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2023年4月29日 (土)

回復しました

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ひどかった偏頭痛的な頭痛がほぼ解消し、喉の腫れもなくなって、調べ物ができるようになるくらいに回復しました。ご心配かけて申し訳ありませんでした。これからは従来のペースで、更新していこうと思っておりますのでよろしくお願いします。コロナだったのかもしれませんが、真相はわかりません。コロナは消滅したわけでは無く、現在はXBB株に猛烈な速度で置換されつつあるようです(1)。

1)こちら



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2023年4月26日 (水)

小泉-都響 スコットランド交響曲@東京芸術劇場2023/04/26

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病み上がりですが、今日の演奏会は私としてはかなりの空白があって久しぶりなので、ともかく行くことに決めました。咳がでない風邪であることが決め手となりました。コンマスはボス矢部でやっぱり雨でした。しかし今日に限っては傘がステッキがわりとなってOK。都響はコンマスの採用に手間取っているようで、ボス矢部氏もさぞかし大変なことだろうと思います。今日の指揮者は名コンビの小泉さん。サイドはマキロン。

「運命の力」序曲がはじまると、ちょっと金属的な1Vnが聴こえてきて、そうそうこれこれと安心します。金川(かながわ)さんのVnは2年前にも秋山さん指揮の都響で聴いたことがあって、シベリウスのコンチェルトでVnパートを発狂させたことが印象に残っています。そこで、すごいけど金太郎飴のおそれありなんて書いてしまったのですが(1)、それがとんでもない間違いであることは今日の演奏で明らかになりました。

曲はメンコン。金川さんは銀色のドレスに黒のベルトで、これは今日は「いぶし銀」でいきますよというメッセージだったのでしょうか? 金川さんは朗々とした音で押し出しの強い超正統派の人かと思っていたわけですが・・・、むむう かそけくも繊細な出だし。その後も自然の微風で葦がそよぐような演奏で度肝を抜かれました。ヴァイオリンに合わせて芸風を転換したのでしょうか? だけど嫌いじゃないですよこの演奏。だって他では聴けませんから。実はすごく細かいところまで考え抜いて設計した演奏だとも思います。

金川さんの演奏で発狂したなかのひとりである山本翔平氏がインタビューしている動画があります(2)

メインは同じメンデルスゾーンのスコットランド交響曲。小泉-都響の演奏は神域に達していると思います。


1)過去記事
http://morph.way-nifty.com/grey/2021/06/post-1004fd.html

2)https://www.youtube.com/watch?v=KqT2iojzej0

 

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2023年4月25日 (火)

脱力感と頭痛と喉のヒリヒリの毎日

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軽減したものの、まだ症状は残っていて正常な自分にはもどれていません。偏頭痛的なのが周期的にやってきてキーンときます。喉もペラックT錠がなければ今頃餓死していたかもしれないので、この薬にはお世話になっています。

それにしても私の場合鼻水や咳も全くないので、ウィルスは鼻にも気管支にもきていないと思われます。熱もありません。咽頭と神経にしかこない感染症なんてはじめての経験です。BAZZARのサイトをみると(1)、頭痛はオミクロン株の主要な症状で、頭痛薬を飲めと書いてありました。

咽頭から神経に来たとすると迷走神経経由か? だとすると精神や私の弱点である腎臓にもダメージが来る可能性があるので嫌な気分ではあります。もう十分医者に行ける体調ではありますが、まあ頭痛薬とトラネキサム酸を出して終わりでしょうね。

1)この頭痛は新型コロナのオミクロン株感染が原因? 症状について知っておくべきこと
こちら

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2023年4月24日 (月)

XBBだったのだろうか?

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図:IgM

ひょっとするとコロナの最終電車?に乗ってしまったのかもしれません。20日の記事はもうできていたのでスイッチを押せばよかったのですが、サボテンの花が咲いたのには驚きました。気づくとキャンディやチョコレートを除く(食べないので当然)すべての物がなくなってきていて、コンビニ・ドンキ・ペットショップ・スーパー・ドラッグストアに直ちに行くことが必須となりました。無事に回ってこれるだろうか?

昨夜くらいからIgM(図 ウィキペディアより)が働き出して症状が軽くなってきたのでしょう。XBBなどというのは昔のコロナとは縁遠いものなので、ワクチンを射っていたって役には立ちません。数日間何も調べ物ができなかったというのはブロガーにとっては痛い空白です。まだ完治していないので、IgGができてきて完治するまで、しばらくは埋め草を考える方に苦慮しそうです。

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2023年4月22日 (土)

サボテンの再生

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このサボテン(マミラリア)はブログの過去記事によれば、少なくとも2007年にはうちに居たので、15年以上栽培していることになります。主幹が地面を這うように伸びてしまったので切断し、支幹だけになって花も咲かせなくなりました。しかし3年経ってようやくまた花を咲かせてくれるようになりました。規則正しく可憐な花を咲かせてくれます。

私は実はここ3日ほど寝込んでいて体調がすこぶる優れません。数十秒おきに頭部のある部分に激痛が走ります。両手が急にかゆくなって1時間くらいそれが続きました。喉の腫れは薬で軽減しています。熱はありません。ただ昨日よりはすべて軽減しています。

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2023年4月20日 (木)

続・生物学茶話208 脊椎動物の脳を比較する

ダーウィンフィンチとはスズメ目フウキンチョウ科の鳥で、数百万年前に南米大陸からガラパゴス諸島に飛来し、その後飛来途中で経由した島々が消滅したためガラパゴス諸島で独自の進化を遂げたとされています。ダーウィンが進化論の基盤にしたといわれている鳥たちで、実際このグループにおいて新しい種ができる過程をデイヴィッド・ラックが報告しています(1、2)。

図208-1にみられるように、エサの種類によって嘴の形が大きく異なる方向で進化したことがわかります。上の2種は硬いナッツを割って食べるので大きくパワフルな嘴を持ち、下の2種は昆虫を食べるために繊細な嘴になっています。これだけ形が変わると筋肉の種類とかパワーとか動かし方も変わるので、それらの特質がセットとなって進化しなければいけません。また嘴が巨大になったからと言って体全体がマッチョになる必要はないので、他に影響を与えず部分的に強力な筋肉ができるようなメカニズムが必要です。

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図208-1 ダーウィンフィンチ

ここで脊椎動物の脳の形態を復習しておきます。図208-2ではでは脳を5つのパーツ(H:hindbrain 後脳, C:cerebellum 小脳, M:Mesencephalon 中脳, D:Diencephalon 間脳, T:Telencephalon 終脳 or 大脳)に色分けして表示してあります。おおよその相対的な位置は、円口類であるヤツメウナギを含めて決まっていますが、hindbrain を除いた他の4つのパーツは大きさや形態がかなりグループによって異なります。

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図208-2 脊椎動物の脳の構成

そして同じ哺乳類でも、マウスとヒトとでは脳の形態は著しく異なります(3、4、図208-3)。これはヒトの脳では終脳(大脳)というパーツが異常に巨大であることがその最大の理由です。ヒト科の生物は440万年前に出現したアルディピテクス・ラミダスでは脳の容積は300~350ccだったのが、40万年前のホモ・ハイデルベルゲンシスでは、ほぼ現代人並の1400ccとなっているなど、たった400万年の間に著しい変化がみられます(5)。これは脳全体が大きくなったというより、終脳が著しく肥大したためです。ダーウィンフィンチの嘴と同様、ヒトの終脳はわずか数百万年未満の期間に著しい変化を遂げています。他にもイルカなどは終脳が肥大しています。

もうひとつ注目すべきなのは、同じホモ・サピエンスであっても顔の造作やサイズは人種や個人ごとに著しくバラエティに富んでいるということです。もっとすごいのは犬(Canis familiaris)で、とても同じ種とはおもえないくらい顔やサイズにバラエティーがあります。トンボやハチではこんなことはあり得ません。

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図208-3 マウスとヒトの脳の比較

図208-2を見ていて不思議に思うことがあります。ヤツメウナギなどの円口類では小脳は痕跡的なものですが、魚類では大変立派になっています。ところが両生類では著しく萎縮し、鳥類や哺乳類では再び大きくなっています。この理由はまだ探索していないのでここでは言及できません。それでも脳のパーツの変動が激しい例のひとつとは言えるでしょう。ほかには嗅覚を重視する軟骨魚類や爬虫類では臭球という別構造が用意されているのも顕著な変化です。

脊椎動物はその生態に応じて、脳のパーツを変化させることで進化してきました。しかしながら、実は脊椎動物が出現して以来ほとんど変化がない部分もあります。それは 後脳=hindbrain という部分で、ヒトでは橋・延髄とよばれています。ここからは様々な末梢神経の入出力が行われていて、その構造も保存されています。つまり脊椎動物はCPUやI・Oポートの基本構造はおそらく古いままで、グラフィックボード、メモリー、HDD、ファン、マウス、キーボードなどを追加・改良することによって進化してきた生物と言えるのではないでしょうか。ただヒトはちょっと特別で、それは他のすべての生物にはない言語という情報処理の方法を獲得したため、巨大な辞書を収納する場所を確保せざるをえず、それを大脳に託したのです。言葉は人間の情報処理全体に大きな影響を与え、そのため伝統的に後脳がやっていた仕事を大脳が奪い取るような場合があるのではないかと、つまり別のCPUが加わったような変化があるのではないかと思われますが、それは今後の宿題とします。

各種脊椎動物の後脳と末梢神経を示したのが図208-4、208-5です(6、7)。確かに後脳とそこからの入出力は保存的です。そのわけは当然と言えば当然ですが、後脳とその入出力を決める発生のシステムと、中脳より前の脳をつくる発生システムが全く異なるからです。おそらく後者は点突然変異(point mutation)のような小さな遺伝子変異によっても、大きく構造が変わる可能性があるような発生のシステムを採用していると考えられます。

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図208-4 カエルの脳

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図208-5 軟骨魚類とヒトの脳

今日のまとめを図208-6に示しておきます。

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図208-6 保存された脳と変化する脳



参照

1)デイヴィッド・ラック著  浦本昌紀・ 樋口広芳 翻訳 思索社 1974年刊
(引用していますが実は未読)

2)ウィキペディア: ダーウィンフィンチ類
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%80%E3%83%BC%E3%82%A6%E3%82%A3%E3%83%B3%E3%83%95%E3%82%A3%E3%83%B3%E3%83%81%E9%A1%9E

3)Wikipedia: mouse brain
https://en.wikipedia.org/wiki/Mouse_brain

4)Wikimedia commons category:human brain
https://commons.wikimedia.org/wiki/Category:Human_brain
National Institutes of Health - http://lbc.nimh.nih.gov/images/brain.jpg (found on page http://lbc.nimh.nih.gov/osites.html)

5)サイエンスポータル 未来ビジョン《山極壽一さんインタビュー》ゴリラたちから学ぶ 〜人間の本質と未来の姿〜
https://scienceportal.jst.go.jp/gateway/sciencewindow/20190926_w01/

6)Online Biology: Nervous system of frog.
https://www.onlinebiologynotes.com/nervous-system-of-frog/

7)続・生物学茶話205 脳神経の基本構成
http://morph.way-nifty.com/grey/2023/03/post-3a1402.html

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2023年4月18日 (火)

憑依のピアニスト 進藤実優

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絶賛したいピアニストです。第18回ショパンコンクールセミファイナリストですが、彼女より好成績のピアニストは大勢いました。でも彼女は別次元のピアニストです。じゃあコンクールに出場する意味は無いかというと、そんなことはなくて、私もショパンコンクールの配信ではじめて知りました。人に知ってもらうことは重要です。

東京でリサイタルをやるのは今回初めてだそうで、私も実演に接するのを今から楽しみにしています。

ショパン エチュード
卒倒もの
https://www.youtube.com/watch?v=snSNdxNZPbk

リスト スペイン狂詩曲
強烈な感情移入が爆発し・・・
https://www.youtube.com/watch?v=r8scalcNIK8

ベートーヴェン ピアノソナタ第8番「悲愴」第2楽章
静止画ですが、この演奏にはもう泣くしかない
https://www.youtube.com/watch?v=0Jc-cIlZGQ8

ショパン アンダンテ・スピアナートと華麗なる大ポロネーズ
最初の1音から別世界に持って行かれる
https://www.youtube.com/watch?v=vruRCzN-aUQ

76th Concours de Genève, Piano Semi-Final 2022 (Solo Recital)
たっぷり
https://www.youtube.com/watch?v=W8gCtdOHLs4

オンラインピアノコンサート 
素晴らしい音質
https://www.youtube.com/watch?v=IXqrLT2iRE4

進藤実優 twitter
https://twitter.com/ShindoMiyu

 

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2023年4月15日 (土)

新札のデザイン

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新札のデザインが発表されました。多くの人が指摘しているようにデザイン自体は非常にチープな感じで、没落する日本を象徴しているような感じですが、それはそれとして少し言いたいことがあります。

津田梅子が採用されたことには私なりの感慨があります。彼女はトーマス・ハント・モーガンの研究室でカエルの発生を研究していたことがある人で、動物学に縁のある人がお札になるとは素晴らしいと思いました(1)。とは言ってもだから政府が素晴らしいわけではありません。政府は理研を大幅にリストラするという暴挙をやったばかりです。

それよりも政府が津田梅子を選んだのには深いわけがあると思います。それは彼女が今で言えば小学校に上がったばかりの頃に日本初の女子留学生として米国に渡って、日米友好の礎となった人であることにあります。つまり政府が米国に拝礼するために彼女が採用されたと思うわけです。ちなみにこの最初の女子留学生5人はすべて幕府側(反政府勢力)の子女であり、見方によっては米国に差し出された人身御供とも受け取れます(2)。

新札のチープなフォントは米国が主導するユニバーサルデザインを採用したものだそうで、この点でも「漢字は捨てました」と脱中国を表明し、米国に媚びを売っているように受け取れます。結局このフォントのために全体の印象が非常に悪くなっていることは否めません。

旧札で米国に拝礼する役は野口英世が果たしていました。彼は多くの業績が実は間違いだったとして否定されている科学者で、日本に居た頃には窃盗や結婚詐欺を働いて本来なら塀の中にいる人物でもありました。しかしロックフェラー研究所に縁が深いということでお札に採用されたと思われます(3)。本来なら国家の顔になるような人物ではありません。新札で北里柴三郎が採用されたことは歓迎したいと思います。

ただ北里柴三郎はノーベル賞受賞者ではありません。それを考えると、日本人で初めてノーベル賞を授与された湯川秀樹が一度もお札になっていないというのは不思議です。これは戦時中に彼が原爆開発プロジェクトにほんの少しかかわったことで、米国の不興を買うことを政府がおそれているためだと思います(4)。彼が原子力発電所の稼働に慎重で政府と衝突したことが原因だという見方もあります。

参照

1)やぶにらみ生物論38: ハエ部屋
http://morph.way-nifty.com/grey/2016/10/post-152f.html

2)ウィキペディア: 津田梅子
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B4%A5%E7%94%B0%E6%A2%85%E5%AD%90

3)ウィキペディア: 野口英世
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%87%8E%E5%8F%A3%E8%8B%B1%E4%B8%96

4)ウィキペディア: 湯川秀樹
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B9%AF%E5%B7%9D%E7%A7%80%E6%A8%B9







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2023年4月13日 (木)

ニューギニア食人種の歌

ニューギニアで第二次世界大戦後まで文明人と接触無く、旧石器時代と同じ暮らしをしていた人々が歌っていた曲を、西丸震哉氏が空で覚えて採譜した楽譜です。彼は第二次大戦後ひとりで現地に乗り込み、山奥に住む未開人(食人種)の部落に住み着き、彼らと一緒に生活しました。数人で歌う歌で、ソロパートと合唱パートがあります。ハモりもあります。

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彼らは夜になると数人で集まってたばこを吸ったり歌を歌って過ごしていたそうです。西丸さんは毎日満員電車で通勤していたので、その頃の日本より旧石器時代と同じニューギニアの奥地での生活の方が快適だと述べていました。

http://morph.way-nifty.com/grey/2023/03/post-3f5a24.html

私も千代田線で通勤していましたが、北千住の駅には大勢の押し屋というアルバイトが居て、ドアからはみ出した人々を中に押し込んでから発車するのが常でした。通勤時の混雑は現在の比ではありませんでした。

そのさらに前の学生の頃は祐天寺に住んでいましたが、東横線の祐天寺駅には押し屋がいなかったので、ドアが開くと数人が押し出されて再度乗り切れないまま発車することもありました。なので祐天寺近くに住んでいたのに、中目黒駅まで歩いて始発の地下鉄に乗って通学していました。

西丸震哉記念館

http://nishimarukan.com/

 

 

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2023年4月10日 (月)

続・生物学茶話207: われら魚族

始原的魚類がカンブリア紀(5億4200万年前~4億9000万年前)にすでに生息していたことははっきりしていて、その魚類こそが私たち脊椎動物のルーツです。カンブリア紀以前にどうだったか、魚類が始原的左右相称動物からどのように進化したか、ということは今でも謎に満ちている状態です。

魚類の中から陸に上がる者が出てきたのがデボン紀(4億1600万年前~3億6000万年前)ということもほぼ確実なので、カンブリア紀-オルドビス紀-シルル紀を通じて、私たちのご先祖様は魚類だけだったと考えられます。魚類と私たちを比べると、鰭が手足になったということと、鰓が肺になったということが第1に重要な違いと言えます。淡水中で生活するための浸透圧の調節を行うのは淡水魚が生まれた段階で準備されていましたし、陸上で卵をふ化させたり子宮で子供を育てたりするために尿をアンモニアから尿素・尿酸に変えるという準備は一部の魚類はもう試みていたと思われ、最終的には両生類を卒業するときに準備されました。これらが2番目に重要な違いと言えるでしょう。

それ以外の点では魚類と私たちは意外に似ています。ウィキペディアの硬骨魚類という項目を見ると、「近年の系統学や分岐分類学的立場からすると、硬骨魚類 (Osteichthyes) はある単系統群(クレード)に与えられた名称であり、哺乳類や鳥のような動物もすべて硬骨魚類に含まれる」という記述があってちょっと驚きます(1)。ウィキペディアの魚類という項目(2)に書かれてある分類表に準拠して記述したのが図207-1です。

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図207-1 脊椎動物の分類

図207-1を見ていておかしいと思われる方もいると思います。進化を基盤として分類した場合、四肢動物はどうしても綱より下の分類群になります(図207-1では下綱となっています)。では四肢動物の下位に位置づけられる両生類・爬虫類・鳥類・哺乳類は当然目(order)でなければいけません。しかし学問の歴史の中でこれらは昔から綱(class)とされていて、それを変えると含まれる生物すべての分類を変更しなくてはならなくなり大混乱がおこるので、当面両生綱とか哺乳綱とかは変えないことになっているようです。しかしこれは学術的には明らかにおかしいわけで、いずれ整理が必要になると思います。

魚類は捕食者(プレデター)が現れ厳しい生存競争が行われるようになったカンブリア紀において、遊泳力に頼って生き延びました。節足動物も軟体動物も甲羅や貝殻などの防具を装備し、餌を捕獲する触手なども発達させる中で、魚類について言えば、おそまきながらオルドビス紀にはようやくうろこを持ち頭部に骨の甲羅を装備するアランダスピス、アストラスピス、サカンバスピスのようなタイプの種類が現れました(3~5、図207-2)。これらはヌタウナギやヤツメウナギと同じ無顎類ですが、うろこや甲羅を装備していた点が違います。顎ができるまえに頭蓋骨もどきの構造ができたということには注目すべきでしょう。おそらく顎というのは歯とセットでないとあまり意味がないと思われます。歯をつくるのが進化上難しかったのでオルドビス紀には有顎魚類が生まれなかったのでしょう。

ヤツメウナギやヌタウナギの祖先も含めてオルドビス紀の無顎魚類は胸びれを持っておらず、あまり器用な遊泳はできなかったと考えられています。複雑な海底地形を利用して隠れて行動する、砂に潜って夜間に行動するなどの生態で生き延びたのでしょう。歯がないので当然固い物を食べることはできず、泥などを吸い込んで濾過するというような食事をしていたとされています。三葉虫や貝類を食べることができなかったので、メジャーな生物にはなれませんでした。アランダスピスなどの魚類は化石も少なく、図207-1の分類表のどの部分に当てはまるのかわかりません。これからの研究を待ちたいと思います。

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図207-2 オルドビス紀の魚類

シルル紀の後半になって魚類は飛躍的な進化を遂げました。それを代表するのが棘魚類と板皮類です(6、7、図207-1)。顎や歯を持つことによって、彼らはそれまで海洋を支配していた節足動物(ウミサソリなど)や軟体動物(カメロケラスなど)に変わって、デボン紀には食物連鎖の頂点に立つことができました(図207-3)。彼らはまたそれぞれの生態に合わせて、発達した鰭を持っていて自由に遊泳できたと思われ、この点でも海洋の帝王としてふさわしく進化していました(6、7)。サイズも巨大なのが現れました。図207-3のイスクナカントゥスは2m、ダンクルオステウスは4mの体長を誇っていました。

板皮類のダンクルオステウス(図207-3)は口の先端でも4400ニュートン(440kg重)の力を発生できたようで、これは現代のホオジロザメを遙かに上回るそうです(8)。ダンクルオステウスの写真(筆者が撮影)をみればわかるように、彼らは歯や顎を持つだけでなく、まるで頭蓋骨ともいえるような骨で頭全体を覆っています。

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図207-3 棘魚類と板皮類

硬骨の主成分はコラーゲンとリン酸カルシウムであるのに対して、軟骨の主成分はコンドロイチン硫酸などの糖とタンパク質の複合体で、全くその成分は異なります。昔は無骨→軟骨→硬骨と進化してきたと考えられていましたが、実際には軟骨魚類が現れたとされているのはシルル紀後期で、それもうろこの破片しかみつかっておらず(9)、おそらく棘魚類や板皮類のあとから現れた生物だと思われます。彼らも硬い歯は持っているので、シルル紀にいったん硬骨を獲得した後、なんらかの都合で歯以外の硬骨を軟骨に置き換えて生き残った生物かもしれません。ウィキペディアでもそのような説が紹介されています(9、10)。実際デボン紀に繁栄した板皮類や棘魚類は絶滅し、軟骨魚類は生き残って現在の海でも繁栄しています。

歯が残るとはいえ軟骨は化石にならないので、化石から軟骨魚類の進化をたどるの難しいのですが、まともな軟骨魚類の化石で最も古い物はデボン紀前期の地層から発掘されたドリオダスだとされています(8、図207-4)。ドリオダスが棘魚類と現代のサメの両者の特徴を併せ持っていることがジョン・メイシーらによって報告されています(11)。デボン紀後期のクラドセラケ(12、図207-4)は最古のサメとして有名ですが、近年の研究によりクラドセラケはサメが所属する板鰓類ではなく、ギンザメが所属する全頭類に含まれるとされています(12、図207-1)。

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図207-4 デボン紀の軟骨魚類

私たち四肢動物と現存硬骨魚類の共通祖先は、棘魚類や板皮類と同じくシルル紀の後期に生まれたと考えられています。この共通祖先からおそらくデボン紀初期に肉鰭類と条鰭類が生まれます(図207-1)。高校の教科書では「硬骨魚類は,条鰭類と肉鰭類に分かれる。両者は,胸鰭の形が大きく違う。主要な魚類のほとんどが属する条鰭類では,放射骨 (平行に走る骨の束) で胸鰭と肩帯が関節している。これに対し肉鰭類では,胸鰭が一対の放射骨で肩帯と繋がっている。」と書かれています(13)。私たちは肉鰭類が進化した生物の一種なので、胸びれに相当する腕は扇子状ではなく棒状になっているというわけです。一般的には肉鰭類の鰭は筋肉質で分厚く、条鰭類の鰭は扇子状の細い骨が多数あって薄い膜でつながっていると考えてよいと思います。

シルル紀後期(4億2500万年前)の化石のなかに、Guiyu oneiros という肉鰭類と条鰭類の中間とみられる魚が存在します(14)。これをどのように分類すべきかというというのは議論があり、ウィキペディアでは一応肉鰭類としていますが(15)、絵には扇子状の胸びれが描かれてあります。

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図207-5 Guiyu oneiros

条鰭類も他の魚類と同様、シルル紀後期にルーツがあると考えられています(16)。現代のメジャーな魚類です。シルル紀後期の条鰭類の代表として、アンドレオレピスがあげられます(16、17、図207-6)。条鰭類の歴史は意外と謎で、例えば図207-1でポリプテルスやチョウザメ(サメではなく硬骨魚類)は真骨類より早く現れていることになっていますが、化石は中生代のものが多く、彼らがいつ現れたかがはっきりしません。ポリプテルスやチョウザメはその始原的な形態にもかかわらず、現代でも生きているのでいわゆる「生きた化石」と呼ばれています。

図207-6に2億5000万年前のポリプテルス、Fukangichthys longidorsalis の再現図をのせておきました。これはネイチャーの記事からの引用の引用です(18、19)。図207-7のポリプテルス・ビキールは19世紀の初頭に最初に発見された現存するポリプテルスで、鰭は肉鰭類的な部分もあり、顎の構造は魚類よりも四肢動物に似ているという特徴を持っていて、今でもナイル川流域などにみられます。四肢動物は肉鰭類から進化したわけですが、ポリプテルスも肺呼吸することができる生物で、進化の過程で陸上でも生活できるようなシステムを獲得しようとしていたわけです。

ポリプテルスは人気のある熱帯魚で家庭の水槽で飼育することも可能ですが、気をつけないといけないのは成長したときのそのサイズで、体長1メートルの魚を飼う水槽を設置すると家が潰れることも考えておかないといけません。

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図207-6 始原的条鰭類

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図207-7 ポリプテルス・ビキール

シーラカンスは遅くともデボン紀には生息していた魚類で、驚くべきことにその頃とほとんど同じ形態のラティメリアが発見されたことで有名です(20、図207-8)。南アフリカの Latimeria chalumnae とインドネシアの Latimeria menadoensis という2種が知られています。ジュラ紀や白亜紀に生きていた恐竜が発見されたとしても、シーラカンスはそれよりずっと古い時代の生物ですから、これが今でも生きているということはジュラシックパークより驚異的です。彼らは硬骨魚類のグループに分類されているにも関わらす、骨がほとんど軟骨でできているという非常にシルル紀前期以前の魚類の面影を残している点が際立った特徴です。

肉鰭類にもポリプテルスと同様に陸地をめざした魚類のグループ、デボン紀に出現した肺魚がいます(21、図207-8)。彼らはおそらく昔から沼地に棲んでいて、乾期に干上がっても生きていけるための肺を獲得した種が生き延びたグループだと考えられます。彼らも現代にまで祖先を残しており、昔東京タワーの1Fにあった水族館ですべての種を見ることができました(22)。展示している魚を買うこともできるというめずらしい水族館でしたが、2018年に廃館になったのは誠に残念です。ここでは私が当時撮影したプロトプテルス・エチオピクスの写真を載せておきます(図207-8)。

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図207-8 肉鰭類 シーラカンスと肺魚

革命的な進化は辺境から起こります。夏には干上がるような池や沼地の淡水環境に棲む魚類は、長い間七転八倒の生活をしていたのでしょうが、肺、夏眠、そして四肢を獲得することによって、両生類への道を歩むことになります。その過程にあるデボン紀の四肢動物を代表するのがアカントステガとイクチオステガです(23、24、図207-9)。ウィキペディアのポリプテルスの項目には「これらの特徴から、ポリプテルスは魚類と両生類に進化する分岐点にある動物と考えられている」という誤解を招く表現がありますが、もちろん四肢動物の直接の祖先は図207-1に示したとおり肉鰭類であることが定説であって、ポリプテルスのような条鰭類とは直接の関係はないとされています。

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図207-9 始原的四肢動物

昨日NHKの番組で海底9800メートルの魚類の映像を見せてもらいましたが(25)、彼らはまさしく現代の辺境生物で、使用済み核燃料処理施設が爆発して人類などが絶滅するようなことがあっても、彼らは生き延びて何億年後かには新しい豊かな生態系を生み出していくんだろうと思いました。

今回の記事を書くに当たってはウィキペディアに大変お世話になり、筆者の方々に深く感謝します。

参照

1)ウィキペディア:硬骨魚類
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%A1%AC%E9%AA%A8%E9%AD%9A%E9%A1%9E

2)ウィキペディア:魚類
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%AD%9A%E9%A1%9E#%E6%97%A5%E6%9C%AC%E5%8B%95%E7%89%A9%E5%AD%A6%E4%BC%9A2018

3)ウィキペディア:アランダスピス
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%83%80%E3%82%B9%E3%83%94%E3%82%B9

4)ウィキペディア:アストラスピス
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%82%B9%E3%83%88%E3%83%A9%E3%82%B9%E3%83%94%E3%82%B9

5)ウィキペディア:サカンバスピス
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B5%E3%82%AB%E3%83%90%E3%83%B3%E3%83%90%E3%82%B9%E3%83%94%E3%82%B9

6)ウィキペディア:棘魚類
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%A3%98%E9%AD%9A%E9%A1%9E

7)ウィキペディア:板皮類
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%9D%BF%E7%9A%AE%E9%A1%9E

8)土屋健 「サメ帝国の逆襲」文藝春秋社 2018年刊 p.65

9)ウィキペディア:軟骨魚綱
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%BB%9F%E9%AA%A8%E9%AD%9A%E7%B6%B1

10)サメは「生きた化石」ではなかった? 定説覆す化石発見
https://www.afpbb.com/articles/-/3012896

11)サメの祖先に手掛かり Nature ダイジェスト Vol. 14 No. 7
DOI: 10.1038/ndigest.2017.170708b
https://www.natureasia.com/ja-jp/ndigest/v14/n7/%E3%82%B5%E3%83%A1%E3%81%AE%E7%A5%96%E5%85%88%E3%81%AB%E6%89%8B%E6%8E%9B%E3%81%8B%E3%82%8A/86844

12)ウィキペディア:クラドセラケ
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AF%E3%83%A9%E3%83%89%E3%82%BB%E3%83%A9%E3%82%B1

13)理科総合B 魚類の進化
http://www.ha.shotoku.ac.jp/~kawa/KYO/Rika-B/htmls/pisces/index.html

14)Wikipedia: Guiyu oneiros
https://en.wikipedia.org/wiki/Guiyu_oneiros

15)Wikipedia: Sarcopterygii
https://en.wikipedia.org/wiki/Sarcopterygii

16)ウィキペディア:条鰭類
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%9D%A1%E9%B0%AD%E9%A1%9E

17)川崎悟司 古世界の住人 アンドレオレピス
https://paleontology.sakura.ne.jp/andoreorepisu.html

18)HUFFPOST ポリプテルス類の起源を紐解く
https://www.huffingtonpost.jp/entry/ancient-fish-alive-right-now_jp_5c5965b0e4b09bd6f91de81c

19)Sam Giles, Guang-Hui Xu, Thomas J. Near and Matt Friedman, Early members of‘living fossil’lineage imply later origin of modern ray-finned fishes., Nature vol.549, pp.265-268 (2017)
https://www.nature.com/articles/nature23654

20)ウィキペディア:ラティメリア
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A9%E3%83%86%E3%82%A3%E3%83%A1%E3%83%AA%E3%82%A2

21)ウィキペディア:ハイギョ
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%8F%E3%82%A4%E3%82%AE%E3%83%A7

22)渋めのダージリンはいかが 東京タワー水族館 その2
http://morph.way-nifty.com/grey/2006/11/post_a3dc.html

23)ウィキペディア:アカントステガ
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%82%AB%E3%83%B3%E3%83%88%E3%82%B9%E3%83%86%E3%82%AC

24)ウィキペディア:イクチオステガ
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A4%E3%82%AF%E3%83%81%E3%82%AA%E3%82%B9%E3%83%86%E3%82%AC

25)NHKWEB 日本人初 水深9801メートルの深海に到達 最深記録60年ぶり更新
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20220829/k10013792961000.html

 

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2023年4月 7日 (金)

My favorites 16: ルーシー・トーマスとそのご家族

Lucy

写真はルーシーが14才でアルバムデビューしたときのジャケットだそうです。私はまだ聴いていません。Youtubeにアップされている妹のマーサや母親のルイーズとコラボしている作品にはまって、さらにソロも素晴らしいことを知りました。

妹のマーサの方がソプラノだと思いますが、曲によって、あるいは同じ曲でも高い方を歌うか低い方を歌うか互換性があるようです。ルーシーは声が美しいとかのびがあるとか、そういうのだけでなく、どう歌えば聴衆に伝わるかと言うことをよくよく考えて歌っているように思います。日本なまりのような英語、たとえば e のさかさまのようなところを a のような発音で歌うのもそのせいかな?

「ルーシーとマーサ」

You Raise Me Up
https://www.youtube.com/watch?v=dU00EuczOiA

The Climb
https://www.youtube.com/watch?v=482nqeAl6eU

「ルイーズとルーシーとマーサ」

Smile
https://www.youtube.com/watch?v=kNDP2-q9NsY&list=OLAK5uy_k8-x9igkO6tLsE7Wf7QcU5K90OW12n8Fw

「ルーシー」

All By Myself
https://www.youtube.com/watch?v=4Y1ThLEezys&list=OLAK5uy_k8-x9igkO6tLsE7Wf7QcU5K90OW12n8Fw&index=20

The way we were
https://www.youtube.com/watch?v=fduZDYKFl04&list=OLAK5uy_k8-x9igkO6tLsE7Wf7QcU5K90OW12n8Fw&index=7



 

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2023年4月 4日 (火)

検索エンジン 「DuckDuckGo」をおすすめ

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皆さんは普通PCまたはスマホで検索を行うときグーグルを利用すると思います。
私もずっとそうしてきたのですが、ここ何年かは「DuckDuckGo」という検索エンジンを使うことが多くなりました。

例えば「渋めのダージリン」+「サラ」をグーグルで検索すると1~2件しかヒットしませんが、「DuckDuckGo」で検索するとゾロゾロと大量にヒットします。サラを沙良に変えると、ピンポイントで沙良の記事にヒットします。

おそらくグーグルではいろいろな操作を行っていて、一部の人々の検索を効率化するために様々な抑制をかけているのではないかと思います。「DuckDuckGo」はグーグルのように誘導されることがなくきちんと愚直な検索が可能なので、そのメリットは大きいと思います。フェアーであることはグーグルにはない利点です。ある意味多くの発信者がグーグルにサイトの発見を妨害されているとも言えるわけで、ちょっぴり不愉快でもあります。

グーグルやDuckDuckGo以外にも、このサイトからサイト内部の記事を検索するには、サイドバーを一番下の方までスクロールすると小さな検索ウィンドウが出てきますので、そこで検索することも可能です。このエンジンは昔はひどかったのですが、改善されたようで現在は結構有効に使えます。


検索エンジン 「DuckDuckGo」 について
https://marketingnative.jp/what-is-duckduckgo/

「DuckDuckGo」のインストール
https://duckduckgo.com/

 

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2023年4月 3日 (月)

使用済み核燃料の再処理

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ラ・ア-グ再処理工場(フランス) ウィキペディアより

使用済み核燃料を再処理することはメリットもありますが、なにしろ原発とは比べものにならないくらい大量の放射性物質が排出されるのが問題です。例えば青森県六ヶ所村の再処理工場から放出を予定しているのは

クリブトン85(3.3x10の17乗)
トリチウム(1.9x10の15乗)
炭素14(5.2x10の14乗)
ヨウ素129(1.1x10の10乗)
ヨウ素131(1.7x10の10乗)
その他セシウム・プルトニウムなど多数

(単位:ベクレル/年)

とされています。想像を絶するとてつもない量です。当然自然に癌は増えます。これを本当にやろうとしているのですから正気の沙汰とは思えません。でもこれは平常運転の状態でこれだけ出るという話なのです。みんながタバコをやめたら癌は減るだろうといわれていましたが、癌は増え続けています。当然です。そしていったん事故が起これば、癌が増えるどころではありません。大げさでなく人類は絶滅の危機にさらされます。

 

[稼働中の核燃料再処理工場]
ラ・アーグ(フランス)
マヤーク(ロシア)
ピンステク、チャスマ(パキスタン)
トロンベイ、タラプール、カルパカム(インド)

[計画中]
蘭州(中国)
六ヶ所村(日本)

[廃止または廃止準備中]
セラフィールド(イングランド)
ウェストヴァレー(USA)
クラスノヤルスク(ロシア)
モル(ベルギー)
パッカースドルフ(ドイツ)
サンパウロ(ブラジル)
東海村(日本)
など

(ウィキペディア:再処理工場の記述による)

 

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映画「シェルブールの雨傘」で有名な英仏海峡に面したフランスの街シェルブール近郊に、ラ・アーグ核燃料再処理工場があります。1980年4月15日、ここであわや世界が終了という危機一髪の事故があったそうです。主電源と予備電源の両方が使えない状態になり、軍の施設にあった電源を車で運んでギリギリで間に合った結果大事に至りませんでした。

ここは雪の多い街で、冬だと車での電源輸送が間に合わなくて世界は終了していただろうと言われています。また電源が落ちたのが朝の作業前だったのが奇跡的幸運で、作業を始めてから起こっていたら、やはり世界は終了していただろうと言われています。この再処理施設は現在でも稼働しており、またいつ事故を起こすかわかりません。

具体的な事故の様子は下記の記事を参照してください。

ラ・アーグ再処理工場事故? 1980年人類絶滅寸前の事故があった
https://kitanoyamajirou.hatenablog.com/entry/20120204/1328307429

 

参照

滝澤行雄 六ヶ所再処理工場から放出される放射性物質の環境への影響
http://anshin-kagaku.news.coocan.jp/sub060426takisawa.html

東京新聞 もし東海再処理施設が攻撃されたら…廃液20%放出で死者40万人と試算 ウクライナで原発リスクが現実に
https://www.tokyo-np.co.jp/article/166319

報道されない「六ヶ所再処理工場」の恐ろしい実態
https://www.jca.apc.org/~runner/PDF/%E5%85%AD%E3%83%B6%E6%89%80.pdf

原子力資料情報室 とめよう!六ヶ所再処理工場
https://cnic.jp/knowledgeidx/rokkasho

日弁連ライブラリー 核燃料サイクルの廃止と放射性廃棄物の後始末
https://www.nichibenren.or.jp/library/ja/jfba_info/organization/data/57th_keynote_report1_2.pdf

 

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2023年4月 1日 (土)

My favorites 15: Susanna Mälkki

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スザナ・メルッキ(Susanna Mälkki)はフィンランドのヘルシンキで1969年に生まれた指揮者で、ヘルシンキフィルの常任指揮者ですが、メット、ロスフィル(昨年まで主任客演指揮者)、ニューヨークフィル、ベルリンフィルなど欧米のほとんどの主要なオケは振っているようです。

彼女がYoutubeにアップしているブルックナー交響曲の演奏を聴いて驚きました。その柔らかい音色にもかかわらず、メリハリはきっちり、スケールは広大で、ある種別世界に連れて行ってくれます。テンポはゆっくりですが、細部が魅惑的なフレーズで満たされていて聴衆を飽きさせません。ライン川はゆったりと流れますが、ときには急流もあり、古城やローレライも見逃せません。メルッキのブルックナー演奏はそんな細部の美しさも堪能させてくれる丁寧さと心遣いにあふれています。

来年はブルックナー生誕200年ということで彼女も忙しいことでしょう。
さて都響は招聘に動いているのかな?

ブルックナー 交響曲第4番
https://www.youtube.com/watch?v=NNJNyHGP5jU

ブルックナー 交響曲第7番
https://www.youtube.com/watch?v=X_whXqKqk_U

ブルックナー 交響曲第9番
https://www.youtube.com/watch?v=2s1Z1JQc1eM&t=756s

オフィシャルウェブサイト
https://susannamalkki.com/

画像はウィキペディアより
https://en.wikipedia.org/wiki/Susanna_M%C3%A4lkki#/media/File:18.IX_-_Susanna_M%C3%A4lkki_(retouched).jpg

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