Shall
「You shall die」という台詞は古い小説に出てくる死語だと思っていましたが、スコセッシ-デ・ニーロの映画「タクシードライバー」で、裏社会の男がこの言葉を絶叫しながら襲ってきたときにはびっくりしました。shall には must や have to にはない何か見えない掟のようなものに支配されているようなニュアンスがあります。このニュアンスの言葉は日本語にはないのではないでしょうか?
Shall でもうひとつ忘れられないのは、ジョーン・バエズ(Joan Baez) が歌っていた We shall overcome という歌です(1)。日本語では「勝利を我らに」と訳されていますが、それだと「神よ、勝利を我らに与え給え」というニュアンスがあります。バエズがもし宗教的な人間ならそういう意味で歌っていたのかもしれません。ウィキペディアによると、もともとはチャールズ・ティンドリーという黒人の牧師が歌っていた霊歌が原曲で、公民権運動の象徴としてピート・シーガーがとりあげて世に出たそうです(2、7)。
なのですが、やはり Shall には神への祈願とは違う種類の意志、must や have to には無い自発的な意志+超自然的な力を感じます。「We shall overcome」はワシントン大行進など人種差別反対運動でも歌われましたが(3)、ジョーン・バエズ自身が2010年にホワイトハウスでオバマ大統領の前で唄ったことで、この歌は反政府運動の象徴としての役割を終えたのかもしれません(4)。
ところが中川五郎によって再生されて、日本では引き続き歌われるのかもしれません(5)。
美しい男声合唱(6)。
国連難民支援チャリティーコンサート@世田谷区民ホール(8)。
これ一番好きかも(9) でも結婚式で歌うのは意味深
1)Joan Baez - We Shall Overcome
https://www.youtube.com/watch?v=nM39QUiAsoM
2)ウィキペディア:勝利を我らに
こちら
3)ワシントン大行進(1963)で唄うジョーン・バエズ
https://www.youtube.com/watch?v=nuSih-Z30TY
4)ホワイトハウスで唄うジョーン・バエズ
https://www.youtube.com/watch?v=Yl5X8n1hDP4
5)We Shall Overcome 2012 中川五郎
https://www.youtube.com/watch?v=QXsTaeHaDQk
https://www.youtube.com/watch?v=9x5EfwlhGIM
6)Morehouse College - We Shall Overcome
https://www.youtube.com/watch?v=Aor6-DkzBJ0
7)Pete Seeger, We Shall Overcome
https://www.youtube.com/watch?v=M_Ld8JGv56E
8)TAEKO With G.M.C
https://www.youtube.com/watch?v=26ylTlOapls
9)Les Gospel Church
https://www.youtube.com/watch?v=FziBcjV8ub8
| 固定リンク | 0
「音楽(music)」カテゴリの記事
- Walk down the memory lane 13: The music of Hirota Mieko(2024.11.27)
- ティアラこうとう(2024.11.24)
- 東京シティ・フィルさん おめでとうございます(2024.11.18)
- Walk down the memory lane 12: Teichiku age of Nishijima Mieko テイチク時代の西島三重子(2024.11.12)
- タビター都響:展覧会の絵@サントリーホール2024/11/03(2024.11.03)
コメント