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2023年11月29日 (水)

半島のマリア 第10話:ワシントン

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 ハイデン大統領は毎朝数名の補佐官と朝食会を開催するのを習慣としていた。いつもは冗談も飛び交うなごやかな雰囲気なのだが、その日はロバート・アーウィン補佐官から重要な報告があるというので緊張した雰囲気でみんなアーウィンを待っていた。アーウィンは最後にやってきた。

大統領「ボブ、眠そうだが大丈夫か」

アーウィン補佐官「ご心配には及びません。では始めます。昨日カーチス弁護士事務所から連絡があって、緊急に話があるというので会談しました。弁護士の話では東京の事務所にネイビーのある下士官がやってきて、「ホワイトハウスに伝えて欲しいことがある」と言ってとんでもない話をしたというのです。その内容というのは今年の4月10日に最新鋭の潜水艦「ブルーシャーク」が日本近海で深夜浮上航行しているときに、その下士官は甲板で風に当たっていたそうなんですが、何かを海に投下する音がしたので、そちらの方に行ってみると暗くてよくわからなかったらしいですが、ガイルス副艦長らしき人がいて、慌てた様子で海に飛び込んだと言うのです。彼はすぐに艦長に報告したのですが、部屋を出るなと言われて艦長だけが部屋の外に出て30分くらいして帰ってくると、厳しく他言を禁止されたそうです。翌日艦は横須賀に入港したのですが、点呼の時ガイルス副艦長はいなくて、あれはやはり副艦長だったんだと確信したそうです」

大統領「それでネイビーには事情を訊いたのか」

アーウィン補佐官「この件について問い合わせると、ガイルスは休暇中だが連絡がとれないというのです。ブルーシャークから紛失した物品はないか訊いたのですが、そのような報告はないということでした」

大統領「隠蔽か? どう思うハミルトン」

ハミルトン補佐官「ともかく真相がどうなのかを至急確かめる必要があります。間違いやいたずら以外に謀略の可能性もありますしね」

アーウィン補佐官「情報が確かなら、ともかく投下された中身が何だったのかというのが一番の問題ですね。あとガイルスの生死と生きていればどこに居るのか。彼が飛び込んだ場所から海岸までは2kmくらいなので泳げない距離ではありません。いずれにしても、もっと詳細な情報が必要です」

ハミルトン補佐官「まさか核弾頭じゃないと思うが、重要書類とか、密輸品、ドラッグ、プルトニウムの可能性も無しとはしないね」

アーウィン補佐官「ネイビーは隠蔽しているのかもしれないので、そこにとりあえずさわらないとすれば、真相を調査するスタッフを調達する必要があります。とりあえず情報提供者とガイルスについては私たちも調べますが」

大統領「極秘で調べるにはシークレットサービス(SS)を使うしかないかな。DHS(国土安全保障省)の長官は懇意だからそこから漏れることはないと思う。しかし公的機関を使う前にまず民間か民間を装ったスタッフを使って調査の下準備をさせようと思う。ネイビーに直接調査団を差し向けてヘソを曲げられても困るし、下手をすると選挙に響く。まず情報提供者を特定して極秘でエージェントと接触させよう どうだボブ」

アーウィン補佐官「下準備といっても民間まかせというわけにはいかないでしょう。軍関係やCIAを使わないのなら、SSから民間人を装うサポートチームを出しましょう。」

ハミルトン補佐官「それならヒロタというベテランスタッフがいますよ。日本語ネイティブです」

大統領「信用できるのか?」 

ハミルトン補佐官「もう20年くらいSSの仕事をやっていますし、問題ありません。私の友人でもあります」

大統領「わかった。じゃあヒロタに必要なスタッフをつけてなるべく早く日本に送れ。SSを派遣というのはまずいので、どういう形にするかはあとで考えよう。民間人の方はマクマホンを使おうと思う。彼は私の古い友人で信用できる男だ。、日本へビジネスを広げようとしているのでちょうどいいし、私の頼みはきいてくれると思う」

ハミルトンもアーウィンもマクマホンは以前に大統領に紹介されていて、大統領が出席するパーティなどでも何度か会っており、知己があった。

ハミルトン補佐官「ではヒロタをマクマホンのスタッフとして日本に送り込みましょう。この調査案件はボブが統括しますか、それとも私がやりましょうか」

大統領「君と言いたいところだが、わかったことは直ちに私に報告するようにしてくれ。指示は私が直接したいので。それでいいか?」

ハミルトン補佐官「わかりました」

大統領「では他の者は今日の話は聞かなかったということにしてくれ。マクマホンには私から直接頼んでみる。費用に制限はかけない。この件のすべての情報はボブとハミルトンと私の3人で、できる限り時間のずれなく共有するということでいいな。」

 補佐官達が退出すると、大統領はすぐにマクマホンに電話で連絡を取り、ホワイトハウスに来てもらって、アーウィンとハミルトンも同席して任務遂行の了解をとった。マクマホンによれば、日本進出のためにすでにマノスという会社と提携していて、社員もひとり東京に送り込んでいるそうだ。エドウィン・ロスバーグという海兵隊に所属した経験もある信頼できる男なので、スタッフを送り込むのなら彼と接触してくれということだった。大統領らは情報提供者が判明したら、サポートスタッフがすべてお膳立てした上で、そのロスバーグと情報提供者を接触させようという段取りを決めた。

 

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