね」
「鍵かかってる玲華のファイルなんて、見たことない。いやこれフォルダーよ。フォルダーごと鍵かかってる。先生のPCにコピーして調べてみて」
「わかった コピーしよう。これヤバいファイルかもしれないからストレージからは消しとくね」
「そうしてください。こんなの抱えたままスマホを使うのは気持ち悪いし」
「昔会社にいた頃の部下に送って解錠できないか訊いてみるよ。会社には高性能のコンピュータがあるし、そいつはおたくだからなんとかなるかもしれない」
「先生、こんなことやっていて私たち大丈夫ですか?」
「でも玲華の居所を知るためのヒントがあるかもしれないよね。身代金の要求とか誘拐の証拠がなければ、行方不明者の捜索なんて警察が本気でやってくれるとは思えないからね。このフォルダーのことは当分秘密にしておこう。一応早智にも事情を話しておいてくれ。見たかもしれないからね」

 それから数日後にひろたんが達也の家にやってきた。昼食を作ってやって一服すると、彼は達也を散歩に誘って展望台まで行くことになった。達也もそこに行くのは久々だった。

「いつきてもここは気持ちがいい」
「灯台を見ろよ。今日は乗用車のほかに、大型のワゴンが止まっている」
ひろたんは双眼鏡を取り出して、その車を注視した。
「ワゴンは米国式のナンバープレートをつけてる。ひょっとするとネイビーの車かもしれんな」
「だとするとどうなんだい」
「ひょっとするとだが、あそこに玲華ちゃんがいるかもしれないよ」
「ええー それどういうこと?」
「お前は知らない方がいいことだ。明日あそこを訪問する予定なんだ。それで相談なんだが、明日1日お前の家を貸してくれないか、頼むよ ただヤバいことになる可能性もあると思っていてくれ」

 玲華がいるかもしれないなどと言われては、達也もこの申し出を断るわけにはいかない。了承するとひろたんは懐から分厚い封筒を差し出した。達也が断ると、「これは自分からの謝礼ではなくて、必要経費として上から出ているお金なんだ。だから受け取ってくれ。」と懇願された。「上って」と訊くと、「信じられないかもしれないが、米国政府なんだ」とひろたんは素っ頓狂な返事をした。しかし外国の車だの、ネイビーだの、そういえばあの旧灯台は米軍が買収したというような話を不動産屋から聞いたことなどを思い出した。達也がやむなく受けると、ひろたんは「領収書はいらないから」と言った。金額も金額だし、領収書がいらないというのは本当にヤバいことにかかわることになったようだ。

 翌日ひろたんの部下6名が達也の家にやってきた。なにやら作戦を立てているようだったが、家を出て行くときにひろたんは達也に忠告した。「お前はこれからこの家を離れて、旅館にでも行っていてくれないか。夕方までには仕事を片づけて連絡するから」「危険な仕事なのか?」「かもしれないね、そうじゃないことを願っているけど」。達也は最後に「わかった」と言って、一行を送り出した。

 達也はLEDランタンと本を一冊、あとは水とチョコレートをバッグに入れてアルタミラと名付けた洞窟に行くことにした。ひろたんらが何をしているのか気になったが、それでも洞窟で本を読み終えた。時計を見ると3時間くらいたっていた。それから夕方までボーッとしていたが、ひろたんからの連絡は無かった。しびれを切らして、そろそろいいかなと思って家の方にあがっていくと、家の周辺に外国人が数人うろついているのが見えてあわてて草陰にかくれた。薄暮だったのではっきりと確認はできなかったが、彼らは倒れている人間を運んでいるようだった。達也が息を潜めてみていると、すべて運び終えたのか誰もいなくなり、上で車が出る音がした。とんでもないヤバいことが起こったらしい。

 達也は警察に通報した。警察には「しばらく家を明けていたら、庭に数名の外国人が侵入して何かやっていた」とだけ言った。「なにか盗まれた物はありませんか」と訊かれたが「なにも盗まれていない」と答えた。警察は「パトロールを強化しますので、気をつけてください」と言って帰って行った。

 夜になって一人で食事していると、キッチンの床下にある食料保管庫からひろたんともう一人の仲間が出てきた。

「うわっ お前生きてたのか」
「ほんとにヤバいことになってしまった、すまん」
「一体何なんだよこれは」
「あの灯台に侵入しようとしたら、ひとりドローンに吹き矢でやられたんだ。それでここまで逃げてきたんだが、ドローンに追いかけられて、ここで4人やられた。無事だったのは俺たちふたりだけだ。まさかエリア外で武器を使うとは想定外だった。えらいことになったよ」

 あの外国人達が運んでいたのはやはりひろたんのスタッフ達だったのだと達也は納得し、ひろたんにもそれを伝えた。ひろたんは「死なせたかもしれんな。失敗した。俺は切腹だ」とがっくりした様子で言った。しかし彼は気をとりなおしたように「そうだ 外した吹き矢が落ちているはずだから回収しよう」とふたりで庭にでていった。もうあたりは暗かったので、高性能のランタンを煌々と照らしてしばらく探していたが、ようやくひとつみつけて帰ってきた。

「すまんが これをフリーザーに保管しておいてくれないか」と達也に吹き矢を手渡した。達也は了解した。「で やはりあそこに玲華がいるかどうかはわからなかったんだな」と確認すると、ひろたんは「そうだ すまん」と答えた。

「それで今日のことを洗いざらい警察に言っていいのか」と訊くと、ひろたんは
「お前がそうしたいのなら言ってもいいよ。でもこれは警察の手に負えることじゃないんだ。」と言った。続けて「明るくなったら奴らが外した吹き矢の回収にくるはずだ。今夜暗いうちに逃げた方がいい。俺たちの車に乗れ」と言った。

「ここは俺の家だぞ。逃げてそれからどうするんだ」
「すまん。とんでもない迷惑をかけたが、移住の費用は出ると思う。ただ俺も上司も今回の件でクビになりそうなので、決断は早いほうがいいよ。とりあえず今日は東京のホテルに泊まれ」

 死人が複数出ているような事件だ。これはもうひろたんの言う通りにするしかないと観念して、達也は荷物も持たずに暗い道を駐車場までひろたん達と歩いた。うまれてはじめての恐怖の行進だったが、ようやく車までたどり着き、東京に向かった。車の中で達也は「お前らこんなヤバいことをやっているのに、武器は持ってないのか」と訊いたが、「バカ言え、ここは日本国だぞ。発砲して警察がでてきたらどうするんだ。それにしてもドローンに吹き矢を装備するとは想定外だった。俺たちの負けだ」という答えだった。「じゃあ玲華はどうなるんだ」と達也は答えを期待しないでつぶやいたが、やはり誰も次の言葉は発しなかった、

 2ヶ月ほど経過して、第7艦隊司令官とハミルトン大統領補佐官が解任されたことが英字新聞で報道されたが、関心があるマスコミのウォッチャー達もなぜだかはわからなかった。その頃達也は昔の部下から「遅くなってすみません。コンピュータの予約取るのも大変なんですよ。この間のフォルダーの件ですけど、米軍の原子力潜水艦でトラブルがあって、エドウィン・ロスバーグさんはその件を調査していたようですよ。もう少し時間をいただければ報告書にして送ります。田所さん一体何をやっているんですか」という連絡を受けた。達也は「有難う。そうしてくれ。詳しいことが訊きたければ会って話すよ」と礼を言った。

 やっぱりエディも玲華もひろたんも米軍関連の事件に巻き込まれて酷い目に遭ったのに違いない。しばらくひろたんの忠告とサポートで東京のホテルで生活していたが、達也は移住するのはやめて、やはり半島の家に帰ることにした。ひろたんに連絡したら、彼は米国での仕事を終えて、日本で警備の仕事を探しているそうだ。そして朗報がもたらされた。ひろたんによれば玲華は米国で生きていることがわかったそうだ。ネイビーがサポートしているので生活には困らないが、居所は不明で日本にも帰れないとのことだ。そしてそのことは家族には話さないでくれと釘をさされた。確かに家族が騒ぎ出すと玲華が消されるかもしれないということは達也にも理解できた。

 

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2024年1月 4日 (木)

2024初詣

運転免許を返上してはじめての初詣。1時間に1本しかないバスをつかまえて神社最寄り駅で降りますが、車ならあっという間に着くはずの神社まで20分もかかりました。歩道のない一車線の道を車がバンバン通るので結構危険です。うーみゅ、来年からどうするか考えねば。

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元日に来ると、この階段の下から並んで20分くらい行列で渋滞しますが、3日にくるとこんな感じです。まわりは鬱蒼とした森ですが、そのさらに外側は広大な太陽光パネル、廃棄物保管場、農園、中古車展示場、など日本の田舎の風景です。

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ユーモラスなドラゴンの手水

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境内のほぼ全容

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元日はこのたき火のまわりに人垣ができるのですが、誰もいません。雑煮は無料です。毎年健康を祈って参拝しますが、コロナが5類になっても鈴の麻縄は撤去されたままで、鈴は鳴らせません。おみくじは中吉でした。

 

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2024年1月 2日 (火)

能登半島の地震

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正月早々の大地震で、被災した方々のご無事を祈ります。

不幸中の幸いは近隣の原発が停止中だったことです。そんな中でも志賀原発にはいくつかの異常がみられました(1)。志賀原発は以前にも臨界事故を起こし、しかもそれを隠蔽したという「実績」があるため(2)、北陸電力・原子力規制庁の発表は額面通りには受け取れません。実は相当ヤバいことになっていたようです。だいたい地震でモニタリングポストが停止するなんて、なんのためにモニタリングポストを設けているのかわからないじゃないですか。配管は相当壊れているようですし、もし稼働中だったらどうなっていたか考えるとゾッとします。

そして次々と出てくる新(真)情報(3)。どうしてこんなウソばっかりつくのだろう? まともな会社とは思えません。

1)情報速報ドットコム 速報 志賀原発の冷却ポンプが一時停止、一部の冷却水が出水 志賀原発と柏崎刈羽原発 原子力規制庁「現時点で異常なし」
https://johosokuhou.com/2024/01/02/71508/

2)ウィキペディア:志賀原子力発電所
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%BF%97%E8%B3%80%E5%8E%9F%E5%AD%90%E5%8A%9B%E7%99%BA%E9%9B%BB%E6%89%80

3)情報速報ドットコム 志賀原発で3メートルの水位上昇と事後報告!防潮壁の変形(傾斜)も確認!会見では「有意な変動は確認されなかった」と説明
https://johosokuhou.com/2024/01/03/71564/

(図は(2)に出ていたものを改変しました)

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2024年1月 1日 (月)

カール・ダイセロス 「こころ」はどうやって壊れるのか (Karl Deisseroth: Projections a story of human emotions)

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カール・ダイセロス著 「こころ」はどうやって壊れるのか 最新「光遺伝学」と人間の脳の物語
大田直子訳 光文社 2023年刊

Projections by Karl Deisseroth : Penguin Random House LLC (2021)

このブログで以前に多光子顕微鏡について記したことがあります。多光子顕微鏡を用いれば、頭蓋骨に穴を開ければ、1mmくらいの深度まで生きたままの脳の組織を検鏡できるようです。マウスの場合大脳皮質の厚みは1mm以下なので、ほとんどの皮質の細胞が観察できます(1)。ということはそこまで光が届くと言うことで、この赤外光に反応するロドプシン(タンパク質の部分はオプシン)の遺伝子を神経細胞のゲノムに組み込んでおけば、特定の細胞に光を当てることによってロドプシンを活性化することができます。

ヒトの場合ロドプシンは膜7回貫通型のいわゆるGタンパク質結合受容体ファミリーであり、Gタンパク質が光が当たったという情報を細胞に伝えて視覚情報処理が行われます。ところが2002年にペーター・ヘーゲマンがクラミドモナスという藻類に光が当たると陽イオンを透過させるチャネルロドプシンがあることを発見し、この遺伝子を生物に組み込めば光をあてることによって神経細胞を興奮させることができるようになりました(2)。誰も気にとめないような藻類の研究が、神経生物学の革命的進展ひいては精神病の治療に光明をもたらすことになったのです。

組織の深部に光を届かせるには赤外光に反応するチャネルロドプシンが必要ですが、その開発は日本で行われています。井上圭一らはロドプシンのアミノ酸を改変することで、従来より長波長の光で操作が可能な新しい人工ロドプシンタンパク質を作製することに成功しています(3)。その他多くの研究者の努力によって、光遺伝学というジャンルの科学が発展しました(4)。その中心人物がこの本の著者カール・ダイセロスです(5)。

ダイセロスはもともと精神科の医師であり、この本も光遺伝学の解説書という体裁ではなく、病気の種類によって章をわけてある精神医学の本という形をとっています。それはいいのですが、彼は文学にも造詣が深いらしく、たとえば「だがその瞬間、記憶の、というか私自身の物語の、細くて切れやすい巻きひげが表面に這い出てきた」などというまわりくどい文学的表現に満ち満ちていて、読んでいてイライラします。とはいえアンドリュー・パーカーの「眼の誕生」ほどひどくはないので、我慢して最後まで読んでみました。

ひとつ驚いたのはダイセロスが医師なのに、まるで生物学者のようにいつも進化について考えていることです。人はサルから急激に脳だけ巨大化した特殊な生物です。ですからその進化の過程で無理が発生していることは十分に考えられ、ダイセロスはそのことに注目しているようです。確かにそれは急激な変化であり、自然淘汰によって整理されるにはまだ時間が必要だと思われます。ヒトは人権の問題があるので、自然淘汰はしにくい生物ですが、その分遺伝子工学や医療の進展によってそれを補うことができます。

境界性人格障害について述べた第4章には驚きました。この精神障害の原因が、幼少期のストレスと無力感が松果体の手綱の活動を強めたためという可能性があるという記述は、非常に興味深いものがあります。手綱の活動はドーパミンニューロンを抑制し、人をネガティヴにするのです。ならばその手綱の活動を抑制すればこの病気を治療できるのではないかと思いますが、著者はそこまで言及していません。現時点ではそれはできないからでしょう。

拒食症や過食症には進化上の意味があると思います。前者は少ない食料でも生きられる個体を選別するシステムのエラーだと思われますが、これは飢えを経験しない動物は地球の歴史上なかったに違いないので、いかにもありそうな病気です。後者は過度な食事によって体内に蓄えを作ることができる個体を作るためだと推測されます。熊のように体内に蓄えをすることができれば、冬眠が可能になります。冬眠できる動物は、種が絶滅しそうな大災害が起きたときにも個体を残すことができます。これは少ない食料でも生きられる個体を作るより、さらに種の存続に有効かもしれません。

統合失調症については、誰かに操られるという感覚は宗教と密接に結びついていると思います。急激に脳が発達する過程で十分に全体を統合できず、統合できない部分が脳にできやすくなったということは進化のプロセスとして理解できます。欧米人は子供の頃から聖母マリアや家畜小屋で生まれたジーザスや東方の3賢人などをはじめとする聖書の話をさんざんきかされて育つので、自分以外に神があやつる自分という部分が脳に形成されるようトレーニングされています。

では日本はどうでしょうか? 日本国憲法も一条から八条までは天皇に関するもので、非科学的な実体によって心があやつられることを宣言し容認しています。憲法第二十条では「国及びその機関は、宗教教育その他いかなる宗教的活動もしてはならない。」という規定があるにもかかわらずです。それでも太平洋戦争以前に比べると大幅に「進化」したとは言えるでしょう。生物学的タイムスパンでは進化など語るのもおこがましい千数百年前の最近まで、日本は卑弥呼などのシャーマンが支配する国であって、そのお告げによって人が操られていたのです。最近でも文鮮明によって操られている人々がいることが問題になりました。そんな人々を統合失調症とは言わないのでしょうか? いや人は自分という統合体とは別の脳の部位によって操られる危険性を誰でも持っているのでしょう。

この本は光遺伝学について知りたいという人にとっては期待外れですが(実は巻末に東大の加藤秀明氏が「オプシンと光遺伝学」というタイトルでかなり長い解説を書いています)、脳の進化と病気についていろいろと考えさせてくれるという意味では良書だと思います。最後に専門家としてひとこと言わせてもらえば、鬚が先にあってその後体毛ができたというような考え(p159)は間違っていると指摘したいです。というのは鬚の構造は体毛より圧倒的に複雑で、これが体毛より先にできたというのは進化的にあり得ないと思います。鬚で暗闇を探るような生活をする前から、キノドンなどの単弓類の一部は寒さをしのぐために体毛を持っていたに違いありません。キノドンが繁栄していたのは恐竜が繁栄するひと時代前のことです。


参照

1)続・生物学茶話220:多光子顕微鏡
http://morph.way-nifty.com/grey/2023/09/post-c627c3.html

2)ウィキペディア:ペーター・ヘーゲマン
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9A%E3%83%BC%E3%82%BF%E3%83%BC%E3%83%BB%E3%83%98%E3%83%BC%E3%82%B2%E3%83%9E%E3%83%B3

3)科学技術振興機構プレスリリース 光でイオンを輸送するタンパク質、ロドプシンの吸収波長の長波長化に成功~脳深部の神経ネットワークを解明する技術へ~
https://www.jst.go.jp/pr/announce/20190510/index.html

4)ウィキペディア:光遺伝学
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%85%89%E9%81%BA%E4%BC%9D%E5%AD%A6

5)カール・ダイセロス
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AB%E3%83%BC%E3%83%AB%E3%83%BB%E3%83%80%E3%82%A4%E3%82%BB%E3%83%AD%E3%82%B9

 

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